上の計算機で、額面・都道府県・年齢から健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料が計算できます。以下では、その計算のしくみ(標準報酬月額の決まり方、料率、天引きの時期)を実例つきで解説します(一般的な計算方法の説明であり、個別の相談ではありません)。
使い方と注意点
入力欄の詳しい説明
- 報酬月額:基本給・残業手当・住宅手当・役職手当・通勤手当など、報酬に該当する総額を入力してください。通勤手当は所得税で非課税の部分も含めます。
- 年齢:70歳以上の厚生年金保険料は、高齢任意加入の場合を除き0円です。高齢任意加入は対象外です。
- 業種:この計算機では、協会けんぽの選択県・標準報酬・年齢等を同じにして業種を変えると、雇用保険料率が変わります
報酬月額に含めるもの
報酬月額は税引き前の給与の総額です。労働の対償として支給されるものを含めます。
- 含める:基本給のほか、残業手当・通勤手当・住宅手当・役職手当など
- 現物給与も含める:通勤定期券・社宅・食事などを金銭に換算します
- 含めない:臨時に支払われるもの、年3回以下の賞与(賞与は「標準賞与額」として別に計算します)
- 見舞金:一時的な見舞金は対象外ですが、継続支給する見舞金は含めます
通勤手当は、所得税では公共交通機関の合理的な運賃等は月15万円まで、自動車・自転車等は距離等に応じた限度額まで非課税です。社会保険では非課税枠がなく全額が報酬です。
食事・社宅は、厚生労働大臣が定める価額から本人負担分を差し引きます。食事は、本人がその価額の2/3以上を負担する場合は算入しません。健康保険組合では、規約で現物給与の価額を別に定めている場合があります。
社会保険適用促進手当は、標準報酬月額10.4万円以下の人について、加入で新たに生じた本人負担の保険料相当額を上限に、最大2年間、標準報酬月額・標準賞与額の算定から除外します。労使の合意などの条件は社会保険適用促進手当を除外できる条件にまとめています。
この計算機の前提
計算に用いる料率は、協会けんぽ(全国健康保険協会)の令和8年度の都道府県別料率、厚生年金保険料率18.3%(厚生年金基金加入員を除く)、令和8年度の雇用保険料率(厚生労働省)です。健康保険組合に加入している場合は料率が異なります。子ども・子育て支援金(0.23%・労使折半)を含みます。子ども・子育て拠出金(会社負担のみ)と労災保険料(全額会社負担)は含んでいません。
結論:掛けるのは「給与」ではなく「標準報酬月額」
社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金)の月額計算の骨子は、標準報酬月額に料率を掛けて労使で分担することです。
- 保険料(全額)= 標準報酬月額 × 料率
- 本人の控除額 = 全額 ÷ 2(労使折半。残り半分は会社が負担)
- 端数は 50銭以下は切捨・50銭超は切上(給与から控除し、事業主と被保険者の間に端数処理の特約がない場合)
ポイントは 「標準報酬月額」 です。これは実際の給与額ではなく、給与額を等級表に当てはめて丸めた金額のこと。健康保険は50等級(58,000円〜1,390,000円)、厚生年金は32等級(88,000円〜650,000円)に区切られています。
等級を決めるもとになる「報酬月額」は、税引き前の給与の総額です。通勤手当などの手当や現物給与も含めます(報酬月額に含めるもの)。
計算の5ステップ(図解)
次の図は、標準報酬月額が決まった後の月額保険料を給与から控除する場合の計算の流れです。この図は報酬月額から等級を調べる設例であり、実際の計算には決定された標準報酬月額を使います。
②から③の「等級への当てはめ」が、給与額と保険料がズレる原因です。等級の幅は、標準報酬月額30万円のあたりでは 290,000円以上310,000円未満 と2万円もあります。給与が29万円でも31万円直前でも、保険料は同じになります。
東京都の社会保険料はいくら?(実例:月給30万円・35歳・令和8年度)
- 健康保険:9.85%
- 介護保険(40〜64歳):1.62%(健康保険と合算して11.47%で計算)
- 厚生年金:18.3%(厚生年金基金加入員を除く)
- 子ども・子育て支援金:0.23%(令和8年4月新設・年齢問わず全員)
- → 令和8年4月分以降、端数処理前の本人負担は 標準報酬月額の14.19%(40歳未満)/15.00%(40〜64歳)。雇用保険は別です
実際に最後まで通します。報酬月額300,000円は、健康保険の 第22等級・厚生年金の 第19等級 に当てはまり、標準報酬月額は300,000円 です(たまたま給与額と同額になるケース)。
設例の前提:協会けんぽ東京支部の一般被保険者・35歳・2026年4月分以降。健康保険と厚生年金の標準報酬月額はどちらも30万円で、厚生年金基金には未加入、雇用保険は含みません。
| 保険 | 料率 | 全額(会社+本人) | 本人負担(÷2) |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 9.85% | 29,550円 | 14,775円 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 690円 | 345円 |
| 厚生年金 | 18.3% | 54,900円 | 27,450円 |
| 合計 | 28.38% | 85,140円 | 42,570円 |
本人負担は 42,570円。標準報酬月額300,000円に対して 14.19%(28.38% ÷ 2)です。会社も同じ42,570円を負担します。
40〜64歳の場合(介護保険料が加わる)
同じ条件で年齢だけを 42歳 にすると、介護保険料(全国一律1.62%)が加わります。
介護保険料がかかるのは、介護保険の第2号被保険者です。市町村の区域内に住所がある40歳以上65歳未満の医療保険加入者を指し、この記事では「40〜64歳」と書きます。
| 保険 | 料率 | 全額 | 本人負担 |
|---|---|---|---|
| 健康保険+介護保険(合算) | 11.47% | 34,410円 | 17,205円 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 690円 | 345円 |
| 厚生年金 | 18.3% | 54,900円 | 27,450円 |
| 合計 | 30.00% | 90,000円 | 45,000円 |
本人負担の合計はちょうど 45,000円(標準報酬月額のちょうど15%)です。健康保険・介護保険・支援金・厚生年金の料率の合計が30.00%になるためです。
月給別の早見表(東京都・令和8年度・本人負担)
前提は上の設例と同じで、月給と年齢だけを変えています。
| 月給(報酬月額) | 標準報酬月額(等級) | 40歳未満 | 40〜64歳 |
|---|---|---|---|
| 200,000円 | 200,000円(健保第17級・厚年第14級) | 28,380円 | 30,000円 |
| 250,000円 | 260,000円(健保第20級・厚年第17級) | 36,894円 | 39,000円 |
| 300,000円 | 300,000円(健保第22級・厚年第19級) | 42,570円 | 45,000円 |
| 400,000円 | 410,000円(健保第27級・厚年第24級) | 58,178円 | 61,499円 |
| 500,000円 | 500,000円(健保第30級・厚年第27級) | 70,950円 | 75,000円 |
| 700,000円 | 健保710,000円(第37級)/厚年650,000円(第32級)※ | 95,258円 | 101,009円 |
※ 厚生年金は標準報酬月額650,000円で頭打ちのため、月給70万円の厚生年金保険料は本人59,475円です(後述)。
※ 月給25万円・40万円の行に注目してください。標準報酬月額が給与額より高くなっています。等級表に当てはめた結果であり、間違いではありません。
落とし穴:健康保険と介護保険は「合算した料率」で端数処理する
ここは、端数処理によって一部の等級で1円合わなくなるポイントです。
40〜64歳の人の健康保険料と介護保険料は、合算した額に対して端数処理します。合算した料率(東京都なら 9.85% + 1.62% = 11.47%)で1本で計算し、最後に1回だけ端数処理します。給与から控除し、事業主と被保険者の間に端数処理の特約がない場合の扱いです。
実際にズレる例:東京都・標準報酬月額134,000円(第10等級)・45歳
| やり方 | 計算 | 結果 | |
|---|---|---|---|
| ✗ 誤 | 健康保険だけ先に | 134,000円 × 9.85% = 13,199円 → 折半 6,599.50円 → 50銭以下は切捨 | 6,599円 |
| 介護保険だけ先に | 134,000円 × 1.62% = 2,170.80円 → 折半 1,085.40円 → 切捨 | 1,085円 | |
| 足す | 6,599円 + 1,085円 | 7,684円 | |
| ✓ 正 | 合算料率で1本 | 134,000円 × 11.47% = 15,369.80円 → 折半 7,684.90円 → 50銭超なので切上 | 7,685円 |
1円ずれます。協会けんぽの公式の保険料額表(東京支部)で第10等級の「介護保険第2号被保険者に該当する場合」の折半額を見ると 7,684.9円 と書かれており、正しい控除額は 7,685円 です。
なぜこうなるかというと、切り捨てられた端数が2回発生するからです。別々に処理すると 0.50円 + 0.40円 = 0.90円 が両方とも捨てられますが、合算すれば 0.90円 は「50銭超」として1円に切り上がります。
給与計算ソフトが公式額表と1円合わないときは、まずここを疑ってください。
端数処理のルール(法律の根拠)
1円未満の端数は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」の規定にならい、次のように扱います。給与天引きの場合と、本人が現金で納める場合で、境界がズレるのがポイントです。
| ケース | 切り捨てる | 切り上げる |
|---|---|---|
| 給与から控除する(通常の給与天引き) | 50銭以下 | 50銭を超える |
| 本人が現金で事業主に支払う | 50銭未満 | 50銭以上 |
つまりちょうど50銭のときだけ、結果が1円変わります。たとえば東京都・標準報酬月額710,000円の子ども・子育て支援金は、全額1,633.0円 → 折半 816.5円。給与天引きなら 816円、本人が現金で納めるなら 817円 です。
※ なお、事業主と被保険者の間に特約がある場合は、その特約による端数処理ができます(会社が1円分を負担する運用など)。
健康保険料率は都道府県で違う(最大1.34ポイント差)
厚生年金の料率は厚生年金基金加入員を除き18.3%ですが、健康保険料率は都道府県ごとに違います(協会けんぽの場合)。都道府県ごとの医療費水準を反映して、毎年度決まります。適用されるのは勤務先(事業所)の所在地の都道府県の料率で、自分の住所地ではありません。
令和8年度の健康保険料率(高い順・低い順)
| 順位 | 高い都道府県 | 料率 | 低い都道府県 | 料率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 佐賀県 | 10.55% | 新潟県 | 9.21% | |
| 2 | 北海道 | 10.28% | 沖縄県 | 9.44% | |
| 3 | 徳島県 | 10.24% | 福島県 | 9.50% | |
| 4 | 山口県 | 10.15% | 岩手県 | 9.51% | |
| 5 | 大阪府・鹿児島県 | 10.13% | 茨城県 | 9.52% | |
| — | (参考)東京都 9.85% / 愛知県 9.93% / 神奈川県 9.92% / 全国平均 9.90% | ||||
最も高い 佐賀県(10.55%) と最も低い 新潟県(9.21%) の差は 1.34ポイント。標準報酬月額30万円・35歳の本人負担で比べます。
前提は東京都の設例と同じで、勤務先の都道府県だけを変えています。年間は、同じ条件が12か月続く場合の額です。
| 勤務先 | 健康保険(本人) | 社会保険料 合計(本人) | 年間 |
|---|---|---|---|
| 佐賀県(10.55%) | 15,825円 | 43,620円 | 523,440円 |
| 新潟県(9.21%) | 13,815円 | 41,610円 | 499,320円 |
| 差 | 2,010円 | 2,010円/月 | 24,120円/年 |
ただし、これとは別に 子ども・子育て支援金0.23%が新設されるため、手取りが増えるとは限りません。東京都なら健康保険料率は0.06ポイント下がりますが(9.91% → 9.85%)、支援金0.23%が加わるので差引では負担増です。
下げ幅の大きい県は次のとおりです。「低い」と「下がった」は別物なので、負担の変化を見るときは注意してください。
- 下げ幅が最大:長崎県(10.41% → 10.06%、0.35ポイント減)
- これに続く:新潟県(9.55% → 9.21%)と山梨県(9.89% → 9.55%)の0.34ポイント減
- 料率がいちばん低いのは新潟県(9.21%)ですが、いちばん下がったのは長崎県です
※ 協会けんぽの一般被保険者の健康保険料率が変わるのは 令和8年3月分(4月納付分) から、子ども・子育て支援金が加わるのは 令和8年4月分(5月納付分) からです。健康保険料率と支援金率の適用月が1か月ずれる点を給与計算の設定で確認してください(任意継続・日雇特例被保険者の健康保険料率の変更は4月分からです)。
厚生年金は18.3%(基金加入員を除く)・標準報酬月額65万円で頭打ち
厚生年金基金加入員を除く厚生年金保険料率は 18.3%(本人は折半で9.15%)です。平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月を最後に引上げが終了し、18.3%で固定されています。都道府県による違いはありません。
大事なのは 上限 です。厚生年金の等級表は健康保険より短く、32等級・標準報酬月額650,000円で打ち止めになります。
| 健康保険 | 厚生年金 | |
|---|---|---|
| 等級の数 | 50等級 | 32等級 |
| 下限 | 58,000円(第1級) | 88,000円(第1級) |
| 上限 | 1,390,000円(第50級) | 650,000円(第32級) |
| 上限に達する報酬月額 | 1,355,000円以上 | 635,000円以上 |
| 上限での本人負担 | — | 59,475円(118,950円の折半) |
| 料率 | 都道府県別(9.21〜10.55%) | 18.3% |
厚生年金の料率と本人負担は、厚生年金基金の加入員を除いた場合の数字です。
一方、健康保険は上限1,390,000円まで上がり続けます。高額所得者ほど「厚生年金は増えないのに健康保険だけ増える」という形になります。
会社はもう一つ「子ども・子育て拠出金」を全額負担している
混同しやすいので整理します。名前がよく似た2つの負担があり、まったく別物です。
| 子ども・子育て支援金 | 子ども・子育て拠出金 | |
|---|---|---|
| 率(令和8年度) | 0.23% | 0.36% |
| 誰が払う | 労使折半(本人も払う) | 事業主が全額負担(本人負担なし) |
| いつから | 令和8年4月分から新設 | 従来からある |
| 給与明細に出るか | 出る(健康保険料に含めて表示されることも) | 出ない(本人は払わないため) |
| ベース | 標準報酬月額・標準賞与額 | 標準報酬月額・標準賞与額 |
標準報酬月額300,000円なら、拠出金は 300,000円 × 0.36% = 1,080円 です。東京都の設例で、会社の負担を合計すると次のとおりです。
- 健康保険・支援金・厚生年金の会社負担:42,570円
- 子ども・子育て拠出金:1,080円(ここまでの小計は 42,570円 + 1,080円 = 43,650円)
- 雇用保険の会社負担(一般の事業):給与30万円×8.5/1,000=2,550円
- 合計は46,200円、給与込みで346,200円です。このほかに業種別の労災保険料がかかります
賞与・支援金・雇用保険の計算
賞与の保険料には上限があります
標準賞与額(1,000円未満切捨)に同じ料率を掛けますが、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金は年度累計573万円、厚生年金・子ども・子育て拠出金は1か月あたり150万円(同月内の賞与は合算)が上限です。上限を超えた分には保険料がかかりません。
- 同じ月に複数回支給するとき:厚生年金は合算した標準賞与額に月150万円の上限を適用します。この計算機は同じ月に1回支給する前提なので、各回を別々に計算した結果は使えません。
- 「今年度の既払標準賞与額の累計」の数え方:各支給分の1,000円未満を切り捨てた標準賞与額を、年度内(4月〜翌3月)で合計します。総支給額の累計ではありません。
- 数える範囲:現在加入している健康保険と同じ保険者の分だけです。同一保険者であれば転職前の既払分も含め、保険者が異なる既払分は含めません。
- 累計は、健康保険の上限(年度累計573万円)の判定に使います。
子ども・子育て支援金(令和8年4月から新設)
令和8年(2026年)4月分から、子ども・子育て支援金(0.23%)の徴収が始まりました。年齢に関係なく被保険者が負担し、労使折半です。被扶養者本人の負担はありません。医療保険料とあわせて徴収されますが、給与明細で支援金を分けて表示することは法令上の義務ではありません。
雇用保険料は「賃金総額」にかかります(等級は関係ありません)
健康保険・厚生年金は標準報酬月額(等級)に料率を掛けますが、雇用保険料だけは、実際に支払われた賃金の総額にそのまま料率がかかります(労働保険徴収法11条1項)。等級表を経由しないので、同じ等級でも賃金が違えば雇用保険料は違います。通勤手当・残業代・賞与もすべて含まれ、賞与には1,000円未満切捨も上限もありません。
いつの給与から天引きされるか(1日違いで1か月分変わる)
計算ができても、「どの月の給与から引くか」を間違えると結局合いません。ルールは3つです。
- 保険料は月単位。日割りはしない。月の途中で入社しても、その月は1か月分かかります。
- 資格取得日(=入社日)の月から保険料が発生します。
- 資格喪失日は「退職日の翌日」。資格喪失月の保険料はかかりません(=前月分まで)。
そして控除の原則は、「前月分の保険料を当月の給与から控除する」です(健康保険法167条1項・厚生年金保険法84条1項)。事業主は、前月分の保険料を当月の報酬から控除できる、と定められています。会社が年金事務所に納めるのは翌月末日までです。
退職日が1日違うと、控除される保険料が1か月分変わる
- 3月30日に退職 → 資格喪失日は3月31日 → 3月は資格喪失月 → 3月分の保険料はかからない。3月の給与から控除するのは2月分の1か月分だけ。
- 3月31日(月末)に退職 → 資格喪失日は4月1日 → 3月分まで保険料がかかる → 3月の給与から 2月分+3月分の2か月分 を控除できる。
「月末で辞めたら最後の給与から社会保険料が2か月分引かれた」という話の正体はこれです。会社のミスではありません。
- 国民健康保険に切り替える
- 任意継続にする:資格喪失日の前日まで継続して2か月以上加入し、資格喪失時に加入していた保険者へ申し出ることなどが要件です
- 家族の健康保険の被扶養者になる:被扶養者本人の保険料負担はありません。生計維持・国内住所・親族の範囲と、区分により同一世帯の要件を確認します
- 再就職先で健康保険・厚生年金に加入する
任意継続の対象外になる人、被扶養者の住所の例外や適用除外、親族の全区分は、退職後の健康保険の加入要件で確認してください。
賞与も同じルール
退職月に支給する賞与は、月末退職の場合を除き、保険料控除の対象になりません。3月30日退職の人に3月に賞与を出しても、社会保険料はかかりません(ただし賞与支払届の提出は必要です)。
同じ月に入社して退職した場合(同月得喪)
入社した月にそのまま退職した場合、厚生年金保険料は原則として1か月分必要です。ただし、その月のうちに別の厚生年金または国民年金の資格を取得した場合は、先の厚生年金保険料は不要になり、年金事務所から還付の通知が届きます。
- 健康保険・介護保険・支援金・厚生年金の本人負担は、各保険の標準報酬月額 × 料率 ÷ 2が基本です。雇用保険は別計算です
- 東京都・35歳・標準報酬月額30万円なら、本人負担は 月42,570円(令和8年4月分以降・設例の前提のとおり)
- 40〜64歳は、健康保険料率に介護保険料率1.62%を 合算してから 端数処理する(別々だと、一部の等級で1円ずれることがある)
- 端数は 50銭以下切捨・50銭超切上(給与天引きで、事業主と被保険者の間に端数処理の特約がない場合)
- 健康保険料率は都道府県別(9.21%〜10.55%)。厚生年金は18.3%(基金加入員を除く)・標準報酬月額65万円で頭打ち
- 令和8年4月から 子ども・子育て支援金0.23% が全員に加算
- 控除は 前月分を当月給与から。資格喪失日=退職日の翌日で、1日違うと1か月分変わる
よくある質問
社会保険料は給与の何%くらいですか?
東京都・令和8年4月分以降なら、本人負担の目安は標準報酬月額の14.19%(40歳未満)、15.00%(40〜64歳)です。健康保険9.85%+子ども・子育て支援金0.23%+厚生年金18.3%=28.38%を労使折半するためです。掛ける相手は給与額ではなく標準報酬月額なので、給与に対する比率は等級や端数処理で多少前後します。健康保険と厚生年金で標準報酬月額が違う人は、この率になりません。雇用保険は別です。
通勤手当も社会保険料の対象ですか?
対象です。所得税には非課税の枠がありますが、社会保険では非課税枠がなく、通勤手当も全額が報酬月額に含まれます。数か月分をまとめて支給した通勤手当は、月数で割って各月の報酬月額に含めます。残業手当・住宅手当・役職手当や現物給与の扱いは、報酬月額に含めるものにまとめています。
残業が増えたら、すぐに保険料も上がりますか?
すぐには上がりません。標準報酬月額は原則として4〜6月に支払われた給与の平均で決まり、その年の9月分から翌年8月分まで使われます(定時決定)。残業代だけが増えても随時改定の対象にはなりません。随時改定は、固定的賃金が変わり、その後3か月の平均で2等級以上の差が出たときなどに行い、変動した報酬を支払った月から数えて4か月目に適用されます。支払基礎日数などの要件は随時改定の解説で確認できます。
40歳になったら、いつから介護保険料が引かれますか?
40歳の誕生日の前日(応当日がない年はその月の末日)が属する月分からです。たとえば5月2日生まれの人は5月1日が40歳到達日なので5月分から、5月1日生まれの人は4月30日が到達日なので4月分から徴収が始まります。徴収が終わるのは65歳の誕生日の前日が属する月からで、以後は市区町村が第1号被保険者として徴収します。応当日がない年の扱いは40歳のときと同じです。
給与計算ソフトの金額が、協会けんぽの保険料額表と1円合いません。
まず、健康保険料と介護保険料を別々に端数処理していないかを確認してください。40〜64歳の人は、合算した料率(東京都なら11.47%)で1本で計算し、最後に1回だけ端数処理します。別々に計算して足すと、一部の等級で額表と1円ずれます。それでも合わない場合は、端数処理の特約の有無を確認してください。特約がなければ、給与からの控除は「50銭以下切捨・50銭超切上」(50銭ちょうどは切捨て)です。
会社の負担額はいくらですか?
協会けんぽの健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金と厚生年金は原則労使折半です。端数処理で異なる場合がありますが、東京都の設例(35歳・標準報酬月額30万円)では本人と同額の42,570円です。これに加えて会社は 子ども・子育て拠出金0.36% を全額負担します。この設例では拠出金は1,080円で、小計は43,650円です。雇用保険・労災保険は別にかかります。
出典
- 全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます/都道府県毎の保険料率」(47都道府県の健康保険料率、介護保険料率1.62%、子ども・子育て支援金0.23%は令和8年4月分(5月納付分)から)
- 全国健康保険協会「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」(等級ごとの全額・折半額。介護保険第2号被保険者に該当する場合は合算列で表示)
- 全国健康保険協会「令和8年3月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」の厚生年金欄(保険料率18.300%/折半9.150%、第1級88,000円〜第32級650,000円)
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」(平成29年9月を最後に引上げが終了し18.3%で固定)
- 日本年金機構「保険料の計算方法」(端数処理:給与から控除する場合は50銭以下切捨・50銭超切上/現金で支払う場合は50銭未満切捨・50銭以上切上。特約がある場合は特約による)
- 日本年金機構「退職した従業員の保険料の徴収」「月の途中で入社したときや、退職したとき」(資格喪失日=退職日の翌日、日割りなし、同月得喪の取扱い)
- 日本年金機構「標準報酬月額の対象となる報酬とは何ですか」「標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのですか」
- 日本年金機構「子ども・子育て拠出金率が改定されました」(令和8年度も0.36%、事業主が全額負担)
- 全国健康保険協会「介護保険制度と介護保険料について」(40歳到達=誕生日の前日、65歳到達で徴収終了)
- 通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(端数処理)/健康保険法167条1項・厚生年金保険法84条1項(報酬から前月分の保険料を控除)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は年金事務所・社会保険労務士にご確認ください。健康保険組合に加入している場合は、料率が協会けんぽと異なります。