額面(税引き前の総支給額)から社会保険料・所得税・住民税を引いた残りが手取りです。上の計算機で自分の額面・年齢・都道府県から手取りが出せます。以下では、その内わけと、額面が1円増えただけで手取りが減ることがある「等級の崖」まで、条文と実数で解説します。一般的な計算方法の説明であり、個別の税務相談ではありません。
使い方と注意点
額面の月給が30万円なら、手取りは月249,610円が目安です(住民税を除く)。東京都の協会けんぽ・一般の事業・30歳・扶養親族等0人、2026年度の料率と令和8年分の月額表(甲欄)で計算した額です。住民税は、概算・実額入力・含めないから選べます。ほかの額面の手取りは早見表にまとめました。
入力欄の詳しい説明
- 額面の月給:基本給+残業手当など、税引き前の総支給額。この計算機は非課税通勤手当等を含まない給与が対象です。非課税手当がある場合は、社会保険と税の対象額を分けられないため試算対象外です。
- 扶養親族等の数:扶養控除等申告書に書いた源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計に、障害者などの加算を足した数です。該当なしは0。詳しくは扶養親族等の数の数え方をご覧ください。
- 年齢:この計算機の入力範囲は15〜74歳です。70歳以上の厚生年金保険料は0円として計算します(高齢任意加入は対象外)
- 業種:雇用保険料率だけが業種で変わります(健康保険・厚生年金は変わりません)
額面の月給に含めるもの
基本給のほか、残業手当・住宅手当・役職手当などの課税給与を含みます。この計算機は非課税通勤手当等がある給与には対応していません。非課税手当を除いて入力しても社会保険料がずれるため、そのような給与は試算対象外です。
扶養親族等の数の数え方
「給与所得者の扶養控除等申告書」に書いた内容で数えます。
- 基本の人数:源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計です。令和8年分は、19〜22歳の特定親族のうち合計所得100万円以下の人も含みます。
- 数えない人:相互適用などにより、扶養控除等申告書に記載がないものとされる源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族は除きます。
- 本人の加算:本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当たり、扶養控除等申告書にその記載があれば、各1人を足します。
- 配偶者・親族の加算:同一生計配偶者・扶養親族が障害者なら各1人、同居特別障害者ならさらに1人を足します。16歳未満の扶養親族も対象で、申告書への記載が必要です。
- 国外に住む親族:人数に数えるのも加算するのも、親族関係書類の添付または提示がある場合に限ります。30歳以上70歳未満の留学者は留学を証する書類も、外国語の書類は訳文も必要です。
- 住民税:この人数からの概算ではなく、通知書の月額を確認してください。
この計算機の前提
- 健康保険:協会けんぽ(全国健康保険協会)の令和8年度の都道府県別料率で計算します。健康保険組合に加入している場合は料率が異なります。
- 厚生年金:18.3%(全国一律)で計算します。
- 雇用保険:選んだ業種の令和8年度の料率(令和9年3月31日まで)で計算します。
- 所得税:国税庁の給与所得の源泉徴収税額表(月額表・甲欄)で計算した源泉徴収額です。「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した居住者の給与が対象で、年末調整の対象者は年末調整で精算されます。
- 対象外の人:非居住者の給与は税額表の対象ではありません。申告書を出していない人や、従たる給与についての扶養控除等申告書を出した人は乙欄で税額が変わります。どちらもこの計算機の対象外です。
- 賞与:含みません(月給のみ)。賞与の手取りはボーナス手取り計算機で計算できます。
- 住民税の概算:扶養親族をすべて一般扶養(16歳以上)として計算しています。
手取りの計算式 — 額面から引かれる6つ
手取り(差引支給額)は、次の式で決まります。
手取り = 額面 − 社会保険料 − 所得税 − 住民税
社会保険料は、健康保険料・厚生年金保険料・子ども子育て支援金・雇用保険料の合計です。40〜64歳は、健康保険料に介護保険料が加わります。子ども子育て支援金は令和8年4月分からです。
額面30万円の設例で見ると、社会保険料が44,070円なのに対し、所得税は6,320円しかありません。前提は、東京都の協会けんぽ・一般の事業・30歳・扶養親族等0人、令和8年度の料率と令和8年分の月額表(甲欄)です。
| 引かれるもの | 何にかかるか | 本人負担(額面30万円) |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 標準報酬月額(等級表) | 14,775円(料率9.85%の半分) |
| 厚生年金保険料 | 標準報酬月額(等級表) | 27,450円(料率18.3%の半分) |
| 子ども・子育て支援金 | 標準報酬月額(等級表) | 345円(料率0.23%の半分) |
| 雇用保険料 | 賃金総額(実際の支給額) | 1,500円(1,000分の5) |
| 所得税 | 社会保険料等(小規模企業共済等掛金を含む)を引いた後の額 | 6,320円(提示社会保険料以外の控除なし) |
| 住民税 | 前年の所得 | 人により異なる(後述) |
健康保険・厚生年金・支援金と、雇用保険は「かかる土台」が違う
前の3つは標準報酬月額(等級表で丸めた額)にかかりますが、雇用保険だけは「賃金総額」=実際に支払われた額にかかります(労働保険徴収法11条1項)。だから残業代が増えれば雇用保険料はその月からすぐ増えますが、健康保険料と厚生年金保険料はその月には1円も動きません。この違いが、次に述べる「崖」を生みます。
額面別の手取り早見表(東京都・30歳・甲欄0人)
額面ごとの手取りを、固定の設例で計算した実数です。住民税は前年の所得で決まるため、この表には含めていません(住民税のしくみ)。
| 額面(月) | 手取り | 手取り率 | 社会保険料 | 所得税 | 標準報酬月額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 200,000円 | 167,350円 | 83.7% | 29,380円 | 3,270円 | 200,000円 |
| 250,000円 | 207,086円 | 82.8% | 38,144円 | 4,770円 | 260,000円 |
| 300,000円 | 249,610円 | 83.2% | 44,070円 | 6,320円 | 300,000円 |
| 350,000円 | 289,346円 | 82.7% | 52,834円 | 7,820円 | 360,000円 |
| 400,000円 | 329,072円 | 82.3% | 60,178円 | 10,750円 | 410,000円 |
| 500,000円 | 408,690円 | 81.7% | 73,450円 | 17,860円 | 500,000円 |
料率は、東京都の協会けんぽの健康保険9.85%・厚生年金18.3%・令和8年4月分からの支援金0.23%・一般の事業の雇用保険5/1000(令和9年3月31日まで)です。所得税は国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」の月額表・甲欄で、居住者に表の社会保険料のほかの社会保険料等控除が無い場合の額です。
手取り率は、額面が上がるほど下がる…とは限らない
この表の条件(東京都の協会けんぽ・30歳)では、額面25万円の手取り率は82.8%なのに、額面30万円は83.2%と、かえって高くなっています。額面が増えたのに手取り率が上がる、という逆転です。
理由は標準報酬月額の欄にあります。額面25万円の人の標準報酬月額は260,000円で、実際の給料より1万円も高い額で保険料を計算されています。一方、額面30万円の人の標準報酬月額はちょうど300,000円で、給料と一致しています。等級表のどこに乗っているかで、同じ給料でも損得が出るのです。
設例:報酬月額309,999円→310,000円で手取りが2,837円減る
社会保険料は、額面そのものではなく標準報酬月額にかかります。標準報酬月額は健康保険法40条・厚生年金保険法20条が定める等級表で、報酬月額をあらかじめ決められた段に丸めたものです。たとえば健康保険の第22級・第23級は次のようになっています。
| 等級 | 標準報酬月額 | 報酬月額の範囲 |
|---|---|---|
| 第22級 | 300,000円 | 290,000円以上 310,000円未満 |
| 第23級 | 320,000円 | 310,000円以上 330,000円未満 |
境目は310,000円です。ここをまたぐと、標準報酬月額が20,000円ジャンプします。
実際に計算すると、次のとおりです。前提は早見表と同じで、東京都の協会けんぽ・一般の事業・30歳・扶養親族等0人(本人の障害者などの加算もなし)、令和8年度の料率と令和8年分の月額表(甲欄)です。
| 額面 309,999円 | 額面 310,000円 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 等級・標準報酬月額 | 第22級・300,000円 | 第23級・320,000円 | +20,000円 |
| 健康保険料 | 14,775円 | 15,760円 | +985円 |
| 厚生年金保険料 | 27,450円 | 29,280円 | +1,830円 |
| 子ども・子育て支援金 | 345円 | 368円 | +23円 |
| 雇用保険料 | 1,550円 | 1,550円 | 0円 |
| 社会保険料 合計 | 44,120円 | 46,958円 | +2,838円 |
| 所得税 | 6,650円 | 6,650円 | 0円 |
| 手取り(住民税を除く) | 259,229円 | 256,392円 | −2,837円 |
この条件では、額面が1円多い人のほうが、手取りが2,837円少ない
この月の差が12か月続いたとして12倍すると34,044円の差です(毎月の源泉徴収額での計算で、年末調整後の所得税の差ではありません)。給料の差は1円しかありません。
ここで注目してほしいのは所得税の差額が「0円」であることです。社会保険料が増えると、社会保険料等控除後の給与等の金額は減ります。月額表の低い税額の行へ移れば所得税も減りますが、同じ行にとどまれば税額は変わりません。
ところが今回は、社会保険料を引いた後の金額が265,879円と263,042円で、どちらも源泉徴収税額表の同じ行に収まり、所得税は6,650円のままです。この行は263,000円以上266,000円未満で、甲欄・扶養親族等の数0人の税額が6,650円です。
この給与帯の税額表も3,000円刻みの階段なので、2,838円の差をまるごと飲み込んでしまいます。結果、社会保険料の増加が1円も相殺されずに手取りの減少になります。
この「1円」は、4〜6月の報酬の平均で測られる
境目をまたぐかどうかは、毎月の給料で測るのではありません。健康保険法41条1項は、標準報酬月額を「毎年7月1日…同日前3月間」=4月・5月・6月に受けた報酬の平均で決めると定めています(定時決定)。そして41条2項が、そこで決まった標準報酬月額を「その年の9月から翌年の8月まで」使うと定めています。
つまり4〜6月の平均が等級の境目をまたぐと、原則9月から翌年8月までの保険料に影響するということです。「4〜6月に残業をすると社会保険料が上がる」と言われるのは、この条文が理由です。
ただし、昇給・降給等で随時改定の要件を満たす場合は途中で改定されます。新しい標準報酬月額の適用は、固定的賃金が変動した報酬を支払った月から数えて4か月目です。
支払基礎日数が17日未満の月は、平均から除かれる
41条1項には続きがあり、「報酬支払の基礎となった日数が17日…未満である月があるときは、その月を除く」とあります。たとえば4月が欠勤続きで支払基礎日数が17日に満たなければ、その月は平均の計算から除かれ、5月と6月の2か月平均になります。「4月の給料が少なかったから今年は等級が下がるはず」と考えると、外れることがあります。
平均に入れる月の基準と、定時決定の対象にならない人
- 一般の被保険者:支払基礎日数が17日以上の月で算定します。
- 適用拡大の短時間労働者:11日以上の月で算定します。
- 4分の3以上勤務の短時間就労者:17日以上の月がなければ15日以上の月で算定し、全月15日未満なら従前額で決定します(4〜6月に短時間労働者との区分変更がない場合)。
- 4〜6月の間に区分が変わった人:一般の被保険者(パートタイマーを含む)と短時間労働者の区分が変わった場合は、各月の区分に応じて、一般の月は17日以上、短時間労働者の月は11日以上を対象に平均します。月途中の変更は、その報酬の給与計算期間末日の区分で判定します。
- 区分が変わったパートタイマー:4〜6月に上の基準を満たす月がなければ、15日以上の月を対象にします。
- その年の定時決定の対象にならない人:6月1日から7月1日までに資格取得した人と、随時改定など(健康保険法43条〜43条の3)で7月〜9月のいずれかの月から標準報酬月額が改定される人です(同法41条3項)。6月30日以前に退職した人も対象になりません。
報酬に含めるものや、年間平均で決める特例は定時決定の記事で説明しています。
社会保険料計算機で、自分の標準報酬月額と保険料を確かめる同じ標準報酬月額・料率・年齢区分なら、健保・厚年・支援金は同額
崖の裏返しとして、同じ標準報酬月額では、健康保険・厚生年金・子ども子育て支援金は同額です(同じ料率・年齢区分の場合)。雇用保険料は実際の賃金額に応じて変わります。健康保険の第20級は「250,000円以上270,000円未満」で、標準報酬月額は260,000円です。この幅の報酬で標準報酬月額を決定する場合は260,000円になります。
下の表の金額は、早見表と同じ前提(東京都の協会けんぽ・30歳など)で計算しています。
| 額面 250,000円(等級の下端) | 額面 269,999円(等級の上端) | |
|---|---|---|
| 標準報酬月額 | 260,000円 | 260,000円 |
| 健康保険料 | 12,805円 | 12,805円(同額) |
| 厚生年金保険料 | 23,790円 | 23,790円(同額) |
| 手取り(住民税を除く) | 207,086円 | 226,295円 |
給料は19,999円違うのに、健康保険料も厚生年金保険料もまったく同じです。ここに、標準報酬月額という仕組みの本質があります。
等級の下端の人は「実際の給料より高い額」で保険料を払っている
額面250,000円の人の標準報酬月額は260,000円。もらっていない1万円の分まで保険料を取られていることになります。逆に額面269,999円の人は、標準報酬月額260,000円=実際の給料より約1万円低い額で計算されており、得をしています。「額面別の手取り早見表」で額面25万円の手取り率が30万円より低かったのは、これが理由です。
ただし厚生年金は将来の年金額も標準報酬月額で決まるので、高い等級で払うことが一方的な損とは限りません。保険料が高い=将来の老齢厚生年金も増える、という関係にあります。
住民税は「去年の給料」にかかる — 1年目は引かれない
ここまでの早見表には住民税を含めていません。含められないからです。住民税は、今年の給料ではなく前年の所得にかかります。地方税法32条1項が「所得割の課税標準は、前年の所得について算定した総所得金額…とする」と明記しています。
その結果、次のことが起きます。
- 新卒1年目は、住民税が引かれない。前年(学生時代)に所得がないからです。
- 2年目の6月から、いきなり引かれ始める。手取りが急に減るのはこのためです。
- 退職した翌年も、住民税だけは請求が来る。収入がなくても、前年に所得があれば課税されます。
天引きの期間も条文で決まっています。地方税法321条の5第1項は、特別徴収税額の「12分の1の額を6月から翌年5月まで」毎月徴収すると定めています。住民税の1年は4月始まりでも1月始まりでもなく、6月始まりです。
税率は次のとおりです(標準税率)。
| 区分 | 税率・金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 所得割(道府県民税) | 4% | 地方税法35条1項 |
| 所得割(市町村民税) | 6% | 地方税法314条の3第1項 |
| 均等割(道府県民税) | 1,000円/年 | 地方税法38条 |
| 均等割(市町村民税) | 3,000円/年 | 地方税法310条 |
| 森林環境税 | 1,000円/年 | 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律5条 |
所得割は合わせて10%、定額部分は合わせて年5,000円です。
政令指定都市に住んでいる人は、内わけだけが違う(合計は同じ10%)
地方税法35条1項はかっこ書きで、納税義務者が指定都市の区域内に住所を有する場合には「百分の二」と定めています。314条の3第1項も同様に、指定都市なら市民税を「百分の八」としています。つまり大阪市・横浜市・名古屋市などに住む人は道府県民税2%+市民税8%です。合計10%は変わらないので手取りに差は出ませんが、住民税決定通知書の内わけを見て「自分だけ税率が違う」と驚く必要はありません。
厚生年金は65万円で頭打ち — 法律の表は62万円までしかない
標準報酬月額には上限があります。健康保険は第50級・1,390,000円(健康保険法40条1項)、厚生年金は第32級・650,000円です。厚生年金の上限に達すると、それ以上いくら稼いでも厚生年金保険料は1円も増えません。
| 額面(月) | 健康保険の標準報酬月額 | 厚生年金の標準報酬月額 | 厚生年金保険料(本人) |
|---|---|---|---|
| 630,000円 | 620,000円 | 620,000円 | 56,730円 |
| 640,000円 | 650,000円 | 650,000円 | 59,475円 |
| 700,000円 | 710,000円 | 650,000円(頭打ち) | 59,475円 |
| 1,000,000円 | 980,000円 | 650,000円(頭打ち) | 59,475円 |
額面70万円の人も、額面100万円の人も、厚生年金保険料は同じ59,475円です。健康保険と子ども・子育て支援金は健康保険の等級上限まで、雇用保険は賃金総額に応じて増えます。
踏み込んだ一段:厚生年金保険法を読んでも、上限の65万円は出てこない
厚生年金保険法20条1項の等級表は、第31級・620,000円(605,000円以上)で終わっています。条文にある最高等級は62万円であって、65万円ではありません。
ではなぜ実務の上限が65万円なのか。20条2項が、全被保険者の標準報酬月額の平均の200%が最高等級を超える状態が続くときは「政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える」ことができると定めているからです。この委任を受けた令和2年政令第246号が、20条1項の表を読み替えて第32級・650,000円(635,000円以上)を追加しました(令和2年9月1日施行)。法律だけを読んでも今の上限は分かりません。
ついでに言うと、同じ政令の2条が賞与の上限(1か月あたり150万円。同月内の賞与は合算)も定めています。厚生年金の上限まわりの数字は、この1本の政令に集まっています。
同じ額面でも手取りが変わる4つの軸
「額面30万円の手取りは?」に唯一の答えがないのは、次の4つで変わるからです。
| 軸 | 何が変わるか | 影響の大きさ(額面30万円) |
|---|---|---|
| 年齢 | 40〜64歳は介護保険料が加わる(協会けんぽは令和8年度1.62%の半分) | 手取りが月2,330円減る |
| 都道府県 | 協会けんぽの健康保険料率が違う(令和8年度:東京都9.85%、新潟県9.21%) | 東京都と新潟県で月960円ほどの差 |
| 業種 | 雇用保険料率が違う(令和8年度の本人負担:一般の事業5/1000、農林水産・清酒製造の事業と建設の事業6/1000) | 6/1000の事業は雇用保険料が月300円多い |
| 扶養親族の数 | 甲欄の扶養親族等の数が増えると税額が下がる場合がある | 例:0人6,320円→1人4,710円(差1,610円) |
金額は、額面30万円の設例です(東京都の協会けんぽ・一般の事業・扶養親族等0人、令和8年度の料率・令和8年分の月額表の甲欄)。
- 年齢:介護保険料がかかるのは、介護保険第2号被保険者(40〜64歳)です。
- 料率の適用月:健康保険料率と介護保険料率は令和8年3月分から、任意継続被保険者・日雇特例被保険者は4月分からです。
- 業種:園芸サービス・牛馬の育成・酪農・養鶏・養豚・内水面養殖・特定の船員を雇用する事業は、一般の事業の率です。
- 扶養親族の数:障害者加算等を除き、16歳未満は数えません。表の例は、令和8年分の月額表の甲欄で控除後給与254,000円以上257,000円未満の行です。
年齢の影響がいちばん大きい点は覚えておく価値があります。介護保険第2号被保険者(40〜64歳)は、40歳の誕生日の前日が属する月から介護保険料が発生します。1日生まれなら誕生月の前月です。給与からの控除時期は会社の徴収方法によるため、昇給していなくても手取りが減ることがあります。
上の表と同じ額面30万円の設例では、介護保険料が加わる月から社会保険料が44,070円から46,500円に増え、手取りは249,610円から247,280円に下がります。
源泉徴収税額計算ツールで、扶養人数を変えて所得税を確かめるよくある質問
手取りは額面の何割ですか?
このページの設例では、額面の81.7〜83.7%です(住民税を除く)。額面20万円で83.7%、額面30万円で83.2%、額面50万円で81.7%になります。設例の前提と手取りの額は早見表にあります。標準報酬月額の等級表のどこに乗るかで前後するため、額面が上がるほど下がり続けるわけではありません。住民税まで引かれると、これより月1〜2万円ほど手取りが少なくなります。
額面が増えたのに手取りが減ることはありますか?
あります。社会保険料は標準報酬月額という等級表の階段で決まるため、境目をまたぐと保険料が一段上がります。このページの設例では、報酬月額309,999円は健康保険の第22級(標準報酬月額300,000円)ですが、310,000円は第23級(320,000円)で、社会保険料が2,838円増えます。所得税は源泉徴収税額表の同じ行に収まって変わらないため、手取りは2,837円減ります。
4月から6月に残業すると損しますか?
4〜6月の平均報酬で標準報酬の等級が上がると、原則9月から1年間の社会保険料が上がります。標準報酬月額は4月・5月・6月に受けた報酬の平均で決まり(健康保険法41条1項)、その年の9月から翌年の8月まで使われるためです(同条2項)。同じ等級の範囲内なら変わりません。厚生年金保険料が上がれば将来の老齢厚生年金も増えるので、一方的な損とは限りません。随時改定で途中から変わる場合などは、4〜6月の平均の節で説明しています。
新入社員の手取りが2年目に減るのはなぜですか?
住民税が引かれ始めるからです。住民税の所得割は「前年の所得」にかかるため(地方税法32条1項)、前年に所得がない新卒1年目にはかかりません。2年目は入社1年目の所得に課税され、6月から翌年5月まで毎月天引きされます(地方税法321条の5第1項)。所得割は道府県民税4%と市町村民税6%の合計10%で、これに均等割4,000円と森林環境税1,000円が加わります。
給料が高い人ほど厚生年金保険料も高いのですか?
途中までは高くなりますが、標準報酬月額650,000円(第32級)で頭打ちになります。額面70万円の人も額面100万円の人も、厚生年金保険料の本人負担は同じ59,475円です。健康保険のほうは第50級・1,390,000円まで上がり続けます。上限が650,000円になる法令上の根拠は、厚生年金の上限の節で説明しています。
出典
- 健康保険法 第40条(標準報酬月額)— e-Gov法令検索。第1級58,000円から第50級1,390,000円(1,355,000円以上)までの等級表。第22級=300,000円(290,000円以上310,000円未満)、第23級=320,000円(310,000円以上330,000円未満)、第20級=260,000円(250,000円以上270,000円未満)。第2項は、最高等級に該当する被保険者の割合が100分の1.5を超える状態が続くときに政令で等級を追加できると定める
- 健康保険法 第41条(定時決定)— e-Gov法令検索。第1項「被保険者が毎年七月一日現に使用される事業所において同日前三月間(…報酬支払の基礎となった日数が十七日…未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する」。第2項「前項の規定によって決定された標準報酬月額は、その年の九月から翌年の八月までの各月の標準報酬月額とする」
- 厚生年金保険法 第20条(標準報酬月額)— e-Gov法令検索。第1項の等級表は第1級88,000円から第31級620,000円(605,000円以上)までで終わっている。第2項は「毎年三月三十一日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の百分の二百に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、…政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる」と定める
- 厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令(令和2年政令第246号・令和2年9月1日施行)— e-Gov法令検索。第1条が厚生年金保険法20条1項の表を読み替え、第32級・650,000円(635,000円以上)を追加している。第2条が法24条の4第1項の政令で定める額(標準賞与額の上限)を150万円と定める
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第11条第1項 — e-Gov法令検索。雇用保険料の課税ベースを「賃金総額」と定める(標準報酬月額ではない)
- 地方税法 第32条第1項(道府県民税の所得割の課税標準)— e-Gov法令検索。「所得割の課税標準は、前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする」
- 地方税法 第35条第1項(道府県民税の所得割の税率)— e-Gov法令検索。標準税率は百分の四。かっこ書きで、指定都市の区域内に住所を有する場合は百分の二とする
- 地方税法 第314条の3第1項(市町村民税の所得割の税率)— e-Gov法令検索。標準税率は百分の六。指定都市の区域内に住所を有する場合は百分の八
- 地方税法 第38条・第310条(均等割の標準税率)— e-Gov法令検索。個人の均等割の標準税率は、道府県民税が千円、市町村民税が三千円
- 地方税法 第321条の5第1項(給与所得に係る特別徴収)— e-Gov法令検索。特別徴収税額の「十二分の一の額を六月から翌年五月まで…毎月徴収し」と定める
- 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律 第5条 — e-Gov法令検索。「森林環境税の税率は、千円とする」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和8年度 都道府県毎の保険料率」— 東京都は令和7年度の9.91%から9.85%へ引き下げ(3月分から、任意継続被保険者・日雇特例被保険者は4月分から)。新潟県9.21%が最も低い。40〜64歳(介護保険第2号被保険者)は介護保険料率1.62%(令和8年度の料率で、3月分から、任意継続被保険者・日雇特例被保険者は4月分から)が加わる。子ども・子育て支援金率0.23%は令和8年4月分から
- 国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)」月額表・甲欄 — 社会保険料等控除後の給与等の金額が263,000円以上266,000円未満の行は、扶養親族等の数0人で6,650円。本文の額面309,999円・310,000円の例は、社会保険料控除後がそれぞれ265,879円・263,042円となり、いずれもこの同一の行に収まる
- 厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」— 一般の事業の労働者負担は1,000分の5
本ページの解説・計算例は令和8年(2026年)時点の法令にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の手取りは、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)、住んでいる市区町村、扶養親族の数、各種控除、賞与や通勤手当の有無などによって異なります。記事中の計算例は住民税を含んでいません。正確な金額は給与明細および住民税決定通知書でご確認ください。