賞与(ボーナス)の社会保険料|上限・計算方法・免除されるケース
賞与にも社会保険料はかかります。ただし月給とは計算のしかたが違い、しかも上限があります。
結論を先に言うと、賞与は「標準賞与額」(1,000円未満切捨)に月給と同じ料率を掛けます。等級表は使いません。そして健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1回あたり150万円が上限です。
計算方法(等級表は使いません)
賞与の社会保険料は、標準賞与額 × 料率 で計算します。標準報酬月額の等級表は使いません。
標準賞与額 = 賞与の支給額から、1,000円未満を切り捨てた額
たとえば賞与が 456,789円 なら、標準賞与額は 456,000円 です。
東京都・賞与50万円・35歳の場合(令和8年度)
| 項目 | 料率 | 本人負担 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 9.85% | 24,625円 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 575円 |
| 厚生年金 | 18.3% | 45,750円 |
| 合計 | — | 70,950円 |
※ 40〜64歳の方は、これに介護保険料(1.62%)が加わります(健康保険料と合算した料率で計算)。
無料ツール:社会保険料 計算機 賞与額を入れるだけで保険料を自動計算します。上限(573万円・150万円)も自動で判定。47都道府県の令和8年度料率に対応。上限が2種類あります
ここが月給と大きく違うところです。健康保険と厚生年金で、上限の考え方がまったく違います。
| 健康保険・介護保険・子ども支援金 | 厚生年金 | |
|---|---|---|
| 上限 | 年度累計 573万円 | 1回あたり 150万円 |
| 数え方 | 4月〜翌年3月の合計で判定 | 1回の賞与ごとに判定 |
| 超えたら | その年度は、以降の賞与に健康保険料がかからない | 150万円を超えた部分に厚生年金保険料がかからない |
・健康保険 … 200万円まるごとが対象(年度累計573万円までなら)
・厚生年金 … 150万円までが対象。残り50万円には厚生年金保険料がかからない
・健康保険 … 573万円が上限なので、冬の賞与のうち273万円分だけが対象(残り27万円には健康保険料がかからない)
・厚生年金 … 各回150万円が上限なので、夏・冬とも150万円ずつが対象
免除されるケース(育休・産休)
次の場合、賞与の社会保険料が免除されます(本人分・会社分とも)。
育児休業中
賞与月の末日を含む、1か月を超える育児休業を取得している場合に免除されます。
たとえば12月31日だけ育休を取っても、賞与の保険料は免除されません(月給の保険料は、この場合でも免除されます)。
産前産後休業中
産前産後休業期間中も、賞与の社会保険料は免除されます(こちらは日数の要件はありません)。
退職する月の賞与はどうなるか
社会保険の資格を喪失した月に支給された賞与には、保険料がかかりません。
資格喪失日は退職日の翌日です。つまり:
- 12月30日に退職 → 資格喪失日は12月31日 → 12月は資格喪失月 → 12月の賞与に保険料はかからない
- 12月31日に退職 → 資格喪失日は1月1日 → 12月は在籍月 → 12月の賞与に保険料がかかる
1日違いで結果が変わります。ただし、保険料がかからない=得とは限りません。資格喪失月は健康保険も使えなくなり、国民健康保険や任意継続の手続きが必要になります。
なお、賞与の保険料がかからない場合でも「賞与支払届」の提出は必要です(資格喪失月の賞与も届出の対象です)。
よくある質問
Q. 年4回以上支給される賞与はどうなりますか?
A. 年4回以上支給される賞与は「報酬」として扱われ、標準報酬月額に含めます(賞与としては扱いません)。この場合、年間の賞与額を12で割った額を月々の報酬に加算して、標準報酬月額を決めます。
Q. 決算賞与・寸志も対象ですか?
A. 名称は関係ありません。労働の対償として支給されるものは、賞与として社会保険料の対象です。ただし大入袋・見舞金など、労働の対償でないものは対象外です。
Q. 賞与にも所得税はかかりますか?
A. かかります。ただし計算方法が月給と異なり、「前月の給与」と「扶養親族の数」から税率を求めます(賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表を使います)。
Q. 標準賞与額の上限を超えているか、どう管理しますか?
A. 健康保険の573万円は年度累計(4月〜翌年3月)で判定するため、同一年度内の賞与の累計を管理する必要があります。年に2回の賞与なら、2回目の計算時に1回目の額を加味します。
出典
- 全国健康保険協会「標準賞与額に係る保険料」「都道府県毎の保険料率(令和8年度)」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」「育児休業等期間中の保険料免除」
- 健康保険法45条(標準賞与額の上限)/厚生年金保険法24条の4
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は年金事務所・社会保険労務士にご確認ください。