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源泉徴収票の見方|4つの数字で読む・年収はどこ?

源泉徴収票には数字がびっしり並んでいますが、実際に読むべきなのは、上段の左に並んだ4つの数字だけです。残りはすべて「その4つがどう決まったか」の内訳にすぎません。

結論から言うと、あなたの年収は「①支払金額」です。住宅ローンの審査でも保育園の書類でも、「年収」を聞かれたらこの欄を見ます。そして「④源泉徴収税額」が、あなたが1年間に納めた所得税です。

この4つは、①から順に引き算していくと④になるという1本の式でつながっています。その流れさえ頭に入れば、源泉徴収票は「読める」ようになります。

先に結論:この4つだけ覚える
  • ① 支払金額 … 1年間の給与・賞与の総額。これが年収
  • ② 給与所得控除後の金額(調整控除後) … ①から給与所得控除を引いた額。これが所得
  • ③ 所得控除の額の合計額 … 社会保険料・生命保険料・扶養・基礎控除などの合計
  • ④ 源泉徴収税額 … 1年間に納めた所得税(+復興特別所得税)の確定額

見るべきは、左に並んだ4つの数字だけ

源泉徴収票の上段は、左から「種別」「支払金額」「給与所得控除後の金額(調整控除後)」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の順に並んでいます。紙を見ながら、左から順に4つの金額を指でなぞってください。それがこの記事で説明するすべてです。

支払を受ける者 住所・氏名 種別 給与 支払金額 給与所得控除後の金額 (調整控除後) 所得控除の額 の合計額 源泉徴収税額 5,000,000 3,560,000 1,430,000 117,900 1 2 3 4 控除対象配偶者 配偶者(特別)控除の額 控除対象扶養親族の数特定/老人/その他/特親 16歳未満の扶養親族の数 障害者の数 非居住者である親族の数 社会保険料等の金額 750,000 生命保険料の控除額 地震保険料の控除額 住宅借入金等特別控除の額 基礎控除の額 680,000 所得金額調整控除額 特定親族特別控除の額 令和7年分から新設 (摘要) 前職の会社名・退職年月日・前職の支払金額/源泉徴収税額/社会保険料 など ※ 実際の様式では欄の並び・大きさが多少異なります。金額は本文の計算例。
源泉徴収票の上半分。色を付けた4つの欄が「①支払金額・②給与所得控除後の金額・③所得控除の額の合計額・④源泉徴収税額」。この4つ以外は、すべて内訳。
ひとことで言うと
① 支払金額1年間に支払が確定した給与・賞与の総額。これが「年収」
② 給与所得控除後の金額(調整控除後)①から給与所得控除を引いた額。税法でいう「給与所得」
③ 所得控除の額の合計額社会保険料・生命保険料・扶養・基礎控除などの合計
④ 源泉徴収税額1年間に納めた所得税+復興特別所得税の確定額

4つの数字は1本の式でつながっている(図解)

「見方」の本質はここです。4つの数字は、次の順番で引き算されていきます。

① 支払金額 − 給与所得控除 = ② 給与所得控除後の金額
② − ③ 所得控除の額の合計額 = 課税所得(1,000円未満切捨て)
課税所得 × 税率 − 控除額 = 所得税額
所得税額 × 102.1%(復興特別所得税2.1%)= ④ 源泉徴収税額(100円未満切捨て)

これを、年収500万円・社会保険料75万円・扶養なしの人(令和7年分)で実際に流してみます。

− 引く − 引く 1 2 3 支払金額 (=年収) 5,000,000円 給与所得控除 (自動で引かれる) 1,440,000円 給与所得控除 後の金額 3,560,000円 所得控除の 額の合計額 1,430,000円 課税所得 (1,000円未満切捨) 2,130,000円 2,130,000円 × 10% − 97,500円 = 115,500円(所得税) 115,500円 × 102.1% = 117,925円(復興特別所得税2.1%を上乗せ) → 100円未満を切り捨てて ④ 源泉徴収税額 = 117,900円
①支払金額500万円から出発して、給与所得控除・所得控除を順に引き、残った課税所得に税率を掛けると④源泉徴収税額になる。棒の高さは金額に比例(下段の税額パネルは実寸ではありません)。令和7年分・扶養なし・社会保険料75万円の例。

計算の内訳

ステップ計算金額
① 支払金額1年間の給与・賞与の合計5,000,000円
給与所得控除5,000,000円 × 20% + 440,000円− 1,440,000円
② 給与所得控除後の金額5,000,000 − 1,440,0003,560,000円
③ 所得控除の額の合計額社会保険料等 750,000円 + 基礎控除 680,000円− 1,430,000円
課税所得3,560,000 − 1,430,000(1,000円未満切捨)2,130,000円
所得税額2,130,000円 × 10% − 97,500円115,500円
④ 源泉徴収税額115,500円 × 102.1%(100円未満切捨)117,900円

※ 基礎控除680,000円は、合計所得金額356万円(336万円超489万円以下)の場合の令和7年分の額です。基礎控除は合計所得金額によって変わります。

給与所得控除額の速算表(令和7年分以降)

②を出すために①から引かれるのが給与所得控除です。「サラリーマンの必要経費」にあたるもので、収入に応じて自動的に決まります。

給与等の収入金額(=①支払金額)給与所得控除額
1,900,000円まで650,000円
1,900,001円 〜 3,600,000円収入金額 × 30% + 80,000円
3,600,001円 〜 6,600,000円収入金額 × 20% + 440,000円
6,600,001円 〜 8,500,000円収入金額 × 10% + 1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

出典: 国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」。令和6年分までは最低保障額が550,000円(1,625,000円まで)でした。

会社は「速算表」ではなく「表」で②を出している 源泉徴収票の②は、会社が国税庁の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を引いて記入しています(法定調書の手引の記載要領④)。上の速算表で自分で計算した額と1円単位までぴったり合わないことがありますが、それが正常です。
無料ツール:源泉徴収税額 計算機 毎月の給与から天引きされる源泉徴収税額を、国税庁の税額表(月額表・令和8年分/甲欄・乙欄)を引いて自動計算。扶養親族等の数・障害者・寡婦・ひとり親の加算にも対応。登録不要・データ送信なし。

欄ごとの意味・早見表

4つの数字が分かったら、あとは内訳です。よく質問される欄だけまとめます。

何が書いてあるか実務メモ
支払金額その年に支払が確定した給与・賞与の総額非課税の通勤手当は含まれない。未払分がある場合は内書き(上段に小さく併記)
給与所得控除後の金額(調整控除後)支払金額から給与所得控除(と所得金額調整控除)を引いた額年末調整をした人だけ記載される。空欄なら年末調整をしていない
所得控除の額の合計額社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・配偶者(特別)控除・扶養控除・特定親族特別控除・基礎控除の合計基礎控除が入っているので、手で足した額と合わないことが多い
源泉徴収税額年末調整後の所得税+復興特別所得税の合計額年末調整をしていない人は、その年に源泉徴収すべき税額の合計
(源泉)控除対象配偶者の有無等控除対象配偶者がいれば「○」。老人控除対象配偶者なら「老人」に「○」金額ではなく○印だけ。金額は次の「配偶者(特別)控除の額」
控除対象扶養親族の数特定/老人/その他/特親 に分けた人数16歳未満は扶養控除の対象外なので別欄(人数だけ)
社会保険料等の金額給与から天引きした社会保険料+申告した社会保険料+小規模企業共済等掛金iDeCoなどの掛金は内書きされる。確定申告の社会保険料控除にそのまま転記できる
生命保険料の控除額 / 地震保険料の控除額保険料控除申告書に基づいて控除した額払った保険料の額ではなく、控除された額。払込額は下段の「内訳」欄
住宅借入金等特別控除の額年末調整で税額から直接引いた所得控除ではなく税額控除。③には含まれない。算出所得税額が上限
基礎控除の額基礎控除申告書から転記した額令和7年分から独立した欄になった。③の内訳が確認できる
(摘要)前職の会社名・退職年月日・前職の支払金額/源泉徴収税額/社会保険料、16歳未満の扶養親族名 など転職した年はここを必ず見る。前職分が通算されているかが分かる

出典: 国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(令和7年分)」の記載要領。

実務での使いどころ(年収の証明・確定申告・転職)

「年収はいくらですか」と聞かれたら → ①支払金額

住宅ローンの審査、賃貸の入居審査、保育園の利用調整、扶養の証明。どれも源泉徴収票の「支払金額」を見ます。②の「給与所得控除後の金額」ではありません(こちらは税法上の「所得」)。

「年収」と「所得」は別物年収= ① 支払金額(例: 5,000,000円)
所得= ② 給与所得控除後の金額(例: 3,560,000円)
行政の書類で「所得」と書いてあれば②、「収入」「年収」と書いてあれば①です。どちらを聞かれているかで100万円以上ずれます。

確定申告に転記するとき

医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)・住宅ローン控除の1年目などで確定申告をするときは、源泉徴収票の数字をそのまま転記します。

源泉徴収票確定申告書での使い道
① 支払金額「収入金額等」の給与
② 給与所得控除後の金額「所得金額等」の給与
社会保険料等の金額社会保険料控除
④ 源泉徴収税額「源泉徴収税額」。すでに納めた税として差し引かれる

なお、平成31年4月1日以後に提出する確定申告書には、給与所得の源泉徴収票を添付する必要はありません(国税庁「国税関係手続が簡素化されました」)。ただし数字を転記するために必要なので、捨てないでください。

年の途中で転職した人は、前職の源泉徴収票を新しい会社に出す

ここは毎年必ずトラブルになります。前職の源泉徴収票を新しい会社に提出しないと、新しい会社は年末調整ができません。

国税庁のタックスアンサー No.2674「中途就職者の年末調整」には、前職分の給与等の金額が確認できないときは「年末調整を行うことはできず、その人が確定申告により所得税及び復興特別所得税の精算を行うことになります」と明記されています。つまり、出さなければ自分で確定申告する羽目になるということです。

正しく提出できていれば、新しい会社が発行する源泉徴収票の(摘要)欄に前職の会社名・退職年月日・前職の支払金額・源泉徴収税額・社会保険料が書かれ、①支払金額は前職分を含んだ合計になります。転職した年は、ここを必ず確認してください。

よくある勘違いと落とし穴

① 支払金額に「交通費」は入っていない

ここが毎年いちばん質問が出るところです。通勤手当は一定額まで非課税とされており(所得税法9条1項5号・所得税法施行令20条の2)、非課税分は「給与等」ではないため、源泉徴収票の支払金額に含まれません

非課税の上限は、電車・バス通勤なら1か月あたり15万円(国税庁 タックスアンサー No.2582)。マイカー通勤は片道の通勤距離で決まります。

だから「源泉徴収票の年収」と「1年間に振り込まれた総額」は一致しない 月1万円の定期代が支給されていれば、1年で12万円。振込額の合計は源泉徴収票の支払金額より12万円多いことになります。故障でもミスでもありません。
住宅ローンや保育園で使われる「年収」は源泉徴収票の①支払金額なので、交通費は年収に含まれない、と覚えてください。

④ 源泉徴収税額が0円でも異常ではない

「税金が引かれていない=会社のミスでは?」という相談が来ますが、0円が正しいケースは普通にあります。

この場合、毎月天引きされていた税額は年末調整で全額還付されています。12月の給与明細を見れば還付額が載っているはずです。

③ 所得控除の額の合計額には「基礎控除」が入っている

社会保険料+生命保険料+地震保険料…と自分で足しても、③と合いません。③には基礎控除が含まれているからです。

法定調書の手引は、③に含めるものとして「社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除及び基礎控除の額の合計額」を挙げています。令和7年分からは「基礎控除の額」欄が独立して設けられたので、そこを見れば内訳が確認できます。

② が「① − 給与所得控除」にならないことがある

令和7年分から、この欄の名前は「給与所得控除後の金額(調整控除後)」です。所得金額調整控除(年収850万円超で23歳未満の扶養親族がいる場合など)の適用があると、その額を差し引いた後の金額が記載されます。だから単純な引き算に合いません。

年末調整をしていないと ②③ は空欄

②と③は「年末調整をした受給者のみ」記載される欄です。年の途中で退職して再就職していない人が受け取る源泉徴収票は、①支払金額・④源泉徴収税額・社会保険料等の金額だけが埋まっていて、②③が空欄になります。これは不備ではありません。自分で確定申告をすれば、納めすぎた税金が戻ってきます。

令和8年分の源泉徴収票はここが変わる

いま手元にある令和7年分の源泉徴収票は、すでに大きな改正を反映しています。そして令和8年分では、さらに変わります。

令和7年分(いま手元にあるもの)で変わったこと

令和8年分(今年12月〜来年1月に受け取るもの)で変わること

令和8年度税制改正で、さらに引き上げが入ります(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」)。

項目改正前令和8年分以後
基礎控除(所得税法86条の額)58万円62万円(+合計所得金額に応じた特例の加算)
給与所得控除の最低保障額65万円74万円(令和8・9年分)
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件58万円以下
(給与収入 123万円以下)
62万円以下
(給与収入 136万円以下
勤労学生の所得要件85万円以下
(給与収入 150万円以下)
89万円以下
(給与収入 163万円以下
特定親族の所得要件58万円超123万円以下
(給与収入 123万円超188万円以下)
62万円超123万円以下
(給与収入 136万円超197万円以下
令和8年11月までの毎月の天引きは変わりません(重要) 国税庁のあらましは、「令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません」と明記しています。改正後の税額は令和8年12月に行う年末調整で計算し、改正前の源泉徴収税額表で天引きしてきた額と精算します。
つまり令和8年分は、年末調整で還付が出やすい年です。そして毎月の給与明細の源泉徴収税額を12回足しても、源泉徴収票の④とは一致しません。④は年末調整で精算した後の確定額だからです。

また、令和8年4月1日以後に支払われる通勤手当から、マイカー通勤(片道65km以上)の非課税限度額が引き上げられ、一定の要件を満たす駐車場等の料金相当額(上限5,000円)を加算できるようになりました。非課税枠が広がるということは、その分だけ①支払金額に含まれる額が減る(=源泉徴収票の年収が下がって見える)ということです。

さらにその先:令和9年1月から「防衛特別所得税」 令和8年度税制改正で防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税額の1%)が創設され、同時に復興特別所得税の税率が2.1%→1.1%に引き下げられます(課税期間は令和29年12月31日まで10年延長)。
ただし合計税率2.1%は変わらないため、源泉徴収税額の計算方法は変わりません(1%+1.1%=2.1%)。令和9年1月1日以後に生ずる所得から適用されます。

よくある質問

Q. 源泉徴収票の「年収」はどこを見ればいいですか?

A. 一番左の「支払金額」です。住宅ローンの審査・賃貸の入居審査・保育園の利用調整・扶養の証明で「年収」を聞かれたら、すべてこの欄を答えます。隣の「給与所得控除後の金額」は税法上の「所得」であって年収ではありません。

Q. 支払金額と、1年間に振り込まれた額の合計が合いません。

A. 正常です。通勤手当は一定額まで非課税(電車・バス通勤なら月15万円まで)で、非課税分は給与等に含まれないため支払金額に入りません。また、支払金額は「支払が確定した額」の総額(額面)なので、社会保険料や所得税を天引きする前の金額です。

Q. 源泉徴収税額が0円でした。会社のミスでしょうか?

A. ミスとは限りません。住宅ローン控除(税額控除)で所得税が全額なくなった場合や、所得控除の額の合計額が給与所得控除後の金額以上になった場合は、0円が正しい記載です。天引きされていた税額は年末調整で還付されているはずなので、12月の給与明細を確認してください。

Q. 所得控除の額の合計額を自分で足し算しても合いません。

A. この欄には基礎控除が含まれているためです。社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除・扶養控除などに加えて、基礎控除の額が合算されています。令和7年分の源泉徴収票には「基礎控除の額」欄が独立して設けられているので、そこで内訳を確認できます。

Q. 給与所得控除後の金額と所得控除の額の合計額が空欄です。

A. この2つの欄は年末調整をした人だけに記載されます。年の途中で退職して再就職していない場合や、乙欄で徴収されている場合は空欄になります。不備ではありませんが、そのままでは税金を納めすぎている可能性が高いので、自分で確定申告をして精算してください。

Q. 転職した年は、前の会社の源泉徴収票をどうすればいいですか?

A. 新しい会社に提出してください。前職分の給与等の金額が確認できないと新しい会社は年末調整ができず、自分で確定申告して精算することになります。正しく提出できていれば、新しい会社の源泉徴収票の支払金額は前職分を含んだ合計になり、(摘要)欄に前職の会社名・退職年月日・支払金額などが記載されます。

Q. 毎月の給与明細の源泉徴収税額を12回足しても、源泉徴収票の税額と合いません。

A. 合わないのが普通です。毎月の天引きは源泉徴収税額表による概算で、12月の年末調整で1年分の正しい税額と精算します。源泉徴収票の源泉徴収税額は、その精算後の確定額(所得税+復興特別所得税)です。差額は12月の給与で還付または追徴されています。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は所轄の税務署・税理士にご確認ください。