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源泉徴収票の見方|「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」とは

源泉徴収票は、上段に並ぶ4つの金額から読みます。年収(給与収入)は「①支払金額」、所得税と復興特別所得税は「④源泉徴収税額」で確認します。②と③は、年末調整をした人の票にだけ記載される欄です。

先に結論:入口になる4つの数字
  • ① 支払金額 … その年に支払が確定した給与等の総額。年収(給与収入)を見る欄
  • ② 給与所得控除後の金額(調整控除後) … その票の給与所得。年末調整をした人だけ記載
  • ③ 所得控除の額の合計額 … 社会保険料・生命保険料・扶養・基礎控除などの合計。年末調整をした人だけ記載
  • ④ 源泉徴収税額 … 所得税と復興特別所得税の合計。年末調整済みなら精算後の額
  • いつもらえる? … 令和8年分の法定期限は令和9年2月1日(月)・中途退職は退職の日以後1か月以内(詳細)
  • なくした・もらえない … 再発行の依頼先は勤務先。税務署では再発行しない(手順)

このページは源泉徴収票を受け取った側向けに、書かれている数字の読み方を扱います。会社として票を作る側で、どの欄に何を書くかを調べているなら源泉徴収票の書き方を参照してください。

まず確認する、上段の4つの数字

源泉徴収票の上段は、左から「種別」「支払金額」「給与所得控除後の金額(調整控除後)」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の順に並んでいます。紙を見ながら、左から順に4つの金額を指でなぞってください。それがこの記事で説明するすべてです。

支払を受ける者 住所・氏名 種別 給与 支払金額 給与所得控除後の金額 (調整控除後) 所得控除の額 の合計額 源泉徴収税額 5,000,000 3,560,000 1,430,000 117,900 1 2 3 4 控除対象配偶者 配偶者(特別)控除の額 控除対象扶養親族等の数特定/老人/その他/特親 16歳未満の扶養親族の数 障害者の数 非居住者である親族の数 社会保険料等の金額 750,000 生命保険料の控除額 地震保険料の控除額 住宅借入金等特別控除の額 基礎控除の額 680,000 所得金額調整控除額 特定親族特別控除の額 令和7年分から設置 (摘要) 前職の会社名・退職年月日・前職の支払金額/源泉徴収税額/社会保険料 など ※ 実際の様式では欄の並び・大きさが多少異なります。金額は本文の計算例。
源泉徴収票の上半分。色を付けた4つの欄が「①支払金額・②給与所得控除後の金額・③所得控除の額の合計額・④源泉徴収税額」。この4つ以外にも、税額控除や本人・親族の区分などの欄があります。金額は計算の内訳の例です。
欄ひとことで言うと
① 支払金額その年に支払が確定した給与等の総額。年収(給与収入)を見る欄
② 給与所得控除後の金額(調整控除後)その票の給与所得。①から給与所得控除などを引いた額
③ 所得控除の額の合計額社会保険料・生命保険料・扶養・基礎控除などの所得控除の合計
④ 源泉徴収税額所得税と復興特別所得税の合計。年末調整済みなら精算後の額

②と③は、年末調整をした人の票にだけ記載されます。票が2枚以上ある年は合計のしかたに注意してください。各欄の例外は例外・少数のケースにまとめました。

年末調整済みの4つの数字の計算の流れ(図解)

「見方」の本質はここです。年末調整では、所得を求めてから税率と税額控除を使い、次の順に税額を計算します。

① 支払金額 − 給与所得控除 − 所得金額調整控除(適用がある場合)= ② 給与所得控除後の金額
② − ③ 所得控除の額の合計額 = 課税所得(1,000円未満切捨て)
課税所得 × 税率 − 控除額 = 所得税額
(所得税額 − 住宅ローン控除)× 102.1% = 年調年税額 = ④ 源泉徴収税額

給与所得控除後の金額は、給与総額660万円以上なら算式の結果の1円未満を切り捨てます。所得金額調整控除の適用がある場合は、その控除額の1円未満を切り上げ、給与所得控除後の額から差し引いて②を求めます。

住宅ローン控除を引いた額が負になる場合は0とします。102.1%は復興特別所得税2.1%を合わせた率で、掛けた後の100円未満を切り捨てます。④がこの年調年税額になるのは、年末調整をした場合です。

− 引く − 引く 1 2 3 支払金額 (給与等の収入) 5,000,000円 給与所得控除 (自動で引かれる) 1,440,000円 給与所得控除 後の金額 3,560,000円 所得控除の 額の合計額 1,430,000円 課税所得 (1,000円未満切捨) 2,130,000円 2,130,000円 × 10% − 97,500円 = 115,500円(所得税) 115,500円 × 102.1% = 117,925.5円(住宅ローン控除なし) → 100円未満を切り捨てて ④ 源泉徴収税額 = 117,900円
①支払金額500万円から出発して、給与所得控除・所得控除を順に引き、残った課税所得に税率を掛けると④源泉徴収税額になる。棒の高さは金額に比例(下段の税額パネルは実寸ではありません)。前提は下の「計算の内訳」のとおりです。

計算の内訳

計算例の前提は、令和7年分の居住者・年末調整済み、支払金額500万円、給与以外の所得なし、社会保険料75万円、扶養なしです。所得控除は社会保険料控除と基礎控除のみで、住宅ローン控除・所得金額調整控除・特定支出控除の適用はありません。

ステップ計算金額
① 支払金額その年に支払が確定した給与等の総額5,000,000円
給与所得控除5,000,000円 × 20% + 440,000円− 1,440,000円
② 給与所得控除後の金額5,000,000 − 1,440,0003,560,000円
③ 所得控除の額の合計額社会保険料等 750,000円 + 基礎控除 680,000円− 1,430,000円
課税所得3,560,000 − 1,430,000(1,000円未満切捨)2,130,000円
所得税額2,130,000円 × 10% − 97,500円115,500円
④ 源泉徴収税額115,500円 × 102.1%(100円未満切捨)117,900円

※ 基礎控除680,000円は、合計所得金額356万円(336万円超489万円以下)の居住者の場合の令和7年分の額です。基礎控除は合計所得金額によって変わります。

給与所得控除額の速算表(令和7年分)

②を出すために①から引かれるのが給与所得控除です。「サラリーマンの必要経費」にあたるもので、収入に応じて自動的に決まります。

給与等の収入金額(=①支払金額)給与所得控除額
1,900,000円まで650,000円
1,900,001円 〜 3,600,000円収入金額 × 30% + 80,000円
3,600,001円 〜 6,600,000円収入金額 × 20% + 440,000円
6,600,001円 〜 8,500,000円収入金額 × 10% + 1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

出典: 国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」。令和2年分から令和6年分までは最低保障額が550,000円(1,625,000円まで)でした(No.1410 が載せる「平成28年分」の表では650,000円)。

年末調整済みの②は「年末調整の表」で求める 源泉徴収票の②は、会社が国税庁の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を引いて記入しています(令和8年分の法定調書の手引の記載要領⑤)。上の速算表で自分で計算した額と1円単位までぴったり合わないことがありますが、それが正常です。所得金額調整控除の適用がある人の②は、表で求めた額からさらに所得金額調整控除額を差し引いた額です。
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欄ごとの意味・早見表

4つの数字が分かったら、あとは内訳です。よく質問される欄だけまとめます。

欄何が書いてあるか実務メモ
支払金額その年に支払が確定した給与等の総額非課税の通勤手当は含まれない。作成日現在の未払分がある場合は内書き(上段に小さく併記)
給与所得控除後の金額(調整控除後)「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で求めた額。所得金額調整控除があれば引いた後の額年末調整をした人だけ記載される。空欄の場合は勤務先に年末調整の有無と記載内容を確認する
所得控除の額の合計額13種類の所得控除の合計。基礎控除も含まれる年末調整をした人だけ記載される
源泉徴収税額年末調整後の所得税+復興特別所得税の合計額年末調整をしていない人は、その年に源泉徴収すべき税額の合計
(源泉)控除対象配偶者の有無等主たる給与で控除対象配偶者がいれば「○」。老人控除対象配偶者なら「老人」に「○」金額ではなく○印だけ。金額は「配偶者(特別)控除の額」欄
控除対象扶養親族等の数特定/老人/その他 の控除対象扶養親族の人数と、特親(特定親族)の人数16歳未満の扶養親族は扶養控除の対象外。人数は「16歳未満扶養親族の数」欄に出る
社会保険料等の金額給与から天引きした社会保険料+申告した社会保険料+小規模企業共済等掛金iDeCo等の内書き分は小規模企業共済等掛金控除へ。それを除いた額が社会保険料控除の対象
生命保険料の控除額 / 地震保険料の控除額保険料控除申告書に基づいて控除した額払った保険料の額ではなく、控除された額。生命保険料の払込額は下段の内訳欄
住宅借入金等特別控除の額年末調整で税額から直接引いた額所得控除ではなく税額控除。③には含まれない。算出所得税額が上限
基礎控除の額基礎控除申告書から転記した額(適用なしは0)令和2年分から設けられた欄。③の内訳が確認できる
(摘要)前職分を通算して年末調整した場合の前職の情報、5人目以降の16歳未満の扶養親族名など転職した年はここを必ず見る。前職分が通算されているかが分かる

生命保険料・地震保険料の控除額、住宅借入金等特別控除の額、基礎控除の額と、保険料の内訳欄も、年末調整をした人の票にだけ記載されます。欄ごとの細かい決まりは例外・少数のケースにまとめました。

出典: 国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(令和7年分)」の記載要領。

実務での使いどころ(年収の証明・確定申告・転職)

「年収はいくらですか」と聞かれたら → ①支払金額

年収(給与収入)として見るのは①支払金額です。②の「給与所得控除後の金額」は税法上の「所得」で、年収ではありません。

住宅ローンの審査、賃貸の入居審査、保育園の利用調整、扶養の証明など、用途によって確認する欄は異なります。所得税の扶養判定では合計所得金額を確認します。

「年収」と「所得」は別物 ・給与収入の参照欄=① 支払金額(例: 5,000,000円)
・給与所得=② 給与所得控除後の金額(例: 3,560,000円)
給与以外の所得があれば、合計所得金額は②だけでは分かりません。提出先が求める項目を確認してください。

源泉徴収票が2枚以上ある年の合計のしかた

確定申告に転記するとき

医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)・住宅ローン控除の1年目などで確定申告をするときは、源泉徴収票が1枚なら、その数字をそのまま転記します。年末調整をしていない票で②が空欄なら、①から給与所得を計算します。

票が2枚以上ある人(勤め先が2か所以上ある人など)は、各票の②を足して転記しません。給与所得控除を重ねて引くことになるためです。上の合計のしかたで給与所得を求めます。

源泉徴収票確定申告書での使い道
① 支払金額「収入金額等」の給与
② 給与所得控除後の金額「所得金額等」の給与(年末調整済みの票が1枚の場合)
社会保険料等の金額社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除(内書きのiDeCo等は後者)
④ 源泉徴収税額「源泉徴収税額」

④に、作成日現在の未払給与に係る未徴収税額が内書きされている場合は、すべてが納付済みとは限りません。

なお、平成31年4月1日以後に提出する確定申告書には、給与所得の源泉徴収票を添付する必要はありません(国税庁「国税関係手続が簡素化されました」)。ただし数字を転記するために必要なので、捨てないでください。

年の途中で転職した人は、前職の源泉徴収票を新しい会社に出す

前職で扶養控除等(異動)申告書を出して給与を受けていた人は、前職分の給与を含めて年末調整をします。新しい会社は、前職分の給与と税額を前職の源泉徴収票などで確認できるまで、年末調整を見合わせることとされています(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。前職で申告書を出していなかった人は、この前職分の通算の対象ではありません。

前職分の給与等の金額が確認できないときは、「年末調整を行うことはできず、その人が確定申告により所得税及び復興特別所得税の精算を行うことになります」(国税庁 タックスアンサー No.2674「中途就職者の年末調整」)。

前職分を通算して年末調整を行った場合は、新しい会社が発行する源泉徴収票の①支払金額が、前職分を含んだ合計になります。(摘要)欄には、前職の支払者の住所(居所)又は所在地・氏名又は名称・退職年月日・前職の支払金額・源泉徴収税額・社会保険料が書かれます。転職した年は、ここを確認してください。

「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」を検算する

この2つの欄は、源泉徴収票でいちばん多く質問されるところです。先に結論を書きます。

年末調整をした受給者の②③の記載要領 ・② 給与所得控除後の金額(調整控除後)=国税庁の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で求めた額。所得金額調整控除があるときは、それを控除した後の金額
・③ 所得控除の額の合計額=②から控除した13種類の所得控除の合計額(次の表。配偶者控除と配偶者特別控除は重複不可)
・この②から③を引いた額が課税所得(1,000円未満切捨て)で、そこに税率が掛かります。

②を出すときに差し引く給与所得控除そのものの決まり方は給与所得控除で扱っています。

年末調整済みの③に入っている13の所得控除と、票のどこに出るか

令和8年分の法定調書の手引の記載要領⑥は、年末調整をした受給者の③に入るものを次の13に名指ししています。「など」ではなく、この13だけです。このうち、票に金額が印字されるのは6欄だけです。

③に入る所得控除源泉徴収票のどこを見るか金額
社会保険料控除「社会保険料等の金額」欄(合計額のうち小規模企業共済等掛金は内書き)印字される
小規模企業共済等掛金控除
生命保険料控除「生命保険料の控除額」欄年末調整済みのみ印字される
地震保険料控除「地震保険料の控除額」欄年末調整済みのみ印字される
配偶者控除「配偶者(特別)控除の額」欄(どちらかのみ・重複不可)年末調整済みのみ印字される
配偶者特別控除
特定親族特別控除「特定親族特別控除の額」欄(令和7年分から)年末調整済みのみ印字される
基礎控除「基礎控除の額」欄(令和2年分から設けられた欄)年末調整済みのみ印字される
扶養控除「控除対象扶養親族等の数」欄の特定/老人/その他(特親は扶養控除の人数には含めない)人数だけ。金額は出ない
障害者控除「障害者の数」欄(本人を除く)人数だけ。金額は出ない
寡婦控除下部の本人の区分欄適用の有無が分かる(金額欄はない)
ひとり親控除
勤労学生控除
印字された金額だけでなく、扶養親族・障害者の人数や本人の区分も確認します。障害者の人数欄は本人を除くため、本人の障害者控除は別に確認してください。寡婦・ひとり親・勤労学生控除も本人の区分欄で適用の有無を確認できます。差額だけで控除の種類を特定することはできません。

人数から金額に直す表

人数を控除額に換算し、本人の障害者控除など人数欄に出ない控除も確認して③と照合します。

控除区分1人あたりの控除額
扶養控除
所得税法84条
一般の控除対象扶養親族(「その他」欄)380,000円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満・「特定」欄)630,000円
老人扶養親族(70歳以上・「老人」欄の主たる給与の総数から同居老親等の内書き人数を除く)480,000円
同居老親等(老人のうち本人または配偶者の直系尊属で、そのどちらかと同居・点線の左側)580,000円
障害者控除
所得税法79条
障害者(「その他」欄)270,000円
特別障害者(「特別」欄・点線の右側の総数から左側の同居分を除く)400,000円
同居特別障害者(点線の左側)750,000円
寡婦控除
所得税法80条
—270,000円
ひとり親控除
所得税法81条
—350,000円(令和8年分まで。令和9年分以後は380,000円)
勤労学生控除
所得税法82条
—270,000円

※ 障害者控除は本人が障害者の場合にも27万円(特別障害者は40万円)が③に入りますが、「障害者の数」欄は本人を除いた人数なので、この欄には現れません。

検算の手順

  1. 印字されている6欄を足す — 社会保険料等の金額+生命保険料の控除額+地震保険料の控除額+配偶者(特別)控除の額+特定親族特別控除の額+基礎控除の額。
  2. ③との差額を出す — この差額が、扶養控除・障害者控除・寡婦・ひとり親・勤労学生の合計です。
  3. 人数×金額で埋める — 上の表の人数と金額で計算します。差が残るときは、本人の障害者控除や、寡婦・ひとり親・勤労学生の控除の適用と、入力漏れを確認します。

内書きのある欄は、二重に数えないようにします。

差額が合わないときに真っ先に疑う2つ ・住宅借入金等特別控除の額は③に入っていません。これは所得控除ではなく税額控除で、③を素通りして税額から直接引かれます(令和8年分の記載要領⑰)
・所得金額調整控除は③ではなく②で引かれています。③に足そうとすると二重に引くことになります(令和8年分の記載要領⑤)

③と入力した控除額を比較する(差額は控除の特定ではありません)

票に印字された控除額と人数を入れると、その合計と③の差を確認できます。空欄にした欄は0として計算します(③は入力が必要です)。入力した数字はどこにも送信されません(すべてブラウザの中だけで計算します)。

入れる前に3つだけ。 ・「老人」「特別」の欄は、点線の左側に同居ぶんが内書きされています。下の欄は区分ごとに分けた人数を入れてください(同居老親等が1人なら、「老人扶養親族」はその人を除いた人数)。
・住宅借入金等特別控除の額は入れないでください。③には含まれません(税額控除です)。
・本人の障害者控除と、寡婦・ひとり親・勤労学生の控除には入力欄がありません。計算後の差額と照合します。

A. 票に印字されている額(円)

B. 人数だけの欄(人)

いつもらえる?なくした・もらえないときは(交付時期と再発行)

令和8年分の在職者への交付期限は、令和9年2月1日(月)です。年の途中で退職した人は、退職の日以後1か月以内です。実務上は、年末調整を終えた12月の最後の給与明細と一緒か、翌年1月ごろに配る会社が一般的です。

ケース交付期限(法定)根拠
在職中(年末調整をした人)翌年1月31日(令和8年分は令和9年2月1日)。多くの会社は12月〜1月に交付所得税法226条1項
年の途中で退職した人退職の日以後1か月以内所得税法226条1項かっこ書
退職金(退職所得の源泉徴収票)退職の日以後1か月以内所得税法226条2項
公的年金(公的年金等の源泉徴収票)翌年1月31日。令和8年分は令和9年2月1日(月)所得税法226条3項・国税通則法10条2項
在職中の人 12月:年末調整 この時期に配る会社が一般的 令和9年2月1日=期限 年の途中で退職した人 退職日 退職日以後1か月以内に交付 年末調整未実施なら②③は空欄 ※ 所得税法226条1項の交付期限。期限を過ぎても届かなければ、まず会社へ請求する。
在職中の人と、年の途中で退職した人の、源泉徴収票が手元に届くまでの時系列。

※ 交付は会社(給与の支払者)の義務です。令和8年分の期限が2月1日になるのは、所得税法226条1項の「翌年一月三十一日」が日曜日に当たり、国税通則法10条2項で翌日になるためです(国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」)。

電子交付(PDFなど)でもらった場合 — 紙がほしければ請求できる

住宅ローンの審査などで紙の原本が必要になったら、会社に請求すれば書面でもらえます。所得税法226条4項のただし書が、受給者から請求があるときは(書面の)源泉徴収票を交付しなければならないと定めています。

給与明細と同じように、源泉徴収票をWeb明細やPDFで受け取る会社が増えています。これは、あらかじめ電磁的方法の種類と内容を示し、書面又は電磁的方法で本人の承諾を得る等の要件の下で認められた交付方法です。給与所得の源泉徴収票では、期限までに回答がなければ承諾とみなす旨を事前に通知し、その期限まで回答がない場合のみなし承諾もあります(同項)。

なくしたときの再発行 — 頼み先は税務署ではなく勤務先

源泉徴収票をなくしても、再発行の依頼先は勤務先(給与の支払者)です。退職した会社に対しても同じで、電話やメールで経理・人事に依頼すれば足ります。

交付義務が支払者にある以上、再発行に応じるのも支払者で、税務署が本人に代わって再発行する制度はありません。国税庁の「源泉徴収票不交付の届出手続」のページにも、「既に交付された源泉徴収票の再発行については、この手続の対象外です」と明記されています。依頼を受けた会社がどこまで応じる義務があるか(電子交付した人の書面の請求など)は源泉徴収票の再発行で条文から整理しています。

会社が交付してくれないとき — 「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署へ

倒産した・何度頼んでも発行されない、という場合のために、「源泉徴収票不交付の届出手続」が用意されています。交付期限を過ぎたあと、随時、税務署に届出書を提出できます。

添付するのは、給与支払明細書が保存されている場合はその写しと、勤務先に交付を求めたことが分かる書類等です。添付書類の要件から分かるとおり、まず会社に請求し、その記録(メール等)を残しておくことが前提になります。

よくある勘違いと落とし穴

① 支払金額に非課税の「交通費」は入っていない

ここが毎年いちばん質問が出るところです。通勤手当は一定額まで非課税とされており(所得税法9条1項5号・所得税法施行令20条の2)、非課税分は「給与等」ではないため、源泉徴収票の支払金額に含まれません。(金額の上限は通勤手当はいくらまで非課税かで扱っています)

電車・バス通勤で非課税となるのは、1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度15万円)です(国税庁 タックスアンサー No.2582)。マイカー通勤は片道の通勤距離の区分で決まり、片道2km未満は全額課税です。駐車場代の加算や、電車とマイカーを併用する場合の限度額は、上のリンク先にまとめています。

振込額と支払金額は、非課税の通勤手当だけでなく、社会保険料や税の天引きによっても差が出ます。月1万円の非課税通勤手当があっても、振込合計が支払金額より12万円多くなるとは限りません。

④ 源泉徴収税額が0円でも異常ではない

「税金が引かれていない=会社のミスでは?」という相談が来ますが、0円が正しいケースは普通にあります。

年末調整で年税額が0になった場合、毎月天引きされていた税額は還付の対象になります。還付は通常12月分の給与等の時期に行われます。いつ還付されたかは給与明細や会社で確認してください。還付が減る・遅れる場合は例外・少数のケースにまとめました。

③ 所得控除の額の合計額には「基礎控除」が入っている

③は、保険料の控除だけの合計ではありません。基礎控除も含まれています。保険料は、払込額ではなく控除額で入ります。

③に含まれる13種類は13の所得控除の表のとおりです。令和2年分からは「基礎控除の額」欄が独立して設けられたので、年末調整済みならそこで内訳を確認できます。

② が「① − 給与所得控除」にならないことがある

令和2年分から、この欄の名前は「給与所得控除後の金額(調整控除後)」です。所得金額調整控除(年収850万円超で23歳未満の扶養親族がいる場合など)の適用があると、その額を差し引いた後の金額が記載されます。だから単純な引き算に合いません。

年末調整をしていないと ②③ は空欄

②と③は「年末調整をした受給者のみ」記載される欄です。中途退職後に再就職せず、年末調整を受けていない人の源泉徴収票は、②③が空欄になります。年末調整をしていないことによる空欄は不備ではありません。必要に応じて確定申告で税額を精算します。年末調整済みなのに空欄の場合は勤務先に記載内容を確認してください。

ただし、死亡退職、著しい心身障害で年内の再就職ができないと見込まれる場合、12月に支給期の来る給与を受け取った後の退職など、年末調整の対象になる例外があります。扶養控除等申告書の提出などの要件を満たして年末調整を受けた人には②③が記載されます。

住民税は、源泉徴収票のどこにも載っていない

源泉徴収票は所得税の書類です。④源泉徴収税額は所得税(+復興特別所得税)であって、住民税の金額はどの欄にも書かれていません。

住民税は、会社が源泉徴収票と同じ内容を記載した「給与支払報告書」を市区町村に提出し、市区町村が翌年度分として計算します。年の中途で退職した人への給与等の支払金額が30万円以下の場合は、会社は給与支払報告書の提出を省略できます。

自分の住民税額は、源泉徴収票ではなく、次の書類で確認します。

源泉徴収票から住民税の見込み額を試算したい場合は、住民税 計算機に①支払金額を入れれば概算できます。

例外・少数のケース

ここまでの説明に当てはまらないことがある、少数のケースと欄ごとの細かい決まりです。

支払金額・源泉徴収税額に含むもの・含まないもの

配偶者・扶養親族の欄の細かい読み方

※ 62万円の基準は令和8年12月1日以後の記載要領です。11月30日以前の読み替えは令和8年分の改正の表の注にあります。

保険料の欄と住宅ローン控除

年末調整の還付が減る・遅れる場合

令和8年分の源泉徴収票の数字はここが変わる

いま手元にある令和7年分の源泉徴収票は、令和7年12月1日以後に年末調整を受けていれば、大きな改正を反映しています。そして令和8年分では、控除額などの改正で数字がさらに変わります。改正後の控除は、令和8年12月1日以後の年末調整で反映されます。

令和7年分(いま手元にあるもの)で変わったこと

令和7年分の基礎控除の額(居住者)は、合計所得金額に応じて次のとおりです。

合計所得金額基礎控除の額
132万円以下95万円
132万円超336万円以下88万円
336万円超489万円以下68万円
489万円超655万円以下63万円
655万円超2,350万円以下58万円(加算なし)
2,350万円超改正なし

令和8年分で変わること

令和8年度税制改正で、さらに引き上げが入ります(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」)。

かっこ内の給与収入は、収入が給与だけで特定支出控除の適用がない場合の額です。

項目改正前令和8年分以後
基礎控除(所得税法86条の額。合計所得金額2,350万円以下の場合)58万円62万円(加算は下の注)
給与所得控除の最低保障額65万円(令和7年分・改正前)74万円(令和8・9年分)
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件58万円以下
(給与収入 123万円以下)
62万円以下
(給与収入 136万円以下)
勤労学生の所得要件85万円以下
(給与収入 150万円以下)
89万円以下
(給与収入 163万円以下)
特定親族の所得要件58万円超123万円以下
(給与収入 123万円超188万円以下)
62万円超123万円以下
(給与収入 136万円超197万円以下)

勤労学生は、改正前・改正後とも、給与所得等以外の所得が10万円以下であることも要件です。

令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません 改正後の税額は令和8年12月に行う年末調整で計算して精算します。

毎月いくら天引きされるかを決めている表そのものは、源泉徴収税額表【令和8年分】月額表の早見表と見方で令和8年分の「以上・未満」の231区分(ほかに105,000円未満の行と740,000円以上の行)を掲載しています。

令和9年分の給与からは表が入れ替わります。源泉徴収する税目に防衛特別所得税が加わり、基礎控除の引上げ等に伴って税額が変更されているため、令和9年分の給与に令和8年分の表をそのまま使うと税額を誤ります(国税庁は、令和9年分の表を令和8年分以前の給与等に使わないよう注意しています)。新しい表と変更点は源泉徴収税額表【令和9年分】月額表(「以上・未満」の228区分ほか)と令和8年分からの変更点にまとめています。

また、令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から、マイカー通勤(片道65km以上)の非課税限度額が引き上げられました。一定の要件を満たす駐車場等を利用する人は、1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)も加算できます。要件と計算は通勤手当はいくらまで非課税かにまとめています。

改正前の限度額を超えて課税されていた手当が新たに非課税になる人は、その非課税になる部分だけ①支払金額に含まれる額が減ります。課税される部分が変わらない人の①支払金額は、この改正によっては変わりません。

さらにその先:令和9年1月から「防衛特別所得税」 令和8年度税制改正で防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税額の1%)が創設され、同時に復興特別所得税の税率が2.1%→1.1%に引き下げられます(課税期間は令和29年12月31日まで10年延長)。
ただし合計税率2.1%は変わらないため、源泉徴収税額の計算方法は変わりません(1%+1.1%=2.1%)。個人の所得税には令和9年分以後、毎月の源泉徴収には令和9年1月1日以後に支払う給与等から適用されます。なお復興特別所得税と違い、防衛特別所得税は「当分の間」課され、終期の定めがありません。

よくある質問

源泉徴収票の「年収」はどこを見ればいいですか?

「支払金額」欄を参照します。隣の「給与所得控除後の金額」は税法上の「所得」であって年収ではありません。同じ年分の源泉徴収票が2枚以上あるなら、それらの支払金額を合計します。ただし前職分を通算して年末調整した票には前職分が含まれるので、前職の票は足しません。用途ごとに提出先の指定を確認してください。

支払金額と、1年間に振り込まれた額の合計が合いません。

差があることだけでは誤りと判断できません。支払金額は「支払が確定した額」の総額(額面)で、社会保険料や所得税を天引きする前の金額です。また、通勤手当は一定額まで非課税で、非課税分は給与等に含まれないため支払金額に入りません。

源泉徴収税額が0円でした。会社のミスでしょうか?

ミスとは限りません。年末調整で住宅ローン控除(税額控除)が反映され、所得税が全額なくなった場合や、所得控除の額の合計額が給与所得控除後の金額以上になった場合は、0円が正しい記載です。税額が0円でも還付済みとは限りませんので、年末調整の有無と還付・追加徴収の明細を確認してください。

所得控除の額の合計額を自分で足し算しても合いません。

年末調整をした受給者のこの欄には基礎控除が含まれているためです。社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除・扶養控除などに加えて、基礎控除の額が合算されています。年末調整済みの票なら、「基礎控除の額」欄で内訳を確認できます。

給与所得控除後の金額と所得控除の額の合計額が空欄です。

この2つの欄は年末調整をした人だけに記載されます。中途退職後に再就職せず年末調整も受けていない場合や、乙欄で徴収されている場合は空欄になります。年末調整をしていないことによる空欄は不備ではありません。必要に応じて確定申告で税額を精算します。年末調整済みなのに空欄の場合は勤務先に記載内容を確認してください。

転職した年は、前の会社の源泉徴収票をどうすればいいですか?

新しい会社に提出してください。前職で扶養控除等(異動)申告書を出していた人は、前職分を含めて年末調整をします。前職分の給与等の金額を新しい会社が確認できなければ、年末調整ができず、自分で確定申告して精算することになります。通算した場合、新しい会社の源泉徴収票の支払金額は前職分を含んだ合計になります。

毎月の給与明細の源泉徴収税額を12回足しても、源泉徴収票の税額と合いません。

年末調整による精算のほか、賞与から徴収した税額や通算した前職分の税額が含まれるためです。年末調整をした票の源泉徴収税額は精算後の額なので、毎月の給与明細12回分だけの合計とは異なる場合があります。年末調整の過不足がなければ一致する場合もあります。還付・追加徴収の有無と時期は、年末調整の結果や給与明細で確認してください。

源泉徴収票はいつもらえますか?

令和8年分の通常の交付期限は令和9年2月1日(月)、年の途中で退職した人は退職の日以後1か月以内です。実務上は、年末調整を終えた12月の給与明細と一緒か、翌年1月ごろに配る会社が一般的です。期限を過ぎても届かなければ、まず会社に請求してください。

源泉徴収票をなくしました。再発行してもらえますか?

勤務先(給与の支払者)に依頼してください。退職した会社でも同じです。税務署が本人に代わって再発行する制度はありません。そもそも交付を受けていなかった場合は、交付期限の経過後に税務署へ不交付の届出ができます。依頼を受けた会社側の対応は源泉徴収票の再発行で扱っています。

住民税の金額は源泉徴収票のどこを見ればいいですか?

源泉徴収票には住民税の金額は載っていません。源泉徴収票は所得税の書類で、住民税は市区町村が翌年度分として別に計算します。金額は、給与から天引き(特別徴収)されている人は原則として会社経由で届く「住民税決定通知書」で、自分で納める(普通徴収の)人は市区町村から届く納税通知書で確認します。

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出典

更新内容: 交付時期・再発行・住民税の節を追加。交付期限は所得税法226条と国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」で確認。国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(令和7年分)」の記載要領に基づいて作成。

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた(中途退職者の年末調整の例外・中途就職者の前職分・過納額の還付)」。国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(受給者への交付期限・記載要領)。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は所轄の税務署・税理士にご確認ください。

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