源泉徴収税額表の見方【令和8年分】甲欄・乙欄と扶養親族等の数
結論から言うと、源泉徴収税額表でつまずく人のほとんどは、表に当てはめる金額と扶養親族等の数のどちらかを間違えています。表そのものは、正しい行と正しい列が決まればあとは読むだけです。
表に当てはめるのは、総支給額ではありません。その月の給与から健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などの社会保険料等を差し引いたあとの金額です。そして列を決める「扶養親族等の数」は、扶養している家族の人数ではありません。本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生のいずれかに当たれば、それだけで1人加算されます。16歳未満の子は数に入らないのに、その子が障害者なら加算されます。
この記事は、令和8年分の税額表(国税庁)と、そこに載っている「給与所得の源泉徴収税額の求め方」・財務省告示を直接読んで書いています。最後に、給与ソフトが出す源泉税額が税額表を手で引いた額と数十円ずれる理由(結論を先に言うと、これはバグではありません)まで説明します。
まずどの表・どの欄を使うかを決める
源泉徴収税額表は1枚ではありません。月額表・日額表・賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の3つがあり、さらにそれぞれが甲欄・乙欄(日額表だけは丙欄も)に分かれています。使う表は給与の支給の仕方で決まり、使う欄は「給与所得者の扶養控除等申告書」が出ているかどうかで決まります。
| 使う表 | 給与等の支給区分 | 使う欄 |
|---|---|---|
| 月額表 | 月ごと/半月ごと/10日ごとに支払うもの 月の整数倍の期間ごとに支払うもの | 甲欄=扶養控除等申告書を提出している人 乙欄=その他の人 |
| (賞与でも下の2つの場合はこの月額表を使う) | ||
| 日額表 | 毎日支払うもの/週ごとに支払うもの/日割で支払うもの (日雇賃金を除く) | 甲欄=扶養控除等申告書を提出している人 乙欄=その他の人 |
| 日雇賃金 | 丙欄 | |
| 賞与の算出率の表 | 賞与 | 甲欄=扶養控除等申告書を提出している人 乙欄=その他の人 |
賞与の算出率の表には例外があり、①前月中に普通給与の支払がない場合、または②賞与の額が前月中の普通給与の額の10倍を超える場合には、月額表を使います。入社してすぐ賞与を出したときや、前月が休職で無給だったときがこれに当たります。「賞与だから賞与の表」と機械的に処理すると誤ります。
表に当てはめるのは「社会保険料等控除後」の金額
国税庁「給与所得の源泉徴収税額の求め方」は、こう書いています。
税額表に当てはめる給与等の金額は、その月(日)分の給与等の金額から厚生年金保険料、健康保険料及び雇用保険料などの社会保険料等を控除した後の金額によります。
つまり総支給額をそのまま表に当てはめてはいけません。給与計算の順番は次のとおりです。
①その月の給与等の金額(基本給+残業代+各種手当。通勤手当の非課税分は含めない)
②−社会保険料等(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料など)
③=社会保険料等控除後の給与等の金額 ← これを税額表に当てはめる
実例で見ます。社会保険料等を控除した後の金額が300,000円、扶養親族等の数が1人の人なら、月額表の甲欄で「299,000円以上 302,000円未満」の行と「1人」の列が交わるところを読み、6,320円が源泉徴収税額です。同じ300,000円でも扶養親族等の数が0人なら7,930円、2人なら4,700円になります。
源泉徴収税額計算ツールで、令和8年分の税額表を引く「扶養親族等の数」は家族の人数ではない
甲欄は「0人」から「7人」までの列に分かれています。ここでいう扶養親族等の数は、素直に読むと「扶養している家族の人数」に見えますが、そうではありません。国税庁の定義はこうです。
扶養親族等の数 = 源泉控除対象配偶者 + 源泉控除対象親族 の合計数
+ 本人が障害者(特別障害者を含む)・寡婦・ひとり親・勤労学生に該当する場合、該当するごとに1人を加算
+ 同一生計配偶者や扶養親族(年齢16歳未満の人を含む)のうちに障害者(特別障害者を含む)・同居特別障害者に該当する人がいる場合、該当するごとに1人を加算
ここから、実務で間違えやすい点が3つ出てきます。
① 本人が障害者・ひとり親などなら、家族がいなくても数が増える
独身で扶養家族が誰もいない人でも、本人が勤労学生に当たれば扶養親族等の数は1人です。ひとり親であり、かつ本人が障害者なら、それぞれ1人ずつ加算されて2人になります。「該当するごとに」なので、重複して数えます。
② 16歳未満の子は数に入らない。ただし障害者なら入る
ここが最もつまずくところです。年齢16歳未満の扶養親族は、控除対象扶養親族に当たらないので扶養親族等の数には加算しません(国税庁の図でも、16歳未満の人は点線囲みで「扶養親族等の数には加算しません」と明記されています)。
ところが、加算の規定のほうは「扶養親族(年齢16歳未満の人を含みます。)のうちに障害者……に該当する人がいる場合」と書かれています。つまり16歳未満の子は、通常なら0人と数えるのに、その子が障害者なら1人として加算されるのです。
子ども本人の年齢で切っているのは「控除対象扶養親族かどうか」の話であり、障害者としての加算はそれとは別の規定です。子が同居特別障害者ならさらに加算の対象になります。年少の子だから関係ない、と飛ばさないでください。
③ 令和8年分の新顔「特定親族」——19〜22歳の子は所得100万円が境目
令和7年度の税制改正で、扶養親族等の数の算定方法そのものが変わりました。国税庁も税額表の冒頭で「令和7年分以前の給与等について税額を算出する際には、この税額表はご使用にならないでください」と注意しています。去年の表を使い回すと誤ります。
新しくなった「源泉控除対象親族」は、次の2つのどちらかに当たる人です。
| 区分 | 年齢 | 令和8年中の所得の見積額 |
|---|---|---|
| 控除対象扶養親族 | 16歳以上(居住者の場合) | 58万円以下 |
| 特定親族のうち 源泉控除対象親族になる人 | 19歳以上23歳未満 | 58万円超123万円以下、 かつ100万円以下 |
特定親族そのものの範囲は「所得58万円超123万円以下」ですが、毎月の源泉徴収で1人と数えるのは、そのうち所得100万円以下の人だけです。所得が100万円超123万円以下の子は、毎月の税額表の列には反映されないまま、年末調整で特定親族特別控除が効いて精算されます。「子はアルバイトで稼いでいるが控除はあるはずだ」という申し出があっても、毎月の源泉徴収では列が増えないのが正しい扱いです。
配偶者のほうの条件も確認しておきます。源泉控除対象配偶者は、本人の令和8年中の所得の見積額が900万円以下で、かつ配偶者の所得の見積額が95万円以下の人です。本人の所得が900万円を超えると、配偶者がいくら低所得でも扶養親族等の数には入りません(この場合の配偶者は「同一生計配偶者」となり、障害者に該当するときだけ加算の対象になります)。
扶養親族等が7人を超えたら(表に列がない)
甲欄の列は7人までしかありません。8人以上のときは、月額表の注がこう定めています。
扶養親族等の数が7人を超える場合には、扶養親族等の数が7人の場合の税額から、その7人を超える1人ごとに1,610円を控除した金額(とします)
引くのは給与の額からではなく、税額からである点に注意してください。日額表の場合は1人ごとに50円です。
月額表を実際に読むと、扶養親族等が1人増えたときの減額は一定ではありません。社会保険料等控除後200,000円や300,000円の帯では1人あたり1,610円ですが、500,000円の帯では1人あたり6,460円下がります(扶養0人28,190円→1人21,730円)。ところが8人目以降は、給与がいくらであっても一律1,610円しか引けません。高い給与で扶養親族等が8人以上いる人は、毎月の源泉徴収額が本来より多めになりますが、年末調整で精算されます。
なぜ1,610円なのか。後述する電算機計算の特例では、扶養親族等1人あたりの控除額が31,667円と定められています。これに所得税の最も低い税率5.105%(復興特別所得税込み)を掛けると約1,617円で、1,610円という額はこの水準に対応していると考えると説明がつきます(同じく20.42%の帯では31,667円×20.42%=約6,466円で、表の6,460円とほぼ一致します)。
給与ソフトの税額が、税額表と合わない理由
「給与ソフトが計算した源泉徴収税額が、税額表を手で引いた額と数十円ちがう」——これはバグではありません。国税庁は2つの計算方法を認めており、どちらも適法です。
ひとつは税額表を引く方法。もうひとつが電算機計算の特例(「月額表の甲欄を適用する給与等に対する源泉徴収税額の電算機計算の特例」、平成24年3月31日財務省告示第116号・令和7年4月30日財務省告示第123号改正)です。給与計算を事務機械で処理している場合、月額表の甲欄を適用する給与については、表を引かずに計算式で税額を求めてよいことになっています。式はこうです。
A=その月の社会保険料等控除後の給与等の金額
B=A − 給与所得控除の額(別表第一)− 基礎控除の額(別表第三:Aが2,120,833円以下なら48,334円)− 配偶者(特別)控除・扶養控除等の額(別表第二:1人あたり31,667円)
税額=Bを別表第四の算式に当てはめた額(Bが162,500円以下ならB×5.105%。10円未満は四捨五入)
税額表は2,000円〜3,000円刻みの「階段」ですが、この式は連続しています。だから同じ給与でも両者は一致しません。実際に令和8年分の月額表と告示の式を突き合わせてみました(社会保険料等控除後105,000円〜739,000円を1,000円刻み、扶養親族等の数0〜7人の5,080通り)。
| 比較 | 結果 |
|---|---|
| 両者が完全に一致した割合 | 23.1%(5,080通りのうち1,171通り) |
| 差の範囲 | −310円 〜 +120円 |
| 例:社保控除後300,000円・扶養1人 | 表 6,320円 / 式 6,300円(差 −20円) |
| 例:社保控除後500,000円・扶養1人 | 表 21,730円 / 式 21,480円(差 −250円) |
つまり4回に3回は一致しません。これは誤りではなく、階段関数と連続関数の差です。どちらの方法で源泉徴収しても、年末調整で1年分の税額が精算されるので、最終的な税負担は変わりません。ソフトと手計算が合わないからといって、どちらかを間違いとして直す必要はありません。
電算機計算の特例は、月額表の甲欄を適用する給与についての特例です。乙欄・丙欄・日額表・賞与には適用されません。ソフトの設定を確認するときは、この範囲を超えて式で計算していないかを見てください。
乙欄・丙欄の使い方
乙欄——扶養控除等申告書が出ていない人
乙欄は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人に使います。典型は2か所目の勤務先です。この申告書は1か所にしか出せないため、副業先やダブルワークの2社目は必然的に乙欄になります。扶養親族等の数による列の区分はありません。
月額表の乙欄には、下限の扱いに特徴があります。社会保険料等控除後の金額が105,000円未満の場合は、その金額の3.063%が税額です(甲欄なら105,000円未満は税額0円ですが、乙欄は0円になりません)。105,000円以上は表に載っている額を読みます。
丙欄——日雇賃金
丙欄は日額表にしかなく、日雇賃金に使います。日雇賃金とは、日々雇い入れられる人が、労働した日または時間によって算定され、かつ労働した日ごとに支払を受ける給与等です。丙欄では扶養控除等申告書の提出は関係ありません。
国税庁の注は、「一の給与等の支払者から継続して2か月を超えて給与等が支払われた場合には、その2か月を超える部分の期間につき支払われるものは、ここでいう日雇賃金には含まれません」としています。日雇いのつもりで採用した人が2か月を超えて働き続けたら、その超えた部分は日雇賃金ではなくなり、丙欄は使えません。日額表の甲欄・乙欄に切り替えることになります。繁忙期の短期アルバイトを延長し続けたときに起きやすい論点です。
よくある質問
Q. 税額表に当てはめるのは総支給額ですか?
A. 違います。その月の給与等の金額から、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などの社会保険料等を控除した後の金額を当てはめます。国税庁「給与所得の源泉徴収税額の求め方」が「税額表に当てはめる給与等の金額は、その月(日)分の給与等の金額から厚生年金保険料、健康保険料及び雇用保険料などの社会保険料等を控除した後の金額によります」と明記しています。総支給額のまま表を引くと、社会保険料の分だけ高い行を読むことになり、源泉徴収税額を多く天引きしてしまいます。
Q. 扶養親族等の数は、扶養している家族の人数のことですか?
A. 違います。源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計数に、本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に該当するごとに1人を加算し、さらに同一生計配偶者や扶養親族のうちに障害者・同居特別障害者に該当する人がいれば該当するごとに1人を加算した数です。したがって、扶養家族が誰もいない独身の人でも、勤労学生に当たれば扶養親族等の数は1人になります。逆に、16歳未満の子だけがいる人は0人です。人数ではなく「加算のルール」だと考えてください。
Q. 16歳未満の子どもは扶養親族等の数に入りますか?
A. 原則として入りません。年齢16歳未満の扶養親族は控除対象扶養親族に当たらないため、扶養親族等の数には加算しません。ただし例外があり、その16歳未満の子が障害者(特別障害者を含む)や同居特別障害者に該当する場合は、障害者としての加算の対象になるので1人として数えます。国税庁の規定が「扶養親族(年齢16歳未満の人を含みます。)のうちに障害者……に該当する人がいる場合」と、わざわざ16歳未満を含めて書いているのはこのためです。
Q. 大学生の子がアルバイトをしています。扶養親族等の数に入りますか?
A. 19歳以上23歳未満の子は、令和8年中の所得の見積額が100万円以下であれば源泉控除対象親族として1人と数えます。所得が100万円を超えて123万円以下の場合は特定親族には当たりますが、毎月の源泉徴収における扶養親族等の数には入りません。この場合でも年末調整で特定親族特別控除が適用されて精算されるので、控除が受けられなくなるわけではありません。毎月の税額表の列に反映されるかどうかと、年末調整で控除があるかどうかは別の話です。
Q. 扶養親族等が8人います。表には7人までしかありません。
A. 扶養親族等の数が7人の場合の税額から、7人を超える1人ごとに1,610円を控除します。8人なら7人の欄の税額から1,610円、9人なら3,220円を引きます。引くのは給与の額からではなく税額からです。日額表を使う場合は1人ごとに50円です。なお7人目までは給与水準によって1人あたりの減額が変わり、社会保険料等控除後500,000円の帯では1人あたり6,460円下がりますが、8人目以降は一律1,610円しか引けません。差は年末調整で精算されます。
Q. 給与ソフトの源泉徴収税額が、税額表を引いた額と合いません。バグですか?
A. バグとは限りません。国税庁は税額表による方法とは別に、電算機計算の特例(財務省告示)による計算を認めており、給与計算を事務機械で処理している場合は月額表の甲欄について計算式で税額を求めてよいことになっています。税額表は2,000円〜3,000円刻みの階段ですが、告示の式は連続しているため、両者は一致しないほうが多数です。令和8年分の月額表と告示の式を5,080通りで突き合わせたところ、完全に一致したのは23.1%で、差は−310円から+120円の範囲でした。どちらも適法で、年末調整で精算されます。
Q. 乙欄はどんなときに使いますか?
A. 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人に支払う給与に使います。この申告書は1か所にしか提出できないため、2か所目の勤務先の給与は乙欄になります。月額表の乙欄では、社会保険料等控除後の金額が105,000円未満の場合はその金額の3.063%が税額です。甲欄なら105,000円未満は税額0円ですが、乙欄は0円になりません。扶養親族等の数による列の区分もありません。多めに源泉徴収される仕組みですが、確定申告で精算します。
Q. 日雇いで雇った人に、ずっと丙欄を使い続けてよいですか?
A. よくありません。同一の支払者から継続して2か月を超えて給与等が支払われた場合、その2か月を超える部分の期間について支払われるものは日雇賃金に含まれないと国税庁が明示しています。したがって丙欄は使えなくなり、日額表の甲欄または乙欄(扶養控除等申告書の提出の有無による)に切り替える必要があります。短期アルバイトを延長し続けているケースでは、2か月を超えた時点を確認してください。
出典
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」— 給与所得の源泉徴収税額表(月額表)1〜7ページ。105,000円未満は甲欄の税額0円、乙欄はその金額の3.063%。扶養親族等の数が7人を超える場合は、7人の場合の税額から1人ごとに1,610円(日額表は50円)を控除
- 国税庁「給与所得の源泉徴収税額の求め方」(同税額表19〜22ページ)— 税額表の使用区分(月額表・日額表・賞与の算出率の表/甲欄・乙欄・丙欄)、税額表に当てはめる金額は社会保険料等控除後の金額であること、扶養親族等の数の算定方法(源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族・障害者等の加算)、日雇賃金の定義と2か月を超える場合の取扱い
- 「月額表の甲欄を適用する給与等に対する源泉徴収税額の電算機計算の特例」(同税額表18ページ)— 電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法を定める財務省告示(平成24年3月31日財務省告示第116号、令和7年4月30日財務省告示第123号改正)。別表第一(給与所得控除の額)・別表第二(配偶者(特別)控除の額31,667円、扶養控除の額又は特定親族特別控除の額31,667円×源泉控除対象親族の数)・別表第三(基礎控除の額48,334円ほか)・別表第四(税額の算式。5.105%〜45.945%)
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」冒頭の注記 — 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等に伴い、税額や扶養親族等の数の算定方法が変更。令和7年分以前の給与等について税額を算出する際には使用しないこと
この記事は令和8年分の源泉徴収税額表にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の取り扱いは、扶養親族等の該当性の判定や個別の事情によって異なる場合があります。判断に迷う場合は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。