扶養控除等申告書の書き方|独身・扶養なしも本人の控除区分を確認
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、扶養家族がいなくても、給与をもらう人はほぼ全員が勤務先に出します。独身・扶養なしの人が書く欄は、次のとおりです。
- 書く欄:氏名・住所・マイナンバーなどの本人情報
- 該当する人だけ書く欄:障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当たる人はC欄
- 空欄でよい欄:記載する親族がいなければA・B・D欄
出す理由は、毎月の給与から引かれる所得税を「甲欄」で計算してもらうためです。出さないと乙欄で源泉徴収され、年末調整の対象にもなりません。例外は、日額表の丙欄が適用される人です(提出する人の節)。
令和8年分は、用紙の裏面の数字に注意してください。裏面には、改正前の数字(58万円・123万円・160万円・165万円)が印刷されたままです。用紙の数字を信じて空欄にすると、受けられるはずの控除を落とします。年末調整で実際に使う数字は、対比表にまとめました。
裏面の所得要件は改正前のままです。令和8年11月までの月次源泉と、12月1日以後の給与・年末調整で使う要件を区別すること(後述)。親ページは年末調整の各種申告書。
独身・扶養なしの人が書く欄/空欄でよい欄
「何か書かなきゃいけない気がする」——これが間違いのもとです。独身・扶養家族なし・障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生にも該当しないなら、書くのは次の欄だけです。
A〜D欄の書き方(誰が書き、誰は空欄か)
A 源泉控除対象配偶者
A欄に書くのは、次の2つをどちらも満たす配偶者です。
- 本人の合計所得が900万円以下
- 生計を一にする配偶者の合計所得が95万円以下(青色事業専従者として給与を受ける人・白色事業専従者を除く)
配偶者の収入が給与だけなら、給与収入の上限は11月まで160万円以下、12月1日以後は169万円以下です(特定支出控除等がない場合)。要件に該当すれば毎月の扶養親族等の数に1人を加算します。税額が既に0円なら減額はありません。
共働きで配偶者に一定以上の収入があるなら、この欄は空欄です。上限を超える場合も、年末調整の配偶者特別控除は別に判定します。
配偶者は扶養親族に含めず、年末調整では配偶者控除等申告書により配偶者控除・配偶者特別控除を判定します。源泉控除対象配偶者欄への記載だけでは年末調整の申告に代えられません。
控除対象配偶者・同一生計配偶者との区分の違いと、税額表での数え方は、源泉控除対象配偶者とはの記事で扱っています。
B 源泉控除対象親族(16歳以上)
B欄には控除対象扶養親族と、19歳以上23歳未満の特定親族のうち所得100万円以下の人を書きます。30歳以上70歳未満の国外居住親族は、留学・障害・年38万円以上の送金のいずれかが必要です。
16歳未満はここには書きません(いちばん下の住民税欄へ)。所得税の扶養控除は、平成23年に16歳未満が対象外になっているためです。
19歳以上23歳未満(令和8年分なら平成16年1月2日〜平成20年1月1日生まれ)の子は、控除額が大きいので取りこぼさないでください。
| 区分 | 年齢 | 扶養控除額 |
|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上(下記以外) | 38万円 |
| 特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 63万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等以外) | 70歳以上 | 48万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等) | 70歳以上・直系尊属と同居 | 58万円 |
19歳以上23歳未満で、生計同一・所得62万円以下など扶養親族の要件を満たす子の扶養控除は63万円です。該当する家族の記入漏れを確認してください。
C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生
本人や家族が該当するときだけチェックします。該当する区分ごとに毎月の「扶養親族等の数」に1人を加算するので、毎月の所得税が下がります。年末調整だけの話ではなく、毎月の手取りに効く点に注意してください。
- 加算の対象:本人の障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生と、同一生計配偶者・扶養親族の障害者です。
- 同居特別障害者:同一生計配偶者・扶養親族が同居特別障害者なら、障害者の1人と同居特別障害者の1人の計2人を加算します。
- 勤労学生:対象学校等の学生で、勤労による所得があり、合計所得89万円以下かつ勤労によらない所得10万円以下の人です。給与のみなら163万円以下が目安です(特定支出控除等なし)。
D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等
共働きで、子や親を「配偶者のほうの扶養」にする場合に書く欄です。同じ人を夫婦の両方が同時に扶養にすることはできないため、「この人は配偶者が扶養にしています」と申告して重複を防ぎます。
D欄は他の所得者が控除を受ける扶養親族等がいる場合に確認します。書かなくても自分の税額は変わりません(自分が控除を受けるわけではないため)。会社が家族全体の扶養関係を把握するための欄と考えてください。
16歳未満の子は「住民税に関する事項」へ
16歳未満の子は、B欄ではなく、用紙のいちばん下の「住民税に関する事項」に書きます。16歳未満の子には所得税の扶養控除がありませんが、住民税の非課税判定には、16歳未満の子も人数に入るからです。記入漏れに気づいたら勤務先に確認してください。
この欄は、地方税法45条の3の2・317条の3の2に基づく個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」を兼ねています(総務省)。
・同一生計配偶者・扶養親族がいない場合 … 45万円 以下
そして東京都主税局は、この「扶養親族」について「年齢16歳未満の者及び控除対象扶養親族に限る」と明記しています。16歳未満の子も、しっかり人数に入ります。
具体的に、どれだけ違うか。16歳未満の子が2人いる人で比べます。
| 住民税欄に書いた | 空欄にした | |
|---|---|---|
| 判定に使う人数 | 3人(本人+子2人) | 1人(本人のみ) |
| 非課税になる合計所得 | 35万×3+31万=136万円以下 | 45万円以下 |
| 給与収入でいうと(令和8年分の所得) | 年収210万円まで非課税 | 年収119万円を超えると課税 |
この年収帯でも、住民税欄の未記入だけで課税が確定するわけではありません。扶養親族に関する事項は住民税申告や給与支払報告書でも扱われるため、記入漏れがあれば勤務先や市区町村に確認してください。
- 16歳未満の扶養親族欄には、その子のマイナンバーの記載が必要ですが、勤務先が一定の帳簿を備えている場合は省略できます。
- 非課税限度額は市区町村の条例で定めるため、金額は自治体によって異なります。上表は東京23区の場合です。地方税法施行令47条の3は「基本額35万円 ×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)+ 10万円 + 加算額21万円」を基準としています。
- 給与収入への換算は令和8年分の給与所得控除(最低保障74万円)によります。上の2つの境界は、目安ではなくちょうどの金額です。根拠は対比表の注に書きました。
- 令和7年分の所得(=令和8年度分の住民税)で見るなら、最低保障は65万円なので約110万円/約205万円です。
【令和8年分の最重要】用紙の数字は「もう古い」
令和8年度税制改正(令和8年12月1日施行・令和8年分以後の所得税に適用)で、基礎控除・給与所得控除・扶養親族等の所得要件がまた引き上げられました。ところが国税庁が配布している令和8年分の様式は改正前に印刷されたもので、裏面の「扶養親族等の範囲」には改正前の金額(58万円・123万円・160万円・165万円・150万円)がそのまま載っています。
令和8年には「2つの数字」が同時に生きています。
- 令和8年1月〜11月の毎月の源泉徴収 … 改正前の要件を使う
- 令和8年12月に行う年末調整(=1年分の税額の確定)… 改正後の額を使う
この対比表が、この記事の核です。どのサイトも「令和8年分は58万円・123万円」と書いていますが、それは11月までしか正しくありません。
| 区分 | 改正前の額 | 令和8年12月の年末調整で実際に使う額 (=令和8年分の所得税の正解) |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 58万円以下 (給与収入 123万円以下) | 62万円以下 (給与収入 136万円以下) |
| 特定親族(19歳以上23歳未満) | 58万円超 123万円以下 (給与収入 123万円超 188万円以下) | 62万円超 123万円以下 (給与収入 136万円超 197万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象配偶者 | 58万円超 133万円以下 (給与収入 123万円超 201万5,999円以下) | 62万円超 133万円以下 (給与収入 136万円超 207万円以下) |
| 源泉控除対象配偶者(A欄) | 所得95万円以下 (給与収入 160万円以下) | 所得95万円以下 (給与収入 169万円以下) |
| 源泉控除対象親族(B欄・19〜22歳) | 所得100万円以下 (給与収入 165万円以下) | 所得100万円以下 (給与収入 174万円以下) |
| 勤労学生(C欄) | 85万円以下 (給与収入 150万円以下) | 89万円以下 (給与収入 163万円以下) |
| 給与所得控除の最低保障 | 65万円 | 74万円 |
| 基礎控除(所得税・合計所得が一定以下) | 95万円 | 104万円 |
| 所得税がかかり始める給与収入 | 160万円 | 178万円 |
- 給与収入への換算は、収入が給与だけで特定支出控除の適用がない場合です。特定支出控除を適用する場合は、給与収入への換算額が異なります。
- 「所得95万円以下」「所得100万円以下」という所得の要件そのものは変わっていません。変わったのは給与収入への換算です。給与所得控除の最低保障が65万円→74万円になったため、同じ所得に対応する給与収入が9万円ずつ上がりました。
- 令和8・9年分は、給与収入74万1,000円以上219万1,000円未満なら「給与所得=収入金額 − 74万円」と法律で定められています(租税特別措置法29条の4第2項)。そのため、上表の給与収入は目安ではなく、ちょうどの金額です。
- 毎月の源泉徴収で使う源泉控除対象親族の特定親族の所得上限は100万円で、年末調整の123万円とは別です。
なぜこんなことが起きるのか。改正の施行日が「令和8年12月1日」だからです。国税庁はこう整理しています ——
令和8年分の給与等の源泉徴収事務においては、令和8年12月に行う年末調整の際に、引上げ後の基礎控除額および改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年間の税額を計算し、改正前の「源泉徴収税額表」によって計算した源泉徴収税額との精算を行います。
改正の効き始めは12月1日以後に支払う給与からです。先取りして11月までの月次計算に入れると、毎月の源泉徴収が過少になります(年末調整でまとめて徴収されるので損得はありませんが、給与担当者の処理としては誤りです)。「申告書は早めに出す/月次には反映しない」——この2つを分けて理解してください。
「特定親族」とは(令和7年度改正で新設された枠)
特定親族は、次のすべてに当たる人です(令和8年分)。大学生の子も、この年齢・所得・生計などの条件を満たす場合に該当します。
- 生計を一にする19歳以上23歳未満の親族(児童福祉法により養育を委託された里子を含む)
- 配偶者・青色事業専従者として給与を受ける人・白色事業専従者ではない
- 合計所得が62万円超123万円以下。給与のみ・特定支出控除等なしなら、給与収入136万円超197万円以下
特定親族特別控除(最大63万円・所得税法84条の2)は、令和7年度改正で新設されました。それまでは、この所得の子について何の控除もありませんでした。令和8年度改正前の所得要件は58万円超123万円以下で、給与収入では123万円超188万円以下でした。
- 毎月の源泉徴収(B欄):源泉控除対象親族は所得100万円以下。給与のみ・特定支出控除等なしなら11月まで165万円以下、12月1日以後174万円以下
- 年末調整で所得62万円以下:特定扶養親族の扶養控除63万円。改正後の給与換算は136万円以下
- 年末調整で所得62万円超123万円以下:特定親族特別控除を専用申告書で申告。改正後の給与換算は136万円超197万円以下
・バイト年収130万円の大学生 … 健康保険の扶養には入ったまま(150万円未満)。税は令和8年分から特定扶養親族(136万円以下)。ただし用紙の裏面(123万円)を見ると「特定親族」に分類してしまう——まさに今回の改正で扱いが変わる帯です
・バイト年収140万円の大学生 … 健康保険の扶養には入ったままですが、税は特定扶養親族を外れて特定親族(136万円超)。控除は扶養控除ではなく特定親族特別控除で受けます
「扶養から外れた/外れていない」は、税と社会保険で答えが違ううえ、税のほうは年分によっても答えが変わる——これが令和8年分のややこしさです。
令和8年分の様式そのものの変更点
令和7年度税制改正(基礎控除・給与所得控除の見直し、特定親族特別控除の新設)を受けて、令和8年分の様式は令和7年分から作り替えられました。国税庁の記載例も、冒頭でわざわざこう注意しています。
| 様式の変更点 | 令和7年分 | 令和8年分 |
|---|---|---|
| B欄の名称 | 控除対象扶養親族(16歳以上) | 源泉控除対象親族(16歳以上) |
| B欄のチェック | 特定扶養親族 | 特定扶養親族・特定親族 |
| 住民税欄 | 退職手当等を有する配偶者・扶養親族 | …配偶者・扶養親族・特定親族 |
国内で給与を受ける居住者が提出(日額表丙欄の対象者を除く)
国税庁は、この申告書についてこう書いています。
「扶養親族の有無にかかわらず」と明記されています。独身でも、扶養家族がゼロでも、出します。
令和8年分の様式そのものにも、本人情報欄のすぐ下にこう印刷されています。
以下の各欄に記載する親族がなく、かつ、あなた自身が障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生のいずれにも該当しない場合には、上記の各欄を記載して給与の支払者に提出してください。
「上記の各欄」=用紙のいちばん上にある、あなた自身の情報だけということです。A〜D欄は書かなくてよい、と様式が言っています。
例外はごくわずかです。日額表の丙欄が適用される人は提出不要です。
- 丙欄の対象となるのは、日または時間によって給与を算定し、労働した日ごとに支払う日雇賃金など、税額表所定の要件を満たす給与です。
- 雇用契約があらかじめ2か月以内というだけで、月給・月払いのパートやアルバイトが丙欄になるわけではありません。
- 同じ雇用主から継続して2か月を超えて給与を受けると、その期間を超えた日以後は丙欄を使えません。
通常の扶養控除等申告書は主たる勤務先1か所に提出します。主たる給与だけで控除しきれない等の一定の場合は、別様式の「従たる給与についての扶養控除等申告書」を他の勤務先へ提出できます。
出さないとどうなるか(甲欄と乙欄の実数)
毎月の給与から引かれる所得税は、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」という表を引いて決めます。この表には甲欄と乙欄という2本の列があり、どちらを使うかは、扶養控除等申告書を出したかどうかだけで決まります(国税庁 No.2511)。
甲欄・乙欄の実際の税額と、「扶養親族等の数」の数え方(16歳未満の子は数に入らないのに、障害者なら加算される など)は、源泉徴収税額表【令和8年分】月額表の早見表と見方にまとめています。
| 甲欄 | 乙欄 | |
|---|---|---|
| 使う人 | 扶養控除等申告書を提出した人 | 提出していない人 |
| 扶養親族の数 | 人数に応じて税額が下がる | 従たる給与の申告書を提出した場合は人数に応じた税額控除あり |
| 年末調整 | 対象者は受けられる(主たる給与2,000万円超・災害減免等は対象外) | してもらえない(自分で確定申告) |
では、いくら違うのか。月給30万円・扶養親族0人の人で、実際に令和8年分の月額表を引いてみます。
- 設例の前提:協会けんぽ東京支部・一般被保険者・35歳・2026年4月分以降。健保と厚年の標準報酬月額はともに30万円で、基金未加入です。
- 税額表に当てる金額:健康保険14,775円・子ども・子育て支援金345円・厚生年金27,450円の計42,570円だけを引いた257,430円です。
- 雇用保険料:この比較例には含めていません。実際には給与から控除される雇用保険料等も差し引いて税額表に当てます。
給与水準を変えても、差は同じ方向に開きます。いずれも扶養親族0人・東京都・35歳の場合です。
| 月給 | 甲欄(出した) | 乙欄(出さない) | 差(月) |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 3,340円 | 11,500円 | 8,160円 |
| 25万円 | 4,840円 | 24,100円 | 19,260円 |
| 30万円 | 6,430円 | 38,600円 | 32,170円 |
| 40万円 | 11,000円 | 66,800円 | 55,800円 |
| 50万円 | 18,100円 | 105,800円 | 87,700円 |
※ 税額表にあてはめる金額は「社会保険料等を控除した後の金額」です(雇用保険料もここに含まれます。上表は健康保険・厚生年金・子ども・子育て支援金のみで計算しているため、実際の税額はもう少し下がります)。実際の甲欄・乙欄の税額と差額は、雇用保険料等も控除した金額で確認してください。
扶養控除の額をシミュレーションする 無料ツール:源泉徴収税額 計算機 令和8年分の月額表に対応。甲欄・乙欄・扶養親族の人数を選ぶだけで、毎月の所得税を自動計算します。「申告書を出した場合/出さない場合」の差も、その場で確かめられます。年末に「2枚」配られるのはなぜか
毎年11〜12月になると、扶養控除等申告書が2枚配られて混乱する人が続出します。これは年分が違う2枚です。
| 翌年分(例: 令和9年分) | 本年分(例: 令和8年分) | |
|---|---|---|
| 何のため | 来年の毎月の源泉徴収を甲欄にするため | 今年の年末調整のため |
| いつまで | その年の最初の給与日の前日まで | 異動後最初の給与支払日の前日まで |
| 何を書く | 来年の見込みで書く | 今年出したものから変わった点を直す |
| 変更がなければ | 本人情報のみ(簡易な申告書)でも可 | そのままでよい(訂正不要) |
ポイントは、本年分の1枚は「異動(変更)の届け出」だということです。今年の初めに出したあとで結婚・出産・離婚した、子がアルバイトで稼ぎすぎて扶養から外れた、親を扶養に入れた——こうした変化があれば、その申告書の該当項目を異動後の内容に直します(様式裏面「⑶」)。
記載事項が変わったら、異動後最初の給与支払日の前日までに異動申告書を提出します。扶養親族等の判定はその年12月31日の現況によりますが、本人や親族の死亡・本人の出国がある場合はその時の現況で判定します。年末にも見積りと確定額を確認してください。
提出先・保存・マイナンバー
税務署には提出しません
よくある誤解です。提出先は勤務先(給与の支払者)です。国税庁はこう説明しています。
この申告書は、本来、給与の支払者を経由して税務署長及び市区町村長へ提出することになっていますが、給与の支払者は、税務署長及び市区町村長から特に提出を求められた場合以外は、提出する必要はありません(給与の支払者が保管しておくことになっています)。
会社は、この申告書を提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存します(国税庁 No.2503)。税務調査で求められたときに出す、という建て付けです。
マイナンバーは省略できることがある
会社が従業員本人・源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族などの氏名・住所・マイナンバーを記載した帳簿を備えている場合、その人のマイナンバーは申告書への記載を省略できます。
ただし、これは会社側が判断することです。従業員が勝手に空欄にしてよいという意味ではありません。様式の裏面にも「一定の要件の下、マイナンバーの記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください」と書かれています。会社の指示に従ってください。
- 国内で給与を受ける居住者は扶養家族がいなくても提出(日額表丙欄の対象者を除く)。出す理由は「毎月の源泉徴収を甲欄にしてもらうため」
- 出さないと乙欄で、年末調整もなし。税額は支給額だけでは決まらず、雇用保険料を含む社会保険料等の控除後の給与と扶養親族等の数で確認します
- 独身・扶養なしも本人の控除区分を確認。障害者・寡婦・勤労学生等に該当すればC欄も記入
- 16歳未満の子は住民税欄へ。所得税の扶養控除はないが住民税の非課税判定に関係する。未記入だけで課税確定とはならない
- 令和8年分はB欄が「源泉控除対象親族」に改称。特定親族(19〜22歳)の枠が加わった
- 【令和8年分の最重要】用紙の裏面の数字(58万・123万・160万・165万)は、11月までの月次源泉徴収用。年末調整の所得上限:扶養親族62万円、配偶者特別控除133万円、特定親族特別控除123万円。月次の95万円・100万円とは区別
- 給与のみで123万円超136万円以下の親族も、生計同一・事業専従者除外などを満たせば、改正で新たに扶養親族となります。控除を受けるには扶養控除等(異動)申告書の提出が必要(国税庁が明記)
よくある質問
扶養家族が1人もいません。それでも出す必要がありますか?
必要です。国税庁は「源泉控除対象配偶者や扶養親族の有無にかかわらず原則としてこの申告を行わなければならない」としています。出さないと源泉徴収が乙欄になり、毎月の所得税が大幅に高くなるうえ、年末調整も受けられません。氏名・住所・マイナンバーなどの本人情報に加え、本人の障害者・寡婦・勤労学生等の該当があればC欄も記入してください。
提出を忘れました。どうなりますか?
その月の給与は乙欄で源泉徴収されます。年末調整までに提出し、主たる給与2,000万円超・災害減免等の対象外条件に該当しなければ、年末調整で過不足を精算します。対象外の人は確定申告の要否を確認してください。年末調整にも間に合わなかった場合は、自分で確定申告をすれば取り戻せます。気づいた時点ですぐ勤務先に提出してください。
アルバイトを2か所でしています。両方に出せますか?
出せません。扶養控除等申告書は1か所にしか提出できません。メインの勤務先(主たる給与)に出し、そちらが甲欄になります。もう一方は乙欄で源泉徴収されます。従たる給与収入と給与・退職以外の所得の合計が20万円超なら、確定申告が必要です。ただし、給与合計から所定の所得控除を引いた額が150万円以下で、かつ給与・退職以外の所得が20万円以下なら申告不要です。
16歳未満の子を書く欄が見つかりません。B欄でいいですか?
B欄ではありません。16歳未満の子は、用紙のいちばん下にある「住民税に関する事項」の「16歳未満の扶養親族」欄に書きます。所得税の扶養控除はありませんが、住民税の非課税判定に人数が使われるため、書かないと住民税が高くなることがあります。必ず記入してください。
年末調整のときに2枚渡されました。両方書くのですか?
年分が違う2枚です。「翌年分」は来年の毎月の源泉徴収を甲欄にするためのもので、来年の最初の給与日の前日までに提出します。「本年分」は今年の年末調整用で、今年出した内容に変更(結婚・出産・離婚・子の就職など)があった場合に直すためのものです。変更がなければ本年分はそのままで構いません。
配偶者が働いています。A欄に書けますか?
生計を一にする配偶者の合計所得が95万円以下で、本人の合計所得が900万円以下なら書けます。青色事業専従者として給与を受ける人・白色事業専従者は除きます。給与のみ・特定支出控除等なしなら、給与収入は11月まで160万円以下、12月1日以後は169万円以下です。用紙の裏面の「160万円以下」は改正前の数字です。なお夫婦がお互いを源泉控除対象配偶者として書くことはできません。
用紙の裏面には「58万円以下」と書いてありますが、136万円というのは何ですか?
136万円は、改正後の扶養親族の所得要件を給与収入に直した額です。令和8年度税制改正で、扶養親族の所得要件が58万円以下から62万円以下に引き上げられました。給与所得控除の最低保障も65万円から74万円に上がったので、給与収入でいうと123万円以下 → 136万円以下になります。改正の施行日は令和8年12月1日で、様式はそれより前に印刷されているため、裏面には改正前の数字が残っています。令和8年11月までの毎月の源泉徴収は裏面の数字(改正前)、12月の年末調整は改正後の数字を使います。給与収入への換算は、収入が給与だけで特定支出控除の適用がない場合です。
パートの妻の給与収入が130万円です。何かする必要はありますか?
妻をA欄へ記載済みで、ほかに異動がなければ、今回の改正だけで必ず出し直すわけではありません。本人の合計所得金額が900万円以下なら、給与収入130万円の妻は、改正前も給与所得65万円で「源泉控除対象配偶者」の95万円以下に当たるためです。令和8年12月1日以後に行う令和8年分の年末調整では、改正後の給与所得控除74万円を引いた所得56万円で配偶者控除を判定し、配偶者控除等申告書に記載します。未記載や異動がある場合は、会社へ必要な申告書を提出してください。
出典
国税庁「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式・記載例、「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」、「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)に基づいて作成。
- 国税庁「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」(提出時期・提出先・備考/手続根拠: 所得税法194条)
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用/令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じない)
- 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」⑴基礎控除の引上げ(居住者で合計所得489万円以下=給与収入665万5,556円以下で104万円)/⑵給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円→74万円)/⑶扶養親族等の所得要件の改正(扶養親族・同一生計配偶者 62万円以下=給与収入136万円以下、特定親族 62万円超123万円以下=給与収入136万円超197万円以下、配偶者特別控除の対象配偶者 62万円超133万円以下=給与収入136万円超207万円以下、勤労学生 89万円以下=給与収入163万円以下)/配偶者特別控除額・特定親族特別控除額の表(所得95万円超100万円以下=給与収入169万円超174万円以下)/「新たに扶養親族等の要件を満たすこととなった親族等に係る扶養控除等の適用を受けるために『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』等の提出が必要」。給与換算は給与所得のみで、所得金額調整控除・特定支出控除等がない場合。
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)Q1-1(改正の適用時期)/Q2-1(扶養控除等申告書の記載事項。「様式裏面の注意事項等が改正前の内容となっている場合がありますのでご注意ください」/「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」と記載/11月30日以前に支払う給与の「扶養親族等の数」に含めない)/Q2-4(特定親族が特定扶養親族に該当することとなった場合は異動があった旨を記載した扶養控除等申告書の提出が必要)
- 国税庁「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」様式および裏面「扶養親族等の範囲」(裏面の印字は改正前:同一生計配偶者58万円以下=給与123万円以下/源泉控除対象配偶者95万円以下=給与160万円以下/特定親族58万円超123万円以下=給与123万円超188万円以下/源泉控除対象親族100万円以下=給与165万円以下/勤労学生85万円以下=給与150万円以下。本記事の対比表は、この印字と改正後の額を突き合わせたもの)
- 国税庁「≪記載例≫令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(B欄が「控除対象扶養親族」から「源泉控除対象親族」に改正された旨の注記)
- e-Gov法令検索「所得税法」(令和8年12月1日施行版)2条1項33号(同一生計配偶者=合計所得62万円以下)・33号の4(源泉控除対象配偶者=95万円以下)・34号(扶養親族=62万円以下)・34号の5(源泉控除対象親族=19歳以上23歳未満・100万円以下)・32号(勤労学生=89万円以下)・84条(扶養控除38万/63万/48万)・84条の2(特定親族特別控除。特定親族=合計所得123万円以下で控除対象扶養親族に該当しないもの)・86条(基礎控除の本則62万円)
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(令和8年12月1日施行版)29条の4(給与所得控除の最低控除額等の特例。令和8年・令和9年は74万円/給与収入74万1,000円以上219万1,000円未満は「収入金額-74万円」)・41条の16の2(令和8年分以後の基礎控除等の特例。本則62万円に、居住者で合計所得489万円以下なら42万円を加算=104万円)
- 国税庁 タックスアンサー No.2511 税額表の種類と使い方(甲欄・乙欄の区分、扶養親族等の数の定義)
- 国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除(控除額38万/63万/48万/58万円)。所得要件は「58万円以下」と令和8年度改正前の記載のままの場合があります(令和8年分は62万円以下)
- 国税庁 タックスアンサー No.1177 特定親族特別控除(19歳以上23歳未満・控除額最大63万円)。所得要件は「58万円超123万円以下」と改正前の記載のままの場合があります(令和8年分は62万円超123万円以下)
- 国税庁 タックスアンサー No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間(翌年1月10日の翌日から7年間)
- 国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)月額表」(甲欄・乙欄の税額)
- 国税庁「源泉所得税関係に関するFAQ」(マイナンバーの記載を要しない場合/帳簿の要件)
- 総務省「個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」等について」(16歳未満の扶養親族の記載)
- 東京都主税局「個人住民税」6 個人住民税の非課税(東京23区の非課税限度額/地方税法295条)
- 国税庁 タックスアンサー No.1410 給与所得控除(令和8年度改正前の記載のままの場合があります。令和8・9年分の最低保障は74万円)
- e-Gov法令検索「地方税法施行令」47条の3(均等割の非課税限度額の基準。基本額35万円 ×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)+ 10万円 + 加算額21万円。扶養親族には16歳未満の者を含む)
- 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき…の手続き」(健康保険の被扶養者の収入要件130万円未満/19歳以上23歳未満は令和7年10月1日以降150万円未満)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は勤務先の給与担当者・税務署・税理士にご確認ください。