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扶養控除等申告書の書き方|独身・扶養なしも本人の控除区分を確認

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、扶養家族がいなくても、給与をもらう人はほぼ全員が勤務先に出します。独身・扶養なしの人が書く欄は、次のとおりです。

出す理由は、毎月の給与から引かれる所得税を「甲欄」で計算してもらうためです。出さないと乙欄で源泉徴収され、年末調整の対象にもなりません。例外は、日額表の丙欄が適用される人です(提出する人の節)。

令和8年分は、用紙の裏面の数字に注意してください。裏面には、改正前の数字(58万円・123万円・160万円・165万円)が印刷されたままです。用紙の数字を信じて空欄にすると、受けられるはずの控除を落とします。年末調整で実際に使う数字は、対比表にまとめました。

国税庁の令和8年分の用紙

裏面の所得要件は改正前のままです。令和8年11月までの月次源泉と、12月1日以後の給与・年末調整で使う要件を区別すること(後述)。親ページは年末調整の各種申告書。

独身・扶養なしの人が書く欄/空欄でよい欄

「何か書かなきゃいけない気がする」——これが間違いのもとです。独身・扶養家族なし・障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生にも該当しないなら、書くのは次の欄だけです。

本人情報(勤務先名・氏名・マイナンバー・住所・生年月日) → 本人情報を記入し、本人の控除区分はC欄も確認 ※ マイナンバーは会社が帳簿を備えていれば省略できることがある 全員 A 源泉控除対象配偶者 要件は本文参照(給与換算:11月まで160万円/12月以後169万円) 空欄 B 源泉控除対象親族(16歳以上) 控除対象扶養親族・所得100万円以下の特定親族(国外居住要件は本文) → 16歳未満はここには書かない(いちばん下の住民税欄へ) 空欄 C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生 本人の障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生、 または同一生計配偶者・扶養親族の障害者該当を記入 該当者 D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等 共働きで、子を配偶者の扶養にするとき。空欄のことが多い 該当時記入 住民税に関する事項(16歳未満の扶養親族) 所得税の控除はないが、住民税の非課税判定に人数が効く 要注意 16歳未満の子が 自分の扶養なら記入
独身・扶養なしの人は、本人情報を書き、本人が障害者・寡婦・勤労学生等に該当すればC欄も記入します。ただし自分が扶養申告する16歳未満の子は、いちばん下の「住民税に関する事項」に記入する(後述)。
前年に同じ勤務先へ提出した申告書の記載事項から異動がなければ、簡易な申告書を利用できます。勤務先の案内に従い、前年から異動がない旨を記載してください。

A〜D欄の書き方(誰が書き、誰は空欄か)

A 源泉控除対象配偶者

A欄に書くのは、次の2つをどちらも満たす配偶者です。

配偶者の収入が給与だけなら、給与収入の上限は11月まで160万円以下、12月1日以後は169万円以下です(特定支出控除等がない場合)。要件に該当すれば毎月の扶養親族等の数に1人を加算します。税額が既に0円なら減額はありません。

共働きで配偶者に一定以上の収入があるなら、この欄は空欄です。上限を超える場合も、年末調整の配偶者特別控除は別に判定します。

用紙の裏面には「160万円以下」と書いてあります(それは古い数字です) 所得95万円以下という要件自体は令和8年度改正でも変わっていません。変わったのは給与収入への換算です。給与所得控除の最低保障が65万円→74万円に上がったため、所得95万円に対応する給与収入は 95万 + 74万 = 169万円。令和8年分の様式裏面に印刷された「160万円以下」は、改正前(95万 + 65万)の数字です。配偶者の給与収入が160万円超169万円以下なら、用紙の裏面は「対象外」と言いますが、12月1日以後に支払う給与の源泉徴収では源泉控除対象配偶者に該当します。年末調整では配偶者特別控除を別に判定します。
夫婦が相互に源泉控除対象配偶者として控除を受けることはできません。双方の所得が95万円以下の夫婦でも同じです。

配偶者は扶養親族に含めず、年末調整では配偶者控除等申告書により配偶者控除・配偶者特別控除を判定します。源泉控除対象配偶者欄への記載だけでは年末調整の申告に代えられません。

控除対象配偶者・同一生計配偶者との区分の違いと、税額表での数え方は、源泉控除対象配偶者とはの記事で扱っています。

「税の扶養」と「社会保険の扶養」は別物です(混同注意) この申告書で判定するのは税法上の扶養で、令和8年分の境界は所得62万円(給与収入136万円)や源泉控除対象配偶者の169万円です。一方、健康保険の被扶養者になれるかどうかは年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)という別の基準で決まり、この申告書とは関係ありません。「扶養に入る/外れる」という言葉が両方に使われるため、毎年ここで取り違えが起きます。→ 社会保険の扶養に入る条件

B 源泉控除対象親族(16歳以上)

B欄には控除対象扶養親族と、19歳以上23歳未満の特定親族のうち所得100万円以下の人を書きます。30歳以上70歳未満の国外居住親族は、留学・障害・年38万円以上の送金のいずれかが必要です。

16歳未満はここには書きません(いちばん下の住民税欄へ)。所得税の扶養控除は、平成23年に16歳未満が対象外になっているためです。

19歳以上23歳未満(令和8年分なら平成16年1月2日〜平成20年1月1日生まれ)の子は、控除額が大きいので取りこぼさないでください。

区分年齢扶養控除額
一般の控除対象扶養親族16歳以上(下記以外)38万円
特定扶養親族19歳以上23歳未満63万円
老人扶養親族(同居老親等以外)70歳以上48万円
老人扶養親族(同居老親等)70歳以上・直系尊属と同居58万円

19歳以上23歳未満で、生計同一・所得62万円以下など扶養親族の要件を満たす子の扶養控除は63万円です。該当する家族の記入漏れを確認してください。

C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生

本人や家族が該当するときだけチェックします。該当する区分ごとに毎月の「扶養親族等の数」に1人を加算するので、毎月の所得税が下がります。年末調整だけの話ではなく、毎月の手取りに効く点に注意してください。

D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等

共働きで、子や親を「配偶者のほうの扶養」にする場合に書く欄です。同じ人を夫婦の両方が同時に扶養にすることはできないため、「この人は配偶者が扶養にしています」と申告して重複を防ぎます。

D欄は他の所得者が控除を受ける扶養親族等がいる場合に確認します。書かなくても自分の税額は変わりません(自分が控除を受けるわけではないため)。会社が家族全体の扶養関係を把握するための欄と考えてください。

16歳未満の子は「住民税に関する事項」へ

16歳未満の子は、B欄ではなく、用紙のいちばん下の「住民税に関する事項」に書きます。16歳未満の子には所得税の扶養控除がありませんが、住民税の非課税判定には、16歳未満の子も人数に入るからです。記入漏れに気づいたら勤務先に確認してください。

この欄は、地方税法45条の3の2・317条の3の2に基づく個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」を兼ねています(総務省)。

東京23区の場合(所得割・均等割とも非課税になる基準) ・同一生計配偶者・扶養親族がいる場合 … 35万円 ×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+ 31万円 以下
・同一生計配偶者・扶養親族がいない場合 … 45万円 以下
そして東京都主税局は、この「扶養親族」について「年齢16歳未満の者及び控除対象扶養親族に限る」と明記しています。16歳未満の子も、しっかり人数に入ります。

具体的に、どれだけ違うか。16歳未満の子が2人いる人で比べます。

住民税欄に書いた空欄にした
判定に使う人数3人(本人+子2人)1人(本人のみ)
非課税になる合計所得35万×3+31万=136万円以下45万円以下
給与収入でいうと(令和8年分の所得)年収210万円まで非課税年収119万円を超えると課税

この年収帯でも、住民税欄の未記入だけで課税が確定するわけではありません。扶養親族に関する事項は住民税申告や給与支払報告書でも扱われるため、記入漏れがあれば勤務先や市区町村に確認してください。

【令和8年分の最重要】用紙の数字は「もう古い」

令和8年度税制改正(令和8年12月1日施行・令和8年分以後の所得税に適用)で、基礎控除・給与所得控除・扶養親族等の所得要件がまた引き上げられました。ところが国税庁が配布している令和8年分の様式は改正前に印刷されたもので、裏面の「扶養親族等の範囲」には改正前の金額(58万円・123万円・160万円・165万円・150万円)がそのまま載っています。

令和8年には「2つの数字」が同時に生きています。

この対比表が、この記事の核です。どのサイトも「令和8年分は58万円・123万円」と書いていますが、それは11月までしか正しくありません。

区分改正前の額令和8年12月の年末調整で実際に使う額
(=令和8年分の所得税の正解)
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件58万円以下
(給与収入 123万円以下)
62万円以下
(給与収入 136万円以下)
特定親族(19歳以上23歳未満)58万円超 123万円以下
(給与収入 123万円超 188万円以下)
62万円超 123万円以下
(給与収入 136万円超 197万円以下)
配偶者特別控除の対象配偶者58万円超 133万円以下
(給与収入 123万円超 201万5,999円以下)
62万円超 133万円以下
(給与収入 136万円超 207万円以下)
源泉控除対象配偶者(A欄)所得95万円以下
(給与収入 160万円以下)
所得95万円以下
(給与収入 169万円以下)
源泉控除対象親族(B欄・19〜22歳)所得100万円以下
(給与収入 165万円以下)
所得100万円以下
(給与収入 174万円以下)
勤労学生(C欄)85万円以下
(給与収入 150万円以下)
89万円以下
(給与収入 163万円以下)
給与所得控除の最低保障65万円74万円
基礎控除(所得税・合計所得が一定以下)95万円104万円
所得税がかかり始める給与収入160万円178万円
令和8年 1月 〜 11月 毎月の源泉徴収 改正前の額(58万円 / 給与123万円)… 用紙の裏面どおり 令和8年12月1日 施行 12月 年末調整 改正後の額(62万円 / 給与136万円) 12月の年末調整で、1年分を改正後の額で計算し直して精算する あなたがやること 給与収入が 123万円超 〜 136万円以下 の家族がいるなら、その人は今回の改正で 「初めて」扶養親族に該当する。→ 扶養控除等(異動)申告書を出し直す 「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」と記載(国税庁 Q&A Q2−1)
令和8年は、11月までの毎月の源泉徴収は「改正前の額」、12月の年末調整は「改正後の額」で行う。用紙の裏面に印刷された58万円・123万円は、11月までの月次計算用の数字であって、1年分の所得税の正解ではない。給与収入への換算は、収入が給与だけで特定支出控除の適用がない場合です。
国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q2-1(令和8年5月) 令和8年分の扶養控除等申告書の様式裏面の注意事項等が改正前の内容となっている場合がありますのでご注意ください。

なぜこんなことが起きるのか。改正の施行日が「令和8年12月1日」だからです。国税庁はこう整理しています ——

国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」【令和8年の給与等の源泉徴収事務における留意事項】 令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません。
令和8年分の給与等の源泉徴収事務においては、令和8年12月に行う年末調整の際に、引上げ後の基礎控除額および改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年間の税額を計算し、改正前の「源泉徴収税額表」によって計算した源泉徴収税額との精算を行います。
改正で新たに該当する親族は申告が必要 令和8年分の扶養親族の所得要件は62万円以下です。給与のみで123万円超136万円以下でも、生計同一・事業専従者除外などの要件を満たすか確認してください。改正で新たに該当する場合は扶養控除等申告書を提出します。
注意:11月までの毎月の源泉徴収では、この人を「扶養親族等の数」に入れてはいけません 国税庁 Q&A Q2-1の(注)が、はっきり書いています —— 「令和8年11月30日以前に支払う給与については、『源泉徴収税額表』を使用する際の『扶養親族等の数』に、この改正により新たに扶養控除等の対象となる扶養親族等を含めないようご注意ください」。
改正の効き始めは12月1日以後に支払う給与からです。先取りして11月までの月次計算に入れると、毎月の源泉徴収が過少になります(年末調整でまとめて徴収されるので損得はありませんが、給与担当者の処理としては誤りです)。「申告書は早めに出す/月次には反映しない」——この2つを分けて理解してください。

「特定親族」とは(令和7年度改正で新設された枠)

特定親族は、次のすべてに当たる人です(令和8年分)。大学生の子も、この年齢・所得・生計などの条件を満たす場合に該当します。

特定親族特別控除(最大63万円・所得税法84条の2)は、令和7年度改正で新設されました。それまでは、この所得の子について何の控除もありませんでした。令和8年度改正前の所得要件は58万円超123万円以下で、給与収入では123万円超188万円以下でした。

19歳以上23歳未満の親族:月次と年末調整を分ける 生計同一・事業専従者除外などの要件を満たす親族は、毎月の源泉徴収と年末調整で見る金額が違います。
  • 毎月の源泉徴収(B欄):源泉控除対象親族は所得100万円以下。給与のみ・特定支出控除等なしなら11月まで165万円以下、12月1日以後174万円以下
  • 年末調整で所得62万円以下:特定扶養親族の扶養控除63万円。改正後の給与換算は136万円以下
  • 年末調整で所得62万円超123万円以下:特定親族特別控除を専用申告書で申告。改正後の給与換算は136万円超197万円以下
所得100万円超でも年末調整の特定親族特別控除の対象になり得ます。改正で記載事項が変わる場合は異動申告してください。
同じ子でも「健康保険の扶養」の境界は150万円(税とは別) 19歳以上23歳未満の子は、健康保険の被扶養者の年収要件が令和7年10月1日以降130万円未満 → 150万円未満に変わりました(日本年金機構)。税の境界(136万・174万・197万)とはどれとも一致しません。
・バイト年収130万円の大学生 … 健康保険の扶養には入ったまま(150万円未満)。税は令和8年分から特定扶養親族(136万円以下)。ただし用紙の裏面(123万円)を見ると「特定親族」に分類してしまう——まさに今回の改正で扱いが変わる帯です
・バイト年収140万円の大学生 … 健康保険の扶養には入ったままですが、税は特定扶養親族を外れて特定親族(136万円超)。控除は扶養控除ではなく特定親族特別控除で受けます

「扶養から外れた/外れていない」は、税と社会保険で答えが違ううえ、税のほうは年分によっても答えが変わる——これが令和8年分のややこしさです。

令和8年分の様式そのものの変更点

令和7年度税制改正(基礎控除・給与所得控除の見直し、特定親族特別控除の新設)を受けて、令和8年分の様式は令和7年分から作り替えられました。国税庁の記載例も、冒頭でわざわざこう注意しています。

国税庁「令和8年分 給与所得者の扶養控除等申告書」記載例の冒頭 令和8年分の扶養控除等申告書においては、記載事項が「控除対象扶養親族」から「源泉控除対象親族」に改正されていますので、記載漏れがないようご注意ください。
様式の変更点令和7年分令和8年分
B欄の名称控除対象扶養親族(16歳以上)源泉控除対象親族(16歳以上)
B欄のチェック特定扶養親族特定扶養親族・特定親族
住民税欄退職手当等を有する配偶者・扶養親族…配偶者・扶養親族・特定親族

国内で給与を受ける居住者が提出(日額表丙欄の対象者を除く)

国税庁は、この申告書についてこう書いています。

国税庁「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」備考 国内において給与の支給を受ける居住者は、源泉控除対象配偶者や扶養親族の有無にかかわらず原則としてこの申告を行わなければなりません。この申告を行わない場合は、月々(日々)の源泉徴収の際に受けることのできる諸控除が受けられず、また年末調整も行われないことになります。

「扶養親族の有無にかかわらず」と明記されています。独身でも、扶養家族がゼロでも、出します。

令和8年分の様式そのものにも、本人情報欄のすぐ下にこう印刷されています。

以下の各欄に記載する親族がなく、かつ、あなた自身が障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生のいずれにも該当しない場合には、上記の各欄を記載して給与の支払者に提出してください。

「上記の各欄」=用紙のいちばん上にある、あなた自身の情報だけということです。A〜D欄は書かなくてよい、と様式が言っています。

例外はごくわずかです。日額表の丙欄が適用される人は提出不要です。

通常の扶養控除等申告書は主たる勤務先1か所に提出します。主たる給与だけで控除しきれない等の一定の場合は、別様式の「従たる給与についての扶養控除等申告書」を他の勤務先へ提出できます。

出さないとどうなるか(甲欄と乙欄の実数)

毎月の給与から引かれる所得税は、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」という表を引いて決めます。この表には甲欄と乙欄という2本の列があり、どちらを使うかは、扶養控除等申告書を出したかどうかだけで決まります(国税庁 No.2511)。

甲欄・乙欄の実際の税額と、「扶養親族等の数」の数え方(16歳未満の子は数に入らないのに、障害者なら加算される など)は、源泉徴収税額表【令和8年分】月額表の早見表と見方にまとめています。

甲欄乙欄
使う人扶養控除等申告書を提出した人提出していない人
扶養親族の数人数に応じて税額が下がる従たる給与の申告書を提出した場合は人数に応じた税額控除あり
年末調整対象者は受けられる(主たる給与2,000万円超・災害減免等は対象外)してもらえない(自分で確定申告)

では、いくら違うのか。月給30万円・扶養親族0人の人で、実際に令和8年分の月額表を引いてみます。

月給30万円・扶養親族0人(東京都・協会けんぽ・35歳/令和8年分の月額表) 雇用保険料を除いた比較例:控除後257,430円(実際は雇用保険料等も控除) 申告書を出した = 甲欄 毎月の所得税 6,430円 出さなかった = 乙欄 毎月の所得税 38,600円 差 32,170円/月 = 年間 386,040円 乙欄は甲欄の約6.0倍。1枚出すか出さないかだけで、毎月の手取りがこれだけ変わる ※ 翌年の確定申告で過不足を精算。還付は納め過ぎがある場合
同じ月給30万円でも、扶養控除等申告書を出した人(甲欄)と出さなかった人(乙欄)で、毎月引かれる所得税は6,430円と38,600円。年間で386,040円の差になる。扶養家族が1人もいなくても、この差は生じる。

給与水準を変えても、差は同じ方向に開きます。いずれも扶養親族0人・東京都・35歳の場合です。

月給甲欄(出した)乙欄(出さない)差(月)
20万円3,340円11,500円8,160円
25万円4,840円24,100円19,260円
30万円6,430円38,600円32,170円
40万円11,000円66,800円55,800円
50万円18,100円105,800円87,700円

※ 税額表にあてはめる金額は「社会保険料等を控除した後の金額」です(雇用保険料もここに含まれます。上表は健康保険・厚生年金・子ども・子育て支援金のみで計算しているため、実際の税額はもう少し下がります)。実際の甲欄・乙欄の税額と差額は、雇用保険料等も控除した金額で確認してください。

扶養控除の額をシミュレーションする 無料ツール:源泉徴収税額 計算機 令和8年分の月額表に対応。甲欄・乙欄・扶養親族の人数を選ぶだけで、毎月の所得税を自動計算します。「申告書を出した場合/出さない場合」の差も、その場で確かめられます。

年末に「2枚」配られるのはなぜか

毎年11〜12月になると、扶養控除等申告書が2枚配られて混乱する人が続出します。これは年分が違う2枚です。

翌年分(例: 令和9年分)本年分(例: 令和8年分)
何のため来年の毎月の源泉徴収を甲欄にするため今年の年末調整のため
いつまでその年の最初の給与日の前日まで異動後最初の給与支払日の前日まで
何を書く来年の見込みで書く今年出したものから変わった点を直す
変更がなければ本人情報のみ(簡易な申告書)でも可そのままでよい(訂正不要)

ポイントは、本年分の1枚は「異動(変更)の届け出」だということです。今年の初めに出したあとで結婚・出産・離婚した、子がアルバイトで稼ぎすぎて扶養から外れた、親を扶養に入れた——こうした変化があれば、その申告書の該当項目を異動後の内容に直します(様式裏面「⑶」)。

異動は年末まで待たずに申告
記載事項が変わったら、異動後最初の給与支払日の前日までに異動申告書を提出します。扶養親族等の判定はその年12月31日の現況によりますが、本人や親族の死亡・本人の出国がある場合はその時の現況で判定します。年末にも見積りと確定額を確認してください。

提出先・保存・マイナンバー

税務署には提出しません

よくある誤解です。提出先は勤務先(給与の支払者)です。国税庁はこう説明しています。

この申告書は、本来、給与の支払者を経由して税務署長及び市区町村長へ提出することになっていますが、給与の支払者は、税務署長及び市区町村長から特に提出を求められた場合以外は、提出する必要はありません(給与の支払者が保管しておくことになっています)。

会社は、この申告書を提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存します(国税庁 No.2503)。税務調査で求められたときに出す、という建て付けです。

マイナンバーは省略できることがある

会社が従業員本人・源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族などの氏名・住所・マイナンバーを記載した帳簿を備えている場合、その人のマイナンバーは申告書への記載を省略できます。

ただし、これは会社側が判断することです。従業員が勝手に空欄にしてよいという意味ではありません。様式の裏面にも「一定の要件の下、マイナンバーの記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください」と書かれています。会社の指示に従ってください。

まとめ
  • 国内で給与を受ける居住者は扶養家族がいなくても提出(日額表丙欄の対象者を除く)。出す理由は「毎月の源泉徴収を甲欄にしてもらうため」
  • 出さないと乙欄で、年末調整もなし。税額は支給額だけでは決まらず、雇用保険料を含む社会保険料等の控除後の給与と扶養親族等の数で確認します
  • 独身・扶養なしも本人の控除区分を確認。障害者・寡婦・勤労学生等に該当すればC欄も記入
  • 16歳未満の子は住民税欄へ。所得税の扶養控除はないが住民税の非課税判定に関係する。未記入だけで課税確定とはならない
  • 令和8年分はB欄が「源泉控除対象親族」に改称。特定親族(19〜22歳)の枠が加わった
  • 【令和8年分の最重要】用紙の裏面の数字(58万・123万・160万・165万)は、11月までの月次源泉徴収用。年末調整の所得上限:扶養親族62万円、配偶者特別控除133万円、特定親族特別控除123万円。月次の95万円・100万円とは区別
  • 給与のみで123万円超136万円以下の親族も、生計同一・事業専従者除外などを満たせば、改正で新たに扶養親族となります。控除を受けるには扶養控除等(異動)申告書の提出が必要(国税庁が明記)

よくある質問

扶養家族が1人もいません。それでも出す必要がありますか?

必要です。国税庁は「源泉控除対象配偶者や扶養親族の有無にかかわらず原則としてこの申告を行わなければならない」としています。出さないと源泉徴収が乙欄になり、毎月の所得税が大幅に高くなるうえ、年末調整も受けられません。氏名・住所・マイナンバーなどの本人情報に加え、本人の障害者・寡婦・勤労学生等の該当があればC欄も記入してください。

提出を忘れました。どうなりますか?

その月の給与は乙欄で源泉徴収されます。年末調整までに提出し、主たる給与2,000万円超・災害減免等の対象外条件に該当しなければ、年末調整で過不足を精算します。対象外の人は確定申告の要否を確認してください。年末調整にも間に合わなかった場合は、自分で確定申告をすれば取り戻せます。気づいた時点ですぐ勤務先に提出してください。

アルバイトを2か所でしています。両方に出せますか?

出せません。扶養控除等申告書は1か所にしか提出できません。メインの勤務先(主たる給与)に出し、そちらが甲欄になります。もう一方は乙欄で源泉徴収されます。従たる給与収入と給与・退職以外の所得の合計が20万円超なら、確定申告が必要です。ただし、給与合計から所定の所得控除を引いた額が150万円以下で、かつ給与・退職以外の所得が20万円以下なら申告不要です。

16歳未満の子を書く欄が見つかりません。B欄でいいですか?

B欄ではありません。16歳未満の子は、用紙のいちばん下にある「住民税に関する事項」の「16歳未満の扶養親族」欄に書きます。所得税の扶養控除はありませんが、住民税の非課税判定に人数が使われるため、書かないと住民税が高くなることがあります。必ず記入してください。

年末調整のときに2枚渡されました。両方書くのですか?

年分が違う2枚です。「翌年分」は来年の毎月の源泉徴収を甲欄にするためのもので、来年の最初の給与日の前日までに提出します。「本年分」は今年の年末調整用で、今年出した内容に変更(結婚・出産・離婚・子の就職など)があった場合に直すためのものです。変更がなければ本年分はそのままで構いません。

配偶者が働いています。A欄に書けますか?

生計を一にする配偶者の合計所得が95万円以下で、本人の合計所得が900万円以下なら書けます。青色事業専従者として給与を受ける人・白色事業専従者は除きます。給与のみ・特定支出控除等なしなら、給与収入は11月まで160万円以下、12月1日以後は169万円以下です。用紙の裏面の「160万円以下」は改正前の数字です。なお夫婦がお互いを源泉控除対象配偶者として書くことはできません。

用紙の裏面には「58万円以下」と書いてありますが、136万円というのは何ですか?

136万円は、改正後の扶養親族の所得要件を給与収入に直した額です。令和8年度税制改正で、扶養親族の所得要件が58万円以下から62万円以下に引き上げられました。給与所得控除の最低保障も65万円から74万円に上がったので、給与収入でいうと123万円以下 → 136万円以下になります。改正の施行日は令和8年12月1日で、様式はそれより前に印刷されているため、裏面には改正前の数字が残っています。令和8年11月までの毎月の源泉徴収は裏面の数字(改正前)、12月の年末調整は改正後の数字を使います。給与収入への換算は、収入が給与だけで特定支出控除の適用がない場合です。

パートの妻の給与収入が130万円です。何かする必要はありますか?

妻をA欄へ記載済みで、ほかに異動がなければ、今回の改正だけで必ず出し直すわけではありません。本人の合計所得金額が900万円以下なら、給与収入130万円の妻は、改正前も給与所得65万円で「源泉控除対象配偶者」の95万円以下に当たるためです。令和8年12月1日以後に行う令和8年分の年末調整では、改正後の給与所得控除74万円を引いた所得56万円で配偶者控除を判定し、配偶者控除等申告書に記載します。未記載や異動がある場合は、会社へ必要な申告書を提出してください。

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出典

国税庁「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式・記載例、「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」、「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)に基づいて作成。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は勤務先の給与担当者・税務署・税理士にご確認ください。

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