法定調書合計表の書き方|提出範囲・期限と令和8年分からの大改正
法定調書合計表(正式名称は「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」)は、6種類の法定調書をまとめて集計する、1枚の兼用様式です。通常は翌年1月31日までに税務署へ提出し、令和8年分の期限は令和9年2月1日(月)です。
令和8年分(令和9年1月以後に提出するもの)から、提出のルールが大きく変わります。要点は次の5つです。
非居住者への支払・死亡退職金・公共事業の買取りは扱いが別です。例外・少数のケースにまとめました。
令和8年分の手引で提出範囲と記載方法をご確認ください。
法定調書合計表とは(6つの調書の集計表)
法定調書は全部で63種類ありますが、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」は、そのうち次の6種類をまとめる兼用様式です。1枚の用紙に6つの調書の集計欄が並んでいます。6種類すべてを出すわけではなく、支払の内容と金額が提出範囲に当たるものだけを提出します。
| # | 法定調書 | 税務署への提出範囲(令和8年中の支払額) |
|---|---|---|
| ① | 給与所得の源泉徴収票 | 居住者への給与等のすべて。ただし、中途退職者への年中の支払額が30万円以下の場合を除きます(詳細) |
| ② | 退職所得の源泉徴収票 | 令和8年中に支払が確定した、居住者の生存退職者への退職手当等のすべて |
| ③ | 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 | 原則、同一人に対して年5万円超。区分により年50万円超・1回75万円超の基準があります(区分ごとの基準) |
| ④ | 不動産の使用料等の支払調書 | 同一の方に対して年15万円超。ただし法人に支払う分は、権利金・更新料等だけが対象(賃借料は含めない) |
| ⑤ | 不動産等の譲受けの対価の支払調書 | 同一の方に対して年100万円超 |
| ⑥ | 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 | 同一の方に対して年15万円超 |
③〜⑥の区分ごとの基準と対象になるものは、支払調書(③〜⑥)の提出範囲にまとめています。
①は、給与支払報告書を市区町村へ提出すれば税務署へはみなし提出になります(みなし提出の特例)。
②は、令和7年分までは法人の役員分だけでした。市区町村への特別徴収票は、eLTAX による提出方法が整備されるまでの間、作成・提出を省略できます。欄ごとの書き方は退職所得の源泉徴収票の書き方にまとめています。
通常の提出期限は1月31日(令和8年分は2月1日)
ここで扱う法定調書と合計表の令和8年分の通常の提出期限は、令和9年2月1日(月)です。本人への交付の期限とあわせて整理します。
| 出すもの | 相手 | 期限(令和8年分) |
|---|---|---|
| 法定調書と合計表 | 税務署 | 令和9年2月1日(月) |
| 給与支払報告書 | 市区町村 | 令和9年2月1日(月) |
| 給与所得の源泉徴収票 | 本人(交付) | 令和9年2月1日。中途退職者は退職の日以後1か月以内 |
| 退職所得の源泉徴収票 | 本人(交付) | 退職後1か月以内 |
1月31日が土曜・日曜・祝日に当たるときは、その翌開庁日が期限になります。根拠は国税通則法10条2項で、「期限が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日……に当たるときは、これらの日の翌日をもってその期限とみなす」と定めています。
直前の令和7年分も同じ事情で、期限は令和8年2月2日(月)でした(令和8年1月31日が土曜日だったため)。2年続けて「1月31日ではない」ので、カレンダーに「1/31」とだけ書いて運用していると危険です。
公共事業施行者等の買取りには、四半期ごとの別の期限があります(例外・少数のケース)。
【令和8年分から】源泉徴収票の「みなし提出の特例」
ここがこの記事でいちばん大事なところです。令和5年度税制改正により、令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票(=令和8年分以後)から、次の特例が始まります。
市区町村に「給与支払報告書」を提出した場合には、その報告書に記載された給与等について、税務署に「給与所得の源泉徴収票」を提出したものとみなされる
つまり、税務署提出用の給与所得の源泉徴収票を作って送る作業が、まるごと不要になります。市区町村に提出された給与支払報告書のデータが、市区町村を経由して税務署に連携されるからです。
対象は給与所得の源泉徴収票だけです。退職所得の源泉徴収票は対象外で、令和8年分からは居住者の生存退職者全員分を税務署へ提出します。
給与の分しか無いなら、合計表も提出不要
手引では、給与支払報告書を市区町村へ提出して税務署へ給与所得の源泉徴収票を提出しない場合、合計表の給与欄は記載不要としています。他の法定調書も提出しない場合は、併せて出す合計表も不要と整理できます。
ただし例外があります。合計表は6つの調書の兼用様式なので、②〜⑥のいずれか(退職所得の源泉徴収票、報酬の支払調書など)を1枚でも税務署に提出するなら、その調書について記載した合計表を併せて提出する必要があります。
税理士報酬や家賃を支払った場合も、各支払調書の提出範囲に該当して税務署へ提出するなら、合計表を併せて提出します。支払った事実だけで合計表の提出要否は決まりません。
書面で出しても、みなし提出になる
令和8年分の手引では、給与支払報告書はeLTAX・光ディスク等・書面のいずれで提出しても、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされると明記しています。「電子で出さないとみなし提出にならない」わけではありません。
ただし、電子的提出義務がある会社は、給与支払報告書を書面では提出できません(e-Tax等での提出義務)。
eLTAXで出すと、マイナポータル連携の対象になる
- 給与支払報告書をeLTAXで提出するとマイナポータル連携の対象になります。
- 従業員が国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でマイナポータル連携を利用すると、令和5年分以降の給与情報が自動入力されます。
- 正しく連携するため、マイナンバー・氏名(カナを含む)・住所・生年月日等の記載誤りや不足・不備がないか確認してください。
- 給与支払報告書の書面・光ディスクでの提出は、その連携の対象外です。
- 給与所得の源泉徴収票をe-Taxまたは認定クラウド等で提出する経路もあります。
提出範囲——誰の分を税務署に出すのか
給与所得の源泉徴収票の提出範囲は令和8年分を境に、まったく別物になります。今の範囲を先に、改正前の範囲をその後に並べます。
令和8年分から(改正後)——給与支払報告書と同じ範囲
| 受給者の区分 | 提出範囲(令和8年分以後) |
|---|---|
| 居住者である受給者(居住者の外国人を含む) | 年の中途で退職した方に対するその年中の給与等の支払金額が30万円以下である場合を除く、すべての給与等 |
これは給与支払報告書の提出範囲とまったく同じです。要するに、居住者の在籍者は全員、中途退職者は年中の給与等が30万円超なら対象です。その給与支払報告書を市区町村に出せば、前章のとおり税務署へはみなし提出になります。
令和7年分まで(改正前)——「条件を満たす人だけ」
令和7年分までは、次の表に当てはまる人の分だけを税務署に提出していました。年末調整をしたかどうかで、まず二つに分かれます。
| 年末調整 | 受給者の区分 | 税務署への提出範囲 |
|---|---|---|
| した | (1) 法人の役員(取締役・執行役・会計参与・監査役・理事・監事・清算人・相談役・顧問等。その年中に役員であった方を含む) | 150万円超 |
| した | (2) 弁護士・司法書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・弁理士・海事代理士・建築士等(所得税法204条1項2号に規定する方)に、給与として支払った場合 | 250万円超 |
| した | (3) 上記(1)(2)以外の方(一般の従業員) | 500万円超 |
| しなかった | (4)イ 「扶養控除等(異動)申告書」を提出した方のうち、年の中途で退職した方、災害により徴収猶予・還付を受けた方 | 250万円超 ただし法人の役員は50万円超 |
| しなかった | (4)ロ 「扶養控除等(異動)申告書」を提出した方のうち、主たる給与が2,000万円超のため年末調整をしなかった方 | 全部(金額を問わず提出) |
| しなかった | (5) 「扶養控除等(異動)申告書」を提出しなかった方(月額表・日額表の乙欄もしくは丙欄適用者等) | 50万円超 |
(2)は「士業の方に給与を払った場合」の話です。報酬として支払っているなら、③の「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の対象になります(区分ごとの基準)。ここは混同しやすい分岐です。
ただし——この古い提出範囲は、e-Tax等の提出義務の枚数判定でだけ生き残ります。次章で説明します。ここが今回の改正でいちばんの落とし穴です。
支払調書(③〜⑥)の提出範囲
給与以外の4つの支払調書は、令和8年分でも金額基準で提出範囲が決まります。区分ごとの基準と、対象になるものを順に並べます。
③報酬等の支払調書:区分ごとの金額基準
| 報酬等の区分 | 提出範囲 |
|---|---|
| 原稿料・講演料・税理士や弁護士への報酬、プロ野球選手などの報酬・契約金など、法定の報酬等 | 同一人への年合計5万円超 |
| 外交員・集金人・検針人・プロボクサーの報酬、ホステス等の報酬、広告宣伝のための賞金 | 同一人への年合計50万円超 |
| 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構が支払う診療報酬 | 同一人への年合計50万円超。国立病院・公立病院・その他の公共法人等への支払は提出不要 |
| 馬主が受ける競馬の賞金 | 1回75万円超の支払を受けた方への、その年中の全支払金額(同じ方への75万円以下の賞金も含む) |
- 源泉徴収の対象とならない法人への報酬や、源泉徴収の限度額以下の報酬でも、提出範囲に該当すれば提出が必要です。
- 支払金額は年中に支払が確定した額で、未払も含みます。
④⑤⑥不動産関係の3つの調書:対象になるもの
不動産関係の3つ(④⑤⑥)を提出しなければならないのは、法人と不動産業者である個人だけです。法人には、国・都道府県等の公法人や人格のない社団等を含みます。主として建物の賃貸借の代理・仲介を目的とする事業を営む方は、不動産業者である個人から除かれます。
④不動産の使用料等
- 土地・建物の賃借料のほか、権利金・礼金・更新料・承諾料・名義書換料が含まれます。
- 権利金には、保証金・敷金等の名目でも、返還を要しない部分と、期間の経過で返還を要しなくなる部分を含みます。
- 催物の会場などの一時的な賃借料、陳列ケースの賃借料、広告等のための塀や壁面のように土地・建物の一部を使う場合の賃借料も対象です。
- 管理会社を通じた個人への支払は、個人への支払として扱います。
⑤不動産等の譲受けの対価
- 売買だけでなく、交換・競売・公売・収用・現物出資等による取得も含みます。
④⑤で共有者が複数いる場合
- 支払調書は共有者ごとに作成します。
- 持分が不明なら各人に総額を記載します。摘要には、持分不明で総額記載した旨、他の共有者の数、他の共有者の氏名(名称)とマイナンバー又は法人番号を記載します。
⑥あっせん手数料
- 紹介料・業務委託料・コンサルタント料等の名目でも、実質があっせん手数料なら対象です。
- ④又は⑤の「あっせんをした者」欄に所定事項を記載して提出する場合は、この調書の作成・提出を省略できます。
- 省略に必要な記載は、あっせんした方の住所(所在地)・氏名(名称)・マイナンバー又は法人番号、手数料の支払確定年月日・支払金額です。
- 省略した分は、合計表のあっせん手数料欄の「摘要」に支払先の人員と支払金額の合計を記載します。
税理士報酬が月4,500円(税込4,950円)×12か月なら、税込で59,400円・税抜で54,000円。どちらで判定しても5万円超なので提出対象です。しかし境界付近では結論が変わるので、社内で判定基準を統一しておいてください。
税務署・市区町村・本人の3系統を整理する
税務署・市区町村への提出と、本人への交付を区別します。この3系統を取り違えるのが、最大の事故です。図で整理します。
本人への交付は、提出範囲にかかわらず必要です。給与所得の源泉徴収票は、居住者である全受給者に交付します(居住者の外国人を含みます)。
年の中途で退職した方については、退職時の住所地の市区町村へ提出します。ただしその方への給与等の支払金額が30万円以下なら、提出を省略できます(30万円超なら提出)。
給与を支払った事業者の方は、給与支払報告書の対象者と提出先も確認できます(中途退職者には提出省略の条件があります)。
e-Tax等での提出義務(100枚以上→30枚以上)
法定調書は、一定枚数以上になると書面で提出できなくなります。e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等のいずれかによる提出が義務です。この基準が引き下げられます。
| いつ提出するもの | 電子等での提出義務の基準 |
|---|---|
| 令和8年12月31日までの提出 | 基準年に提出すべきであった法定調書が 100枚以上 |
| 令和9年1月1日以後の提出 | 基準年に提出すべきであった法定調書が 30枚以上 |
「基準年」とは、提出期限の属する年の前々年(1月1日〜12月31日)です。令和8年分の法定調書は令和9年に提出するので、基準年は令和7年——つまり令和7年中に提出すべきであった法定調書の枚数で判定します。
そして、判定は法定調書の種類ごとに行います。基準年に提出すべきであった枚数が、給与所得の源泉徴収票40枚・報酬の支払調書5枚なら、電子等の義務がかかるのは給与所得の源泉徴収票の側だけです。報酬の支払調書にはかかりません。
基準年に提出すべきであった給与所得の源泉徴収票が30枚以上のときは、市区町村に出す給与支払報告書もeLTAX又は光ディスク等で提出する必要があります。みなし提出の特例で税務署へ源泉徴収票を出さないときも、この義務は残ります。枚数の数え方は次のとおりです。
【最大の落とし穴】枚数は、廃止されたはずの「改正前の提出範囲」で数えます
令和8年分から、給与所得の源泉徴収票の提出範囲は大きく広がりました。ここで「では枚数も全員分で数えるのか」と考えると、間違えます。
- 改正前の提出範囲で数える… 国税庁Q&Aは、基準年に提出すべきであった源泉徴収票の枚数は、令和9年1月1日以後も「改正前の提出範囲」で数えると明記しています。役員150万円超・士業250万円超・その他500万円超・乙欄50万円超……という古い基準です。
- みなし提出分も含める… みなし提出になった源泉徴収票も、枚数に含めます。実際には税務署に1枚も出していなくても「0枚」にはなりません。
国税庁Q&Aの設例(令和11年に給与支払報告書を提出する場合の判定)
基準年である令和9年に、次の2種類の給与支払報告書を提出していた場合の判定です。
| 基準年に提出したもの | 枚数 | 改正前の提出範囲 |
|---|---|---|
| ①支払金額600万円・年末調整済の給与支払報告書 | 20枚 | 含まれる(500万円超) |
| ②支払金額40万円・乙欄適用の給与支払報告書 | 15枚 | 含まれない(乙欄で50万円以下) |
提出したのは合計35枚ですが、枚数は20枚と判定されます。30枚以上に該当しないため、電子的提出義務はありません。従業員35人の会社なのに「20枚」。頭数で数えると誤判定します。
無料ツール:源泉徴収税額 計算機 合計表の「源泉徴収税額」欄の検算に。給与の月額表(甲欄・乙欄)と、報酬の10.21%/20.42%に対応しています。合計表の書き方(Ⓐ・Ⓑの2段構造)
合計表の給与欄の主な欄は、「人員」「支払金額」「源泉徴収税額」と、Ⓐ(総額)・Ⓑ(提出するもの)です。ここが最も間違えやすい構造です。
Ⓐ「俸給、給与、賞与等の総額」欄
以下は給与所得の源泉徴収票の対象となる居住者の受給者を集計する基本の記載方法です。令和8年分手引では、実際に提出する源泉徴収票についてのみ記載する方法も認められています。図のⒶ欄もこの基本の記載方法を示しています。
- 給与欄は、税務署に給与所得の源泉徴収票を提出するときだけ記載します。みなし提出で出さないときは欄ごと記載不要です。
- 記載するときのⒶは、支払の確定した給与等の総額(中途退職者を含む)です。
- 「人員」… 給与等の支払を受けた方の実人員を記載します(丙欄適用の日雇労務者は含みません)。通常は、作成した源泉徴収簿の枚数と一致します。
- 「支払金額」「源泉徴収税額」… 年の中途で就職した方が就職前に他の支払者から受けた給与・徴収された税額は含めません。
- 年末調整で差引超過額が発生し、それが支払者の徴収税額を上回る場合、「源泉徴収税額」欄は0(ゼロ)と記載します。
Ⓑ「源泉徴収票を提出するもの」欄
- 源泉徴収票を税務署に提出するものについて、人員・支払金額・源泉徴収税額の合計を記載します。
- Ⓐと異なり、年の中途で就職した方の前職分(他の支払者から受けた給与・徴収された税額)も含めて記載します。前職分を通算して年末調整をした人は、源泉徴収票の「支払金額」にもその前職分が含まれます。
- 令和8年分から、給与支払報告書によるみなし提出を使うなら、税務署に提出する給与所得の源泉徴収票は0枚になるため、この欄の記載は不要になります。
その他の欄で間違えやすいところ
- 「Ⓐ使用料等の総額」欄(不動産の使用料等)… 支払の確定した不動産の使用料等の総額を記載します。令和8年分手引では、実際に提出する調書だけの記載でも差し支えありません。
- 報酬欄の「支払金額」… 同じ考え方で、該当区分の全ての報酬・料金等を記載します。
- 「調書の提出区分」欄… 1=新規/2=追加/3=訂正/4=無効。手引が「記載漏れにご注意ください」と名指ししている欄です。
- 「提出媒体」欄… 法定調書の種類ごとに2桁のコードを記載します。電子=14/FD=15/MO=16/CD=17/DVD=18/書面=30/その他=99。
- みなし提出で税務署に給与所得の源泉徴収票を提出しない場合、提出媒体の「1給与」欄は記載しません。
- 給与欄にはほかに、「左のうち、源泉徴収税額のない者」「Ⓐのうち、丙欄適用の日雇労務者の賃金」、災害減免法による徴収猶予の人員・猶予税額・摘要欄があります。
- 金額を記載する欄には「¥」や「円」を書かないでください。手書きなら黒のボールペンで。
出さなかったらどうなるか/訂正のしかた
罰則は「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」
法定調書の不提出には、明確な刑事罰の定めがあります。所得税法242条5号の対象は、225条1項の支払調書・226条1項〜3項の源泉徴収票等を提出期限までに税務署長に提出しなかった者と、偽りの記載・記録をして提出した者です。刑は、同条柱書により「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」と定められています。
令和8年分から税務署への提出が不要になっても、本人への交付義務は1ミリも軽くなりません。ここを「提出不要になったから」と混同すると、罰則のある方を落とします。
令和8年分の給与の訂正——市区町村に出し直す
みなし提出を使った令和8年分の給与について誤りが見つかった場合、訂正した給与支払報告書を市区町村に提出すれば、税務署に訂正した源泉徴収票を提出したものとみなされます。税務署に対して別途、無効分・訂正分の源泉徴収票を提出する必要はありません(国税庁Q&A 問12)。
- eLTAXなら提出区分を「訂正」として再提出します。
- 書面・光ディスクでの訂正方法は市区町村ごとに異なるため、提出先に確認してください。
- 令和7年分以前の訂正は、従来どおり税務署へ無効分・訂正分を提出します(同 問11)。手順は次の項のとおりです。
書面での訂正——調書と合計表を「無効分」「訂正分」の4点で提出
税務署に提出済みの法定調書に誤りがあった場合、正しいものを1枚出し直すのではありません。書面の場合、次の4点セットを提出します。
- 法定調書(無効分)… 先に提出したものと同じ内容のものを作成し、「無効区分」欄に「1」(無効)を記載する
- 合計表(無効分)… 無効とした調書の金額等を記載し、「調書の提出区分」欄に「4」(無効)と記載する
- 法定調書(訂正分)… 正しい内容のものを作成し、「無効区分」欄に「0」(新規・追加・訂正)を、「摘要」欄に「訂正分」を記載する
- 合計表(訂正分)… 訂正分の調書の金額等を記載し、「調書の提出区分」欄に「3」(訂正)と記載する
電子提出は媒体別の手順です。e-Taxでは無効分と訂正分をそれぞれ合計表と併せて送信します。光ディスク等では誤りのあった調書のデータだけを無効分・訂正分として記録し(「訂正表示」は無効分が半角1、訂正分が半角0)、合計表も併せて提出します。
合計表は、無効分・訂正分それぞれについて「無効・訂正箇所のみ」を記載して提出します。全件を書き直す必要はありません。
支払調書を本人へ交付する義務があるかどうかは、「支払調書とは」の記事にまとめています。提出範囲の金額基準は、この記事の支払調書(③〜⑥)の提出範囲のとおりです。
例外・少数のケース
ここまでは、居住者に給与・退職手当・報酬などを支払う通常の場合の説明です。次の3つは扱いが別になります。
非居住者・外国法人への支払
非居住者・外国法人に、国内で行う人的役務の対価として給与・報酬等を支払う場合は、ここまでの源泉徴収票・支払調書ではなく、別の支払調書を提出します。
- 使う調書… 「非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書」又は「非居住者等に支払われる人的役務提供事業の対価の支払調書」
- 提出が不要な場合… 支払金額が年間50万円以下の場合
- 給与・退職手当等… 非居住者に支払う給与等・退職手当等も、この支払調書で扱います。
詳しい対象・提出枚数は手引の非居住者等への支払の節をご確認ください。
死亡退職で退職手当等を支払った場合
死亡退職により退職手当等を支払った場合は、退職所得の源泉徴収票ではなく、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出します。
公共事業施行者等による買取り
公共事業施行者等が法律の規定に基づく買取り等の対価を支払う場合は、⑤の不動産等の譲受けの対価の支払調書を、その全てについて四半期に1回提出します。提出期限は各四半期末の翌月末日です(令和8年分手引・第6章)。
よくある質問
令和8年分から、法定調書合計表は本当に提出しなくてよくなるのですか?
給与所得の源泉徴収票しか該当がなく、その給与等をすべて給与支払報告書に記載して提出した会社なら、そのとおりです。税務署への給与所得の源泉徴収票の提出が不要になり、それに伴って合計表の提出も不要になります。ただし合計表は6種類の調書の兼用様式です。退職所得の源泉徴収票や報酬の支払調書、不動産の使用料等の支払調書など、他の調書を1枚でも税務署に出すなら、その調書について記載した合計表を併せて提出します。
支払調書を提出しない相手(年5万円以下の報酬など)の金額も、合計表に書きますか?
原則として総額を記載しますが、実際に提出する支払調書だけの記載でも差し支えありません。給与のⒶ欄は、その年に支払が確定した給与等の総額(未払を含む)を記載しますが、実際に提出する源泉徴収票だけの記載でも差し支えありません。不動産の使用料等のⒶ欄も同じ考え方です。みなし提出で税務署に給与所得の源泉徴収票を出さない場合は、給与欄全体が記載不要です。
報酬の支払調書は、支払先本人にも交付しなければいけませんか?
法令上の交付義務はありません。報酬・料金の支払調書は税務署に提出する書類であり、支払先への交付は任意です。慣行として写しを送る会社もありますが、その場合マイナンバーを記載して交付することはできません。一方、給与所得の源泉徴収票は、居住者である全ての受給者への交付が義務づけられています。根拠は所得税法226条で、交付漏れは242条6号の罰則の対象です。
1月31日が土日のときはどうなりますか?
翌開庁日に繰り下がります(国税通則法10条2項)。令和8年分の提出期限にあたる令和9年1月31日は日曜日なので、期限は令和9年2月1日(月)です。なお直前の令和7年分も、令和8年1月31日が土曜日だったため期限は令和8年2月2日(月)でした。2年続けて「1月31日ではない」ので、社内の締切管理を「1/31」で固定していると事故のもとです。
e-Tax等での提出義務は「前々年・種類別に30枚以上」とのことですが、従業員35人なら義務がありますか?
頭数では判定できません。枚数は基準年(提出期限の属する年の前々年)に「提出すべきであった」法定調書の枚数で、しかも改正前の提出範囲(役員150万円超・その他500万円超・乙欄50万円超など)で数えます。国税庁Q&Aの設例では、600万円の年末調整済20人+40万円の乙欄15人=35人の会社でも、乙欄の15人は改正前の範囲に含まれないため20枚と判定され、電子的提出義務なしとなっています。判定は法定調書の種類ごとに行う点にも注意してください。
個人事業主でも、事務所の家賃について不動産の使用料等の支払調書を出しますか?
原則として不要です。不動産関係の支払調書(不動産の使用料等・譲受けの対価・あっせん手数料)の提出義務者は、法人と「不動産業者である個人」に限られています。一般の個人事業主が事務所や店舗の家賃を支払っていても、提出義務はありません。提出が必要になるのは、不動産業者である個人に当たる場合です(主として建物の賃貸借の代理・仲介を目的とする事業を営む方は除かれます)。法人が支払う場合の範囲は不動産関係の3つの調書にまとめています。
出典
国税庁「法定調書の作成と提出の手引」「源泉徴収票のみなし提出の特例 Q&A(令和8年4月)」に基づいて作成。
- 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(令和8年8月1日現在の法令に基づく)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2026/PDF/all.pdf - 国税庁「源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/hotei/index/minashi.htm - 国税庁 課税総括課「源泉徴収票(給与所得・公的年金等)のみなし提出の特例に関するQ&A」(令和8年4月)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/hotei/index/pdf/0026004-098.pdf - 国税庁リーフレット「令和9年1月から源泉徴収票の提出方法が変わります」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/minashi.pdf - 国税庁「法定調書の種類」(タックスアンサー No.7401)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7401.htm - 所得税法225条(支払調書)・226条(源泉徴収票)・242条5号・6号(罰則。1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)/国税通則法10条2項(期限の特例)(e-Gov法令検索)
国税庁「令和8年分 法定調書の手引・第4章(診療報酬の提出範囲)」。国税庁「同・第6章(四半期提出の例外)」。国税庁「同・第9章(無効区分を用いる訂正手順)」。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。令和8年分の法定調書の記載要領は、国税庁の令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引でご確認ください。個別の判断は所轄税務署・税理士にご確認ください。