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法定調書合計表の書き方|提出範囲・期限と令和8年分からの大改正

法定調書合計表(正式名称は「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」)は、6種類の法定調書をまとめて集計する、1枚の兼用様式です。通常は翌年1月31日までに税務署へ提出し、令和8年分の期限は令和9年2月1日(月)です。

令和8年分(令和9年1月以後に提出するもの)から、提出のルールが大きく変わります。要点は次の5つです。

この記事の結論
  • 給与… 給与支払報告書を市区町村に出せば、その報告書に記載した給与等は、税務署への給与所得の源泉徴収票の提出が不要(みなし提出の特例)
  • 合計表… 給与の分しか該当が無く、税務署に出す法定調書が1枚も無い会社は、合計表も提出不要(詳細)
  • 退職… 退職所得の源泉徴収票は、令和8年分から居住者の生存退職者全員分を税務署へ提出
  • 本人への交付… これまでどおり必要。給与所得の源泉徴収票は、居住者である全受給者に交付します
  • e-Tax等での提出義務… 法定調書の種類ごとに「100枚以上」から「30枚以上」へ。令和9年1月以後に提出するものから適用(詳細)

非居住者への支払・死亡退職金・公共事業の買取りは扱いが別です。例外・少数のケースにまとめました。

法定調書合計表とは(6つの調書の集計表)

法定調書は全部で63種類ありますが、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」は、そのうち次の6種類をまとめる兼用様式です。1枚の用紙に6つの調書の集計欄が並んでいます。6種類すべてを出すわけではなく、支払の内容と金額が提出範囲に当たるものだけを提出します。

#法定調書税務署への提出範囲(令和8年中の支払額)
① 給与所得の源泉徴収票 居住者への給与等のすべて。ただし、中途退職者への年中の支払額が30万円以下の場合を除きます(詳細)
② 退職所得の源泉徴収票 令和8年中に支払が確定した、居住者の生存退職者への退職手当等のすべて
③ 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 原則、同一人に対して年5万円超。区分により年50万円超・1回75万円超の基準があります(区分ごとの基準)
④ 不動産の使用料等の支払調書 同一の方に対して年15万円超。ただし法人に支払う分は、権利金・更新料等だけが対象(賃借料は含めない)
⑤ 不動産等の譲受けの対価の支払調書 同一の方に対して年100万円超
⑥ 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 同一の方に対して年15万円超

③〜⑥の区分ごとの基準と対象になるものは、支払調書(③〜⑥)の提出範囲にまとめています。

①は、給与支払報告書を市区町村へ提出すれば税務署へはみなし提出になります(みなし提出の特例)。

②は、令和7年分までは法人の役員分だけでした。市区町村への特別徴収票は、eLTAX による提出方法が整備されるまでの間、作成・提出を省略できます。欄ごとの書き方は退職所得の源泉徴収票の書き方にまとめています。

通常の提出期限は1月31日(令和8年分は2月1日)

ここで扱う法定調書と合計表の令和8年分の通常の提出期限は、令和9年2月1日(月)です。本人への交付の期限とあわせて整理します。

出すもの相手期限(令和8年分)
法定調書と合計表税務署令和9年2月1日(月)
給与支払報告書市区町村令和9年2月1日(月)
給与所得の源泉徴収票本人(交付)令和9年2月1日。中途退職者は退職の日以後1か月以内
退職所得の源泉徴収票本人(交付)退職後1か月以内

1月31日が土曜・日曜・祝日に当たるときは、その翌開庁日が期限になります。根拠は国税通則法10条2項で、「期限が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日……に当たるときは、これらの日の翌日をもってその期限とみなす」と定めています。

2年続けて「1月31日」ではありません 令和9年(2027年)1月31日は日曜日です。したがって期限は翌開庁日の令和9年2月1日(月)に繰り下がります。
直前の令和7年分も同じ事情で、期限は令和8年2月2日(月)でした(令和8年1月31日が土曜日だったため)。2年続けて「1月31日ではない」ので、カレンダーに「1/31」とだけ書いて運用していると危険です。
無料ツール:日数計算・営業日計算 「1月31日が土日なら期限はいつ?」を土日祝対応で自動判定。締切までの残り営業日数も数えられます。

公共事業施行者等の買取りには、四半期ごとの別の期限があります(例外・少数のケース)。

【令和8年分から】源泉徴収票の「みなし提出の特例」

ここがこの記事でいちばん大事なところです。令和5年度税制改正により、令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票(=令和8年分以後)から、次の特例が始まります。

市区町村に「給与支払報告書」を提出した場合には、その報告書に記載された給与等について、税務署に「給与所得の源泉徴収票」を提出したものとみなされる

つまり、税務署提出用の給与所得の源泉徴収票を作って送る作業が、まるごと不要になります。市区町村に提出された給与支払報告書のデータが、市区町村を経由して税務署に連携されるからです。

対象は給与所得の源泉徴収票だけです。退職所得の源泉徴収票は対象外で、令和8年分からは居住者の生存退職者全員分を税務署へ提出します。

給与の分しか無いなら、合計表も提出不要

手引では、給与支払報告書を市区町村へ提出して税務署へ給与所得の源泉徴収票を提出しない場合、合計表の給与欄は記載不要としています。他の法定調書も提出しない場合は、併せて出す合計表も不要と整理できます。

ただし例外があります。合計表は6つの調書の兼用様式なので、②〜⑥のいずれか(退職所得の源泉徴収票、報酬の支払調書など)を1枚でも税務署に提出するなら、その調書について記載した合計表を併せて提出する必要があります。

税理士報酬や家賃を支払った場合も、各支払調書の提出範囲に該当して税務署へ提出するなら、合計表を併せて提出します。支払った事実だけで合計表の提出要否は決まりません。

書面で出しても、みなし提出になる

令和8年分の手引では、給与支払報告書はeLTAX・光ディスク等・書面のいずれで提出しても、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされると明記しています。「電子で出さないとみなし提出にならない」わけではありません。

ただし、電子的提出義務がある会社は、給与支払報告書を書面では提出できません(e-Tax等での提出義務)。

eLTAXで出すと、マイナポータル連携の対象になる

逆はダメです(源泉徴収票を出しても、給与支払報告書の代わりにはならない) みなし提出は「市区町村 → 税務署」の一方通行です。源泉徴収票を税務署に提出しても、市区町村に給与支払報告書を提出したものとはみなされません。給与支払報告書は市区町村に提出してください。
「eLTAXの電子的提出の一元化機能」は令和8年9月で終了します 源泉徴収票と給与支払報告書をeLTAXで同時に作成・提出できた「電子的提出の一元化機能」は、令和8年9月をもって終了します。みなし提出の特例により、そもそも税務署へ給与所得の源泉徴収票を送る必要がなくなるためです。この機能を前提に組んでいる年末調整の手順書は、令和8年分の作業前に見直しが必要です。

提出範囲——誰の分を税務署に出すのか

給与所得の源泉徴収票の提出範囲は令和8年分を境に、まったく別物になります。今の範囲を先に、改正前の範囲をその後に並べます。

令和8年分から(改正後)——給与支払報告書と同じ範囲

受給者の区分提出範囲(令和8年分以後)
居住者である受給者(居住者の外国人を含む) 年の中途で退職した方に対するその年中の給与等の支払金額が30万円以下である場合を除く、すべての給与等

これは給与支払報告書の提出範囲とまったく同じです。要するに、居住者の在籍者は全員、中途退職者は年中の給与等が30万円超なら対象です。その給与支払報告書を市区町村に出せば、前章のとおり税務署へはみなし提出になります。

令和7年分まで(改正前)——「条件を満たす人だけ」

令和7年分までは、次の表に当てはまる人の分だけを税務署に提出していました。年末調整をしたかどうかで、まず二つに分かれます。

年末調整受給者の区分税務署への提出範囲
した (1) 法人の役員(取締役・執行役・会計参与・監査役・理事・監事・清算人・相談役・顧問等。その年中に役員であった方を含む) 150万円超
した (2) 弁護士・司法書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・弁理士・海事代理士・建築士等(所得税法204条1項2号に規定する方)に、給与として支払った場合 250万円超
した (3) 上記(1)(2)以外の方(一般の従業員) 500万円超
しなかった (4)イ 「扶養控除等(異動)申告書」を提出した方のうち、年の中途で退職した方、災害により徴収猶予・還付を受けた方 250万円超
ただし法人の役員は50万円超
しなかった (4)ロ 「扶養控除等(異動)申告書」を提出した方のうち、主たる給与が2,000万円超のため年末調整をしなかった方 全部(金額を問わず提出)
しなかった (5) 「扶養控除等(異動)申告書」を提出しなかった方(月額表・日額表の乙欄もしくは丙欄適用者等) 50万円超

(2)は「士業の方に給与を払った場合」の話です。報酬として支払っているなら、③の「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の対象になります(区分ごとの基準)。ここは混同しやすい分岐です。

「500万円超だけ数える」作業は令和7年分が最後でした 毎年1月に「この人は500万円超か」「役員だから150万円超か」と1人ずつ判定していた作業は、令和7年分(令和8年2月2日提出)で最後です。令和8年分からは判定不要になります。
ただし——この古い提出範囲は、e-Tax等の提出義務の枚数判定でだけ生き残ります。次章で説明します。ここが今回の改正でいちばんの落とし穴です。

支払調書(③〜⑥)の提出範囲

給与以外の4つの支払調書は、令和8年分でも金額基準で提出範囲が決まります。区分ごとの基準と、対象になるものを順に並べます。

③報酬等の支払調書:区分ごとの金額基準

報酬等の区分提出範囲
原稿料・講演料・税理士や弁護士への報酬、プロ野球選手などの報酬・契約金など、法定の報酬等同一人への年合計5万円超
外交員・集金人・検針人・プロボクサーの報酬、ホステス等の報酬、広告宣伝のための賞金同一人への年合計50万円超
医療情報基盤・診療報酬審査支払機構が支払う診療報酬同一人への年合計50万円超。国立病院・公立病院・その他の公共法人等への支払は提出不要
馬主が受ける競馬の賞金1回75万円超の支払を受けた方への、その年中の全支払金額(同じ方への75万円以下の賞金も含む)

④⑤⑥不動産関係の3つの調書:対象になるもの

④⑤⑥は、そもそも提出義務者が限られています 一般の個人事業主は、事務所の家賃を大家さんに払っていても、不動産の使用料等の支払調書を提出する必要はありません。「家賃を払っている=④を出す」と思い込みがちなところです。
不動産関係の3つ(④⑤⑥)を提出しなければならないのは、法人と不動産業者である個人だけです。法人には、国・都道府県等の公法人や人格のない社団等を含みます。主として建物の賃貸借の代理・仲介を目的とする事業を営む方は、不動産業者である個人から除かれます。

④不動産の使用料等

⑤不動産等の譲受けの対価

④⑤で共有者が複数いる場合

⑥あっせん手数料

金額基準は「消費税込み」で判定するのが原則 ③の5万円、④の15万円といったラインは、原則として消費税等の額を含めた金額で判定します。ただし消費税等の額が明確に区分されている場合には、税抜きの額で判定しても差し支えありません。
税理士報酬が月4,500円(税込4,950円)×12か月なら、税込で59,400円・税抜で54,000円。どちらで判定しても5万円超なので提出対象です。しかし境界付近では結論が変わるので、社内で判定基準を統一しておいてください。

税務署・市区町村・本人の3系統を整理する

税務署・市区町村への提出と、本人への交付を区別します。この3系統を取り違えるのが、最大の事故です。図で整理します。

提出先/出すもの 令和7年分まで 令和8年分から(改正後) 居住者に 給与を 払った 会社 税務署 源泉徴収票 条件を満たす人 だけ 役員150万円超/その他500万円超 など 提出しなくてよい 給与支払報告書を出せば 「提出したものとみなす」 市区町村 給与支払報告書 在籍者と一定の退職者 1月1日時点の在籍者すべて 中途退職者は30万円超なら提出 提出範囲は変更なし この1通が、税務署への 提出も兼ねるようになる 従業員 本人 源泉徴収票(交付) 全員分 提出範囲とは無関係。必ず全員へ 変更なし(全員分) 交付義務は残る。省略できない ※ 期限はいずれも1月31日(令和8年分は令和9年2月1日)。中途退職者への交付だけは「退職の日以後1か月以内」
居住者への給与の図です。令和8年分は、市区町村へ給与支払報告書を提出すれば税務署への源泉徴収票はみなし提出になります。税務署への提出が不要になっても、本人への交付を省略してよいわけではありません(交付漏れは罰則の対象です)。

本人への交付は、提出範囲にかかわらず必要です。給与所得の源泉徴収票は、居住者である全受給者に交付します(居住者の外国人を含みます)。

市区町村への提出範囲は「1月1日時点の在籍者」+「30万円超の中途退職者」 給与支払報告書は、原則として翌年1月1日時点で給与の支給を受けている全ての受給者について、その方の1月1日時点の住所地の市区町村へ提出します。
年の中途で退職した方については、退職時の住所地の市区町村へ提出します。ただしその方への給与等の支払金額が30万円以下なら、提出を省略できます(30万円超なら提出)。

給与を支払った事業者の方は、給与支払報告書の対象者と提出先も確認できます(中途退職者には提出省略の条件があります)。

e-Tax等での提出義務(100枚以上→30枚以上)

法定調書は、一定枚数以上になると書面で提出できなくなります。e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等のいずれかによる提出が義務です。この基準が引き下げられます。

いつ提出するもの電子等での提出義務の基準
令和8年12月31日までの提出基準年に提出すべきであった法定調書が 100枚以上
令和9年1月1日以後の提出基準年に提出すべきであった法定調書が 30枚以上

「基準年」とは、提出期限の属する年の前々年(1月1日〜12月31日)です。令和8年分の法定調書は令和9年に提出するので、基準年は令和7年——つまり令和7年中に提出すべきであった法定調書の枚数で判定します。

そして、判定は法定調書の種類ごとに行います。基準年に提出すべきであった枚数が、給与所得の源泉徴収票40枚・報酬の支払調書5枚なら、電子等の義務がかかるのは給与所得の源泉徴収票の側だけです。報酬の支払調書にはかかりません。

基準年に提出すべきであった給与所得の源泉徴収票が30枚以上のときは、市区町村に出す給与支払報告書もeLTAX又は光ディスク等で提出する必要があります。みなし提出の特例で税務署へ源泉徴収票を出さないときも、この義務は残ります。枚数の数え方は次のとおりです。

【最大の落とし穴】枚数は、廃止されたはずの「改正前の提出範囲」で数えます

令和8年分から、給与所得の源泉徴収票の提出範囲は大きく広がりました。ここで「では枚数も全員分で数えるのか」と考えると、間違えます。

国税庁Q&Aの設例(令和11年に給与支払報告書を提出する場合の判定)

基準年である令和9年に、次の2種類の給与支払報告書を提出していた場合の判定です。

基準年に提出したもの枚数改正前の提出範囲
①支払金額600万円・年末調整済の給与支払報告書20枚含まれる(500万円超)
②支払金額40万円・乙欄適用の給与支払報告書15枚含まれない(乙欄で50万円以下)

提出したのは合計35枚ですが、枚数は20枚と判定されます。30枚以上に該当しないため、電子的提出義務はありません。従業員35人の会社なのに「20枚」。頭数で数えると誤判定します。

無料ツール:源泉徴収税額 計算機 合計表の「源泉徴収税額」欄の検算に。給与の月額表(甲欄・乙欄)と、報酬の10.21%/20.42%に対応しています。

合計表の書き方(Ⓐ・Ⓑの2段構造)

合計表の給与欄の主な欄は、「人員」「支払金額」「源泉徴収税額」と、Ⓐ(総額)・Ⓑ(提出するもの)です。ここが最も間違えやすい構造です。

区 分 人員 支払金額 源泉徴収税額 Ⓐ 俸給、給与、賞与等の総額 実人員(丙欄の日雇を除く) 35 128,400,000 4,210,000 Ⓑ 源泉徴収票を提出するもの 税務署に提出する人だけ 6 41,800,000 2,050,000 確定した総額 提出分のみでも可 提出する人だけ みなし提出なら Ⓐ・Ⓑとも 給与欄ごと空欄 Ⓐ と Ⓑ は、集計する範囲だけでなく「前職分」の扱いも違う Ⓐ … 中途入社した人が、入社前に他社から受けた給与・源泉徴収税額は 含めない Ⓑ … Ⓐと異なり、その前職分も 含めて 記載する ※「左のうち、源泉徴収税額のない者」欄には、税額が0の方の人数を記載
税務署に給与所得の源泉徴収票を提出する場合の図で、主なⒶ(総額)とⒷ(提出するもの)の欄を抜粋しています。Ⓑは単なるⒶの内訳ではありません——Ⓐが前職分を除くのに対し、Ⓑは中途入社者の前職分を含めて記載します。そのためⒷの金額がⒶの内数として整合しないことがあり、これは誤りではありません。

Ⓐ「俸給、給与、賞与等の総額」欄

以下は給与所得の源泉徴収票の対象となる居住者の受給者を集計する基本の記載方法です。令和8年分手引では、実際に提出する源泉徴収票についてのみ記載する方法も認められています。図のⒶ欄もこの基本の記載方法を示しています。

「人員」に納付書の人員を書いてはいけません 国税庁の手引がわざわざ注意している、典型的な誤りです。「給与所得・退職所得の所得税徴収高計算書(納付書)」に記載した人員の累計を書かないでください。
「左のうち、源泉徴収税額のない者」欄は税額0の人数 Ⓐの人員のうち、源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄が0(ゼロ)の方の人数を記載する欄です。源泉徴収票の税額欄を確認して集計してください。

Ⓑ「源泉徴収票を提出するもの」欄

その他の欄で間違えやすいところ

書面で提出するときは最新の様式を使用してください 令和8年9月の国税システム更改に伴い、書面で提出する法定調書の様式が変更されています。国税庁ホームページから最新の様式をダウンロードしてください。

出さなかったらどうなるか/訂正のしかた

罰則は「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」

法定調書の不提出には、明確な刑事罰の定めがあります。所得税法242条5号の対象は、225条1項の支払調書・226条1項〜3項の源泉徴収票等を提出期限までに税務署長に提出しなかった者と、偽りの記載・記録をして提出した者です。刑は、同条柱書により「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」と定められています。

「懲役」ではなく「拘禁刑」です 刑法改正により令和7年6月1日から懲役・禁錮が「拘禁刑」に一本化されました。所得税法242条の現行条文も「一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」となっています。「1年以下の懲役」と書いてある解説記事は、改正前の記述です。
本人への「交付」漏れも罰則の対象です(242条6号) 見落とされがちですが、罰則がかかるのは税務署への提出だけではありません。所得税法242条6号は、源泉徴収票を交付の期限までに支払を受ける者に交付しなかった者も、同じく1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象としています。
令和8年分から税務署への提出が不要になっても、本人への交付義務は1ミリも軽くなりません。ここを「提出不要になったから」と混同すると、罰則のある方を落とします。

令和8年分の給与の訂正——市区町村に出し直す

みなし提出を使った令和8年分の給与について誤りが見つかった場合、訂正した給与支払報告書を市区町村に提出すれば、税務署に訂正した源泉徴収票を提出したものとみなされます。税務署に対して別途、無効分・訂正分の源泉徴収票を提出する必要はありません(国税庁Q&A 問12)。

書面での訂正——調書と合計表を「無効分」「訂正分」の4点で提出

税務署に提出済みの法定調書に誤りがあった場合、正しいものを1枚出し直すのではありません。書面の場合、次の4点セットを提出します。

  1. 法定調書(無効分)… 先に提出したものと同じ内容のものを作成し、「無効区分」欄に「1」(無効)を記載する
  2. 合計表(無効分)… 無効とした調書の金額等を記載し、「調書の提出区分」欄に「4」(無効)と記載する
  3. 法定調書(訂正分)… 正しい内容のものを作成し、「無効区分」欄に「0」(新規・追加・訂正)を、「摘要」欄に「訂正分」を記載する
  4. 合計表(訂正分)… 訂正分の調書の金額等を記載し、「調書の提出区分」欄に「3」(訂正)と記載する

電子提出は媒体別の手順です。e-Taxでは無効分と訂正分をそれぞれ合計表と併せて送信します。光ディスク等では誤りのあった調書のデータだけを無効分・訂正分として記録し(「訂正表示」は無効分が半角1、訂正分が半角0)、合計表も併せて提出します。

合計表は、無効分・訂正分それぞれについて「無効・訂正箇所のみ」を記載して提出します。全件を書き直す必要はありません。

支払調書を本人へ交付する義務があるかどうかは、「支払調書とは」の記事にまとめています。提出範囲の金額基準は、この記事の支払調書(③〜⑥)の提出範囲のとおりです。

例外・少数のケース

ここまでは、居住者に給与・退職手当・報酬などを支払う通常の場合の説明です。次の3つは扱いが別になります。

非居住者・外国法人への支払

非居住者・外国法人に、国内で行う人的役務の対価として給与・報酬等を支払う場合は、ここまでの源泉徴収票・支払調書ではなく、別の支払調書を提出します。

詳しい対象・提出枚数は手引の非居住者等への支払の節をご確認ください。

死亡退職で退職手当等を支払った場合

死亡退職により退職手当等を支払った場合は、退職所得の源泉徴収票ではなく、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出します。

公共事業施行者等による買取り

公共事業施行者等が法律の規定に基づく買取り等の対価を支払う場合は、⑤の不動産等の譲受けの対価の支払調書を、その全てについて四半期に1回提出します。提出期限は各四半期末の翌月末日です(令和8年分手引・第6章)。

よくある質問

令和8年分から、法定調書合計表は本当に提出しなくてよくなるのですか?

給与所得の源泉徴収票しか該当がなく、その給与等をすべて給与支払報告書に記載して提出した会社なら、そのとおりです。税務署への給与所得の源泉徴収票の提出が不要になり、それに伴って合計表の提出も不要になります。ただし合計表は6種類の調書の兼用様式です。退職所得の源泉徴収票や報酬の支払調書、不動産の使用料等の支払調書など、他の調書を1枚でも税務署に出すなら、その調書について記載した合計表を併せて提出します。

支払調書を提出しない相手(年5万円以下の報酬など)の金額も、合計表に書きますか?

原則として総額を記載しますが、実際に提出する支払調書だけの記載でも差し支えありません。給与のⒶ欄は、その年に支払が確定した給与等の総額(未払を含む)を記載しますが、実際に提出する源泉徴収票だけの記載でも差し支えありません。不動産の使用料等のⒶ欄も同じ考え方です。みなし提出で税務署に給与所得の源泉徴収票を出さない場合は、給与欄全体が記載不要です。

報酬の支払調書は、支払先本人にも交付しなければいけませんか?

法令上の交付義務はありません。報酬・料金の支払調書は税務署に提出する書類であり、支払先への交付は任意です。慣行として写しを送る会社もありますが、その場合マイナンバーを記載して交付することはできません。一方、給与所得の源泉徴収票は、居住者である全ての受給者への交付が義務づけられています。根拠は所得税法226条で、交付漏れは242条6号の罰則の対象です。

1月31日が土日のときはどうなりますか?

翌開庁日に繰り下がります(国税通則法10条2項)。令和8年分の提出期限にあたる令和9年1月31日は日曜日なので、期限は令和9年2月1日(月)です。なお直前の令和7年分も、令和8年1月31日が土曜日だったため期限は令和8年2月2日(月)でした。2年続けて「1月31日ではない」ので、社内の締切管理を「1/31」で固定していると事故のもとです。

e-Tax等での提出義務は「前々年・種類別に30枚以上」とのことですが、従業員35人なら義務がありますか?

頭数では判定できません。枚数は基準年(提出期限の属する年の前々年)に「提出すべきであった」法定調書の枚数で、しかも改正前の提出範囲(役員150万円超・その他500万円超・乙欄50万円超など)で数えます。国税庁Q&Aの設例では、600万円の年末調整済20人+40万円の乙欄15人=35人の会社でも、乙欄の15人は改正前の範囲に含まれないため20枚と判定され、電子的提出義務なしとなっています。判定は法定調書の種類ごとに行う点にも注意してください。

個人事業主でも、事務所の家賃について不動産の使用料等の支払調書を出しますか?

原則として不要です。不動産関係の支払調書(不動産の使用料等・譲受けの対価・あっせん手数料)の提出義務者は、法人と「不動産業者である個人」に限られています。一般の個人事業主が事務所や店舗の家賃を支払っていても、提出義務はありません。提出が必要になるのは、不動産業者である個人に当たる場合です(主として建物の賃貸借の代理・仲介を目的とする事業を営む方は除かれます)。法人が支払う場合の範囲は不動産関係の3つの調書にまとめています。

次に読む

出典

国税庁「法定調書の作成と提出の手引」「源泉徴収票のみなし提出の特例 Q&A(令和8年4月)」に基づいて作成。

国税庁「令和8年分 法定調書の手引・第4章(診療報酬の提出範囲)」。国税庁「同・第6章(四半期提出の例外)」。国税庁「同・第9章(無効区分を用いる訂正手順)」。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。令和8年分の法定調書の記載要領は、国税庁の令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引でご確認ください。個別の判断は所轄税務署・税理士にご確認ください。

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