介護保険料はいつから引かれる?40歳・65歳と「1日生まれ」の注意点
介護保険料は、40歳の誕生日の前日が属する月分から引かれます。「40歳になった月から」ではないので、1日生まれの人だけ、前の月分から始まります。
- 4月2日生まれ → 誕生日の前日は4月1日 → 4月分から徴収
- 4月1日生まれ → 誕生日の前日は3月31日 → 3月分から徴収(1か月早い)
実際に給与から引かれる月は会社によります。前月分を当月の給与から引く会社なら、4月分は5月支給の給与からです。
給与からの天引きは、65歳の誕生日の前日が属する月の前月分で終わります。65歳からは市区町村が保険料を徴収します。協会けんぽの令和8年度の介護保険料率は1.62%で、本人負担は0.81%です。
給与天引きと労使負担の説明は、会社の健康保険などの被用者保険に入っている人の場合です。国民健康保険の人は、国保の算定・徴収方法によります。
結論:40歳の誕生日の「前日」が属する月分から
介護保険料がかかるのは、介護保険の第2号被保険者です。市町村の区域内に住所がある、40歳以上65歳未満の医療保険加入者を指します。
第2号被保険者になるのは「満40歳に達したとき」です。そしてこの「満40歳に達したとき」=40歳の誕生日の前日です(全国健康保険協会の公式説明)。
この前日が属する月分から、健康保険料と一緒に介護保険料が徴収されます。誕生日が属する月ではありません。
| 誕生日 | 40歳到達日 | 最初の保険料月 | 当月徴収 | 翌月徴収 |
|---|---|---|---|---|
| 4月2日 | 4月1日 | 4月分 | 4月支給から | 5月支給から |
| 4月1日 | 3月31日 | 3月分 | 3月支給から | 4月支給から |
「当月徴収」と「翌月徴収」のどちらかは会社によります。給与明細の開始月だけでなく、何月分の保険料かを確認してください。
40〜64歳でも介護保険料がかからない人は届出が必要な例外に、誕生日に当たる日がない年の数え方はなぜ「前日」なのかにまとめました。
いつまで払う?65歳で終わるのは「給与天引き」だけ
終わりも、始まりと同じルールです。65歳の誕生日の前日が属する月に第2号被保険者でなくなり、本人の第2号保険料の給与天引きは「その前月分」で終わります。
- 4月2日生まれ → 前日は4月1日 → 4月から第1号 → 給与天引きは3月分まで
- 4月1日生まれ → 前日は3月31日 → 3月から第1号 → 給与天引きは2月分まで
| 誕生日 | 最後の保険料月 | 当月徴収の最終支給月 | 翌月徴収の最終支給月 |
|---|---|---|---|
| 4月2日 | 3月分 | 3月支給 | 4月支給 |
| 4月1日 | 2月分 | 2月支給 | 3月支給 |
ただし、ここで多い誤解があります。65歳になっても、介護保険料を払わなくてよくなるわけではありません。65歳以降は第1号被保険者(市区町村の被保険者)になり、市区町村が保険料を徴収します。原則は年金からの天引き(特別徴収)です。
第2号被保険者と第1号被保険者の違い(表で対比)
第2号被保険者の列の給与天引き・労使折半などは、協会けんぽの被保険者の例です。
| 第2号被保険者(40〜64歳) | 第1号被保険者(65歳〜) | |
|---|---|---|
| 保険料の徴収窓口 | 加入している医療保険(協会けんぽ・健保組合など) | 住んでいる市区町村 |
| 保険料の決まり方 | 標準報酬月額 × 介護保険料率(協会けんぽは全国一律) | 市区町村の条例で決めた基準額 × 所得段階 |
| 払い方 | 給与・賞与から天引き(健康保険料と一緒) | 原則年金から天引き(特別徴収)/年金が年18万円未満、または特別徴収開始前等は納付書等(普通徴収) |
| 会社の負担 | あり(労使折半) | なし(本人の第1号保険料) |
| 会社の事務 | 給与計算で控除する | 本人分の徴収なし |
介護保険の保険者は、第1号・第2号とも市区町村です。第2号の保険料は、加入する医療保険者が医療保険料と一体で徴収します。
通常、会社では65歳到達で本人の介護保険料控除が終わります。ただし、健保組合の規約に基づく特定被保険者の徴収・負担は別です。従業員から「65歳になったのに市役所から介護保険料の通知が来た」と相談されたら、それは第1号被保険者としての正しい請求です。
令和8年度の介護保険料率と計算例(東京都・月給30万円)
協会けんぽの令和8年度の介護保険料率は 1.62%(全国一律)です。令和7年度の1.59%から 0.03ポイント引き上げられました。適用は令和8年3月分(4月納付分)からです。任意継続被保険者と日雇特例被保険者は4月分からです。
| 項目 | 令和8年度の料率 | 本人負担(労使折半) | 対象 |
|---|---|---|---|
| 介護保険 | 1.62%(全国一律) | 0.81% | 第2号被保険者(40〜64歳) |
| 健康保険(東京都) | 9.85% | 4.925% | 全員 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23%(全国一律) | 0.115% | 全員(年齢無関係) |
| 厚生年金 | 18.3%(厚生年金基金加入員を除く) | 9.15% | 原則70歳未満 |
健康保険料率は都道府県ごとに違いますが、介護保険料率は協会けんぽなら全国一律1.62%です(健康保険組合の場合は、組合ごとに料率が違います)。子ども・子育て支援金0.23%は令和8年4月分(5月納付分)からの加算です。
東京都・標準報酬月額30万円の人が40歳になったら(令和8年度)
| 本人負担(毎月) | 39歳まで | 40歳から |
|---|---|---|
| 健康保険(+介護保険) | 14,775円 9.85% | 17,205円 11.47%(9.85+1.62) |
| 子ども・子育て支援金 | 345円 | 345円 |
| 厚生年金 | 27,450円 | 27,450円 |
| 合計 | 42,570円 | 45,000円 |
設例の条件:協会けんぽ東京支部の一般被保険者・2026年4月分以降・健康保険と厚生年金の標準報酬月額がともに30万円・厚生年金基金に未加入。「39歳まで」は35歳の例、「40歳から」は第2号被保険者に当たる場合です。雇用保険料は含みません。
この設例では、介護保険料の本人負担が月2,430円増えます(300,000円 × 1.62% ÷ 2 = 2,430円)。月額が同じなら12か月換算で29,160円の保険料負担となり、上限未到達の対象賞与があれば賞与分も加わります。従業員から「今月から手取りが減ったのはなぜ?」と聞かれる典型例がこれです。
無料ツール:社会保険料 計算機 月給・年齢・都道府県を入れるだけ。介護保険料(令和8年度1.62%)の有無を年齢から自動判定し、健康保険料と合算した料率で計算します。賞与にも対応。給与計算の実務で間違えやすい5つの点
1. 「4月分から」と「4月の給与から」は違う
保険料は「◯月分」という月単位で発生します。それをいつの給与から控除するかは会社の方式次第です。多くの会社は前月分を当月の給与から控除(翌月控除)しています。この場合、4月分の保険料が明細に現れるのは5月支給の給与です。
当月徴収・翌月徴収の違いと、給与から引く月の確認方法はこちら。
2. 賞与にも介護保険料はかかる
忘れられがちですが、賞与にも介護保険料がかかります。標準賞与額(1,000円未満切捨)に、月給と同じ合算料率(東京都なら11.47%)を掛けて労使折半します。40歳到達後の賞与では、同額の賞与でも年度上限に達していない場合などに介護保険料の本人負担が増えることがあります。
3. 健康保険料と「合算した料率」で計算してから端数処理する
ここは実務でいちばん静かに間違えるところです。健康保険料と介護保険料を別々に計算して足すと、協会けんぽの公式「保険料額表」と1円ずれることがあります。公式額表は「介護保険第2号被保険者に該当する場合」を合算した1本の料率(東京都なら11.47%)で示しているためです。
| 標準報酬月額 134,000円(東京都・令和8年度) | 本人負担額 |
|---|---|
| ◯ 合算して計算:134,000円 × 11.47% ÷ 2 = 7,684.9円 | 7,685円(公式額表と一致) |
| × 別々に計算:健保 6,599.5円→6,599円 + 介護 1,085.4円→1,085円 | 7,684円(1円少ない) |
別々に計算すると、健保の6,599.5円はちょうど50銭なので切り捨てられ、その1円が消えます。合算してから処理すれば7,684.9円→7,685円。協会けんぽの令和8年度の公式額表(東京支部)では、介護保険第2号被保険者の欄に合算料率11.47%による金額が掲載されています。
給与から控除する本人負担分の端数は、特約がなければ「50銭以下は切捨・50銭超は切上」で処理します。事業主と被保険者の間で特約がある場合は、その特約に従います。
4. 40歳・65歳になっても、届出は不要
「40歳になったので介護保険料額の変更届を出さなければ」と思う必要はありません。日本年金機構は「40歳になったときまたは65歳になったときの届書の提出は不要です」と明記しています。生年月日から自動で判定されます。
ただし、次の場合は「介護保険適用除外等該当・非該当届」が必要です(40〜64歳でも介護保険料がかからない/かかるようになる例外)。
- 海外に転居した/海外から日本国内に居住するようになった
- 介護保険適用除外施設(障害者支援施設など)に入所した/退所した
- 在留資格の期間が3か月を超えないと決定された/超えると決定された
5. 被扶養者(専業主婦など)は自分では払わない。ただし「特定被保険者」に注意
健康保険の被扶養者(会社員の配偶者など)が40歳になっても、その人が個別に介護保険料を払うことはありません。第2号被保険者としての費用は、医療保険全体で負担しているためです。
- 本人:40歳未満または65歳以上
- 被扶養者の配偶者:40歳以上65歳未満
協会けんぽには特定被保険者制度はありません。健保組合に加入している会社は、自社の組合の規約を確認してください。
なぜ「前日」なのか(年齢計算ニ関スル法律・民法143条)
「誕生日の前日に歳をとる」というのは慣習ではなく、法律にそう書いてあります。
年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)は、たった3項の法律です。
② 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
③ 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス
①で「年齢は出生日から数え始める」(誕生日の翌日からではない)と決め、②で民法143条を準用します。その民法143条2項は、こう定めています。
起算日は「出生の日」なので、40年という期間は40回目の誕生日の前日の終了(24時)に満了します。つまり誕生日の前日に満40歳になる——これが「前日」の正体です。
最後の月に誕生日に当たる日(応当日)がない年は、その月の末日に満了します(民法143条2項ただし書)。
4月1日生まれの人が学年で1つ上になるのも、まったく同じ理屈(3月31日に6歳になるため、その学年の4月に入学する)です。介護保険料の「1日生まれは1か月早い」は、それと同じ法律から出ています。
- 介護保険料は40歳の誕生日の前日が属する月分から。1日生まれは前月分から(4月1日生まれ→3月分から)
- 根拠は年齢計算ニ関スル法律+民法143条2項(誕生日の前日に満了=前日に歳をとる)
- 給与天引きは65歳の誕生日の前日が属する月の前月分まで。以後は第1号被保険者として市区町村へ(原則、年金から天引き)
- 令和8年度の介護保険料率は1.62%(協会けんぽ・全国一律、令和8年3月分から)。本人負担は0.81%
- 健康保険料と合算した料率で計算してから端数処理する(別々に端数処理して足すと、一部の等級で公式額表と1円ずれることがあります)
よくある質問
40歳になった月の給与から、すぐに介護保険料が引かれますか?
給与明細に現れるのは1か月後になるのが一般的です。保険料は「40歳の誕生日の前日が属する月分」から発生しますが、前月分を当月の給与から控除する(翌月控除)会社が多いためです。まず自社が当月控除か翌月控除かを確認してください。
4月1日生まれです。3月分から介護保険料が引かれるのは間違いではないですか?
間違いではありません。正しい取扱いです。年齢計算ニ関スル法律により、4月1日生まれの人は3月31日に満40歳になります。その日が属する月は3月なので、3月分から介護保険料がかかります。1日生まれの人だけ、他の人より1か月早く始まります。
65歳になったら介護保険料は払わなくてよくなりますか?
いいえ。給与天引きが終わるだけで、保険料の負担は続きます。65歳以降は市区町村の第1号被保険者となり、原則として年金から天引き(特別徴収)されます。年金額が年18万円未満の場合は、納付書や口座振替による普通徴収になります。会社負担(労使折半)がなくなるため、負担感はむしろ増えることがあります。
専業主婦の妻が40歳になりました。介護保険料は増えますか?
健康保険の被扶養者は、個別に介護保険料を負担しません。夫(第2号被保険者)の保険料が増えることもありません。ただし健康保険組合によっては、被扶養者が40歳以上65歳未満のときに、被保険者から保険料を徴収する規約があります(協会けんぽにはこの制度はありません)。条件は「特定被保険者」制度にまとめました。
賞与にも介護保険料はかかりますか?
かかります。標準賞与額(賞与額の1,000円未満切捨)に、健康保険料と合算した料率(東京都・令和8年度なら11.47%)を掛けて労使折半します。40歳到達後の賞与では、同額の賞与でも年度上限に達していない場合などに介護保険料の本人負担が増えることがあります。
令和8年度の介護保険料率はいくらですか?
協会けんぽの令和8年度の介護保険料率は1.62%(全国一律)で、労使折半のため本人負担は0.81%です。令和7年度の1.59%から引き上げられ、令和8年3月分(4月納付分)から適用されます。健康保険組合の場合は、組合ごとに料率が異なります。
出典
全国健康保険協会・厚生労働省・e-Gov法令検索の一次情報に基づいて作成。
- 全国健康保険協会「協会けんぽの介護保険料率について」(令和8年3月分〈4月30日納付期限分〉から1.62%)
- 全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」(都道府県毎の保険料率/子ども・子育て支援金率0.23%)
- 全国健康保険協会 茨城支部「介護保険制度と介護保険料について」(「満40歳に達したとき」=40歳の誕生日の前日/65歳到達時の取扱い)
- 全国健康保険協会「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」
- e-Gov法令検索「年齢計算ニ関スル法律」(明治35年法律第50号)/「民法」(明治29年法律第89号)第143条
- e-Gov法令検索「介護保険法」(平成9年法律第123号)第9条・第129条・第131条・第135条/「介護保険法施行令」(特別徴収の対象となる年金額 年18万円)
- 日本年金機構「介護保険第2号被保険者に該当したとき、該当しなくなったとき」(40歳・65歳到達時の届出は不要)
- 厚生労働省「介護保険制度について(40歳になられた方(第2号被保険者)向け)」
- e-Gov法令検索「健康保険法」
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は年金事務所・社会保険労務士にご確認ください。