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社会保険の加入条件|パートの4分の3基準と週20時間を図解

パート・アルバイトは、次の①か②のどちらかに当たれば、勤め先の社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入します。

②にあった月8.8万円(いわゆる106万円の壁)の賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されました。

どちらも、勤め先が社会保険の適用事業所であることが前提です。年齢の上限や短期の雇用などの例外は、例外・少数のケースにまとめました。

結論:加入の主な入口は2つ。まずここを分ける

4分の3基準、次に適用拡大の要件を順番に確認します。なお、短時間正社員は所定労働時間の長短にかかわらず被保険者になります(日本年金機構Q&A集 問49)。どの場合も、年齢の上限や短期の雇用などの例外に当たらないことが前提です。

社会保険の適用事業所で働いている 質問1 正社員(短時間正社員を含む)ですか? はい 加入(年齢の上限あり) いいえ 質問2 週の所定労働時間 と 月の所定労働日数 が どちらも 通常労働者の 4分の3以上 ですか? = 4分の3基準 はい 加入する(入口①) いいえ 質問3 次の4つをすべて満たしますか? (月8.8万円の賃金要件は2026年10月1日に撤廃) ・週の所定労働時間が 20時間以上 ・2か月を超える雇用の見込みがある ・学生でない(対象になる学生は本文) ・従業員51人以上の会社などに勤めている (特定適用・任意特定適用・国等の事業所) はい 加入する(入口②) = 適用拡大・短時間労働者 いいえ 入口①②には当たらない 扶養・国民健康保険などを確認(例外は本文)
社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するかどうかの判定フロー。適用事業所で働いていることを前提に、質問1から順に判定します。質問2が入口①、質問3が入口②です。4分の3の比較相手は、同じ事業所で同様の業務に従事する通常労働者です。
入口① 4分の3基準入口② 適用拡大
見るもの同じ事業所の通常労働者と比べた働く量週20時間以上などの決まった水準
企業規模関係ない従業員51人以上の会社など
賃金の要件ないない(月8.8万円の要件は2026年10月1日に撤廃)
学生学生でも加入対象外。ただし休学中・夜間など一部の学生は対象
人数だけでは加入の有無は決まらない 適用事業所で働き、年齢等の一般的な適用除外に該当せず、4分の3基準を満たすパートは人数にかかわらず加入対象です。例えば通常労働者が週40時間・月20日の事業所なら、週30時間・月16日のパートは時間と日数の両方で4分の3以上となります。適用拡大でも、任意特定適用事業所や国・地方公共団体の事業所は人数にかかわらず対象です。

正社員・フルタイムも、適用事業所・年齢・適用除外を確認

正社員・フルタイムの人も、勤め先が適用事業所で、次の年齢に当たれば加入します。

日本年金機構の制度案内は、適用事業所に使用され、加入要件を満たす人は国籍を問わず被保険者になると説明しています。強制加入の要件を満たす人は、加入するかどうかを本人の希望で選べません。強制加入に該当する人の「保険料を引かれたくないので入りません」は通りません。

外国籍の従業員も、同じ要件で被保険者になります。そのうえで、短期間で帰国する人については、納めた保険料の一部を一時金で受け取る道が別に用意されています(脱退一時金とは)。加入要件を満たす人の加入手続きと、退職後の給付の確認は分けて扱います。

学生も、正社員として働く人や4分の3基準を満たす人は加入します。日本年金機構のQ&A集も「学生であっても、適用事業所に使用され4分の3基準を満たす場合は、正社員等と同様に一般被保険者として健康保険・厚生年金保険の被保険者となります」と明記しています。「学生でない」は入口②だけの要件です。

入口①:4分の3基準

まず確認するのはここです。基準は1つで、時間と日数の両方を見ます。

4分の3基準 1週の所定労働時間 と 1月の所定労働日数 が、同じ事業所で同様の業務に従事する通常の労働者(正社員)の4分の3以上であること。

「かつ」です。どちらか一方ではありません。正社員が週40時間・月20日勤務の会社なら、こうなります。

同じ事業所・同様業務の通常労働者の所定4分の3のラインパートの所定と判定
週40時間・月20日週30時間 かつ 月15日週32時間・月16日 → ①を満たす
週32時間・月12日(週3日の長時間勤務) → ①は満たさない(日数が足りない)
週24時間・月20日 → ①は満たさない(時間が足りない)

①を満たさなかった人だけが、入口②(適用拡大)の判定に進みます。上の例の下2行は、週20時間以上なので②の判定対象です。

所定労働時間を確認する 週の所定労働時間は、就業規則や雇用契約書等で定めた通常の週に勤務すべき時間で、残業時間は原則含めません。契約と実際の勤務が異なる場合は、勤務記録と契約内容をそろえ、加入要件や資格取得日を年金事務所に確認してください。

入口②:適用拡大(短時間労働者)の要件

4分の3基準に届かないパート・アルバイトも、次の4つをすべて満たせば加入対象です。2026年9月30日までは「所定内賃金が月額8.8万円以上」も要件で、5つでした。

#要件ポイント
1週の所定労働時間が20時間以上「以上」なので、ちょうど20時間なら該当。残業時間は原則含めない(数え方)
22か月を超える雇用の見込み継続して2か月を超える見込みを確認
3学生でない休学中・定時制・通信制・夜間などの学生は、学生でも対象(下の一覧)
4従業員51人以上の会社など特定適用事業所(51人以上)・任意特定適用事業所・国や地方公共団体の事業所のどれか
—所定内賃金が月額8.8万円以上
(2026年10月1日に撤廃)
2026年9月以前に遡って資格を取得する場合は、旧賃金要件も必要(旧賃金要件の章)

※ 最低賃金の減額の特例許可を受け、所定内賃金が月8.8万円未満の人は別扱いです(減額特例)。短期の雇用などで被保険者とされない人は例外・少数のケースを確認してください。

加入した場合の手取りの変化を試すなら、年収の壁シミュレーターを使えます。

週20時間の数え方

見るのは契約上の所定労働時間です。週単位で決まっていないときは、次のように週の時間に直します(日本年金機構Q&A集 問30〜33)。

所定労働時間が週20時間未満でも、実際の労働時間が連続する2か月で週20時間以上となり、その状態が続いている、または続くと見込まれる場合は別です。ほかの加入要件も満たせば、週20時間以上となった月の3か月目の初日に資格を取得します(Q&A集 問34)。

学生でも入口②の対象になる人

入口②では学生は対象外ですが、次の人は学生でも、ほかの要件を満たせば加入対象です(健康保険法施行規則23条の6・厚生年金保険法施行規則9条の6、日本年金機構Q&A)。

※ 夜間・通信の項目は、大学・大学院・短期大学の学部・研究科・学科です。専修学校の夜間等学科・通信制の学科、各種学校や準ずる教育施設の夜間の課程・通信の課程も同じです。

対象外になる「学生」は、次の学校に在学する生徒・学生です。高等学校・中等教育学校・特別支援学校(高等部)・大学(大学院を含む)・短期大学・高等専門学校・専修学校・各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)と、これらに準ずる教育施設です。

自分の学校・課程がどれに当たるか分からないときは、勤め先か年金事務所に確認してください。

「従業員51人」はどう数えるか

ここも間違いが多いところです。数えるのは雇っている人の頭数ではなく、厚生年金保険の被保険者数です。

50人以下の会社でも加入できる(任意特定適用事業所)

企業規模要件を満たさない会社でも、労使の同意を得て事業主が申し出ることで、任意特定適用事業所になれます。任意特定適用事業所になると、加入要件に該当するすべての短時間労働者が加入対象になります。

同意は「同意対象者」から得ます。全従業員ではありません。

※ 70歳以上被用者は、過去に厚生年金の加入期間があり、70歳未満なら短時間労働者を含む被保険者要件を満たす働き方の人に限ります。特定適用事業所の「不該当届」に要る同意は、同じ3つの方法で、過半数・2分の1以上の代わりに4分の3以上が基準です。

無料ツール:社会保険料 計算機 加入後の本人負担を計算できます。

たとえば協会けんぽ東京・報酬月額10万円・30歳なら、標準報酬月額は98,000円です。本人負担は、健康保険4,826円+子ども・子育て支援金113円+厚生年金8,967円=月13,906円になります。

勤め先が保険料調整制度を使う場合、短時間労働者として加入する人の本人負担は、この額より少なくなります。

2026年10月1日に「106万円の壁」が消えた|今後の改正

2025年6月20日に公布された令和7年 年金制度改正法により、入口②の要件は今後10年かけて段階的に緩みます。ここが古い記事との最大の差です。

2026年9月まで 企業規模 51人以上 + 所定内賃金 月8.8万円以上 2026年10月 現在 — 賃金要件(月8.8万円)を撤廃(10/1) = いわゆる「106万円の壁」が消えた(企業規模は51人以上のまま) 2027年10月 企業規模要件を 36人以上 へ引下げ 2029年10月 企業規模要件を 21人以上 へ引下げ + 常時5人以上の個人事業所の業種要件を撤廃※ 2032年10月 企業規模要件を 11人以上 へ引下げ 2035年10月 企業規模要件を 撤廃(適用事業所が対象)
令和7年 年金制度改正法による適用拡大のスケジュール(厚生労働省「短時間労働者の社会保険の加入拡大のポイント」令和8年1月作成 等より作成)。人数は厚生年金保険の被保険者数で、数え方は「従業員51人」はどう数えるかのとおりです。国・地方公共団体に属する事業所は被保険者数を問わず対象です。

※2029年10月の個人事業所の適用拡大では、施行時点で既に存在する非適用業種の事業所は当分の間、対象外です(厚生労働省の適用拡大の案内)。

賃金要件(月8.8万円)の撤廃 — 2026年10月1日

最低賃金以上で週20時間以上働く場合は所定内賃金が月額8.8万円以上となるため、賃金要件は2026年10月1日に撤廃されました。最低賃金の通常額が、全都道府県で時給1,016円を超えたためです。

時給1,016円で週20時間働くと、月額賃金は自動的に8.8万円以上になります(1,016円 × 20時間 × 52週 ÷ 12か月 ≒ 88,053円)。要件が形骸化したので撤廃した、というのが理屈です。

2026年10月1日からは、減額特例の対象者を除いて、賃金の額を理由に短時間労働者が加入から外れることはなくなりました。学生・雇用期間・企業規模の要件は残っています。残る中心は週20時間以上です。

本人負担を軽くする「保険料調整制度」(2026年10月から)

保険料調整制度は、対象となる事業所の事業主が、短時間労働者の健康保険料・厚生年金保険料の一部を一時的に追加で負担することで、本人の負担を軽くする仕組みです。2026年10月に始まりました。ただし使える事業所は限られ、事業主が期限内に申し出たときだけ使えます。

働く人から見た要点

  • 対象となる人:制度を使う事業所で短時間労働者として加入している、標準報酬月額126,000円以下の人です。4分の3基準で加入する人は含みません
  • 事業所単位の制度:その事業所の対象者すべてに適用され、希望した人だけが使うことはできません
  • 期間:事業所が制度の利用を申し出た月から通算3年間が経過する月まで
  • 将来受け取る年金額は減りません

対象外の人は次のとおりです。

  • 70歳以上で任意に厚生年金保険に加入している高齢任意加入被保険者。70歳以上の被保険者は健康保険料だけが制度の対象です
  • 複数の事業所で健康保険・厚生年金保険に加入している人
  • 産前産後休業・育児休業等の期間中で保険料が免除されている人

軽減の中身:賞与を除く健康保険料・厚生年金保険料について、保険料全額に対する本人負担の割合が、標準報酬月額に応じて次のように下がります(通常は50%)。賞与にかかる保険料・介護保険料・子ども・子育て支援金は軽減されません。

標準報酬月額制度開始月から通算1〜2年目の本人負担通算3年目の本人負担
88,000円以下25%37.5%
98,000円30%40%
126,000円48%49%

事業主向け:対象となる事業所と手続き

対象となる事業所は、次の1〜4のいずれかに当たる事業所です。

  1. 2026年10月1日〜2035年9月30日に任意特定適用事業所になった事業所
  2. 2027年10月1日以降の企業規模の引下げで、新たに特定適用事業所になった事業所。厚生年金保険の被保険者数が、2027年10月から36〜50人、2029年10月から21〜35人、2032年10月から11〜20人、2035年10月1日に10人以下の事業所です
  3. 任意適用事業所のうち、2027年10月1日〜2035年9月30日に厚生年金保険の被保険者数が51人以上となったことで特定適用事業所になった個人事業所
  4. 2035年10月1日以降に任意適用事業所になった個人事業所。被保険者数を問いません
  • 対象外の事業所:上の1〜4に当たっても、2026年10月1日時点ですでに特定適用事業所(任意特定適用事業所を含む)になっている事業所と、1〜4のいずれかに当たる前に被保険者数が常時51人以上となった事業所は対象外です
  • 人数の数え方:「従業員51人」の数え方と同じです。たとえば2026年10月1日時点で特定適用事業所だった会社で新しく加入する人は、この制度では軽減されません
  • 事業主の申出が必要:申出期限は、1〜4に当たった日から2年を経過した日が属する月の前月までです。複数に当たるときは、最初に当たった日から数えます。期限内に申出がなければ使えません
  • 申出期限の例:2026年10月中に任意特定適用事業所になった事業所は、2028年9月末までに「保険料調整開始申出書」を提出します
  • 対象者が0人になったとき:申出期限内なら自動で停止し、停止していた期間は通算3年間に数えません。再開は期限内の申出を受け付けた月からで、さかのぼれません。期限後に0人になっても停止せず、通算は進みます
  • 事業主の負担:事業主が追加で負担した分は、いったん納付したあと、3か月後の保険料額から差し引く形で還付されます。保険料を翌月末の納付期限までに納めず、督促状の指定する期限までにも納めなかった月の追加負担分は還付されません
  • 途中でやめられない:制度の利用を事業主の申出で途中でやめることはできません

雇用保険とは条件が違う(混同しない)

「週20時間」という同じ数字が出てくるため、社会保険と雇用保険はよく混同されます。別の制度で、別の条件です。雇用保険の側の条件(31日以上の雇用見込み・学生の例外・掛け持ちの扱い)は雇用保険の加入条件で条文の書き方どおりに整理しています。

社会保険(健康保険・厚生年金)雇用保険
労働時間同じ事業所の通常労働者の4分の3以上、または週の所定労働時間20時間以上週20時間以上
雇用期間2か月を超える見込み31日以上の雇用見込み
賃金の要件なし(入口②の月8.8万円の要件は2026年10月1日に撤廃)なし
企業規模入口②は従業員51人以上の会社など。入口①は関係ないなし(1人の会社でも加入)
学生入口②は対象外(休学中・夜間など一部の学生は対象)。入口①は学生でも加入昼間学生は原則対象外
今後入口②の企業規模要件を段階的に引き下げ、2035年10月に撤廃2028年10月から週10時間以上に拡大

※ 社会保険の列は主な要件だけを並べています。ほかの要件と例外は、上の各章と例外・少数のケースを確認してください。

従業員10人の会社で週20時間働くパートでも、4分の3基準を満たす場合や、任意特定適用事業所・国等で適用拡大のほかの要件を満たす場合は社会保険の加入対象です。雇用保険も週20時間だけでなく、雇用見込みや適用除外などの要件を別に確認します。「雇用保険に入っているのだから社会保険も入っているはず」は成り立ちません。

なお雇用保険は、2028年(令和10年)10月1日から週の所定労働時間10時間以上に引き下げられます。週12時間のアルバイトが雇用保険に入る時代になります。

106万円の壁と130万円の壁の関係

この2つは本人の加入と被扶養者の認定という異なる基準です。混同せず別々に判定します。

106万円の壁130万円の壁
正体入口②の賃金要件だった、所定内賃金月8.8万円(2026年10月1日に撤廃)健康保険の被扶養者の収入基準(一般は年収130万円未満)
基準額以上になった場合2026年9月30日までは、ほかの加入要件も満たすと自分が勤め先の社会保険に加入した家族(配偶者・子・親など)の扶養から外れる
誰に効くか入口②の対象事業所で働き、4分の3基準を満たさない人(2026年9月30日まで)家族の健康保険の扶養に入る人
判定2026年9月30日までは月額の所定内賃金で判定していた(含めなかった賃金)今後1年の見込み年収で判定
今後2026年10月1日に撤廃済み継続

130万円の壁(被扶養者の収入基準)の中身は次のとおりです。

順番はこうです。まず「自分が社会保険に入るか」を判定し(入口①②)、入らないと決まって初めて「扶養に入れるか」を見る。日本年金機構のQ&A集(令和6年10月施行分;賃金要件があった当時の版)も「年収が130万円未満であっても、4分の3基準又は4要件を満たした場合は、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります」としています。

入口①か②で加入する人は、年収が130万円未満でも自分で社会保険に加入し、被扶養者ではなくなります。年収100万円・週20時間という条件だけでは加入を断定できません。扶養に該当せず勤め先でも加入しない場合は、年齢等に応じ国民健康保険・国民年金等の手続きを確認します。

19〜22歳は「130万円の壁」が150万円に(一定の障害者は180万円未満) 扶養認定日が令和7年10月1日以降で、認定を受ける方が配偶者以外で19歳以上23歳未満である場合、収入要件は「年間収入130万円未満」から「150万円未満」に変わりました。ただし一定の障害者は、19〜22歳でも年間収入180万円未満の別基準です。学生の子をアルバイトで扶養に入れている家庭は、ここが緩んでいます。一方で、社会保険の加入要件そのものは変わりません。入口①か②で加入する人は、150万円未満でも本人が加入します。

「月8.8万円」に何を含めていたか(2026年9月30日までの賃金要件)

賃金要件は2026年10月1日に撤廃されたので、この章は2026年9月30日までの判定の説明です。8.8万円の判定に使っていたのは「所定内賃金」で、基本給と諸手当の合計から、次の4つを除いた額でした(日本年金機構Q&A集 問39)。

旧賃金要件の判定で含めなかった賃金具体例
① 臨時に支払われる賃金結婚手当 など
② 1月を超える期間ごとに支払われる賃金賞与 など
③ 時間外・休日・深夜労働に対して支払われる賃金残業代・割増賃金
④ 最低賃金法で算入しないことを定める賃金精皆勤手当・通勤手当・家族手当

食事や住宅などの現物給付は、①〜④に当たらなければ含めていました(Q&A集 問41)。標準報酬月額のもとになる報酬月額は別の物差しで、こちらは時間外手当・精皆勤手当・通勤手当なども含めます。

残業代を含めて判定する例外もありました。所定労働時間が週20時間以上で所定内賃金が月8.8万円未満の人が、恒常的に実際の労働時間が増え、連続する2か月で賃金が月8.8万円以上となり、その状態が続いている、または続くと見込まれる場合は、名目上の時間外労働の賃金も含めて判定していました。この場合は、3か月目の初日に資格を取得していました(Q&A集 問40)。

4分の3基準を満たさない人の賃金要件の例(2026年9月30日まで) 月給の総額が9万円でも、そのうち通勤手当が5,000円・残業代が3,000円なら、所定内賃金は82,000円。8.8万円未満なので、2026年9月30日までは適用拡大の賃金要件を満たしませんでした。10月1日からは賃金の要件がないため、ほかの要件を満たせば加入します。給与明細の「支給合計」と、適用拡大の所定内賃金は別のものとして判定していました。

撤廃後も月額8.8万円が意味を持つのは、次の2つの場合です。

「4要件」と書く記事と「5要件」と書く記事があった理由

賃金要件が撤廃される前(2026年9月30日まで)、日本年金機構のQ&A集(令和6年10月施行分)は、短時間労働者の要件を「4要件」と呼んでいました。①週20時間以上 ②所定内賃金8.8万円以上 ③学生でない ④特定適用事業所等に使用されていること、の4つを指していました。「2か月を超える雇用の見込み」が入っていません。

これは抜けているのではなく、位置づけが違うからです。2022年9月までは短時間労働者だけに「1年以上の雇用見込み」という固有の要件がありました。2022年10月にこれが廃止され、フルタイムの人と共通の一般ルール(2か月を超えて使用される見込み)に統合されたのです。

だから撤廃前は、「短時間労働者に固有の要件」を数えると4つ、「実際に確認すべきこと」を数えると5つでした。賃金要件がなくなった2026年10月1日からは、それぞれ1つずつ減って3つと4つです。

「106万円の壁」は、実は基準ではありませんでした

賃金要件があった当時のQ&A集(令和6年10月施行分)は明快でした。「所定内賃金が月額8.8万円以上であるかないかのみに基づき、要件を満たすか否かを判定します(年収106万円以上というのはあくまで参考の値です)」としています。

8.8万円×12か月=105.6万円をまるめたのが「106万円」であって、年収で判定していたのではありません。したがって「賞与を足したら年収が110万円になった」としても、賞与は②で除外されるため、加入要件には影響しませんでした。

例外・少数のケース

ここまでの判定の前提と、当てはまる人が少ないケースをまとめます。自分に関係する項目だけ確認してください。

勤め先が適用事業所かどうか

加入が義務づけられている適用事業所は、株式会社などの法人の事業所と、従業員が常時5人以上いる個人の事業所です。個人の事業所は、農林漁業・サービス業などの場合を除きます。これ以外の事業所も、従業員の半数以上の同意と厚生労働大臣の認可で適用事業所になれます。

法人の事業所でも、学校法人の事業所は私立学校教職員共済制度に加入します。

短期の雇用などで被保険者とされない人

次の人は被保険者とされません。ただし一定の期間を超えて雇用される場合は、右の列のとおり被保険者になります(日本年金機構「適用事業所と被保険者」)。

被保険者とされない人被保険者になる場合
日々雇い入れられる人1か月を超えて引き続き使用されるようになった日から
2か月以内の期間を定めて使用される人その期間を超える雇用の見込みがあれば、契約当初から
季節的業務(4か月以内)に使用される人継続して4か月を超える予定なら、当初から
臨時的事業の事業所(6か月以内)に使用される人継続して6か月を超える予定なら、当初から
所在地が一定しない事業所に使用される人いかなる場合も被保険者になりません

年齢の例外

最低賃金の減額特例を受けている人(8.8万円が残るケース)

最低賃金法には、一定の場合に最低賃金の減額を許可する特例があります。この許可を受けた短時間労働者のうち、所定内賃金が月額8.8万円未満の人を「特定減額特例対象者」といいます。特定減額特例対象者は、原則として健康保険・厚生年金保険の加入対象ではありませんが、申し出れば任意で加入できます。

同じ事業所で働き続けたまま区分が変わる場合は、資格が続きます。一般の被保険者や短時間労働者が特定減額特例対象者になった場合、資格取得の申出は不要で、「被保険者区分変更届」を出します。逆に、特定減額特例対象者である被保険者が対象者でなくなり、同時に一般の被保険者や短時間労働者に当たる場合も、資格は続き、被保険者区分変更届を出します。

国・地方公共団体の事業所で働く短時間労働者

国等(一部の独立行政法人等を含む)に勤務する短時間労働者の医療は共済組合の短期給付で、健康保険の徴収・給付は行いません。

2016年10月1日より前から加入している人

2016年10月1日の新しい4分の3基準を満たさなくても、施行前から被保険者だった人は、引き続き同じ事業所に雇用されている間は被保険者のままです。

まとめ
  • 加入の主な入口は2つ。①4分の3基準(企業規模も賃金も無関係)→ ②適用拡大の4つの要件
  • ②の要件は、週の所定労働時間20時間以上・2か月超の雇用見込み・学生でない・従業員51人以上の会社など、の4つ
  • 月8.8万円の賃金要件は2026年10月1日に撤廃済み。2026年9月以前に遡る場合と、最低賃金の減額特例を受けている人には、8.8万円の基準が残ります
  • 企業規模要件は2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上へ引き下げ、2035年10月に撤廃
  • 雇用保険は別条件(週20時間・31日以上・企業規模なし。2028年10月から週10時間以上)

よくある質問

週20時間ちょうどでも社会保険に加入しますか?

ほかの加入要件も満たせば加入します。時間要件は「週の所定労働時間が20時間以上」なので、ちょうど20時間は該当します。判定に使うのは契約上の「所定」労働時間で、残業時間は原則含めません。

契約は週18時間ですが、実際は毎週22時間働いています。どうなりますか?

実際の労働時間が連続する2か月で週20時間以上となり、その状態が続いている、または続くと見込まれる場合は、3か月目の初日に資格を取得します(ほかの加入要件も満たす場合)。週の所定労働時間は契約で定めた時間で見るのが基本ですが、これはその例外です。契約と実際の勤務が異なる状態が続いているなら、勤務記録と契約内容をそろえて年金事務所に確認してください。

学生アルバイトは社会保険に入らなくてよいのですか?

4分の3基準を満たせば、学生でも加入します。「学生でない」は適用拡大(入口②)だけの要件です。入口②でも、休学中の人、定時制・通信制の課程や夜間の学部・学科等に在学する人、卒業後も同じ事業所に引き続き使用されることになっている卒業予定の人などは、ほかの要件を満たせば対象です。

2社を掛け持ちしています。労働時間は合算しますか?

合算しません。日本年金機構Q&A集は「被保険者資格の取得要件を満たすか否かについては、各事業所単位で判断を行うこととしており、2か所以上の事業所における所定内賃金や労働時間を合算することはしません」としています。両方の会社でそれぞれ要件を満たした場合のみ、両方で被保険者となり「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。

「従業員51人」にアルバイトは含めますか?

数えるのは厚生年金保険の被保険者数です。共済組合員を含め、適用拡大による短時間労働者を除いて数えます。週20時間台でも4分の3基準による被保険者は数に含めます。法人事業所は、法人番号が同一のすべての適用事業所を合計します。

従業員50人以下の会社では、パートは社会保険に入れないのですか?

入れます。適用事業所で4分の3基準を満たすパートは、企業規模に関係なく加入対象です。それに届かない短時間労働者も、勤め先が労使の同意を得て「任意特定適用事業所」になれば、入口②の要件で加入できます。企業規模要件そのものも段階的に引き下げられ、2035年10月に撤廃されます。

次に読む

出典

保険料の試算は協会けんぽ東京支部の令和8年度保険料額表の折半額と給与控除時の端数処理に基づきます。19歳以上23歳未満の扶養収入基準の対象・年齢判定は日本年金機構の案内を参照してください。

日本年金機構・厚生労働省の公表資料(令和8年1月作成分を含む)に基づいて作成。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は年金事務所・社会保険労務士にご確認ください。

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