上の判定機で、文書の種類と金額から一般的な収入印紙の額を試算できます。以下では、領収書の「5万円」の境界と消費税の扱い、契約書の軽減税率、第1号〜第20号文書の印紙税額一覧表など、判定のしくみを解説します(一般的な説明であり、個別の税務相談ではありません)。
使い方と注意点
- 文書の種類を選びます
- 文書に記載された金額を入力します。金額の記載がなければチェックを入れます
- 消費税額等が区分記載されていれば、その額を入力して判定します
この判定機で試算できない文書
次の文書は、表示される一般税額を使わず、国税庁の一覧・特例を確認してください。
- 複数の号に当たる文書。第1号と第3〜17号に当たり第1号に所属する文書には、1万円未満の非課税がありません
- 号ごとの非課税文書。第6号の公証人保存以外の株式会社等の定款、第8号の信用金庫等の預入額1万円未満の証書、第13号の身元保証契約など
- 有価証券や、第8号・第12号・第14号・第16号の文書に追記した受取書(非課税)
- 国・地方公共団体などが作成した文書(印紙税法5条の非課税文書)
- 災害被災者等の非課税特例の対象になる文書
- 第19号・第20号の通帳・判取帳に高額の取引を付け込んだ部分。第1号・第2号・第17号の文書を作成したものとみなされます(印紙税法4条4項)
領収書はいくらから? — 5万円の境界と消費税
領収書に印紙が要るかどうかは、営業に関する紙の売上代金の領収書なら記載金額5万円が境界です。
営業に関する紙の、売上代金だけの領収書(17号文書): 記載金額5万円未満は非課税(印紙不要)、5万円以上100万円以下は200円。
営業に関する売上代金の領収書は、100万円を超えると400円・600円…と金額の階級ごとに上がります(下の一覧表参照)。借入金や保険金など売上代金以外の受取書は、営業に関するものなら、5万円以上は金額によらず200円です。
ここで実務の急所が消費税です。国税庁 No.6925 は、課税事業者が作成する受取書(17号)について、消費税額等が区分記載されていれば記載金額に含めないと定めています。つまり税込5万円を少し超えていても、消費税を区分記載すれば「記載金額」が5万円未満になり、印紙が不要になるケースがあります。
17号文書には「営業に関しないものは非課税」という大きな例外があります。ここでいう営業とは営利を目的として同種の行為を反復継続することで、株式会社などの営利法人や個人商人の行為は営業ですが、公益法人や、商人でない個人の行為は営業に当たりません(国税庁 No.7105)。個人が事業と関係なくマイホームやマイカーを売った代金の領収書に印紙は不要です。
なお、売上代金とそれ以外が1枚に混ざった受取書は、区分記載できるときは売上代金側の金額で税額を決めますが、「5万円未満で非課税かどうか」だけは合計額で判定します(No.7141 注1・No.7105)。区分できないときは、売上代金以外と明らかな部分を除いた金額を、売上代金の金額とします。
契約書の収入印紙 — 不動産と建設工事には軽減税率
契約書は号ごとに階級表が違います。特に大事なのが、不動産の譲渡に関する契約書(1号)と建設工事の請負に関する契約書(2号)には期間限定の軽減税率があることです(租税特別措置法91条・国税庁 No.7108。適用期間: 平成26年4月1日〜令和9年3月31日に作成されたもの)。
- 不動産売買契約書 … この期間に作成され、契約金額10万円超のものが軽減。例: 3,000万円の売買契約書は本則2万円 → 軽減1万円
- 工事請負契約書 … この期間に作成され、契約金額100万円超のものが軽減。例: 5,500万円の工事請負契約書は本則6万円 → 軽減3万円(国税庁 No.7108 の計算例)
- 軽減があるのはこの2種類だけです。金銭借用・運送契約、建設工事以外の請負だけの契約は本則です
- 不動産譲渡契約や建設工事請負契約に、同じ号のほかの事項を併記した場合は、全体が軽減対象です
もうひとつ経理実務で頻出なのが7号文書(継続的取引の基本となる契約書)です。特約店契約書・代理店契約書・銀行取引約定書など、特定の相手方との継続的な取引の基本となる契約書のうち、政令で定めるものが該当します。金額によらず1通4,000円です。契約期間の記載が3か月以内で、更新の定めがないものは除かれます。名称だけでは決まらないので、契約の内容で確認してください。
印紙税額の一覧表(第1号〜第20号文書)
国税庁 No.7140/No.7141(令和8年4月1日現在法令等)に基づく印紙税額の一覧です。金額の階級は「以下」がその階級に含まれ、「超え」は含まれないことに注意してください。
| 号 | 文書の種類 | 印紙税額(1通または1冊につき/第18号〜第20号の通帳・判取帳は1年ごと) |
|---|---|---|
| 読み込み中… | ||
金額の記載がない文書・電子契約の扱い
契約金額・受取金額の記載のない1号・2号・15号・16号・17号文書は200円です(17号の営業に関しない受取書は非課税)。「金額を書いていないから印紙は不要」は誤りです。例外は手形(3号)で、手形金額の記載のない手形は非課税ですが、後から金額を補充した人が手形を「作成した」ものとみなされて納税義務者になります(No.7140 注1)。
次の場合は「金額の記載がない文書」に当たりません(課税物件表の通則4)。
- 単価と数量などから金額を計算できるときは、その金額が記載金額です
- 第1号・第2号の契約書は、引用した見積書・注文書などから契約金額が明らかなら、その金額が記載金額です
- 第17号の売上代金の受取書は、引用した請求書・支払通知書などから受取金額が明らかなら、その金額が記載金額です
金額の記載がなくても200円にならない場合もあります。第1号・第2号と第7号の両方に当たり、契約金額の記載がない文書は、原則として第7号の文書になり、4,000円です。
印紙税は紙の課税文書を「作成」したときにかかる税金です。注文請書を電磁的記録(PDF等)に変換して電子メールで送信する場合には課税文書の作成に当たらず印紙税は課されない、という照会に対し、国税局が「貴見のとおり」と文書回答しています(福岡国税局 文書回答事例・平成20年10月24日)。電子契約サービスで締結した契約書や、メール添付で送る請求書・領収書のPDFに収入印紙は要りません。ただし同じ内容を紙でも作成・交付し、その紙が課税文書に当たり非課税にも当たらなければ、その紙には課税されます。
貼り忘れは3倍・合計最低1,000円の過怠税 — 貼り方と消印
印紙を貼るべき文書に貼らなかった場合は、納付しなかった額の3倍の過怠税です。ただし過怠税の合計が1,000円未満なら1,000円となります(20条1項・4項)。「印紙税不納付事実申出書」を所轄の税務署長に提出し、それが調査による過怠税の決定を予知したものでなければ、1.1倍に軽減されます(20条2項)。
- 貼った印紙は、文書と印紙の彩紋にかけて印章または署名で消印します。消印を忘れた場合は額面相当の過怠税で、1項・3項の過怠税を含む合計最低額は1,000円です
- 1.1倍に軽減された過怠税だけの場合は、最低1,000円の決まりは適用されません(20条5項)
- 過怠税は全額が法人税の損金・所得税の必要経費になりません(No.7131)
- 印紙税を納めるのは文書の作成者です。領収書なら発行した側・契約書を2通作れば通常それぞれの保存者側が各1通分を負担します
よくある質問
領収書には、いくらから収入印紙が必要ですか?
営業に関する紙の、売上代金だけの領収書(17号文書)は、記載された受取金額が5万円未満なら非課税で収入印紙は不要です。営業に関するものなら、5万円以上100万円以下は200円、100万円を超えると400円・600円…と金額の階級ごとに上がります(国税庁 No.7105・No.7141)。借入金など売上代金以外の受取書は、営業に関するものなら5万円以上で200円です。
「5万円未満」は税込・税抜どちらで判定しますか?
「うち消費税額等◯円」のように消費税額等が区分記載されていれば、記載金額に消費税額等を含めず税抜で判定します(国税庁 No.6925)。たとえば税込54,800円でも「うち消費税額等4,981円」と書けば記載金額は49,819円となり、5万円未満で非課税です。区分記載も税込・税抜価格の併記もなく消費税額等が明らかでない場合、営業に関する紙の領収書は税込54,800円で判定し200円が必要です。ただし免税事業者は区分記載しても税込で判定します。
電子契約やPDFの領収書にも収入印紙は必要ですか?
不要です。印紙税は紙の課税文書を「作成」したときにかかる税金で、電磁的記録(PDF等)に変換して電子メールで送信する場合は課税文書の作成に当たらない、という照会に国税局が「貴見のとおり」と文書回答しています(福岡国税局 文書回答事例・平成20年10月24日)。ただし同じ内容を紙でも作成・交付し、その紙が課税文書に当たり非課税にも当たらなければ、その紙には課税されます。
収入印紙を貼り忘れたらどうなりますか?
納付しなかった額の3倍が過怠税となり、合計が1,000円未満なら1,000円です。調査による過怠税の決定を予知せずに不納付の申出をし、20条2項が適用された場合は1.1倍に軽減されます。消印を忘れた印紙は額面相当の過怠税がかかり、1項・3項の過怠税を含む合計が1,000円未満なら1,000円になります。過怠税は全額、損金・必要経費になりません(国税庁 No.7131)。
個人がマイホームや車を売ったときの領収書にも印紙が必要ですか?
不要です。営業に関しない受取書は非課税で、公益法人や、商人でない個人が事業と関係なく作成する受取書は「営業に関しない」ものに当たります(国税庁 No.7105)。不動産売買契約書は第1号文書で、営業に関しない受取書の非課税とは別です。ただし記載契約金額が1万円未満なら原則非課税となります。
3,000万円の不動産売買契約書の収入印紙はいくらですか?
平成26年4月1日〜令和9年3月31日に作成されたものなら、軽減税率で1万円です(本則は2万円)。不動産の譲渡に関する契約書のうち、この期間に作成され契約金額が10万円を超えるものには租税特別措置法91条の軽減措置があり、1,000万円超5,000万円以下の階級は1万円になります(国税庁 No.7108)。同じ期間に作成された建設工事の請負契約書(100万円超)にも同様の軽減があります。適用期限は上の判定機・一覧表に表示しています。
契約書に金額が書いていない場合、印紙はいくらですか?
契約金額の記載のない1号・2号の契約書と15号・16号・17号の文書は200円です(17号の営業に関しない受取書は非課税)。「金額が無いから印紙も不要」は誤りです。例外は手形(3号)で、手形金額の記載がなければ非課税ですが、後から金額を補充した人が納税義務者になります(国税庁 No.7140・No.7141)。第1号・第2号と第7号の両方に当たる契約書は、金額の記載がなければ原則として4,000円です。
印紙税を納めるのは、領収書を「もらう側」「発行する側」どちらですか?
発行する側(文書の作成者)です。領収書なら代金を受け取って領収書を書いた側が印紙を貼ります。契約書のように双方が保管する文書を2通作成した場合は、それぞれの通が課税文書に当たり非課税でなければ、各通に印紙が必要で、実務では各自が保管する分を各自が負担するのが通常です。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.7140「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」— 1号〜4号の金額階級と税額、手形の非課税(10万円未満・金額の記載のないもの)と一覧払等の特例、株券の券面金額の考え方
- 国税庁 タックスアンサー No.7141「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」— 5号〜20号の税額、17号(売上代金5万円未満非課税・階級表/売上代金以外は5万円未満非課税・5万円以上200円/営業に関しないものは非課税)、通帳類の「1年ごとに」、売上代金とそれ以外の合計額による5万円未満判定(注1)
- 国税庁 タックスアンサー No.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」— 軽減税率の階級表と適用期間・適用下限(不動産10万円超・建設工事100万円超)、計算例(6,000万円→3万円・5,500万円→3万円)
- 国税庁 タックスアンサー No.7105「金銭又は有価証券の受取書、領収書」— 受取書の範囲(レシート・「代済」の記入等を含む)、売上代金の定義、営業に関しない受取書の非課税(公益法人・商人以外の個人)
- 国税庁 タックスアンサー No.6925「消費税等と印紙税」— 消費税額等の区分記載があれば第1号・第2号・第17号文書の記載金額に含めないこと、免税事業者は含めること、区分記載の具体例
- 国税庁 タックスアンサー No.7131「印紙税を納めなかったとき」— 過怠税(3倍・自主申出で1.1倍・消印なしは額面相当)、過怠税の損金不算入
- 福岡国税局 文書回答事例「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」(平成20年10月24日)— 電磁的記録での作成・送信は課税文書の「作成」に当たらないこと
- 印紙税法(e-Gov 法令検索)— 4条(通帳等への付込み)、5条(非課税文書)、8条(印紙による納付と消印)、20条(過怠税)、別表第一 課税物件表と通則
この記事は現行法令(一覧表の基準日はページ内に表示)にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。文書がどの号の課税文書に当たるか(所属の決定)や記載金額の計算は、実際の文書の記載内容によって異なる場合があります。判断に迷う場合は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。