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国民年金の免除・納付猶予 判定シミュレーター

前年の所得を入れるだけで、国民年金保険料の全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除・納付猶予・学生納付特例のどれに該当するかを判定します。本人・世帯主・配偶者のうち誰が基準を超えたかを名指しで示し、毎月納める保険料と、将来の老齢基礎年金がいくら下がるかまで計算します。

学生の方は免除・納付猶予の対象外で、かわりに学生納付特例で判定します。

収入が減って国民年金保険料(令和8年度は月額17,920円)を払うのが難しいときは、申請して承認されれば免除または納付猶予を受けられます。手続きをせず未納にした場合と違い、免除を受けた期間は受給資格期間(10年)に算入され、全額免除なら老齢基礎年金の2分の1が受け取れます。障害基礎年金・遺族基礎年金の保険料納付要件にも算入されます。上の判定機は、前年の所得から該当する区分を判定します。以下では条文にもとづいて、間違えやすい3点を解説します(一般的な説明であり、個別の相談ではありません)。

使い方と注意点

入れるのは「所得」であって「収入」ではありません。 給与だけの方なら、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が所得です。年収ではありません。事業をしている方は売上から必要経費を引いた額です。年収300万円の会社員の所得はおよそ202万円なので、収入の数字をそのまま入れると判定が厳しい方へずれます。

判定に使うのは前年の所得です(1月から6月までに申請する場合は前々年の所得)。申請できるのは、保険料の納付期限から2年を経過していない期間です。

このツールは所得の基準だけを見ます。失業・倒産・事業の廃止による特例免除(失業した方の前年所得を除外して判定する)、法定免除(生活保護の生活扶助・障害年金1級2級)、産前産後期間の免除には対応していません。特に産前産後期間の免除は納付済期間として年金額に満額反映されるので、該当する方はそちらが有利です。判定結果は目安です。実際の承認は年金事務所・市区町村の窓口で行われます。

6つの区分と所得の基準

所得の基準は国民年金法施行令が定めています。全額免除と納付猶予は「頭数」だけを使う式一部免除と学生納付特例は「扶養親族等控除額」を加算する式で、そもそも形が違います。

区分前年所得の基準毎月納める額(令和8年度)年金額への反映
全額免除(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円0円2分の1
4分の3免除88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等4,480円8分の5
半額免除128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等8,960円8分の6
4分の1免除168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等13,440円8分の7
納付猶予(50歳未満)(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円0円なし
学生納付特例128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等0円なし
「扶養親族等控除額」は1人につき38万円が基本で、同一生計配偶者・老人扶養親族は48万円、特定扶養親族等は63万円です。大学生の子(19歳以上22歳以下)が1人いる世帯の半額免除の基準額は、128万円ではなく191万円になります。一般の38万円で計算すると25万円ぶん低く見積もることになります。根拠は国民年金法施行令6条の8の2・6条の9・6条の9の2です。

また、障害者・寡婦・ひとり親の方は、扶養親族等の数にかかわらず前年所得135万円以下で全額免除に該当します(国民年金法90条1項3号・施行令6条の8)。この基準は定額で扶養加算を持たないので、上の式と比べて有利なほうで判定します。

誰の所得を見るか — 親と同居していると答えが変わる

ここが実務でいちばん多い取り違えです。見る人の範囲が区分ごとに違います。

区分本人世帯主配偶者
免除(全額・4分の3・半額・4分の1)見る見る見る
納付猶予見る見ない見る
学生納付特例見る見ない見ない
納付猶予が「世帯主を見ない」ことが、この制度の存在理由そのものです。実家で親と同居している20代の方は、自分の所得がゼロでも、世帯主である親の所得で全額免除に落ちます(国民年金法90条1項ただし書は「世帯主又は配偶者のいずれかが各号のいずれにも該当しないとき」は免除しないと定めています)。一方、納付猶予は本人と配偶者だけで判定するので、同じ人が納付猶予には通ります。上の判定機で「世帯主が別にいる」にチェックを入れると、どの区分を誰が落としたかが名指しで表示されます。

ただし納付猶予は年金額に1円も反映されません。全額免除の「2分の1もらえる」と混同しないでください。受給資格期間には算入されるので未納よりは確実に有利ですが、額の話では未納と同じです。

全額免除だけ、社会保険料控除を引かない

全額免除の判定では、社会保険料控除などを所得から引きません。一部免除と学生納付特例では引きます。国民年金法施行令6条の11(全額免除)は総所得金額等の合計額をそのまま所得とし、控除を引く規定を持ちません。これに対し施行令6条の12第2項(一部免除・学生納付特例)だけが、雑損・医療費・社会保険料・小規模企業共済等掛金・配偶者特別・特定親族特別の各控除額と、障害者27万円(特別障害者40万円)・寡婦27万円・ひとり親35万円・勤労学生27万円を控除すると定めています。日本年金機構のページが全額免除の式にだけ「+社会保険料控除額等」を書いていないのは、省略ではなく条文どおりです。

この違いは答えを反転させます。たとえば前年所得70万円・社会保険料控除20万円・扶養なしの方の場合、全額免除の基準額は67万円なので所得70万円では該当しません。一方4分の3免除は、70万円から20万円を引いた50万円で判定するので88万円以下となり該当します。6つの区分すべてに社会保険料控除を引いてしまうと、50万円≦67万円となって「全額免除されます」と誤って答えることになります。

将来の年金はいくら下がるか

老齢基礎年金は40年(480か月)納付して満額847,300円(令和8年度・昭和31年4月2日以後生まれ)です。免除を受けた期間は、国民年金法27条が定める割合で年金額に反映されます。40年すべて全額免除だった場合は423,650円と、ちょうど半分になります(国庫負担の2分の1が残るため)。上の判定機は、その区分で1年間過ごした場合に満額納付と比べていくら下がるかを計算します。

免除・猶予を受けた期間の保険料は、10年以内なら追納できます(国民年金法94条。承認から3年度目以降は加算額が付きます)。追納すれば年金額を満額に近づけられます。

よくある質問

Q. 収入がゼロなら必ず全額免除になりますか?

A. なりません。免除は本人・世帯主・配偶者の全員が所得基準を満たす必要があるためです。実家で親と同居していて親が世帯主なら、あなたの所得がゼロでも親の所得が基準を超えていれば全額免除は承認されません。ただしその場合でも、50歳未満なら納付猶予は世帯主の所得を見ないので該当する可能性があります。学生の方は学生納付特例が本人の所得だけで判定されます。

Q. 納付猶予と全額免除は、どちらも0円なら同じですか?

A. 毎月の支払いはどちらも0円ですが、将来の年金額がまったく違います。全額免除の期間は老齢基礎年金の2分の1が受け取れますが、納付猶予の期間は1円も反映されません。どちらも受給資格期間(10年)には算入され、障害基礎年金・遺族基礎年金の納付要件にも算入されるので未納よりは有利ですが、老齢年金の額という点では納付猶予は未納と同じです。全額免除に該当するなら全額免除を選んでください。

Q. 学生ですが、親の所得が高いと学生納付特例は受けられませんか?

A. 受けられます。学生納付特例は学生本人の前年所得だけで判定し、世帯主(親)や配偶者の所得は見ません(国民年金法90条の3第1項)。基準は128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等です。アルバイト収入だけなら、給与所得控除を引いた後の所得で判定するので、年収がおよそ194万円までは該当します。なお学生の方は免除・納付猶予の対象外なので、この制度で申請します。

Q. 失業して収入がなくなりました。前年の所得が高いと免除は受けられませんか?

A. 失業等による特例免除があります。失業・倒産・事業の廃止の事実を確認できたときは、失業した方の前年所得にかかわらず免除・納付猶予を受けられます(国民年金法90条1項2号)。雇用保険受給資格者証や離職票などを添えて申請してください。このツールは所得基準だけを見るので、この特例には対応していません。前年所得が高くて「該当なし」と表示された方でも、失業した方は窓口でご相談ください。

Q. 免除を受けた期間は、あとから納められますか?

A. できます。免除・納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば追納できます(国民年金法94条)。追納すれば老齢基礎年金の額を満額に近づけられます。ただし承認を受けた年度の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は加算額が付きます。なお、未納のまま2年を過ぎた期間は追納できず、年金額にも受給資格期間にも一切算入されません。

出典