ボーナス(賞与)の手取りは、額面から社会保険料と源泉所得税を引いた残りです。毎月の給料と引かれるものは似ていますが、税率の決まり方がまったく違い、そして住民税は引かれません。上の計算機で自分の額面から手取りが出せます。以下では、賞与の控除で誤解の多いポイントを、実数と根拠つきで解説します。一般的な計算方法の説明であり、個別の税務相談ではありません。
使い方と注意点
この計算機の前提
- 健康保険:協会けんぽ(全国健康保険協会)の都道府県別料率で計算します。健康保険組合に加入している場合は料率が異なります。
- 厚生年金:18.3%(全国一律)です。70歳以上の厚生年金保険料は0円として計算します。高齢任意加入は対象外です。
- 雇用保険:選んだ業種の料率で計算します。
- 料率の年度:2026年度4月以後の料率を用います。2026年1〜3月は対象外です。
- 源泉所得税:甲欄(主たる勤務先に扶養控除等申告書を出している人)で計算します。
- 前月の社会保険料:現在の料率と、入力した前月の額面からの概算です。前月にも、賞与支給月と同じ料率と、入力額に対応する標準報酬月額が適用される場合を前提にしています。
試算の対象外になる場合
- 前月の社会保険料が、上の概算と異なる場合。4月賞与など、前月に異なる料率が適用される場合を含みます。
- 前月給与に非課税通勤手当等がある場合。
標準報酬月額や徴収時期が異なると税率帯が変わり、源泉税額に大きな差が出る場合があります。対象外のときは、前月明細の社会保険料等控除後の給与を使って、源泉徴収税額 計算機の賞与の計算で試算してください。対応範囲と必要な入力条件は、そのページで確認してください。
扶養親族等の数の数え方
「給与所得者の扶養控除等申告書」に基づく人数を入力します。該当なしは0です。
- 基本の人数:源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計です。令和8年分は、19歳以上23歳未満の特定親族のうち合計所得100万円以下の人も含みます。
- 特定親族の年齢:令和8年分の19歳以上23歳未満は、平成16年1月2日から平成20年1月1日生まれの人です。
- 数えない人:相互適用などにより、扶養控除等申告書に記載がないものとされる源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族は除きます。
- 本人の加算:本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当たり、扶養控除等申告書にその記載があれば、各1人を加算します。
- 配偶者・親族の加算:同一生計配偶者・扶養親族の障害者は各1人、同居特別障害者はさらに1人を加算します。16歳未満の扶養親族も対象で、申告書への記載が必要です。
- 国外に住む親族:親族関係書類の添付または提示がある場合に限ります。30歳以上70歳未満の控除対象扶養親族で、留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人は、留学ビザ等書類の添付または提示も必要です。外国語の書類は訳文も必要です。
ボーナスから引かれるもの — 給与との3つの違い
賞与の手取りは、次の式で決まります。
ボーナスの手取り = 額面 −(健康保険料 + 厚生年金保険料 + 子ども子育て支援金 + 雇用保険料)− 源泉所得税
毎月の給与と比べたときの違いは3つあります。
| 毎月の給与 | ボーナス(賞与) | |
|---|---|---|
| 社会保険料のかかる土台 | 標準報酬月額(等級表で丸める) | 標準賞与額(1,000円未満切捨・等級表なし) |
| 所得税の決まり方 | 月額表をその月の社会保険料等控除後給与で引く(甲欄は扶養親族等の数にも応じる) | 通常の甲欄は算出率の表を前月の社会保険料等控除後給与と扶養親族等の数で引く(前月給与なし等・10倍超は月額表) |
| 住民税 | 月割で天引きされる | 天引きされない |
住民税はボーナスから引かれません
住民税(特別徴収)は、地方税法321条の5第1項が年税額の「十二分の一の額を六月から翌年五月まで」毎月徴収すると定めており、この月割は毎月の給与から引かれます。賞与支給時に住民税の行はありません。ただしボーナスも前年の所得には含まれるので、翌年度の住民税(毎月の給与からの天引き額)はその分増えます。「引かれない」のではなく「引かれる場所と時期が違う」と理解するのが正確です。
計算例 — 賞与50万円の手取り
東京都・30歳・扶養親族0人・前月の額面月給30万円・一般の事業で、額面50万円のボーナスを受け取る場合、手取りは409,130円(額面の81.8%)です。上の計算機と同じ計算で、内わけは次のとおりです。
① 社会保険料: 健康保険 24,625円 + 子ども子育て支援金 575円 + 厚生年金 45,750円 + 雇用保険 2,500円 = 73,450円
② 前月の社会保険料等控除後の給与 = 300,000円 − 44,070円 = 255,930円 → 算出率の表(甲欄・扶養0人)で 4.084%
③ 源泉所得税 = (500,000円 − 73,450円) × 4.084% = 17,420円(1円未満切捨て)
④ 手取り = 500,000円 − 73,450円 − 17,420円 = 409,130円(額面の81.8%)
ポイントは②です。税率4.084%を決めたのは賞与の50万円ではなく、前月の社会保険料等控除後の給与255,930円です。前月の社会保険料等控除後給与が高くなり、上の税率帯へ移れば、同じ50万円のボーナスでも税率が上がります。扶養親族等の数によって参照列は変わりますが、税率が同じ場合もあります。この例の控除後給与255,930円では、扶養0人でも1人でも4.084%です。
毎月の給与の手取りは「手取り計算機」で計算する算出率の表が使えない3つの場合 — 月額表による例外計算
算出率の表の備考は、次の場合にこの表を使わず、月額表で計算すると定めています(計算式は国税庁タックスアンサー No.2523)。この計算機は3つとも自動で判定し、例外計算に切り替えたときは結果にその旨を表示します。
- 前月中に給与の支払がない(休職明け・新規入社の直後など)
- 前月の給与が、前月の社会保険料等以下(控除後が0円以下になる)
- 賞与(社会保険料等控除後)が、前月の給与(同)の10倍を超える
計算式では、社会保険料等控除後賞与をB、前月の社会保険料等控除後給与をP、月額表による税額をTとします。計算期間が6か月以下ならn=6、6か月超ならn=12です。
- 前月給与がない場合:n×T(B÷n)
- BがPの10倍を超える場合:n×{T(P+B÷n)−T(P)}
国税庁No.2523の設例では、1,668,062円÷6を278,010円、769,300円÷6を128,216円として、1円未満を切り捨てています。月額表は申告書の提出区分と扶養親族等の数に応じて適用します。
前月給与がない人の少額の賞与は、月額表の非課税帯に収まって源泉所得税が0円になることもあります。この場合も、年末調整または確定申告で最終的な税額に精算されます。
賞与の社会保険料には上限がある
賞与の社会保険料は標準賞与額(額面の1,000円未満を切り捨てた額)にかかりますが、上限があります。
| 保険 | 上限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 健康保険(+介護保険・支援金) | 年度の累計573万円まで | 健康保険法45条1項 |
| 厚生年金 | 同月内の支給を合算して150万円まで | 厚生年金保険法24条の4・令和2年政令第246号2条 |
| 雇用保険 | 上限なし(実額にそのまま料率) | 労働保険徴収法11条1項(賃金総額) |
たとえば200万円のボーナスなら、厚生年金保険料は150万円分までしかかかりません。一方、雇用保険だけは切り捨ても上限もなく、支給額の実額に料率(一般の事業は本人5/1,000)がかかります。高額の賞与を入力すると、この計算機は上限を適用した旨を結果に表示します。
- 「今年度の既払標準賞与額の累計」に入れる額:同一保険者内の各支給分を、1,000円未満切捨後に年度内で合計します。保険者が異なる既払分は含めません。
- 同じ月に複数回支給する場合:厚生年金は合算した標準賞与額に月150万円の上限を適用するため、各回を別々に計算した結果は使えません。この計算機は賞与が同じ月に1回支給される前提で試算します。
よくある質問
ボーナスから住民税は引かれますか?
引かれません。住民税の特別徴収は、地方税法321条の5第1項により年税額の12分の1を6月から翌年5月まで毎月の給与から天引きする仕組みで、賞与からは徴収されません。ただしボーナスも前年の所得に含まれるため、翌年度の住民税(毎月の給与からの天引き額)はその分増えます。引かれる場所と時期が給与に寄っているだけで、住民税がかからない収入というわけではありません。
ボーナスの手取りは額面の何割ですか?
手取り率は条件により変わります。東京都・30歳・扶養親族0人・前月の月給30万円なら、額面50万円のボーナスの手取りは409,130円(81.8%)です。税率は前月の給与と扶養親族等の数で変わり、40〜64歳の人は介護保険料も加わります。上の計算機の前提を確認して試算し、実際の金額は賞与明細で確認してください。
なぜ前月の給与でボーナスの税率が決まるのですか?
国税庁の算出率の表は、賞与が年間を通じて給与の5か月分支払われるものとして算出されています。通常の甲欄では、この表を社会保険料等控除後の前月給与と扶養親族等の数に応じて使います。前月に給与がない場合などは、月額表による別計算です。年末調整の対象者は年末調整で過不足を精算します。対象外の場合などは確定申告による精算が必要になることがあります。
ボーナスの社会保険料は月給と同じ計算ですか?
料率は同じですが、かかる土台が違います。月給は標準報酬月額という等級表で丸めた額にかかるのに対し、賞与は標準賞与額(額面の1,000円未満を切り捨てた額)にかかり、等級表はありません。また健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1か月150万円という賞与専用の上限があります。雇用保険だけは月給・賞与とも実額にそのまま料率がかかります。
出典
- 国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)」— 通常の甲欄は「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と扶養親族等の数で率を引く。備考に、前月中に給与等の支払がない場合・前月中の給与等が前月中の社会保険料等以下の場合・賞与(社会保険料等控除後)が前月の給与(同)の10倍を超える場合は、この表によらず月額表を使うと定める
- 国税庁 タックスアンサー No.2523「賞与に対する源泉徴収」— 月額表による例外計算(控除後賞与B、前月控除後給与P、月額表税額T、n=6、計算期間6か月超ならn=12)。前月給与なしはn×T(B÷n)、10倍超はn×{T(P+B÷n)−T(P)}。No.2523の設例では769,300円÷6=128,216円(1円未満切捨て)
- 健康保険法 第45条第1項(標準賞与額の決定)— e-Gov法令検索。賞与額の千円未満を切り捨てた額を標準賞与額とし、年度における標準賞与額の累計額が573万円を超えるときは、累計573万円に達するまでの額とする
- 厚生年金保険法 第24条の4第1項(標準賞与額の決定)/厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令(令和2年政令第246号)第2条 — 賞与の標準賞与額の上限を1か月につき150万円と定める
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第11条第1項 — 雇用保険料の課税ベースは「賃金総額」。賞与も実額のまま含まれ、標準賞与額の切り捨ても上限もない
- 地方税法 第321条の5第1項(給与所得に係る特別徴収)— 特別徴収税額の「十二分の一の額を六月から翌年五月まで…毎月徴収」と定める(賞与からの徴収ではない)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和8年度 都道府県毎の保険料率」— 都道府県別の健康保険料率・介護保険料率1.62%・子ども・子育て支援金率0.23%
- 厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」— 一般の事業の労働者負担は1,000分の5(農林水産・清酒製造/建設は6/1,000)
本ページの解説・計算例は令和8年(2026年)時点の法令にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の手取りは、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)、扶養親族の数、前月の給与の実額などによって異なります。正確な金額は賞与支給明細でご確認ください。