ボーナス(賞与)の手取りは、額面から社会保険料と源泉所得税を引いた残りです。毎月の給料と引かれるものは似ていますが、税率の決まり方がまったく違い、そして住民税は引かれません。上の計算機で自分の額面から手取りが出せます。以下では、賞与の控除で誤解の多いポイントを、実数と根拠つきで解説します(一般的な計算方法の説明であり、個別の税務相談ではありません)。
使い方と注意点
この計算機の前提
健康保険は協会けんぽ(全国健康保険協会)の都道府県別料率、厚生年金18.3%(全国一律)、雇用保険は選んだ業種の料率で計算します。健康保険組合に加入している場合は料率が異なります。源泉所得税は甲欄(主たる勤務先に扶養控除等申告書を出している人)で計算します。前月の給与の社会保険料は概算のため、実際の給与明細と数円ずれることがあります。
ボーナスから引かれるもの — 給与との3つの違い
賞与の手取りは、次の式で決まります。
ボーナスの手取り = 額面 −(健康保険料 + 厚生年金保険料 + 子ども子育て支援金 + 雇用保険料)− 源泉所得税
毎月の給与と比べたときの違いは3つあります。
| 毎月の給与 | ボーナス(賞与) | |
|---|---|---|
| 社会保険料のかかる土台 | 標準報酬月額(等級表で丸める) | 標準賞与額(1,000円未満切捨・等級表なし) |
| 所得税の決まり方 | 月額表をその月の給与で引く | 算出率の表を前月の給与で引く |
| 住民税 | 月割で天引きされる | 天引きされない |
住民税はボーナスから引かれません
住民税(特別徴収)は、地方税法321条の5第1項が年税額の「十二分の一の額を六月から翌年五月まで」毎月徴収すると定めており、この月割は毎月の給与から引かれます。賞与支給時に住民税の行はありません。ただしボーナスも前年の所得には含まれるので、翌年度の住民税(毎月の給与からの天引き額)はその分増えます。「引かれない」のではなく「引かれる場所と時期が違う」と理解するのが正確です。
計算例 — 賞与50万円の手取り
東京都・30歳・扶養親族0人・前月の額面月給30万円・一般の事業で、額面50万円のボーナスを受け取る場合です(上の計算機と同じ計算)。
① 社会保険料: 健康保険 24,625円 + 子ども子育て支援金 575円 + 厚生年金 45,750円 + 雇用保険 2,500円 = 73,450円
② 前月の社会保険料等控除後の給与 = 300,000円 − 44,070円 = 255,930円 → 算出率の表(甲欄・扶養0人)で 4.084%
③ 源泉所得税 = (500,000円 − 73,450円) × 4.084% = 17,420円(1円未満切捨て)
④ 手取り = 500,000円 − 73,450円 − 17,420円 = 409,130円(額面の81.8%)
ポイントは②です。税率4.084%を決めたのは賞与の50万円ではなく、前月の給与(の社会保険料控除後の255,930円)です。前月の月給がもっと高い人は、同じ50万円のボーナスでも税率が上がります。逆に扶養親族がいる人は、算出率の表の列が右へずれて税率が下がります。
毎月の給与の手取りは「手取り計算機」で計算する算出率の表が使えない3つの場合 — 月額表による例外計算
算出率の表の備考は、次の場合にこの表を使わず、月額表で計算すると定めています(計算式は国税庁タックスアンサー No.2523)。この計算機は3つとも自動で判定し、例外計算に切り替えたときは結果にその旨を表示します。
- 前月中に給与の支払がない(休職明け・新規入社の直後など)
- 前月の給与が、前月の社会保険料等以下(控除後が0円以下になる)
- 賞与(社会保険料等控除後)が、前月の給与(同)の10倍を超える
例外計算では、賞与を6等分(計算期間が6か月を超える賞与は12等分)して月額表に当てはめ、出てきた税額を6倍(12倍)します。前月給与がない人の少額の賞与は、月額表の非課税帯に収まって源泉所得税が0円になることもあります(年末調整または確定申告で最終的な税額に精算されます)。
賞与の社会保険料には上限がある
賞与の社会保険料は標準賞与額(額面の1,000円未満を切り捨てた額)にかかりますが、上限があります。
| 保険 | 上限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 健康保険(+介護保険・支援金) | 年度の累計573万円まで | 健康保険法45条1項 |
| 厚生年金 | 1回の支給につき150万円まで | 厚生年金保険法24条の4・令和2年政令第246号2条 |
| 雇用保険 | 上限なし(実額にそのまま料率) | 労働保険徴収法11条1項(賃金総額) |
たとえば200万円のボーナスなら、厚生年金保険料は150万円分までしかかかりません。一方、雇用保険だけは切り捨ても上限もなく、支給額の実額に料率(一般の事業は本人5/1,000)がかかります。高額の賞与を入力すると、この計算機は上限を適用した旨を結果に表示します。
よくある質問
Q. ボーナスから住民税は引かれますか?
A. 引かれません。住民税の特別徴収は、地方税法321条の5第1項により年税額の12分の1を6月から翌年5月まで毎月の給与から天引きする仕組みで、賞与からは徴収されません。ただしボーナスも前年の所得に含まれるため、翌年度の住民税(毎月の給与からの天引き額)はその分増えます。引かれる場所と時期が給与に寄っているだけで、住民税がかからない収入というわけではありません。
Q. ボーナスの手取りは額面の何割ですか?
A. おおむね8割前後です。東京都・30歳・扶養親族0人・前月の月給30万円なら、額面50万円のボーナスの手取りは409,130円(81.8%)です。ただし賞与の税率は前月の給与で決まるため、前月の月給が高い人ほど税率が上がり、手取り率は下がります。40〜64歳の人は介護保険料も加わります。正確な額は上の計算機で、自分の前月給与を入れて確かめてください。
Q. なぜ前月の給与でボーナスの税率が決まるのですか?
A. 賞与の源泉徴収は「月々の給与とボーナスを合わせた年間の収入」に対する所得税を前払いする仕組みだからです。国税庁の算出率の表は、前月の給与水準からその人の年間の収入を推定し、それに見合う税率を賞与に適用する作りになっています。このため賞与額そのものではなく、前月の社会保険料等控除後の給与の金額で率が決まります。過不足は年末調整で精算されるので、源泉徴収の段階の率が高くても取られすぎのままにはなりません。
Q. ボーナスの社会保険料は月給と同じ計算ですか?
A. 料率は同じですが、かかる土台が違います。月給は標準報酬月額という等級表で丸めた額にかかるのに対し、賞与は標準賞与額(額面の1,000円未満を切り捨てた額)にかかり、等級表はありません。また健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1回150万円という賞与専用の上限があります。雇用保険だけは月給・賞与とも実額にそのまま料率がかかります。
出典
- 国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)」— 率を引く鍵は「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」。備考に、前月中に給与等の支払がない場合・賞与(社会保険料等控除後)が前月の給与(同)の10倍を超える場合は、この表によらず月額表を使うと定める
- 国税庁 タックスアンサー No.2523「賞与に対する源泉徴収」— 算出率の表が使えない場合の月額表による計算式(賞与÷6を月額表に当てはめ税額を6倍。計算期間が6か月を超えるときは12で除し12倍)
- 健康保険法 第45条第1項(標準賞与額の決定)— e-Gov法令検索。賞与額の千円未満を切り捨てた額を標準賞与額とし、年度における標準賞与額の累計額が573万円を超えるときは、累計573万円に達するまでの額とする
- 厚生年金保険法 第24条の4第1項(標準賞与額の決定)/厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令(令和2年政令第246号)第2条 — 賞与の標準賞与額の上限を1回につき150万円と定める
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第11条第1項 — 雇用保険料の課税ベースは「賃金総額」。賞与も実額のまま含まれ、標準賞与額の切り捨ても上限もない
- 地方税法 第321条の5第1項(給与所得に係る特別徴収)— 特別徴収税額の「十二分の一の額を六月から翌年五月まで…毎月徴収」と定める(賞与からの徴収ではない)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和8年度 都道府県毎の保険料率」— 都道府県別の健康保険料率・介護保険料率1.62%・子ども・子育て支援金率0.23%
- 厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」— 一般の事業の労働者負担は1,000分の5(農林水産・清酒製造/建設は6/1,000)
本ページの解説・計算例は令和8年(2026年)時点の法令にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の手取りは、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)、扶養親族の数、前月の給与の実額などによって異なります。正確な金額は賞与支給明細でご確認ください。