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雇用保険の加入条件【令和8年】週20時間・31日と学生・掛け持ちの例外

結論から言うと、雇用保険に加入するかどうかは、次の2つだけで決まります。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 同じ事業主に継続して31日以上雇用される見込みがあること

この2つを満たせば、パートでもアルバイトでも、契約社員でも、本人が加入を望まなくても、会社が「うちは入れない」と言っても、法律上当然に被保険者になります(雇用保険法4条1項)。加入は選べるものではありません。

ただし、ここには条文の読み方の落とし穴があります。雇用保険法には「加入条件」を定めた条文が存在しません。あるのは6条の「適用除外」——つまり入らない人のリストだけです。上の2つは、そのリストに当たらないことを裏返して言い直したものにすぎません。

この違いは言葉遊びではありません。「20時間ちょうど」の人、契約が31日に満たない人、学生、掛け持ちで働く人の結論は、すべて「除外リストの書き方」から出てきます。順に見ていきます。

2つの条件を、条文の書き方どおりに読む

雇用保険法4条1項は、被保険者を「適用事業に雇用される労働者であつて、第六条各号に掲げる者以外のもの」と定義します。つまり「6条に当たらない人が、全員入る」という建て付けです。その6条1号と2号が、次のように書かれています。

第六条 次に掲げる者については、この法律は、適用しない。
一 一週間の所定労働時間が二十時間未満である者(…略…)
二 同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれない者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者…を除く。)

ここから3つのことが読み取れます。

「20時間ちょうど」は加入する

除外されるのは20時間「未満」の人です。20時間を「超える」ことは求められていないので、週20時間ちょうどの契約なら加入します。境目にいる人はここを間違えやすいところです。

見るのは「所定」労働時間であって、実際に働いた時間ではない

条文は「一週間の所定労働時間」と書きます。所定労働時間とは、雇用契約書や就業規則であらかじめ定められた時間のことです。したがって、

ただし「実際の勤務時間は一切見ない」わけではありません。雇用保険業務取扱要領20303は、雇用契約書等で所定労働時間が定まっていない場合や、シフト制などで直前にならないと勤務時間が判明しない場合は、勤務実績に基づいて平均の所定労働時間を算定するとしています。さらに、契約書の所定労働時間と実際の勤務時間に常態的な乖離があり、その乖離に合理的な理由がない場合は、原則として実際の勤務時間で判断します。つまり、契約書に週15時間と書いてありさえすれば加入を免れる、ということにはなりません。

31日は「見込み」であって、契約書の日数ではない

2号が除外するのは「31日以上雇用されることが見込まれない者」です。つまり契約期間が31日未満でも、更新の可能性があれば「見込みあり」として加入します。契約書に更新規定があるとき、あるいは同様の契約で31日以上雇用された人が過去にいるときは、たとえ最初の契約が2週間でも被保険者になります。

さらに2号のかっこ書きは、「前2か月の各月に18日以上雇用された者」を除外リストから外しています。短期の契約を繰り返しているうちに、実績のほうから加入要件を満たしてしまう場合があるということです。

逆に、更新規定や31日以上の雇用実績があっても、その契約を更新しないことが明示され、31日以上は雇用が継続しないと労使双方が合意していることが確認できる場合は、見込みなしとして加入しません(雇用保険業務取扱要領20303)。

雇われて働いている人 週の所定労働時間が20時間以上? (6条1号/20時間ちょうどは「以上」) いいえ はい 31日以上の雇用見込みがある? (6条2号/更新規定があれば見込みあり) いいえ はい 「昼間学生」? (6条4号/夜間学部・定時制は昼間学生でない) いいえ はい 卒業見込み・休学中・社会人大学院生・通信制など 4つの例外のどれか? (施行規則3条の2+業務取扱要領20303) いいえ はい 加入する (強制・選べない) 対象外 (65歳以上は 掛け持ちの 特例あり) ※ 2028年10月1日からは、いちばん上の判定が「週10時間以上?」に変わる ※ 個人経営で常時5人未満の農林水産業だけは、当分の間これでも任意加入
雇用保険に加入するかどうかの判定。条文は「入る人」ではなく「除外する人」を書いているので、除外に当たらなければ全員が加入する。

加入は本人の希望でも、会社の裁量でもない

「うちは雇用保険に入れないから」と会社に言われた、あるいは「手取りが減るから入りたくない」と自分で断った——どちらも、法律上は意味がありません。

雇用保険法5条1項は、「労働者が雇用される事業を適用事業とする」としか書いていません。業種も、規模も、法人か個人事業主かも問いません。労働者を1人でも雇えば、その事業は適用事業です。

例外は1つだけです。法附則2条と施行令附則2条により、個人経営で、常時5人未満の労働者を雇用する農林水産の事業だけが、当分の間「任意適用事業」とされています。それ以外に「小さい会社だから入らなくていい」という逃げ道はありません。

届出をしない事業主には罰則がある。7条は事業主に届出を義務づけ、83条1号は、7条に違反して届出をせず、または偽りの届出をした事業主を「6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金」に処すると定めます。(「拘禁刑」は令和7年6月1日に施行された刑法改正後の呼び方です。それ以前の条文は「懲役」でした。今も「6か月以下の懲役」と書いている解説は、改正前のままです。)

そして労働者の側には、会社を通さずに使える手段があります。8条は「被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、次条の規定による確認を請求することができる」と定めています。会社が手続きをしてくれないときは、本人がハローワークに直接「確認請求」ができるということです。

9条の「確認」は、被保険者になるための条件ではありません。要件を満たした日に法律上当然に被保険者になっていて、確認はそれを後から確かめる手続きにすぎません。だから、会社が届出を怠っていた期間も、さかのぼって被保険者だったことになります(遡れる範囲には限りがあります。後述)。

学生の例外 — 条文は「学生だから除外」とは書いていない

「学生はアルバイトをどれだけしても雇用保険に入らない」とよく言われます。半分は正しいのですが、条文の書き方はもっと限定的です。6条4号を読みます。

先に結論を書きます。除外されるのは「昼間学生」だけで、それにも4つの例外があります。夜間学部の学生・定時制の生徒は、そもそも除外されません。

四 学校教育法第一条、第百二十四条又は第百三十四条第一項の学校の学生又は生徒であつて、前三号に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者

除外されるのは「学生」ではなく、「学生であって、かつ厚生労働省令で定める者」です。では省令は誰を定めているのか。施行規則3条の2は、次のように書きます。

第三条の二 法第六条第四号に規定する厚生労働省令で定める者は、次の各号に掲げる者以外の者とする。
一 卒業を予定している者であつて、適用事業に雇用され、卒業した後も引き続き当該事業に雇用されることとなつているもの
二 休学中の者
三 定時制の課程に在学する者
四 前三号に準ずる者として職業安定局長が定めるもの

「以外の者」——ここが二重否定になっています。省令が挙げる4つの類型は、除外される側ではなく、除外から外れる側です。

ただし、この省令だけを読んでも第4号(「職業安定局長が定めるもの」)の中身は分かりません。それを開いているのが、厚生労働省の雇用保険業務取扱要領(適用関係)20303です。要領はまず、除外されるのは「昼間学生」だけだと言います。

学校教育法第1条に規定する学校…の学生又は生徒(法第6条第4号)であっても、大学の夜間学部及び高等学校の夜間等の定時制の課程の者等以外のもの(以下「昼間学生」という)は、被保険者とはならない。…ただし、昼間学生であっても、次に掲げる者は、被保険者となる。
(イ) 卒業見込証明書を有する者であって、卒業前に就職し、卒業後も引き続き当該事業に勤務する予定のもの
(ロ) 休学中の者
(ハ) 事業主との雇用関係を存続した上で、事業主の命により又は事業主の承認を受け、大学院等に在学する者(社会人大学院生など)
(ニ) その他一定の出席日数を課程終了の要件としない学校に在学する者であって、当該事業において同種の業務に従事する他の労働者と同様に勤務し得ると認められるもの

つまり、雇用保険に加入する学生は2層になっています。整理するとこうなります。

学生の状況週20時間以上・31日以上の見込みがあるとき
大学の夜間学部・高校の定時制など(そもそも「昼間学生」でない)加入する
卒業見込証明書を持ち、卒業前に就職し、卒業後も続けて働く加入する
休学中である加入する
社会人大学院生(雇用関係を続けたまま、会社の命令・承認で大学院に在学)加入する
通信制など、一定の出席日数を修了の要件としない学校に在学している加入する
上のどれにも当たらない昼間学生(昼間の大学に通う学生など)加入しない

間違えやすいのは夜間学部・定時制です。これは「例外として救われる」のではなく、そもそも「昼間学生」ではないので、最初から除外の対象ですらありません

また、卒業を控えた学生が内定先で在学中からアルバイトを始め、卒業後もそのまま雇われるなら、在学中から被保険者です。「学生のうちは入らない」と思い込んで手続きをしないと、その期間が被保険者期間から丸ごと落ちます。

逆に、昼間の大学に通う学生が週30時間アルバイトをしても、上のどれにも当たらなければ加入しません。時間の長さでは覆りません。

健康保険・厚生年金とは基準が違う。健康保険法3条1項9号ハ・厚生年金保険法12条5号ハにも学生の規定はありますが、それは「通常の労働者の4分の3未満」の短時間労働者を拾うルート(いわゆる106万円の壁)の除外要件としてだけ出てきます。4分の3以上働く学生は、学生であっても健康保険・厚生年金に加入します。雇用保険のように「昼間学生は原則として対象外」という作りではありません。週30時間働く昼間学生が「雇用保険には入らないのに、健康保険・厚生年金には入る」ことは普通に起こります(→社会保険の加入条件)。

掛け持ちは合算しない(65歳以上だけ例外)

6条1号の「一週間の所定労働時間」は、事業所ごとに見ます。会社をまたいで足し算はしません。

したがって、A社で週12時間・B社で週10時間働いている人は、合計すれば週22時間ですが、どちらの会社でも20時間未満なので、どちらでも加入しません。合計22時間という数字は、どこにも登場しないのです。

反対に、2社とも週20時間以上で働いていても、二重には加入しません。雇用保険業務取扱要領20352は、同時に2以上の雇用関係にある労働者について「一の雇用関係(原則として、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係)についてのみ被保険者となる」と定めています。加入するのは主たる賃金を受ける1社だけです。

この原則の例外が、雇用保険マルチジョブホルダー制度(37条の5、令和4年1月1日から)です。要件は3つあります。

  1. 2以上の事業主に雇用される65歳以上の労働者であること
  2. 2つの事業所(1つの事業所の週所定労働時間が5時間以上20時間未満)を合計して、週の所定労働時間が20時間以上であること
  3. 2つの事業所のそれぞれで31日以上の雇用見込みがあること

「5時間以上」は条文に書かれていません。37条の5第1項3号が「厚生労働省令で定める時間数以上」とだけ書き、施行規則65条の7が「五時間とする」と定めています。

この制度だけは、労働者本人が申し出ないと始まりません。37条の5は「厚生労働大臣に申し出て、当該申出を行つた日から高年齢被保険者となることができる」と書きます。通常の雇用保険は事業主が届け出て自動的に加入しますが、マルチジョブホルダーは本人が住居所を管轄するハローワークに申し出た日から被保険者になります。さかのぼりません。申し出が遅れた分は、そのまま被保険者期間になりません。

加入すると、離職したときに高年齢求職者給付金(被保険者であった期間に応じて30日分または50日分の一時金)を受け取れます。一方の事業所だけを離職した場合でも受給できます。

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入っていなかったとき — 遡れるのは原則2年

会社が届出を怠っていた、あるいは学生の例外を知らずに手続きをしていなかった。あとから確認請求をして被保険者だったと確認されたとき、どこまでさかのぼれるのか

14条2項2号が原則を定めます。被保険者期間に算入されないのは「第九条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の二年前の日」より前の期間です。つまり原則として2年までしか遡れません

ところが、この2号にはかっこ書きがあり、22条5項がその読み替えを定めています。次の2つを両方満たす人は、「2年前の日」が「雇用保険料が賃金から控除されていたことが明らかである、いちばん古い時期」に読み替えられます。

  1. その人について7条の届出がされていなかったこと
  2. 厚生労働省令で定める書類(給与明細など)に基づき、確認があった日の2年前の日より前に、被保険者の負担すべき額が賃金から控除されていたことが明らかである時期があること

給与明細に雇用保険料が引かれていた記録が残っていれば、2年を超えてさかのぼれるということです。天引きされていたのに届出がされていなかった、という状況を救うための規定です。

ただし条文には、見落としやすい但し書きがあります。22条5項は、この読み替えの対象から「第一号に規定する事実を知つていた者を除く」としています。1号の事実とは「届出がされていなかったこと」です。つまり、届出がされていないと知りながら黙っていた人は、2年を超えた遡及を受けられません。気づいた時点で動くこと、そして給与明細を捨てないことが、そのまま自分の受給額を守ります。

2028年10月、週20時間が週10時間になる

いま週10〜19時間で働いていて対象外の人は、2028年(令和10年)10月1日から被保険者になります。雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)による適用拡大です。

e-Gov法令検索の未施行リビジョン(令和10年10月1日施行)を現行の条文と機械的に突き合わせると、6条1号の「一週間の所定労働時間が二十時間未満である者」が「十時間未満である者」に置き換わっていることが確認できます。同時に、37条の5(マルチジョブホルダー)の20時間も、すべて10時間に変わります。

週20時間を基準に組み立てられていた数値は、いっせいに半分になります

基準現在2028年10月1日から
被保険者となる週の所定労働時間20時間以上10時間以上
被保険者期間を1か月と数える賃金支払基礎日数11日以上6日以上
同上(労働時間で数える場合)80時間以上40時間以上
法定の賃金日額の下限額2,460円1,230円

受給資格そのもの(離職日から2年間に被保険者期間12か月以上、会社都合などは1年間に6か月以上)は変わりません。変わるのは、その「1か月」を数えるハードルのほうです。

なお、表の賃金日額の下限額は法律に書かれた原型の額であり、実際に適用される額ではありません。雇用保険法18条により毎年8月1日に改定されるためです(現在の実際の下限額は、令和7年8月1日改定後の額です)。改定の仕組みは失業保険はいくらもらえる?で扱っています。

まとめ

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よくある質問

Q. パートやアルバイトでも雇用保険に加入しますか?

A. 加入します。雇用保険法6条は、1週間の所定労働時間が20時間未満の人と、同じ事業主に継続して31日以上雇用される見込みがない人を適用除外としているだけで、雇用形態や呼び名では区別していません。週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあれば、パートでもアルバイトでも契約社員でも被保険者になります。

Q. 会社に「うちは雇用保険に入れない」と言われました。断れるものなのですか?

A. 断れません。要件を満たせば法律上当然に被保険者になり(4条1項)、事業主には届出義務があります(7条)。届出をしなかったり偽りの届出をした事業主は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(83条1号)。会社が手続きをしない場合、本人はハローワークに対していつでも確認請求ができます(8条)。

Q. 週20時間ちょうどのときは加入しますか?

A. 加入します。条文が適用除外としているのは「一週間の所定労働時間が二十時間未満である者」であり、20時間ちょうどは「未満」に当たらないためです。20時間を超えることは求められていません。

Q. 学生はアルバイトで雇用保険に入れないのですか?

A. 適用除外になるのは「昼間学生」だけです。大学の夜間学部や高校の定時制の課程に通う人は、そもそも昼間学生に当たらないので、週20時間以上・31日以上の雇用見込みがあれば加入します。さらに昼間学生であっても、卒業見込証明書を持ち卒業前に就職して卒業後も引き続き勤務する人、休学中の人、会社の命令や承認を受けて大学院等に在学する社会人大学院生、通信制など一定の出席日数を修了の要件としない学校に在学する人は、適用除外から外れて被保険者になります(施行規則3条の2・雇用保険業務取扱要領20303)。

Q. 2つの会社の労働時間を合算して加入できますか?

A. 65歳以上の人だけができます。雇用保険マルチジョブホルダー制度(37条の5)では、2つの事業所(それぞれ週5時間以上20時間未満)の所定労働時間を合計して週20時間以上あり、それぞれで31日以上の雇用見込みがあれば加入できます。ただし本人がハローワークに申し出る必要があり、被保険者になるのは申し出た日からで、さかのぼりません。64歳以下の人は合算できません。

Q. 過去に加入し損ねた分は、さかのぼって加入できますか?

A. 原則として、確認があった日から2年前までです(14条2項2号)。ただし給与から雇用保険料が控除されていたことが給与明細などで明らかな場合は、その最も古い時期まで2年を超えて遡れます(22条5項)。この救済は、届出がされていなかった事実を知っていた人には適用されません。

出典

この記事は令和8年7月時点の条文に基づく一般的な情報です。個別の事案で被保険者に当たるかどうかは、ハローワーク(公共職業安定所)が判断します。具体的な手続きは管轄のハローワークにご確認ください。