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年収の壁 早見表|10月1日に106万の賃金要件撤廃・130万の壁と手取り逆転【2026年】

2026年(令和8年)にいまも残る年収の壁は6つです。社会保険の130万円と、税金の約119万円・136万円・169万円・178万円・207万円です。「106万円の壁」は、所定内賃金月8.8万円以上という賃金要件が2026年10月1日に撤廃されたため、数に入りません。

大きな手取り逆転は主に社会保険の壁で起こります。税でも住民税の均等割・森林環境税などの定額負担が発生する境界では、小幅な逆転が起こり得ます。

東京都・39歳の被扶養配偶者(国民年金第3号)が勤め先の社会保険に入る試算では、年収129万円から131万円に増えると、手取りは16万7,296円減ります。元の水準を回復する試算点は、年収約150万5,000円です。

この記事の「手取り」は、年収から社会保険料を引いた額です。所得税・住民税・雇用保険は引いていません。計算の条件は実数の節に書いています。

【一覧】年収の壁は6つ。106万円は撤廃済み(2026年・令和8年)

2026年(令和8年)の主な年収の壁を、税と社会保険に分けて整理します。106万円は2026年10月1日に撤廃された壁なので数に入れず、経緯が分かるように表の1行目に残しています。

年収種類誰の・何が変わるか手取りへの影響
106万円
月8.8万円
2026年10月1日に撤廃(いまは年収でなく週20時間以上などで判定)
社会保険 本人が勤め先の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する。適用拡大の要件をすべて満たす場合のみ 加入前後の収入次第で逆転
約119万円 税金 本人に住民税がかかり始める(単身・扶養なしの場合;自治体により異なる) 小さい
130万円 社会保険 本人が配偶者の健康保険の扶養から外れる(一般の基準は130万円未満) 最大(逆転する)
136万円 税金 配偶者の「配偶者控除」(38万円)の対象から外れる なし(下記のとおり同額の控除が続く)
169万円 税金 配偶者の「配偶者特別控除」が満額38万円から減り始める 中くらい
178万円 税金 本人に所得税がかかり始める(旧「103万円の壁」) 小さい
207万円 税金 配偶者の「配偶者特別控除」がゼロになる 中くらい

※ 本人が給与収入のみ・配偶者の合計所得金額が900万円以下(給与収入1,095万円以下)の場合。給与収入への換算は、収入が給与だけで特定支出控除の適用がない場合です。特定支出控除を適用する場合は、給与収入への換算額が異なります。

壁ごとに、判定に使う収入が違います。「誰の」「何が」変わるのかを分けて見るのがコツです。

100万 120万 140万 160万 180万 200万 年収 106万円 旧・賃金要件の目安 2026年10月に撤廃済み 130万円 一般の扶養基準 社会保険の壁=手取りが逆転 119万円 住民税 169万円 配偶者特別控除が減り始め 207万円 配偶者特別控除ゼロ 136万円 配偶者控除の上限 178万円 所得税(旧103万円)
2026年(令和8年)の「年収の壁」。上(オレンジ)が社会保険の壁、下(グレー)が税金の壁です。106万円は2026年10月1日に撤廃済みです。判定に使う収入と、年齢などによる別基準は、このあとの箇条書きに書いています。

税金の壁は、社会保険ほど大きな段差はないが、小幅な手取り減はあり得る

本人の所得税は、課税所得の増加分に税率がかかる仕組みです。ただし、配偶者特別控除の段階的な減少や住民税均等割の課税開始では、境界を少し超えたときに世帯の手取りが下がることがあります。

「103万円の壁」は、もうありません(178万円になりました)

本人に所得税がかかり始めるラインは、給与所得控除の最低保障額+基礎控除です。令和8年分(2026年分)は次のとおりです。

令和6年分まで令和7年分令和8年分(2026年)
給与所得控除の最低保障額55万円65万円74万円
基礎控除(この年収帯の人に適用される額)48万円95万円104万円
所得税がかかり始める給与収入103万円160万円178万円

年収178万円なら、給与所得は 178万円 − 74万円 = 104万円。合計所得金額が489万円以下なので基礎控除は104万円で、これを引くと課税所得はゼロです。つまり年収178万円までは所得税がかかりません(令和8年分)。

「173万円」と書いてある記事に注意(それは令和10年分以後の姿です) 2026年(令和8年)の壁は178万円です。173万円は、令和10年分以後の数字を2026年に当てはめた計算です。基礎控除の上乗せ額は年分によって違います(租税特別措置法41条の16の2第1項)。
・令和8年分・令和9年分:合計所得金額489万円以下なら+42万円。基礎控除は 62万+42万=104万円
・令和10年分以後:+37万円に下がり、上乗せを受けられるのは合計所得金額132万円以下の人に狭まります。基礎控除は 62万+37万=99万円
99万円を2026年に当てはめると、74万+99万=173万円という誤った壁が出てきます。
実務の落とし穴:2026年11月までの給与から引かれる所得税は、まだ「改正前」の金額です 令和8年度の改正は令和8年12月1日施行で、月々の源泉徴収税額表が変わるのは令和9年1月支払分からです。したがって2026年1〜11月の給与からは従来どおりの所得税が天引きされ、12月の年末調整でまとめて精算(還付)されます。「改正されたのに引かれる税額が変わらない」のは正常です。

住民税は、所得税より低い年収からかかる(約119万円)

「税金がかからない」ラインは178万円ではありません。住民税のほうが先に来ます。総務省の資料では、単身者(扶養親族なし)の個人住民税の非課税限度額は給与収入110万円 → 令和8年度改正後は119万円とされています。2026年(令和8年)の収入で判定される住民税(令和9年度分)は、おおむね年収119万円からかかり始めます。

住民税の均等割の非課税限度額は市区町村の条例で定めるため、お住まいの自治体によって数万円ずれることがあります。正確な金額は自治体の税務課にご確認ください。

136万円・169万円・207万円 ―― これは「配偶者の税金」の話

ここは本人ではなく配偶者(夫や妻)の所得税が変わるラインです。令和8年分は次のようになりました(配偶者の合計所得900万円以下の場合)。

本人の給与収入配偶者が受けられる控除控除額
〜136万円配偶者控除38万円
136万円超〜169万円配偶者特別控除38万円(満額のまま)
169万円超〜207万円配偶者特別控除36万円 → 3万円へ段階的に減る
207万円超—0円

136万円を超えても損はしません。配偶者控除(38万円)から配偶者特別控除(38万円)に切り替わるだけで、控除額は同じ38万円のままです。配偶者の税金が実際に増え始めるのは169万円を超えてからで、しかも段階的に減るように作られています(1円超えて38万円の控除が消える、ということは起きません)。

ここまでのまとめ
  • 税金の壁(119万・136万・169万・178万・207万)は、社会保険ほど大きな段差はないが、小幅な手取り減はあり得る
  • 「103万円の壁」は178万円に、「150万円の壁」は169万円に、「201.6万円の壁」は207万円に置き換わった
  • 税の壁にも小さな段差はあるが、特に大きな手取り減に注意したいのは社会保険の壁

【重要】月8.8万円以上の賃金要件は2026年10月1日に撤廃された

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。「106万円の壁」は、2026年10月1日に金額の壁ではなくなりました。

令和7年の年金制度改正法により、賃金要件(所定内賃金 月額8.8万円以上)は2026年10月1日に撤廃されました(9月30日までは要件がありました;厚生年金保険法12条5号・健康保険法3条の改正)。厚生労働省は、その理由をこう説明しています ―― 全ての都道府県で令和7年度の地域別最低賃金が時給1,016円を超えたため、週20時間働けば自動的に月額8.8万円以上になる。要件として意味をなさなくなった、ということです。

「106万円の壁」→「週20時間の壁」に置き換わった 撤廃されたのは賃金要件だけで、他の要件は残っています。2026年10月1日以降、短時間労働者が社会保険に加入するかどうかは、実質的に「週の所定労働時間が20時間以上かどうか」で決まります(学生の例外も含め、勤め先等の要件の確認が必要)。
賃金要件が撤廃されたいまは、年収を106万円に抑えても、週20時間以上など残る要件を満たせば原則として社会保険に加入します。

例外:最低賃金の減額特例を受けている人。減額特例の対象者で所定内賃金が月額8.8万円未満の場合は原則加入せず、申出により任意加入する例外があります。所定内賃金の範囲と手続きは、最低賃金の減額特例を受けている人にあります。

企業規模要件も、10年かけて撤廃される

「勤め先が従業員51人以上」という要件も、段階的になくなります。最終的には適用事業所が対象です。

時期加入対象になる企業の規模
現在(2026年10月)従業員51人以上
2027年(令和9年)10月から従業員36人以上
2029年(令和11年)10月から従業員21人以上
2032年(令和14年)10月から従業員11人以上
2035年(令和17年)10月から従業員10人以下も対象=全面撤廃

※ 従業員数は「厚生年金保険の被保険者数」で数えます(短時間労働者は含めません)。

つまり、起きたこと・これから起きること
  • 2026年10月1日:106万円という金額の壁が消えた(実施済み)
  • 2027年10月〜2035年10月:企業規模要件が段階的に消え、最終的に全企業が対象
  • 賃金要件が撤廃されたいまも週20時間・学生要件(例外あり)・雇用見込み・事業所の要件等は残ります。先に4分の3基準も確認し、勤め先で加入しない人は扶養の収入基準・生計維持等を確認します
  • 「年収をいくらに抑えるか」という発想そのものが、「週何時間働くか」に置き換わっていく

106万円と130万円は「誰の話か」が違う

ここが最も誤解されるところです。勤務先の加入要件と被扶養者の認定要件は別です。勤務先で被保険者となる場合は、配偶者の被扶養者から外れる手続きが必要です。

106万円の壁
(2026年10月1日から金額の要件なし)
130万円の壁
正体社会保険の適用拡大(短時間労働者の加入)健康保険の被扶養者の認定基準
何が起きる勤め先の健康保険・厚生年金に自分が加入する配偶者の健康保険の扶養から外れる。国民年金第3号は20歳以上60歳未満などの別条件があり、勤め先への加入はその加入要件で判定
判定するもの週の所定労働時間が20時間以上かなど、下の欄の要件。月額8.8万円の賃金要件は2026年10月1日に撤廃されました今後1年間の収入見込みが130万円未満か(一般基準)。年齢などによる別基準と生計維持等も確認
対象になる人次の4つをすべて満たす人
①週の所定労働時間20時間以上
②2か月を超える雇用の見込み
③学生でない
④従業員51人以上の会社などに勤める
上記に当てはまらず、配偶者の扶養に入っている人
超えたあと勤め先の社会保険(保険料は労使折半)勤め先の社会保険に入れれば労使折半。入れない場合は、年齢等に応じて国民健康保険・国民年金等への加入と負担を確認

「対象になる人」の①〜④には、次の補足があります。

適用拡大の要件を満たす人に、130万円の壁は関係ありません。年収が130万円に届く前に、週20時間以上などの要件で自分が社会保険に入るので、そもそも130万円まで扶養にいられないからです。週20時間未満でも、通常労働者の時間・日数の4分の3基準を満たせば加入対象となります。50人以下でも任意特定適用事業所や国・地方公共団体の事業所は適用拡大の対象です。勤め先の加入要件を満たさない人は、扶養の収入基準や生計維持等を別に確認します。

自分の勤務条件で加入対象になるかは、社会保険の加入条件で確認できます。

130万円は「実績」ではなく「見込み」で判定される

実務でいちばん誤解されるのがここです。130万円は、1月〜12月の合計額(実績)で判定するのではありません。

日本年金機構は、被扶養者の「年間収入」を「過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額」と定義しています。つまり一般基準では、これから先1年間で130万円以上の収入が見込まれる働き方になったかどうか(年齢等の別基準は後述)で判定します。

目安として、給与収入が月額108,333円(130万円÷12)を超える状態が続くと、その時点で扶養から外れる扱いになります(雇用保険の失業給付を受けている場合は日額3,611円が目安)。

年間合計だけでなく、今後の収入見込みを確認 例えば月11万円の収入が今後1年間続く見込みなら、年間合計がまだ130万円未満でも、見込み収入は一般基準の130万円以上になります。認定の変更時期や遡及の可否は、契約内容・継続見込み等によるため、加入する健康保険の保険者に確認してください。
一時的な繁忙による超過なら、扶養にとどまれることがある 厚生労働省の「年収の壁・支援強化パッケージ」により、繁忙期の残業などで一時的に収入が増えた場合は、事業主がその旨を証明することで引き続き扶養にとどまれる仕組みがあります(原則として連続2回まで)。恒常的な時給アップ・所定労働時間の増加はこの対象になりません。

130万円ちょうどはアウト。認定基準は「130万円未満」です。130万円ぴったりは、扶養の対象になりません。なお60歳以上または障害者の場合は180万円未満、また令和7年10月以降に認定を受ける19歳以上23歳未満の人(配偶者を除く)は150万円未満に引き上げられています。

【実数】年収129万円と131万円で、手取りはいくら違うか

勤務先の社会保険への加入前後では、年収が増えても手取りが減る場合があります。実際にいくら減るのか、当サイトの社会保険料計算ロジック(協会けんぽ 令和8年度料率)で計算しました。

この表の「手取り」は、年収から社会保険料だけを引いた額です(所得税・住民税は引いていません)。東京都・39歳・協会けんぽの試算で、前提は図の下にまとめています。

年収社会保険料(本人負担・年額)手取り
(年収 − 社会保険料;税は除く)
129万円との差
129万円0円(被扶養配偶者・第3号)1,290,000円—
131万円187,296円
標準報酬月額11万円・月15,608円
1,122,704円▼167,296円
140万円200,928円1,199,072円▼90,928円
150万円214,548円1,285,452円▼4,548円(あと一歩)
150万5,000円214,548円1,290,452円掲載した試算点で129万円超
160万円228,168円1,371,832円+81,832円
この試算では年収129万円から131万円へ増えると、手取りは16万7,296円減る この試算で元の手取り(129万円)を回復する年収は約150万5,000円です。年収150万5,000円は最低額そのものではなく、回復を確認するための丸めた試算点です。年収150万円ではまだ4,548円足りません。加入前後の収入と保険料を、この条件で比較した結果です。
90万 110万 130万 150万 170万 190万 手取り(年収 − 社会保険料;税は除く) 100万 120万 140万 160万 180万 200万 年収(円) 保険料が無ければ 130万円の壁 被扶養配偶者・第3号 ▼16万7,296円(129万→131万円) 自分で社会保険に入る 年収150万5,000円で 129万円を回復する試算点
年収に対する手取り=年収から社会保険料を引いた額(東京都・39歳・協会けんぽ 令和8年度料率で計算;所得税・住民税は引いていない)。この試算では130万円で段差ができ、元の水準を回復する試算点は年収約150万5,000円。短時間労働者の適用拡大の要件を満たす場合は加入する収入帯が異なり、段差の大きさも変わります。
年収の壁で手取りがどう動くか試算する 無料ツール:社会保険料 計算機 あなたの年収・都道府県・年齢を入れるだけで、健康保険・厚生年金・介護保険の本人負担額を自動計算。令和8年度の47都道府県別料率に対応しています。「扶養を外れたらいくら引かれるか」がその場で分かります。

この試算の前提は次のとおりです。

踏み込んだ一段:住民税を入れると、段差は「少しだけ小さく」なる(消えはしない)

上の表は社会保険料だけを引いた額です。住民税を入れるとどうなるか——直感に反して、段差はむしろ縮みます。

つまり住民税は、扶養内の129万円のほうが高く、社会保険に入った131万円のほうが安い。両方に住民税を反映させると、129万円側の手取りが下がる一方で131万円側はほとんど下がらないため、段差は上の表よりやや小さくなります。

ただし逆転そのものは消えません——社会保険料18万7,296円に対して、住民税の差は1万円台にとどまるからです。金額は市区町村の条例・調整控除により異なるため、ここでは差の向きだけを示しています。

約106万円(旧・賃金要件の目安)での加入前後を同じ条件で比較する

2026年9月30日までは、適用拡大の要件を満たす人は、130万円ではなく106万円(月8.8万円)で先に加入していました。10月1日に賃金の要件がなくなったので、いまは週20時間以上などの要件を満たした時点で、年収にかかわらず加入します。下の表は、加入要件を満たさない働き方(週20時間未満など)で扶養内にいる場合と、加入した場合を、同じ条件(手取り=年収 − 社会保険料;税は除く)で比べたものです:

年収社会保険料(本人負担・年額)手取り
(年収 − 社会保険料;税は除く)
105万円(被扶養配偶者・第3号;加入要件を満たさない働き方)0円1,050,000円
107万円(勤め先の社会保険に加入)149,844円920,156円(▼129,844円)
123万円177,096円1,052,904円(掲載した試算点で105万円超)

この試算で年収105万円の手取りを回復する試算点は、年収約123万円です。最低額そのものを示す数字ではありません。

【2026年10月〜】保険料調整制度で、この逆転が和らぐ人がいる

令和7年の年金制度改正法で、保険料調整制度が新設されました(2026年10月開始)。事業主が短時間労働者の保険料の一部を一時的に肩代わりし、本人の負担を通算3年間だけ軽くする仕組みです(労使折半の例外)。日本年金機構が公表している負担割合は次のとおりです。

標準報酬月額1〜2年目
本人:事業主
3年目
本人:事業主
88,000円以下25:7537.5:62.5
98,000円30:7040:60
104,000円36:6443:57
110,000円41:5945.5:54.5
118,000円45:5547.5:52.5
126,000円48:5249:51
126,000円超対象外(通常どおり労使折半)

本人が負担する割合が小さくなるので、上の逆転(16万7,296円)はその分だけ浅くなります。しかも将来受け取る年金額は減りません(軽減された分も納付されたものとして扱われます)。

ただし、誰でも使える制度ではありません(ここを間違えないこと)。対象になるのは、次の時期に次のどれかに当たった事業所です。

対象になる事業所時期
「任意特定適用事業所」になった事業所令和8年10月1日〜令和17年9月30日
適用拡大で新たに短時間労働者が加入対象になる事業所令和9年10月1日以降
任意適用事業所のうち、厚生年金保険の被保険者数が51人以上となって特定適用事業所になった個人事業所令和9年10月1日〜令和17年9月30日
任意適用事業所になった個人事業所令和17年10月1日以降

社会保険に入るのは、損とは限らない

ここまで「手取りが減る」と書いてきましたが、社会保険料は掛け捨てではありません。加入によって年金や健康保険の給付対象となりますが、受給にはそれぞれ条件があります。

1. 保険料の半分は会社が払う

厚生年金・健康保険の保険料は労使折半です。上の試算では本人負担を折半額から計算しています。会社側は納付額から本人負担分を差し引いて負担するため、端数処理により本人と同額にならない場合があります。子ども・子育て拠出金は別に事業主が負担します。国民年金・国民健康保険には、この会社負担がありません。

2. 将来の年金が「上乗せ」される

国民年金第3号の期間は老齢基礎年金の計算対象です。過去に厚生年金に加入した期間があれば、その期間に対応する老齢厚生年金も受給要件に応じて支給されます。厚生年金に加入すれば、そこに老齢厚生年金が上乗せされます(金額は加入期間と報酬に応じて決まります)。加えて、障害厚生年金・遺族厚生年金の対象にもなります。

3. 傷病手当金・出産手当金が出る

これは見落とされがちですが大きい。健康保険の被扶養者には、傷病手当金も出産手当金もありません。自分が被保険者になって初めて受けられます。

傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けず、連続3日の待期などの支給要件を満たす場合に、給与との調整をしたうえで支給されます。

最悪なのは「扶養も外れ、勤め先の社保にも入れない」パターン 年収130万円を超えて扶養を外れたのに、週の所定労働時間が短くて勤め先の社会保険に加入できない場合、国民健康保険+国民年金を全額自己負担することになります。国民年金保険料だけで月17,920円(令和8年度)=年215,040円。これに国民健康保険料(自治体により異なる)が上乗せされます。会社負担はゼロ、将来の年金の上乗せもゼロ、国保の傷病手当金も全国一律の法定給付ではありません(条例・規約による任意給付はあります)。
扶養を外れるなら、勤め先の社会保険に入れる働き方(週20時間以上)まで働く。これが基本の考え方です。

よくある質問

「103万円の壁」はもう無くなったのですか?

所得税がかかり始める給与収入は、令和7年分に160万円、令和8年分(2026年分)にはさらに178万円へ引き上げられました(給与所得控除の最低保障額74万円+基礎控除104万円)。ただし住民税は年収119万円前後からかかるため、「税金がまったくかからないライン」は178万円ではありません。

年収130万円ちょうどなら扶養に入れますか?

一般の130万円基準では入れません。60歳以上・障害者の180万円未満、19歳以上23歳未満の特例の150万円未満という別基準があります。一般基準は「年間収入130万円未満」なので、130万円ちょうどは対象外です。月額でいえば108,333円以下(130万円÷12=108,333.3円)が目安になります。

12月に働きすぎて年収が130万円を超えそうです。今からシフトを減らせば大丈夫ですか?

130万円は1〜12月の実績ではなく「今後1年間の収入見込み」で判定します。月額108,333円を継続的に超える働き方になった時点で扶養から外れる扱いになるため、年末に帳尻を合わせれば済むとは限りません。ただし繁忙期の残業など一時的な収入増であれば、事業主の証明により扶養にとどまれる場合があります(原則として連続2回まで)。

106万円の壁がなくなって、パートは全員社会保険に入るようになったのですか?

いいえ。2026年10月1日に撤廃されたのは賃金要件(月額8.8万円以上)だけです。「週の所定労働時間20時間以上」「2か月を超える雇用の見込み」「学生でない」「従業員51人以上の会社などに勤める」という要件は残っています。週20時間未満でも、通常労働者の所定労働時間と所定労働日数の4分の3基準を満たす場合は加入対象です。要件の補足は「誰の話か」の節にあります。

2026年10月に始まった「保険料調整制度」で、保険料は安くなりますか?

会社が申し出た場合に限り、短時間労働者として加入する人のうち標準報酬月額126,000円以下の人は、本人の保険料負担が通算3年間だけ軽くなります(標準報酬月額88,000円なら1〜2年目は本人25%・事業主75%)。ただし対象は「令和8年10月1日以降に任意特定適用事業所になった事業所」などに限られ、令和8年10月1日時点ですでに特定適用事業所(任意特定適用事業所を含む)になっている会社は対象外です。なお、軽減されても将来受け取る年金額は減りません。

大学生の子どもは、いくらまで働けますか?

健康保険の被扶養者については、令和7年10月以降、19歳以上23歳未満の人(被保険者の配偶者を除く)の収入要件が年間150万円未満に引き上げられました。税金のほうは、令和8年分は給与収入136万円までなら扶養控除(特定扶養親族63万円)が満額で、それを超えても197万円までは特定親族特別控除が段階的に使えます。給与収入への換算は、収入が給与だけで特定支出控除の適用がない場合です。

夫の会社の「家族手当」も年収の壁で決まりますか?

家族手当・配偶者手当は会社独自の制度で、法律の壁とは別物です。「配偶者の年収が103万円以下」といった旧来の基準を残している会社もあり、手当が月1万円なら年12万円と影響は小さくありません。就業規則・給与規程を必ず確認してください。

次に読む

出典

根拠: 国税庁・総務省・厚生労働省・日本年金機構の公表資料(令和8年)。訂正: 2026年7月22日、所得税の壁を173万円から178万円に訂正しました(租税特別措置法41条の16の2第1項により、99万円・132万円は令和10年分以後の数字のため)。

保険料の試算は協会けんぽ東京支部の令和8年度保険料額表の折半額と給与控除時の端数処理に基づきます。19歳以上23歳未満の扶養収入基準の対象・年齢判定は日本年金機構の案内を参照してください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は年金事務所・お住まいの自治体・税務署または社会保険労務士・税理士にご確認ください。

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