年収の壁 早見表|10月1日に106万の賃金要件撤廃・130万の壁と手取り逆転【2026年】
2026年(令和8年)にいまも残る年収の壁は6つです。社会保険の130万円と、税金の約119万円・136万円・169万円・178万円・207万円です。「106万円の壁」は、所定内賃金月8.8万円以上という賃金要件が2026年10月1日に撤廃されたため、数に入りません。
大きな手取り逆転は主に社会保険の壁で起こります。税でも住民税の均等割・森林環境税などの定額負担が発生する境界では、小幅な逆転が起こり得ます。
東京都・39歳の被扶養配偶者(国民年金第3号)が勤め先の社会保険に入る試算では、年収129万円から131万円に増えると、手取りは16万7,296円減ります。元の水準を回復する試算点は、年収約150万5,000円です。
この記事の「手取り」は、年収から社会保険料を引いた額です。所得税・住民税・雇用保険は引いていません。計算の条件は実数の節に書いています。
【一覧】年収の壁は6つ。106万円は撤廃済み(2026年・令和8年)
2026年(令和8年)の主な年収の壁を、税と社会保険に分けて整理します。106万円は2026年10月1日に撤廃された壁なので数に入れず、経緯が分かるように表の1行目に残しています。
| 年収 | 種類 | 誰の・何が変わるか | 手取りへの影響 |
|---|---|---|---|
| 106万円 月8.8万円 2026年10月1日に撤廃(いまは年収でなく週20時間以上などで判定) |
社会保険 | 本人が勤め先の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する。適用拡大の要件をすべて満たす場合のみ | 加入前後の収入次第で逆転 |
| 約119万円 | 税金 | 本人に住民税がかかり始める(単身・扶養なしの場合;自治体により異なる) | 小さい |
| 130万円 | 社会保険 | 本人が配偶者の健康保険の扶養から外れる(一般の基準は130万円未満) | 最大(逆転する) |
| 136万円 | 税金 | 配偶者の「配偶者控除」(38万円)の対象から外れる | なし(下記のとおり同額の控除が続く) |
| 169万円 | 税金 | 配偶者の「配偶者特別控除」が満額38万円から減り始める | 中くらい |
| 178万円 | 税金 | 本人に所得税がかかり始める(旧「103万円の壁」) | 小さい |
| 207万円 | 税金 | 配偶者の「配偶者特別控除」がゼロになる | 中くらい |
※ 本人が給与収入のみ・配偶者の合計所得金額が900万円以下(給与収入1,095万円以下)の場合。給与収入への換算は、収入が給与だけで特定支出控除の適用がない場合です。特定支出控除を適用する場合は、給与収入への換算額が異なります。
壁ごとに、判定に使う収入が違います。「誰の」「何が」変わるのかを分けて見るのがコツです。
- 税金の壁:その年分の給与収入の実績で見ます。令和7年・令和8年の税制改正で、金額はほとんど別物に入れ替わりました
- 130万円:認定時点以降の年間の見込み収入で見ます。給与以外の収入も含みます。60歳以上または障害者は180万円未満、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は150万円未満の別基準があります
- 106万円:「年収」ではなく、所定内賃金(残業代・賞与・通勤手当は含めない)の月額8.8万円で判定していました。年収換算の目安が約106万円です。この賃金の要件は2026年9月30日までで、10月1日に撤廃されました
税金の壁は、社会保険ほど大きな段差はないが、小幅な手取り減はあり得る
本人の所得税は、課税所得の増加分に税率がかかる仕組みです。ただし、配偶者特別控除の段階的な減少や住民税均等割の課税開始では、境界を少し超えたときに世帯の手取りが下がることがあります。
「103万円の壁」は、もうありません(178万円になりました)
本人に所得税がかかり始めるラインは、給与所得控除の最低保障額+基礎控除です。令和8年分(2026年分)は次のとおりです。
| 令和6年分まで | 令和7年分 | 令和8年分(2026年) | |
|---|---|---|---|
| 給与所得控除の最低保障額 | 55万円 | 65万円 | 74万円 |
| 基礎控除(この年収帯の人に適用される額) | 48万円 | 95万円 | 104万円 |
| 所得税がかかり始める給与収入 | 103万円 | 160万円 | 178万円 |
年収178万円なら、給与所得は 178万円 − 74万円 = 104万円。合計所得金額が489万円以下なので基礎控除は104万円で、これを引くと課税所得はゼロです。つまり年収178万円までは所得税がかかりません(令和8年分)。
・令和8年分・令和9年分:合計所得金額489万円以下なら+42万円。基礎控除は 62万+42万=104万円
・令和10年分以後:+37万円に下がり、上乗せを受けられるのは合計所得金額132万円以下の人に狭まります。基礎控除は 62万+37万=99万円
99万円を2026年に当てはめると、74万+99万=173万円という誤った壁が出てきます。
住民税は、所得税より低い年収からかかる(約119万円)
「税金がかからない」ラインは178万円ではありません。住民税のほうが先に来ます。総務省の資料では、単身者(扶養親族なし)の個人住民税の非課税限度額は給与収入110万円 → 令和8年度改正後は119万円とされています。2026年(令和8年)の収入で判定される住民税(令和9年度分)は、おおむね年収119万円からかかり始めます。
住民税の均等割の非課税限度額は市区町村の条例で定めるため、お住まいの自治体によって数万円ずれることがあります。正確な金額は自治体の税務課にご確認ください。
136万円・169万円・207万円 ―― これは「配偶者の税金」の話
ここは本人ではなく配偶者(夫や妻)の所得税が変わるラインです。令和8年分は次のようになりました(配偶者の合計所得900万円以下の場合)。
| 本人の給与収入 | 配偶者が受けられる控除 | 控除額 |
|---|---|---|
| 〜136万円 | 配偶者控除 | 38万円 |
| 136万円超〜169万円 | 配偶者特別控除 | 38万円(満額のまま) |
| 169万円超〜207万円 | 配偶者特別控除 | 36万円 → 3万円へ段階的に減る |
| 207万円超 | — | 0円 |
136万円を超えても損はしません。配偶者控除(38万円)から配偶者特別控除(38万円)に切り替わるだけで、控除額は同じ38万円のままです。配偶者の税金が実際に増え始めるのは169万円を超えてからで、しかも段階的に減るように作られています(1円超えて38万円の控除が消える、ということは起きません)。
- 税金の壁(119万・136万・169万・178万・207万)は、社会保険ほど大きな段差はないが、小幅な手取り減はあり得る
- 「103万円の壁」は178万円に、「150万円の壁」は169万円に、「201.6万円の壁」は207万円に置き換わった
- 税の壁にも小さな段差はあるが、特に大きな手取り減に注意したいのは社会保険の壁
【重要】月8.8万円以上の賃金要件は2026年10月1日に撤廃された
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。「106万円の壁」は、2026年10月1日に金額の壁ではなくなりました。
令和7年の年金制度改正法により、賃金要件(所定内賃金 月額8.8万円以上)は2026年10月1日に撤廃されました(9月30日までは要件がありました;厚生年金保険法12条5号・健康保険法3条の改正)。厚生労働省は、その理由をこう説明しています ―― 全ての都道府県で令和7年度の地域別最低賃金が時給1,016円を超えたため、週20時間働けば自動的に月額8.8万円以上になる。要件として意味をなさなくなった、ということです。
賃金要件が撤廃されたいまは、年収を106万円に抑えても、週20時間以上など残る要件を満たせば原則として社会保険に加入します。
例外:最低賃金の減額特例を受けている人。減額特例の対象者で所定内賃金が月額8.8万円未満の場合は原則加入せず、申出により任意加入する例外があります。所定内賃金の範囲と手続きは、最低賃金の減額特例を受けている人にあります。
企業規模要件も、10年かけて撤廃される
「勤め先が従業員51人以上」という要件も、段階的になくなります。最終的には適用事業所が対象です。
| 時期 | 加入対象になる企業の規模 |
|---|---|
| 現在(2026年10月) | 従業員51人以上 |
| 2027年(令和9年)10月から | 従業員36人以上 |
| 2029年(令和11年)10月から | 従業員21人以上 |
| 2032年(令和14年)10月から | 従業員11人以上 |
| 2035年(令和17年)10月から | 従業員10人以下も対象=全面撤廃 |
※ 従業員数は「厚生年金保険の被保険者数」で数えます(短時間労働者は含めません)。
- 2026年10月1日:106万円という金額の壁が消えた(実施済み)
- 2027年10月〜2035年10月:企業規模要件が段階的に消え、最終的に全企業が対象
- 賃金要件が撤廃されたいまも週20時間・学生要件(例外あり)・雇用見込み・事業所の要件等は残ります。先に4分の3基準も確認し、勤め先で加入しない人は扶養の収入基準・生計維持等を確認します
- 「年収をいくらに抑えるか」という発想そのものが、「週何時間働くか」に置き換わっていく
106万円と130万円は「誰の話か」が違う
ここが最も誤解されるところです。勤務先の加入要件と被扶養者の認定要件は別です。勤務先で被保険者となる場合は、配偶者の被扶養者から外れる手続きが必要です。
| 106万円の壁 (2026年10月1日から金額の要件なし) | 130万円の壁 | |
|---|---|---|
| 正体 | 社会保険の適用拡大(短時間労働者の加入) | 健康保険の被扶養者の認定基準 |
| 何が起きる | 勤め先の健康保険・厚生年金に自分が加入する | 配偶者の健康保険の扶養から外れる。国民年金第3号は20歳以上60歳未満などの別条件があり、勤め先への加入はその加入要件で判定 |
| 判定するもの | 週の所定労働時間が20時間以上かなど、下の欄の要件。月額8.8万円の賃金要件は2026年10月1日に撤廃されました | 今後1年間の収入見込みが130万円未満か(一般基準)。年齢などによる別基準と生計維持等も確認 |
| 対象になる人 | 次の4つをすべて満たす人 ①週の所定労働時間20時間以上 ②2か月を超える雇用の見込み ③学生でない ④従業員51人以上の会社などに勤める | 上記に当てはまらず、配偶者の扶養に入っている人 |
| 超えたあと | 勤め先の社会保険(保険料は労使折半) | 勤め先の社会保険に入れれば労使折半。入れない場合は、年齢等に応じて国民健康保険・国民年金等への加入と負担を確認 |
「対象になる人」の①〜④には、次の補足があります。
- ③学生:次の人は学生でも加入対象です。
- 休学中の人
- 定時制・通信制の課程や夜間の学部・学科等に在学する人
- 卒業後も同じ事業所に引き続き使用されることになっている卒業予定の人
- 一部の教育施設の在学生
- その他これらに準じる人(いわゆる社会人大学院生等)
- ④勤め先:特定適用事業所(現行は厚生年金保険の被保険者数51人以上)、任意特定適用事業所、国・地方公共団体の事業所のいずれかです。人数の数え方は「従業員51人」はどう数えるかにあります
- 前提:適用事業所で常用的に使用され、厚生年金は70歳未満で、一般的適用除外に該当しないことが前提です。短期の雇用などの適用除外や、国・地方公共団体で働く人の扱いは例外・少数のケースにあります
適用拡大の要件を満たす人に、130万円の壁は関係ありません。年収が130万円に届く前に、週20時間以上などの要件で自分が社会保険に入るので、そもそも130万円まで扶養にいられないからです。週20時間未満でも、通常労働者の時間・日数の4分の3基準を満たせば加入対象となります。50人以下でも任意特定適用事業所や国・地方公共団体の事業所は適用拡大の対象です。勤め先の加入要件を満たさない人は、扶養の収入基準や生計維持等を別に確認します。
自分の勤務条件で加入対象になるかは、社会保険の加入条件で確認できます。
130万円は「実績」ではなく「見込み」で判定される
実務でいちばん誤解されるのがここです。130万円は、1月〜12月の合計額(実績)で判定するのではありません。
日本年金機構は、被扶養者の「年間収入」を「過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額」と定義しています。つまり一般基準では、これから先1年間で130万円以上の収入が見込まれる働き方になったかどうか(年齢等の別基準は後述)で判定します。
目安として、給与収入が月額108,333円(130万円÷12)を超える状態が続くと、その時点で扶養から外れる扱いになります(雇用保険の失業給付を受けている場合は日額3,611円が目安)。
130万円ちょうどはアウト。認定基準は「130万円未満」です。130万円ぴったりは、扶養の対象になりません。なお60歳以上または障害者の場合は180万円未満、また令和7年10月以降に認定を受ける19歳以上23歳未満の人(配偶者を除く)は150万円未満に引き上げられています。
【実数】年収129万円と131万円で、手取りはいくら違うか
勤務先の社会保険への加入前後では、年収が増えても手取りが減る場合があります。実際にいくら減るのか、当サイトの社会保険料計算ロジック(協会けんぽ 令和8年度料率)で計算しました。
この表の「手取り」は、年収から社会保険料だけを引いた額です(所得税・住民税は引いていません)。東京都・39歳・協会けんぽの試算で、前提は図の下にまとめています。
| 年収 | 社会保険料(本人負担・年額) | 手取り (年収 − 社会保険料;税は除く) | 129万円との差 |
|---|---|---|---|
| 129万円 | 0円(被扶養配偶者・第3号) | 1,290,000円 | — |
| 131万円 | 187,296円 標準報酬月額11万円・月15,608円 | 1,122,704円 | ▼167,296円 |
| 140万円 | 200,928円 | 1,199,072円 | ▼90,928円 |
| 150万円 | 214,548円 | 1,285,452円 | ▼4,548円(あと一歩) |
| 150万5,000円 | 214,548円 | 1,290,452円 | 掲載した試算点で129万円超 |
| 160万円 | 228,168円 | 1,371,832円 | +81,832円 |
この試算の前提は次のとおりです。
- 対象:東京都・39歳(介護保険料なし)・協会けんぽ。賞与・残業代等なしの一定月給
- 料率:健康保険9.85%+子ども・子育て支援金0.23%+厚生年金18.3%を労使折半
- 標準報酬月額:年収を12で割った額を報酬月額として判定
- 扶養内:健康保険の被扶養者と国民年金第3号被保険者の条件を満たす配偶者とします
- 加入後:130万円以上で勤務時間等も変わり、勤め先の社会保険の加入要件を満たすものとします
- 端数:健康保険・支援金・厚生年金の折半額ごとに給与控除時の端数処理(50銭以下切捨て、50銭超切上げ)をして合計し、12倍します
- 年換算:令和8年4月分以後の料率を12か月固定する年換算であり、2026年1〜12月の実際の納付額ではありません
- 除くもの:雇用保険料は、加入の有無にかかわらずこの比較から除外します
- 税:所得税はこの年収帯ではかかりません(上記のとおり178万円まで0円)。住民税は約119万円からかかりますが、自治体差があるため、ここでは社会保険料だけの影響を見ています
踏み込んだ一段:住民税を入れると、段差は「少しだけ小さく」なる(消えはしない)
上の表は社会保険料だけを引いた額です。住民税を入れるとどうなるか——直感に反して、段差はむしろ縮みます。
- 年収129万円(扶養内)… 給与所得は 129万 − 74万(給与所得控除の最低保障)= 55万円。住民税の基礎控除43万円を引くと課税所得12万円が残るので、所得割がかかります(年収119万円を超えているため)
- 年収131万円(社会保険に加入)… 払った社会保険料18万7,296円は全額が社会保険料控除になります(地方税法314条の2第1項2号)。給与所得57万 − 社会保険料控除18.7万 − 基礎控除43万 はマイナス——所得割はゼロになり、均等割だけが残ります
つまり住民税は、扶養内の129万円のほうが高く、社会保険に入った131万円のほうが安い。両方に住民税を反映させると、129万円側の手取りが下がる一方で131万円側はほとんど下がらないため、段差は上の表よりやや小さくなります。
ただし逆転そのものは消えません——社会保険料18万7,296円に対して、住民税の差は1万円台にとどまるからです。金額は市区町村の条例・調整控除により異なるため、ここでは差の向きだけを示しています。
約106万円(旧・賃金要件の目安)での加入前後を同じ条件で比較する
2026年9月30日までは、適用拡大の要件を満たす人は、130万円ではなく106万円(月8.8万円)で先に加入していました。10月1日に賃金の要件がなくなったので、いまは週20時間以上などの要件を満たした時点で、年収にかかわらず加入します。下の表は、加入要件を満たさない働き方(週20時間未満など)で扶養内にいる場合と、加入した場合を、同じ条件(手取り=年収 − 社会保険料;税は除く)で比べたものです:
| 年収 | 社会保険料(本人負担・年額) | 手取り (年収 − 社会保険料;税は除く) |
|---|---|---|
| 105万円(被扶養配偶者・第3号;加入要件を満たさない働き方) | 0円 | 1,050,000円 |
| 107万円(勤め先の社会保険に加入) | 149,844円 | 920,156円(▼129,844円) |
| 123万円 | 177,096円 | 1,052,904円(掲載した試算点で105万円超) |
この試算で年収105万円の手取りを回復する試算点は、年収約123万円です。最低額そのものを示す数字ではありません。
【2026年10月〜】保険料調整制度で、この逆転が和らぐ人がいる
令和7年の年金制度改正法で、保険料調整制度が新設されました(2026年10月開始)。事業主が短時間労働者の保険料の一部を一時的に肩代わりし、本人の負担を通算3年間だけ軽くする仕組みです(労使折半の例外)。日本年金機構が公表している負担割合は次のとおりです。
| 標準報酬月額 | 1〜2年目 本人:事業主 | 3年目 本人:事業主 |
|---|---|---|
| 88,000円以下 | 25:75 | 37.5:62.5 |
| 98,000円 | 30:70 | 40:60 |
| 104,000円 | 36:64 | 43:57 |
| 110,000円 | 41:59 | 45.5:54.5 |
| 118,000円 | 45:55 | 47.5:52.5 |
| 126,000円 | 48:52 | 49:51 |
| 126,000円超 | 対象外(通常どおり労使折半) | |
本人が負担する割合が小さくなるので、上の逆転(16万7,296円)はその分だけ浅くなります。しかも将来受け取る年金額は減りません(軽減された分も納付されたものとして扱われます)。
ただし、誰でも使える制度ではありません(ここを間違えないこと)。対象になるのは、次の時期に次のどれかに当たった事業所です。
| 対象になる事業所 | 時期 |
|---|---|
| 「任意特定適用事業所」になった事業所 | 令和8年10月1日〜令和17年9月30日 |
| 適用拡大で新たに短時間労働者が加入対象になる事業所 | 令和9年10月1日以降 |
| 任意適用事業所のうち、厚生年金保険の被保険者数が51人以上となって特定適用事業所になった個人事業所 | 令和9年10月1日〜令和17年9月30日 |
| 任意適用事業所になった個人事業所 | 令和17年10月1日以降 |
- 令和8年10月1日時点ですでに特定適用事業所(任意特定適用事業所を含む)になっている事業所は対象外。すでに従業員51人以上で加入させている会社で働く多くの人は、この制度の恩恵を受けられません。
- 事業主からの申し出が必要(期限は、対象になった日から2年を経過した日が属する月の前月まで)。会社が申し出なければ適用されません。
- 対象は標準報酬月額126,000円以下の人だけ。通算3年で終了します(4年目からは通常の労使折半に戻る)。
社会保険に入るのは、損とは限らない
ここまで「手取りが減る」と書いてきましたが、社会保険料は掛け捨てではありません。加入によって年金や健康保険の給付対象となりますが、受給にはそれぞれ条件があります。
1. 保険料の半分は会社が払う
厚生年金・健康保険の保険料は労使折半です。上の試算では本人負担を折半額から計算しています。会社側は納付額から本人負担分を差し引いて負担するため、端数処理により本人と同額にならない場合があります。子ども・子育て拠出金は別に事業主が負担します。国民年金・国民健康保険には、この会社負担がありません。
2. 将来の年金が「上乗せ」される
国民年金第3号の期間は老齢基礎年金の計算対象です。過去に厚生年金に加入した期間があれば、その期間に対応する老齢厚生年金も受給要件に応じて支給されます。厚生年金に加入すれば、そこに老齢厚生年金が上乗せされます(金額は加入期間と報酬に応じて決まります)。加えて、障害厚生年金・遺族厚生年金の対象にもなります。
3. 傷病手当金・出産手当金が出る
これは見落とされがちですが大きい。健康保険の被扶養者には、傷病手当金も出産手当金もありません。自分が被保険者になって初めて受けられます。
傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けず、連続3日の待期などの支給要件を満たす場合に、給与との調整をしたうえで支給されます。
- 支給開始前の加入期間が12か月以上なら「支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 3分の2」が、通算1年6か月を限度に支給されます
- 12か月未満では直近の標準報酬月額平均と協会けんぽ全被保険者の平均額の低い方を使います
- 平均額を30で割った額は10円未満、さらに3分の2を掛けた日額は1円未満を四捨五入します(協会けんぽ)
扶養を外れるなら、勤め先の社会保険に入れる働き方(週20時間以上)まで働く。これが基本の考え方です。
よくある質問
「103万円の壁」はもう無くなったのですか?
所得税がかかり始める給与収入は、令和7年分に160万円、令和8年分(2026年分)にはさらに178万円へ引き上げられました(給与所得控除の最低保障額74万円+基礎控除104万円)。ただし住民税は年収119万円前後からかかるため、「税金がまったくかからないライン」は178万円ではありません。
年収130万円ちょうどなら扶養に入れますか?
一般の130万円基準では入れません。60歳以上・障害者の180万円未満、19歳以上23歳未満の特例の150万円未満という別基準があります。一般基準は「年間収入130万円未満」なので、130万円ちょうどは対象外です。月額でいえば108,333円以下(130万円÷12=108,333.3円)が目安になります。
12月に働きすぎて年収が130万円を超えそうです。今からシフトを減らせば大丈夫ですか?
130万円は1〜12月の実績ではなく「今後1年間の収入見込み」で判定します。月額108,333円を継続的に超える働き方になった時点で扶養から外れる扱いになるため、年末に帳尻を合わせれば済むとは限りません。ただし繁忙期の残業など一時的な収入増であれば、事業主の証明により扶養にとどまれる場合があります(原則として連続2回まで)。
106万円の壁がなくなって、パートは全員社会保険に入るようになったのですか?
いいえ。2026年10月1日に撤廃されたのは賃金要件(月額8.8万円以上)だけです。「週の所定労働時間20時間以上」「2か月を超える雇用の見込み」「学生でない」「従業員51人以上の会社などに勤める」という要件は残っています。週20時間未満でも、通常労働者の所定労働時間と所定労働日数の4分の3基準を満たす場合は加入対象です。要件の補足は「誰の話か」の節にあります。
2026年10月に始まった「保険料調整制度」で、保険料は安くなりますか?
会社が申し出た場合に限り、短時間労働者として加入する人のうち標準報酬月額126,000円以下の人は、本人の保険料負担が通算3年間だけ軽くなります(標準報酬月額88,000円なら1〜2年目は本人25%・事業主75%)。ただし対象は「令和8年10月1日以降に任意特定適用事業所になった事業所」などに限られ、令和8年10月1日時点ですでに特定適用事業所(任意特定適用事業所を含む)になっている会社は対象外です。なお、軽減されても将来受け取る年金額は減りません。
大学生の子どもは、いくらまで働けますか?
健康保険の被扶養者については、令和7年10月以降、19歳以上23歳未満の人(被保険者の配偶者を除く)の収入要件が年間150万円未満に引き上げられました。税金のほうは、令和8年分は給与収入136万円までなら扶養控除(特定扶養親族63万円)が満額で、それを超えても197万円までは特定親族特別控除が段階的に使えます。給与収入への換算は、収入が給与だけで特定支出控除の適用がない場合です。
夫の会社の「家族手当」も年収の壁で決まりますか?
家族手当・配偶者手当は会社独自の制度で、法律の壁とは別物です。「配偶者の年収が103万円以下」といった旧来の基準を残している会社もあり、手当が月1万円なら年12万円と影響は小さくありません。就業規則・給与規程を必ず確認してください。
出典
根拠: 国税庁・総務省・厚生労働省・日本年金機構の公表資料(令和8年)。訂正: 2026年7月22日、所得税の壁を173万円から178万円に訂正しました(租税特別措置法41条の16の2第1項により、99万円・132万円は令和10年分以後の数字のため)。
保険料の試算は協会けんぽ東京支部の令和8年度保険料額表の折半額と給与控除時の端数処理に基づきます。19歳以上23歳未満の扶養収入基準の対象・年齢判定は日本年金機構の案内を参照してください。
- 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」/「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」 ― 令和8・9年分の基礎控除(最高104万円)、給与所得控除の最低保障額74万円、配偶者特別控除額の表
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」41条の16の2第1項(令和8年12月1日施行版)― 基礎控除への加算額は年分で異なる。一 令和八年分及び令和九年分…イ 合計所得金額が四百八十九万円以下である場合四十二万円/ロ 四百八十九万円を超える場合 五万円(加算対象は合計所得金額655万円以下)、二 令和十年分以後の各年分 三十七万円(同号は合計所得金額132万円以下の場合に適用)。同法29条の4(給与所得控除の最低控除額の特例・令和8年分および令和9年分)
- 国税庁 タックスアンサー No.1199 基礎控除/No.1410 給与所得者の給与所得控除/No.1191 配偶者控除/No.1195 配偶者特別控除
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日 閣議決定)
- 総務省 自治税務局市町村税課「個人住民税の基礎控除等について」(令和8年5月29日)― 単身者の非課税限度額 110万円→119万円
- 厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」― 賃金要件の令和8年10月の撤廃(資料の作成時点では「撤廃予定」;撤廃は厚生年金保険法12条5号・健康保険法3条の2026年10月1日施行の版で確認)、企業規模要件の段階的撤廃
- 厚生労働省「「年収の壁」への対応」/「年収の壁・支援強化パッケージ」― 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化(原則連続2回まで)
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」/「従業員が家族を被扶養者にするとき」(年間収入130万円未満・月額108,333円・見込み判定・19歳以上23歳未満は150万円未満)/「国民年金保険料」(令和8年度 月額17,920円)
- 日本年金機構「保険料調整制度のご案内」(2026年4月1日更新)― 対象事業所・標準報酬月額126,000円以下・負担割合の表・通算3年間・年金額に影響なし
- 全国健康保険協会「都道府県毎の保険料率(令和8年度)」/「傷病手当金」
- 厚生労働省「短時間労働者の社会保険の加入拡大のポイント」— 最低賃金の減額特例対象者の例外(2026年9月27日確認)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は年金事務所・お住まいの自治体・税務署または社会保険労務士・税理士にご確認ください。