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贈与税はいくらから?110万円までかからない・申告不要【令和8年】

結論から言うと、贈与税がかかるのは1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計が110万円を超えてからです。110万円は「基礎控除」と呼ばれ、合計がこれ以下なら贈与税はかからず、申告も不要です(国税庁No.4402)。

ただし110万円の数え方に落とし穴があります。基礎控除は「もらった人」1人につき・1年に1回だけです。あげる人ごとに110万円ずつ引けるのではないので、同じ年に父から100万円・祖父から100万円をもらうと、1件ずつは110万円以下でも合計200万円で課税され、贈与税は9万円になります。

110万円を超えたときの税額は、誰からもらったかで変わります。18歳以上の人が親・祖父母からもらうなら軽い「特例税率」で、500万円の贈与なら48万5,000円。同じ500万円でも夫婦間や兄弟間なら「一般税率」で53万円です。この記事では、2種類の速算表と早見表、そもそも贈与税がかからないお金、申告の期限までを国税庁の一次情報で確認します。

贈与税 計算機で、自分の場合の税額を確かめる

110万円は「もらった人ごと・1年ごと」に1回だけ

贈与税(暦年課税)の計算は、次の1本の式で決まります。

贈与税額 =(1年間にもらった財産の合計 − 基礎控除110万円)× 税率 − 控除額

「税率」と「控除額」は、後述の速算表(特例税率/一般税率)から、基礎控除後の金額の帯で決まります。

基礎控除110万円の根拠は、相続税法21条の5(本則は60万円)を租税特別措置法70条の2の4が110万円に引き上げているものです。国税庁はこう明示しています。

1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。
— 国税庁 タックスアンサー No.4402「贈与税がかかる場合」
基礎控除は「あげる人ごと」ではない — ここで一番間違える

110万円を差し引けるのはもらった人1人につき、1年に1回だけです。同じ年に父から100万円+祖父から100万円をもらった場合、1件ずつは110万円以下でも合計は200万円。200万円 − 110万円 = 90万円に税率10%がかかり、贈与税は9万円です。「贈与者ごとに110万円ずつ引けるから0円」と考えると、税額を丸ごと申告漏れします。

逆に、1人の親が子2人にそれぞれ110万円ずつあげた場合は、もらった側それぞれの年間合計が110万円以下なので、2人とも課税されません。数えるのは常に「もらった人」の側です。

なお、贈与税の対象は現金の手渡しだけではありません。自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合や、借金を免除してもらった場合なども「贈与とみなされて」贈与税がかかります(国税庁No.4402)。

税率は2種類 — 特例税率と一般税率

110万円を超えた部分に当てる速算表は2種類あり、「誰から」「何歳の人が」もらったかで決まります。

「18歳」は誕生日ではなく、その年の1月1日で判定する

特例税率の年齢要件は「贈与を受けた年の1月1日において18歳以上」です。年の途中で18歳になった年は、その年いっぱい一般税率のままです。また、配偶者の父母(義父母)は自分の直系尊属ではないので、夫の父からの贈与には特例税率は使えません(国税庁No.4408)。なお「18歳」は令和4年4月1日以後の贈与の基準で、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」でした。

特例贈与財産用(特例税率)の速算表

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%0円
200万円超 400万円以下15%10万円
400万円超 600万円以下20%30万円
600万円超 1,000万円以下30%90万円
1,000万円超 1,500万円以下40%190万円
1,500万円超 3,000万円以下45%265万円
3,000万円超 4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

一般贈与財産用(一般税率)の速算表

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%0円
200万円超 300万円以下15%10万円
300万円超 400万円以下20%25万円
400万円超 600万円以下30%65万円
600万円超 1,000万円以下40%125万円
1,000万円超 1,500万円以下45%175万円
1,500万円超 3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

2つの表を見比べると、200万円以下の10%と、その次の15%の帯までは同じで、そこから上で特例税率のほうが軽くなっていきます。基礎控除後300万円(=もらった額410万円)までは、どちらの表でも税額は同じです。差がつくのは、もらった額が410万円を超えてからです。

いくらもらうと、いくらかかるか(早見表)

1年間にもらった合計額ごとの贈与税額です(当サイトの贈与税 計算機と同じ計算式で算出。100円未満切り捨て)。

1年間にもらった合計特例税率
(親・祖父母 → 18歳以上)
一般税率
(夫婦間・兄弟間・18歳未満など)
110万円以下0円0円
150万円40,000円40,000円
200万円90,000円90,000円
300万円190,000円190,000円
400万円335,000円335,000円
500万円485,000円530,000円
700万円880,000円1,120,000円
1,000万円1,770,000円2,310,000円
2,000万円5,855,000円6,950,000円
3,000万円10,355,000円11,950,000円

計算の流れを、国税庁No.4408の計算例と同じ「親から500万円」で追うと次のとおりです。

親から500万円もらった場合(受贈者は1月1日時点で18歳以上 → 特例税率)

基礎控除後の課税価格: 500万円 − 110万円 = 390万円
贈与税額: 390万円 × 15% − 10万円 = 48万5,000円

同じ500万円でも、夫婦間などの一般税率なら 390万円 × 20% − 25万円 = 53万円になります。

親から500万円の贈与を受けた場合(1月1日時点で18歳以上 = 特例税率) 基礎控除 110万円 課税価格 390万円 税金がかからない (もらった人ごと・年1回) × 15% − 10万円(特例税率の速算表) 手元に残る 451万5,000円 ↑ 贈与税 48万5,000円 実効税率は 9.7%(48万5,000円 ÷ 500万円)。「390万円に15%」でも、もらった額全体で見れば1割弱。
親から500万円をもらった場合(特例税率)の計算の流れ。基礎控除110万円を引いた390万円に速算表を当て、贈与税は48万5,000円 — もらった額の1割弱です。
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両方の税率が混ざる年は、按分して計算する

同じ年に特例税率の贈与(親から)と一般税率の贈与(配偶者や兄弟から)の両方を受けた場合は、片方ずつ速算表を当てるのではなく、合計額を基に「全額が一般だったら」「全額が特例だったら」の2通りを計算し、金額の割合で按分して合計します(国税庁No.4408)。

国税庁の計算例(一般贈与財産100万円+特例贈与財産400万円=合計500万円)で追うと:

  1. 全額を一般税率で計算 … (500万円 − 110万円) × 20% − 25万円 = 53万円。このうち一般分の割合 100万円/500万円 を掛けて 10万6,000円
  2. 全額を特例税率で計算 … (500万円 − 110万円) × 15% − 10万円 = 48万5,000円。このうち特例分の割合 400万円/500万円 を掛けて 38万8,000円
  3. 納める贈与税額 = 10万6,000円 + 38万8,000円 = 49万4,000円
基礎控除110万円は、ここでも合計から1回だけ

按分計算でも、110万円を差し引くのは合計額から1回だけです。一般分と特例分のそれぞれから110万円ずつ引くと、税額を大きく過少に計算してしまいます。

そもそも贈与税がかからないお金

「年間110万円を超えたら課税」の前に、そもそも贈与税の対象にならないお金があります(国税庁No.4405)。日常で関係が深いのはこの3つです。

もらったもの贈与税は条件
生活費・教育費の仕送り(夫婦・親子・兄弟姉妹などの扶養義務者から)かからない通常必要と認められる範囲で、必要な都度直接充てるもの
ご祝儀・香典・お見舞い・お年玉などかからない社会通念上相当と認められる範囲
法人からもらった財産かからない贈与税ではなく所得税の対象になる
「生活費だから非課税」は、渡し方で結論が変わる

非課税になるのは「必要な都度、直接これらに充てるためのもの」に限られます。生活費や教育費の名目でもらっても、それを預金したり、株式や不動産の購入資金に充てた場合には贈与税がかかると国税庁は明示しています(No.4405)。「学費として毎月渡す」のは非課税でも、「10年分の学費をまとめて渡して子の口座に寝かせる」は課税対象になり得ます。

このほか、要件を満たすと課税価格に入らない特例として、直系尊属からの住宅取得等資金教育資金の一括贈与結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度があります(いずれも一定の要件・手続きが必要)。また婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産(またはその購入資金)を贈与した場合は、贈与税の申告をすることで基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できる配偶者控除があります(同じ配偶者からは一生に一度だけ・国税庁No.4452)。

相続時精算課税という別の制度

ここまでの説明はすべて「暦年課税」という原則の課税方式です。これとは別に、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与では「相続時精算課税」を選ぶことができます(国税庁No.4103)。

つまり相続時精算課税は「贈与税が安くなる制度」ではなく、課税を相続時まで繰り延べる制度です。生前贈与を大きく動かす前提があるなら、贈与税だけでなく相続税側でいくらかかるかとセットで考える必要があります。

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申告と納税は翌年の2月1日〜3月15日

贈与税の申告と納税は、財産をもらった年の翌年の2月1日から3月15日までです(国税庁No.4429)。所得税の確定申告(2月16日開始)より2週間早く始まるので、確定申告と一緒に準備する人は開始日を取り違えないでください。提出先はもらった人の住所を所轄する税務署で、e-Taxでも提出できます。

期限までに申告しなかった場合や実際より少ない額で申告した場合には加算税が、納税が遅れた場合には延滞税がかかります。また、配偶者控除(最高2,000万円)や相続時精算課税の特別控除(2,500万円)のように、期限内に申告すること自体が適用の条件になっている特例もあります。「110万円以下だから何もしなくていい」と特例の利用までひとくくりにしないことが大事です。

よくある質問

Q. 贈与税は、年間いくらからかかりますか?

A. 1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計が基礎控除110万円を超えたときからです。110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です。超えた場合は、超えた部分(基礎控除後の課税価格)に速算表の税率を当てて計算します。たとえば年間200万円もらった場合は、90万円に税率10%で9万円です。

Q. 110万円の基礎控除は「あげる人1人につき110万円」ですか?

A. 違います。基礎控除は「もらった人」1人につき、1年に1回だけです。同じ年に父から100万円、祖父から100万円をもらうと合計200万円になり、110万円を引いた90万円に課税されて贈与税は9万円です。贈与者ごとに110万円ずつ引けるわけではありません。逆に、1人の親が子2人にそれぞれ110万円ずつ贈与した場合は、もらった子それぞれの年間合計が110万円以下なので、どちらにも課税されません。

Q. 親から500万円もらったら、贈与税はいくらですか?

A. もらった年の1月1日時点で18歳以上なら特例税率で48万5,000円です((500万円−110万円)×15%−10万円。国税庁No.4408の計算例と同じ数字です)。1月1日時点で18歳未満だった場合は一般税率になり、53万円です。

Q. 生活費や学費の仕送りにも贈与税がかかりますか?

A. かかりません。夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるためにもらった財産で、通常必要と認められるものは贈与税の対象外です。ただし非課税になるのは「必要な都度、直接これらに充てるためのもの」に限られ、生活費の名目でもらっても、預金したり株式や不動産の購入資金に充てた場合には贈与税がかかります(国税庁No.4405)。

Q. 結婚祝いのご祝儀や香典にも贈与税がかかりますか?

A. かかりません。個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物、見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるものは贈与税の対象になりません(国税庁No.4405)。お年玉もこの範囲なら同じ扱いです。常識的な金額を大きく超える場合はこの限りではありません。

Q. 夫婦の間の贈与にも特例税率は使えますか?

A. 使えません。特例税率が使えるのは直系尊属(父母・祖父母)からの贈与だけで、配偶者は直系尊属ではないため一般税率です。ただし婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産またはその購入資金を贈与する場合は、贈与税の申告をすることで基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できる「配偶者控除」という別の特例があります(同じ配偶者からは一生に一度だけ・国税庁No.4452)。

Q. 贈与税の申告はいつまでですか?

A. 財産をもらった年の翌年の2月1日から3月15日までです。所得税の確定申告(2月16日開始)より2週間早く始まります。期限までに申告しなかった場合や少なく申告した場合には加算税が、納税が遅れた場合には延滞税がかかります(国税庁No.4429)。

Q. ちょうど110万円の贈与なら、申告しなくてよいですか?

A. 申告不要です。贈与税がかかるのは110万円を「超えた」ときで、ちょうど110万円なら課税されず、申告も不要です(国税庁No.4402)。ただし配偶者控除や相続時精算課税のように、申告や届出をすること自体が適用の条件になっている特例を使う場合は、税額が0円でも申告が必要です。

出典

この記事は令和8年分の法令にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。贈与の該当性や税率・特例の適用可否は、実際の贈与の内容や個別の事情によって異なる場合があります。判断に迷う場合は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。