算定基礎届(定時決定)
7月1日に在籍している被保険者について、4月・5月・6月に受けた報酬から標準報酬月額を決め直します。決まった等級はその年の9月から翌年8月まで使われます。支払基礎日数が17日未満の月は除き、残った月数で割ります(健康保険法41条1項)。
分母は3で固定ではありません。条文は「報酬支払の基礎となった日数が十七日…未満である月があるときは、その月を除く」とした上で「その期間の月数で除して得た額」と書いています。3か月の合計を機械的に3で割ると、日数の足りない月がある人の報酬月額が低く出て、等級が下がります。
6月1日〜7月1日ならその年は対象外です。
17日未満の月を「除く」
健康保険法41条1項(厚生年金保険法21条1項も同文)は、7月1日に現に使用される事業所において同日前3月間に受けた報酬の総額を、その期間の月数で除して得た額を報酬月額とする、と書いています。この3月間には2つの括弧書きがついています。
- その事業所で継続して使用された期間に限る — 途中入社なら在籍していた月だけ
- 支払基礎日数が17日(省令で定める者は11日)未満である月があるときは、その月を除く
「17日未満」であって「17日以下」ではありません。17日ちょうどの月は算定に入ります。ここを取り違えると、17日の月がある人の報酬月額が変わります。
11日でよいのは誰か
健康保険法施行規則24条の2が定義しています。1週間の所定労働時間が同一の事業所の通常の労働者の4分の3未満、または1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満である短時間労働者です。
社内で「パート」と呼んでいるかどうかでは決まりません。4分の3以上働いている人は、呼び方にかかわらず17日です。
その年は出さなくてよい人
41条3項は、次の人にはその年に限り定時決定を適用しないと書いています。
| 対象外になる人 | 条文 | どうなるか |
|---|---|---|
| 6月1日から7月1日までの間に資格を取得した人 | 41条3項 | 資格取得時に決定した標準報酬月額が翌年8月まで続く |
| 7月から9月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定され、または改定されるべき人 | 41条3項 | 随時改定(月額変更届)のほうで決まる |
条文は「改定されるべき被保険者」と書いています。月額変更届をまだ出していなくても、該当していれば定時決定の対象から外れます。「出していないから定時決定でよい」ではありません。
随時改定は17日の使い方が逆
同じ17日でも、定時決定と随時改定(43条1項)では条文の書きぶりが逆です。
| 定時決定(41条1項) | 随時改定(43条1項) | |
|---|---|---|
| 17日の扱い | 17日未満の月を除く | 各月とも17日以上でなければならない |
| 1か月欠けたら | 残りの月で算定する | 随時改定にならない |
| 分母 | 残った月数 | 3で固定 |
4月20日・5月15日・6月20日という同じ入力でも、定時決定は「5月を除いて2か月で算定」、随時改定は「要件を満たさない」になります。結論が違います。
このツールが判定しないこと
このツールは入力した前提での計算例を出すもので、次はしていません。
- 保険者算定 — 年間平均での算定、業務の性質上季節的に報酬が変動する場合などは保険者の判断によります
- 4月〜6月のいずれも必要日数に満たない場合の金額 — 条文上は割る対象の月がありません。保険者等が決定します(従前の標準報酬月額によるのが実務の取扱い)
- 随時改定に該当するかどうか(2等級差の判定)— 日数の条件が逆であることの注意だけを示します
- 報酬に何を含めるか — 通勤手当・現物給与などの範囲は個別の判断が要ります
- 賞与(標準賞与額)— 別の届出です
当サイトは社会保険労務士ではありません。実際の届出は年金事務所・健康保険組合または顧問の社会保険労務士にご確認ください。
よくある質問
Q. 4月・5月・6月のうち1か月だけ日数が足りません。3か月の合計を3で割るのですか?
A. いいえ。その月を除いて、残った月数で割ります(健康保険法41条1項)。条文は「その月を除く」としたうえで「その期間の月数で除して得た額」と書いています。3で割ると報酬月額が低く出て、等級が下がります。
Q. 支払基礎日数が17日ちょうどの月は入りますか?
A. 入ります。条文は「十七日…未満である月があるときは、その月を除く」なので、除かれるのは16日以下です。
Q. パートの人は11日でよいのですか?
A. 呼び方では決まりません。健康保険法施行規則24条の2の短時間労働者(1週間の所定労働時間、または1か月の所定労働日数が、同一の事業所の通常の労働者の4分の3未満の人)に11日が適用されます。4分の3以上働いている人は17日です。
Q. 6月に入社した人の算定基礎届はどう書きますか?
A. 6月1日から7月1日までの間に資格を取得した人は、その年に限り定時決定の対象外です(41条3項)。資格取得時に決定した標準報酬月額が翌年8月まで続きます。
Q. 7月から月額変更(随時改定)に該当しそうですが、まだ届け出ていません。
A. 条文は「改定され、または改定されるべき被保険者」と書いています。届け出ていなくても該当していれば定時決定の対象から外れます(41条3項)。月額変更届のほうで決まります。
Q. 決まった標準報酬月額はいつから使いますか?
A. その年の9月から翌年8月までの各月の標準報酬月額になります(41条2項)。保険料は原則として翌月控除なので、9月分の保険料を10月の給与から控除する会社が多くなります。
Q. 4月・5月・6月のすべてが17日未満でした。
A. 条文上、割る対象の月がありません。この場合は保険者等が決定します(従前の標準報酬月額によるのが実務の取扱い)。このツールは金額を出さず、その旨を表示します。
出典
健康保険法 41条(定時決定=7月1日前3月間・継続して使用された期間に限る・17日/11日未満の月を除く・その期間の月数で除する・9月から翌年8月・3項の適用除外)/43条(随時改定=各月とも17日以上でなければならない)。厚生年金保険法 21条(定時決定。健保41条と同文)。健康保険法施行規則 24条の2(41条1項の厚生労働省令で定める者=所定労働時間・日数が通常の労働者の4分の3未満の短時間労働者)。標準報酬月額の等級表は全国健康保険協会の保険料額表によります。条文は e-Gov 法令API v2 で実読しています(2026-08-08 確認)。
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