経理の年間スケジュール|毎月・決算・年末調整・年度更新の締切
結論から言うと、経理の期限は毎月の反復業務、決算月から逆算する業務、暦で固定された年次業務の3本に分けると漏れにくくなります。給与関係は翌月10日と月末、3月決算法人の税務申告は原則5月末、労働保険と社会保険は6〜7月、年末調整は11〜翌年1月が山場です。
この記事は令和8年(2026年)1月から12月までを暦年順に見渡し、各期限の詳細へ送るハブです。表中の「令和8年度」は、労働保険など各制度が定める2026年4月から2027年3月までの期間を指します。土日祝に当たる期限、延長承認、納期の特例などで実日付が変わるため、提出前には各制度の案内も確認します。
毎月繰り返す経理は「翌月10日」と「月末」が軸
| 時点 | 主な業務 | 期限の考え方 |
|---|---|---|
| 月初 | 前月の請求書回収、売掛・買掛の締め、勤怠確定 | 社内締切。法定期限から逆算 |
| 給与支払日 | 給与計算、源泉所得税・社会保険料の控除 | 就業規則・給与規程の日 |
| 翌月10日 | 源泉所得税の納付(原則)、住民税特別徴収分の納入 | 休日なら翌開庁日 |
| 翌月末日 | 健康保険・厚生年金保険料の納付 | 休日なら翌営業日 |
| 月末 | 残高照合、証憑保存、月次試算表 | 社内で営業日基準を決める |
源泉所得税には、常時10人未満の給与支払者が承認を受けた場合の「納期の特例」があります。この場合、1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日が納期限です。通常納付と特例を同じカレンダーに重ねず、会社がどちらかを明記します。
無料ツール:営業日・期限計算月末や「翌月10日」が土日祝に当たるときの営業日を確認できます。令和8年(2026年):1月から12月の年間表
| 月 | 主な年次業務 | 実務上の着眼点 |
|---|---|---|
| 1月 | 前年分の年末調整後処理、源泉徴収票、給与支払報告書、法定調書合計表、償却資産申告 | 原則1月31日。令和8年は2月2日、令和9年は2月1日へ繰下げ |
| 2月 | 固定資産台帳の確認、確定申告資料の整理 | 1月末期限の繰下げ日を確認 |
| 3月 | 3月決算法人の棚卸・未収未払・引当資料、年度末締め | 3月31日をまたぐ証憑を分ける |
| 4月 | 新年度の給与・社会保険情報更新、労働保険年度更新の準備 | 4〜6月の報酬は算定基礎届につながる |
| 5月 | 3月決算法人の法人税・消費税申告、住民税通知の確認 | 原則、事業年度終了日の翌日から2か月以内 |
| 6月 | 住民税の新年度額で特別徴収開始、労働保険年度更新 | 通知書と給与マスターを照合 |
| 7月 | 年度更新、算定基礎届、源泉所得税の納期特例 | 令和8年度の年度更新は6月1日〜7月10日。算定基礎届は7月10日まで |
| 8月 | 上期の残高・固定資産・未払税金の点検 | 繁忙期前に年末調整対象者を整備 |
| 9月 | 定時決定した標準報酬月額の適用開始 | 給与控除への反映月は会社の徴収方法も確認 |
| 10月 | 年末調整様式・控除証明書の案内準備 | 令和8年分の様式を使う |
| 11月 | 年末調整申告書の配布・回収 | 社内締切は法定期限ではない |
| 12月 | 年末調整、過不足税額の精算、翌年扶養控除等申告書 | 12月31日までに支払が確定した給与を整理 |
春:3月決算と年度切替は「5月末」から逆算
3月決算法人では、法人税の確定申告は原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。申告日だけを予定に入れると、棚卸、固定資産台帳、未収収益・未払費用、補助金、役員報酬などの確認が直前に集中します。一般に3月31日の現物・債権債務を確定し、4月に月次を締め、税額計算と承認の時間を残します。
住民税の特別徴収は、自治体から届く税額決定通知書を5月中に給与マスターへ反映し、6月支給分から新しい年税額の徴収を始めます。退職者・転勤者・普通徴収への切替がある場合は、通知書の人数と在籍者一覧を照合します。
夏:年度更新と算定基礎届は似ているが別手続
労働保険の年度更新は、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料を申告・納付する手続です。令和8年度は2026年6月1日から7月10日までです。賃金集計には労災保険・雇用保険の対象者区分が関係するため、会計の給与総額をそのまま転記せず、年度更新用の集計表と照合します。
算定基礎届は、7月1日現在の被保険者について4月・5月・6月に支払った報酬を届け、原則9月から翌年8月までの標準報酬月額を決める手続です。提出期間は毎年7月1日から7月10日。賞与、臨時的な支払、支払基礎日数、短時間労働者などは単純な給与3か月平均だけでは判定できません。
年度更新は労働局・労働基準監督署等、算定基礎届は日本年金機構です。さらに源泉所得税の納期特例も7月10日に重なるため、タスク名を「7/10提出」の一行にまとめないことが重要です。
秋冬:年末調整から翌年の法定調書までを一続きにする
年末調整は11月ごろに申告書を回収し、通常はその年最後の給与で所得税の過不足を精算します。従業員への社内提出日は会社が事務処理のために設ける日で、法律上全国一律の「11月30日」などがあるわけではありません。詳しい分岐は年末調整はいつまで?で確認できます。
年末調整後は、源泉徴収票、給与支払報告書、法定調書と法定調書合計表へ数字をつなぎます。法定調書は原則として翌年1月31日まで。令和8年分については令和9年1月31日が日曜日なので、提出期限は令和9年2月1日(月)です。合計表の転記箇所は法定調書合計表の書き方で扱っています。
期限を落とさない管理方法
- 法定期限、社内締切、確認日を3列に分ける。社内締切だけ遅らせても法定期限は動きません。
- 「誰が・何を・どこへ」を書く。7月10日のように複数制度が重なる日でも別タスクになります。
- 前年の提出控えを開始資料にする。人数や金額の前年比較が入力漏れの検知になります。
- 休日繰下げを年度ごとに更新する。毎年同じ月日でも曜日は変わります。
- 完了条件を提出ではなく受信確認までにする。電子申告の受信通知、納付結果、控えの保存までを一つの作業にします。
ここに挙げた定型作業のうち、記帳のように毎月繰り返すものは自動化の余地があります。実際に会計ソフトの記帳を自動化して分かったことはAIで経理を半自動化するにまとめました。
よくある質問
Q. 経理の年間予定は暦年と事業年度のどちらで作りますか?
A. 両方を一枚に重ねます。年末調整・法定調書・算定基礎届は暦で動き、法人税申告は会社の事業年度で動くためです。
Q. 期限日が土日祝なら前営業日ですか?
A. 税務・社会保険の多くは翌開庁日または翌営業日に動きますが、制度ごとの案内を確認します。社内締切は前営業日に置くと確認時間を確保できます。
Q. 7月10日に何が重なりますか?
A. 令和8年度は労働保険の年度更新、算定基礎届、源泉所得税の納期特例の納付期限が重なります。それぞれ提出先と集計対象が異なります。
Q. 年末調整の従業員提出期限は法律で決まっていますか?
A. 全国一律の日付はありません。会社が給与計算と翌年1月の法定調書作成から逆算して社内締切を設定します。
出典
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税理士、社会保険労務士または所轄の行政機関にご確認ください。