予定納税の減額申請
前年の所得税額から源泉徴収税額を引いた額(予定納税基準額)が15万円以上だと、7月と11月にその3分の1ずつを前払いします。今年の見込みが下がっているなら減額申請ができます。見積額が基準額の10分の7以下なら、税務署長は承認「しなければならない」(所得税法113条2項2号)。
「申請できます」と「承認されます」は別です。条文には承認が義務になる線が引いてあります。①見積額が基準額の10分の7以下になる場合、または②廃業・休業・転換・失業・災害・盗難・横領・医療費の支払により基準額に満たなくなる場合。②に当たれば10分の7を超えていても承認義務です。それ以外でも申請自体はできますが、税務署長の調査による判断になります。
譲渡所得・一時所得・雑所得・臨時所得に係る税額は除いた額を入れてください(下記参照)。
今年の所得の見込みから計算した所得税額(源泉徴収される分を引いた額)。
6月15日(第2期は10月15日)より後なら、申請期限が延びます。
予定納税基準額の出しかた
予定納税基準額=前年分の課税総所得金額に係る所得税額 − その基礎となった各種所得につき源泉徴収された(されるべきであった)所得税額(所得税法104条1項)。これが15万円以上だと納付義務が生じます。15万円ちょうども対象です。
端数の切り捨ては「3分の1にした後」です。条文は「予定納税基準額の三分の一に相当する金額に百円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる」(104条3項)。四捨五入ではありません。基準額250,100円なら各期83,300円で、四捨五入すると83,400円になり100円ずれます。
前年に株を売った人は基準額が下がる
104条1項1号には括弧書きがあり、譲渡所得・一時所得・雑所得・雑所得に該当しない臨時所得は「なかったものとみなして」基準額を計算します。前年にたまたま株を売った、満期保険金を受け取った、といった一時的な所得は基準額に入りません。
ここを見落とすと前払いが過大に出ます。前年の確定申告書の税額をそのまま使うと、来年も同じ譲渡益があるものとして前払いさせることになります。上の入力欄にはこれらを除いた額を入れてください。
承認が義務になる「10分の7」
113条2項は、次のいずれかに該当するとき税務署長は承認を「しなければならない」と書いています。裁量ではありません。
| 号 | 要件 | 10分の7を超えていても効くか |
|---|---|---|
| 2項1号 | 廃業・休業・転換・失業、災害・盗難・横領による損害、医療費の支払により、見積額が基準額に満たなくなると認められる場合 | 効く |
| 2項2号 | 見積額が基準額(承認済みならその見積額)の10分の7に相当する金額以下となると認められる場合 | — |
どちらにも当たらない場合でも、見積額が基準額に満たない見込みなら申請そのものはできます(111条は事由を限定していません)。ただし承認は税務署長の調査による判断で、却下もありえます(113条1項)。
期限は7月15日で固定ではない
原則は、第1期が6月30日の現況で7月15日まで(第1期・第2期の両方が減額対象)、第2期のみが10月31日の現況で11月15日までです。
111条3項。通知の書面が6月15日まで(第2期は10月15日まで)に発せられなかった場合、申請期限はその通知が発せられた日から起算して1月を経過した日まで延期されます。通知が遅れたぶん、申請の時間も延びます。
このツールが判定しないこと
このツールは入力した前提での計算例と条文の当てはめを出すもので、次はしていません。
- 申告納税見積額がいくらか — 今年の所得の見込みは本人にしか出せません。ここでは入力された額を使います
- 承認されるかどうかの保証 — 10分の7以下や1号の事由に当たれば条文上は承認義務ですが、見積額が妥当かは税務署長の調査によります(113条1項)
- 申請すべきかどうか — 減額しても確定申告で精算されます。資金繰りの判断はしません
- 特別農業所得者(107条〜109条)— 納付期日と基準が別です
- 個人事業税・消費税の中間申告 — 所得税の予定納税とは別の制度で、期限も基準も違います
当サイトは税理士ではありません。実際の取扱いは顧問の税理士または所轄の税務署にご確認ください。
よくある質問
Q. 予定納税は誰に来ますか?
A. 前年分の所得税額から源泉徴収税額を引いた予定納税基準額が15万円以上の居住者です(所得税法104条1項)。15万円ちょうども対象になります。税務署長が6月15日までに書面で通知します(106条1項)。
Q. 減額申請はどういうときに必ず認められますか?
A. ①今年の申告納税見積額が基準額の10分の7以下になると認められる場合(113条2項2号)、または②廃業・休業・事業の転換・失業・災害・盗難・横領による損害・医療費の支払により基準額に満たなくなると認められる場合(同項1号)。このいずれかなら税務署長は承認を「しなければならない」と条文に書かれています。
Q. 10分の7を少し超えている場合は申請できませんか?
A. できます。111条は事由を限定しておらず、見積額が基準額に満たないと見込まれれば申請できます。ただし承認が義務になるのは上の①②だけなので、税務署長の調査による判断になり、却下されることもあります(113条1項)。
Q. 医療費が多くかかった年は対象になりますか?
A. 113条2項1号に「医療費の支払」が明文で入っています(所得税法73条2項の医療費)。医療費控除で見積額が基準額を下回るなら、10分の7を超えていても承認が義務になります。
Q. 7月15日を過ぎてしまいました。
A. 第1期分は間に合いませんが、10月31日の現況で11月15日までに第2期分の減額申請ができます(111条2項)。また通知の書面が6月15日より後に発せられていた場合は、第1期の期限自体が通知の日から1月を経過した日まで延びています(111条3項)。通知書の日付をご確認ください。
Q. 減額申請をしないとどうなりますか?
A. 予定納税額をそのまま納付し、払いすぎた分は確定申告で精算(還付)されます。損をするわけではなく、その年の資金繰りの問題です。
Q. 前年に不動産や株を売って税額が大きくなりました。
A. 譲渡所得は予定納税基準額の計算から外れます(104条1項1号の括弧書き。一時所得・雑所得・臨時所得も同じ)。これらを除いた額が15万円未満なら、そもそも予定納税は生じません。
出典
所得税法 104条(予定納税額の納付=15万円以上・各期3分の1・100円未満切り捨て・譲渡等を除く括弧書き)/105条(基準額は5月15日の現況)/106条(6月15日までに書面で通知)/111条(減額の承認の申請=6月30日現況で7月15日まで・10月31日現況で11月15日まで・3項の期限延長)/113条(申請に対する処分=2項1号の事由・2項2号の10分の7)。条文は e-Gov 法令API v2 で実読しています(2026-08-08 確認)。
関連する解説
- 予定納税とは — 15万円以上で7月と11月に3分の1ずつ。株の譲渡益は基準額に入らない予定納税は基準額15万円以上で自動的に来る。7月と11月に3分の1ずつ。前年に株や不動産を売っても、譲渡所得・一時所得・雑所得・臨時所得は基
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