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補助金で固定資産を買った年の減価償却|圧縮前後の計算例

結論から言うと、直接減額方式で圧縮記帳した固定資産は、圧縮前の取得価額ではなく、圧縮損を引いた後の金額を起点に減価償却します。機械800万円、補助金500万円なら、800万円−500万円=300万円。定額法・年率20%・初年度6か月供用という説明用条件では、初年度償却限度額は300万円×20%×6/12=30万円です。

この記事は圧縮記帳の方式比較や補助金の収益計上時期を繰り返さず、取得→圧縮→償却基礎額→月数按分→期末簿価を一本につなぎます。法人の直接減額方式を前提とし、実際の償却率は資産の種類、取得日、法定耐用年数、採用する償却方法で確認します。

無料ツール:圧縮記帳から減価償却まで計算補助金額、取得価額、償却条件を入力して、圧縮後の基礎額と償却額を確認できます。

結論:取得から期末簿価まで5段階

  1. 税務上の取得価額を確定:800万円
  2. 損金算入する圧縮額を確定:500万円
  3. 圧縮後の償却基礎額:800万円−500万円=300万円
  4. 初年度償却限度額:300万円×償却率20%×6/12=30万円
  5. 期末簿価:300万円−30万円=270万円
取得価額800万円−500圧縮後基礎額300万円×20%×6/12初年度償却30万円期末簿価270万円圧縮と減価償却を別々に計算せず、圧縮後の額を次の式へ渡す
重要なのは計算の接続点。償却計算へ渡すのは800万円ではなく300万円。

なぜ圧縮後の300万円から償却するのか

法人税法42条1項の直接減額は、圧縮額を固定資産の帳簿価額から実際に減らし、その減額した金額を損金算入する処理です。そのため、圧縮直後に固定資産台帳へ残る税務上の金額は300万円になります。以後の減価償却で800万円をもう一度基礎にすれば、最初に損金算入した500万円の一部を将来の償却でも費用化し、二重に損金算入することになります。

法人税法31条は減価償却資産の償却費について償却限度額までの損金算入を定め、法人税法施行令48条・48条の2は取得時期や資産区分に応じた償却方法、54条は減価償却資産の取得価額を定めています。圧縮後の価額を基礎に、該当する償却方法の式を適用します。

「取得価額800万円」という履歴は消さない
償却計算の基礎は300万円になっても、元の請求額800万円と圧縮額500万円は固定資産台帳の履歴として残します。補助金実績報告、申告書別表、将来の売却計算を照合するためです。

800万円・500万円・6か月供用の初年度例

3月決算法人が令和8年10月に機械を事業供用したものとします。説明を「圧縮前後の基礎額の差」に絞るため、定額法の償却率を20%と仮定し、残存価額や端数処理などは省略します。この20%は説明用の前提であり、機械一般に一律適用する率ではありません。

計算項目金額
圧縮前取得価額請求書等で確定800万円
圧縮額要件を満たす補助金対応額500万円
圧縮後の償却基礎額800万円−500万円300万円
通年の償却額300万円×20%60万円
初年度償却限度額60万円×6/1230万円
初年度末簿価300万円−30万円270万円

10月に「買った」だけでは足りず、事業の用に供した日から月数を数えます。10月中に据付・試運転が終わり使用可能になった前提なら、10月から翌年3月まで6か月です。12月に供用したなら4か月となり、同じ前提では300万円×20%×4/12=20万円です。

圧縮しない場合との比較

項目圧縮しない500万円を直接減額
償却基礎額800万円300万円500万円
通年償却額(20%仮定)160万円60万円100万円
初年度6か月80万円30万円50万円
初年度末簿価720万円270万円450万円

圧縮時には500万円を損金算入できますが、その後の償却費は小さくなります。初年度6か月だけを見ると償却費の差は50万円です。これが圧縮記帳を「非課税」ではなく課税の繰延べと呼ぶ理由です。圧縮年度に所得を500万円押し下げても、将来の損金が少なくなる形で差が戻ります。

なお、積立金方式は会計上の固定資産を800万円のまま表示し、会計上の減価償却も圧縮前の金額を基礎にします。税務申告では積立金の取崩し等の調整が必要です。本記事の300万円から直接償却する流れは、直接減額方式の税務上の連続計算です。

初年度は「取得日」ではなく事業供用月数

減価償却は、固定資産を購入契約した日や代金を支払った日ではなく、一般に事業の用に供した後から始まります。機械が10月に納品されても、設置工事が終わり実際に使用可能になったのが12月なら、12月供用として月数を検討します。検収書、据付完了報告、稼働記録を固定資産台帳と結びつけます。

事業年度の中途で事業供用した資産は月数按分します。1か月未満の端数は1か月として数える規定があるため、日数を365分の何日として按分する計算とは異なります。決算整理では「取得日」「圧縮日」「供用日」を別欄に持つと、補助金の確定時期と償却開始を混同しにくくなります。

無料ツール:減価償却費計算圧縮後の取得価額、償却方法、耐用年数、供用日を入れて初年度の月数按分を確認できます。

翌年度以降は270万円からどうつながるか

定額法の説明用条件では、翌年度は通年分60万円を償却し、期末簿価は270万円−60万円=210万円です。さらに翌年度も60万円というように、圧縮後の取得価額300万円を基礎とする年額を使います。実際には法定耐用年数に対応する償却率、端数、償却可能限度額を適用します。

定率法では同じ形にはなりません。期首帳簿価額に償却率を掛け、償却保証額との比較や改定取得価額を使う段階があるため、毎年同額とは限りません。それでも入口は同じで、直接減額した後の帳簿価額から税法上の償却計算を開始します。

法人税法44条で後日圧縮する場合

補助金の返還不要が取得年度末までに確定せず特別勘定を設け、翌年度に確定した場合は、法人税法44条による圧縮へ進むことがあります。このときは、すでに前年度の減価償却が進んだ資産へ後から圧縮が入るため、単純な「当初取得価額800万円−補助金500万円」をそのまま新しい基礎とするだけでは足りません。

圧縮直前の帳簿価額、既往の償却額、44条の圧縮限度額、法人税法施行令の計算を確認します。42条の同年取得例と44条の後日確定例を同じ表計算行で処理すると、前年に損金算入済みの減価償却費を無視するおそれがあります。

実務で起きやすい5つの落とし穴

  1. 800万円へ償却率を掛け続ける:直接減額後の基礎は300万円です。
  2. 補助金入金日から償却する:償却開始は固定資産の事業供用を基準に検討します。
  3. 購入月と供用月を同じにする:据付・検収が後なら月数が変わります。
  4. 積立金方式の会計償却と混ぜる:積立金方式は帳簿表示と申告調整が直接減額方式と異なります。
  5. 少額資産判定を圧縮前後で取り違える:少額減価償却資産等の判定には圧縮後の取得価額が関わるため、少額減価償却資産の記事で適用要件を確認します。

よくある質問

Q. 800万円の機械を500万円圧縮したら、何万円を償却しますか?

A. 直接減額方式では300万円が基礎です。説明用の定額法20%・6か月供用なら30万円ですが、実際は法定耐用年数と償却方法で率を確定します。

Q. 圧縮損500万円と初年度償却30万円を同じ年度に損金にできますか?

A. 各要件を満たす単純例では、圧縮後300万円を基礎とする初年度償却と圧縮損は別の損金項目です。供用日、確定時期、経理要件を確認します。

Q. 補助金の入金が翌年でも今年から償却しますか?

A. 減価償却は事業供用により始まります。一方、圧縮記帳は返還不要の確定時期など42条・44条の要件を別に判定するため、入金日だけでは決まりません。

Q. 圧縮後300万円なら少額資産になりますか?

A. 制度ごとに金額基準、法人規模、取得時期などの要件があります。圧縮後取得価額が判定に関係しますが、300万円というだけで一括損金にはなりません。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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