補助金の経理・税務
補助金をもらったときの圧縮限度額・仕訳・減価償却を計算します。分かれ目は「補助金をもらったか」ではなく「返還を要しないことが期末までに確定したか」です。
確定していなければ、圧縮記帳ではありません。法人税法43条1項は「返還を要しないことが当該事業年度終了の時までに確定していない場合に限る」として、特別勘定を設ける処理を定めています。「補助金をもらったから圧縮記帳」と進めると、確定していない年度に損金を立てることになります。
耐用年数10年なら 0.100、5年なら 0.200。
42条・43条・44条の分かれ目
| 状況 | 条文 | 処理 |
|---|---|---|
| 返還不要が期末までに確定し、対象資産も取得済み | 法人税法42条1項 | 圧縮記帳(直接減額/積立金) |
| 返還不要が期末までに確定していない | 法人税法43条1項 | 特別勘定を設けて損金算入 |
| 特別勘定を持っていて、あとで確定した | 法人税法44条1項 | その確定した日の属する事業年度に圧縮記帳 |
確定していても、交付の目的に適合した固定資産をまだ取得・改良していなければ42条の圧縮記帳はできません。42条1項は「当該事業年度終了の時までに取得又は改良をしたその交付の目的に適合した固定資産につき」と書いています。
圧縮記帳は非課税ではありません
補助金は原則としてその事業年度の益金に入ります(法人税法22条2項)。圧縮記帳は、同額を損金に立てて課税を繰り延べる制度です。圧縮した分だけ以後の減価償却費が小さくなるので、後の年度に課税されます。
「補助金には税金がかからない」は誤りです。払う時期が動くだけで、税額の総額が消えるわけではありません。
2つの方式で減価償却が変わる
42条1項は2つの方法を認めています。帳簿価額を損金経理により減額する(直接減額方式)か、積立金として積み立てる(積立金方式)かです。
直接減額方式は簿価が下がるので減価償却費も下がります。積立金方式は簿価が下がらないので償却費は変わらず、積立金の取崩しで申告調整します。税額の総額は同じでも、損益計算書の見え方が変わります(上の計算欄で差額を出しています)。
消費税の「仕入控除税額の返還」
補助金そのものは対価性が無いので消費税の課税対象外(不課税)です。一方で、補助金を充てて行った課税仕入れの仕入税額控除は原則どおり受けられます。
多くの補助金の交付要綱には「消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額」を確定時に報告し、返還する定めがあります。これは消費税法の規定ではなく、交付要綱に基づく補助金側の返還義務です。金額は課税売上割合・個別対応方式か一括比例配分方式か・補助対象経費のうち課税仕入れの額で変わるため、このツールでは計算しません。交付要綱の条文をご確認ください。
このツールが判定しないこと
このツールは入力した前提での計算例で、次はしていません。
- どの分岐に当たるか — 返還不要が確定したかどうかは事実認定です。チェックボックスの入力をそのまま使います
- その補助金が国庫補助金等に当たるか — 42条は「国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの」と定めています
- 消費税の仕入控除税額の返還額(上記のとおり交付要綱と申告内容によります)
- 個人事業主の場合 — 所得税法にも同趣旨の規定がありますが条文も要件も別です
- 措置法の圧縮記帳(収用等・特定資産の買換えなど)
- 受贈益の計上時期の最終判断 — 実務上は交付決定の通知を受けた日の属する事業年度が原則ですが、個別の事情で異なりえます
当サイトは税理士ではありません。実際の処理は顧問の税理士または所轄の税務署にご確認ください。
よくある質問
Q. 補助金をもらったら圧縮記帳をすればよいのですか?
A. 返還を要しないことが期末までに確定している場合だけです。確定していなければ、圧縮記帳ではなく特別勘定を設けます(法人税法43条1項)。確定した年度に、あらためて圧縮記帳します(44条1項)。
Q. 圧縮記帳をすれば補助金に税金はかからなくなりますか?
A. かからなくなるわけではありません。補助金は益金に入り(法人税法22条2項)、圧縮記帳は同額を損金に立てて課税を繰り延べる制度です。圧縮した分だけ以後の減価償却費が小さくなるので、後の年度に課税されます。
Q. 直接減額方式と積立金方式はどちらが得ですか?
A. 税額の総額は変わりません。違うのは損益計算書の見え方です。直接減額方式は簿価が下がるので減価償却費も下がり、積立金方式は簿価が下がらないので償却費は変わりません(申告調整で処理します)。決算書を金融機関等に見せる場面での見え方が判断材料になります。
Q. 補助金が固定資産の取得価額より大きい場合は?
A. 圧縮限度額は取得価額を超えられません。帳簿価額を減額する処理なので、価額より大きくは減らせないためです。超えた部分はそのまま益金に残ります。
Q. 補助金に消費税はかかりますか?
A. かかりません(不課税)。対価性が無いためです。ただし多くの交付要綱に「消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額」を返還する定めがあり、これは消費税法ではなく補助金側のルールです。要綱をご確認ください。
Q. 補助金はいつ収益に計上しますか?
A. 実務上は交付決定の通知を受けた日の属する事業年度が原則で、入金日ではありません。ただし個別の事情により異なることがあるため、このツールでは判定していません。
Q. 個人事業主でも同じですか?
A. 条文が別です。所得税にも同趣旨の規定がありますが、要件も異なります。このツールは法人税法42条〜44条を前提にしています。
出典
法人税法 42条(国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入=返還を要しないことが当該事業年度終了の時までに確定した場合に限る/帳簿価額を損金経理により減額する方法・積立金として積み立てる方法)/43条(国庫補助金等に係る特別勘定の金額の損金算入=確定していない場合に限る)/44条(特別勘定を設けた場合の圧縮額の損金算入)/22条2項(益金の額)。条文は e-Gov 法令API v2 で実読しています(law_revision_id 340AC0000000034_20260723_508AC0000000064・2026-08-12 確認)。補助金を探す場合は 補助金の検索をご覧ください。
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