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補助金をもらったときの仕訳と計上時期|権利・金額の確定で判断

法人が受ける補助金は原則として益金になります。交付決定によって支給を受ける権利と金額が確定した場合は、その通知を受けた日の属する事業年度に収益計上するのが一般的で、着金日まで待つわけではありません。ただし、実績報告や対象経費の精査、額の確定などが残る制度は、交付要綱と通知内容から権利・金額がいつ確定したかを判断します。

したがって、3月に交付決定通知を受け、500万円の入金が翌期の5月になった場合、3月決算では一般に未収入金500万円/補助金収入500万円を計上します。5月の入金は未収入金の回収です。ここを入金基準で処理すると、収益の年度が一つ後ろへずれます。

ただし、収益計上時期と圧縮記帳の可否は同じ判定ではありません。圧縮記帳では、返還不要が期末までに確定したかを42条・43条で別に確認します。この記事は法人の一般論であり、個別制度の条件付き交付を通知書の名前だけで判定しません。

無料ツール:補助金の圧縮記帳・仕訳計算補助金額500万円、固定資産800万円などを入力し、圧縮限度額・特別勘定・2方式の仕訳例を確認できます。

結論:交付決定と入金を分ける

出来事経理上の意味典型的な処理
交付申請審査前で、交付される権利が固まっていない通常は仕訳なし
交付決定通知を受領権利と金額が確定する場合は収益計上未収入金/補助金収入
実績報告・額の確定が残る要綱と通知内容から確定時点を判断確定前は見込額を未収計上しない
口座へ入金計上済みなら未収債権の回収現金預金/未収入金
2月:申請仕訳なし3月:交付決定未収入金/補助金収入5月:入金現金預金/未収入金3月決算
交付決定と入金の間に決算日があっても、収益を入金期へ送らない

補助金500万円の基本仕訳

3月10日に補助金500万円の交付決定通知を受け、4月20日に入金された単純な例です。3月決算法人なら、通知を受けた段階で債権を計上し、入金時に消し込みます。

交付決定時(3月10日)
  • 未収入金 5,000,000円 / 補助金収入 5,000,000円
入金時(4月20日)
  • 普通預金 5,000,000円 / 未収入金 5,000,000円

「補助金収入」「雑収入」などの科目名は会社の科目体系によります。この例では交付決定で権利と金額が確定しているため、交付決定期に収益を認識し、入金期は債権回収として扱います。申請しただけの段階では、採択や交付が決まっていないため、期待額を先に未収計上する処理とは区別します。

法人税法22条2項は、無償による資産の譲受けその他の取引に係る収益を益金の額に含めます。補助金は原則としてその事業年度の益金です。圧縮記帳を使う場合も、補助金収入を無かったことにするのではなく、圧縮額を損金に算入する構造です。

決算をまたぐ3パターン

パターン1:交付決定も入金も当期

当期中に交付決定と入金が完了すれば、交付決定時に未収計上し、同じ期内に消し込む流れです。実務上、通知と入金がほぼ同時なら入金時の一仕訳で処理する帳簿もありますが、決算期の帰属は変わりません。

パターン2:交付決定が当期、入金が翌期

最も期ずれが起きやすい場面です。当期末に未収入金500万円と補助金収入500万円を残し、翌期の入金時に未収入金を消します。入金まで何も記帳しないと、当期の益金が500万円少なく、翌期が500万円多くなります。

パターン3:入金が先でも返還条件が残る

資金が先に入っていても、交付条件や精算条件によって会計・税務上の判断が必要な場合があります。とくに圧縮記帳では、返還を要しないことが期末までに確定したかが独立した条件です。入金済みという一点だけで42条の圧縮記帳まで進めません。

通知書の名称だけで決めない
「採択通知」「交付決定通知」「額の確定通知」は、制度ごとに手続上の意味が異なります。交付要綱に実績報告、対象経費の精査、返還条件がある場合は、通知本文と要綱を合わせて読みます。

固定資産800万円と圧縮記帳の関係

補助金500万円を、交付目的に適合する機械800万円の取得に充てた例を考えます。返還不要が期末までに確定し、42条の他の要件も満たすなら、単純化した例では圧縮額500万円、圧縮後の金額は800万円−500万円=300万円です。

直接減額方式の仕訳イメージ
  • 機械装置 800万円 / 現金預金等 800万円
  • 固定資産圧縮損 500万円 / 機械装置 500万円
  • 圧縮後の帳簿価額:300万円

一方、返還不要が期末までに未確定なら、42条の圧縮記帳ではなく43条の特別勘定を検討します。後日確定した場合は44条で、その確定した日の属する事業年度に圧縮記帳する流れです。収益計上の年度と圧縮処理の年度が一致するとは限りません

また、圧縮記帳は課税の繰延べです。補助金を益金にしない制度ではありません。圧縮後は将来の減価償却費が小さくなるため、当初に繰り延べた所得が以後の年度で表れます。

決算でそろえる確認資料

決算整理では、通知書受領日と入金日を一覧にしておくと期ずれを発見しやすくなります。通帳だけを見て補助金収入を拾うと、決算日前の通知が帳簿から漏れます。逆に、申請一覧だけから見込額を計上すると、まだ交付決定されていない案件まで収益に入るおそれがあります。

間違えやすい処理

入金日に全額を雑収入にする

交付決定が前期なら、翌期の着金は未収入金の回収です。入金日に雑収入を計上すると年度がずれるだけでなく、前期に未収計上済みなら収益の二重計上になります。

補助金を固定資産の値引きとして最初から相殺する

補助金収入と固定資産の取得は別取引として把握します。圧縮記帳を行う場合は、42条等の要件と所定の経理を踏まえます。最初から800万円−500万円の300万円だけを取得価額として記帳すると、補助金収入と圧縮損の流れが見えなくなります。

交付決定だけで自動的に42条へ進む

42条が要求するのは、返還不要が期末までに確定していることと、目的に適合する固定資産を期末までに取得・改良していることです。収益認識の検討と圧縮記帳の要件確認を一枚のチェック欄で済ませないことが重要です。

よくある質問

Q. 補助金は入金日に売上として計上しますか?

A. 実務上は交付決定通知を受けた日の属する事業年度に収益計上するのが原則です。通常の売上とは分け、補助金収入や雑収入などで処理します。

Q. 3月に交付決定、5月に500万円入金ならどうしますか?

A. 3月決算では一般に未収入金500万円/補助金収入500万円、5月に普通預金500万円/未収入金500万円とします。

Q. 採択通知を受けた日で必ず計上しますか?

A. 通知の名称だけでは判定しません。交付要綱と通知本文を読み、交付決定の効果や条件を確認します。

Q. 圧縮記帳をすれば補助金収入を計上しなくてよいですか?

A. いいえ。補助金は益金に入り、圧縮額を損金に算入して課税を繰り延べる制度です。

Q. 個人事業主も同じ条文ですか?

A. いいえ。個人事業主は所得税法42条・43条という別条文で、要件も異なります。この記事は法人税法を前提にしています。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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