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雑収入とは — 何を入れる科目か・消費税の課税/非課税/不課税・雑所得との違いを条文で

結論から言うと、雑収入とは、本業の売上にも、受取利息や受取配当金のような主要な営業外収益にも当たらない、金額の小さい収入をまとめて受ける科目です。法律のどこにも「雑収入」という科目名は出てきません(会社計算規則・財務諸表等規則・法人税法・所得税法・消費税法・所得税法施行規則の条文本文で、いずれも0回。本記事のために e-Gov の全文で数えました)。そのかわり財務諸表等規則90条のただし書が、営業外収益の総額の10%以下のもので一括して表示することが適当なものは、一括して示す名称を付した科目で掲記できると定めており、この一括して示す名称を付した科目が雑収入の正体です。つまり雑収入は「何を入れる科目か」が先に決まっているのではなく、「独立の科目を立てるほどではない収入を、最後に受ける器」として決まっています。

経理担当者がこの科目でつまずくのは、名前の決め方ではなく税務です。雑収入には消費税の3つの区分が混ざります。補助金・保険金・損害賠償金・還付加算金は「対価を得て行う資産の譲渡等」ではないので不課税、預金や貸付金の利子は非課税(消費税法別表第二3号)、スクラップの売却や自動販売機の設置手数料は課税です。科目が同じでも消費税コードは1行ずつ違います。法人税では、雑収入に入ったものは原則すべて益金ですが(法人税法22条2項)、法人税・住民税の還付金だけは益金不算入(26条1項)で、同じ入金に付いてくる還付加算金は益金です。そして個人事業主は、「雑収入」と「雑所得」が別物であることを押さえる必要があります。雑収入は事業所得の総収入金額の一部、雑所得は所得税法35条が定める10種類の所得の1つで、事業用口座に入った預金利息や還付加算金は雑収入ではなく、事業主借で帳簿の外に出します。

この記事は、①条文の中の雑収入(財務諸表等規則90条ただし書と会社計算規則88条)、②雑収入に入れるもの・入れないものの一覧、③消費税の3区分の判定、④法人税の益金・益金不算入、⑤個人事業主の雑収入と雑所得の線引き、⑥仕訳例8本、の順に条文を引用しながら整理します。補助金の計上時期と圧縮記帳は補助金をもらったときの仕訳と計上時期に、補助金と消費税(仕入控除税額の返還)は補助金に消費税はかかる?に、現金過不足の締め方は小口現金とはに、個人事業主の事業主借の全体像は事業主貸・事業主借とはに譲り、ここでは雑収入という科目そのものに集中します。

雑収入とは — 条文に名前は無い。正体は財務諸表等規則90条ただし書の「一括して示す科目」

損益計算書の区分を決めているのは会社計算規則88条1項です。売上高・売上原価・販売費及び一般管理費・営業外収益・営業外費用・特別利益・特別損失の7つに区分して表示せよ、と命じるだけで、各区分の中身の科目名は挙げていません。

損益計算書等は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない。この場合において、各項目について細分することが適当な場合には、適当な項目に細分することができる。

雑収入が属するのは、このうちの4号「営業外収益」です(本業の収入は1号の売上高に入るので、雑収入にはなりません)。営業外収益の中身を一段だけ具体的に書いているのが、金融商品取引法上の開示会社に適用される財務諸表等規則90条で、受取利息・有価証券利息・受取配当金・有価証券売却益・仕入割引を名指ししたうえで、ただし書に「一括して示す名称を付した科目」を置いています。

営業外収益に属する収益は、受取利息、有価証券利息、受取配当金、有価証券売却益、仕入割引その他の項目の区分に従い、当該収益を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。ただし、各収益のうちその金額が営業外収益の総額の百分の十以下のもので一括して表示することが適当であると認められるものについては、当該収益を一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる。

この条文から、雑収入という科目の性格が3つ読み取れます。

  1. 雑収入は「残り物を受ける器」である。 先に独立の科目(受取利息など)が立ち、そこに入らない小さな収入が一括される。雑収入に入れる収入の範囲は、会社が何を独立科目にしているかで変わる
  2. 大きさの目安は「営業外収益の総額の10%以下」。 ある種類の収入が毎期それを超えて続くなら、一括せず、その収益を示す名称の科目(たとえば「受取手数料」「保険差益」「補助金収入」)を立てるのが条文の趣旨に合う
  3. 臨時・巨額のものは営業外収益ではなく特別利益。 会社計算規則88条2項は、特別利益を固定資産売却益・前期損益修正益・負ののれん発生益その他の項目に細分せよと定める。固定資産の売却益や災害の保険金で巨額のものは、雑収入ではなく特別利益の側に置く
特別利益に属する利益は、固定資産売却益、前期損益修正益、負ののれん発生益その他の項目の区分に従い、細分しなければならない。

なお中小企業の決算書は会社計算規則に従えば足り、財務諸表等規則の直接の適用はありません。それでも「雑収入」という科目名が実務で通用しているのは、会計ソフトの標準科目がこの90条ただし書の考え方で組まれているからです。勘定科目の名前が法律で決まっていないことの全体像は勘定科目一覧に、損益計算書の7区分は損益計算書の見方にまとめています。

置き場所何が入るか雑収入との線
売上高(88条1項1号)本業の商品・サービスの対価本業に近くても、反復継続して対価を得る本業の取引なら売上高。雑収入に逃がさない
営業外収益の独立科目(財規90条本文)受取利息・有価証券利息・受取配当金・有価証券売却益・仕入割引条文が名指しした5つは原則として独立科目。小さければ一括も可
雑収入(財規90条ただし書)上のどれにも入らない小さな収入営業外収益の総額の10%以下が目安
特別利益(88条2項)固定資産売却益・前期損益修正益・負ののれん発生益など臨時・巨額のもの金額と臨時性で判断する。雑収入で吸収しない
事業主借(個人事業主)事業所得以外の収入(預金利息・個人の配当・還付加算金など)事業用口座に入っても帳簿の収入にしない(第5節

雑収入に入れるもの・入れないものの一覧 — 科目と消費税区分を1行ずつ

実務で雑収入に入ることの多い収入を、科目の扱い・消費税区分・税務上の注意とあわせて並べます。科目は会社の科目体系で変わりますが、消費税の区分は取引の性質で決まるので変わりません。右端の「詳しい記事」は、その収入を本題にしている記事です。

収入の種類科目の扱い消費税税務上の注意詳しい記事
国・自治体の補助金・助成金雑収入(独立させるなら補助金収入)不課税(消基通5-2-15)計上時期は交付決定通知の日の属する事業年度。固定資産の取得に充てたなら圧縮記帳の余地補助金の仕訳と計上時期補助金と消費税
保険金・共済金雑収入(独立させるなら保険差益)不課税(消基通5-2-4)固定資産の滅失に対する保険金で代わりの資産を取得したなら、法人税法47条の圧縮記帳の対象になりうる
損害賠償金・違約金雑収入原則不課税(消基通5-2-5)。ただし棚卸資産の引渡しを伴うもの・権利の使用料や賃貸料に相当するものは課税法人税では益金
還付加算金雑収入不課税法人税では益金(26条1項の列挙に無い)。個人は雑所得(所基通35-1(4))なので事業の雑収入に入れない中間申告
法人税・地方法人税・住民税の還付金雑収入、または法人税等の戻し不課税益金不算入(26条1項1号・38条)。雑収入に入れたなら別表四で減算する。事業税の還付金は益金損益計算書の見方
現金過不足(過剰分)決算で雑収入へ振替不課税期中の仮科目を期末に消す。原因判明分は本来の科目へ小口現金とは
作業くず・スクラップ・不用品の売却代金雑収入課税継続的に発生するなら売上高や副産物の評価の問題になる原価計算
自動販売機の設置手数料・紹介手数料雑収入(独立させるなら受取手数料)課税役務の提供の対価
社宅・寮の従業員負担分(家賃)雑収入、または福利厚生費から控除非課税(住宅の貸付け・別表第二13号)課税売上割合の分母に入る課税売上割合
預金・貸付金の利子独立科目「受取利息」が原則(財規90条が名指し)非課税(別表第二3号・消基通6-3-1)法人は15.315%が源泉徴収され法人税額から控除(68条)。個人事業主は利子所得=事業主借事業主貸・事業主借
受取配当金独立科目「受取配当金」が原則不課税(株主の地位に基づく給付で対価でない)受取配当等の益金不算入の対象受取配当等の益金不算入
仕入割引独立科目「仕入割引」が原則(財規90条が名指し)支払期日前の決済で受ける割引。値引き・割戻しと区別する
「雑収入」の行を見たら、まず消費税コードを疑う上の表のとおり、同じ雑収入でも不課税・非課税・課税がすべて混在します。会計ソフトで科目「雑収入」に既定の消費税区分を1つ付けたまま入力すると、補助金や保険金に課税売上の消費税が立ったり、スクラップ売却に消費税が立たなかったりします。雑収入は科目ではなく取引の行ごとに消費税区分を確かめるのが、この科目の唯一のルールです。

消費税 — 不課税・非課税・課税が1つの科目に混ざる。判定は「対価か」「別表第二か」の2段

消費税の判定は2段です。第1段は「その収入は、事業として対価を得て行う資産の譲渡・貸付け・役務の提供の対価か」。消費税法2条1項8号が「資産の譲渡等」をこう定義し、4条1項がそれを課税の対象にしています。

事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。
国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。

ここで「対価ではない」と判定されたものが不課税(課税の対象外)です。雑収入の常連である補助金・保険金・損害賠償金は、消費税法基本通達がそれぞれ名指しで「資産の譲渡等の対価に該当しない」と書いています。

事業者が国又は地方公共団体等から受ける奨励金若しくは助成金等又は補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第2条第1項《定義》に掲げる補助金等のように、特定の政策目的の実現を図るための給付金は、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。
保険金又は共済金(これらに準ずるものを含む。)は、保険事故の発生に伴い受けるものであるから、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。
損害賠償金のうち、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるものは、資産の譲渡等の対価に該当しないが、例えば、次に掲げる損害賠償金のように、その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。

損害賠償金には但し書があります。通達5-2-5は、①損害を受けた棚卸資産が加害者に引き渡され、そのまま又は軽微な修理で使えるとき、②無体財産権の侵害で権利者が受けるもの、③不動産の明渡しの遅滞で賃貸人が受けるもの、を「実質が対価」として課税側に置いています。名目が損害賠償金でも、中身が売買代金・使用料・賃料なら課税です。国税庁タックスアンサー No.6157 は不課税の具体例として、給与・寄附金・補助金・試供品の無償提供・保険金・配当金・廃棄や盗難・損害賠償金を並べており、配当金については「株主や出資者の地位に基づいて支払われるもの」と理由を書いています。

第2段は「対価ではあるが、別表第二に掲げる取引か」。該当すれば非課税です(6条1項)。雑収入に関係するのは、3号の利子と13号の住宅の貸付けです。

国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。
利子を対価とする貸付金その他の政令で定める資産の貸付け、信用の保証としての役務の提供、……保険料を対価とする役務の提供

通達6-3-1は、この3号で非課税になる利子を具体的に列挙しています。預金・貯金・貸付金の利子はここに入るので、取引先や従業員への貸付金の利子を雑収入に入れた場合も非課税です。

国債、地方債、社債、新株予約権付社債、投資法人債券、貸付金、預金、貯金又は令第9条第4項《支払手段に類するもの》に規定する特別引出権の利子

2段とも通らなかったものが課税です。作業くず・スクラップ・不用品の売却、自動販売機の設置手数料、紹介手数料、受託した業務の収入はどれも対価を得て行う資産の譲渡・役務の提供で、別表第二にもありません。税率は消費税7.8%(29条1号)に地方消費税(78分の22・地方税法72条の83)を足した10%です。

課税資産の譲渡等(軽減対象課税資産の譲渡等を除く。)、特定課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物(軽減対象課税貨物を除く。)百分の七・八
地方消費税の税率は、七十八分の二十二とする。
第1段: 事業として「対価を得て行う資産の譲渡・貸付け・役務の提供」の対価か? (消費税法2条1項8号・4条1項) いいえ(対価ではない) はい 不課税(課税の対象外) ・補助金・助成金(消基通5-2-15) ・保険金・共済金(消基通5-2-4) ・損害賠償金(消基通5-2-5) ・配当金(株主の地位に基づく給付) ・税金の還付金・還付加算金 ・現金過不足の過剰分 ※ 課税売上割合の分母にも分子にも入らない 第2段: 別表第二に掲げる取引か? (消費税法6条1項) はい いいえ 非課税 ・預金・貸付金の利子  (別表第二3号) ・住宅の貸付け(13号) ※ 分母に入る 課税(10%) ・スクラップ売却 ・自販機設置手数料 ・紹介手数料 ・受託業務の収入 同じ「雑収入」でも、行ごとに3つの区分に分かれる
図1: 雑収入の消費税区分は「対価か」(不課税の切り分け)→「別表第二か」(非課税の切り分け)の2段で判定する。科目ではなく取引ごとに区分が決まる。

もう1つ、雑収入が効いてくる場面が課税売上割合です。不課税の収入は分母にも分子にも入りませんが、非課税の受取利息や社宅家賃は分母に入り、割合を下げます。預金利息が少額でも貸付金の利子や社宅家賃がまとまった額になる会社は、雑収入に紛れた非課税売上を拾い忘れると課税売上割合を高く出してしまいます。計算の細部は課税売上割合とはにまとめています。

法人税 — 原則すべて益金。還付金は益金不算入、還付加算金は益金、受取利息の源泉は税額控除

法人税には「雑収入」の特別な取扱いはありません。22条2項が、資本等取引以外の取引に係る収益はすべて益金だと定めているので、雑収入に入った補助金も保険金も損害賠償金もスクラップ売却代金も、原則として益金です。

内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

「別段の定め」で雑収入に関係するのが26条1項の還付金等の益金不算入です。法人税・地方法人税(38条1項で損金不算入とされるもの)と道府県民税・市町村民税(38条2項2号)の還付金は、払ったときに損金にならなかった税金が戻ってきただけなので、益金に入れません。

内国法人が次に掲げるものの還付を受け、又はその還付を受けるべき金額を未納の国税若しくは地方税に充当される場合には、その還付を受け又は充当される金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。
地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税を含むものとし、退職年金等積立金に対する法人税に係るものを除く。)

ここで線を引き間違えやすいのが2つあります。1つ目は事業税。事業税は払ったときに損金になる税金なので38条に無く、したがって26条にも無い。事業税の還付金は益金です。2つ目は還付加算金。還付金に付いてくる利息相当のお金ですが、26条1項の列挙に入っていないので益金です。入金は1本でも、中身は「益金不算入の還付金」と「益金の還付加算金」に割れます。雑収入に全額入れてしまったなら、別表四で還付金の分だけ減算します。還付加算金そのものは国税通則法58条1項が定めるもので、本則の割合は年7.3%ですが、租税特別措置法の特例でこれより低い割合が使われます(割合の現在値は中間申告の記事で扱っています)。

還付金等を還付し、又は充当する場合には、……その金額に年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額(以下「還付加算金」という。)

受取利息には別の論点があります。法人が受ける預金利息は、支払の際に所得税15%(所得税法182条1号)と復興特別所得税2.1%、あわせて15.315%が源泉徴収されます。個人と違って地方税の利子割はありません(地方税法24条1項5号が利子割の納税義務者を「利子等の支払を受ける個人」と定めているため)。法人はこの源泉所得税を、68条1項で法人税額から控除でき、控除を受けるならその額は40条で損金不算入です。仕訳では、手取りではなく額面を受取利息に立て、差額を仮払税金(法人税等)で受けるのが通例です。

利子等その金額に百分の十五の税率を乗じて計算した金額
利子等の支払又はその取扱いをする者の営業所等で道府県内に所在するものを通じて利子等の支払を受ける個人
内国法人が各事業年度において所得税法第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に規定する利子等、配当等、給付補塡金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金(次項において「利子及び配当等」という。)の支払を受ける場合には、これらにつき同法の規定により課される所得税の額(当該所得税の額に係る第六十九条の二第一項(分配時調整外国税相当額の控除)に規定する分配時調整外国税相当額を除く。)は、政令で定めるところにより、当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。
内国法人が第六十八条第一項(所得税額の控除)に規定する所得税の額につき同項又は第七十八条第一項(所得税額等の還付)若しくは第百三十三条第一項(更正等による所得税額等の還付)の規定の適用を受ける場合には、これらの規定による控除又は還付をされる金額に相当する金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
雑収入に入りうるもの法人税根拠
補助金・保険金・損害賠償金・スクラップ売却・手数料益金22条2項
法人税・地方法人税・住民税の還付金益金不算入(別表四で減算)26条1項1号・38条1項・2項2号
事業税の還付金益金38条に列挙が無い=26条の対象外
還付加算金益金26条1項に列挙が無い
受取利息(源泉15.315%)額面が益金。源泉所得税は法人税額から控除、控除分は損金不算入68条1項・40条
受取配当金益金不算入の対象(区分ごとに割合が違う)受取配当等の益金不算入

個人事業主 — 雑収入と雑所得は別物。事業に付随する収入だけが雑収入

個人事業主の帳簿で「雑収入」と呼ぶのは、事業所得の総収入金額のうち本業の売上以外の部分です。事業所得の定義は所得税法27条で、2項が「総収入金額から必要経費を控除した金額」と書いているその総収入金額の一部に、雑収入が含まれます。

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。

どこまでが「事業から生ずる」総収入金額かを、所得税基本通達27-5が「事業の遂行に付随して生じた収入」として例示しています。これが個人事業主の雑収入の中身そのものです。

事業所得を生ずべき事業の遂行に付随して生じた次に掲げるような収入は、事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する。

例示は6つで、①事業の遂行上取引先や使用人に貸し付けた貸付金の利子、②事業用資産の購入に伴って景品として受ける金品、③新聞販売店の折込広告収入、④浴場業・飲食業などでの広告の掲示による収入、⑤医師・歯科医師が休日・夜間の診療で地方公共団体等から受ける委嘱料等、⑥事業用固定資産の固定資産税を納期前に納付して交付を受ける報奨金、です。共通するのは「その事業をやっているから入ってきたお金」であること。これらは事業所得の雑収入に入れ、消費税も(①は非課税、②〜⑥は性質に応じて)事業者として判定します。

一方、雑所得は所得税法35条が定める所得の種類で、他の9種類のどれにも当たらない所得の受け皿です。名前が似ていても、雑収入(事業所得の中の科目)と雑所得(所得の区分)は次元が違います。

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。

事業用口座に入ってきても、事業の遂行に付随していない収入は、事業所得の雑収入にしてはいけません。代表が3つあります。

利子所得とは、公社債及び預貯金の利子……に係る所得をいう。
通則法第58条第1項《還付加算金》又は地方税法第17条の4第1項《還付加算金》に規定する還付加算金

なぜ区別にこだわるかというと、事業所得の総収入金額が膨らめば青色申告の各種判定や消費税の課税売上高の集計に混ざり、逆に事業の雑収入を雑所得に逃がせば事業所得の計算が過少になるからです。事業主借の使い方の全体像と、国税庁の青色申告決算書の書き方が、預金通帳に記帳されている利息などの事業所得以外の収入を事業主借の例に挙げていることは、事業主貸・事業主借とはで扱っています。

個人事業主の事業用口座に入金があった 事業所得を生ずべき事業の遂行に付随して生じた収入か? (所得税法27条・所得税基本通達27-5) はい いいえ 事業所得の総収入金額 → 雑収入 ・取引先・従業員への貸付金の利子 ・事業用資産の購入に伴う景品 ・店内の広告掲示収入・折込広告収入 ・固定資産税の納期前納付の報奨金 事業所得ではない → 事業主借 ・預金利息 = 利子所得(所得税法23条) ・還付加算金 = 雑所得(所基通35-1(4)) ・事業と無関係の副業収入 = 雑所得 ・個人名義の株式の配当 = 配当所得
図2: 個人事業主の「雑収入」は事業所得の総収入金額の一部。事業の遂行に付随しない収入は雑収入ではなく事業主借で帳簿の外に出し、それぞれの所得区分(利子所得・雑所得・配当所得)で扱う。

仕訳例8本 — 補助金・保険金・還付金+還付加算金・スクラップ・現金過不足・受取利息ほか

税抜経理方式の法人(①〜⑥)と個人事業主(⑦⑧)の例です。消費税区分を右端に付けました。

取引借方貸方消費税補足
① 補助金500,000円の交付決定通知を受けた(入金は翌期)未収入金 500,000雑収入 500,000不課税翌期の入金は「普通預金 500,000/未収入金 500,000」。入金日に雑収入を立てると年度がずれる(補助金の仕訳
② 火災保険金300,000円が入金した普通預金 300,000雑収入 300,000不課税滅失した固定資産の代わりを取得するなら、法人税法47条の圧縮記帳を検討
③ 法人税の還付金200,000円と還付加算金1,000円が入金した普通預金 201,000未収還付法人税等 200,000
雑収入 1,000
不課税還付金は益金不算入、還付加算金は益金。全額を雑収入にしたなら別表四で200,000円を減算
④ 作業くずを11,000円(税込)で売却した現金 11,000雑収入 10,000
仮受消費税等 1,000
課税 10%対価を得て行う資産の譲渡。継続的なら売上高
⑤ 決算で現金過不足(過剰)520円の原因が分からない現金過不足 520雑収入 520不課税期中の仮科目を期末に消す(小口現金とは
⑥ 定期預金の利息100,000円(額面)が入金した(法人)普通預金 84,685
仮払税金 15,315
受取利息 100,000非課税源泉15.315%。仮払税金は法人税額から控除(68条)し、損金不算入(40条)。額面が益金
⑦ 事業用口座に預金利息79,685円が入金した(個人事業主)普通預金 79,685事業主借 79,685利子所得。額面100,000円から15.315%+地方税5%が引かれた手取り。事業所得に入れない
⑧ 取引先への貸付金の利子5,000円が入金した(個人事業主)普通預金 5,000雑収入 5,000非課税所基通27-5(1)。事業の遂行に付随するので事業所得の雑収入。消費税は非課税売上として課税売上割合の分母へ

⑥と⑦を並べると、法人と個人の違いが1行で見えます。法人は額面100,000円を益金に立てて源泉所得税15,315円を法人税から引く。個人は手取り79,685円を事業主借で受けるだけで、事業所得の計算に一切入りません。同じ「事業用口座の利息」でも、科目も税務も違います。

法人税 計算機 — 雑収入を含めた所得金額と資本金を入れて、15%・23.2%の2段と均等割の目安を試算する

よくある質問

Q. 雑収入とは何ですか?

A. 本業の売上にも、受取利息・受取配当金のような主要な営業外収益にも当たらない、金額の小さい収入をまとめて受ける営業外収益の科目です。条文に「雑収入」の語は無く、財務諸表等規則90条ただし書が定める、営業外収益の総額の10%以下のものを一括して示す名称を付した科目が正体です。補助金・保険金・損害賠償金・還付加算金・現金過不足の過剰分・スクラップ売却代金などが典型です。

Q. 雑収入に消費税はかかりますか?

A. 取引ごとに違います。補助金・保険金・損害賠償金・配当金・還付金は対価を得て行う資産の譲渡等ではないので不課税、預金や貸付金の利子と住宅の貸付けは別表第二の非課税、スクラップ売却・自販機設置手数料・紹介手数料は課税(10%)です。科目「雑収入」に1つの消費税区分を固定せず、行ごとに判定します。

Q. 補助金は雑収入ですか、売上ですか?

A. 本業の対価ではないので売上高には入れず、雑収入または補助金収入で営業外収益に計上するのが一般的です。消費税は不課税(消費税法基本通達5-2-15)。計上時期は入金日ではなく交付決定通知を受けた日の属する事業年度で、固定資産の取得に充てた補助金は圧縮記帳の対象になりえます。

Q. 雑収入と雑所得はどう違いますか?

A. 雑収入は事業所得(法人なら損益計算書)の中の1つの科目で、本業以外の小さな収入を指します。雑所得は所得税法35条が定める所得の種類で、利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時のどれにも当たらない所得の受け皿です。個人事業主が事業の遂行に付随して受ける収入(取引先への貸付金の利子など)は事業所得の雑収入、事業と無関係の副業収入や還付加算金は雑所得です。

Q. 個人事業主の事業用口座に付いた預金利息は雑収入ですか?

A. 雑収入ではありません。預金利息は利子所得で、支払時に15.315%と地方税5%が源泉徴収されて課税が完結します。事業所得の総収入金額には入れず、帳簿では事業主借で受けます。法人の場合は額面を受取利息に計上し、源泉された15.315%を法人税額から控除します。

Q. 還付加算金はどう処理しますか?

A. 法人は雑収入に計上し、法人税では益金です。同時に戻ってくる法人税・住民税の還付金のほうは益金不算入(法人税法26条1項)なので、入金1本でも中身を分け、雑収入に全額入れたなら別表四で還付金の分を減算します。個人は雑所得で(所得税基本通達35-1)、事業の雑収入には入れません。消費税はどちらも不課税です。

Q. 雑収入の金額が大きくなってきました。そのままでよいですか?

A. 財務諸表等規則90条の考え方では、一括表示できるのは営業外収益の総額の10%以下のものです。特定の種類の収入が毎期それを超えるなら、受取手数料・保険差益・補助金収入のように、その収益を示す名称の独立科目を立てるのが条文の趣旨に合います。固定資産の売却益や災害に伴う巨額の保険金のように臨時・巨額のものは、営業外収益ではなく特別利益に置きます。

Q. 損害賠償金や保険金を受け取ったら課税売上になりますか?

A. 原則なりません。保険金は保険事故に伴って受けるもの、損害賠償金は損害の発生に伴って受けるもので、どちらも資産の譲渡等の対価ではなく不課税です。ただし損害賠償金でも、損害を受けた棚卸資産を加害者に引き渡してそのまま使えるとき、権利の使用料や賃貸料に相当するときは、実質が対価なので課税です(消費税法基本通達5-2-5)。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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