法人税の簡易計算
所得金額から法人税と地方法人税(どちらも国税)を計算します。軽減税率15%がかかるのは年800万円以下の部分だけで、超えた部分は23.2%です(法人税法66条2項)。
「中小企業だから15%」ではありません。条文の当てはめは3段階です。①資本金1億円以下かどうかで軽減の枠ができる(66条2項・19%)②措置法42条の3の2でその19%が15%に読み替わる ③ただし所得が年10億円を超える事業年度は17%。さらに適用除外事業者・通算法人などは②が使えず19%のままです。
別表四で計算した所得金額(繰越欠損金を控除した後)。
1年未満なら800万円・10億円を按分します。
税率の当てはめは3段階
| 所得の部分 | 資本金1億円以下+特例あり | 特例が使えない | 資本金1億円超 |
|---|---|---|---|
| 年800万円以下 | 15%(10億円超の年は17%) | 19% | 23.2% |
| 年800万円を超える部分 | 23.2% | 23.2% | 23.2% |
所得全体に15%を掛けるのが、いちばん多い誤りです。所得2,000万円なら、正しくは 800万×15% + 1,200万×23.2% = 3,984,000円。全額15%だと3,000,000円で、984,000円の過少になります。
10億円を超えると15%が17%になる
措置法42条の3の2第1項は「百分の十五(所得の金額が年十億円を超える事業年度については、百分の十七)」と書いています。令和7年度改正で入りました。
判定は所得全体で行い、率が変わるのは800万円以下の部分です。10億円ちょうどは15%のまま(条文は「超える」)で、1円超えると800万円以下の部分の税額が160,000円(800万×2%)増えます。
特例が使えない法人
資本金1億円以下でも、次に当たると15%・17%が使えず19%のままです(措置法42条の3の2第1項の括弧書き)。
- 適用除外事業者 — 前3事業年度の所得金額の平均が15億円を超える法人(措置法42条の4第19項8号)
- 通算法人(グループ通算制度を適用している法人)
- 法人税法66条5項各号の法人 — 相互会社、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある普通法人、投資法人、特定目的会社、受託法人など
とくに大法人の100%子会社は見落とされがちです。自社の資本金が1億円以下でも、親会社の資本金が5億円以上で完全支配関係があれば、軽減税率そのものが使えません(66条5項2号)。
地方法人税は「法人税額」にかかる
地方法人税法10条1項は「課税標準法人税額に百分の十・三の税率を乗じて計算した金額」と書いています。所得に10.3%を掛けるのではありません。
所得800万円・法人税120万円の場合、地方法人税は 1,200,000×10.3% = 123,600円。所得に掛けると824,000円になり、6.7倍の過大になります。
このツールが計算しないこと
このツールは国税(法人税・地方法人税)だけを、入力した所得金額から計算します。次はしていません。
- 法人住民税・法人事業税・特別法人事業税 — 自治体と資本金・所得の区分で率が違うので扱いません。実効税率も出しません
- 所得金額そのものの計算 — 益金・損金・別表調整・繰越欠損金の控除は別です。ここには計算後の所得を入れてください
- 税額控除(措置法42条の4の試験研究費、賃上げ促進税制ほか)
- 特定同族会社の留保金課税(法人税法67条)
- 適用除外事業者かどうかの判定 — 前3年の所得の平均はご自身でご確認ください。チェックボックスの入力をそのまま使います
当サイトは税理士ではありません。実際の申告は顧問の税理士または所轄の税務署にご確認ください。
よくある質問
Q. 中小企業の法人税は15%ではないのですか?
A. 年800万円以下の部分だけが15%です(措置法42条の3の2)。800万円を超える部分には原則の23.2%がかかります(法人税法66条1項)。所得全体に15%を掛けると税額が大きく過少に出ます。
Q. 15%が17%になるのはどういう場合ですか?
A. 所得の金額が年10億円を超える事業年度です(措置法42条の3の2第1項)。令和7年度改正で入りました。判定は所得全体で行い、率が変わるのは800万円以下の部分です。10億円ちょうどは15%のままです(条文は「超える」)。
Q. 資本金1億円以下なら必ず軽減税率が使えますか?
A. いいえ。適用除外事業者(前3事業年度の所得の平均が15億円超)、通算法人、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある普通法人などは使えず19%のままです。大法人の100%子会社が見落とされがちです。
Q. 地方法人税の税率10.3%は所得に掛けるのですか?
A. いいえ。課税標準は法人税額です(地方法人税法10条1項)。法人税120万円なら地方法人税は123,600円で、所得に掛けると6.7倍の過大になります。
Q. 事業年度が1年未満のときはどうなりますか?
A. 年800万円と年10億円を「12で除して事業年度の月数を乗じた金額」に読み替えます(法人税法66条4項・措置法42条の3の2第3項)。月数は暦に従って計算し、1月に満たない端数は1月とします(同条4項)。
Q. この特例はいつまでですか?
A. 令和9年3月31日までに開始する事業年度までの時限措置です(措置法42条の3の2第1項)。延長されてきた経緯がありますが、条文上の期限はこの日です。
Q. 実効税率はいくらですか?
A. このツールでは出しません。実効税率には法人住民税・法人事業税・特別法人事業税が入り、これらは自治体と資本金・所得の区分で率が違うためです。国税だけの計算例としてお使いください。
出典
法人税法 66条(1項=23.2%、2項=資本金1億円以下の年800万円以下は19%、4項=1年未満の按分、5項=軽減を適用しない法人)。租税特別措置法 42条の3の2(中小企業者等の法人税率の特例=19%を15%に読み替え。所得が年10億円を超える事業年度は17%。適用除外事業者・通算法人は対象外。令和9年3月31日までに開始する事業年度)。地方法人税法 10条1項(課税標準法人税額に10.3%)。条文は e-Gov 法令API v2 で実読しています(2026-08-08 確認)。
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