税金・経理・補助金ツールズ

協賛金の勘定科目は3つに割れる — 税法に「協賛金」という語は1回も出てこない

地域の祭り、スポーツ大会、業界誌の記念号、取引先の周年イベント。「協賛のお願い」は毎年どこかから来ます。振込のあと、経理は科目を決めなければなりません。結論から言うと、「協賛金」という勘定科目を選んだ時点では、税務上は何も決まっていません。

理由は単純で、税法に「協賛金」という語が存在しないからです。法人税法の本文601,109字と租税特別措置法の本文3,175,283字を e-Gov法令API v2 で取得して数えたところ、「協賛」の出現はどちらも0回でした。交際費等の範囲を定める国税庁の通達(第8章第1款・11,946字)にも0回です。

代わりに法律が書いているのは、名前で決めてはいけないということです。法人税法37条7項は寄附金を「いずれの名義をもつてするかを問わず」と定義しています。同じ10万円が、実態によって広告宣伝費・交際費等・寄附金の3つに割れ、損金になる額がまったく変わります。この記事では、その分かれ目を条文と通達で確かめ、寄附金と判定されたときに10万円のうちいくら損金になるのかを、法人税法施行令73条の式で実際に計算します。

広告宣伝費という科目そのものの全体像は広告宣伝費とは、交際費等の年800万円の枠と1人1万円の基準は接待交際費と会議費の違い、個人が寄付をしたときの所得控除・税額控除は寄付金控除にあります。この記事はそれらと役割を分け、「1本の協賛金がどの科目に落ちるか」と「寄附金だったときの損金算入限度額の実額」に絞ります。

結論 — 「協賛金」という名前で決まることは何もない

協賛金の税務上の扱いは、次の3つのどれかになります。並べると、損金になる額がまったく違うことが分かります。

区分損金になる額消費税典型的な場面
広告宣伝費全額対価性があれば課税仕入れ会場の看板・パンフレット・Webサイトに社名やロゴが出る
交際費等資本金1億円以下の法人は年800万円まで(定額控除限度額)支出の内容による取引先の周年イベントへの祝い金、事業に関係のある団体の懇親会費
寄附金限度額まで(下の設例では37,500円不課税(課税仕入れにならない)見返りのない金銭の贈与、地域団体への拠金

実務でいちばん怖いのは3行目です。資本金1,000万円・所得500万円の会社が10万円の協賛金を出し、それが寄附金と判定されると、損金になるのは37,500円だけで、残り62,500円は損金不算入になります。同じ10万円でも、広告宣伝費なら全額落ちます。金額が小さいから安全、という論点ではありません。寄附金の限度額は会社の規模と所得で決まり、小さい会社ほど枠が小さいからです。

「協賛金」という科目名で帳簿に載せてはいけないのか

会計帳簿の科目名は自由です。「協賛金」という補助科目を作ること自体に問題はありません。ただし法人税の申告では、支出したものが寄附金に当たるかどうかを判定し、当たるなら別表十四(二)で限度額の計算をすることになります。科目名が判定を代行してくれるわけではない、というのがこの記事の主題です。

法人税法にも措置法にも「協賛」は0回(実測)

まず、法律の側にこの語があるのかを確かめました。e-Gov法令API v2 で法令全文を取得し、本文のテキストノードだけを連結して数えた結果です。

法令等本文の字数協賛寄附金交際費広告宣伝
法人税法601,10907634
租税特別措置法3,175,2830118380
措置法通達(法人税編)第8章第1款「交際費等の範囲」11,946065

「協賛」は3つとも0回でした。実務でこれだけ使われている言葉が、税法の側には1文字も無いということです。だから「協賛金という支出は税務上どう扱われるか」という問いには、条文から直接答えることができません。答えられるのは、その支出が寄附金の定義に当たるか、交際費等の定義に当たるか、それとも通常の費用かという問いのほうです。

もうひとつ、この表には見落としやすい行があります。租税特別措置法の本文には「広告宣伝」が0回です。交際費等の損金不算入を定めているのは措置法61条の4ですが、その条文は「広告宣伝費を除く」とは一言も書いていません。広告宣伝費が交際費等にならない理由は後述のとおり、除外規定があるからではなく、そもそも定義に入らないからです。この点は広告宣伝費とはで詳しく扱っています。

法律のほうが「名義を問わない」と宣言している

寄附金の定義は法人税法37条7項にあります。

前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額

この一文には、協賛金の判定に必要なものがほとんど入っています。

実務的な含意は明快です。広告宣伝費か交際費等に該当すると言えるなら、寄附金の枠には入りません。逆にどちらとも言えなければ、金銭の贈与として寄附金の限度額計算に乗ります。判定の順序は「まず寄附金か」ではなく、「まず対価があるか」です。

3つの分かれ道 — 対価があるか、相手は誰か

条文と通達から、判定は次の2つの問いに整理できます。

協賛金を支出した ① 見返りに広告・宣伝の 役務の提供を受けているか 受けている ② その宣伝の到達先は 不特定多数か はい 広告宣伝費(全額損金) いいえ 受けていない ③ 相手は事業に 関係のある者等か はい 交際費等(年800万円枠) いいえ 寄附金(限度額まで) ①で「受けている」でも、支払った額が受けた役務に比して過大な部分は贈与とみなされうる 法人税法37条7項・租税特別措置法61条の4第6項・措置法通達61の4(1)-2、-9 から作成
協賛金の判定フロー。分かれ目は科目名ではなく、見返りの有無(①)と、その宣伝が届く相手の範囲(②)・支出の相手(③)。

この図で押さえておきたいのは、①と②が別の問いだということです。見返りがあっても、それが特定の取引先に対する接待や贈答に近ければ交際費等になります。逆に見返りが無くても、相手が事業に関係のある者なら交際費等になりえます。次の2つの節で、それぞれの線を通達の文言で確かめます。

広告宣伝費になる線 — 「不特定多数の者に対する宣伝的効果」

広告宣伝費と交際費等の区分は、租税特別措置法関係通達(法人税編)61の4(1)-9 が正面から書いています。

不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するものは広告宣伝費の性質を有するものとし、次のようなものは交際費等に含まれないものとする。

キーワードは「不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図する」です。協賛金に当てはめると、判断材料は次のようなものになります。

同じ通達には、誰が「一般消費者」に当たらないかについての注も付いています。医薬品の製造業者にとっての医師や病院、化粧品の製造業者にとっての美容業者・理容業者、建築材料の製造業者にとっての大工・左官等の建築業者、飼料や肥料の製造業者にとっての農家などは、いずれも一般消費者には当たらないとされています。「不特定多数」は人数の多さではなく、自社の取引関係の外側かどうかで見られているということです。業界団体の大会に協賛して、来場者がほぼ全員自社の取引先である場合、人数が多くてもこの線を越えません。

「社名が出ていれば広告宣伝費」ではない

社名の掲出は、対価性を裏づける有力な事実ですが、それだけで結論が決まるわけではありません。掲出が名義的なもので、実際には金銭の贈与と変わらない場合もあります。国税庁のタックスアンサーNo.5260も、判断の枠組みとして通達の考え方を紹介するにとどめています。判断に迷う支出は、掲出の実物(写真・パンフレット)と協賛の申込書を残したうえで、顧問税理士にご相談ください。

交際費等になる線 — 神社の祭礼の寄贈金は名指しで外れている

交際費等の定義は租税特別措置法61条の4第6項にあります。読むべきは相手方の限定です。

交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為

協賛金がここに入るのは、支出の相手が「その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」であり、その支出が接待・供応・慰安・贈答に類する場合です。取引先の創業記念パーティーへの祝い金、特約店会の懇親行事への拠出などが典型です。なお通達61の4(1)-22 は、この「事業に関係のある者等」には直接の取引関係者だけでなく、間接に利害関係のある者や自社の役員・従業員・株主も含むとしています。範囲は思ったより広いということです。

では、事業と直接関係のない相手への協賛金はどうなるのか。ここを書いているのが通達61の4(1)-2 です。

事業に直接関係のない者に対して金銭、物品等の贈与をした場合において、それが寄附金であるか交際費等であるかは個々の実態により判定すべきであるが、金銭でした贈与は原則として寄附金とするものとし、次のようなものは交際費等に含まれないものとする。

そして「次のようなもの」として挙がっているのが、(1) 社会事業団体、政治団体に対する拠金(2) 神社の祭礼等の寄贈金の2つです。地域の夏祭りへの協賛金が実務で議論になりやすい理由が、ここにあります。通達が名指しで、これは交際費等ではないと言っているのです。交際費等でないなら、行き先は寄附金です(対価性があって広告宣伝費と言える場合を除きます)。

「原則として寄附金」の、原則の外

この通達は「金銭でした贈与は原則として寄附金とする」と書いています。原則の外があることを、条文自身が認めているということです。実際、同じ一文の前半が「個々の実態により判定すべき」と述べており、金銭で渡したという形式だけで確定するわけではありません。たとえば得意先の担当者へ現金を渡す場合は、金銭であっても贈答として交際費等に当たりえます。物品での贈与なら、この「原則」自体がそもそも働きません。祭りに現金ではなく自社製品を提供した場合は、相手と目的から改めて判定することになります。

寄附金になると、10万円のうち37,500円しか損金にならない

ここがこの記事の本題です。寄附金は全額が損金不算入になるわけではなく、一定の限度額まで損金になります。その限度額は法人税法施行令73条1項1号が定めています。普通法人の場合、次の2つの合計額の4分の1です。

当該事業年度終了の時における資本金の額及び資本準備金の額の合計額又は出資金の額を十二で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額の千分の二・五に相当する金額
当該事業年度の所得の金額の百分の二・五に相当する金額

式にすると、こうなります。

一般寄附金の損金算入限度額= {(資本金の額+資本準備金の額)× 当期の月数 ÷ 12 × 0.25% + 所得の金額 × 2.5%} × 1/4

ここで使う「所得の金額」には注意が要ります。寄附金を損金に入れる前の所得です。根拠は同じ施行令73条の3項です。

第一項各号に規定する所得の金額は、内国法人が当該事業年度において支出した法第三十七条第七項に規定する寄附金の額の全額は損金の額に算入しないものとして計算するものとする。

申告書の別表十四(二)で「寄附金支出前所得金額」という欄が出てくるのは、この項があるからです。決算書の当期純利益をそのまま入れる欄ではありません。

では実際に計算します。資本金1,000万円・資本準備金なし・事業年度12か月・寄附金を損金に入れる前の所得が500万円の会社が、協賛金10万円を支出し、それが寄附金と判定された場合です。

項目計算金額
資本金基準10,000,000円 ÷ 12 × 12か月 × 0.25%25,000円
所得基準5,000,000円 × 2.5%125,000円
合計25,000円 + 125,000円150,000円
損金算入限度額150,000円 × 1/437,500円
損金不算入額100,000円 − 37,500円62,500円

10万円払って、損金になるのは37,500円です。これは協賛金1本だけを支出した場合の数字で、他にも寄附金があれば枠はそちらと分け合います。他に寄附金が無いのに6割以上が損金不算入になる、というのが一般寄附金の枠の狭さです。

会社の規模を変えると枠がどう動くかも見ておきます。

資本金+資本準備金寄附金支出前所得資本金基準所得基準限度額
1,000万円500万円25,000円125,000円37,500円
1,000万円3,000万円25,000円750,000円193,750円
1億円3,000万円250,000円750,000円250,000円
1,000万円0円(欠損)25,000円0円6,250円

最後の行が実務では効きます。赤字の年でも枠はゼロにはなりませんが、資本金基準だけになるので極端に小さくなります。赤字だから寄附金の損金不算入は関係ない、とは言えません(欠損金の繰越額が変わります)。

国や地方公共団体への寄附金は別枠

上の限度額は「一般寄附金」の話です。法人税法37条3項1号は国または地方公共団体に対する寄附金を、同項2号は財務大臣が指定した寄附金を、限度額の計算に入れずに全額損金とする扱いを定めています。同条4項は、公益社団法人・公益財団法人など特定公益増進法人に対する寄附金について、一般寄附金とは別の枠を設けています。自治体主催のイベントへの協賛や、認定を受けた法人への支出は、限度額の前にどの枠に乗るのかを先に確かめる必要があります。

損金不算入額が税額をいくら動かすかを、法人税の簡易計算ツールで試算する

いくらまでが「対価」か — 条文が答えていないところ

ここで実務の悩みどころに触れます。看板1枚のために100万円を出したら、100万円全部が広告宣伝費になるのかという問題です。

結論から言うと、条文にも通達にも金額の基準はありません。37条7項が寄附金とするのは「贈与又は無償の供与」をした部分ですから、受けた役務の価値を超えて支払った部分は、理屈のうえでは贈与に近づきます。ただし、いくらから過大なのかを決める規定は存在しません。

手がかりになるのは、隣の論点である情報提供料の通達(61の4(1)-8)です。取引の情報提供やあっせんを業としていない者に金品を交付した場合について、次のように書いています。

その金品の交付につき例えば次の要件の全てを満たしている等その金品の交付が正当な対価の支払であると認められるときは、その交付に要した費用は交際費等に該当しない。

そこに挙がっている要件は3つで、あらかじめ締結された契約に基づくものであること、提供を受ける役務の内容が契約で具体的に明らかにされていて実際に提供を受けていること、交付した金品の価額が役務の内容に照らして相当と認められることです。これは協賛金についての通達ではありませんが、対価性を主張するときに何を備えておくべきかの、税務当局が示した具体例として読む価値があります。

協賛金に置き換えると、次の3つを残しておくことになります。

  1. 協賛の申込書または契約書 — 支出の前に取り交わされていること
  2. 提供される内容の明細 — 看板のサイズと掲出期間、パンフレットの掲載枠、Webサイトのロゴ掲出など
  3. 金額の妥当性の説明 — 協賛口数ごとの区分表、同種の広告料との比較

これらを備えたからといって、必ず広告宣伝費として認められると保証されるものではありません。上の3要件は情報提供料についての通達であり、協賛金にそのまま適用される規定ではないためです。ここで書けるのは、条文が対価の相当性を問題にしている以上、相当性を説明できる資料を残しておく実益はあるというところまでです。

消費税は対価性で分かれる

消費税の扱いも、同じ「対価があるか」で分かれます。課税の対象になるのは資産の譲渡等で、その定義は消費税法2条1項8号にあります。

事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供

「対価を得て行われる」がここでも要件です。協賛金に当てはめると、次のように整理できます。

支払った側から見た性格消費税の扱い仕入税額控除
広告掲出などの役務の対価として支払った課税仕入れ要件を満たせば可
見返りのない金銭の贈与不課税(対価性がない)不可

ここで注意したいのは、法人税での区分と消費税での区分は、判定の軸が同じでも結論の粒度が違うことです。交際費等と判定された支出でも、飲食や物品の購入を伴っていればその部分は課税仕入れになりえます。交際費等かどうかは損金算入の話であって、消費税の課税・不課税の話ではありません。

また、仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要です。地域の実行委員会や任意団体が適格請求書発行事業者でない場合、対価性があっても控除できないことがあります。相手が登録事業者かどうかは、協賛の申込みの段階で確かめておくと処理が早くなります。

受け取った側 — 同じ文の鏡像が25条の2にある

最後に、協賛金を受け取った側の話を少しだけ。法人税法25条の2第2項は、受贈益をこう定義しています。

前項に規定する受贈益の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてされるかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)を受けた場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額

37条7項と読み比べると、ほとんど同じ文です。違うのは「もつてするかを問わず」と「もつてされるかを問わず」、そして「贈与又は無償の供与(……)をした場合」と「(……)を受けた場合」だけ。払う側と受け取る側で、同じ定義文が能動と受動で書き分けられているわけです。

実務上の意味は、受け取った側でも名義で扱いが決まらないということです。協賛金を受け取ったイベント主催者側では、広告の対価として受け取ったなら売上(対価性があるので消費税の課税売上)、見返りなく受け取ったなら受贈益(不課税)になります。払う側と受け取る側で判定が食い違うことは起こりえますが、根拠になる事実は同じ(何が提供されたか)です。

設例と仕訳

ここまでの判定を、実際の伝票にしてみます。いずれも税抜経理方式、消費税率10%で、端数は切り捨てて処理した例です。

設例1|地域の夏祭りに10万円。会場に社名入りの提灯が掲出され、パンフレットに広告枠がある。協賛の申込書に口数ごとの掲出内容が明記されている。

借方金額貸方金額
広告宣伝費90,909普通預金100,000
仮払消費税等9,091

不特定多数の来場者に届く掲出があり、内容と金額の対応が申込書で確かめられるケースです。仕入税額控除には、実行委員会が適格請求書発行事業者であることと、適格請求書の保存が必要です。

設例2|同じ夏祭りに10万円。掲出も広告枠もなく、「地域への支援のお願い」に応じて振り込んだだけ。

借方金額貸方金額
寄附金100,000普通預金100,000

対価が無いので不課税です。通達61の4(1)-2 が「神社の祭礼等の寄贈金」を交際費等に含まれないものとして挙げているため、交際費等ではなく寄附金として、限度額の計算に乗せます。上の設例の会社であれば、損金になるのは37,500円です。

設例3|取引先の創業50周年記念パーティーに、祝い金として10万円。相手は主要な仕入先。

借方金額貸方金額
交際費100,000普通預金100,000

相手が「その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」で、贈答に類する行為です。資本金1億円以下の法人であれば、年800万円の定額控除限度額の枠の中で損金になります。枠の計算と1人1万円の基準は接待交際費と会議費の違いで扱っています。

1本の協賛金が2つに割れることもある

50万円の協賛のうち、広告掲出の対価として相当と言えるのが20万円で、残り30万円は実質的に贈与だと判断される場面はありえます。その場合、20万円を広告宣伝費、30万円を寄附金として処理することになります。「全部が広告宣伝費」か「全部が寄附金」かの二択ではありません。区分の根拠になるのは、やはり申込書と掲出の実物です。

よくある質問

Q. 帳簿の科目名を「協賛金」にしていると、税務調査で指摘されますか?

A. 科目名そのものが誤りになるわけではありません。会計帳簿の科目名は各社が決めるもので、税法が特定の名称を要求しているわけでもないためです。ただし法人税法37条7項が寄附金を「いずれの名義をもつてするかを問わず」と定義している以上、判定は科目名ではなく支出の実態で行われます。協賛金という補助科目を使うのであれば、その中身が広告宣伝費・交際費等・寄附金のどれに当たるのかを整理し、寄附金に当たるものは申告で限度額の計算に乗せる必要があります。

Q. 社名が載る協賛なら、金額がいくらでも広告宣伝費でよいですか?

A. 金額の上限を定めた規定はありませんが、金額がいくらでもよいということにもなりません。法人税法37条7項が寄附金とするのは贈与または無償の供与をした部分なので、受けた役務の価値を超えて支払った部分については、対価性の説明が求められる可能性があります。情報提供料についての措置法通達61の4(1)-8は、正当な対価の支払と認められる要件の例として、あらかじめ締結された契約に基づくこと、役務の内容が契約で具体的に明らかにされ実際に提供を受けていること、金品の価額が役務の内容に照らして相当と認められることを挙げています。協賛金についての規定ではありませんが、申込書・掲出内容の明細・口数ごとの区分表を残しておく実益はあります。

Q. 町内会の祭りへの協賛金は、寄附金と交際費等のどちらですか?

A. 措置法通達61の4(1)-2 は、事業に直接関係のない者に対して金銭、物品等の贈与をした場合について、金銭でした贈与は原則として寄附金とし、社会事業団体・政治団体に対する拠金と神社の祭礼等の寄贈金は交際費等に含まれないものとする、としています。したがって見返りのない拠出であれば、一般には寄附金として限度額の計算に乗せることになります。一方、会場に社名が掲出されるなど不特定多数への宣伝的効果を意図したものと言える場合は、広告宣伝費として全額が損金になりえます。個々の事案の判定は実態によりますので、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。

Q. 寄附金の損金算入限度額は、どの数字を使って計算しますか?

A. 法人税法施行令73条1項1号により、普通法人の一般寄附金の損金算入限度額は、期末の資本金の額と資本準備金の額の合計額(または出資金の額)を12で除して当期の月数を乗じた金額の0.25%と、当期の所得の金額の2.5%を合計し、その4分の1です。ここでの所得の金額は、同条3項により、当期に支出した寄附金の額の全額を損金に算入しないものとして計算した金額を用います。申告書別表十四(二)の「寄附金支出前所得金額」がこれにあたり、決算書の当期純利益をそのまま使う欄ではありません。

Q. 赤字の事業年度なら、寄附金の損金不算入は考えなくてよいですか?

A. 赤字でも限度額の計算は行います。所得の金額が0であれば所得基準は0になりますが、資本金基準は残るためです。資本金1,000万円・12か月の会社であれば、10,000,000円 ÷ 12 × 12 × 0.25% = 25,000円の4分の1で6,250円が限度額になります。損金不算入額は翌期以後に繰り越す欠損金の額にも影響しますので、赤字だから関係ないとは言えません。

Q. 協賛金に消費税はかかりますか?

A. 対価性があるかどうかで分かれます。消費税法2条1項8号は資産の譲渡等を「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」と定義しているため、広告掲出などの役務の対価として支払ったものは課税仕入れ、見返りのない金銭の贈与は不課税です。なお仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書の保存が必要です。実行委員会や任意団体が適格請求書発行事業者でない場合は、対価性があっても控除できないことがあります。

Q. 協賛金を受け取った側は、どう処理しますか?

A. 払う側と同じく、対価があったかどうかで分かれます。広告掲出などの役務を提供した対価として受け取ったのであれば売上(消費税は課税売上)、見返りなく受け取ったのであれば受贈益(不課税)です。法人税法25条の2第2項は受贈益を「いずれの名義をもつてされるかを問わず」と定義しており、これは支出側の37条7項とほぼ同じ文言の鏡像になっています。名義で決まらないという点は、受け取る側でも同じです。

Q. 自治体が主催するイベントへの協賛金も、限度額の対象ですか?

A. 対価性がなく寄附金に当たる場合でも、法人税法37条3項1号は国または地方公共団体に対する寄附金を、一般寄附金の限度額の計算に含めない旨を定めています。ただし同号のかっこ書きは、寄附をした者がその寄附によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除いています。支出先が自治体そのものなのか、実行委員会などの別団体なのかによっても扱いが変わりますので、振込先と要綱を確かめてください。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。協賛金がどの区分に当たるかは、掲出の内容・相手方・金額の相当性といった個々の事実関係によって判定されます。同じ「協賛金」でも、事業年度や支出先の性格によって結論が変わります。実際の申告にあたっては、協賛の申込書・掲出物の記録・振込先の団体の性格を確認したうえで、顧問税理士または所轄の税務署にご相談ください。金額はいずれも記事作成時点の法令に基づく計算例で、将来の改正により変わることがあります。

この内容をXで共有