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金の相続税:死亡日の買取価格・重量・手数料から評価額を検算

相続した金地金は相続税の対象で、資産として持ち、業者の価格が公表されている金地金・地金型金貨は財産評価基本通達の「一般動産」として、死亡日の売買実例価額等を参酌して評価します。資産として持つ金地金で業者の価格が公表されていれば、計算の形は「死亡日の1gあたりの価格×重量」です。

通達は、業者の買取価格と販売価格のどちらを使うかを名指ししていません。この記事は700gの架空例で両方を計算して差を示し、相続後に売るときの手数料・取得費・譲渡所得の特別控除50万円まで同じ数字で追います。

どの金がどの項で評価されるか

先に、手元の金がどの区分かを決めます。区分で使う通達の項や、相続税がかかるかどうかが変わるためです。

相続税の課税時期(死亡日)の評価についての区分表です。一般動産は財産評価基本通達128・129、商品・原材料は同133、仏具は国税庁No.4108が根拠です。

金の区分と評価の当て方
持っていた金評価の当て方
個人が資産として持つ金地金・地金型金貨一般動産(通達128・129)。売買実例価額・精通者意見価格等を参酌(それらが明らかでなければ別の方法)
商品・原材料として持つ金(販売業者・製造業者など)たな卸商品等(通達132・133)。この記事の対象外
日常礼拝をしている金の仏具相続税がかからない。投資の対象・商品として持つものはかかる
純金積立・金投資口座、日本の記念金貨この記事の対象外(契約内容・資料で別に確認)

金地金だけを名指しした項は、財産評価基本通達にありません。通達129は、売買実例価額等が明らかでない動産について、新品の小売価額から償却費等を引く方法も定めています。金地金は業者の公表価格があるので、設例ではこの方法を使いません。

時価は、課税時期にそれぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額です(財産評価基本通達1)。

死亡日の価格×重量で検算する

資産として持つ金地金で業者の価格が公表されていれば、評価額は品目ごとに「重量×死亡日の1gあたりの価格」で出し、合計します。価格の種類・日付・出所を同じ行に残しておくと、後で検算できます。

架空例では、令和8年9月10日に死亡した被相続人が、資産として金地金500g×1本と100g×2本(計700g)を自宅で保管していたとします。価格は1gあたりの税込の架空値で、実在の相場ではありません。

架空例:金地金の評価額の入力表
品目重量本数合計重量
金地金(500gバー)500g1本500g
金地金(100gバー)100g2本200g
合計—3本700g

上の架空例(令和8年9月10日死亡・計700g)に、死亡日の1gあたりの架空価格を当てます。端数は出ません。

架空例:使う価格の種類ごとの試算額
使う価格1gあたり計算試算額
業者の買取価格20,000円700g×20,000円14,000,000円
業者の販売価格20,900円700g×20,900円14,630,000円
差900円700g×900円630,000円

算出したのは金の試算額で、納める相続税額ではありません。相続税は他の財産・債務・相続人も含めて計算します。

この架空例では、どちらの価格を使うかで試算額が630,000円変わります。通達が価格の種類を名指ししていないことは、どちらでも自由に選べるという意味ではありません。

使う価格がその金地金の品位・重さの規格に合うかも確かめ、使った価格の種類と出所を明細に書きます。判断に迷うときは税務署か税理士に確かめます。

死亡日が業者の休業日で価格が公表されていない場合の扱いは、通達の動産の節(128〜136)には書かれていません。どの日の価格を使ったかを明細に残します。

金の評価から売却までの流れ ① 重量を確かめる 刻印・計量の記録(架空例 700g) ② 死亡日の1gあたり価格 種類(買取・販売)・日付・出所を記録 ③ 相続税の評価額 重量×価格を品目ごとに合計 ④ 相続後に売るとき(所得税) 売却額−被相続人の取得費−手数料など =譲渡益(限定承認の相続を除く) この後に特別控除・長期は1/2
①〜③は資産として持ち、業者の価格が公表されている金地金の相続税の評価、④は居住者が限定承認でない相続で取得し、営利目的の継続売買でない場合の、譲渡益までの計算です。特別控除と長期の1/2は下の「相続後に売ったときの税金」で計算します。

評価と売却のために残す資料

評価と、相続後に売るときの計算では、使う資料が違います。どちらも相続直後にそろえておくと、後で探し直さずに済みます。

残しておく資料
資料使う場面
刻印(品位・重量・番号)が読める現物の写真評価(重量の確認)
死亡日の1gあたり価格のページや価格表評価(種類・日付・出所の記録)
業者に保管していた場合の死亡日現在の残高の資料評価(保管量の確認)
被相続人の購入時の領収書・取引明細売却(取得費と所有期間)
売却時の計算書(売却額・手数料)売却(譲渡価額・譲渡費用)

相続後に売ったときの税金

相続した金地金を個人が売ると、営利目的の継続売買でなければ、所得税の譲渡所得として総合課税になります。居住者の相続人が限定承認でない相続で取得したなら、このときの取得費は相続税の評価額ではなく、被相続人が買ったときの金額です。

居住者が相続(限定承認を除く)で取得した金地金を売ったときは、引き続き所有していたものとみなして計算し、取得費も所有期間も被相続人から引き継ぎます(所得税法60条1項)。

金地金を営利目的で継続的に売買している場合は、譲渡所得でなく事業所得か雑所得です。金投資口座・金貯蓄口座の利益は現物と違い、20.315%の源泉分離課税です(国税庁No.3161)。

長期譲渡の架空例として、令和9年2月に居住者の相続人(限定承認でない相続で取得)が700gを1gあたり19,800円で売り、手数料などの譲渡費用は33,000円とします。架空例の被相続人は平成30年に合計6,300,000円で買っており、所有期間は5年超の長期です。同じ年に他の総合課税の譲渡益はなく、取得費加算は使わない前提です。

架空例:相続後に売った場合の譲渡所得(長期)
項目計算金額
譲渡価額700g×19,800円13,860,000円
譲渡益13,860,000円−(6,300,000円+33,000円)7,527,000円
特別控除後7,527,000円−500,000円7,027,000円
課税される譲渡所得7,027,000円×1/23,513,500円

ここまでが所得の計算です。税額は、他の所得と合わせて総合課税の税率で計算します。

営利目的の継続売買でない金地金の売却で、所有期間が5年以内なら、1/2にしない短期譲渡所得になります。譲渡所得の特別控除50万円は、その年の金地金とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計に対する額で、合計が50万円以下ならその額までです。短期と長期の両方があれば短期から先に引きます(国税庁No.3161)。

相続や遺贈で取得した金地金を、その取得で相続税が課税された人が、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡所得として売れば、確定申告で相続税額の一部を取得費に加える特例を使える場合があります(国税庁No.3267)。加える額は売った財産ごとに計算し、特例を使わない譲渡益が上限です。確定申告書には、相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書と、資産の区分に応じた譲渡所得の内訳書(金地金は総合譲渡用)を添えます。

相続税の総額を計算機で試算する →

よくある質問

金の相続税評価は、買取価格と販売価格のどちらを使いますか?

業者の価格が公表されている金地金について、財産評価基本通達は一般動産を売買実例価額等を参酌して評価すると定め、どちらの価格かは名指ししていません。使った価格の種類・日付・出所を明細に残し、迷うときは税務署か税理士に確かめます。

相続した金を売るとき、取得費は相続税の評価額ですか?

いいえ。居住者が相続(限定承認を除く)で取得した金地金は、被相続人の取得費と所有期間を引き継ぎます。その金地金の取得で相続税が課税された人は、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡所得として売るなら、確定申告で取得費加算の特例を使える場合があります。

金の仏具も相続税の対象ですか?

日常礼拝をしている仏具は相続税がかかりません。ただし骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや、商品として持っているものは相続税がかかります(国税庁No.4108)。

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出典

財産評価基本通達と国税庁のタックスアンサー、e-Gov法令検索の条文を参照。確認基準日は2026年10月22日です。

この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談への回答ではありません。実際の申告の判断は、税務署・税理士にご確認ください。

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