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株を相続したら:上場株式の4つの価格候補と相続後の取得費を検算

相続した上場株式の相続税評価は、納税義務者が選択した同一取引所の死亡日の終値と死亡月・前月・前々月の月平均額を比べ、最も低い価額を使います(終値なし・権利落ち等は補正後に比較)。売却時に差し引く取得費は、この評価額とは別に確認します。

この記事は国内上場株式の評価と取得費を扱います。非上場株式、外国株式、遺産分割で合意する価格は対象外です。名義変更の必要書類は取引金融機関の相続案内で確認し、税の評価資料と購入記録を分けて保管します。

終値と月平均を同じ市場でそろえる

銘柄ごとに終値と月平均額をそろえ、採用単価に相続株数を掛けます。国内の複数市場に上場している場合は、納税義務者が選択した取引所の価格を使い、市場を混ぜて比較しません(財産評価基本通達169)。

死亡月を令和8年9月とする架空例です。同一市場の国内上場株式で、死亡日に終値があり、権利落等なしとします。金額は各価格候補の単価で、実在銘柄の相場ではありません。比較の根拠は国税庁No.4632です。

架空例の相続税評価:価格候補の入力表
候補対象時点・期間単価記録する出所
死亡日の終値死亡当日2,400円選択した取引所の当日相場表
死亡月の月平均令和8年9月2,350円同じ取引所の月間相場表
前月の月平均令和8年8月2,100円同じ取引所の月間相場表
前々月の月平均令和8年7月2,250円同じ取引所の月間相場表

令和8年9月死亡の架空例で、同一市場・死亡日に終値あり・権利落等なし、保有500株とします。以下の計算に端数は出ません。

架空例の相続税評価:採用単価と株数
項目計算・金額
採用単価候補中の最小額である2,100円
株式の相続税評価額2,100円×500株=1,050,000円

算出したのは株式の評価額であり、納める相続税額ではありません。相続税全体は、他の財産や債務、相続人なども含めて計算します。

単価の横には資料名・対象月・市場名を残します。権利落ち等の補正がない場合、月平均はその月の毎日の最終価格の平均額であり、月末の終値ではありません。評価の整理には、国税庁の上場株式の評価明細書も使えます。

終値がない日・権利落ち等は補正する

死亡日の終値がない場合も、直前営業日の値を無条件に使うわけではありません。権利落ち・配当落ちがある場合は、日付の前後関係も確かめます。

相続した国内上場株式の、死亡日側の最終価格の確認表です。権利落ち・配当落ちを合わせて「権利落ち等」とします。根拠は財産評価基本通達170・171です。

死亡日側の候補を修正する主な場合
状況使う最終価格・確認点
終値なし・権利落ち等の特例なし死亡日の前後で最も近い日の終値。同じ近さで前後にあるなら、その平均額
権利落ち等の日から割当て等の基準日までに死亡権利落ち等の前日以前で、死亡日に最も近い日の終値
終値なし・死亡日が権利落ち等の前日以前最も近い候補が落後だけ、または落前・落後の両側なら、死亡日前の最も近い終値
終値なし・死亡日が基準日の翌日以後最も近い候補が落前だけ、または落前・落後の両側なら、死亡日後の最も近い終値

株式分割等に伴う権利落ちがある場合は、落日の属する月だけでなく、前月以前などの月平均額にも修正が及ぶことがあります。落日・基準日・死亡日と、割当株数・払込額を資料でそろえ、財産評価基本通達172の該当区分で確認してから比較します。

配当落ちの場合の月平均は、各該当月の初日から末日までの平均額を使います。権利落ちの期間分けや修正式を、そのまま配当落ちに当てはめません。

売却の取得費は相続税評価額と分ける

通常の課税口座から相続した株式は、被相続人の取得費を引き継ぎます。購入手数料などの取得費用も含むため、購入代金だけの記録と混同しません。根拠は国税庁No.1464です。

令和8年分の架空例です。通常の課税口座から相続した全株を売却し、同一銘柄の別保有はないとします。取得費は購入手数料込みで判明し、株式分割等の調整・取得費加算・他の損益との通算等はありません。以下の計算に端数は出ません。

架空例:売却代金から引くのは承継取得費
項目金額・計算
売却代金1,400,000円
被相続人からの承継取得費700,000円
売却手数料10,000円
株式の譲渡所得1,400,000円−700,000円−10,000円=690,000円

この譲渡所得に対する税額や、相続税が課税された本人に関する取得費加算の要件・期限は、相続した株式の取得費加算の特例で扱います。相続税の評価額をそのまま取得費に置き換える制度ではありません。

相続税の評価終値・月平均を必要に応じ補正採用単価 × 相続株数通常課税口座の承継取得費被相続人の取得費を引き継ぐ分割等は単価調整を確認評価資料と購入記録を分けて残す
相続税の評価額と、通常の課税口座の売却時に引き継ぐ取得費は別の計算です。

口座区分と購入記録を確認する

NISA・ジュニアNISAから相続で払い出された上場株式等の取得費は、原則として相続開始日の終値相当額です。通常の課税口座の承継取得費とは分け、終値がない場合などの具体額は金融機関の資料で確認します(国税庁No.1464)。

購入記録が見つからない場合の調査先や、取得費不明の場合の取扱いも国税庁No.1464にあります。相続税評価額を代わりに転記せず、取得口座と購入履歴を確認します。

株式分割等があれば、取得費の単価にも調整が必要になる場合があります。同じ銘柄を複数回購入していた場合の取得費の計算は、単純な購入単価の選択とは異なります。

評価した財産額をもとに相続税全体の目安を計算する
保管する資料を分ける

相続税の評価には終値・月平均・権利落ち等の資料、売却の取得費には口座区分と購入履歴を使います。売却時期や遺産の分け方の有利不利を、この評価表だけで決めるものではありません。

よくある質問

売却時の取得費に相続税評価額を使えますか?

通常の課税口座から相続した株式は、被相続人の取得費を引き継ぎます。NISA等からの相続払出しは別扱いです。購入手数料等や分割等の調整も含め、取得費の節で区別しています。

死亡月の月平均は、死亡日までで計算しますか?

権利落ち等の修正がない場合は、死亡月全体の毎日の最終価格の平均額です。死亡日までの平均や月末の終値ではありません。権利落ち等がある場合は、補正の節を確認します。

相続税の評価額が分かれば税額も決まりますか?

株式の評価額だけでは決まりません。相続税全体の計算には他の財産や債務、相続人などの情報も必要です。相続税計算機の対象範囲を確認して試算できます。

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出典

国税庁のタックスアンサーと財産評価基本通達を参照。制度の確認基準日は2026年10月21日です。

この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談への回答ではありません。実際の申告の判断は、税務署・税理士にご確認ください。

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