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高額療養費の自己負担限度額【令和8年】年齢・標準報酬月額・非課税区分で確認

高額療養費の自己負担限度額は、年齢・療養のあった月の標準報酬月額・住民税非課税かどうかで決まります。年収では決まりません。

70歳未満で標準報酬月額が28万〜50万円(区分ウ)の人は、令和8年8月〜令和9年7月診療分なら、通常の月の上限が 85,800円+(医療費−286,000円)×1% です。医療費100万円の月なら92,940円です。

限度額の表は、診療を受けた月と年齢で変わります。当てはまる表をご覧ください。

高額療養費 計算機で、自分の限度額と戻ってくる額を出す

いまの自己負担限度額(70歳未満・令和8年8月~令和9年7月診療分)

令和8年8月~令和9年7月に受けた診療の、ひと月あたりの上限です。表は、申請した月ではなく療養のあった月で選びます。

区分標準報酬月額自己負担限度額多数回該当年間上限
ア83万円以上270,300円+(医療費-901,000円)×1%140,100円168万円
イ53万~79万円179,100円+(医療費-597,000円)×1%93,000円111万円
ウ28万~50万円85,800円+(医療費-286,000円)×1%44,400円53万円
エ26万円以下61,500円44,400円53万円(標準報酬月額15万円以下と確認できた方は41万円・令和9年8月以降に償還払い)
オ被保険者が住民税非課税(区分ア・イを除く)36,900円24,600円29万円

式の「医療費」は、保険が使われた医療費の総額(10割)です。年間上限は窓口で引かれる額ではなく、1年分を後から申請して戻る仕組みです(年間上限のしくみ)。

区分は、療養のあった月の標準報酬月額で決まります。年収や月給そのものでは決まりません(区分の決まり方)。

マイナ保険証で省ける申請と、別途手続が必要な場合

窓口での支払いを最初から限度額までに抑える方法として、昔から「限度額適用認定証」を事前に申請する方法が知られています。マイナ保険証で限度額情報を確認できれば、通常はこの事前申請を省けます。

厚生労働省は、マイナンバーカードを健康保険証として利用すれば「『限度額適用認定証』がなくても、公的医療保険が適用される診療に対しては限度額を超える分を支払う必要がありません」と明記しています。オンライン資格確認で、医療機関が限度額の区分を確認できるためです。

ただし、次の場合は事前の申請が要ります。

非対応の施設での受診や資格確認書での受診でも、70歳以上75歳未満の一般・現役並みⅢは認定証不要です。

必要な認定証の申請が間に合わない場合は、窓口で所定の自己負担割合による額を支払い、限度額超過分を後から高額療養費として請求します。払戻しまでに立て替える額は医療費や所得区分によって異なります。

根拠は健康保険法施行規則129条の2第2項です。保険者が限度額適用認定証を交付するのは、申請者のうち「資格確認書の交付又は提供を受けているものに限る」とかっこ書きで限定されています。資格確認書はマイナ保険証を持たない人のほか、利用が困難な人等にも交付されます。低所得者の限度額適用・標準負担額減額認定は別の手続です。

なお、この限度額適用認定証の経過措置は健康保険証の寿命に紐づけられており、電子資格確認を受けられる人はそもそも経過措置に乗れない建て付けでした(マイナ保険証とは何か)。

世帯合算は21,000円未満を1円も拾わない

同じ被保険者とその被扶養者が同じ月に別々の病院を受診した場合、合算対象の自己負担を世帯合算して限度額と比べられます(別の保険の家族とは合算できません)。ただし70歳未満には、合算できる自己負担額の下限があります。施行令41条1項1号のかっこ書きが、合算の対象を「二万千円…以上のものに限る」としているからです。

これは「21,000円を超えた分だけ合算する」という意味ではありません。21,000円未満の自己負担は、まるごと合算の対象から外れます。

同じ月の自己負担世帯合算に入るか
本人・A病院 20,000円入らない(21,000円未満)
妻・B病院 20,000円入らない(21,000円未満)
子・C病院 20,000円入らない(21,000円未満)
合算される額0円(3件で6万円払っていても)

この21,000円は「ひとつの病院等ごと・ひとりごと・ひと月ごと」に見ます。70歳未満では医科・歯科、入院・外来を分けて判定します。同じ人が同じ月に同じ病院の同一区分で20,000円ずつ2回払えば合計40,000円なので合算対象に入りますが、別の病院で20,000円ずつなら、どちらも入りません。ただし、処方せんによる調剤薬局の自己負担は、その処方せんを発行した医療機関の自己負担と合算して判定します。

多数回該当 — 4回目から下がり、ウとエは同じ額に潰れる

多数回該当は、当月を含む直近12か月に既に支給対象月が3か月以上ある場合の4か月目からです。「1年で4回目」ではなく「その月から数えて過去12か月の中で4回目」です。

数えるのは同一保険者・同一被保険者の月に限ります。70歳以上75歳未満の外来個人上限による支給月は数えません。

根拠は施行令42条の各号のただし書です。「当該療養のあった月以前の十二月以内に既に高額療養費が支給されている月数が三月以上ある場合」に限度額を下げると定めています。

ここで見落とされがちなのが、区分ウと区分エの多数回該当額が、どちらも44,400円で同じだということです。

区分通常の限度額(医療費100万円の月)多数回該当(4回目から)
区分ウ(標準報酬月額28万〜50万円)87,430円44,400円
区分エ(標準報酬月額28万円未満・区分オを除く)57,600円44,400円

通常の限度額は令和8年7月診療分までの額です。多数回該当の44,400円は、令和8年8月診療分からも同じです。

通常月には約3万円あった差が、多数回該当ではゼロになります。長期の治療が続く人にとっては、区分ウと区分エの違いが4回目以降は消えるということです。多数回該当でも区分アは140,100円、区分イは93,000円で、区分による差は残ります。

対象にならないもの・医療費控除との関係

高額療養費が面倒を見るのは公的医療保険が使われた医療費の自己負担だけです。厚生労働省が明記しているとおり、入院時の食費負担や差額ベッド代は、自己負担限度額の対象に含みません。個室を希望して1日1万円の差額ベッド代がかかれば、それは限度額とは関係なく全額自己負担です。「限度額まで払えばあとは無料」と考えていると、退院時の請求書で驚くことになります。

高額療養費で戻った分は、医療費控除では差し引く

確定申告で医療費控除を使うとき、高額療養費として戻ってきた額は「保険金などで補填される金額」として差し引きます。ただし引くのはその給付の目的となった医療費からだけです。一方、傷病手当金や出産手当金は差し引きません(所得税基本通達73-9)。これらは医療費の補填ではなく所得の補償だからです。詳しくは医療費控除の記事で扱っています。

令和8年8月診療分から限度額は上がる(7月診療分までとの比較)

2026年8月2日 訂正。この節には前日まで「令和8年8月1日の改正で限度額は変わらない」と書いていました。誤りでしたので訂正します。厚生労働省と全国健康保険協会が、令和8年8月診療分から70歳未満の自己負担限度額を引き上げることを公表しています。早見表は令和8年7月診療分までのものとしてお読みください。

高額療養費は「療養のあった月」の表で決まります(申請した月でも、お金が振り込まれた月でもありません)。令和8年7月と8月の診療では通常月の限度額が変わりますが、70歳未満の多数回該当額は各区分とも維持されます。

8月診療分からの表は、いまの自己負担限度額に載せています。

区分ウ・医療費100万円の月で比べると、7月診療分なら 80,100+(100万-26.7万)×1%=87,430円、8月診療分なら 85,800+(100万-28.6万)×1%=92,940円で、5,510円上がります。厚生労働省が国民向けページで「医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約9.3万円まで抑えられます」と書いているのが、この92,940円です。

多数回該当の額は据え置かれ、新たに「年間上限」ができます

今回の見直しで多数回該当の金額(140,100円・93,000円・44,400円・24,600円)は1円も変わりません。厚生労働省が「長期に継続して治療を受けられている方の経済的負担を増加させないために、『多数回該当』の金額を据え置く」と明記しているためです。あわせて、月ごとの限度額に届かない人でも年単位で負担に上限がかかる「年間上限」が新設されます(区分ウなら53万円)。いまの表の右端がその額です。

年間上限は「窓口で引かれる」のではなく、1年たってから申請して戻ってきます

ここを取り違えると損をします。年間上限は、その月の窓口負担を下げる仕組みではありません。窓口の月額上限は変わりません。令和8年8月~令和9年7月の区分ウ・総医療費100万円の月なら、多数回非該当で92,940円、多数回該当で44,400円です。1年分が確定したあとに保険者へ申請すると、年間上限を超えて払った分が戻ってきます(償還払い)。つまり申請しないと戻りません。協会けんぽの場合、そのための申請書は「年間の高額療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」という名前で、通常の高額療養費支給申請書とは別のものです。

年間上限の「1年」は、8月診療分から翌年7月診療分までです

暦年(1月〜12月)でも年度(4月〜3月)でもありません。最初の1年は令和8年8月診療分〜令和9年7月診療分で、この期間分の精算は令和9年8月以降になります。厚生労働省と協会けんぽは、標準報酬月額15万円以下の方について「年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に償還払いします」と明記しています(この区分だけ、53万円ではなく41万円が上限になります)。

先行する仕組みが、平成29年8月からの70歳以上の外来年間合算(年14.4万円)です。厚生労働省の資料は「7月31日を基準日として、1年間(8月〜翌7月)の外来の自己負担額の合計額」に上限を設け、「事後的に保険者から償還払い」すると説明しています。今回の年間上限もこの枠組みを踏襲しています。

年間上限の額は、おおまかに「多数回該当の額 × 12か月」として設計されています。厚生労働省の資料は、168万円に「月額平均140,000」、53万円に「月額平均約44,200」、29万円に「月額平均約24,200」と併記しています。多数回該当(4か月目から下がる仕組み)の恩恵を受けられない人 —— たとえば毎月コンスタントに5〜7万円ずつ払っていて、月単位の限度額には一度も届かない人 —— を救うのが狙いです。

年間上限の申請でも、世帯は同じ被保険者とその被扶養者で、医科・歯科、入院・外来を分け、処方薬局分を処方元へ合算し、70歳未満は各区分21,000円以上、70歳以上は全額を合算するルールが適用されます。当サイトの計算機は年間上限の額と期間をお知らせするだけで、あなたの年間累計は計算していません。

さらに令和9年8月診療分からは、区分が5段階から13段階に細かくなります

今回の見直しは2段階です。令和9年8月診療分からは、70歳未満の所得区分が現在の5段階(ア〜オ)から13段階に細分化されます。ここで大事なのは、段差が細かくなるだけではなく区分の切り方そのものが別物になることです。

いまは標準報酬月額28万〜50万円がひとくくりで「区分ウ」ですが、令和9年8月からは 44万〜50万円/36万〜41万円/28万〜34万円 の3つに割れます。いまと同じ「区分ウ」の人どうしでも、上のほうの人ほど限度額が上がります。ア〜オという区分名も無くなります。

標準報酬月額自己負担限度額(令和9年8月~)多数回該当年間上限
標報127万円以上342,000円+(医療費-1,140,000円)×1%140,100円168万円
標報103万〜121万円303,000円+(医療費-1,010,000円)×1%140,100円168万円
標報83万〜98万円270,300円+(医療費-901,000円)×1%140,100円168万円
標報71万〜79万円209,400円+(医療費-698,000円)×1%93,000円111万円
標報62万〜68万円194,400円+(医療費-648,000円)×1%93,000円111万円
標報53万〜59万円179,100円+(医療費-597,000円)×1%93,000円111万円
標報44万〜50万円110,400円+(医療費-368,000円)×1%44,400円53万円
標報36万〜41万円98,100円+(医療費-327,000円)×1%44,400円53万円
標報28万〜34万円85,800円+(医療費-286,000円)×1%44,400円53万円
標報20万〜26万円69,600円44,400円53万円
標報16万〜19万円65,400円44,400円53万円
標報15万円以下61,500円34,500円41万円
住民税非課税36,900円24,600円29万円

出典は厚生労働省の表「患者負担割合及び高額療養費自己負担限度額(令和9年8月~)」の70歳未満の欄です。同じ資料の末尾に「現行/令和8年8月~/令和9年8月~」を並べた対照表があり、13行すべてが2つの表で一致します。なお国民健康保険の方は、同じ表で「旧ただし書き所得」という別の物差しで同じ13区分に割り振られます(上の表は健康保険の標準報酬月額の側です)。

体感としてどれくらい変わるかを、医療費100万円の月で見ます。標準報酬月額44万円の人は、令和8年8月~令和9年7月診療分なら区分ウで92,940円ですが、令和9年8月診療分からは「標報44万〜50万円」に移って 110,400+(100万-36.8万)×1%=116,720円 になります。同じ治療で23,780円の増です。区分が割れる帯(標報28万〜50万円と53万〜79万円)に居る人ほど、この2段階目で効いてきます。

令和9年8月から新しく増えるのは「標報15万円以下」の枠です

令和8年8月の表では、標準報酬月額26万円以下がまとめて区分エ(61,500円・多数回該当44,400円)です。令和9年8月からはこの帯が 20万〜26万/16万〜19万/15万円以下 の3つに割れ、いちばん下の標準報酬月額15万円以下だけ、多数回該当が34,500円に下がり、年間上限も41万円になります。多数回該当の額が新設されるのはこの区分だけで、ほかの11区分(140,100円・93,000円・44,400円)と住民税非課税(24,600円)は令和8年8月の表から1円も変わりません。

この表は政令で決まっています(令和9年8月1日施行)。令和8年政令第240号は、令和9年8月1日から施行する第42条第1項も定めていて、e-Gov法令検索に未施行版として登録されています。第1号(標準報酬月額127万円以上)「三十四万二千円と、…(その額が百十四万円に満たないときは、百十四万円)…」から第13号(市町村民税非課税者)「三万六千九百円」まで、上の13行はすべて条文の額と一致します。年間上限も同じ版の第11項(標準報酬月額16万円未満=15万円以下は41万円)にあります。当サイトの計算機は、令和9年8月以降の月について計算するときは画面に「公布済み・令和9年8月1日施行」と表示し、使っている額は上の表と同じです。

当サイトの計算機の対応範囲は、70歳未満が令和10年7月診療分まで、70歳以上が令和9年7月診療分までです。診療年月を入れていただければ3つの表(~令和8年7月/令和8年8月~令和9年7月/令和9年8月~)を自動で切り替えます。それより後は額を出さずに止めます。

令和8年8月からの限度額は、施行令42条そのものが改正されている(令和8年政令第240号)

8月からの表の額は、健康保険法施行令42条の条文そのものです。e-Gov法令検索の現行版(令和8年政令第240号による改正後・令和8年8月1日施行)の第42条第1項は、第1号(区分ウ)を「八万五千八百円と、…療養に要した費用の額(その額が二十八万六千円に満たないときは、二十八万六千円)から二十八万六千円を控除した額に百分の一を乗じて得た額…との合算額」、第2号(区分ア)を「二十七万三百円と、…(その額が九十万千円に満たないときは、九十万千円)…」と定めています。

第3号〜第5号も表のとおり(179,100円・597,000円/61,500円/36,900円、多数回該当 140,100円・93,000円・44,400円・24,600円)で、年間上限も同じ条の第11項(168万円・111万円・53万円・29万円)にあります。

同じ日(令和8年8月1日)に施行された令和8年政令第219号も第42条を改正していますが、こちらが変えたのは第3項の公的年金等控除の読替額(806,700円→826,500円。70歳以上の低所得区分を判定するときの所得の計算方法)で、70歳未満の限度額ではありません。給付を支払う保険者である協会けんぽも、給付説明ページを「70歳未満の方の区分(~令和8年7月)」と「70歳未満の方の区分(令和8年8月~令和9年7月)」の2つに分けて掲げており、額は政令と一致します。

ご自身の給付額の確定については、加入先の健康保険にご確認ください。

70歳以上は別表で確認 — 一般・低所得者は外来個人上限を先に適用

ここまでは70歳未満の話です。70歳以上(75歳未満)には、健康保険法施行令42条の別の項が別の表を定めています。しかも違うのは金額だけではありません。計算の順序そのものが違います。施行令41条1項は70歳未満の扱いを「70歳に達する日の属する月以前の療養」と区切っており、その翌月以後の療養から下の表に切り替わります。

70歳以上の一般・低所得者は「①外来を個人ごとに」→「②世帯で合算」の二段階(現役並み所得者は②のみ)

まず外来(通院)だけをひとりずつ見て、その人の外来の自己負担を外来の上限(一般区分なら22,000円)で頭打ちにします(施行令42条5項)。そのうえで、頭打ちしたあとの外来分と入院分を世帯で合算し、世帯の上限(一般区分なら61,500円)で頭打ちにします(同42条3項)。現役並み所得者には外来の上限がありませんので、その場合だけ①を飛ばして②だけを行います。

① 外来(通院)だけを、ひとりずつ 外来の上限で頭打ちにする(施行令42条5項) 夫の外来 80,000円 → 外来の上限 22,000円 で頭打ち 妻の入院 30,000円 → 入院は①では頭打ちしない ② ①のあとの外来分と入院分を、世帯で合算する(施行令42条3項) 22,000円 + 30,000円 = 52,000円 ← 世帯の上限 61,500円 に届かないので、ここでは頭打ちされない 最後に残る自己負担 52,000円 高額療養費として戻る 58,000円
70歳以上・一般区分の夫婦(窓口2割)。①で夫の外来が22,000円に頭打ちされ、そこで58,000円が戻ります。②の世帯合算は61,500円に届かないので、これ以上は減りません。

70歳以上の限度額(令和8年8月~令和9年7月 診療分)

区分外来(個人ごと)世帯(入院を含む)多数回該当年間上限
現役並みⅢ(標報83万円以上)—(外来の上限なし)270,300円+(総医療費-901,000円)×1%140,100円168万円
現役並みⅡ(標報53万~79万円)—(外来の上限なし)179,100円+(総医療費-597,000円)×1%93,000円111万円
現役並みⅠ(標報28万~50万円)—(外来の上限なし)85,800円+(総医療費-286,000円)×1%44,400円53万円
一般(標報26万円以下)22,000円(年間216,000円)61,500円44,400円53万円(標報15万円以下と確認できた方は41万円・令和9年8月以降に償還払い)
低所得者Ⅱ(被保険者が住民税非課税・現役並み及び低所得者Ⅰを除く)11,000円(年間96,000円)25,700円24,600円29万円
低所得者Ⅰ(非課税・所得が一定以下)8,000円15,700円—(多数回該当なし)18万円

70歳以上の限度額(~令和8年7月 診療分)

区分外来(個人ごと)世帯(入院を含む)多数回該当
現役並みⅢ(標報83万円以上・旧)—(外来の上限なし)252,600円+(総医療費-842,000円)×1%140,100円
現役並みⅡ(標報53万~79万円・旧)—(外来の上限なし)167,400円+(総医療費-558,000円)×1%93,000円
現役並みⅠ(標報28万~50万円・旧)—(外来の上限なし)80,100円+(総医療費-267,000円)×1%44,400円
一般(標報26万円以下・旧)18,000円(年間144,000円)57,600円44,400円
低所得者Ⅱ(住民税非課税・旧)8,000円24,600円—(多数回該当なし)
低所得者Ⅰ(非課税・所得が一定以下・旧)8,000円(令和8年7月まで・協会けんぽ旧表で確認)15,000円—(多数回該当なし)

令和8年7月までの低所得者Ⅰの外来8,000円は、協会けんぽ公式ページの旧表で低所得者Ⅱと共有するセルを確認した額です。素直に読むと低所得者Ⅰの外来の上限を丸ごと落として、いちばん負担の重い人に世帯の15,000円を当ててしまいます。現行の施行令42条5項は、低所得者Ⅱの外来を第2号で11,000円、低所得者Ⅰを第3号で8,000円と定めており、令和8年7月までの旧額と区別します。

一般区分の外来22,000円と世帯61,500円は約2.8倍の差(令和8年8月~令和9年7月・多数回非該当)

外来を個人ごとに見る①は、通院しかしていない人にとっては答えそのものです。70歳以上・一般区分(窓口2割)の人が、その月は通院だけで医療費40万円=窓口で80,000円払った場合で比べます。

計算のしかた当てる上限最後に残る自己負担戻ってくる額
①外来を個人ごとに見る(正しい)外来の上限 22,000円22,000円58,000円
①を飛ばして世帯の上限だけ当てる(誤り)世帯の上限 61,500円61,500円18,500円

負担額で2.8倍、金額にして39,500円の違いです。70歳未満の感覚のまま「世帯の限度額まで払う」と読むと、通院だけの高齢者は払わなくてよい39,500円を払ったままになります。なお、①と②のどちらも効く月(世帯合算した額が世帯の上限を超える月)は、①を飛ばしても最後に残る自己負担は同じ額になります。①の有無が答えを変えるのは、頭打ちしたあとの合計が世帯の上限に届かない月——つまり外来中心の人の月です。

70歳未満の規律を持ち込むと間違える3点

21,000円の足切りは、70歳未満だけの規律です

協会けんぽは「70歳未満の方は、1つの医療機関(上記の区分ごと)の自己負担額が21,000円以上の場合のみ合算できます。70歳以上の方は自己負担額をすべて合算できます」と明記しています。70歳未満の21,000円を70歳以上に持ち込むと、20,000円の受診が2件ある月に2件ともまるごと捨てて、戻る額を実際より少なく見積もることになります。

現役並み所得者かどうかは、標準報酬月額だけでは決まりません

施行令42条3項2〜4号は「法第74条第1項第3号の規定が適用される者であって…」と書いており、まず窓口3割が適用される人であることが前提になっています。標準報酬月額が28万円以上でも、収入の合計額が520万円未満(1人世帯の場合は383万円未満)であれば、申請により一般区分の扱いになります(厚生労働省の資料の※2)。標準報酬月額だけで機械的に現役並みへ落とすと、本当は一般区分(世帯61,500円・外来22,000円)の人に85,800円+1%を当ててしまいます。

低所得者Ⅰには、多数回該当がありません

施行令42条3項6号にはただし書がなく、多数回該当の定めがありません(5号の低所得者Ⅱには令和8年8月から24,600円が新設されました。世帯の上限が24,600円から25,700円へ上がったためです)。「どの区分にも多数回該当がある」と思い込んで下げてしまうと、4か月目以降の負担を実際より軽く見せることになります。

もうひとつ、70歳以上には外来だけの年間上限があります。施行令41条の2が「毎年8月1日から翌年7月31日までの期間」を計算期間と定め、その1年間の外来の自己負担の合計に上限を置く仕組みで、令和8年8月からは一般区分で216,000円(令和8年7月診療分までは144,000円)、低所得者Ⅱは96,000円です。これも上で説明した年間上限と同じく窓口で引かれるのではなく、基準日(7月31日)の保険者へ申請して後から戻ってくるものです。

この二段階は、当サイトの計算機がそのまま実装しています

高額療養費 計算機で年齢の区分に「70歳以上」を選ぶと、①外来を個人ごとに頭打ちしてから②世帯で合算する順序で計算し、どの行が外来として頭打ちされ、どの行が世帯合算に回ったかを1行ずつ表示します。多数回該当のない区分を選んだときは、黙って据え置くのではなく「この区分には多数回該当がありません」と申告します。

自己負担限度額の早見表(70歳未満・令和8年7月診療分まで)

ここから「計算のしかた」までの3つの節は、令和8年7月までに受けた診療の額で説明しています。8月からの診療はいまの自己負担限度額をご覧ください。

ひと月(月の初日から末日まで)に窓口で払った自己負担が、下の額を超えた分が高額療養費として戻ってきます。健康保険法施行令42条1項の各号を、そのまま表にしたものです。

区分標準報酬月額(条文の基準)自己負担限度額(ひと月)多数回該当(4回目から)
ア83万円以上252,600円+(医療費−842,000円)×1%140,100円
イ53万円以上83万円未満167,400円+(医療費−558,000円)×1%93,000円
ウ28万円以上53万円未満80,100円+(医療費−267,000円)×1%44,400円
エ28万円未満(区分オを除く)57,600円44,400円
オ被保険者が住民税非課税(区分ア・イを除く)35,400円24,600円

「医療費」は窓口で払った額ではなく、保険が使われた医療費の総額(10割)です。1%を掛ける前に引く額(842,000円・558,000円・267,000円)も、この10割の医療費から引きます。

条文は「区分ウ」を基準に書かれている

施行令42条1項の第1号は、じつは「次号から第五号までに掲げる者以外の者」=区分ウです。ア・イ・エ・オのほうが「例外」として2号以下に並びます。表では上から順にア・イ・ウと並べますが、条文の号の順番はウ・ア・イ・エ・オで、まったく違います。条文を号の順に読んで「1号が一番上の区分だ」と思い込むと、限度額を取り違えます。

区分を決めるのは年収ではない — 1円で84,390円変わる

施行令42条1項2号・3号は療養月の標準報酬月額83万円以上、53万円以上83万円未満を区分し、4号は28万円未満の被保険者又はその被扶養者から「次号に掲げる者」を除いています。年収も、月給(報酬月額)そのものも出てきません。出てくるのは標準報酬月額だけです。

標準報酬月額は、実際の月給(報酬月額)を等級表に当てはめて決める階段です。健康保険の等級表では、第30級(標準報酬月額50万円)が報酬月額485,000円以上515,000円未満、第31級(標準報酬月額53万円)が報酬月額515,000円以上545,000円未満です。つまり——

実際の報酬月額等級・標準報酬月額区分限度額(医療費100万円の月)
514,999円の人第30級・50万円ウ87,430円
515,000円の人第31級・53万円イ171,820円

報酬月額の差は1円。自己負担の差は84,390円です。金額は令和8年7月診療分までの表で計算しています。「年収でおよそ770万円から」といった目安だけを見ていると、自分がどちら側にいるのか永久にわかりません。

これは、療養月に適用されている標準報酬月額が違う場合の比較です。その月だけ残業代などが増えても、直ちに等級が変わるわけではありません。年の途中で標準報酬月額が変わる場合の一つが随時改定で、要件は随時改定の記事にまとめています。

適用中の標準報酬月額は、資格取得時決定・定時決定・随時改定等によるため、会社又は保険者に確認してください(報酬月額からのツール試算だけでは確定できません)。

「53万〜79万円」と「53万円以上83万円未満」は矛盾していない

協会けんぽの表は区分イを「標準報酬月額53万〜79万円」と書き、条文は「五十三万円以上八十三万円未満」と書きます。区分イの上限は、施行令では83万円未満、協会けんぽの表では標準報酬月額79万円までと表示されています。同じ理由で、区分ウの「28万円以上53万円未満」は等級で言えば「28万〜50万円」になります。

社会保険料計算ツールで、自分の標準報酬月額と等級を確かめる

計算のしかた(医療費100万円の例)

令和8年7月診療分までの式で計算します。区分ウ(標準報酬月額28万円以上53万円未満)の人が、ひと月に医療費100万円(10割)の治療を受けた場合を見ます。窓口では3割の300,000円を払います。

自己負担限度額 = 80,100円 +(1,000,000円 − 267,000円)× 1% = 80,100円 + 7,330円 = 87,430円

高額療養費として戻る額 = 300,000円 − 87,430円 = 212,570円

ひと月の医療費(10割)= 1,000,000円 保険給付 7割 = 700,000円 窓口 3割 = 300,000円 窓口で払った 300,000円 の内わけ 自己負担限度額 87,430円 高額療養費として戻る 212,570円 80,100円 +(1,000,000円 − 267,000円)× 1% = 87,430円 ← これが最後まで残る自己負担 ※ 入院時の食費・差額ベッド代は、この限度額の対象に含まれません(別途かかります)
区分ウ・医療費100万円の月。窓口の3割のうち、最後まで自分の負担として残るのは87,430円だけ。

令和8年8月診療分からは、式の数字が変わります(いまの自己負担限度額)。

1%を掛けた部分に1円未満の端数が出たときの丸め方も、施行令42条が明記しています。端数が50銭未満なら切り捨て、50銭以上なら1円に切り上げです。実務の慣行ではなく、政令が書いています。

よくある質問

高額療養費の区分は、年収で決まるのですか?

いいえ、決まりません。健康保険法施行令42条1項が判定に使うのは「療養のあった月の標準報酬月額」であり、年収も報酬月額そのものも条文には出てきません。「年収約1,160万円以上なら区分ア」といった説明は目安の言い換えです。70歳未満・令和8年7月まで・総医療費100万円・多数回非該当の場合、標準報酬月額50万円の区分ウは87,430円、53万円の区分イは171,820円で、差は84,390円です。

マイナ保険証を使っていますが、限度額適用認定証を申請すべきですか?

オンライン資格確認で限度額情報を確認できれば、通常は事前申請を省けます。ただし協会けんぽの低所得者区分等は別途認定申請が必要です。非対応施設・番号未登録等の場合も保険者に確認してください。資格確認書で受診する場合などは、事前の申請が要る場合をご覧ください。

家族の医療費は、いくらから合算できますか?

合算できるのは、同じ被保険者とその被扶養者の分です。70歳未満は、人・月・医療機関ごとに医科入院・医科外来・歯科入院・歯科外来を別計算し、各区分の自己負担が21,000円以上の場合に合算します。処方薬局分は処方元の医療機関へ加えます。21,000円を超えた部分だけを合算するのではなく、21,000円未満の自己負担はまるごと対象外になります。70歳以上は全額を合算できます。

多数回該当は、1年に4回目からですか?

暦年で数えるのではありません。施行令42条のただし書は「当該療養のあった月以前の十二月以内に既に高額療養費が支給されている月数が三月以上ある場合」と定めており、その月から遡って12か月の中で4回目にあたる月から限度額が下がります。

限度額まで払えば、入院費用はそれ以上かかりませんか?

かかります。高額療養費の対象は公的医療保険が適用された医療費の自己負担だけです。厚生労働省が明記しているとおり、入院時の食費負担や差額ベッド代は自己負担限度額の対象に含まれません。個室を希望した場合の差額ベッド代は、限度額とは無関係に全額が自己負担となります。

高額療養費でお金が戻ったら、医療費控除はどうなりますか?

戻った高額療養費は「保険金などで補填される金額」として、医療費控除の計算で差し引きます。ただし差し引くのは、その給付の目的となった医療費からだけです。なお傷病手当金や出産手当金は、所得税基本通達73-9により補填金には当たらないため差し引きません。これらは医療費の補填ではなく所得の補償だからです。

70歳以上ですが、通院だけの月も世帯の限度額まで払うのですか?

払いません。70歳以上には外来(通院)だけを個人ごとに見る上限が別にあり、健康保険法施行令42条5項が定めています。令和8年8月診療分からは一般区分で22,000円、低所得者Ⅱは11,000円、低所得者Ⅰは8,000円です。たとえば一般区分の方が通院だけで医療費40万円かかり、窓口2割で80,000円を払った月は、外来の上限22,000円が当たって58,000円が戻ります。なお現役並み所得者にはこの外来の上限がありません。

70歳以上の家族の医療費は、いくらから合算できますか?

金額の下限はありません。協会けんぽが「70歳以上の方は自己負担額をすべて合算できます」と明記しているとおり、70歳以上には21,000円の足切りがありません。21,000円の下限は健康保険法施行令41条1項1号のかっこ書きが「70歳に達する日の属する月以前の療養」について定めているもので、その翌月以後の療養には及びません。

標準報酬月額が28万円以上なら、70歳以上でも必ず現役並み所得者ですか?

決まりません。健康保険法施行令42条3項2号から4号は「法第74条第1項第3号の規定が適用される者であって」と書いており、まず窓口3割が適用される人であることが前提になっています。標準報酬月額が28万円以上でも、収入の合計額が520万円未満(1人世帯の場合は383万円未満)であれば、申請により一般区分として扱われます。当サイトの計算機が区分を自動判定せず選んでいただく形にしているのはこのためです。

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出典

2026年8月2日 更新:令和8年8月診療分からの限度額引き上げと、70歳以上の限度額・計算順序を追加。健康保険法115条・同施行令41条42条・同施行規則129条の2(e-Gov法令)と、協会けんぽ・厚生労働省の公表資料で確認。

この記事は令和8年7月時点の法令にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。標準報酬月額や区分の判定、実際の支給額は、加入している健康保険や個別の事情によって異なる場合があります。判断に迷う場合は、加入先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)にご確認ください。

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