奥行価格補正率表【令和8年分】全数値の早見表と調べ方・計算例
令和8年分(2026年中の相続・贈与)の土地評価で引く奥行価格補正率表は、財産評価基本通達の付表1です。国税庁は付表1を「平成30年分以降用」として掲げており、令和8年分の評価でもこの表の率を使います。
率は路線価図の地区区分とその宅地の奥行距離の2つで決まります。すぐ下の早見表で、2つが交わる1マスが答えです。
一方だけが路線に接し、ほかの補正が無い宅地の評価額は、路線価 × 奥行価格補正率 × 地積で計算します。負担付贈与や個人間の対価を伴う取引で得た土地は、贈与税ではこの式と別の扱いです。奥行距離が地区区分ごとの標準の帯に入っていれば率は1.00で、奥行価格補正による減額はありません。
奥行価格補正率表(付表1)の全数値|7地区・29区分
財産評価基本通達の付表1「奥行価格補正率表」(平成30年分以降用)の全数値です。行は4m未満から100m以上までの奥行距離29区分、列は路線価図の地区区分の7つです。行と列が交わる数字が補正率です。
| 奥行距離 | ビル街 | 高度 商業 | 繁華街 | 普通商業・ 併用住宅 | 普通 住宅 | 中小 工場 | 大工場 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4m未満 | 0.80 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.85 | 0.85 |
| 4m以上6m未満 | 0.80 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.90 | 0.90 |
| 6m以上8m未満 | 0.84 | 0.94 | 0.95 | 0.95 | 0.95 | 0.93 | 0.93 |
| 8m以上10m未満 | 0.88 | 0.96 | 0.97 | 0.97 | 0.97 | 0.95 | 0.95 |
| 10m以上12m未満 | 0.90 | 0.98 | 0.99 | 0.99 | 1.00 | 0.96 | 0.96 |
| 12m以上14m未満 | 0.91 | 0.99 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 0.97 | 0.97 |
| 14m以上16m未満 | 0.92 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 0.98 | 0.98 |
| 16m以上20m未満 | 0.93 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 0.99 | 0.99 |
| 20m以上24m未満 | 0.94 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
| 24m以上28m未満 | 0.95 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 0.97 | 1.00 | 1.00 |
| 28m以上32m未満 | 0.96 | 1.00 | 0.98 | 1.00 | 0.95 | 1.00 | 1.00 |
| 32m以上36m未満 | 0.97 | 1.00 | 0.96 | 0.97 | 0.93 | 1.00 | 1.00 |
| 36m以上40m未満 | 0.98 | 1.00 | 0.94 | 0.95 | 0.92 | 1.00 | 1.00 |
| 40m以上44m未満 | 0.99 | 1.00 | 0.92 | 0.93 | 0.91 | 1.00 | 1.00 |
| 44m以上48m未満 | 1.00 | 1.00 | 0.90 | 0.91 | 0.90 | 1.00 | 1.00 |
| 48m以上52m未満 | 1.00 | 0.99 | 0.88 | 0.89 | 0.89 | 1.00 | 1.00 |
| 52m以上56m未満 | 1.00 | 0.98 | 0.87 | 0.88 | 0.88 | 1.00 | 1.00 |
| 56m以上60m未満 | 1.00 | 0.97 | 0.86 | 0.87 | 0.87 | 1.00 | 1.00 |
| 60m以上64m未満 | 1.00 | 0.96 | 0.85 | 0.86 | 0.86 | 0.99 | 1.00 |
| 64m以上68m未満 | 1.00 | 0.95 | 0.84 | 0.85 | 0.85 | 0.98 | 1.00 |
| 68m以上72m未満 | 1.00 | 0.94 | 0.83 | 0.84 | 0.84 | 0.97 | 1.00 |
| 72m以上76m未満 | 1.00 | 0.93 | 0.82 | 0.83 | 0.83 | 0.96 | 1.00 |
| 76m以上80m未満 | 1.00 | 0.92 | 0.81 | 0.82 | 0.83 | 0.96 | 1.00 |
| 80m以上84m未満 | 1.00 | 0.90 | 0.80 | 0.81 | 0.82 | 0.93 | 1.00 |
| 84m以上88m未満 | 1.00 | 0.88 | 0.80 | 0.80 | 0.82 | 0.93 | 1.00 |
| 88m以上92m未満 | 1.00 | 0.86 | 0.80 | 0.80 | 0.81 | 0.90 | 1.00 |
| 92m以上96m未満 | 0.99 | 0.84 | 0.80 | 0.80 | 0.81 | 0.90 | 1.00 |
| 96m以上100m未満 | 0.97 | 0.82 | 0.80 | 0.80 | 0.81 | 0.90 | 1.00 |
| 100m以上 | 0.95 | 0.80 | 0.80 | 0.80 | 0.80 | 0.90 | 1.00 |
境界は「以上・未満」で読みます。奥行きちょうど12.0mは「10m以上12m未満」ではなく、次の「12m以上14m未満」の行です。境界に近い土地は、測量図の数字を四捨五入せずに使ってください。
この表の率は0.80から1.00までです。奥行価格補正だけで評価額が2割を超えて下がることはありません。
国税庁が配布する調整率表のPDFでは、上の行と同じ率が続く欄が空欄になっています。たとえば普通商業・併用住宅地区は12m以上14m未満の欄に1.00とあり、28m以上32m未満の欄まで空欄が続きます。上の表は、このPDFの付表1を書き出し、空欄を埋めて全マスに数字を入れたものです。
令和8年分の評価で使う表はどれか
令和8年分の評価で引くのは、通達の付表1(平成30年分以降用)です。路線価と評価倍率は毎年改定されるので、路線価図・評価倍率表は、原則として課税時期(相続なら亡くなった日、贈与なら贈与を受けた日)の属する年分のものを使います。例外は下の注のとおりです。
| 資料 | 国税庁の掲示 | 令和8年分の評価で使うもの |
|---|---|---|
| 路線価図・評価倍率表 | 年分ごとに公開(令和8年分〜平成30年分) | 原則、課税時期の属する年分(下の注) |
| 奥行価格補正率表(通達の付表1) | 平成30年分以降用 | この記事の早見表と同じ率 |
| 調整率表のPDF(付表1を含む) | 平成31年1月分以降用 | 同じ率。評価明細書と並べて配布 |
通達の付表1と調整率表のPDFは掲示の年分が違いますが、奥行価格補正率の数値は29区分・7地区とも同じです。
平成29年分以前の相続・贈与を評価するときは表が変わります。国税庁は付表1のページに、平成19年分から平成29年分まで用と、平成18年分以前用の表を別に置いています。
東京国税局は、奥行価格補正率表や宅地造成費などをまとめた調整率表を「令和8年分」として掲示しています。
国税庁の路線価図のサイトには、令和6年能登半島地震など地域と時期を限った調整率表と、令和2年分10〜12月分の地価変動補正率表もあります。対象かを確認します。
年分の例外:法令に別段の定めのあるものと別に通達するものは、それによります。その年分が未公開なら、公開されてから評価します。
調べ方は4ステップ — 地区区分と奥行距離で引く
奥行価格補正率は、次の4ステップで調べます。
- 路線価図でその土地が面する路線を探す。国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で開きます。年分の選び方は上の「令和8年分の評価で使う表はどれか」の節のとおりです。
- 地区区分を読む。路線価図の説明部分に、地区と、地区・借地権割合の適合範囲を示す記号の一覧が載っています。地図部分の記号の黒塗り・斜線などとあわせて読みます。地区は国税局長が定めるもので、財産評価基本通達14-2がビル街地区・高度商業地区・繁華街地区・普通商業・併用住宅地区・普通住宅地区・中小工場地区・大工場地区の7つを列挙しています。
- 奥行距離を出す。正面路線から見た奥行きです。長方形なら実測、奥行きが一様でなければ地積を間口距離で割り、想定整形地の奥行距離を上限にします(下の「奥行距離」の節)。
- 付表1を引く。平成30年分以降の評価なら、この記事の早見表か、国税庁の通達の付表1で引きます。
地区区分を確かめずに「奥行10mだから1.00」と決めると間違えます。付表1(平成30年分以降用)で奥行10mの率が1.00なのは普通住宅地区で、繁華街地区と普通商業・併用住宅地区は0.99、高度商業地区は0.98、中小工場地区と大工場地区は0.96、ビル街地区は0.90です。
路線価図の数字は1平方メートルあたりの価額を千円単位で書いたもので、右隣のA〜Gは借地権割合です。「300C」なら1平方メートルあたり300,000円・借地権割合70%です。国税庁の説明ページの例では、「215D」が1平方メートルあたり215,000円・借地権割合60%です。借地権割合はA:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50%、F:40%、G:30%です。
補正率が1.00になる範囲は地区区分ごとに違う
付表1(平成30年分以降用)から、率が1.00の奥行距離の帯と、その両隣・両端の率を地区区分ごとに抜き出した表です。帯に入っていれば、奥行価格補正による減額はありません。
| 地区区分 | 補正率が1.00になる奥行距離 | 帯の幅 | 帯から浅い側に外れたとき | 帯から深い側に外れたとき |
|---|---|---|---|---|
| ビル街地区 | 44m以上92m未満 | 48m | 40m以上44m未満で0.99、4m未満で0.80 | 92m以上96m未満で0.99、100m以上で0.95 |
| 高度商業地区 | 14m以上48m未満 | 34m | 12m以上14m未満で0.99、4m未満で0.90 | 48m以上52m未満で0.99、100m以上で0.80 |
| 繁華街地区 | 12m以上28m未満 | 16m | 10m以上12m未満で0.99、4m未満で0.90 | 28m以上32m未満で0.98、80m以上で0.80 |
| 普通商業・併用住宅地区 | 12m以上32m未満 | 20m | 10m以上12m未満で0.99、4m未満で0.90 | 32m以上36m未満で0.97、84m以上で0.80 |
| 普通住宅地区 | 10m以上24m未満 | 14m | 8m以上10m未満で0.97、4m未満で0.90 | 24m以上28m未満で0.97、100m以上で0.80 |
| 中小工場地区 | 20m以上60m未満 | 40m | 16m以上20m未満で0.99、4m未満で0.85 | 60m以上64m未満で0.99、88m以上で0.90 |
| 大工場地区 | 20m以上(上限なし) | — | 16m以上20m未満で0.99、4m未満で0.85 | 深い側に外れる帯が無い |
住宅地の土地でいちばん多いのは普通住宅地区で、付表1(平成30年分以降用)での1.00の帯は10m以上24m未満の14mぶんです。一般的な戸建て用地は、この帯に収まることが多くあります。
大工場地区に深い側の減額が無いのは、大きな敷地を前提にした地区区分だからです。
同じ奥行35mでも地区区分が違えば評価額が動く
設例は路線価300,000円(路線価図の表記は「300C」)、地積700平方メートル、奥行距離35mの一方だけが路線に接する宅地で、地区区分だけを7通りに変えます。率は付表1(平成30年分以降用)の「32m以上36m未満」の行で、規模格差補正率などほかの補正は入れていません。
| 地区区分 | 奥行価格補正率 | 1平方メートルあたりの価額 | 自用地の評価額(700平方メートル) |
|---|---|---|---|
| ビル街地区 | 0.97 | 291,000円 | 203,700,000円 |
| 高度商業地区 | 1.00 | 300,000円 | 210,000,000円 |
| 繁華街地区 | 0.96 | 288,000円 | 201,600,000円 |
| 普通商業・併用住宅地区 | 0.97 | 291,000円 | 203,700,000円 |
| 普通住宅地区 | 0.93 | 279,000円 | 195,300,000円 |
| 中小工場地区 | 1.00 | 300,000円 | 210,000,000円 |
| 大工場地区 | 1.00 | 300,000円 | 210,000,000円 |
奥行価格補正だけを掛けたこの設例では、いちばん高い高度商業地区などの210,000,000円と、いちばん低い普通住宅地区の195,300,000円で、差は14,700,000円です。違うのは地区区分だけです。
普通商業・併用住宅地区の行(補正率0.97・1平方メートルあたり291,000円・評価額203,700,000円)は、国税庁の「路線価図の説明」に載っている計算例と同じ数字です。
地区で率が違うのは、地区ごとに「標準的な土地」の姿が違うからです。下がる理由は地区で逆になります。付表1(平成30年分以降用)で、ビル街地区は1.00の帯が44m以上92m未満で奥行35mは帯より浅く0.97、普通住宅地区は帯が10m以上24m未満で帯より深く0.93です。
奥行きが一様でない宅地の奥行距離は「地積÷間口距離」、上限は想定整形地
長方形の土地なら奥行距離は測るだけですが、実際の土地は台形や旗竿地で、どこを測るかが決まりません。国税庁の質疑応答事例「不整形地の奥行距離の求め方」が、この点を明示しています。
奥行距離が一様でないものは平均的な奥行距離によります。具体的には、不整形地にかかる想定整形地の奥行距離を限度として、その不整形地の面積をその間口距離で除して得た数値とします。
不整形地の奥行距離は、式にすると地積 ÷ 間口距離で、上限が想定整形地の奥行距離です。想定整形地とは、財産評価基本通達20(2)の(注)が定義しています。
ただし、計算上の奥行距離は、不整形地の全域を囲む、正面路線に面するく形又は正方形の土地(以下「想定整形地」という。)の奥行距離を限度とする。
割り算の答えがそのまま使えるとは限らないことは、質疑応答事例の実数を並べると分かります。
- 割り算の答えを採る例: 同じ質疑応答事例の、地積600平方メートル・間口35mの不整形地です。600÷35=17.1mとなり、想定整形地の奥行距離20mより小さいので17.1mを採ります。
- 上限を採る例: 別の質疑応答事例「正面路線の判定(2)」の、地積500平方メートルの土地です。B路線から見ると500÷10=50mになりますが、想定整形地の奥行距離30mが上限なので30mを採ります。
屈折路(曲がった道)に面する不整形地の想定整形地は、いずれかの路線からの垂線か、路線に接する両端を結ぶ直線で宅地の全域を囲むく形又は正方形のうち、最も面積の小さいものです。質疑応答事例「屈折路に面する不整形地の想定整形地のとり方」の答えです。
宅地が2つ以上の地区にまたがる場合は、原則として面積によりいずれか一の地区を判定してその地区の画地調整率を使い、各地区の率を用いた合理的な方法で評価できるときはその方法でも差し支えありません(質疑応答事例)。同じ事例の(注)でも、奥行距離が一定でない宅地の奥行距離は地積を間口距離で除して求め、想定整形地の奥行距離を限度とすることが繰り返されています。
奥行長大補正率・間口狭小補正率との違い
名前の似た補正が3つあり、見ている長さが違います。
奥行長大補正率表(付表7)は、奥行距離を間口距離で割った値が2以上の区分から始まります。
不整形地と無道路地を除き、間口が狭小な宅地には付表6、奥行が長大な宅地には付表7の補正率表を使います。計算の定めと例外は財産評価基本通達20-4にあります。
側方路線影響加算・二方路線影響加算との順序は明細書のA〜Mが決めている
角地や、表と裏の両方が道路に接している土地では、奥行価格補正のあとに側方路線影響加算・二方路線影響加算が入り、評価額は上がる方向に動きます。順序は財産評価基本通達13も「15から20-7までの定めにより」と並び順で示していますが、いちばん確実なのは「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」第1表の欄の並びを見ることです。
次の表は、評価明細書(平成31年1月分から令和5年分用)第1表の欄A〜Mの並びと、根拠の通達です。金額はM欄を除き1平方メートルあたりで、各欄の計算式・適用要件・上限・端数処理は様式と各通達によります。
| 欄 | 項目 | 根拠 |
|---|---|---|
| A | 一路線に面する宅地 | 評基通15 |
| B | 二路線に面する宅地 | 評基通16・17 |
| C | 三路線に面する宅地 | 評基通18 |
| D | 四路線に面する宅地 | 評基通18 |
| E | 間口が狭小な宅地等 | 評基通20-4 |
| F | 不整形地 | 評基通20 |
| G | 地積規模の大きな宅地 | 評基通20-2 |
| H | 無道路地 | 評基通20-3 |
| I・J | がけ地等・土砂災害特別警戒区域 | 評基通20-5・20-6 |
| K | 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地 | 評基通20-7 |
| L | 私道 | 評基通24 |
| M | 自用地の評価額 | 評基通15ほか |
この並びから読み取れることが3つあります。
- 奥行価格補正は最初で、路線の数だけ出てくる。A欄の正面路線に1回、B〜D欄で側方・裏面の路線ごとに1回ずつです。通達16が側方路線の路線価を正面路線の路線価とみなして計算すると定めているためで、掛け忘れが起きやすい所です。
- A欄からL欄の結果は、1平方メートルあたりの価額。M欄で地積を掛けて、自用地の評価額(総額)にします。
- E欄(間口狭小)とF欄(不整形地)は重複して適用できない。様式の(注)1に書かれています。
主な例外は次のとおりです(タックスアンサーNo.4604)。
- 側方路線に接していても現実に角地としての効用が無い宅地は、側方路線影響加算率に代えて二方路線影響加算率を使います。
- 側方・裏面路線に宅地の一部だけが接する場合は加算額を調整します。
計算例3つ — 一路線・角地・不整形地
実際の数字で、3つの設例を計算します。いずれも令和8年分の評価として計算します。
例1 一方だけが路線に接する長方形の宅地
設例は普通住宅地区、路線価180,000円(路線価図の表記は「180D」)、間口14m・奥行25mの長方形で地積350平方メートルの、一方だけが路線に接する自用地(貸していない自分の土地)です。率は国税庁の調整率表(平成31年1月分以降用)の値です。
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 奥行価格補正率(付表1) | 奥行25mは「24m以上28m未満」の行 | 0.97 |
| A欄(1平方メートルあたり) | 180,000円 × 0.97 | 174,600円 |
| E欄(間口狭小・奥行長大) | 間口14mの間口狭小補正率は1.00、25m ÷ 14m = 約1.79で2未満 | 使わない |
| M欄(自用地の評価額) | 174,600円 × 350平方メートル | 61,110,000円 |
例2 角地(二路線に面する宅地)
まず正面路線を決めます。財産評価基本通達16(1)は正面路線を「原則として、前項の定めにより計算した1平方メートル当たりの価額の高い方の路線」としています。次の設例では、路線価そのものではなく奥行価格補正率を掛けたあとの金額で2つの路線を比べます。地区が違う場合や金額が同じ場合の決め方は、タックスアンサーNo.4604の注1にあります。
設例は普通住宅地区の角地にある自用地です。a路線に間口16mで接し、そこからの奥行きが30mの長方形で、地積は480平方メートル。a路線の路線価は250,000円、長辺側に接するb路線の路線価は180,000円で、b路線から見た奥行距離は16mです。角地としての効用があるものとし、率は国税庁の調整率表(平成31年1月分以降用)の値です。
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| a路線の補正後の単価 | 250,000円 × 0.95(奥行30mの奥行価格補正率) | 237,500円 |
| b路線の補正後の単価 | 180,000円 × 1.00(奥行16mの奥行価格補正率) | 180,000円 |
| 正面路線の判定 | 237,500円のほうが高い | a路線が正面、b路線が側方 |
| 側方路線影響加算率(付表2) | 普通住宅地区の角地 | 0.03 |
| B欄(1平方メートルあたり) | 237,500円 + 180,000円 × 1.00 × 0.03 | 242,900円 |
| E欄(間口狭小・奥行長大) | 間口16mの間口狭小補正率は1.00、30m ÷ 16m = 約1.88で2未満 | 使わない |
| M欄(自用地の評価額) | 242,900円 × 480平方メートル | 116,592,000円 |
この例では側方路線の奥行価格補正率が1.00なので、掛け忘れても答えが変わらず、誤りに気づけません。率が1.00でも式に入れておきます。
地区の異なる2つの路線に接している場合は、質疑応答事例のとおり正面路線の地区区分の奥行価格補正率と加算率を、側方路線影響加算額の計算にも使います。
例3 不整形地
設例は普通住宅地区、路線価200,000円、地積352平方メートル、間口10mの、一方だけが路線に接する自用地です。全域を囲む想定整形地は間口16m・奥行25mで400平方メートル、はみ出したかげ地は間口側の6m × 8m = 48平方メートルとします。率は国税庁の調整率表(平成31年1月分以降用)の値です。
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 奥行距離 | 352 ÷ 10 = 35.2m。想定整形地の奥行距離25mが上限 | 25m |
| 奥行価格補正率(付表1) | 奥行25mは「24m以上28m未満」の行 | 0.97 |
| A欄(1平方メートルあたり) | 200,000円 × 0.97 | 194,000円 |
| かげ地割合 | (400 − 352)÷ 400 | 12% |
| 地積区分(付表4) | 352平方メートルは500平方メートル未満 | A |
| 不整形地補正率表の補正率(付表5) | 地積区分A・かげ地割合10%以上15%未満 | 0.98 |
| 間口狭小補正率(付表6) | 間口10m | 1.00 |
| 奥行長大補正率(付表7) | 25 ÷ 10 = 2.5で「2以上3未満」 | 0.98 |
| 不整形地補正率 | 0.98 × 1.00 = 0.98 と 0.98 × 1.00 = 0.98 の低い方 | 0.98 |
| F欄(1平方メートルあたり) | 194,000円 × 0.98 | 190,120円 |
| M欄(自用地の評価額) | 190,120円 × 352平方メートル | 66,922,240円 |
| 参考: 上限を忘れて奥行35.2mで引いた場合 | 奥行価格補正率0.93、奥行長大補正率0.96(35.2 ÷ 10 = 3.52)。不整形地補正率は 0.98 × 1.00 = 0.98 と 0.96 × 1.00 = 0.96 の低い方 | 不整形地補正率0.96 |
| 参考: その場合の評価額 | 200,000円 × 0.93 × 0.96 × 352平方メートル | 62,853,120円 |
| 参考: 正しい評価額との差 | 66,922,240円 − 62,853,120円 | 4,069,120円の過少 |
この352平方メートルの設例では、奥行距離の上限を忘れるとA欄とF欄の両方が変わり、評価額が過少になります。
相続した宅地が居住用や事業用に使われていた場合は、限度面積までの部分について、評価額の一定割合を減額する相続税の特例があります。減額の限度面積と割合は別のツールで確かめてください。
小規模宅地等の特例で評価額がいくら下がるか計算する根拠の条文と通達
ここからは根拠の条文です。出発点は相続税法22条です。
この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。
相続・遺贈・贈与により取得した財産は、取得時の時価で評価するのが原則です。この章の特別の定めが優先します。土地の測り方は、この条文には書かれていません。
時価の求め方は財産評価基本通達にあります。同通達1(2)は、時価を、課税時期にそれぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間の自由な取引で通常成立すると認められる価額としています。
宅地の評価方式は同通達11が2つに分けています。原則として、市街地的形態を形成する地域にある宅地は路線価方式、それ以外の宅地は倍率方式です。路線価方式は同通達13が、路線価を基とし、15(奥行価格補正)から20-7までの定めにより計算した金額で評価する方式と定めています。奥行価格補正は、その最初に置かれた調整です。
通達15は次のとおりです。
一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。
路線価の定義にも奥行価格補正率が出てきます。同通達14の(注)です。
(4)の「標準的な間口距離及び奥行距離」には、それぞれ付表1「奥行価格補正率表」に定める補正率(以下「奥行価格補正率」という。)及び付表6「間口狭小補正率表」に定める補正率(以下「間口狭小補正率」という。)がいずれも1.00であり、かつ、付表7「奥行長大補正率表」に定める補正率(以下「奥行長大補正率」という。)の適用を要しないものが該当する。
路線価は、奥行価格補正率と間口狭小補正率が1.00で、奥行長大補正率の適用を要しない宅地を標準として付けられています。実際の宅地の奥行きが標準と違うときに、その差を調整するのが奥行価格補正です。
土地の評価額が出たら、遺産総額と相続人から相続税の総額を計算機で確かめられます。
相続税の総額を計算する(遺産総額と相続人から自動計算)間違えやすい4点
1. 路線価図・評価倍率表は、原則として課税時期の属する年分のものを使う(例外と未公開の年分は上の節の注)。令和8年分の評価なら、奥行価格補正率表は平成30年分以降用の表を引きます(上の「令和8年分の評価で使う表はどれか」の節)。
2. 路線価は千円単位の表示。路線価図の「300C」は1平方メートルあたり300,000円で、300円でも300万円でもありません。千円単位を取り違えると、評価額が1,000倍または1,000分の1になります。
3. 地積は課税時期における実際の面積。財産評価基本通達8は、地積は課税時期における実際の面積によると定めています。登記簿の地積と実際の面積が違う土地は、課税時期における実際の面積で計算します。地積はM欄で掛ける数なので、ここが違うと補正率をどれだけ正確に引いても評価額はずれます。
4. 土地の評価額は丸めずに合計する。 1平方メートルあたりの価額も評価額も、円単位でそのまま持ちます。切り捨てが効くのは、相続税の申告書で課税価格と税額を出す段です。土地の評価額を1,000円単位に丸めてから合計するのは順序が違い、合計してから丸めます。
国税(印紙税及び附帯税を除く。以下この条において同じ。)の課税標準(その税率の適用上課税標準から控除する金額があるときは、これを控除した金額。以下この条において同じ。)を計算する場合において、その額に千円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
これが国税通則法118条1項です。確定金額の100円未満は、同119条1項が切り捨てます。
この記事の要点
よくある質問
奥行価格補正率はどこで調べますか?
国税庁の法令解釈通達「財産評価」の付表1「奥行価格補正率表」で調べます。同じ表が、国税庁の「評価明細書・調整率表」のページにある調整率表のPDFの1つ目の表にも載っています。表を引く前に、路線価図でその路線の地区区分を確かめてください。
補正率表の空欄は何を意味しますか?
上の行と同じ率が続くという意味です。国税庁の調整率表のPDFでは、普通商業・併用住宅地区は12m以上14m未満の欄に1.00と書かれ、28m以上32m未満の欄まで空欄が続きます。国税庁の「路線価図の説明」の計算例も、この地区の奥行20mに1.00を使っています。
奥行距離はどこからどこまでを測りますか?
正面路線から見た宅地の奥行きです。長方形なら実測した奥行きをそのまま使い、奥行きが一様でない土地は国税庁の質疑応答事例のとおり地積を間口距離で割った平均的な奥行距離を使います。ただし想定整形地の奥行距離が上限で、それを超えたときは想定整形地の奥行距離を採ります。
角地の側方路線にも奥行価格補正率を掛けますか?
掛けます。財産評価基本通達16は、側方路線の路線価を正面路線の路線価とみなして計算した価額に側方路線影響加算率を乗じると定めており、その計算にも奥行価格補正が入ります。側方路線から見た奥行距離で表を引き、地区区分は正面路線の地区区分をそのまま使います。
補正率が1.00なら計算を省いてよいですか?
評価額は変わりませんが、率は1.00として式に入れ、土地及び土地の上に存する権利の評価明細書の奥行価格補正率の欄にも1.00と記入します。書かずに省くと、地区区分を取り違えたのか1.00なのかが後から区別できません。国税庁の「路線価図の説明」の二路線の計算例も、側方路線の奥行価格補正率を1.00と書いて計算しています。1.00になる奥行距離の帯は地区区分ごとに違うので、地区区分の確認は省けません。
令和8年分の奥行価格補正率表はどれを使いますか?
財産評価基本通達の付表1(平成30年分以降用)を使います。令和8年分の評価でも率はこの表のとおりです。
路線価が定められていない地域の土地はどう評価しますか?
倍率方式で評価します。財産評価基本通達11は宅地の評価を、市街地的形態を形成する地域は路線価方式、それ以外は倍率方式と分けています。倍率方式は固定資産税評価額に評価倍率表の倍率を乗じて計算し、この計算に奥行価格補正率は出てきません。土地の形状は固定資産税評価額の側で織り込まれているためです。倍率地域でも、地積規模の大きな宅地には例外があります(同通達21-2のただし書)。
出典
相続税法(e-Gov法令検索)、国税庁の財産評価基本通達・調整率表・質疑応答事例で確認して作成。
- e-Gov法令検索「相続税法」22条(評価の原則)。API v2のリビジョン 325AC0000000073_20260401_506AC0000000008 で条文を確認。確認日:2026年9月8日。
- e-Gov法令検索「国税通則法」118条1項(国税の課税標準の端数計算等)、119条1項(国税の確定金額の端数計算等)。API v2のリビジョン 337AC0000000066_20260624_508AC0000000046 で条文を確認。
- 国税庁 法令解釈通達「財産評価」の第1章 総則。1(評価の原則)(2)時価の意義。
- 国税庁 法令解釈通達「財産評価」の第2章第1節 通則。7-2(評価単位)、8(地積は課税時期における実際の面積による)。
- 国税庁 法令解釈通達「財産評価」の第2章第2節 宅地及び宅地の上に存する権利。11(評価の方式)、13(路線価方式)、14(路線価)、14-2(地区は7区分)、14-3(特定路線価)、15(奥行価格補正)、16(側方路線影響加算)、17(二方路線影響加算)、18(三方又は四方路線影響加算)。
- 国税庁 法令解釈通達「財産評価」の20(不整形地の評価)から20-7までのページ。20(想定整形地と計算上の奥行距離の限度)、20-2(地積規模の大きな宅地)、20-3(無道路地)、20-4(間口が狭小な宅地等)。
- 同じページの20-5(がけ地等)、20-6(土砂災害特別警戒区域)、20-7(容積率の異なる2以上の地域)。ほかに21-2(倍率方式による評価)。
- 国税庁「土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表(平成31年1月分以降用)」(PDF)。付表1 奥行価格補正率表の全数値、付表2 側方路線影響加算率表、付表3 二方路線影響加算率表、付表4 地積区分表。
- 同じ調整率表の付表5 不整形地補正率表、付表6 間口狭小補正率表、付表7 奥行長大補正率表。付表1〜7は pdfplumber で座標ごとに読み取り。確認日:2026年9月8日。
- 同じ調整率表の付表2の率。普通住宅・中小工場の角地0.03・準角地0.02、普通商業・併用住宅の角地0.08・準角地0.04。
- 国税庁 法令解釈通達「財産評価」の付表1 奥行価格補正率表。平成30年分以降用である旨と、平成29年分以前用の表の案内。確認日:2026年10月11日。
- 東京国税局「土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表」。令和8年分の調整率表の掲示。確認日:2026年10月11日。
- 国税庁「路線価図の説明」。路線価が1平方メートルあたりの千円単位の表示であること、A〜Gの記号と適合範囲、奥行価格補正率を使った一路線の計算例(0.97/291,000円/203,700,000円)と二路線の計算例(側方200,000円×1.00×0.08/307,000円/214,900,000円)。
- 国税庁「評価明細書・調整率表」および「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書(平成31年1月分から令和5年分用)」(PDF)。第1表の欄A〜Mの順序、5-1と5-2は重複適用できない旨の(注)1。確認日:2026年9月8日。
- 国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」。令和8年分(最新)から平成30年分までの年分の選択、令和6年能登半島地震・令和2年7月豪雨・令和元年台風第19号・平成30年7月豪雨の調整率表と、令和2年分の路線価等の10〜12月分に係る地価変動補正率表の公開。確認日:2026年10月11日。
- 国税庁 質疑応答事例(財産評価)「不整形地の奥行距離の求め方」(600平方メートル÷35m=17.1m<20m)、「正面路線の判定(2)」(500平方メートル÷10m=50m>30m)、「正面路線の判定(1)」。いずれも令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく旨の注記あり。
- 国税庁 質疑応答事例(財産評価)「屈折路に面する不整形地の想定整形地のとり方」、「地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価」、「宅地が2以上の地区にまたがる場合の画地調整」。いずれも令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく旨の注記あり。
- 国税庁タックスアンサー「No.4604 路線価方式による宅地の評価」「No.4602 土地家屋の評価」「No.4606「倍率方式による土地の評価」」、No.4604の質疑応答「財産評価に使用する路線価図等の年分」。いずれも令和8年4月1日現在法令等。
- 上のタックスアンサーで確認した内容: 正面路線の判定方法、地区の異なる路線に接する場合は正面路線の地区の率を適用すること、倍率方式の対象。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。