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奥行価格補正率表【令和8年分】全数値の早見表と調べ方・計算例

令和8年分(2026年中の相続・贈与)の土地評価で引く奥行価格補正率表は、財産評価基本通達の付表1です。国税庁は付表1を「平成30年分以降用」として掲げており、令和8年分の評価でもこの表の率を使います。

率は路線価図の地区区分とその宅地の奥行距離の2つで決まります。すぐ下の早見表で、2つが交わる1マスが答えです。

一方だけが路線に接し、ほかの補正が無い宅地の評価額は、路線価 × 奥行価格補正率 × 地積で計算します。負担付贈与や個人間の対価を伴う取引で得た土地は、贈与税ではこの式と別の扱いです。奥行距離が地区区分ごとの標準の帯に入っていれば率は1.00で、奥行価格補正による減額はありません。

奥行価格補正率表(付表1)の全数値|7地区・29区分

財産評価基本通達の付表1「奥行価格補正率表」(平成30年分以降用)の全数値です。行は4m未満から100m以上までの奥行距離29区分、列は路線価図の地区区分の7つです。行と列が交わる数字が補正率です。

奥行距離ビル街高度
商業
繁華街普通商業・
併用住宅
普通
住宅
中小
工場
大工場
4m未満0.800.900.900.900.900.850.85
4m以上6m未満0.800.920.920.920.920.900.90
6m以上8m未満0.840.940.950.950.950.930.93
8m以上10m未満0.880.960.970.970.970.950.95
10m以上12m未満0.900.980.990.991.000.960.96
12m以上14m未満0.910.991.001.001.000.970.97
14m以上16m未満0.921.001.001.001.000.980.98
16m以上20m未満0.931.001.001.001.000.990.99
20m以上24m未満0.941.001.001.001.001.001.00
24m以上28m未満0.951.001.001.000.971.001.00
28m以上32m未満0.961.000.981.000.951.001.00
32m以上36m未満0.971.000.960.970.931.001.00
36m以上40m未満0.981.000.940.950.921.001.00
40m以上44m未満0.991.000.920.930.911.001.00
44m以上48m未満1.001.000.900.910.901.001.00
48m以上52m未満1.000.990.880.890.891.001.00
52m以上56m未満1.000.980.870.880.881.001.00
56m以上60m未満1.000.970.860.870.871.001.00
60m以上64m未満1.000.960.850.860.860.991.00
64m以上68m未満1.000.950.840.850.850.981.00
68m以上72m未満1.000.940.830.840.840.971.00
72m以上76m未満1.000.930.820.830.830.961.00
76m以上80m未満1.000.920.810.820.830.961.00
80m以上84m未満1.000.900.800.810.820.931.00
84m以上88m未満1.000.880.800.800.820.931.00
88m以上92m未満1.000.860.800.800.810.901.00
92m以上96m未満0.990.840.800.800.810.901.00
96m以上100m未満0.970.820.800.800.810.901.00
100m以上0.950.800.800.800.800.901.00

境界は「以上・未満」で読みます。奥行きちょうど12.0mは「10m以上12m未満」ではなく、次の「12m以上14m未満」の行です。境界に近い土地は、測量図の数字を四捨五入せずに使ってください。

この表の率は0.80から1.00までです。奥行価格補正だけで評価額が2割を超えて下がることはありません。

国税庁のPDFの空欄は「上の行と同じ率」の意味

国税庁が配布する調整率表のPDFでは、上の行と同じ率が続く欄が空欄になっています。たとえば普通商業・併用住宅地区は12m以上14m未満の欄に1.00とあり、28m以上32m未満の欄まで空欄が続きます。上の表は、このPDFの付表1を書き出し、空欄を埋めて全マスに数字を入れたものです。

令和8年分の評価で使う表はどれか

令和8年分の評価で引くのは、通達の付表1(平成30年分以降用)です。路線価と評価倍率は毎年改定されるので、路線価図・評価倍率表は、原則として課税時期(相続なら亡くなった日、贈与なら贈与を受けた日)の属する年分のものを使います。例外は下の注のとおりです。

資料国税庁の掲示令和8年分の評価で使うもの
路線価図・評価倍率表年分ごとに公開(令和8年分〜平成30年分)原則、課税時期の属する年分(下の注)
奥行価格補正率表(通達の付表1)平成30年分以降用この記事の早見表と同じ率
調整率表のPDF(付表1を含む)平成31年1月分以降用同じ率。評価明細書と並べて配布

通達の付表1と調整率表のPDFは掲示の年分が違いますが、奥行価格補正率の数値は29区分・7地区とも同じです。

平成29年分以前の相続・贈与を評価するときは表が変わります。国税庁は付表1のページに、平成19年分から平成29年分まで用と、平成18年分以前用の表を別に置いています。

東京国税局は、奥行価格補正率表や宅地造成費などをまとめた調整率表を「令和8年分」として掲示しています。

国税庁の路線価図のサイトには、令和6年能登半島地震など地域と時期を限った調整率表と、令和2年分10〜12月分の地価変動補正率表もあります。対象かを確認します。

年分の例外:法令に別段の定めのあるものと別に通達するものは、それによります。その年分が未公開なら、公開されてから評価します。

調べ方は4ステップ — 地区区分と奥行距離で引く

奥行価格補正率は、次の4ステップで調べます。

  1. 路線価図でその土地が面する路線を探す。国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で開きます。年分の選び方は上の「令和8年分の評価で使う表はどれか」の節のとおりです。
  2. 地区区分を読む。路線価図の説明部分に、地区と、地区・借地権割合の適合範囲を示す記号の一覧が載っています。地図部分の記号の黒塗り・斜線などとあわせて読みます。地区は国税局長が定めるもので、財産評価基本通達14-2がビル街地区・高度商業地区・繁華街地区・普通商業・併用住宅地区・普通住宅地区・中小工場地区・大工場地区の7つを列挙しています。
  3. 奥行距離を出す。正面路線から見た奥行きです。長方形なら実測、奥行きが一様でなければ地積を間口距離で割り、想定整形地の奥行距離を上限にします(下の「奥行距離」の節)。
  4. 付表1を引く。平成30年分以降の評価なら、この記事の早見表か、国税庁の通達の付表1で引きます。

地区区分を確かめずに「奥行10mだから1.00」と決めると間違えます。付表1(平成30年分以降用)で奥行10mの率が1.00なのは普通住宅地区で、繁華街地区と普通商業・併用住宅地区は0.99、高度商業地区は0.98、中小工場地区と大工場地区は0.96、ビル街地区は0.90です。

路線価図の「300C」の読み方

路線価図の数字は1平方メートルあたりの価額を千円単位で書いたもので、右隣のA〜Gは借地権割合です。「300C」なら1平方メートルあたり300,000円・借地権割合70%です。国税庁の説明ページの例では、「215D」が1平方メートルあたり215,000円・借地権割合60%です。借地権割合はA:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50%、F:40%、G:30%です。

補正率が1.00になる範囲は地区区分ごとに違う

付表1(平成30年分以降用)から、率が1.00の奥行距離の帯と、その両隣・両端の率を地区区分ごとに抜き出した表です。帯に入っていれば、奥行価格補正による減額はありません。

地区区分補正率が1.00になる奥行距離帯の幅帯から浅い側に外れたとき帯から深い側に外れたとき
ビル街地区44m以上92m未満48m40m以上44m未満で0.99、4m未満で0.8092m以上96m未満で0.99、100m以上で0.95
高度商業地区14m以上48m未満34m12m以上14m未満で0.99、4m未満で0.9048m以上52m未満で0.99、100m以上で0.80
繁華街地区12m以上28m未満16m10m以上12m未満で0.99、4m未満で0.9028m以上32m未満で0.98、80m以上で0.80
普通商業・併用住宅地区12m以上32m未満20m10m以上12m未満で0.99、4m未満で0.9032m以上36m未満で0.97、84m以上で0.80
普通住宅地区10m以上24m未満14m8m以上10m未満で0.97、4m未満で0.9024m以上28m未満で0.97、100m以上で0.80
中小工場地区20m以上60m未満40m16m以上20m未満で0.99、4m未満で0.8560m以上64m未満で0.99、88m以上で0.90
大工場地区20m以上(上限なし)—16m以上20m未満で0.99、4m未満で0.85深い側に外れる帯が無い

住宅地の土地でいちばん多いのは普通住宅地区で、付表1(平成30年分以降用)での1.00の帯は10m以上24m未満の14mぶんです。一般的な戸建て用地は、この帯に収まることが多くあります。

大工場地区に深い側の減額が無いのは、大きな敷地を前提にした地区区分だからです。

同じ奥行35mでも地区区分が違えば評価額が動く

設例は路線価300,000円(路線価図の表記は「300C」)、地積700平方メートル、奥行距離35mの一方だけが路線に接する宅地で、地区区分だけを7通りに変えます。率は付表1(平成30年分以降用)の「32m以上36m未満」の行で、規模格差補正率などほかの補正は入れていません。

地区区分奥行価格補正率1平方メートルあたりの価額自用地の評価額(700平方メートル)
ビル街地区0.97291,000円203,700,000円
高度商業地区1.00300,000円210,000,000円
繁華街地区0.96288,000円201,600,000円
普通商業・併用住宅地区0.97291,000円203,700,000円
普通住宅地区0.93279,000円195,300,000円
中小工場地区1.00300,000円210,000,000円
大工場地区1.00300,000円210,000,000円

奥行価格補正だけを掛けたこの設例では、いちばん高い高度商業地区などの210,000,000円と、いちばん低い普通住宅地区の195,300,000円で、差は14,700,000円です。違うのは地区区分だけです。

普通商業・併用住宅地区の行(補正率0.97・1平方メートルあたり291,000円・評価額203,700,000円)は、国税庁の「路線価図の説明」に載っている計算例と同じ数字です。

地区で率が違うのは、地区ごとに「標準的な土地」の姿が違うからです。下がる理由は地区で逆になります。付表1(平成30年分以降用)で、ビル街地区は1.00の帯が44m以上92m未満で奥行35mは帯より浅く0.97、普通住宅地区は帯が10m以上24m未満で帯より深く0.93です。

奥行きが一様でない宅地の奥行距離は「地積÷間口距離」、上限は想定整形地

長方形の土地なら奥行距離は測るだけですが、実際の土地は台形や旗竿地で、どこを測るかが決まりません。国税庁の質疑応答事例「不整形地の奥行距離の求め方」が、この点を明示しています。

奥行距離が一様でないものは平均的な奥行距離によります。具体的には、不整形地にかかる想定整形地の奥行距離を限度として、その不整形地の面積をその間口距離で除して得た数値とします。

不整形地の奥行距離は、式にすると地積 ÷ 間口距離で、上限が想定整形地の奥行距離です。想定整形地とは、財産評価基本通達20(2)の(注)が定義しています。

ただし、計算上の奥行距離は、不整形地の全域を囲む、正面路線に面するく形又は正方形の土地(以下「想定整形地」という。)の奥行距離を限度とする。

割り算の答えがそのまま使えるとは限らないことは、質疑応答事例の実数を並べると分かります。

屈折路(曲がった道)に面する不整形地の想定整形地は、いずれかの路線からの垂線か、路線に接する両端を結ぶ直線で宅地の全域を囲むく形又は正方形のうち、最も面積の小さいものです。質疑応答事例「屈折路に面する不整形地の想定整形地のとり方」の答えです。

整形地(長方形) 不整形地(台形) 路線(道路) 路線(道路) 実測でよい 間口距離 奥行距離 評価する土地 間口距離 想 定 整 形 地 左:長方形なら奥行距離は実測。右:破線が想定整形地=全域を囲む最小のく形。 計算上の奥行距離 = 地積 ÷ 間口距離(評基通20(2)の注)。 ただし想定整形地の奥行距離が上限。地積は課税時期の実際の面積。 この段で決めた奥行距離で付表1を引く。
奥行価格補正率は、地区区分と奥行距離を決めてから引きます。奥行距離は、長方形なら実測、奥行きが一様でなければ地積を間口距離で割り、想定整形地の奥行距離で頭打ちにします。想定整形地は不整形地補正率のかげ地割合の計算にも同じものを使うので、ここで1回描いておくと後の欄がそのまま埋まります。

宅地が2つ以上の地区にまたがる場合は、原則として面積によりいずれか一の地区を判定してその地区の画地調整率を使い、各地区の率を用いた合理的な方法で評価できるときはその方法でも差し支えありません(質疑応答事例)。同じ事例の(注)でも、奥行距離が一定でない宅地の奥行距離は地積を間口距離で除して求め、想定整形地の奥行距離を限度とすることが繰り返されています。

奥行長大補正率・間口狭小補正率との違い

名前の似た補正が3つあり、見ている長さが違います。

補正率何で決まるか引く表
奥行価格補正率地区区分と、奥行距離付表1
間口狭小補正率地区区分と、間口距離付表6
奥行長大補正率地区区分と、奥行距離を間口距離で割った値付表7

奥行長大補正率表(付表7)は、奥行距離を間口距離で割った値が2以上の区分から始まります。

不整形地と無道路地を除き、間口が狭小な宅地には付表6、奥行が長大な宅地には付表7の補正率表を使います。計算の定めと例外は財産評価基本通達20-4にあります。

側方路線影響加算・二方路線影響加算との順序は明細書のA〜Mが決めている

角地や、表と裏の両方が道路に接している土地では、奥行価格補正のあとに側方路線影響加算・二方路線影響加算が入り、評価額は上がる方向に動きます。順序は財産評価基本通達13も「15から20-7までの定めにより」と並び順で示していますが、いちばん確実なのは「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」第1表の欄の並びを見ることです。

次の表は、評価明細書(平成31年1月分から令和5年分用)第1表の欄A〜Mの並びと、根拠の通達です。金額はM欄を除き1平方メートルあたりで、各欄の計算式・適用要件・上限・端数処理は様式と各通達によります。

欄項目根拠
A一路線に面する宅地評基通15
B二路線に面する宅地評基通16・17
C三路線に面する宅地評基通18
D四路線に面する宅地評基通18
E間口が狭小な宅地等評基通20-4
F不整形地評基通20
G地積規模の大きな宅地評基通20-2
H無道路地評基通20-3
I・Jがけ地等・土砂災害特別警戒区域評基通20-5・20-6
K容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地評基通20-7
L私道評基通24
M自用地の評価額評基通15ほか

この並びから読み取れることが3つあります。

主な例外は次のとおりです(タックスアンサーNo.4604)。

① 路線価図で地区区分を読む 7区分のどれか。路線価は千円単位の表示 ② 奥行距離を決める 求め方は上の「奥行距離」の節のとおり ③ 付表1で奥行価格補正率を引く → A欄 正面路線価 × 奥行価格補正率 = 1平方メートルあたりの価額 ④ B〜D欄 側方・二方路線影響加算 側方・裏面路線の加算額を足す(評基通16〜18) ⑤ E〜L欄の補正 → M欄で地積を掛ける 1平方メートルあたりの価額 × 地積 = 自用地の評価額 一方だけが路線に 接するならここで ⑤へ進む 側方路線にも奥行 価格補正が要る
奥行価格補正は路線価方式の一番手前にある調整で、正面路線と側方・裏面路線の両方に掛かります。④の加算額には、宅地の一部だけが路線に接する場合などの調整があります(上の注)。⑤では、E欄とF欄は重複して使えず、がけ地等と土砂災害特別警戒区域の両方に当たる宅地はI欄ではなくJ欄で計算します(様式の注1・3)。順序は「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」第1表の欄A〜Mの並びと同じです。

計算例3つ — 一路線・角地・不整形地

実際の数字で、3つの設例を計算します。いずれも令和8年分の評価として計算します。

例1 一方だけが路線に接する長方形の宅地

設例は普通住宅地区、路線価180,000円(路線価図の表記は「180D」)、間口14m・奥行25mの長方形で地積350平方メートルの、一方だけが路線に接する自用地(貸していない自分の土地)です。率は国税庁の調整率表(平成31年1月分以降用)の値です。

手順計算結果
奥行価格補正率(付表1)奥行25mは「24m以上28m未満」の行0.97
A欄(1平方メートルあたり)180,000円 × 0.97174,600円
E欄(間口狭小・奥行長大)間口14mの間口狭小補正率は1.00、25m ÷ 14m = 約1.79で2未満使わない
M欄(自用地の評価額)174,600円 × 350平方メートル61,110,000円

例2 角地(二路線に面する宅地)

まず正面路線を決めます。財産評価基本通達16(1)は正面路線を「原則として、前項の定めにより計算した1平方メートル当たりの価額の高い方の路線」としています。次の設例では、路線価そのものではなく奥行価格補正率を掛けたあとの金額で2つの路線を比べます。地区が違う場合や金額が同じ場合の決め方は、タックスアンサーNo.4604の注1にあります。

設例は普通住宅地区の角地にある自用地です。a路線に間口16mで接し、そこからの奥行きが30mの長方形で、地積は480平方メートル。a路線の路線価は250,000円、長辺側に接するb路線の路線価は180,000円で、b路線から見た奥行距離は16mです。角地としての効用があるものとし、率は国税庁の調整率表(平成31年1月分以降用)の値です。

手順計算結果
a路線の補正後の単価250,000円 × 0.95(奥行30mの奥行価格補正率)237,500円
b路線の補正後の単価180,000円 × 1.00(奥行16mの奥行価格補正率)180,000円
正面路線の判定237,500円のほうが高いa路線が正面、b路線が側方
側方路線影響加算率(付表2)普通住宅地区の角地0.03
B欄(1平方メートルあたり)237,500円 + 180,000円 × 1.00 × 0.03242,900円
E欄(間口狭小・奥行長大)間口16mの間口狭小補正率は1.00、30m ÷ 16m = 約1.88で2未満使わない
M欄(自用地の評価額)242,900円 × 480平方メートル116,592,000円

この例では側方路線の奥行価格補正率が1.00なので、掛け忘れても答えが変わらず、誤りに気づけません。率が1.00でも式に入れておきます。

地区の異なる2つの路線に接している場合は、質疑応答事例のとおり正面路線の地区区分の奥行価格補正率と加算率を、側方路線影響加算額の計算にも使います。

例3 不整形地

設例は普通住宅地区、路線価200,000円、地積352平方メートル、間口10mの、一方だけが路線に接する自用地です。全域を囲む想定整形地は間口16m・奥行25mで400平方メートル、はみ出したかげ地は間口側の6m × 8m = 48平方メートルとします。率は国税庁の調整率表(平成31年1月分以降用)の値です。

手順計算結果
奥行距離352 ÷ 10 = 35.2m。想定整形地の奥行距離25mが上限25m
奥行価格補正率(付表1)奥行25mは「24m以上28m未満」の行0.97
A欄(1平方メートルあたり)200,000円 × 0.97194,000円
かげ地割合(400 − 352)÷ 40012%
地積区分(付表4)352平方メートルは500平方メートル未満A
不整形地補正率表の補正率(付表5)地積区分A・かげ地割合10%以上15%未満0.98
間口狭小補正率(付表6)間口10m1.00
奥行長大補正率(付表7)25 ÷ 10 = 2.5で「2以上3未満」0.98
不整形地補正率0.98 × 1.00 = 0.98 と 0.98 × 1.00 = 0.98 の低い方0.98
F欄(1平方メートルあたり)194,000円 × 0.98190,120円
M欄(自用地の評価額)190,120円 × 352平方メートル66,922,240円
参考: 上限を忘れて奥行35.2mで引いた場合奥行価格補正率0.93、奥行長大補正率0.96(35.2 ÷ 10 = 3.52)。不整形地補正率は 0.98 × 1.00 = 0.98 と 0.96 × 1.00 = 0.96 の低い方不整形地補正率0.96
参考: その場合の評価額200,000円 × 0.93 × 0.96 × 352平方メートル62,853,120円
参考: 正しい評価額との差66,922,240円 − 62,853,120円4,069,120円の過少

この352平方メートルの設例では、奥行距離の上限を忘れるとA欄とF欄の両方が変わり、評価額が過少になります。

相続した宅地が居住用や事業用に使われていた場合は、限度面積までの部分について、評価額の一定割合を減額する相続税の特例があります。減額の限度面積と割合は別のツールで確かめてください。

小規模宅地等の特例で評価額がいくら下がるか計算する

根拠の条文と通達

ここからは根拠の条文です。出発点は相続税法22条です。

この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

相続・遺贈・贈与により取得した財産は、取得時の時価で評価するのが原則です。この章の特別の定めが優先します。土地の測り方は、この条文には書かれていません。

時価の求め方は財産評価基本通達にあります。同通達1(2)は、時価を、課税時期にそれぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間の自由な取引で通常成立すると認められる価額としています。

宅地の評価方式は同通達11が2つに分けています。原則として、市街地的形態を形成する地域にある宅地は路線価方式、それ以外の宅地は倍率方式です。路線価方式は同通達13が、路線価を基とし、15(奥行価格補正)から20-7までの定めにより計算した金額で評価する方式と定めています。奥行価格補正は、その最初に置かれた調整です。

通達15は次のとおりです。

一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

路線価の定義にも奥行価格補正率が出てきます。同通達14の(注)です。

(4)の「標準的な間口距離及び奥行距離」には、それぞれ付表1「奥行価格補正率表」に定める補正率(以下「奥行価格補正率」という。)及び付表6「間口狭小補正率表」に定める補正率(以下「間口狭小補正率」という。)がいずれも1.00であり、かつ、付表7「奥行長大補正率表」に定める補正率(以下「奥行長大補正率」という。)の適用を要しないものが該当する。

路線価は、奥行価格補正率と間口狭小補正率が1.00で、奥行長大補正率の適用を要しない宅地を標準として付けられています。実際の宅地の奥行きが標準と違うときに、その差を調整するのが奥行価格補正です。

土地の評価額が出たら、遺産総額と相続人から相続税の総額を計算機で確かめられます。

相続税の総額を計算する(遺産総額と相続人から自動計算)

間違えやすい4点

1. 路線価図・評価倍率表は、原則として課税時期の属する年分のものを使う(例外と未公開の年分は上の節の注)。令和8年分の評価なら、奥行価格補正率表は平成30年分以降用の表を引きます(上の「令和8年分の評価で使う表はどれか」の節)。

2. 路線価は千円単位の表示。路線価図の「300C」は1平方メートルあたり300,000円で、300円でも300万円でもありません。千円単位を取り違えると、評価額が1,000倍または1,000分の1になります。

3. 地積は課税時期における実際の面積。財産評価基本通達8は、地積は課税時期における実際の面積によると定めています。登記簿の地積と実際の面積が違う土地は、課税時期における実際の面積で計算します。地積はM欄で掛ける数なので、ここが違うと補正率をどれだけ正確に引いても評価額はずれます。

4. 土地の評価額は丸めずに合計する。 1平方メートルあたりの価額も評価額も、円単位でそのまま持ちます。切り捨てが効くのは、相続税の申告書で課税価格と税額を出す段です。土地の評価額を1,000円単位に丸めてから合計するのは順序が違い、合計してから丸めます。

国税(印紙税及び附帯税を除く。以下この条において同じ。)の課税標準(その税率の適用上課税標準から控除する金額があるときは、これを控除した金額。以下この条において同じ。)を計算する場合において、その額に千円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

これが国税通則法118条1項です。確定金額の100円未満は、同119条1項が切り捨てます。

この記事の要点

  • 令和8年分の評価で引く奥行価格補正率表は、財産評価基本通達の付表1(平成30年分以降用)。
  • 奥行価格補正率は、路線価図の地区区分(7つ)と奥行距離(29区分)の交差する1マスで決まる。
  • 1.00になる帯は地区区分ごとに違う。具体的な範囲は上の早見表で確認できます。
  • 奥行距離は長方形なら実測、奥行きが一様でなければ「地積 ÷ 間口距離」で、想定整形地の奥行距離が上限。
  • 側方路線・裏面路線の加算額の計算にも奥行価格補正率が要る。

よくある質問

奥行価格補正率はどこで調べますか?

国税庁の法令解釈通達「財産評価」の付表1「奥行価格補正率表」で調べます。同じ表が、国税庁の「評価明細書・調整率表」のページにある調整率表のPDFの1つ目の表にも載っています。表を引く前に、路線価図でその路線の地区区分を確かめてください。

補正率表の空欄は何を意味しますか?

上の行と同じ率が続くという意味です。国税庁の調整率表のPDFでは、普通商業・併用住宅地区は12m以上14m未満の欄に1.00と書かれ、28m以上32m未満の欄まで空欄が続きます。国税庁の「路線価図の説明」の計算例も、この地区の奥行20mに1.00を使っています。

奥行距離はどこからどこまでを測りますか?

正面路線から見た宅地の奥行きです。長方形なら実測した奥行きをそのまま使い、奥行きが一様でない土地は国税庁の質疑応答事例のとおり地積を間口距離で割った平均的な奥行距離を使います。ただし想定整形地の奥行距離が上限で、それを超えたときは想定整形地の奥行距離を採ります。

角地の側方路線にも奥行価格補正率を掛けますか?

掛けます。財産評価基本通達16は、側方路線の路線価を正面路線の路線価とみなして計算した価額に側方路線影響加算率を乗じると定めており、その計算にも奥行価格補正が入ります。側方路線から見た奥行距離で表を引き、地区区分は正面路線の地区区分をそのまま使います。

補正率が1.00なら計算を省いてよいですか?

評価額は変わりませんが、率は1.00として式に入れ、土地及び土地の上に存する権利の評価明細書の奥行価格補正率の欄にも1.00と記入します。書かずに省くと、地区区分を取り違えたのか1.00なのかが後から区別できません。国税庁の「路線価図の説明」の二路線の計算例も、側方路線の奥行価格補正率を1.00と書いて計算しています。1.00になる奥行距離の帯は地区区分ごとに違うので、地区区分の確認は省けません。

令和8年分の奥行価格補正率表はどれを使いますか?

財産評価基本通達の付表1(平成30年分以降用)を使います。令和8年分の評価でも率はこの表のとおりです。

路線価が定められていない地域の土地はどう評価しますか?

倍率方式で評価します。財産評価基本通達11は宅地の評価を、市街地的形態を形成する地域は路線価方式、それ以外は倍率方式と分けています。倍率方式は固定資産税評価額に評価倍率表の倍率を乗じて計算し、この計算に奥行価格補正率は出てきません。土地の形状は固定資産税評価額の側で織り込まれているためです。倍率地域でも、地積規模の大きな宅地には例外があります(同通達21-2のただし書)。

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出典

相続税法(e-Gov法令検索)、国税庁の財産評価基本通達・調整率表・質疑応答事例で確認して作成。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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