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支払通知書(仕入明細書)とは — 買い手が作った書類でも仕入税額控除できる。条件は相手方の確認

結論から言うと、買い手が自分で作った書類でも、仕入税額控除の「請求書等」になります。売り手からインボイス(適格請求書)を交付してもらう以外に、もう1本の正規のルートが条文に用意されていて、それが支払通知書や仕入明細書です。

ここは実務でいちばん誤解されているところです。「インボイス制度になったから、取引先から請求書をもらわないと控除できない」と説明されることがありますが、条文はそう書いていません。消費税法30条9項は請求書等を5つ挙げており、3号が買い手側の作る書類です。支払通知書を出して支払額を確定させる商流(建設業の出来高払い、原稿料や業務委託の月次精算、EC事業者の売上金精算など)では、こちらのほうが実態に合っています。

ただし、条件は2つあります。消費税法施行令49条4項の6つの記載事項をすべて備えていることと、その内容について課税仕入れの相手方の確認を受けていることです。この記事では、その2つを条文と通達で確かめたうえで、相手方の登録番号は必須なのに自分の登録番号は要らないこと、確認は「連絡がなければ承認」という運用でもよいこと、建設業の出来高検収書だけが特別扱いされていること、そして電子で送ると電子帳簿保存法の話になることまでを見ていきます。

結論 — 請求書等は5種類あり、3番目が買い手の作る書類

仕入税額控除を受けるには、帳簿と請求書等の保存が要ります(消費税法30条7項)。その請求書等の中身を定めているのが同条9項で、1号から5号までの5種類が並んでいます。

誰が作る書類か中身
1号売り手適格請求書・適格簡易請求書
2号売り手1号に代えて提供される電磁的記録(電子インボイス)
3号買い手仕入明細書・仕入計算書その他これらに類する書類
4号媒介者卸売市場のせり売などで、媒介・取次ぎを行う者から交付を受ける書類
5号税関長輸入の許可があったことを証する書類など

3号の条文はこう書かれています。

事業者がその行つた課税仕入れ(他の事業者が行う課税資産の譲渡等に該当するものに限るものとし、当該課税資産の譲渡等のうち、第五十七条の四第一項ただし書又は第五十七条の六第一項本文の規定の適用を受けるものを除く。)につき作成する仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類で課税仕入れの相手方の氏名又は名称その他の政令で定める事項が記載されているもの(当該書類に記載されている事項につき、当該課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限る。)

読み解くと、要件は次の4つです。

請求書等を用意する2つのルート(消費税法30条9項) ルート① 1号・2号(売り手が作る) 売り手 (適格請求書発行事業者) 適格請求書を交付 買い手 受け取って保存 ルート② 3号(買い手が作る=支払通知書・仕入明細書) 買い手 6項目を書いて作成 送って確認を求める 売り手 内容を確認 確認の事実 買い手が保存 これで仕入税額控除できる ★ルート②で書くのは「相手方(売り手)の登録番号」。自分の登録番号は条文に無い。 ★確認を受けていない書類は、6項目がそろっていても請求書等にならない。 ★売り手が適格請求書発行事業者でなければ、そもそも控除の対象外(経過措置は別)。
売り手からインボイスをもらう以外に、買い手が作って確認をもらうルートが条文に用意されている。

呼び名は自由 — 支払通知書でも仕入明細書でも出来高検収書でもよい

条文は「仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類」と書いています。つまり書類の名前で決まるわけではありません。実務で使われている次の名前は、記載事項と確認の要件を満たしていればすべて3号の書類になります。

実務での呼び名よく使われる場面
支払通知書業務委託・原稿料・販売手数料の月次精算
仕入明細書小売・卸売の仕入計上、委託販売の精算
仕入計算書農産物・水産物などの買取
出来高検収書建設工事の出来高払い(下記のとおり通達に固有の扱いがある)
支払明細書同上。ただし給与の支払明細書とは別の書類

逆に言えば、「支払通知書」という名前を付けたからといって自動的に請求書等になるわけでもありません。判定するのは中身です。

6つの記載事項 — 相手の登録番号は要る、自分の登録番号は要らない

3号の「政令で定める事項」は、消費税法施行令49条4項が6つ挙げています。1つでも欠ければ請求書等になりません。

記載事項実務上のポイント
1号書類の作成者の氏名又は名称自社名。登録番号は求められていない
2号課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号相手の登録番号が必須
3号課税仕入れを行った年月日1か月分をまとめる場合はその期間でよい
4号課税仕入れに係る資産又は役務の内容軽減税率の対象ならその旨も
5号税率の異なるごとに区分して合計した支払対価の額と適用税率10%分と8%分を分ける
6号消費税額等下記のとおり110分の10で計算する

1号と2号を並べたところが、この制度のいちばん面白い部分です。条文はこう書き分けています。

書類の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号(法第五十七条の二第四項の登録番号をいう。第六項第一号において同じ。)

作成者(買い手)には登録番号を求めず、相手方(売り手)には求めている。これは書き落としではありません。同じ49条の6項1号は、媒介者が交付する書類(法30条9項4号)について「書類の作成者の氏名又は名称及び登録番号」と書いており、必要なところにはきちんと入っているからです。

なぜ買い手の登録番号が要らないのか

仕入明細書が証明しようとしているのは「売り手が適格請求書発行事業者である」という一点だからです。適格請求書は交付する側が自分の登録番号を名乗る書類ですが、仕入明細書は買い手が売り手の登録番号を書き写す書類で、証明したい相手が逆になっています。したがって、買い手は取引先の登録番号を自分で調べて管理しておかなければ、この書類を作れません

登録番号が誤っていれば2号の記載を欠くことになり、その書類は請求書等になりません。取引先が登録を取りやめている場合もあるので、年に一度は登録の有無を洗い直しておくのが安全です。

取引先の登録番号をまとめて検証する

消費税額等は110分の10。端数の処理方法は条文が決めていない

6号の消費税額等は、次のように定められています。

消費税額等(課税仕入れに係る支払対価の額に百十分の十(当該課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、百八分の八)を乗じて算出した金額をいい、当該金額に一円未満の端数が生じたときは、当該端数を処理した後の金額とする。)

ここで押さえるべきことが2つあります。

1つ目は、掛けるのは税込みの支払対価の額だということです。適格請求書側(消費税法施行令70条の10)は税抜価額に100分の10を乗じる方法と税込価額に110分の10を乗じる方法のどちらかを選べますが、仕入明細書の6号は110分の10(軽減は108分の8)に一本化されています

2つ目は、端数の処理方法が書かれていないことです。条文は「当該端数を処理した後の金額とする」としか言っておらず、切上げ・切捨て・四捨五入のどれにせよとは定めていません。どれを選ぶかは事業者が決めてよいということです。ただし、税率の異なるごとに区分した合計額に対して1回だけ処理する点は、適格請求書と同じ考え方になります。1明細行ごとに端数処理を繰り返すと、5号の「税率の異なるごとに区分して合計した」金額と合わなくなります。

「相手方の確認」の3つの型 — 連絡がなければ承認、でもよい

6項目をそろえても、相手方の確認を受けていなければ請求書等になりません。では「確認を受けた」とは何をすればよいのか。消費税法基本通達11-6-6が、確認の事実が明らかにされたもののほかの例として3つを挙げています。

やり方
①端末での確認記載内容を通信回線等で相手方の端末機に出力し、確認の通信を受けたうえで自分の端末機から出力する
②電子での通知電磁的記録をインターネットや電子メールで提供し、確認した旨の通知等を受ける
③期間経過による確認写しを交付(または電磁的記録を提供)し、一定期間内に誤りの連絡がなければ確認があったものとする基本契約等を結んでおく

実務でいちばん多いのは③です。支払通知書の末尾に「本書の内容にご相違がある場合は◯日以内にご連絡ください」と刷り込む運用の根拠がここにあります。通達の原文はこうです。

仕入明細書等の写しを相手方に交付し、又は当該仕入明細書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を相手方に提供し、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおりに確認があったものとする基本契約等を締結した場合における当該一定期間を経たもの
注意 — 通達は「基本契約等を締結した場合」と言っている

③が成り立つのは基本契約等を締結した場合とされています。支払通知書の紙面に一文を刷り込んだだけで契約になっているかは、取引の実態によります。継続的な取引であれば取引基本契約書や業務委託契約書に確認の条項を1つ足しておくほうが確実です。また③は一定期間を経たものが確認済みになるので、期間が経過する前に控除の根拠として扱うことはできません。決算期末をまたぐ支払通知書は、この期間の設計に注意が要ります。

この方法が使えない取引が2つある

3号の括弧書きは、次の2つに当たる課税資産の譲渡等を除いています。仕入明細書を作っても請求書等になりません。

① 適格請求書の交付義務が免除される取引(57条の4第1項ただし書)

売り手側にそもそもインボイスの交付義務がない取引です。消費税法施行令70条の9第2項が具体的に定めており、大きく3つあります。

ただし、これらで控除できなくなるわけではありません。別の受け皿が用意されているから3号から外してあるだけです。公共交通機関分は施行令49条1項1号イが帳簿の保存だけで控除を認めていますし、卸売市場分は法30条9項4号(媒介者から交付を受ける書類)が受けています。

② 任意組合等の組合員による課税資産の譲渡等(57条の6第1項本文)

民法上の組合・投資事業有限責任組合・有限責任事業組合などの組合員は、その組合の事業として行った課税資産の譲渡等について適格請求書を交付してはならないと定められています(消費税法57条の6第1項本文)。組合員の全員が適格請求書発行事業者である場合に、業務執行組合員が税務署長に届出書を出したときだけ、ただし書で交付できるようになります。

この禁止が働いている間は、買い手が仕入明細書を作っても代わりにはなりません。共同事業・JV・共同研究のような形の相手に支払うときは、届出書が出ているかを先に確かめる必要があります。なお、届出後に適格請求書発行事業者でない者を新たに組合員として加入させた場合や、組合員のいずれかが適格請求書発行事業者でなくなった場合は、その日以後ただし書が適用されなくなります(同条2項)。相手方の組合の構成が変わったときは、こちら側の控除の可否も変わります。

建設業の出来高検収書だけ特別扱い — 完成前に控除し、未登録なら取り消す

建設工事の出来高払いについては、消費税法基本通達11-6-7が固有の扱いを置いています。工事を請け負った受託業者が、下請の再受託業者の出来高を検収して出来高検収書を作り、それに基づいて請負金額を支払っている場合、その出来高検収書は法30条9項3号の書類として取り扱う、というものです(記載事項がそろい、再受託業者の確認を受けているものに限られます)。

実務上の効きめが大きいのは、その後段です。

なお、受託業者は、当該出来高検収書を作成し再受託業者に記載事項の確認を受けることにより、当該出来高検収書に記載された課税仕入れを行ったこととなり、法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用できるものとして取り扱う。

つまり工事が完成していなくても、出来高検収の段階で課税仕入れを行ったものとして控除できます。しかも通達の注は、この取扱いが再受託業者の資産の譲渡等の計上時期により影響されるものではないと明記しています。下請側がいつ売上に立てているかとは切り離されている、ということです。

その代わり、ただし書で巻き戻しが用意されています。

ただし、建設工事完了日において再受託業者が適格請求書発行事業者でなかった場合には、建設工事完了日の属する課税期間における課税仕入れに係る消費税額から当該出来高検収書により仕入税額控除の対象とした消費税額を控除するものとする。
ここが落とし穴

判定日は出来高検収の日ではなく、建設工事完了日です。着工時に登録があった下請が、工期の途中で登録を取りやめると、それまでに控除した分をまとめて取り消すことになります。工期が課税期間をまたぐ長期工事ほど金額が大きくなるので、完了日時点の登録の有無を確認する手順を工事管理側に組み込んでおく必要があります。なおこの11-6-7は平成10年課消2-9で追加され、令和5年課消2-9と令和8年課消2-11で改正されています。古い解説を写している記事は改正前の文言で止まっていることがあるので、条番号だけでなく改正表示まで確かめてください。

関連して、通達11-6-8は支払対価の額が確定していない場合の扱いを定めています。継続して行われる取引については、後日交付される適格請求書の保存を条件に、課税期間末日の現況で適正に見積もった金額により控除することを認め、確定額との差額はその確定した日の属する課税期間で加算・控除する、という考え方です。その注が、施行令49条4項5号の金額を見積額による場合も同様だとしているので、仕入明細書側でも見積りが使えます

適格請求書とどこが違うか

項目適格請求書(法57条の4)仕入明細書等(法30条9項3号)
作る人売り手買い手
交付の義務求められたら交付義務あり義務なし(控除したい買い手が任意で作る)
記載する登録番号自分(交付者)のもの相手方(売り手)のもの
相手方の確認不要必要
消費税額等の計算税抜×100分の10 か 税込×110分の10税込×110分の10 のみ
記載事項の数6項目(1項各号)6項目(令49条4項各号)
誤りがあったとき交付者に修正交付義務あり(4項)確認を取り直す

もう1つ、実務で意識しておきたい非対称があります。売り手側には、交付した適格請求書の写しを保存する義務があります(法57条の4第6項)。一方、仕入明細書は買い手が作って買い手が保存する書類なので、売り手側にこの保存義務は生じません。支払通知書だけで回している取引では、売り手の手元に何も残らないことがあるということです。売り手の立場からは、受け取った支払通知書を自分の売上の証拠として保管しておくほうが安全です。

電子で送ると電子取引になる — ただし7条の名宛人に消費税は無い

支払通知書をメールやEDI、取引先ポータルで送っている会社は多いはずです。この場合、電子帳簿保存法の話が別に立ち上がります。同法2条5号の定義はこうです。

電子取引取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。

注目すべきは「受領し、又は交付する」という書き方です。電子取引は受け取る側だけの話ではありません。自分が作って電子で送る支払通知書も、交付にあたるので電子取引です。「うちは請求書を受け取っていないから電子帳簿保存法は関係ない」という理解は、支払通知書方式の会社では成り立ちません。

一方で、保存を義務づける7条の名宛人は限定されています。

所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

条文が挙げているのは所得税と法人税で、消費税は入っていません。消費税側の保存義務は消費税法30条7項と同法施行令50条1項が別に定めており、その保存期間は課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間(ただし書により、財務省令で定める場合に該当するものは5年間を超えて保存することを要しない)です。2本の法律が別々にかかっているという構造を押さえておくと、社内規程を書くときに迷いません。

給与の「支払明細書」とは別の書類

「支払明細書」という言葉は、まったく別の制度でも使われます。所得税法231条1項です。

居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。

こちらは給与・退職手当・公的年金の支払明細書で、交付が義務です(電磁的方法による提供は、受け取る側の承諾を得れば可能。ただし請求があれば書面を交付しなければなりません=同条2項)。仕入税額控除の仕入明細書とは、根拠法も目的も義務の有無も違います。

実務では、同じ相手への支払いが給与か外注費かで扱いが正反対になります。給与なら231条の支払明細書を交付する義務があり、そもそも給与は課税仕入れではないので仕入税額控除の対象になりません。外注費なら支払通知書は任意ですが、作れば仕入税額控除の請求書等になります。区分の考え方は外注費と給与の区分を参照してください。

落とし穴 — 実務で間違えやすい5点

1. 確認をもらう前の書類は、まだ請求書等ではない

作成した時点ではなく確認を受けた時点で要件がそろいます。期間経過方式(③)を使っているなら、決算期末の直前に出した支払通知書は期間が経過していない可能性があります。期末をまたぐ支払通知書は、確認期間の設計を先に決めておいてください。

2. 売り手が適格請求書発行事業者でなければ、そもそも対象外

3号は相手方の登録番号を書けと言っています。免税事業者など登録のない相手からの仕入れは、この方法では控除できません。免税事業者からの仕入れには別に経過措置があります(インボイス制度とはを参照)。支払通知書を出しているから控除できる、とは考えないでください。

3. 帳簿の保存は別途必要

仕入明細書は「請求書等」の側の話です。法30条7項は帳簿及び請求書等の保存を求めており、帳簿には同条8項1号の4項目(相手方の氏名又は名称・年月日・資産または役務の内容・支払対価の額)が要ります。片方だけでは控除できません。

4. 相手が個人事業者なら、屋号だけでは足りないことがある

2号は「課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号」です。登録番号から国税庁の公表サイトで引ける情報と、支払通知書に書いた名義がずれていると、後から突き合わせができません。屋号で取引している相手ほど、登録上の氏名または名称と番号をセットで管理しておくと安全です。

5. 税率の異なるごとの区分を忘れやすい

5号は税率の異なるごとに区分して合計した支払対価の額と適用税率を求めています。飲食料品の仕入れが混じる支払通知書では8%分と10%分を分けなければならず、分けていなければ記載事項を欠きます。端数処理の詳しい考え方は消費税の端数処理にまとめています。

よくある質問

Q. 支払通知書と仕入明細書は違うものですか?

A. 消費税法上は同じ扱いです。消費税法30条9項3号は「仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類」と書いており、書類の名前で区別していません。支払通知書も出来高検収書も、消費税法施行令49条4項の6つの記載事項を備えて相手方の確認を受けていれば、同じ3号の書類として仕入税額控除の請求書等になります。逆に、名前が仕入明細書でも記載事項が欠けていたり確認を受けていなければ請求書等にはなりません。判定するのは名前ではなく中身です。

Q. 買い手が作った書類で、本当に仕入税額控除ができるのですか?

A. できます。消費税法30条9項が請求書等として5種類を挙げており、その3号が事業者がその行った課税仕入れにつき作成する書類だからです。売り手から適格請求書を交付してもらう1号・2号のルートと並ぶ、条文上の正規のルートです。ただし条件が2つあり、消費税法施行令49条4項の6項目が記載されていることと、その記載事項について課税仕入れの相手方の確認を受けていることが必要です。どちらかが欠けると請求書等になりません。

Q. 自社の登録番号も書かないといけませんか?

A. 条文上は求められていません。消費税法施行令49条4項1号は「書類の作成者の氏名又は名称」とだけ書いており、登録番号を要求しているのは2号の課税仕入れの相手方についてだけです。同じ条の6項1号が媒介者の交付する書類について「書類の作成者の氏名又は名称及び登録番号」と書いていることからも、書き分けは意図的だと読めます。実務上、自社の登録番号を併記すること自体は差し支えありませんが、記載しなかったことを理由に要件を欠くことにはなりません。

Q. 「◯日以内にご連絡がなければ確認いただいたものとみなします」という一文だけで足りますか?

A. 消費税法基本通達11-6-6は、この方式が使えるのを「一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおりに確認があったものとする基本契約等を締結した場合」としています。書類に一文を刷り込んだだけで基本契約等の締結にあたるかは取引の実態によるため、継続的な取引では取引基本契約書や業務委託契約書に確認に関する条項を設けておくほうが確実です。また確認が成立するのは一定期間を経たときなので、期間が経過する前の書類を控除の根拠として扱うことはできません。

Q. 建設業の出来高検収書は、工事が完成する前でも控除できますか?

A. 消費税法基本通達11-6-7は、受託業者が出来高検収書を作成して再受託業者の確認を受けることにより、その出来高検収書に記載された課税仕入れを行ったこととなり消費税法30条1項が適用できるものとして取り扱う、としています。同通達の注は、この取扱いが再受託業者の資産の譲渡等の計上時期により影響されないことも明記しています。ただし同通達のただし書により、建設工事完了日において再受託業者が適格請求書発行事業者でなかった場合には、完了日の属する課税期間で、出来高検収書により控除した消費税額を控除することになります。判定日が検収日ではなく工事完了日である点に注意してください。

Q. 支払金額がまだ確定していないときはどうしますか?

A. 消費税法基本通達11-6-8が、適格請求書発行事業者との間で継続して行われる取引について、後日交付される適格請求書の保存を条件に、課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日の現況により適正に見積もった金額で仕入税額控除を行うことを認めています。確定した対価の額が見積額と異なって差額が生じたときは、その確定した日の属する課税期間の課税仕入れに係る消費税額に加算するか、そこから控除します。同通達の注により、消費税法施行令49条4項5号の支払対価の額を見積額による場合も同様に取り扱われます。

Q. 支払通知書をメールで送っています。紙に出して保存すればよいですか?

A. 電子で交付した時点で電子帳簿保存法2条5号の電子取引にあたります。同号は取引情報の「受領し、又は交付する」授受を電磁的方式で行う取引と定義しており、送る側も含まれるためです。同法7条は所得税(源泉徴収に係る所得税を除く)および法人税に係る保存義務者に電磁的記録の保存を義務づけているので、法人税の申告をする会社であれば紙に出力しただけでは足りません。なお消費税側の保存義務は消費税法30条7項と同法施行令50条1項が別に定めているため、2本の法律が別々にかかる形になります。具体的な保存方法は税務署または税理士にご確認ください。

Q. 相手が共同企業体(JV)や任意組合のとき、支払通知書で控除できますか?

A. できないことがあります。消費税法30条9項3号は、同法57条の6第1項本文の適用を受ける課税資産の譲渡等を除いているためです。57条の6第1項本文は、民法上の組合や有限責任事業組合などの組合員が、その組合の事業として行った課税資産の譲渡等について適格請求書を交付することを禁じています。組合員の全員が適格請求書発行事業者であり、業務執行組合員が税務署長に届出書を提出した場合はただし書で交付できるようになりますが、その届出がない間は、買い手が仕入明細書を作っても代わりにはなりません。届出後に未登録の組合員が加入した場合や、いずれかの組合員が適格請求書発行事業者でなくなった場合も、その日以後はただし書が適用されなくなります。

出典

この記事は令和8年(2026年)8月時点でe-Gov法令検索により確認した条文と、国税庁が公表している通達の原文に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案についての相談に対する回答ではありません。筆者は税理士ではありません。書類が消費税法30条9項3号の要件を満たすかどうかは記載内容と確認の実態によって判断されるため、実際の仕入税額控除の可否については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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