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不動産取得税の仕訳と勘定科目 — 取得価額に入れるか、いつ損金になるか

結論から言うと、不動産取得税は「租税公課」で費用処理してかまいません。根拠は法人税基本通達7-3-3の2で、固定資産の取得に関連して支出するものであっても取得価額に算入しないことができる費用の筆頭に「不動産取得税」が名指しで挙げられています。土地でも建物でも、取得した期の費用にできます。

ただし、この通達は「算入しないことができる」という書き方をしています。つまり取得価額に入れる処理も否定されていません。選べる、ということは、選び間違えると損をするということです。とくに土地に算入してしまうと、土地は減価償却しないので、その不動産を売るまで一円も費用になりません。数十万円から数百万円が貸借対照表に眠り続けます。

もうひとつ実務で必ず引っかかるのが時期です。不動産取得税の納税通知書は、物件を取得した直後には届きません。都道府県が価格を調べてから賦課決定するので、取得の数か月後、場合によっては翌年になります。取得した事業年度には請求書が存在しないわけで、では取得した期の費用にできるのか、それとも通知が来た期なのか。この記事では、勘定科目・金額・時期・消費税の4点を、条文と通達の本文で確かめていきます。税額そのものの計算は不動産取得税 計算機が担当します。

租税公課にするか取得価額に入れるかは選べる

法人税法施行令54条1項1号は、購入した減価償却資産の取得価額を「当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税…その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)」と「当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額」の合計と定めています。不動産取得税は不動産を取得したから課される税なので、素直に読めば「購入のために要した費用」に見えます。

そこに手当てを入れているのが、次の通達です。

(固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示)
7-3-3の2 次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。…
(1) 次に掲げるような租税公課等の額
 イ 不動産取得税又は自動車取得税
 ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
 ハ 新増設に係る事業所税
 ニ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用

出典: 国税庁 法人税基本通達7-3-3の2(昭50年直法2-21「19」により追加、昭55年直法2-8「二十一」、平23年課法2-17「十四」により改正)

注目したいのは見出しが「例示」であること、そして本文が「算入しないことができる」と書かれていることです。義務ではなく選択で、しかも登録免許税・不動産取得税・司法書士報酬といった「取得に関連して出ていくお金」をまとめて費用側に寄せてよい、という趣旨です。仲介手数料はここに挙がっていません。むしろ施行令54条1項1号イが取得価額に加算する費用として「購入手数料」を名指ししている側なので、こちらは取得価額に算入します。

「取得に関連して出た支出」がすべて費用にできるわけではない

7-3-3の2が挙げているのは (1) の租税公課等のほか、(2) 建設計画の変更で不要になった調査・測量・設計・基礎工事の費用、(3) 一度結んだ取得契約を解除して別の物件にしたときの違約金の3つだけです。仲介手数料・登記を除く取得のための手数料・土地の造成費用などは、原則どおり取得価額に入ります。「付随費用は全部租税公課」と覚えると外します。

選び方で何が変わるか — 土地は売るまで費用にならない

選択規定である以上、どちらが有利かを知っておく必要があります。差が出るのは「その金額がいつ費用になるか」で、取得した資産が土地か建物かで結論が大きく変わります。

処理土地を取得した場合建物を取得した場合
租税公課で費用処理
(7-3-3の2を使う)
その事業年度の損金
即時に全額
その事業年度の損金
即時に全額
取得価額に算入土地は減価償却しないので
売却または除却まで損金にならない
建物の耐用年数にわたって
減価償却を通じて少しずつ

鉄筋コンクリート造の事務所用建物なら耐用年数は50年です(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一「建物」の「鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造のもの」/「事務所用又は美術館用のもの及び左記以外のもの」=五〇年)。取得価額に入れた不動産取得税は、その50年をかけて費用になります。土地に至っては、保有し続けるかぎり永久に費用になりません。不動産取得税は土地と建物の両方に課されるので、按分せずに全部を取得価額へ入れると、土地に対応する部分が塩漬けになります。

不動産取得税を払った (土地・建物の両方に課税) 法基通7-3-3の2 「算入しないことができる」 租税公課で費用処理する 土地も建物も、その期に全額が損金 取得価額に算入する 建物は減価償却を通じて少しずつ 土地に入れた分は 売却・除却まで損金にならない
不動産取得税は取得価額に算入しないことができる(法基通7-3-3の2)。選択できるが、土地に算入した分は保有中ずっと費用にならない

いつ損金になるか — 原則は賦課決定のあった日

租税公課で処理すると決めたとして、次は「どの事業年度の損金か」です。ここは通達が税金の課税方式ごとに書き分けています。

(租税の損金算入の時期)
9-5-1 法人が納付すべき国税及び地方税(法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されないものを除く。)については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める事業年度の損金の額に算入する。

(2) 賦課課税方式による租税 賦課決定のあった日の属する事業年度とする。ただし、法人がその納付すべき税額について、その納期の開始の日(納期が分割して定められているものについては、それぞれの納期の開始の日とする。)の属する事業年度又は実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、当該事業年度とする。

出典: 国税庁 法人税基本通達9-5-1(抜粋)

不動産取得税は都道府県が税額を決めて通知してくる賦課課税方式の税なので、(2) が当てはまります。読み取れることは3つです。

  1. 原則は賦課決定のあった日の属する事業年度。納付したかどうかは関係ありません。通知が来ていれば、未払でもその期の損金です。
  2. 納期の開始の日、または実際に納付した日を選ぶこともできる。賦課決定より後に費用にしたい場合の逃げ道が用意されています。
  3. ただし後者2つは「損金経理をした場合」に限られる。ここが実務上の急所です。
「損金経理をした場合」は申告調整では代用できない

損金経理とは、法人がその確定した決算において費用または損失として経理することをいいます(法人税法2条25号)。つまり帳簿に費用として記録していることが条件で、帳簿では資産計上したまま申告書の別表で減算する、という扱いは9-5-1(2)ただし書きの要件を満たしません。納期の開始日や納付日で費用にしたいなら、その事業年度の帳簿にその金額を費用として計上しておく必要があります。

納税通知書は決算をまたいで届く

不動産取得税は、自分で税額を計算して申告する税ではありません。

(不動産取得税の徴収の方法)
第七十三条の十七 不動産取得税の徴収については、普通徴収の方法によらなければならない。
2 不動産取得税を徴収しようとする場合において納税者に交付すべき納税通知書は、遅くとも、その納期限前十日までに納税者に交付しなければならない。

出典: e-Gov法令検索「地方税法」(昭和25年法律第226号)73条の17

普通徴収とは、都道府県が税額を確定して納税通知書を送り、それを受け取った側が納める方式です。都道府県は固定資産課税台帳の価格を調べ、住宅の軽減の要件に当てはまるかを判定してから通知するので、登記が終わってすぐには来ません。取得から通知までに数か月かかるのが通例で、年度末に取得した物件なら翌事業年度に食い込みます。

ここで9-5-1(2)の原則を思い出すと、決算日までに賦課決定が無ければ、その期の損金にはならないのが原則ということになります。「取得したのは3月なのだから3月期の費用だ」と未払計上したくなりますが、賦課決定前は納付すべき税額が確定していません。逆に言えば、通知が届いた期に費用処理すれば、それが原則どおりの処理です。

取得(登記) 決算日 賦課決定・納税通知書 納期限 税額は未確定 ここが原則の損金算入時期 納付日を選ぶには 損金経理が条件 決算日までに納税通知書が届いていなければ、その事業年度の損金にはならないのが原則(法基通9-5-1(2))。 納税通知書は納期限の10日前までに交付される(地方税法73条の17第2項)。
取得日と損金算入時期はずれる。取得した期に費用にできるとはかぎらない

新築した建物は「最初の使用または譲渡」の日が取得日

建物を新築した場合、不動産取得税の課税のタイミングは完成日ではありません。

 家屋が新築された場合には、当該家屋について最初の使用又は譲渡…が行われた日において家屋の取得があつたものとみなし、当該家屋の所有者又は譲受人を取得者とみなして、これに対して不動産取得税を課する。ただし、家屋が新築された日から六月を経過して、なお、当該家屋について最初の使用又は譲渡が行われない場合には、当該家屋が新築された日から六月を経過した日において家屋の取得があつたものとみなし、当該家屋の所有者を取得者とみなして、これに対して不動産取得税を課する。

出典: e-Gov法令検索「地方税法」73条の2第2項(第1項を省略。抜粋)

自社で倉庫を新築して稼働させれば、その使用開始日が「取得」の日です。一方、完成したまま使わず売りにも出さなければ、6か月経過した日に取得があったものとみなされて課税されます。空室のまま置いても課税を先送りできるのは半年までということで、竣工と課税のずれを見込んで資金繰りを組む必要があります。

なお、増改築で家屋の価格が増加した場合も「改築をもつて家屋の取得とみなして」課税されます(同条3項)。修繕として費用処理した工事であっても、価格が上がる改築なら不動産取得税の対象になりうる点は、修繕費と資本的支出の判定とは別軸で確認が要ります。

不動産取得税がいくらになるかを計算する(令和8年度改正後の免税点・軽減に対応)

個人の場合 — 業務用なら必要経費、自宅は対象外

個人が賃貸用の不動産を買った場合はどうなるか。所得税側にも同趣旨の通達があります。

(固定資産税等の必要経費算入)
37-5 業務の用に供される資産に係る固定資産税、登録免許税(登録に要する費用を含み、その資産の取得価額に算入されるものを除く。)、不動産取得税、地価税、特別土地保有税、事業所税、自動車取得税等は、当該業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入する

出典: 国税庁 所得税基本通達37-5

条件は「業務の用に供される資産」であることです。賃貸マンションや事業用の店舗を買ったときの不動産取得税は不動産所得・事業所得の必要経費になりますが、自分が住むためのマイホームには当てはまりません。個人が自宅を買ったときの不動産取得税は、家計の支出であって経費ではありません。

時期については37-6が「その年12月31日…までに申告等により納付すべきことが具体的に確定したもの」と定めています。この「申告等」は37-4で「申告、更正若しくは決定又は賦課決定」と定義されているので、その年の12月31日までに賦課決定(納税通知書)があった分がその年の必要経費という読み方になります。法人の9-5-1(2)本文と同じ考え方です。

条文の読み方として気づいておきたいこと

37-5の「その資産の取得価額に算入されるものを除く」というかっこ書きは、登録免許税に付いていて、不動産取得税には付いていません。並び順と句読点の位置がそのまま意味を持つ書き方です。通達を引用する記事では、このかっこ書きを列挙全体にかかるものとして紹介してしまうことがあるので、原文の位置を確かめてください。

消費税は不課税(課税仕入れにならない)

不動産取得税を納付しても、消費税の課税仕入れにはなりません。消費税の課税対象は次のように定められています。

(課税の対象)
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ…には、この法律により、消費税を課する。

 資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供…をいう。

出典: e-Gov法令検索「消費税法」(昭和63年法律第108号)4条1項・2条1項8号

税金の納付は、都道府県が事業として対価を得て何かを譲渡したり役務を提供したりした対価ではありません。したがって「資産の譲渡等」に当たらず、課税の対象外(不課税)です。会計ソフトでは租税公課の税区分を「対象外」「不課税」に設定します。ここを課税仕入れにすると仕入税額控除を過大に取ることになるので、不動産の売買では建物部分の消費税と混ざりやすい点に注意してください。売買代金のうち建物は課税、土地は非課税、不動産取得税は不課税と、3つの区分が同じ取引の中に同居します。

仕訳例

評価額から計算した不動産取得税が45万円で、納税通知書を受け取った事業年度に費用処理する場合の仕訳です。金額は税区分「対象外」で入力します。

① 納税通知書を受け取ったとき(賦課決定のあった日)

借方金額貸方金額
租税公課450,000未払金450,000

② 納付したとき

借方金額貸方金額
未払金450,000普通預金450,000

通知と納付が同じ事業年度に収まるなら、①②をまとめて「租税公課 450,000 / 普通預金 450,000」の1本で処理してもかまいません。取得価額に算入する処理を選ぶ場合は、借方を「土地」「建物」にして、土地と建物それぞれに課された税額で分けます。不動産取得税は土地の取得と家屋の取得にそれぞれ課される税で、免税点も土地・家屋の建築・家屋のその他の取得で別に定められています(地方税法73条の15の2)。土地分と家屋分をどう区分して記載するかは納税通知書の様式によるので、手元の通知書を確認してください。

勘定科目は「租税公課」でよい

「公租公課」「租税公課」「諸税」など呼び方は会社によりますが、損益計算書上は販売費及び一般管理費の租税公課で処理します。法人税は法人税法38条1項、道府県民税・市町村民税は同条2項2号で損金不算入とされるため「法人税、住民税及び事業税」で別建てにしますが、不動産取得税は損金になる税なので租税公課に含めて問題ありません(9-5-1の柱書が除いているのは「損金の額に算入されないもの」です)。

よくある質問

Q. 不動産取得税の勘定科目は何ですか?

A. 租税公課です。法人税基本通達7-3-3の2が、固定資産の取得に関連して支出するものであっても取得価額に算入しないことができる費用の例として「不動産取得税又は自動車取得税」を挙げているため、取得した事業年度の費用として処理できます。ただし同通達は「算入しないことができる」という選択規定なので、取得価額(土地・建物)に算入する処理も認められます。消費税の税区分は不課税(対象外)です。

Q. 不動産取得税は取得価額に含めなければいけませんか?

A. 含めなくてかまいません。法人税基本通達7-3-3の2により、取得価額に算入しないことができます。実務上は費用処理を選ぶことが多く、その理由は土地にあります。土地は減価償却資産ではないため(法人税法施行令13条は減価償却資産を1号から9号までの列挙で定めており、そこに土地は無く、柱書も「時の経過によりその価値の減少しないもの」を除いています)、取得価額に算入した部分はその土地を売却または除却するまで損金になりません。建物に算入した場合も、耐用年数にわたって減価償却を通じて少しずつ費用化されることになります。

Q. 不動産取得税はいつの事業年度の損金になりますか?

A. 原則は賦課決定のあった日の属する事業年度です(法人税基本通達9-5-1(2))。不動産取得税は都道府県が税額を決めて通知する賦課課税方式の税なので、納税通知書を受け取った事業年度に、まだ納付していなくても未払金として損金にできます。ただし同項ただし書きにより、納期の開始の日または実際に納付した日の属する事業年度に損金経理をした場合は、その事業年度の損金とすることもできます。この場合は帳簿上で費用として経理していることが条件です。

Q. 不動産取得税の納税通知書はいつ来ますか?

A. 不動産取得税は普通徴収の方法で徴収され(地方税法73条の17第1項)、納税通知書は遅くとも納期限の10日前までに交付されます(同条2項)。都道府県が固定資産課税台帳の価格を確認し、住宅に係る軽減の要件を判定してから賦課決定するため、取得から通知までには相応の期間があります。取得した事業年度の決算日までに通知が届かないことは珍しくなく、その場合は原則として通知のあった事業年度の損金になります。具体的な送付時期は取得した不動産の所在地の都道府県税事務所にご確認ください。

Q. 個人が自宅を買った場合、不動産取得税は経費になりますか?

A. なりません。所得税基本通達37-5が必要経費算入を認めているのは「業務の用に供される資産」に係るものに限られるためです。賃貸用の不動産や事業に使う店舗・事務所を取得した場合の不動産取得税は不動産所得または事業所得の必要経費になりますが、自分が居住するための住宅は業務用資産ではないので、必要経費にはなりません。

Q. 不動産取得税に消費税はかかりますか?

A. かかりません。消費税の課税対象は国内において事業者が行った資産の譲渡等および特定仕入れであり(消費税法4条1項)、資産の譲渡等とは事業として対価を得て行われる資産の譲渡・貸付け・役務の提供をいいます(同法2条1項8号)。税金の納付はこれに当たらないため課税の対象外です。会計ソフトでは税区分を不課税または対象外として入力します。

出典

本記事の確認範囲は、法人税基本通達7-3-3の2および9-5-1の本文、所得税基本通達37-4・37-5・37-6の本文、法人税法施行令54条1項の取得価額の定義、地方税法73条の2の納税義務者およびみなす取得の規定、同法73条の17の徴収方法、消費税法4条1項および2条1項8号の課税対象の定義です。不動産取得税の税額の計算(課税標準・税率・免税点・住宅に係る控除および減額)、都道府県ごとの納税通知書の送付時期および納期限、軽減措置を受けるための申請手続、不動産取得税の非課税規定(地方税法73条の3以下)、会計基準上の取扱い、個人の減価償却資産の取得価額に関する所得税基本通達49-3、納税通知書の様式および記載事項は確認していません。耐用年数は別表第一の「建物」の区分のみを参照しており、建物附属設備(別表第一の別区分)は確認していません。仕訳例に用いた45万円は説明のための仮の数値であり、実際の税額は取得した不動産の固定資産税評価額によって決まります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。取得価額に算入するか費用処理するかの選択、損金算入時期の判断は、会社の会計方針や決算の状況によって適切な処理が異なります。個別の判断については税務署または税理士へご確認ください。

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