令和8年度改正で免税点が上がった
不動産取得税には免税点があり、課税標準となるべき額がこの線に満たなければ税金はかかりません(地方税法73条の15の2)。この線は令和8年度の改正で引き上げられ、2026年4月1日から新しい額になりました。
| 区分 | 2026年3月31日までの取得 | 2026年4月1日以後の取得 |
|---|---|---|
| 土地の取得 | 10万円 | 16万円 |
| 家屋の取得のうち建築に係るもの(新築・増改築) | 23万円 | 66万円 |
| 家屋の取得のうちその他のもの(売買・贈与など) | 12万円 | 34万円 |
e-Gov法令APIで施行日ごとの条文を取り出して逐語で比べています。2025年10月1日施行版は「土地の取得にあつては十万円、家屋の取得のうち建築に係るものにあつては一戸につき二十三万円、その他のものにあつては一戸につき十二万円」、2026年4月1日施行版は「十六万円」「六十六万円」「三十四万円」です。改正法は令和8年法律第2号(地方税法等の一部を改正する法律)。
土地の免税点は宅地なら1/2にした後の額で判定します。課税標準そのものが「価格の2分の1」と定められているためです(同法附則11条の5第1項)。評価額32万円の宅地なら課税標準は16万円ちょうどで、免税点未満にはなりません。
床面積の下限が50㎡から40㎡になった
住宅の控除(下記)を受けるには床面積の要件があります。同じ令和8年度改正で、この下限が50㎡から40㎡に下がりました(地方税法施行令37条の16第1号・37条の18第1項)。
改正前の条文は「五十平方メートル(当該住宅が貸家の用に供するものにあつては、四十平方メートル)以上二百四十平方メートル以下」と書かれていて、40㎡台で控除を受けられるのは貸家だけでした。改正後はこのかっこ書きが消え、自己居住用でも40㎡から控除の対象になります。床面積45㎡のコンパクトマンションを買った人にとっては、1,200万円の控除が付くかどうかという差になります。
税率3%は住宅と土地だけ・住宅以外の家屋は4%
不動産取得税の標準税率は4%です(地方税法73条の15)。ただし住宅または土地の取得については、令和9年3月31日までの特例で3%に下がります(同法附則11条の2)。店舗・事務所・倉庫といった住宅以外の家屋は特例の対象外で、4%のままです。ここを一律3%で計算すると、住宅以外の家屋で税額を25%少なく見積もることになります。
新築住宅の1,200万円控除
新築住宅(新築されてまだ人が住んでいない住宅の購入を含む)は、1戸につき1,200万円を価格から控除して課税標準を出します(地方税法73条の14第1項)。共同住宅は独立して区画された1部分ごとに1,200万円です。評価額1,200万円以下の新築住宅なら、課税標準は0円=税額も0円になります。
控除の要件は床面積が40㎡以上240㎡以下であることだけで、所得や自己居住用かどうかは問われません(賃貸アパートの新築でも受けられます)。この点は、自己居住用が要件になる中古住宅の控除と違います。
住宅用土地の減額は「45,000円」ではない
住宅の敷地になる土地には、税額そのものからの減額があります(地方税法73条の24)。よく「45,000円が引かれる」と書かれますが、条文が定めているのは金額ではなく計算式です。
当該税額から百五十万円(当該土地に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を当該土地の面積の平方メートルで表した数値で除して得た額に…その床面積の二倍の面積…(当該数値が二百を超える場合には、二百とする。)を乗じて得た金額が百五十万円を超えるときは、当該乗じて得た金額)に税率を乗じて得た額を減額する(地方税法73条の24第1項)
つまり減額は「150万円と、1㎡単価×床面積の2倍(200㎡上限)を比べて多いほう × 税率」です。150万円×3%=45,000円なので税率3%のときに45,000円になるだけで、税率が4%に戻れば60,000円になります。金額を覚えていると、税率が変わった年に必ず外します。
★もうひとつの急所は1㎡単価の出し方です。宅地評価土地は課税標準が価格の1/2になりますが、この読み替えは減額の計算にも及びます。附則11条の5第2項が73条の24の「価格」を「価格の二分の一に相当する額」と読み替えると明記しているためです。評価額を面積で割った素の単価を使うと、減額が2倍になって税額を過小に答えます。
中古住宅の控除額と、このツールが答えない範囲
中古住宅(既存住宅)にも控除がありますが、額は一律ではありません。条文は「当該住宅が新築された時において施行されていた地方税法73条の14第1項の規定により控除するものとされていた額」と定めています(同条3項)。つまり新築年月日ごとに控除額が違い、古い住宅ほど小さくなります。要件は、個人が自己の居住の用に供すること・床面積40〜240㎡・耐震基準に適合すること(昭和57年1月1日以後の新築なら適合とみなされます/同法施行令37条の18第3項)です。
★本ツールは、新築年月日が2017年4月1日より前の中古住宅について、家屋の税額を出しません。控除額の根拠になる当時の条文を e-Gov法令API で遡って確認できるのが2017年4月1日施行版までで、それより前は推測になるからです。「たぶんこの額だろう」で計算した数字を税額として出すより、範囲外だと申告するほうが役に立つと考えています。その場合は取得した都道府県が公表している「中古住宅の控除額表」をご覧ください(土地の計算は範囲内なので、そのまま表示します)。
よくある質問
Q. 不動産取得税はいくらかかりますか?
A. 「固定資産税評価額 × 税率」です。税率は住宅と土地が3%(地方税法附則11条の2・令和9年3月31日まで)、住宅以外の家屋が4%(同法73条の15)です。評価額は購入価格ではなく固定資産課税台帳に登録された価格で、実勢価格より低いのが通常です。宅地は課税標準が評価額の2分の1になり(同法附則11条の5)、新築住宅は1,200万円が控除されます(同法73条の14第1項)。たとえば評価額1,000万円・床面積100㎡の新築住宅なら、1,000万円-1,200万円=0円で税額は0円です。
Q. 免税点はいくらですか?
A. 2026年4月1日以後の取得は、土地16万円・家屋の建築(新築や増改築)66万円・家屋のその他の取得(売買や贈与)34万円です(地方税法73条の15の2)。課税標準となるべき額がこの額に満たなければ不動産取得税は課されません。令和8年度の改正で引き上げられた額で、2026年3月31日までの取得は土地10万円・建築23万円・その他12万円でした。土地は宅地の2分の1特例を適用した後の額で判定します。
Q. 中古マンションを買いました。控除は受けられますか?
A. 個人が自分で住むために取得し、床面積が40㎡以上240㎡以下で、耐震基準に適合していれば受けられます(地方税法73条の14第3項)。昭和57年1月1日以後に新築された住宅は耐震基準に適合しているものとして扱われます(同法施行令37条の18第3項1号)。控除額はその住宅が新築された時に施行されていた額で、新築年月日によって変わります。賃貸に出す目的で買った場合や法人が取得した場合は、この控除は受けられません。
Q. 45,000円が引かれると聞きましたが、本当ですか?
A. 税率が3%のときに限って45,000円になります。条文が定めているのは金額ではなく「150万円と、土地1㎡当たりの価格×住宅の床面積の2倍(200㎡が上限)を比べて多いほうの金額に、税率を乗じて得た額」を税額から減額するという計算式です(地方税法73条の24第1項)。150万円×3%=45,000円なので、税率の特例が終わって4%に戻れば60,000円になります。土地の1㎡当たりの価格が高い都市部では、面積で計算したほうが大きくなり45,000円を超えることも珍しくありません。
Q. いつ払うのですか。買ったときに払いますか?
A. 不動産取得税は都道府県税で、取得したときに自分で納めるのではなく、後から届く納税通知書で納めます。都道府県が価格を決定して課税するまでに数か月かかるのが通常で、取得から半年ほど経って通知が届くこともあります。住宅や住宅用土地の控除・減額は、都道府県の条例で定めるところにより申告をした場合に適用するのが原則です(地方税法73条の14第4項・73条の24第5項)。ただし申告がなくても要件に該当すると認められれば適用できると定められています(同73条の14第5項・73条の24第6項)。
出典
- 地方税法(昭和25年法律第226号) — 73条の13(課税標準)/73条の14(住宅の課税標準の特例・1,200万円控除)/73条の15(税率)/73条の15の2(免税点)/73条の24(住宅用土地の減額)/20条の4の2(端数計算)/附則11条の2(税率の特例3%)/附則11条の5(宅地評価土地の課税標準1/2)
- 地方税法施行令(昭和25年政令第245号) — 37条の16(新築住宅の床面積要件)/37条の18(中古住宅の床面積要件・耐震基準)
条文は e-Gov 法令API v2 で取得した現行版(地方税法=2026年6月5日施行版/同施行令=2026年6月25日施行版)を逐語で確認しています。改正の有無は2025年10月1日施行版・2026年1月1日施行版との条文比較で確かめました。実際の税額・軽減の適用は取得した都道府県が決定しますので、通知書と異なる場合は都道府県税事務所にご確認ください。