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減価償却の耐用年数|耐用年数表の引き方と中古資産の簡便法【令和8年】

結論から言うと、耐用年数は自分で決めるものではありません。「うちは3年で使い切るから3年」は通りません。減価償却資産の耐用年数等に関する省令(通称・耐用年数省令)の別表に、資産の種類ごとの年数がすべて書いてあり、原則はそれに従います(同省令1条1項、法人税法施行令56条)。普通乗用車なら6年、軽自動車なら4年、パソコンなら4年、木造の住宅なら22年です。

ただし例外がひとつだけあり、それが中古資産です。中古で買ったものは、法定耐用年数ではなく短い年数を使うことができます(同省令3条1項)。年数を見積もるのが難しい場合は簡便法という決まった算式が用意されていて、4年落ちの普通乗用車なら2年になります。定率法の2年は償却率1.000なので、期首に買えば1年で全額が償却限度額に入ります。中古車が節税の文脈で語られるのはこの条文が理由です。

そしてこの中古の特例には、「50%」という数字が2回出てきます。しかも2回とも分母が違い、封じられる範囲も違います。ここを取り違えると、使えないはずの簡便法で申告してしまいます。以下、別表の引き方、よく使う資産の実数、簡便法の計算、2つの50%、そして簡便法がそもそも適用できない資産の区分までを、条文と国税庁の資料で確かめながら整理します。

耐用年数は自分で決められない

減価償却は「取得価額を、使う期間にわたって費用にしていく」手続きです。そのときの期間が耐用年数ですが、税務上は実際に何年使うかではなく法律が決めた年数で計算します。

根拠の並びはこうなっています。法人税法施行令56条は、償却の方法で使う耐用年数・償却率・改定償却率・保証率・残存価額について「財務省令で定めるところによる」とだけ書いています。その財務省令が耐用年数省令で、同省令1条1項が「次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める表に定めるところによる」として、資産の種類ごとに参照すべき別表を指定しています。

つまり本文に年数は1つも書いていません。年数は全部、末尾の別表にあります。耐用年数を調べるという作業は、実質的にはどの別表のどの行に自分の資産が当たるかを決める作業です。

「実際の使用期間」で計算してよい例外は限られる耐用年数省令1条2項は、鉱業権・坑道・公共施設等運営権などについて、採掘予定数量から計算した年数や、通知された存続期間の年数を使うと定めています。このうち採掘権などは納税地の所轄税務署長の認定を受ける仕組みで、申請書の記載事項まで同条4項に書かれています。一般の事業者が使う機械や車両にこの経路はありません。

耐用年数表の引き方——まず「どの別表か」を決める

耐用年数省令1条1項は、資産を4つに振り分けて別表を指定します。実務では次の順に決めると迷いません。

資産参照する別表中身
機械及び装置以外の有形固定資産別表第一建物、建物附属設備、構築物、船舶、航空機、車両運搬具、工具、器具備品
機械及び装置別表第二「食料品製造業用設備 10年」のように業種の設備一式で55番まで
無形固定資産別表第三特許権、商標権、ソフトウエア、営業権など
生物別表第四牛、馬、果樹など

これに加えて、用途が特殊な場合の別表が2つあります。別表第五(公害防止用)は構築物18年・機械装置5年の2行だけ、別表第六(開発研究用)は建物附属設備や機械装置を研究用として短く定めたものです。該当すれば別表第一・第二より優先します。

いちばん間違えやすいのが別表第一と別表第二の境目です。別表第二は「設備の種類」=業種単位でまとまっているため、工場のラインは1台ずつではなく設備一式で1つの年数になります。一方、事務所のパソコンやエアコンは「器具及び備品」として別表第一を引きます。同じ会社の中で両方の表を使うのが普通です。

別表第二は「番号」で引く別表第二は1番「食料品製造業用設備 10年」、2番「飲料、たばこ又は飼料製造業用設備 10年」…と番号付きの一覧です。自社の主たる業種の設備がどの番号に入るかを最初に確定させ、以後はその番号を使い続けるのが実務的です。

よく使う資産の法定耐用年数

別表第一から、経理実務で登場頻度の高いものを抜き出します。いずれも令和8年8月13日時点の耐用年数省令の別表を直接読んで転記したものです。

資産区分(別表第一の細目)耐用年数
車両運搬具一般用の普通乗用車(前掲以外・その他のもの)6年
軽自動車(総排気量0.66リットル以下の小型車)4年
貨物自動車(ダンプ式)4年
二輪又は三輪自動車3年
器具及び備品(事務機器)電子計算機のうちパーソナルコンピュータ(サーバー用を除く)4年
複写機、金銭登録機、タイムレコーダー等5年
器具及び備品(家具)事務机・事務いす・キャビネット(主として金属製)15年
同上(金属製以外)8年
建物鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の事務所用50年
同上の住宅用・寄宿舎用47年
木造・合成樹脂造の事務所用24年
木造・合成樹脂造の店舗用・住宅用22年

別表第三(無形固定資産)からも代表的なものを挙げます。特許権8年、実用新案権5年、意匠権7年、商標権10年、営業権5年。ソフトウエアは細目が2つに分かれていて、複写して販売するための原本が3年、その他のものが5年です。自社で使う業務システムは「その他のもの」なので5年になります。

タクシー・レンタカー会社の車は年数が違う同じ普通乗用車でも、別表第一には「運送事業用、貸自動車業用又は自動車教習所用の車両及び運搬具」という別枠の区分があります。こちらでは小型車(貨物2トン以下、その他は総排気量2リットル以下)が3年、大型乗用車(総排気量3リットル以上)が5年、その他が4年です。一般の会社の社用車は「前掲のもの以外のもの」を引くので6年。用途の欄を読み飛ばすと年数が変わります。

中古資産だけは短くできる

ここからが本題です。耐用年数省令3条1項は、すでに使われていた資産を取得して事業の用に供した場合、「前二条の規定にかかわらず、次に掲げる年数によることができる」としています。中古で買ったものは、別表の年数ではなく、より短い年数を使えるということです。

選択肢は2つあります。

  1. 見積法(3条1項1号):その資産を使い始めた時以後の使用可能期間として見積もられる年数
  2. 簡便法(3条1項2号):見積もることが困難な場合に使える、法定耐用年数と経過年数から機械的に計算する年数

条文の順序が示すとおり原則は見積法で、簡便法は「1号の年数を見積もることが困難なものに限る」という限定つきです。とはいえ中古の機械や車の残り寿命を客観的に見積もるのは通常むずかしく、実務ではほとんどが簡便法になります。

そして条文は「することができる」と書いています。つまり任意です。中古で買っても法定耐用年数のまま償却して構いません。短くすると1年あたりの償却費は増えますが、赤字の会社では損金が増えても意味が薄いことがあり、そこは判断です。

簡便法の計算と、4年落ちが2年になる理由

簡便法の算式は耐用年数省令3条1項2号のイとロに書かれています。

イ:法定耐用年数の全部を経過した資産
耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%

ロ:法定耐用年数の一部を経過した資産
耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%

端数と下限
1年未満の端数は切り捨て(同条5項)。計算結果が2年に満たないときは2年(同項2号かっこ書き)。

法定耐用年数6年の普通乗用車で、経過年数ごとに計算するとこうなります。

経過年数計算端数処理前耐用年数
1年(6−1) + 1×0.25.2年5年
2年(6−2) + 2×0.24.4年4年
3年(6−3) + 3×0.23.6年3年
4年(6−4) + 4×0.22.8年2年
5年(6−5) + 5×0.22.0年2年
6年以上(全部経過)6×0.21.2年 → 下限適用2年

「4年落ちの車」がよく話題になるのは、この表の4年目で初めて2年に落ちるからです。それ以上古くしても2年より短くはなりません。

耐用年数2年の定率法の償却率は1.000です(耐用年数省令別表第十)。したがって300万円の4年落ち中古車を期首に取得して事業に使った法人であれば、その事業年度の償却限度額は300万円×1.000=300万円、つまり全額になります。法定の6年のままなら定率法の償却率は0.333なので999,000円です。差は約200万円。

「1年で落ちる」は期首に買った場合だけ法人税法施行令59条1項1号は、事業年度の中途で事業の用に供した資産について、償却限度額を事業年度の月数で割り、供用日から期末までの月数を掛けると定めています。3月決算の会社が3月に同じ車を使い始めたら、300万円 × 1.000 × 1/12 = 25万円です。同じ車・同じ耐用年数でも12分の1になります。なお同条2項により、この月数は1月未満の端数を切り上げます。耐用年数の端数は切り捨て、月数の端数は切り上げ——向きが逆なので混同しないでください。

経過年数の数え方は、初度登録や竣工の時期から事業の用に供した時までを暦に従って計算します(同条5項が「暦に従つて計算し」と定めています)。ここでも1年未満は切り捨てです。

50%が2回出てくる——分母も効き方も違う

中古資産を買ってすぐ修理や改良をすることはよくあります。その支出が資本的支出(修繕費ではなく資産の価値を高める支出)に当たる場合、中古の特例に制限がかかります。制限は2段階あり、しかも2つは別のルールです。

1段目は耐用年数省令3条1項のただし書です。事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその資産の取得価額の100分の50を超える場合、「第二号に掲げる年数についてはこの限りでない」——つまり簡便法だけが使えなくなります。1号の見積法は条文上そのまま残ります。

2段目は省令には書かれていません。国税庁はタックスアンサーNo.5404の注記で、資本的支出の金額が再取得価額(その中古資産と同じ新品のものを取得する場合の取得価額)の50%を超える場合には法定耐用年数によることになるとしています。同ページが挙げる根拠法令等は「耐令3、耐通1-5-1〜4」で、この2段目は通達で示された取扱いです。

2つの50%の違いを1行で

取得価額の50%超 → 簡便法だけ封じられる(見積法は残る)/省令3条1項ただし書

再取得価額の50%超 → 中古の特例ごと封じられ、法定耐用年数になる/国税庁No.5404の注記(根拠は通達)

分母が違う点が実務では効きます。中古で安く買うほど「取得価額の50%」は小さくなり、超えやすくなります。50万円で買った中古機械に30万円の改良を加えれば、取得価額の50%(25万円)はあっさり超えます。一方、同じ機械の新品価格が500万円なら、再取得価額の50%は250万円なので2段目には遠く届きません。この場合、簡便法は使えないが、見積法は検討できるという状態になります。

中古資産を取得して事業に使った 資本的支出 > 再取得価額の50%? (新品ならいくらか、が分母) はい 法定耐用年数 中古の特例は使えない いいえ 資本的支出 > 取得価額の50%? (実際に払った額が分母) はい 見積法のみ 簡便法は使えない いいえ 使用可能期間を見積もれるか? (省令3条1項1号が原則) 見積もれる 困難 見積法 見積もった年数を使う 簡便法 (法定 − 経過)+ 経過 × 20% 1年未満切捨て・最低2年
中古資産の耐用年数の判定。50%の判定が2回あり、上段は分母が再取得価額(新品価格)、下段は分母が取得価額(実際の支払額)。封じられる範囲も異なる。

簡便法が使えない資産がある

あまり書かれていませんが、条文にはっきり書いてあることがひとつあります。簡便法は、すべての中古資産に使えるわけではありません。

耐用年数省令3条1項2号は、対象を「別表第一、別表第二、別表第五又は別表第六に掲げる減価償却資産」に限定しています。ここに別表第三(無形減価償却資産)と別表第四(生物)が入っていません。

別表資産簡便法
第一建物・車両・器具備品など使える
第二機械及び装置使える
第三無形固定資産(特許権・商標権・ソフトウエア等)使えない
第四生物(牛・馬・果樹等)使えない
第五公害防止用使える
第六開発研究用使える

実務でぶつかりやすいのは中古のソフトウエアや、事業譲渡で引き継いだ特許権・商標権です。他社が数年使っていた権利を買っても、「法定8年から経過年数を引いて…」という計算は3条1項2号の対象外です。見積法(1号)を検討するか、別表第三の年数をそのまま使うことになります。

なお生物については別のルールがあり、耐用年数省令3条4項が、別表第四の用途欄に掲げる一の用途から他の用途に転用された牛・馬・綿羊・やぎについて、転用の時以後の使用可能期間の年数によると定めています。簡便法ではなく見積りの一種です。

供用した年度でしか選べない、という時限

もうひとつ、期限に関する落とし穴があります。国税庁はタックスアンサーNo.5404の注記で、中古資産の耐用年数の算定は、その中古資産を事業の用に供した事業年度においてすることができるものであるから、その事業年度において算定をしなかったときは、その後の事業年度において算定をすることはできないとしています。

つまり、中古で買った初年度に法定耐用年数で償却してしまうと、翌期に「やはり簡便法にします」と言うことはできません。決算のたびに見直せる種類の選択ではなく、供用した事業年度限りの一回勝負です。中古の固定資産を取得したら、その期の決算で耐用年数を決めきる必要があります。

個人事業主も同じ条文で使える耐用年数省令3条1項は「個人において使用され、又は法人において事業の用に供された…資産の取得をしてこれを個人の業務又は法人の事業の用に供した場合」と書いており、個人事業主も対象です。中古の軽自動車(法定4年)を2年落ちで買えば、(4−2)+2×0.2=2.4年 → 2年になります。なお個人の減価償却は法人と違って強制償却で、限度額まで必ず必要経費に算入します。「今年は利益が少ないから償却しない」という調整は法人側の話です。

耐用年数が決まると償却率が決まる

耐用年数は、それ自体が答えではなく償却率を引くための鍵です。耐用年数省令5条と別表第八〜第十が、年数ごとの償却率を定めています。取得時期によって使う表が変わります。

取得時期定額法定率法
平成19年3月31日以前別表第七(旧定額法)別表第七(旧定率法)
平成19年4月1日〜平成24年3月31日別表第八別表第九(250%定率法)
平成24年4月1日以後別表第八別表第十(200%定率法)

いま取得する資産は別表第八(定額法)と別表第十(定率法)を使います。中古資産で出てくることの多い短い年数を抜き出すと次のとおりです。

耐用年数定額法の償却率
(別表第八)
定率法の償却率
(別表第十)
改定償却率保証率
2年0.5001.000
3年0.3340.6671.0000.11089
4年0.2500.5001.0000.12499
5年0.2000.4000.5000.10800
6年0.1670.3330.3340.09911
8年0.1250.2500.3340.07909
14年0.072
22年0.046

建物の例で通してみます。木造の中古アパート(法定22年)を築10年で取得した場合、簡便法は (22−10) + 10×0.2 = 14年。定額法の償却率は0.072です。取得価額2,000万円(建物部分のみ)なら、1年あたりの償却費は144万円になります。法定22年のままなら0.046で92万円ですから、年52万円の差です。

同じ建物を築25年(法定22年を全部経過)で買った場合は 22×0.2 = 4.4年 → 4年。償却率0.250で年500万円です。建物は定率法が使えず定額法に限られるので(平成10年4月1日以後取得の建物)、この年数差がそのまま毎年の費用差になります。

減価償却費を計算する(定額法・定率法/償却スケジュール表つき)

よくある質問

Q. 耐用年数を自分で短く決めることはできますか?

A. できません。耐用年数省令1条1項が資産の区分ごとに別表を指定しており、原則はその年数によります。実際の使用可能期間で計算できるのは、中古資産(同省令3条1項)や、鉱業権など同省令1条2項に列挙された資産に限られます。

Q. 中古車の「経過年数」はどこから数えますか?

A. 前の所有者が使い始めた時から、自分が事業の用に供した時までの期間です。耐用年数省令3条5項は「暦に従つて計算し、一年に満たない端数を生じたときは、これを切り捨てる」と定めているので、3年11か月なら3年として計算します。

Q. 4年落ちの中古車を買えば、初年度に全額を経費にできますか?

A. 期首に取得して事業に使った法人であれば、定率法・耐用年数2年の償却率1.000により全額が償却限度額になります。ただし法人税法施行令59条1項1号により、事業年度の中途で使い始めた場合は供用日から期末までの月数で按分します。決算月に取得すれば12分の1です。

Q. 中古のパソコンを買いました。何年で償却しますか?

A. パーソナルコンピュータ(サーバー用を除く)の法定耐用年数は4年です。2年落ちなら (4−2)+2×0.2=2.4年で切り捨てて2年、3年落ちなら (4−3)+3×0.2=1.6年ですが下限により2年です。なお取得価額が10万円未満なら減価償却せず全額を費用にできます。

Q. 中古の機械を買ってすぐ大規模な改造をしました。簡便法は使えますか?

A. その改造が資本的支出に当たり、金額がその機械の取得価額の50%を超えるときは、耐用年数省令3条1項ただし書により簡便法(同項2号)は使えません。さらに国税庁No.5404の注記によれば、再取得価額の50%を超える場合は法定耐用年数によることになります。

Q. 中古のソフトウエアにも簡便法を使えますか?

A. 使えません。耐用年数省令3条1項2号は対象を別表第一・第二・第五・第六に掲げる資産に限定しており、ソフトウエアが属する別表第三は含まれていません。別表第三の年数(複写して販売するための原本3年、その他のもの5年)によるか、同項1号の見積法を検討することになります。

Q. 初年度に法定耐用年数で償却しました。翌期から簡便法に変えられますか?

A. 国税庁はNo.5404の注記で、中古資産の耐用年数の算定は事業の用に供した事業年度においてするものであり、その事業年度で算定しなかったときはその後の事業年度で算定することはできないとしています。個別の取扱いは所轄の税務署または税理士にご確認ください。

Q. 工場のラインは機械1台ごとに耐用年数を調べるのですか?

A. 別表第二は「食料品製造業用設備 10年」のように設備の種類(業種)単位で年数を定めているため、一般に設備一式として1つの年数を適用します。一方、事務所のパソコンや机は器具及び備品として別表第一を引きます。

Q. 社用車とタクシーで耐用年数が違うのはなぜですか?

A. 別表第一が用途で区分を分けているためです。「運送事業用、貸自動車業用又は自動車教習所用」の自動車は小型車3年・大型乗用車5年・その他4年、これに当たらない一般の会社の車は「前掲のもの以外のもの」として普通乗用車6年・軽自動車4年になります。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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