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法定福利費とは|給与・賞与から会社負担額を計算

法定福利費とは、会社が法令に基づいて負担する社会保険・労働保険等の費用です。給与額に一律の率を掛ければ終わりではありません。健康保険・厚生年金等は標準報酬月額、雇用保険・労災保険は賃金総額を基礎にし、負担割合も異なります。

令和8年度、東京都の協会けんぽに加入する35歳、標準報酬月額30万円、一般の事業の例では、給与に対する会社負担は健康保険14,775円、子ども・子育て支援金345円、厚生年金27,450円、子ども・子育て拠出金1,080円、雇用保険2,550円、労災保険を3/1,000とする例で900円、合計47,100円です。給与30万円とは別に約15.7%の資金が必要になります。

無料ツール:法定福利費計算給与、都道府県、年齢、事業区分から会社負担を分解して計算します。

法定福利費に含まれるもの

制度会社負担計算基礎
健康保険原則として労使折半標準報酬月額・標準賞与額
介護保険対象者分を労使折半標準報酬月額・標準賞与額
子ども・子育て支援金労使折半標準報酬月額・標準賞与額
厚生年金労使折半標準報酬月額・標準賞与額
子ども・子育て拠出金会社が全額負担標準報酬月額・標準賞与額
雇用保険事業区分別の会社率対象となる賃金
労災保険会社が全額負担賃金総額、事業種類別料率

会社独自の慶弔金、健康診断の追加メニュー、社員旅行、懇親会などは一般に「福利厚生費」と呼ばれますが、法令上の負担ではないため法定福利費とは区別します。会計上の科目を分けることで、人件費予算と任意施策の費用を比較しやすくなります。採用時の提示年収だけで人件費を見積もらず、法定福利費を含む総額で資金繰りを組むことが重要です。

保険ごとに計算の土台が違う

社会保険は、実際の給与額そのものではなく、報酬月額を等級表に当てはめた標準報酬月額を使います。給与が29万5,000円でも30万5,000円でも同じ等級に入れば保険料は同額になることがあります。賞与は税引前総額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額を使います。

雇用保険と労災保険は、原則として労働の対償として支払う賃金を基礎にします。通勤手当など、所得税では非課税でも労働保険の賃金に入るものがあります。このため課税支給額だけを集計すると不足します。通勤手当の所得税上の限度額と、社会保険・労働保険での扱いの違いは通勤手当の非課税限度額で並べています。雇用保険率の事業区分は令和8年度の雇用保険料率も参照してください。

月給30万円の会社負担内訳東京都・35歳・標準報酬30万円・一般事業(令和8年度)健康保険 14,775円厚生年金 27,450円支援金 345円拠出金 1,080円雇用保険 2,550円労災 900円(率3/1,000の例)合計 47,100円
健康保険組合、都道府県、年齢、事業種類により金額は変わる

給与30万円の会社負担を計算

令和8年度の例を式で確認します。東京都の協会けんぽ健康保険料率9.85%は労使折半なので、30万円×9.85%÷2=14,775円です。令和8年度からの子ども・子育て支援金率0.23%も折半し、30万円×0.23%÷2=345円。厚生年金18.3%は30万円×18.3%÷2=27,450円です。

子ども・子育て拠出金は令和8年度も0.36%で会社全額負担のため1,080円。令和8年度の一般の事業の雇用保険は会社負担8.5/1,000なので2,550円です。労災保険は事業種類により異なり、3/1,000の事業なら900円。合計は47,100円です。40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者なら、さらに介護保険の会社負担を加えます。

健康保険料率は全国一律ではない協会けんぽは都道府県支部ごとに料率が違い、健康保険組合も独自の料率です。「健康保険は約10%」だけで予算を確定せず、適用する保険者・年度の保険料額表を確認します。

賞与60万円の会社負担を計算

賞与60万円は標準賞与額60万円として、東京都・35歳の同じ条件なら、健康保険29,550円、支援金690円、厚生年金54,900円、子ども・子育て拠出金2,160円、雇用保険5,100円、労災保険1,800円の合計94,200円です。賞与にも社会保険・労働保険がかかるため、賞与原資60万円だけを用意すると資金不足になります。

ただし標準賞与額には制度ごとの上限があり、上限付近の高額賞与は単純比例しません。また年4回以上支給する賞与は、名称が賞与でも標準報酬月額側の報酬として扱われる場合があります。支給回数と賃金規程を先に確認します。

仕訳・予算で間違えやすい点

給与計上時は、会社負担分を「法定福利費」、従業員から預かった本人負担分を「預り金」等で分けます。納付時に預り金と会社負担を合算して支出します。本人負担まで法定福利費にすると会社コストが過大になります。

労働保険は年度更新で概算・確定精算するため、毎月の見積額と納付額に差が出ます。毎月の管理会計では賃金に率を掛けて見越計上し、年度更新時に差額を整理する方法があります。社会保険も資格取得・喪失、算定基礎、月額変更が請求に反映される時期を見て、給与台帳と納入告知書を照合します。

計算の要点
  • 社会保険は標準報酬月額・標準賞与額を使う
  • 雇用・労災保険は対象賃金を使う
  • 折半、会社全額、事業区分別の負担を分ける
  • 賞与原資には会社負担分も加える
  • 本人負担の預り金を法定福利費に混ぜない

よくある質問

Q. 法定福利費は給与の何パーセントですか?

A. 一律ではありません。東京都・35歳・標準報酬30万円・一般事業・労災3/1,000の令和8年度例では47,100円、給与の15.7%です。年齢、地域、保険者、事業種類で変わります。

Q. 子ども・子育て支援金と拠出金は同じですか?

A. 別です。令和8年度の支援金0.23%は被用者保険で労使折半、拠出金0.36%は事業主が全額負担します。名称が似ているため二重計上・計上漏れに注意します。

Q. 役員にも雇用保険・労災保険を計上しますか?

A. 原則として役員は労働者ではないため自動的には対象になりません。兼務役員の実態や労災の特別加入など、資格を確認してから計上します。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は年金事務所・労働局・社会保険労務士・税理士にご確認ください。

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