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女性活躍推進法 — 令和8年4月1日に、男女の賃金の差異と女性管理職比率が「選ぶ16項目」から抜き出された。301人超は4項目、101人超は3項目

結論から言うと、常時雇用する労働者が100人を超える会社には、女性活躍推進法にもとづく義務が2つあります。1つは一般事業主行動計画を作って労働局へ届け出ること(法8条1項)、もう1つは女性の活躍に関する情報の公表です(法20条)。100人以下の会社は、どちらも努力義務です(法8条7項・20条3項)。

令和8年(2026年)4月1日に変わったのは、この2つ目のほうです。それまでは、公表できる16項目のメニューの中から会社が適切と認めるものを選んで出す形でした。そこから男女の賃金の額の差異管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合の2つだけが抜き出され、法律の本文に書き込まれました(法20条1項1号・2号)。メニューの総数は改正の前も後も16で変わっていません。16項目のうち2つが、選ぶ側から必ず出す側へ移ったという改正です。

そして実務でいちばん効くのが罰則の掛かり方です。罰則条文(法34条・36条・37条)を全数で当たると、8条も20条も1つも入っていません。行動計画を出さなくても、情報を公表しなくても、条文上の罰金はゼロです。20万円の過料が発生するのは、厚生労働大臣に報告を求められて、それに応じなかったときだけです(法39条)。

まず結論 — 誰に、何が、いつから

女性活躍推進法の義務は、常時雇用する労働者の数で3段に分かれます。境目は100人300人で、どちらも「超える」という書き方です。

常時雇用する労働者行動計画(法8条)情報公表(法20条)公表する項目数
100人以下努力義務(7項)努力義務(3項)4つの情報のうち1つ以上
101人〜300人義務(1項)義務(2項)3項目
301人以上義務(1項)義務(1項)4項目

行動計画の義務は8条1項が「百人を超える」と定めるので101人から、情報公表の重い側は20条1項が「三百人を超える」と定めるので301人からです。同じ法律の中で、2つの境目が別々の条に置かれています。

常時雇用する労働者の数で3段(いずれも会社全体で数える) 100人以下 行動計画:努力義務(法8条7項) 情報公表:努力義務(法20条3項) 4つの情報のうち1つ以上 101人〜300人 行動計画:義務(法8条1項) 情報公表:義務(法20条2項) 3項目 301人以上 行動計画:義務(法8条1項) 情報公表:義務(法20条1項) 4項目 公表する項目の内わけ(合計16。うち2つが令和8年4月に「必ず出す側」へ移った) 必ず出す2項目(法20条1項1号・2号 = 法律の本文に書かれている) ① 男女の賃金の額の差異  ② 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 機会の提供に関する実績(省令19条1項3号) イ〜ト の7項目(採用割合・競争倍率・ 女性労働者割合・係長級・役員・職種転換・ 再雇用/中途採用) 301人超はここから1つ以上 両立に資する雇用環境の整備(同項4号) イ〜ト の7項目(平均継続勤務年数の差異・ 継続雇用割合・育児休業取得率・時間外+休日 労働時間・有給休暇取得率) 301人超はここから1つ以上
301人超は2つの区分から「それぞれ1つ以上」なので合計4項目。101人〜300人はどちらか一方から1つ以上なので合計3項目になる。

「101人以上」と書いた条文は無い — 法律は「百人を超える」と書く

解説記事ではほぼ必ず「101人以上」と書かれますが、条文の書き方は違います。法8条1項の主語は次のとおりです。

国及び地方公共団体以外の事業主(以下「一般事業主」という。)であって、常時雇用する労働者の数が百人を超えるものは、事業主行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画(一般事業主が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画をいう。以下同じ。)を定め、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出なければならない。

「百人を超える」と「百一人以上」は、労働者を人で数えるかぎり同じ範囲を指すので、結果は変わりません。ただし裏返しの側は8条7項が「百人以下」と書いており、ここも「百人未満」ではありません。ちょうど100人の会社は7項の努力義務の側です。境目を99人・100人・101人で議論するときは、この2つの条文の言葉に戻ったほうが早いです。

そして「常時雇用する労働者」が何を指すかは、法律にも省令にも書かれていません。法律の本文でこの語が使われるのは4か所(8条1項・8条7項・20条1項・附則の中小事業主の定義)ですが、定義規定は置かれていません。省令の側も、19条・20条が人数で場合分けをしながら、数え方そのものは定めていません。数え方は厚生労働省の解釈に委ねられている領域なので、正社員だけを数えて100人を下回るから対象外、と社内で判断する前に、所轄の都道府県労働局に確認するのが安全です。パート・アルバイトを含めるかどうかで、義務の有無そのものがひっくり返ります。

令和8年4月1日の改正 — 16項目の総数は変わっていない

改正前後の条文を、e-Gov法令API v2で別々に取得して並べると、何が動いたのかがはっきりします。令和7年法律第63号(令和7年6月11日公布)による改正で、令和8年4月1日から法20条の形が変わりました。

令和8年3月31日まで令和8年4月1日から
法20条1項の号2号(機会提供の実績/両立の実績)4号(賃金の額の差異/女性管理職比率/機会提供/両立)
男女の賃金の差異の置き場所省令19条1項1号リ(メニューの中の1つ)法20条1項1号(法律の本文)
女性管理職比率の置き場所省令19条1項1号ホ(選択肢の1つ)法20条1項2号(法律の本文)
メニューの項目数1号 イ〜リ の9 + 2号 イ〜ト の7 = 16必須2 + 3号 イ〜ト の7 + 4号 イ〜ト の7 = 16

ここが踏み込んだ一段です。選べる項目の総数は16のまま動いていません。改正前の省令19条1項1号はイからリまでの9項目、2号はイからトまでの7項目でした。改正後は1号のホ(管理職に占める女性労働者の割合)とリ(男女の賃金の差異)が抜けて3号がイからトまでの7項目になり、抜けた2つが法律の本文へ上がっています。増えたのではなく、位置が変わったのがこの改正です。

語も1文字変わっている

省令にあったときの表現は「その雇用する労働者の男女の賃金の差異」でしたが、法律の本文に上がったときに「男女の賃金の額の差異」になりました。厚生労働省へ公表する内容そのものが変わったわけではありませんが、条文を検索するときに「賃金の差異」では現行の法20条に当たらないことがあります。

なお同じ改正で、法2条1項の基本原則に「併せて、女性の健康上の特性に留意し」という文言が加わり、法5条2項3号には基本方針に定める事項としてハに「職場において行われる就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な措置に関する事項」が加わりました。いずれも事業主に直接の義務を作る条文ではありません。カスタマーハラスメント対策の義務化は、この法律ではなく労働施策総合推進法の側で進んでいます。

何項目を公表するのか — 分けているのは「それぞれ」の3文字

301人以上と101人〜300人で公表する数が違うのですが、その差は省令のたった3文字から来ています。まず301人以上(省令19条1項)です。

法第二十条第一項の規定による情報の公表は、第一号及び第二号に掲げる事項を公表するとともに、第三号及び第四号に掲げる情報の区分ごとに第三号及び第四号に定める事項のうち一般事業主が適切と認めるものをそれぞれ一以上公表しなければならない。

次に101人〜300人(省令20条1項)です。

法第二十条第二項の規定による情報の公表は、前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項を公表するとともに、同項第三号及び第四号に掲げる情報の区分ごとに第三号及び第四号に定める事項のうち一般事業主が適切と認めるものを一以上公表しなければならない。

違いは「それぞれ」が有るか無いかだけです。19条は3号と4号のそれぞれから1つ以上なので、必須2+1+1で4項目。20条は「それぞれ」が無いので、3号と4号を合わせて1つ以上、つまり必須2+1で3項目です。これは法律の側でも裏が取れていて、法20条2項2号は「前項第三号に掲げる情報又は同項第四号に掲げる情報の少なくともいずれか一方」と書いています。

改正前と比べると、101人〜300人の負担が実質的にいちばん増えています。改正前の省令20条は「前条第一項各号に定める事項のうち一般事業主が適切と認めるものを公表しなければならない」とだけ書いており、項目数の下限も、どの項目かの指定もありませんでした。改正後は、賃金の額の差異と女性管理職比率という中身の決まった2項目が必ず入ります。301人以上のほうは3項目から4項目へ1つ増えただけです。

公表項目のひとつ「有給休暇取得率」の分母になる付与日数を確かめる(有給休暇の付与日数 計算ツール)

賃金の差異だけ、出し方の指定がもう一段ある

16項目のうち、男女の賃金の額の差異だけは公表の粒度まで省令が決めています(省令19条2項)。全労働者をまとめた1つの数字を出すだけでは足りず、雇用管理区分ごとの実績も併せて公表します。区分ごとの公表が求められるのは、ほかに3号のイからハまでとヘ、4号のハ・ホ・トですが、「全ての労働者に係る実績」と区分ごとの両方を求められているのは賃金の差異だけです。

小さい区分をどう扱うかも書かれています。

同一の雇用管理区分に属する労働者の数がその雇用する労働者の数のおおむね十分の一に満たない雇用管理区分がある場合は、職務の内容等に照らし、類似の雇用管理区分と合わせて一の区分として公表することができるものとする。

「おおむね十分の一」なので、全体が250人なら25人前後が目安です。契約社員が8人しかいないような区分を単独で出すと個人が特定されかねませんが、その場合は職務の内容等に照らして類似の区分と合わせて1つにできます。「できる」なので、合わせずに出すことも条文上は可能です。

公表の頻度と方法は省令19条4項です。

おおむね一年に一回以上、公表した日を明らかにして、厚生労働省のウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により、女性の求職者等が容易に閲覧できるよう公表しなければならない。

ここも令和8年4月1日に言葉が変わりました。改正前は「インターネットの利用その他の方法により」でしたが、改正後は「厚生労働省のウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により」です。自社サイトに載せる方法が禁じられたわけではありませんが、条文が例示として先に挙げるものが変わりました。「公表した日を明らかにして」という要求は改正の前後で変わっていないので、公表日を書き忘れると条文の要求を満たしません

新しい形で公表するのはいつからか — 「翌事業年度」

法律の施行日は令和8年4月1日ですが、新しい省令19条・20条にもとづく公表がいつ始まるかは、省令の附則が別に決めています。令和8年4月1日施行の改正省令の附則3条です。

新令第十九条及び第二十条の規定は、施行日以後に終了する事業年度の翌事業年度において行われる女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第二十条第一項及び第二項の規定による情報の公表から適用する。

ここは読み飛ばされやすいところです。「施行日以後に終了する事業年度」の事業年度に行う公表から、と2段になっています。3月決算の会社で追ってみます。

決算月施行日以後に終了する最初の事業年度その翌事業年度新しい形で公表するのは
3月2026年4月1日〜2027年3月31日2027年4月1日〜2028年3月31日2027年度中
12月2026年1月1日〜2026年12月31日2027年1月1日〜2027年12月31日2027年中
9月2026年10月1日〜2027年9月30日2027年10月1日〜2028年9月30日2027年10月以降

12月決算の会社は、施行日の2026年4月1日より前に始まった2026年1月開始の事業年度が「施行日以後に終了する」最初の事業年度に当たります。事業年度の開始ではなく終了が施行日以後かどうかで判定する書き方だからです。

つまり義務そのものは2026年4月1日から動いているのに、新しい項目で実際に公表するのは多くの会社で2027年です。「2026年4月から男女の賃金の差異を公表しなければならない」という書き方をよく見ますが、条文にあたると1年ずれます。ただし、これは準備を1年後回しにしてよいという意味ではありません。賃金の額の差異は雇用管理区分ごとに集計するので、公表する年度の前の事業年度の給与データを、区分ごとに集計できる形で持っている必要があります。集計の設計を始めるべき時期と、公表の時期は別です。

行動計画のほうにも経過措置があり、同じ附則の2条が、施行日前に計画期間が開始した行動計画には新しい省令2条を適用しないとしています。2026年3月以前に始めた計画は、その計画期間のあいだは従来の形のままで構いません。

行動計画のほう — 届出先は厚生労働大臣ではない

法8条1項は「厚生労働大臣に届け出なければならない」と書いていますが、実際に届出書を出す先は厚生労働大臣ではありません。省令1条が提出先を事業主の住所を管轄する都道府県労働局長と定めており、省令21条が法32条の委任にもとづいて、法8条1項・7項に関する厚生労働大臣の権限を所轄都道府県労働局長に委任しているからです。条文の本文だけを読むと届出先を取り違えます

届出書の記載事項は省令1条の10項目です。

10番目に注目してください。行動計画の届出書の中で、情報公表の方法まで申告させる作りになっています。2つの義務は別々の条文にありますが、届出の様式のところで結び付けられています。

目標の立て方にも指定があります。常時雇用する労働者が300人を超える会社は、省令2条の2により、①機会の提供と②両立に資する雇用環境の整備という2つの区分のそれぞれから1つ以上の事項を選び、それに関連する目標を定めなければなりません。ここでも「それぞれ」が効いていて、実質的に目標は最低2つになります。ただし同条のただし書に逃げ道があり、状況を把握・分析した結果、一方の区分の取組が既に進んでいて他方に集中するのが適当と認められる場合は、他方の区分から2つ以上を選ぶことで代えられます。目標の数は変わらず2つで、区分の割り振りだけが変わる形です。

周知と公表の方法は省令3条・4条です。周知は「事業所の見やすい場所へ掲示すること、書面を労働者へ交付すること又は電子メールを利用して労働者へ送信することその他の適切な方法」、公表は「厚生労働省のウェブサイトへの掲載その他の適切な方法」とされています。行動計画の公表には、情報公表と違って頻度の定めがありません。「おおむね一年に一回以上」「公表した日を明らかにして」が付いているのは、19条4項の情報公表の側だけです。

罰則を全数で当たる — 8条にも20条にも掛かっていない

この法律の罰則は34条・35条・36条・37条にあります。列挙されている条文を全部書き出すと、次のようになります。

対象になっている条文
34条1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金16条5項で準用する職業安定法41条2項の業務停止命令に違反して労働者の募集に従事したとき
35条1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金22条4項・28条の秘密保持義務違反
36条6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金16条4項の届出をしないで募集に従事したとき、ほか職業安定法の準用規定の違反
37条30万円以下の罰金10条2項(認定表示の不正使用)、ほか職業安定法の準用規定の違反
39条20万円以下の過料30条の報告をせず、または虚偽の報告をしたとき

8条も20条も、どこにも出てきません。行動計画を作らない、届け出ない、周知しない、公表しない、情報を公表しない——これらに直接の罰金はありません。普通の会社が罰金の側に立つ経路は、実質的に10条2項だけです。

何人も、前項の規定による場合を除くほか、商品等に同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。

これはえるぼしの認定を受けていないのに認定マーク、またはそれと紛らわしい表示を商品や広告に付けた場合です。37条1号で30万円以下の罰金になります。主語が「何人も」なので、対象は認定を受けようとした会社に限りません。この法律で会社が罰金を科されるのは、義務をやらなかったときではなく、認定マークを偽ったときだけという構造になっています。

令和7年の改正は罰則条文にも手を入れているが、対象は1つも増えていない

34条・36条・37条は、令和8年4月1日施行の改正で条文が書き換わっています。ただし改正前後を突き合わせると、変わったのは違反行為をした者を明示する言い回しの整理だけで、対象になる条文は1つも増減していません。罰則条文を開いて手を入れたうえで、なお8条・20条は入れられていません。

ではまったく効き目が無いのかというと、そうではありません。実際に効くのは2つです。1つ目が20万円以下の過料で、法39条は「第三十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。」と定めています。30条は厚生労働大臣の報告徴収・助言・指導・勧告の規定なので、金銭の制裁が発生するのは、行政から報告を求められて応じなかったときだけです。なお両罰規定(38条)が及ぶのは34条・36条・37条だけで、39条の過料は含まれていません。

2つ目が企業名の公表です。法31条は、20条1項・2項の公表をしなかった、または虚偽の公表をした会社に勧告をして、それに従わなかったときはその旨を公表することができるとしています。ここに非対称があります。31条が挙げているのは20条(情報公表)だけで、8条(行動計画)は入っていません。行動計画を届け出ない会社には30条の勧告までは届きますが、企業名を公表する条文上の入口がありません。情報公表をサボることのほうが、条文上は重く扱われています。

えるぼし認定 — 100人以下でも、届け出れば申請できる

行動計画を届け出た会社は、法9条によりえるぼし認定を申請できます。ここで見落とされやすいのが、9条の対象の書き方です。

厚生労働大臣は、前条第一項又は第七項の規定による届出をした一般事業主からの申請に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業主について、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関し、当該取組の実施の状況が優良なものであることその他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができる。

前条第一項又は第七項」なので、義務のある101人以上(1項)だけでなく、努力義務の100人以下(7項)で自主的に届け出た会社も申請できます。認定の基準そのものは省令8条にあり、評価項目ごとに細かく分岐する長い条文ですが、その中には規模で要求を変えている箇所があります。たとえば8条1号イ(5)は、直近3事業年度の実績について常時雇用する労働者が300人以下の会社には1つ以上、300人を超える会社には2つ以上を求めています。同じ基準の中で、小さい会社のほうが緩やかに設定されているということです。

上位のプラチナえるぼし(法12条の特例認定)には、条文に直接書かれた要件があります。行動計画の目標を達成したことに加えて、男女雇用機会均等法19条の業務を担当する者(男女雇用機会均等推進者)と、育児・介護休業法29条の業務を担当する者(職業家庭両立推進者)を選任していることです。この2つは、それぞれの法律では努力義務にすぎませんが、プラチナえるぼしでは満たさなければならない条件になります。

さらに令和8年10月1日から、法12条の要件に、男女雇用機会均等法13条1項にもとづいて講じている措置に関する情報を公表していること、という条件が加わります。この日の均等法13条1項は、求職活動等における性的な言動に起因する問題(いわゆる就活セクハラ)に関する雇用管理上の措置義務です。プラチナえるぼしを目指している会社は、就活セクハラ対策の措置と、その公表が新たに要件に入ります。

この法律は2036年3月31日で失効する — 条文は「平成三十八年」と書いたままだった

女性活躍推進法は期限付きの法律です。附則2条1項が次のように定めています。

この法律は、令和十八年三月三十一日限り、その効力を失う。

令和18年3月31日は2036年3月31日です。ここで見逃せないのは、この日付が令和7年の改正で書き換えられたものだということです。改正前の同じ条文はこうでした。

この法律は、平成三十八年三月三十一日限り、その効力を失う。

平成38年3月31日は2026年3月31日——つまりこの法律は、5か月前に失効する予定だったのです。令和7年法律第63号がこれを令和18年(2036年)まで10年延長しました。改正がなければ、行動計画の義務も情報公表の義務も、2026年3月末で消えていたことになります。

そしてもう1つ。平成は平成31年(2019年)で終わっているので、「平成三十八年」という年は存在しません。この法律は平成27年(2015年)の制定時に10年先の期限を「平成三十八年」と書き、改元をまたいで10年間そのままの表記で存続していました。条文の日付を読むときに、元号がその時点で有効かどうかは保証されない、という実例です。改正でようやく令和の表記に直りました。

よくある質問

Q. 常時雇用する労働者が105人います。何をいつまでにやればよいですか?

A. 法8条1項の義務がかかるので、事業主行動計画策定指針に即して一般事業主行動計画を定め、住所を管轄する都道府県労働局長へ届け出ます(省令1条)。あわせて労働者への周知(法8条4項)と公表(同5項)が必要です。もう1つ、法20条2項の情報公表の義務もかかり、男女の賃金の額の差異と、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合の2つに加えて、機会提供7項目または両立7項目のいずれかから1つ以上、合計3項目を公表します。ただし新しい省令19条・20条にもとづく公表が始まるのは、令和8年4月1日以後に終了する事業年度の翌事業年度に行う公表からです(改正省令附則3条)。届出そのものに条文上の期限は定められていませんが、義務は施行日から生じています。

Q. 「常時雇用する労働者」にパートやアルバイトは含めますか?

A. 女性活躍推進法にも、その省令にも「常時雇用する労働者」の定義は置かれていません。法律の本文でこの語が使われるのは4か所ありますが、いずれも定義なしに使われています。したがって条文だけで答えを出すことはできず、数え方は厚生労働省の解釈によります。100人前後・300人前後の会社では、この数え方ひとつで義務の有無や公表項目数が変わるため、正社員だけで数えて対象外と判断する前に、所轄の都道府県労働局に確認することをおすすめします。

Q. 男女の賃金の差異は、会社全体の1つの数字を出せばよいですか?

A. それだけでは足りません。省令19条2項が、賃金の額の差異について、その雇用する全ての労働者に係る実績と、雇用管理区分ごとの実績の両方を公表することを求めています。16項目の中で、全体と区分ごとの両方を明示的に求められているのは賃金の差異だけです。なお同項の後段により、同一の雇用管理区分に属する労働者の数が全体のおおむね10分の1に満たない区分がある場合は、職務の内容等に照らして類似の区分と合わせて1つの区分として公表することができます。

Q. 行動計画を届け出ていません。罰則はありますか?

A. 直接の罰金はありません。法34条・36条・37条の罰則の列挙を全数で確認すると、8条も20条も含まれていません。ただし法30条により厚生労働大臣は報告を求め、助言・指導・勧告をすることができ、この報告をせず、または虚偽の報告をした場合には法39条により20万円以下の過料の対象になります。また情報公表(20条1項・2項)をしなかった場合は、勧告に従わないと法31条により企業名を公表される可能性があります。企業名公表の対象に8条は挙げられていないため、行動計画の不届出については勧告までが条文上の枠組みです。

Q. 301人以上と101人〜300人で、公表項目数が違うのはなぜですか?

A. 省令の書き分けによります。301人以上に適用される省令19条1項は、3号と4号の区分ごとに「それぞれ一以上」公表することを求めており、必須の2項目と合わせて4項目になります。101人〜300人に適用される省令20条1項には「それぞれ」がなく、3号と4号を合わせて1つ以上でよいため、必須の2項目と合わせて3項目です。法20条2項2号も「前項第三号に掲げる情報又は同項第四号に掲げる情報の少なくともいずれか一方」と書いており、法律と省令の両方で同じ結論になります。

Q. 100人以下の会社ですが、えるぼし認定を取れますか?

A. 取れます。法9条は認定の申請ができる者を「前条第一項又は第七項の規定による届出をした一般事業主」としており、7項は100人以下の努力義務の側です。つまり義務がなくても、自主的に行動計画を定めて届け出れば申請できます。認定基準は省令8条にあり長い条文ですが、その中には規模で要求を変えている箇所があります。8条1号イ(5)は、直近3事業年度の実績について常時雇用する労働者が300人以下の会社には1つ以上、300人を超える会社には2つ以上を求めており、小さい会社のほうが緩やかです。

Q. 令和8年4月1日から男女の賃金の差異を公表しなければならない、と聞きました。

A. 法20条1項1号・2号が施行されたのは令和8年4月1日で正しいのですが、実際に新しい形で公表を始める時期は改正省令の附則3条が別に定めています。新令19条・20条は「施行日以後に終了する事業年度の翌事業年度において行われる」公表から適用されるため、3月決算の会社であれば2027年度中に行う公表からです。ただし公表するのは前の事業年度の実績なので、集計の準備そのものは施行後すぐに必要になります。

Q. この法律に期限があると聞きましたが、いつまでですか?

A. 附則2条1項により令和18年3月31日、つまり2036年3月31日限りで効力を失います。もともとは平成38年3月31日、すなわち2026年3月31日が期限でしたが、令和7年法律第63号によって10年延長されました。改元前に制定されたため、条文には長らく存在しない年である「平成三十八年」という表記が残っていました。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。常時雇用する労働者の数え方、雇用管理区分の切り方、男女の賃金の額の差異の具体的な算出方法、行動計画の記載内容については、所轄の都道府県労働局または社会保険労務士にご確認ください。

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