障害者の法定雇用率2.7% — 2026年7月1日に「上がった」のではない。対象は労働者37.5人以上、報告は7月15日まで
結論から言うと、民間企業に適用される障害者雇用率は、2026年7月1日から2.7%です(障害者の雇用の促進等に関する法律施行令9条)。同時に、ハローワークへの報告義務がかかる規模が40人以上から37.5人以上へ下がりました(同施行規則7条)。労働者を38人雇っている会社は、この夏から新しく報告義務の側に入っています。
- 民間企業の障害者雇用率は2.7%(施行令9条)。国・地方公共団体は3.0%、都道府県の教育委員会等は2.9%(同2条)
- 2026年7月1日に「引き上げられた」のではない。本則は令和6年4月1日から2.7%で、2.5%は附則の読み替えだった。その読み替えが令和8年6月30日で終わった
- 報告義務は労働者37.5人以上(施行規則7条。令和8年6月30日までは40人)。6月1日現在の状況を翌月15日までにハローワークへ(同8条)
- 罰則があるのは「未達成」ではなく「報告」と「計画」。報告をしない・虚偽の報告をしたときは30万円以下の罰金(法86条1号)
- 納付金は不足1人・1か月あたり5万円(施行令17条)。調整金は超過1人・1か月あたり2万9千円(同15条)
- 労働者100人以下は納付金も調整金も対象外(法附則4条1項)。代わりに報奨金が月2万1千円で出る
この記事のいちばん踏み込んだところは、「2026年7月1日に法定雇用率が上がった」という説明が、条文の姿とは食い違っているという点です。施行令9条の本則は、2年以上前の令和6年4月1日の時点ですでに「百分の二・七」と書かれていました。世の中で2.5%が動いていたのは、附則が「令和八年六月三十日までの間」だけ本則の数字を読み替えていたからです。2026年7月1日に起きたのは、引き上げではなく、読み替えの期限切れです。
この違いは実務に効きます。条文を番号で引いて「2.7%」を見つけた人が、2025年の時点でそれを今年の率だと思い込むことが実際に起こりうるからです。逆に、報告義務の40人という数字も同じ構造で附則に置かれていました。本則だけを読んでも、附則だけを読んでも、その年に効いている数字は出てきません。
2026年7月1日に何が起きたのか — 附則の読み替えが終わった
障害者雇用率そのものは、法律ではなく政令が決めています。法43条2項が「少なくとも五年ごとに、当該割合の推移を勘案して政令で定める」としていて、その政令が施行令9条です。現行の9条は次の一文だけです。
法第四十三条第二項に規定する障害者雇用率は、百分の二・七とする。
問題は、この本則の「百分の二・七」が、令和6年4月1日の改正時点ですでに書き込まれていたことです。e-Gov法令APIで施行令の過去リビジョンを1本ずつ取り出して9条を突き合わせると、2023年4月1日施行版は「百分の二・三」ですが、2024年4月1日施行版から現在まで、本則はずっと「百分の二・七」です。
では、2024年4月から2026年6月まで世の中で使われていた2.5%はどこにあったのか。附則です。
第一条の規定(附則第一条各号に掲げる改正規定を除く。)による改正後の障害者の雇用の促進等に関する法律施行令(以下この条において「新障害者雇用促進法施行令」という。)第二条、第九条、第十条の二第二項及び第十八条の規定の適用については、令和八年六月三十日までの間、新障害者雇用促進法施行令第二条中「百分の三」とあるのは「百分の二・八」と、同条ただし書中「百分の二・九」とあるのは「百分の二・七」と、新障害者雇用促進法施行令第九条中「百分の二・七」とあるのは「百分の二・五」と、新障害者雇用促進法施行令第十条の二第二項中「百分の三」とあるのは「百分の二・八」と、新障害者雇用促進法施行令第十八条中「百分の二・七」とあるのは「百分の二・五」とする。
「令和八年六月三十日までの間」という一句が、この制度の時計そのものです。この日を過ぎると読み替えが働かなくなり、本則の数字がそのまま表に出ます。引き上げの決定は2023年に済んでいて、2026年7月1日はあらかじめ仕込まれていた期限が来ただけです。
同じ附則が、国・地方公共団体の率(施行令2条)も特殊法人の率(同10条の2第2項)も納付金の基準雇用率(同18条)もまとめて読み替えていました。したがって2026年7月1日に動いたのは民間の2.7%だけではありません。国・地方公共団体は2.8%から3.0%へ、都道府県に置かれる教育委員会等は2.7%から2.9%へ、特殊法人は2.8%から3.0%へ、いずれも同じ日に切り替わっています。
対象は労働者37.5人以上 — この数字は割り算で出てくる
法43条1項は、雇用する対象障害者の数が「その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数」以上であるようにしなければならない、と書いています。そして1人未満の端数は切り捨てると、同じ項が明記しています。この端数処理が、対象になる会社の規模を決めます。
| 労働者の数 | × 2.7% | 端数切捨て後(法定雇用障害者数) |
|---|---|---|
| 37.0人 | 0.999 | 0人(義務なし) |
| 37.5人 | 1.0125 | 1人 |
| 50.0人 | 1.35 | 1人 |
| 75.0人 | 2.025 | 2人 |
| 100.0人 | 2.7 | 2人 |
0.5人という刻みで表を作ったのは、短時間労働者が0.5人として数えられるからです(施行規則6条)。人数が0.5人単位でしか動かない世界では、法定雇用障害者数が1人になる最小の規模がちょうど37.5人になります。報告義務の線を定める施行規則7条も、この数字を採っています。
法第四十三条第七項の厚生労働省令で定める数は、三十七・五人(令別表第二に掲げる法人にあつては、三十三・五人)とする。
そしてこの条文も、施行令9条とまったく同じ形で附則に読み替えが置かれていました。令和5年厚生労働省令第16号の附則2条です。
この省令による改正後の障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第七条の規定の適用については、令和八年六月三十日までの間、同条中「三十七・五人」とあるのは「四十人」と、「三十三・五人」とあるのは「三十六人」とする。
つまり2026年6月30日までは40人、7月1日からは37.5人です。労働者が38人・39人・40人未満の会社は、この夏に新しく報告の対象へ入りました。会社の側は何も変わっていないのに義務だけが増えるので、いちばん見落とされやすい層です。
法43条1項をよく読むと、義務は無条件ではなく「厚生労働省令で定める雇用関係の変動がある場合には」という条件つきで書かれています。その変動を定めた施行規則5条は、次の一文です。
法第四十三条第一項の厚生労働省令で定める雇用関係の変動は、常時雇用する労働者(以下単に「労働者」という。)の雇入れ及び解雇(労働者の責めに帰すべき理由による解雇を除く。)とする。
雇い入れるとき、そして労働者の責めに帰すべき理由によらない解雇をするとき —— この2つの場面で雇用率を満たすようにしなさい、という書き方になっています。人を増やすときだけでなく、整理解雇のように会社側の事情で人を減らすときにも同じ条文がかかる点に注意が要ります。
人数の数え方 — 短時間は0.5人、重度は2人
分母(労働者の総数)にも分子(対象障害者の数)にも、独特の数え方が入ります。根拠は法43条3項から5項・8項と、それを受けた政令・省令です。
| 区分 | 1人を何人として数えるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 短時間労働者(分母・分子とも) | 0.5人 | 法43条3項・8項、施行規則6条 |
| 重度身体障害者・重度知的障害者(短時間労働者を除く) | 2人 | 法43条4項、施行令10条 |
| 重度身体障害者・重度知的障害者である短時間労働者 | 1人 | 法43条5項、施行規則6条の2 |
| 精神障害者である短時間労働者 | 当分の間 1人 | 施行規則附則6条 |
最後の行が実務では効きます。短時間労働者は原則0.5人ですが、精神障害者である短時間労働者は「当分の間」1人として数えるという特例が、施行規則の附則に置かれています。ここを0.5人で計算すると、実際より不利な(=不足数が多い)答えが出ます。
もうひとつ、条文に数字が書かれていない箇所があります。法43条3項は短時間労働者を「一週間の所定労働時間が、当該事業主の事業所に雇用する通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短く、かつ、厚生労働大臣の定める時間数未満である常時雇用する労働者」と定義していますが、その「厚生労働大臣の定める時間数」は法律にも政令にも省令にも出てきません。告示で決まっているので、条文だけを追っても時間数にはたどり着けません。この記事では確認できていない数字は書かない方針なので、時間数は厚生労働省の公表資料でご確認ください。
除外率は「速やかに廃止する」と法律に書いてある暫定措置
業種によっては、労働者の総数から一定割合を差し引いてから雇用率をかけます。これが除外率です。ただしこの制度は、法律自身が終わらせる前提で書かれています。法附則5条2項の末尾はこうです。
前項の措置は、対象障害者である労働者とその他の労働者との交替、対象障害者の職業訓練の充実、対象障害者の就業上必要な作業設備及び作業補助具の改善整備の状況等に照らして、除外率設定業種に属する事業を行う事業主について、同項の規定を適用しなくてもその事業の運営に支障を生じないと認められる事業主が多数を占めるに至つたときは、速やかに廃止するものとする。
実際、除外率は縮小の途中にあります。施行規則の2025年3月31日時点のリビジョンと現行リビジョンを機械で突き合わせると、2025年4月1日にすべての区分が一律10ポイント引き下げられ、その結果0%になった9業種が表から消えました(非鉄金属製造業、船舶製造・修理業と舶用機関製造業、航空運輸業、倉庫業、国内電気通信業、採石業と砂・砂利・玉石採取業、窯業原料用鉱物鉱業、その他の鉱業、水運業)。同時に警備業・介護老人保健施設・介護医療院の3業種が新たに加わっています。
現行の別表第四は23業種・11段階です(機械で計数)。
| 除外率 | 除外率設定業種 |
|---|---|
| 5% | 非鉄金属第一次製錬・精製業/貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く。) |
| 10% | 建設業/鉄鋼業/道路貨物運送業/郵便業(信書便事業を含む。) |
| 15% | 港湾運送業/警備業 |
| 20% | 鉄道業/医療業/高等教育機関/介護老人保健施設/介護医療院 |
| 25% | 林業(狩猟業を除く。) |
| 30% | 金属鉱業/児童福祉事業 |
| 35% | 特別支援学校(専ら視覚障害者に対する教育を行う学校を除く。) |
| 40% | 石炭・亜炭鉱業 |
| 45% | 道路旅客運送業/小学校 |
| 50% | 幼稚園/幼保連携型認定こども園 |
| 70% | 船員等による船舶運航等の事業 |
医療業が20%であることは、クリニックや病院を経営している側からすると効き目が大きい数字です。労働者100人の医療機関なら、100 − 100 × 20% = 80人を分母にして計算するので、80 × 2.7% = 2.16 → 2人となり、除外率がなければ2人のところが同じ2人、労働者125人なら除外率ありで100人分の2人、なしなら3人という差が出ます。
除外率設定業種の判定は、日本標準産業分類の業種区分によります(別表第四の備考。林業・特別支援学校・船員等の3つを除く)。自社がどの業種に当たるかは、産業分類の当てはめの問題になるのでハローワークに確認してください。
6月1日現在を7月15日までに報告 — 罰則があるのはここ
法43条7項が、一定規模以上の事業主に毎年1回の報告を義務づけています。「ロクイチ報告」と呼ばれるのは、施行規則8条が基準日を6月1日に固定しているからです。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 報告義務のある規模 | 労働者37.5人以上(施行令別表第二の法人は33.5人以上) | 法43条7項、施行規則7条 |
| 基準日 | 毎年6月1日現在 | 施行規則8条 |
| 提出期限 | 翌月15日まで(=7月15日) | 施行規則8条 |
| 提出先 | 主たる事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長 | 施行規則8条 |
ここでいちばん誤解されているのが罰則の位置です。法定雇用率を達成できていないこと自体には、罰則がありません。罰則が置かれているのは、報告と計画のほうです。
事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、三十万円以下の罰金に処する。
法86条のこの柱書に続く1号が「第四十三条第七項……の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき」、2号が「第四十六条第一項の規定による命令に違反して対象障害者の雇入れに関する計画を作成せず、又は同条第四項の規定に違反して当該計画を提出しなかつたとき」です。未達成そのものではなく、報告しないこと・命じられた計画を作らないことが罰金の対象になっています。
未達成の会社に対しては、厚生労働大臣が雇入れに関する計画の作成を命ずることができる(法46条1項)という段階が用意されていて、その計画は提出義務があり(同4項)、著しく不適当なら変更勧告(同5項)、適正な実施についても勧告(同6項)が続きます。制裁ではなく手続きで前に進ませる作りになっているわけです。
「翌年度の初日から45日以内」などの期限を数える(営業日・期限計算ツール)納付金は罰金ではない — 不足1人につき月5万円
障害者雇用納付金は、しばしば「罰金」と説明されますが条文の位置づけは違います。法53条1項は、納付金を調整金や助成金の支給に要する費用に充てるために徴収するものと定めています。足りない会社から集めて、多く雇っている会社へ回すという財源の仕組みです。
額の骨格は法54条1項と55条1項にあります。まず54条1項が、調整基礎額 × 各月初日の労働者数 × 基準雇用率(端数切捨て)の合計で「満額」を計算し、55条1項が、実際に雇用している対象障害者の分を差し引いた差額を納付額とします。実際に雇っている数のほうが多ければ、55条2項により納付金は徴収されません。
| 用語 | 金額・率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 調整基礎額 | 5万円(1人・1か月あたり) | 法54条2項、施行令17条 |
| 基準雇用率 | 2.7%(令和8年6月30日までは2.5%) | 法54条3項、施行令18条・同附則3条1項 |
具体例で見ます。労働者200人(除外率設定業種ではない)で、年間を通じて対象障害者を3人雇用している会社の場合です。
- 各月の法定雇用障害者数 … 200 × 2.7% = 5.4 → 端数切捨てで5人
- 年間の合計数 … 5人 × 12か月 = 60
- 満額(法54条1項) … 5万円 × 60 = 300万円
- 雇用している分 … 5万円 ×(3人 × 12か月 = 36)= 180万円
- 納付額(法55条1項の差額) … 300万円 − 180万円 = 120万円
不足は2人ですから、2人 × 5万円 × 12か月 = 120万円と数えても同じです。「不足1人あたり月5万円」という言い方は、この計算の結果を要約したものです。
調整金は月2万9千円 — 条文に「10人」とは書いていない
逆に、基準雇用率を超えて雇用している事業主には調整金が支給されます(法50条1項)。単価は施行令15条で2万9千円と定められています。
ここで面白いのは、よく説明される「10人まで」という区切りが、条文のどこにも「10人」とは書かれていないことです。施行令14条は次のように定めています。
法第五十条第一項の政令で定める数は、百二十とする。
120という数字は、年間の月別合計数だからです。毎月10人ずつ超過していれば12か月で120になります。同じ理屈で、120を超えた分の単価は施行規則25条の7が2万3千円と定めています。
| 制度 | 単価(1人・1か月) | 区切り(年間の合計数) | 超過分の単価 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 障害者雇用調整金 | 2万9千円 | 120(=月10人) | 2万3千円 | 施行令14条・15条、施行規則25条の7 |
| 報奨金(100人以下) | 2万1千円 | 420(=月35人) | 1万6千円 | 施行規則附則3条3項〜5項 |
在宅就業障害者に仕事を発注した場合の特例調整金・特例報奨金にも同じ形の単価があり、在宅就業単位調整額が2万1千円(施行令20条)、在宅就業単位報奨額が1万7千円(施行規則附則3条の3)、評価基準月数は1月(施行令21条)です。
労働者100人以下は納付金も調整金もない
納付金と調整金の話をするときに最初に確かめるべきなのが、この線です。法附則4条1項が、労働者100人以下の事業主を制度の外に置いています。
その雇用する労働者の数が常時百人以下である事業主(特殊法人を除く。以下この条において同じ。)については、当分の間、第四十九条第一項第一号、第五十条並びに第三章第二節第二款及び第五節の規定は、適用しない。
除外されているのは調整金(49条1項1号・50条)と納付金の徴収(第3章第2節第2款)です。雇用義務そのものと報告義務は外れていない点に注意してください。労働者38人の会社に納付金は来ませんが、雇用義務も報告義務もあります。
その代わりに用意されているのが報奨金です(法附則4条3項)。基準は基準雇用率ではなく、施行規則附則3条1項が定める4%と、同2項の72人(=月6人)のいずれか多いほうを超えた分に、月2万1千円が支給されます。
この記事に出てくる制度のうち、100人以下の適用除外(法附則4条1項)・除外率(法附則5条)・精神障害者である短時間労働者を1人と数える特例(施行規則附則6条)は、いずれも本則ではなく附則に「当分の間」として置かれた暫定措置です。附則5条2項が「速やかに廃止するものとする」と自ら書いているように、これらは恒久的な仕組みとして設計されていません。制度設計を前提にした長期の人員計画を立てるときは、この点を織り込んでおく必要があります。
期限は3つある — 5月15日・7月15日・7月31日
年に一度の手続きが3つあり、期限がそれぞれ違います。ここが実務でいちばん混乱するところなので、まとめておきます。
| 手続き | 期限の条文上の書き方 | 実際の日付 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 納付金の申告・納付 | 翌年度の初日から45日以内 | 5月15日 | 法56条1項・2項 |
| 調整金の申請 | 翌年度の初日から45日以内 | 5月15日 | 施行令13条 |
| 報奨金の申請(100人以下) | 翌年度の7月31日まで | 7月31日 | 施行規則附則2条1項 |
| 雇用状況の報告 | 6月1日現在の状況を翌月15日まで | 7月15日 | 施行規則8条 |
納付金と調整金の「5月15日」は、条文には書かれていません。条文が書いているのは「翌年度の初日……から四十五日以内」で、4月1日を起算して45日目が5月15日になります(省略した括弧書きは、年度の途中で事業を廃止した場合の起算日の定めです)。うるう年でも4月と5月の日数は変わらないので、この日付は毎年同じです。報奨金だけが7月31日と直接書かれているのは、100人以下の事業主にとって集計の負担が重いことへの配慮とみられます。
納付金は申告書を出さないでいると、機構が額を決定して納入の告知をします(法56条4項)。告知を受けたときは通知を受けた日から15日以内に納付しなければなりません(同5項)。逆に払いすぎていた場合は、未納の徴収金に充当したうえで残りが還付されます(同6項)。
まとめ
- 民間企業の障害者雇用率は2.7%。国・地方公共団体は3.0%、都道府県の教育委員会等は2.9%、特殊法人は3.0%(施行令2条・9条・10条の2第2項)
- 2026年7月1日に起きたのは引き上げではなく、「令和八年六月三十日までの間」という附則の読み替えの期限切れ。本則は令和6年4月1日から2.7%だった
- 報告義務の規模は40人以上から37.5人以上へ(施行規則7条と同附則の読み替え)。37.5人という数字は、短時間労働者を0.5人と数えることと端数切捨てから導かれる
- 数え方は短時間0.5人・重度2人・重度で短時間1人、そして精神障害者である短時間労働者は当分の間1人(施行規則附則6条)
- 除外率は23業種・11段階。2025年4月1日に一律10ポイント下がり、9業種が表から消え、警備業・介護老人保健施設・介護医療院が加わった
- 罰則は未達成にではなく報告と計画にある(法86条1号・2号、30万円以下の罰金)
- 納付金は不足1人につき月5万円、調整金は超過1人につき月2万9千円。労働者100人以下はどちらも対象外で、代わりに報奨金が月2万1千円
- 期限は納付金・調整金が5月15日、報告が7月15日、報奨金が7月31日
よくある質問
Q. 障害者の法定雇用率2.7%はいつから適用されますか?
A. 2026年7月1日からです。ただし正確には「2026年7月1日に引き上げられた」のではありません。障害者の雇用の促進等に関する法律施行令9条の本則は、令和6年4月1日の改正の時点ですでに「百分の二・七」と書かれていました。2024年4月から2026年6月まで2.5%が適用されていたのは、改正政令の附則が「令和八年六月三十日までの間」だけ本則の「百分の二・七」を「百分の二・五」と読み替えていたためです。その読み替えが令和8年6月30日で終わり、本則の数字がそのまま適用されるようになりました。同じ日に、国・地方公共団体は3.0%へ、都道府県に置かれる教育委員会等は2.9%へ、特殊法人は3.0%へ切り替わっています。
Q. 労働者が何人以上だと障害者雇用の報告が必要ですか?
A. 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則7条により、労働者37.5人以上です(施行令別表第二に掲げる法人は33.5人以上)。令和8年6月30日までは40人以上でしたが、これも附則の読み替えによるもので、7月1日から本則の37.5人になりました。37.5人という数字は割り算から出てきます。法43条1項が1人未満の端数を切り捨てると定めているので、37.0人だと 37.0 × 2.7% = 0.999 で0人、37.5人だと 37.5 × 2.7% = 1.0125 で1人になります。0.5人刻みなのは、短時間労働者を0.5人として数えるからです(施行規則6条)。
Q. 法定雇用率を達成できないと罰則がありますか?
A. 未達成そのものに対する罰則はありません。法86条が30万円以下の罰金を定めているのは、1号の報告義務違反、つまり法43条7項の報告をしないことと虚偽の報告をすること、そして2号の計画に関する違反、つまり法46条1項の命令に違反して雇入れに関する計画を作成しないことと、同条4項に違反して計画を提出しないことです。未達成の事業主に対しては、まず厚生労働大臣が雇入れに関する計画の作成を命ずることができ(法46条1項)、その計画には提出義務があり、著しく不適当な場合の変更勧告や適正な実施に関する勧告が続きます。障害者雇用納付金も罰金ではなく、法53条1項が調整金や助成金の支給に要する費用に充てるためのものと定めています。
Q. 障害者雇用納付金はいくらですか?
A. 不足1人・1か月あたり5万円です。施行令17条が調整基礎額を5万円と定めており、法54条1項がこの額に各月初日の労働者数へ基準雇用率を乗じた数(端数切捨て)の年間合計を掛けた額を計算し、法55条1項が実際に雇用している対象障害者の分を差し引いた差額を納付額とします。労働者200人で対象障害者を3人雇用している会社なら、法定雇用障害者数は200 × 2.7% = 5.4 で5人、不足は2人ですから、2 × 5万円 × 12か月 = 120万円です。実際に雇用している数が基準を満たしていれば、法55条2項により納付金は徴収されません。
Q. 労働者100人以下の会社にも障害者雇用納付金はかかりますか?
A. かかりません。法附則4条1項が、労働者100人以下の事業主(特殊法人を除く)について、当分の間、調整金に関する49条1項1号と50条、および納付金の徴収を定めた第3章第2節第2款などを適用しないと定めています。ただし外れているのは納付金と調整金だけで、雇用義務そのものと6月1日現在の報告義務は残ります。代わりに法附則4条3項の報奨金があり、施行規則附則3条が定める4%または72人(=月6人)のいずれか多いほうを超えた分について、1人・1か月あたり2万1千円が支給されます。申請期限は納付金や調整金の5月15日ではなく、翌年度の7月31日です。
Q. 短時間で働く障害者は何人として数えますか?
A. 原則は0.5人です(法43条3項・8項、施行規則6条)。ただし重度身体障害者または重度知的障害者である短時間労働者は1人(法43条5項、施行規則6条の2)、精神障害者である短時間労働者は当分の間1人として数えます(施行規則附則6条)。短時間労働者でない重度身体障害者・重度知的障害者は2人として数えます(法43条4項、施行令10条)。なお法43条3項は短時間労働者を「厚生労働大臣の定める時間数未満」の労働者と定義していますが、その時間数は法律にも政令にも省令にも書かれておらず告示で定められているため、条文だけを追ってもたどり着けません。
Q. 除外率とは何ですか。自社の業種は対象ですか?
A. 業種の特性上、障害者の就業が一般的に困難と認められる業種について、労働者の総数から一定割合を差し引いてから雇用率をかける仕組みです(法附則5条、施行規則附則1条の3と別表第四)。現行の別表第四は23業種・11段階で、5%から70%まであります。医療業は20%、建設業は10%、幼稚園と幼保連携型認定こども園は50%です。2025年4月1日にすべての区分が一律10ポイント引き下げられ、0%になった9業種が表から消え、警備業と介護老人保健施設・介護医療院が新たに加わりました。法附則5条2項は、この措置を「速やかに廃止するものとする」と定めています。業種の判定は日本標準産業分類によるので、当てはめはハローワークに確認してください。
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出典
- e-Gov法令検索「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和三十五年法律第百二十三号)第43条(一般事業主の雇用義務等。1項の端数切捨て、3項〜5項・8項の算定、7項の報告)、第46条(雇入れに関する計画)、第50条(調整金)、第53条(納付金の徴収及び納付義務)、第54条(納付金の額等)、第55条(雇用している場合の差額・不徴収)、第56条(申告と納付、決定と納入の告知)、第86条(罰則)、附則第4条(100人以下の暫定措置と報奨金)、附則第5条(除外率の暫定措置と廃止条項)。法令API v2(law_revision_id: 335AC0000000123_20251001_504AC0000000104)で全文取得
- e-Gov法令検索「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令」(昭和三十五年政令第二百九十二号)第2条(国・地方公共団体の率)、第9条(障害者雇用率)、第10条(重度は2人)、第10条の2第2項(特殊法人の率)、第13条(調整金の申請期限)、第14条(120)、第15条(単位調整額2万9千円)、第17条(調整基礎額5万円)、第18条(基準雇用率)、第20条・第21条(在宅就業)、および令和五年政令第四十四号による改正の附則第3条(令和八年六月三十日までの読み替え)。法令API v2(law_revision_id: 335CO0000000292_20260401_507CO0000000395)で全文取得
- 同上について、法令API v2 の
law_revisionsで過去リビジョンを列挙し、2023年4月1日施行版・2024年4月1日施行版・2025年4月1日施行版・現行版・2027年4月1日施行版の第9条を1本ずつ取得して突き合わせ、本則が2024年4月1日施行版から現在まで「百分の二・七」で変わっていないことを確認 - e-Gov法令検索「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則」(昭和五十一年労働省令第三十八号)第5条(雇用関係の変動=雇入れと解雇)、第6条(0.5人)、第6条の2(1人)、第7条(37.5人・33.5人)、第8条(6月1日現在・翌月15日まで・管轄公共職業安定所長)、第25条の7(2万3千円)、附則第1条の3および別表第四(除外率)、附則第2条(報奨金の申請期限)、附則第3条(報奨金の率・数・額)、附則第3条の3(在宅就業単位報奨額)、附則第6条(精神障害者である短時間労働者は当分の間1人)、および令和五年厚生労働省令第十六号による改正の附則第2条(令和八年六月三十日までの40人・36人への読み替え)。法令API v2(law_revision_id: 351M50002000038_20260401_508M60000100052)で全文取得
- 同上について、2025年3月31日施行版(351M50002000038_20250331_507M60000100031)と現行版の別表第四を機械で突き合わせ、業種数が29から23へ、除外率の段階が5%〜80%の13段階から5%〜70%の11段階へ変わったこと、9業種が削除され3業種が追加されたことを確認。区分ごとの業種数・段階数はいずれも目視ではなくプログラムで計数しています
- 2026年10月1日施行予定のリビジョン(351M50002000038_20261001_508M60000100018)も取得し、第7条の37.5人と別表第四に変更が入っていないことを確認
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。自社が除外率設定業種に当たるか、個々の従業員を何人として数えるか、納付金の申告額の確定については、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、または社会保険労務士にご確認ください。