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準確定申告は「4か月以内」だけでは足りない — 1月1日から3月15日に亡くなると、申告書は前年分と本年分の2枚になる

結論から言うと、準確定申告とは、年の途中で亡くなった方の1月1日から死亡日までの所得を、相続人が代わりに申告する手続です。根拠は所得税法125条で、期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日とされています。ここまでは、どの解説にも書かれています。

ただし「4か月以内に1枚出す」で片づくとは限りません。亡くなった日が1月1日から3月15日までの間で、前年分の確定申告書がまだ提出されていなかった場合、前年分の申告義務も相続人に移り、しかも同じ4か月の期限に乗ります。根拠は125条ではなく、その手前の所得税法124条です。つまり申告書は前年分と本年分の2枚になり、どちらも通常の3月15日ではなく、知った日から数えた期限に従います。

もうひとつ、実務で金額が動くのが所得控除の切り方です。医療費控除や社会保険料控除は死亡日までに支払った分しか使えない一方で、配偶者控除や扶養控除は月割りをせず満額を引きます。所得は1年に満たないのに控除は丸ごと、という非対称がここにあります。以下、条文で順に確認します。なお申告期限そのものの数え方(起算日が死亡日ではないこと、納付期限も同じ日であること)は確定申告はいつまでかで扱っているので、この記事では期限の「対象範囲」と「中身」に絞ります。

準確定申告とは — 1月1日から死亡日までを相続人が申告する

所得税は暦年で区切って計算します。年の途中で亡くなると、その年は1月1日から死亡日までの期間で打ち切られ、本人が申告することはできません。そこで相続人が代わりに申告する仕組みが置かれています。所得税法125条1項の柱書きが、その場面を定めています。

居住者が年の中途において死亡した場合において、その者のその年分の所得税について第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出しなければならない場合に該当するときは、その相続人は、第三項の規定による申告書を提出する場合を除き、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日(同日前に当該相続人が出国をする場合には、その出国の時。以下この条において同じ。)までに、税務署長に対し、当該所得税について第百二十条第一項各号に掲げる事項その他の事項を記載した申告書を提出しなければならない。

読み取れることが3つあります。ひとつめは、準確定申告が必要になるのは「第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出しなければならない場合に該当するとき」だという点です。つまり、生きていれば確定申告が要る人だったかどうかで決まります。年金と給与だけで確定申告が不要だった方なら、準確定申告も義務にはなりません(還付を受けるために出すことはできます。後述します)。

ふたつめは、期限の起算日が死亡日ではなく「相続の開始があったことを知った日の翌日」である点です。相続人が複数いて、亡くなったことを知った日が違えば、期限も人によって違うことになります。みっつめは、終わりが「四月を経過した日の前日」と書かれている点です。この2点は確定申告はいつまでかで詳しく扱っています。

「準確定申告」という言葉は条文に出てこない

所得税法124条の見出しは「確定申告書を提出すべき者等が死亡した場合の確定申告」、125条は「年の中途で死亡した場合の確定申告」です。法律上はあくまで確定申告の一場面で、「準確定申告」は国税庁の案内や提出書類の名称(死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表)で使われている実務上の呼び名です。条文を検索するときは「死亡」で引くほうが早く当たります。

1月1日〜3月15日の死亡で、申告書が2枚になる(124条)

ここが、この記事でいちばん実務に効くところです。所得税の確定申告は、翌年2月16日から3月15日までの間に行います。ということは、1月1日から3月15日までの間に亡くなった方には、前年分の申告がまだ済んでいない可能性があるということです。この場面を受けているのが所得税法124条1項です。

第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出すべき居住者がその年の翌年一月一日から当該申告書の提出期限までの間に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その相続人は、次項の規定による申告書を提出する場合を除き、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日(同日前に当該相続人が出国をする場合には、その出国の時。以下この条において同じ。)までに、税務署長に対し、当該申告書を提出しなければならない。

「その年の翌年一月一日から当該申告書の提出期限までの間に……提出しないで死亡した場合」という条件が、まさに1月1日から3月15日までの死亡を指しています。そしてその場合の期限は、本来の3月15日ではなく「相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日」に置き換わります。

結果として、2月10日に亡くなり前年分の確定申告書がまだ出ていなかった方については、次の2枚を同じ期限までに出すことになります。

国税庁のタックスアンサーNo.2022も、同じことを注記しています。確定申告をしなければならない人が翌年1月1日から確定申告期限までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合、この場合の準確定申告の期限は前年分・本年分ともに相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内である、という書き方です。

A. 年の途中で亡くなった場合(6月10日に死亡)— 申告書は1枚 本年分(125条1項) 1/1 死亡 6/10 期限 知った日の翌日 から4月経過日の前日 B. 1/1〜3/15に亡くなり前年分が未提出(2月10日に死亡)— 申告書は2枚 前年分(124条1項) 本年分 前年 1/1 12/31 死亡 2/10 期限(2枚とも同じ) 本来の3/15ではない
年の途中で亡くなった場合(A)は本年分の1枚だけだが、1月1日から3月15日までに亡くなり前年分の確定申告書がまだ出ていない場合(B)は、前年分と本年分の2枚が同じ期限に乗る。Bの期限は本来の3月15日ではなく、相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日になる。
見落とすと期限が「早まる」ことがある

2枚になること自体より、期限の向きに注意が要ります。たとえば1月20日に亡くなり、相続人がその日に知った場合、前年分の期限は5月19日ごろとなり本来の3月15日より後ろへ動きます。一方で3月10日に亡くなった場合も同じ計算で7月上旬となり、やはり後ろです。124条は期限を前へ倒す条文ではありません。ただし後述の出国の場合だけは前倒しになります。なお、前年分について既に本人が確定申告書を提出済みであれば、124条は働きません(「提出しないで死亡した場合」が要件のため)。

控除は死亡日で切られる — ただし月割りはしない

準確定申告で金額を間違えやすいのが所得控除です。原則は死亡日までに被相続人が支払ったものだけが対象になります。医療費控除でいえば、所得税法73条1項が対象を「支払つた」ものと書いています。

居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、その年中に支払つた当該医療費の金額

この「支払つた」が効きます。入院していた方が亡くなり、退院時の精算を相続人が後日支払った場合、その医療費は被相続人が支払ったものではないので、準確定申告の医療費控除には入れられません。国税庁タックスアンサーNo.2022も、医療費控除の対象となるのは死亡の日までに被相続人が支払った医療費であり、死亡後に相続人等が支払ったものを準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできない、と明示しています。

同じ考え方で、社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除は死亡の日までに被相続人が支払った保険料等の額が対象、寄附金控除は死亡の日までに支出した特定寄附金が対象とされています。

ところが人的控除だけは扱いが違います。配偶者控除や扶養控除は、判定こそ死亡日の現況で行いますが、金額は月割りしません。国税庁の同じページが、配偶者控除額、配偶者特別控除額、扶養控除額および特定親族特別控除額の月割計算等は行わない、としています。

控除対象の切り方金額
医療費控除死亡日までに被相続人が支払った分実額(死亡後に相続人が払った分は不可)
社会保険料控除死亡日までに被相続人が支払った分実額
生命保険料控除・地震保険料控除死亡日までに被相続人が支払った分実額
小規模企業共済等掛金控除死亡日までに被相続人が支払った分実額
寄附金控除死亡日までに被相続人が支出した特定寄附金実額
配偶者控除・扶養控除など死亡日の現況で該当するかを判定月割りせず満額

この非対称は、実際の税額でそれなりに動きます。2月に亡くなった給与所得者であれば、所得は2か月分しかないのに配偶者控除38万円は満額を引ける、という形になるためです。逆に、年払いの生命保険料を12月に払う習慣だった方が3月に亡くなると、その年の生命保険料控除はゼロになります。「所得は日割りで切れるが、控除は種類ごとに切り方が違う」と覚えておくと間違えにくくなります。

「12月31日」と書いてある条文が、死亡日に読み替わる仕組み

前節の「判定は死亡日の現況で行う」は、条文のどこに書いてあるのでしょうか。扶養控除の判定時期を定めているのは所得税法85条3項ですが、そこを読んでも死亡の話は出てきません。

第七十九条から前条までの場合において、その者が居住者の老人控除対象配偶者若しくはその他の控除対象配偶者若しくはその他の同一生計配偶者若しくは第八十三条の二第一項(配偶者特別控除)に規定する生計を一にする配偶者又は特定扶養親族、老人扶養親族若しくはその他の控除対象扶養親族若しくはその他の扶養親族若しくは前条第一項に規定する特定親族(第五項から第七項までにおいて「特定親族」という。)に該当するかどうかの判定は、その年十二月三十一日の現況による。ただし、その判定に係る者がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。

3項が言っているのは「その年十二月三十一日の現況による」だけで、ただし書きも判定される側(配偶者や扶養親族)が死亡していた場合の話です。納税者本人が年の途中で亡くなった場合のことは書かれていません。

答えは同じ条の1項の括弧書きにあります。

その年十二月三十一日(その者がその年の中途において死亡し、又は出国をする場合には、その死亡又は出国の時。以下この条において同じ。)の現況による。

末尾の「以下この条において同じ」が要点です。1項で定義した読み替えが同じ条の全体に及ぶので、3項の「その年十二月三十一日」も、本人が年の途中で死亡した場合には「その死亡……の時」と読むことになります。3項だけを読んでいると、この読み替えは見えません。

1つの条文に「2つの死亡」が出てくる

85条は死亡を2回扱っており、根拠となる文言が別です。混同すると判定日を取り違えます。
納税者本人が死亡 … 1項括弧書き+「以下この条において同じ」→ 判定は本人の死亡の時
配偶者・扶養親族の側が死亡 … 各項のただし書き → 判定はその親族の死亡の時
たとえば7月に扶養していた父が亡くなり、その後11月に本人も亡くなった場合、父についての扶養控除の判定は父の死亡時の現況で行い、控除は月割りせず適用されます。

「4か月」を書いていない項がある — 還付のための準確定申告

準確定申告は「4か月以内」と一律に説明されることが多い手続です。ただし条文を項ごとに並べると、期限の文言が入っている項と入っていない項があります

条項対象義務か任意か「四月を経過した日の前日」の文言
124条1項前年分の確定所得申告(120条1項)提出しなければならないある
124条2項前年分の確定損失申告(123条1項)提出することができるある
125条1項本年分の確定所得申告(120条1項)提出しなければならないある
125条2項本年分の還付等を受けるための申告(122条)提出することができるない
125条3項本年分の確定損失申告(123条1項)提出することができるある

125条2項の条文は次のとおりです。

居住者が年の中途において死亡した場合において、その者のその年分の所得税について第百二十二条第一項又は第二項(還付等を受けるための申告)の規定による申告書を提出することができる場合に該当するときは、その相続人は、次項の規定による申告書を提出することができる場合を除き、政令で定めるところにより、税務署長に対し、当該所得税について第百二十条第一項各号及び第百二十二条第一項各号に掲げる事項その他の事項を記載した申告書を提出することができる。

1項・3項にある「その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日までに」が、2項にだけありません。これは生前の還付申告の構造と同じです。確定申告はいつまでかで扱ったとおり、還付を受けるための申告(122条)には確定申告期間の縛りが無く、請求権の時効として国税通則法74条1項の5年が働きます。

ただし「4か月を過ぎてよい」と読まないこと

条文に期限の文言が無いことと、遅れて出して不利益が無いことは別の話です。第一に、義務のある準確定申告(125条1項)に該当するかどうかは、源泉徴収や予定納税の状況によって判断が分かれることがあります。第二に、青色申告特別控除の55万円・65万円のように、期限内申告が適用の要件になっている特例は、還付申告であっても法定申告期限までの提出が必要です(国税庁タックスアンサーNo.2030)。第三に、相続税の申告期限は10か月で、準確定申告の還付金は相続財産として相続税の課税対象に含まれるため、実務上は先に片づけたほうが段取りが楽になります。ここで示したのは条文の書きぶりの違いであって、期限を延ばしてよいという判断ではありません。

相続税がいくらかかるかを、法定相続人の数から試算する

相続人が2人以上なら連署。別々に出すと通知義務が生じる

相続人が複数いる場合の出し方は、所得税法施行令263条2項が定めています。

前項の申告書を提出する場合において、相続人が二人以上あるときは、当該申告書は、各相続人が連署による一の書面で提出しなければならない。ただし、他の相続人の氏名を付記して各別に提出することを妨げない。

原則は全員が署名した1通です。ただし書きにより、他の相続人の氏名を付記して各自が別々に出すこともできます。相続人が遠方にいる場合や、関係がこじれていて1枚に集めにくい場合に使える逃げ道です。

ただし、別々に出す方を選ぶと義務が1つ増えます。同条3項です。

前項ただし書の方法により同項に規定する申告書を提出した相続人は、遅滞なく、他の相続人に対し、当該申告書に記載した事項の要領を通知しなければならない。

「遅滞なく」「要領を通知しなければならない」と書かれており、努力義務ではありません。別々に出す選択は手続を軽くするものではなく、連署の手間を通知の手間に置き換えるものだと理解しておくのが正確です。

提出時には、各相続人等の氏名・住所・被相続人との続柄などを記入した付表(死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表)を添付します。また、還付金の受領を相続人の代表者等に委任する場合は、付表とは別に委任状の提出が必要になります。付表に代表者を書いただけでは受領の委任にはならない、という点は取り違えやすいところです。

出国すると期限が前倒しになる — 括弧書きの中の例外

124条1項と125条1項には、同じ括弧書きが入っています。期限を示す部分を抜き出すと次のようになります。

その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日(同日前に当該相続人が出国をする場合には、その出国の時。以下この条において同じ。)までに、税務署長に対し

括弧の中が例外です。4月を経過した日の前日より前に相続人が出国する場合には、その出国の時が期限になります。この記事で扱ってきた124条の2枚化が期限を後ろへ動かす話だったのに対し、こちらは前へ動かす唯一の場面です。海外赴任が決まっている相続人が申告を担当する場合には、4か月という数字だけを見ていると間に合いません。

なお、この括弧書きは条文の途中に挟まっているため読み飛ばされがちです。4月を経過した日の前日までに提出しなければならない、とだけ要約した解説では、この例外が落ちます。

消費税の準確定申告 — 生前はずれていた2つの期限が揃う

被相続人が個人事業者で消費税の課税事業者だった場合、消費税にも準確定申告があります。消費税法45条3項です。

個人事業者が課税期間の中途において死亡した場合において、その者の当該課税期間分の消費税について第一項の規定による申告書を提出しなければならない場合に該当するときは、その相続人は、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日までに、税務署長に当該消費税について当該申告書を提出しなければならない。

所得税法125条1項とほぼ同じ文言です。さらに同条2項が、前の課税期間分の申告書を出さないまま死亡した場合について、所得税法124条1項と同じ構造の規定を置いています。消費税も同じように2枚になりうるということです。

ここで面白いのは、生きている間はずれていた2つの期限が、死亡によって揃う点です。個人事業者の消費税の確定申告期限は3月31日で、所得税の3月15日とは16日ずれています(確定申告はいつまでかで扱いました)。ところが準確定申告では、所得税も消費税も、相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日で揃います。

所得税消費税(個人事業者)
生前の確定申告翌年3月15日翌年3月31日(16日ずれる)
準確定申告知った日の翌日から4月を経過した日の前日同じ日
根拠(本年分)所得税法125条1項消費税法45条3項
根拠(前年分・前課税期間分)所得税法124条1項消費税法45条2項

ただし、消費税法45条2項・3項には所得税法にあった出国の括弧書きがありません。相続人が出国する場合、所得税の期限だけが前倒しになり、消費税は4月を経過した日の前日のまま、という食い違いが起こりえます。

提出先は相続人の税務署ではない(16条3項)

最後に提出先です。相続人が自分の住所地の税務署へ出すものと考えてしまいがちですが、所得税法16条3項がはっきり否定しています。

納税義務者が死亡した場合には、その死亡した者の所得税の納税地は、その相続人の所得税の納税地によらず、その死亡当時におけるその死亡した者の所得税の納税地とする。

「その相続人の所得税の納税地によらず」と名指しで書かれているところが、この条文の親切なところです。提出先は被相続人が亡くなった当時の納税地を所轄する税務署長になります。被相続人が地方に住んでいて相続人が都市部にいる、という組み合わせでは、書類を郵送する先を間違えやすい部分です。

なお、亡くなった年の翌年度の住民税は課されません。住民税は1月1日を賦課期日として、その日に住所がある市区町村が課すためです。準確定申告の説明に住民税の話が出てこないのは、そもそも課税されないからです(前年分の住民税は、亡くなる前に既に決まっているものが相続人に承継されます)。

よくある質問

Q. 準確定申告は必ずしなければならないのですか?

A. 全員に必要なわけではありません。所得税法125条1項は、亡くなった方が「第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出しなければならない場合に該当するとき」に相続人の義務が生じると定めています。つまり、生きていれば確定申告が必要だった方かどうかで決まります。給与1か所のみで年末調整が済む見込みだった方や、公的年金等の収入が一定額以下だった方は義務にならないことがあります。ただし義務が無い場合でも、源泉徴収税額が納めすぎになっていれば125条2項により還付を受けるための申告を出すことができます。医療費が多くかかった年に亡くなった場合は、還付になることが少なくありません。

Q. 1月に亡くなりました。前年分の確定申告は3月15日までに出すのですか?

A. 前年分の確定申告書がまだ提出されていなければ、期限は3月15日ではなく、所得税法124条1項により相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日になります。本年分(1月1日から死亡日まで)の準確定申告も同じ期限なので、申告書は2枚を同じ期限で出すことになります。すでに被相続人本人が前年分を提出済みであれば、124条は働かず、本年分の1枚だけです。

Q. 亡くなった後に相続人が支払った入院費は、医療費控除に入れられますか?

A. 準確定申告の医療費控除には入れられません。所得税法73条1項が対象を被相続人が「支払つた」医療費としており、国税庁タックスアンサーNo.2022も、死亡後に相続人等が支払ったものを被相続人の準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできないと明示しています。なお、被相続人の死亡時に未払いだった医療費は相続税の計算上の債務として扱われる余地があるため、相続税の申告を行う場合には、そちらで拾えるかを確認することになります。また、その医療費を支払った相続人が被相続人と生計を一にしていた場合には、支払った相続人自身の医療費控除の対象になることがあります。

Q. 2月に亡くなった場合、配偶者控除は12分の2になりますか?

A. なりません。国税庁タックスアンサーNo.2022は、配偶者控除額、配偶者特別控除額、扶養控除額および特定親族特別控除額の月割計算等は行わないとしています。該当するかどうかの判定を死亡の日の現況で行ったうえで、金額は満額を適用します。所得のほうは1月1日から死亡日までの分しかないため、所得は短く控除は丸ごと、という形になります。

Q. 相続人が3人います。1人がまとめて申告してもよいですか?

A. 所得税法施行令263条2項の原則は、各相続人が連署による一の書面で提出することです。ただし同項ただし書により、他の相続人の氏名を付記して各別に提出することもできます。1人が代表して出す形を取る場合でも、連署をもらうか、各別提出として同条3項の通知(遅滞なく、他の相続人に対し申告書に記載した事項の要領を通知すること)を行う必要があります。また、還付金の受領を代表者に集約したい場合は、付表とは別に委任状の提出が必要です。

Q. どの税務署に提出しますか?

A. 被相続人が亡くなった当時の納税地を所轄する税務署です。所得税法16条3項が、死亡した者の所得税の納税地はその相続人の所得税の納税地によらず、その死亡当時における死亡した者の納税地とすると定めています。相続人が自分の住所地の税務署に出すものではない点に注意が必要です。

Q. 被相続人が個人事業者でした。消費税の申告も要りますか?

A. 課税事業者であった場合は必要です。消費税法45条3項が、課税期間の中途で死亡した個人事業者について、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日までに申告書を提出しなければならないと定めています。前の課税期間分の申告書を提出しないまま亡くなった場合は同条2項が働くため、所得税と同様に2枚になることがあります。生前は所得税3月15日・消費税3月31日とずれていた期限が、準確定申告では同じ日に揃います。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。実際の申告の判断は、税理士など有資格者にご確認ください。

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