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給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 — 証明書方式と調書方式で、勤務先に出す書類が違う

結論から言うと、この申告書に添える書類は人によって違います。金融機関から年末残高等証明書が届く人(証明書方式)は、それを添えて出します。届かない人(調書方式)は、添える証明書がありません。代わりに備考欄へ「調書方式に対応する金融機関からの借入れ」と書きます。

分かれ目は勤務先でも金融機関の親切さでもなく、住み始めたのが令和5年1月1日より前かどうかです。租税特別措置法施行令26条の2第1項が、金融機関に年末残高等証明書を交付する義務を負わせる相手を「令和五年一月一日前に……居住の用に供する家屋について」適用を受けようとする個人に限っているためです。令和5年1月1日以後に住み始めた人については、代わりに措置法41条の2の3が、本人が金融機関に「適用申請書」を出す義務を置き、金融機関が税務署へ調書を出す仕組みに切り替わっています。

そしてもう一つ、令和8年分の年末調整で実際に手が止まりやすいのが年末残高の欄です。調書方式で印字されている残高は見込額であり、繰上返済をすれば実際の12月31日残高と食い違います。条文が控除額の基礎に置いているのは、あくまでその年の12月31日の残高です。

この記事では、申告書という1枚の書類そのもの——いつ誰に届き、何を添え、いつまでに出し、出したあとどこへ行くのか——を条文で確認します。控除を受けられるかどうかの要件は住宅ローン控除の適用要件に、控除額そのものの計算は住宅ローン控除 計算機に譲ります。

2年目からの1枚。1年目に確定申告した人にだけ届く

住宅ローン控除は、1年目だけ自分で確定申告し、2年目以降を年末調整で受けます。これは運用上の慣行ではなく、条文の構造そのものです。措置法41条の2の2第1項は、この申告書を出せる人を「いずれかの年分の所得税につき同条第一項の規定の適用を受けた個人」と定めています。ここでいう41条1項の適用とは、確定申告で住宅ローン控除を受けたことを指します。1年目に確定申告をしていなければ、そもそもこの申告書の出番がありません。

用紙は自分で取りに行くものではありません。措置法41条の2の2第7項が、税務署長に対して、申請があった場合に居住日その他の事項についての証明書を交付しなければならないと定めています。実務ではこの証明書と申告書が1枚に刷られており、国税庁はこれを『年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書及び給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細書』と呼んでいます。長い名前ですが、1枚が「税務署の証明書」「本人の申告書」「控除額の計算明細書」の3つの役目を兼ねていると読めば分かりやすくなります。

この用紙は、1年目の確定申告のあとに残りの適用年分がまとめて送られてきます。国税庁の説明書も、令和8年分以後の証明書兼申告書をこの説明書とともに保存しておくよう案内しており、複数年分を保存する前提で書かれています。つまり毎年届くものではありません。一度に届いて、あとは自分で保管する書類です。なくしたときは、税務署に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を出して再交付を受けます。

1年目(居住年) 自分で確定申告 措置法41条1項の適用を受ける 税務署が証明書兼申告書を交付 残りの適用年分をまとめて1回で 2年目以降(毎年の年末調整) 証明書方式 令和4年12月31日以前に居住 ① その年分の証明書兼申告書 ② 年末残高等証明書(11月下旬頃到着) → ①②を勤務先へ 年末残高欄は自分で書く 調書方式 令和5年1月1日以後に居住 ① その年分の証明書兼申告書だけ ② 年末残高等証明書は交付されない → ①のみを勤務先へ 備考欄に調書方式である旨を記載
1年目の確定申告が起点になる。用紙は残りの適用年分がまとめて届くので、2年目以降は自分の引き出しから出して書く。添える書類が方式で分かれる。

証明書方式と調書方式 — 添える書類が違う

年末残高をどこから持ってくるかには2つの経路があり、国税庁はそれぞれを証明書方式調書方式と呼んでいます。国税庁の説明書は、証明書方式を「納税者の方が、金融機関等から交付を受けた年末残高等証明書を年末調整の際に、勤務先に提出する方式」と定義しています。調書方式については、金融機関等から税務署に「住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等調書」を提出し、国税当局から納税者に住宅借入金等の年末残高情報を提供する方式だと説明しています。

どちらになるかを決めているのは、措置法施行令26条の2第1項です。金融機関に証明書の交付を義務づける対象を、次のように区切っています。

令和五年一月一日前に法第四十一条第一項の定めるところにより居住の用に供する家屋について同項又は法第四十一条の二の二第一項の規定の適用を受けようとする個人から、当該個人がこれらの規定の適用を受けようとする年の十二月三十一日(その者が死亡した日の属する年にあつては、同日)における当該住宅借入金等の金額その他の事項を証する書類で財務省令で定めるものの交付の申請

「令和五年一月一日前に」という限定が付いています。令和5年1月1日以後に住み始めた家屋については、金融機関に年末残高等証明書を交付する義務がありません。だから届かないのであって、手続の漏れではありません。

その代わりに置かれたのが、措置法41条の2の3第1項です。ここには、実務でほとんど説明されない本人側の義務が書かれています。

令和五年一月一日以後に居住の用に供する家屋について第四十一条第一項又は前条第一項の規定の適用を受けようとする個人は、住宅借入金等(第四十一条第一項に規定する住宅借入金等をいう。以下第三項までにおいて同じ。)に係る債権者(当該住宅借入金等に係る債権者その他の政令で定める者をいう。次項において同じ。)に、当該個人の氏名及び住所、個人番号その他の財務省令で定める事項(次項において「申請事項」という。)を記載した書類(以下この項及び次項において「適用申請書」という。)の提出(当該適用申請書の提出に代えて行う電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。)による当該適用申請書に記載すべき事項の提供を含む。)をしなければならない。
調書方式は「自動」ではない金融機関が勝手に税務署へ調書を出してくれるのではありません。本人がマイナンバーを書いた「住宅ローン控除の適用申請書」を金融機関に出して初めて、調書の経路が開きます。条文の末尾は「しなければならない」で、任意の申請ではありません。国税庁の説明書も、借入先の金融機関が新たに調書方式に対応した場合について、その金融機関へマイナンバー等を記載した「住宅ローン控除の適用申請書」を提出したことを、調書方式による適用を受ける前提として挙げています。

金融機関が出す調書の期限も条文にあります。措置法41条の2の3第2項は、適用申請書の提出を受けた債権者が「各年の十月三十一日(その適用申請書の提出を受けた日の属する年にあつては、その翌年一月三十一日)までに」調書を作成して税務署長に提出しなければならないと定めています。初年だけ翌年1月31日で、以後は毎年10月31日です。

 証明書方式調書方式
対象令和4年12月31日以前に居住開始令和5年1月1日以後に居住開始(かつ金融機関が対応済み)
本人が事前にすること特になし金融機関へ「住宅ローン控除の適用申請書」を提出(措置法41条の2の3第1項・義務)
年末残高の出どころ金融機関の年末残高等証明書(11月下旬頃に到着)金融機関→税務署の調書(10月31日まで。初年は翌年1月31日)
勤務先に出すもの証明書兼申告書 + 年末残高等証明書証明書兼申告書のみ
備考欄記載不要「調書方式に対応する金融機関からの借入れ」などと記載
借入先が複数なら、全部の証明書が要る証明書方式では、国税庁の説明書が「借入先が複数の方は、全ての年末残高等証明書を提出する必要があります」と明記しています。土地と建物で借入先が分かれているケースは珍しくありません。1枚だけ添えて出すと、その分の年末残高が計算から落ちます。

印字された年末残高は見込額。繰上返済すると狂う

調書方式では、証明書兼申告書に控除見込額があらかじめ印字されていることがあります。便利ですが、これは確定額ではありません。

理由は調書の期限を見れば分かります。金融機関が調書を出すのは10月31日までで、そこに書くのは「その年の十二月三十一日……における住宅借入金等の金額」です。10月末の時点で12月末の残高を書くのですから、返済予定表から計算した見込みにならざるを得ません。11月や12月に繰上返済をすれば、実際の12月31日残高はその見込みより低くなります。

控除額の基礎に置かれているのは、あくまで実際の12月31日残高です。措置法41条2項がそう定めています。

前項に規定する住宅借入金等特別税額控除額は、その年十二月三十一日における住宅借入金等の金額の合計額(当該合計額が借入限度額を超える場合には、当該借入限度額)に控除率を乗じて計算した金額(当該金額に百円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)とする。

国税庁の説明書も、記載例の注記で同じことを書いています。調書方式では「原則、控除見込額が記載されるため、計算の参考にしてください」としたうえで、「繰上返済などにより、ワ、カ 又は ヨ 欄に記載された年末残高と実際の住宅借入金等の年末残高が異なることとなった場合には、実際の年末残高により計算する必要があります」と続けています。印字された数字は参考値であって、正しいのは実際の残高のほうです。

令和8年分は、調書方式でも年末残高が空欄で届いていることがある令和6年に居住を始めた人向けの説明書は、年末残高の欄が空欄で表示される場合として「証明書方式の場合」と「調書方式で令和8年分以降の場合」の2つを挙げています。同じ説明書は、記載例の冒頭でも「調書方式の場合で令和8年分以降は、金融機関等から交付される住宅ローン返済計画表等を基に年末残高を記載してください」と案内しています。前年は印字されていたのに今年は空欄、という形になります。空欄は不備ではありません。返済予定表を用意して自分で書きます。

なお、100円未満の端数は切り捨てです。控除率を掛けた結果が210,050円なら、控除額は210,000円になります。これは41条2項の括弧書きが定めているもので、四捨五入ではありません。

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所得2,000万円を超える年は「提出することができない」

所得制限は、控除の要件としてだけでなく申告書の提出そのものの制限として書かれています。措置法41条の2の2第2項の後段です。

同日においてその者のその年の合計所得金額の見積額が二千万円

この一節に続けて、床面積が小さい特例の場合は「千万円」と読み替える長い括弧書きが入り、そのうえで「を超えるときは提出することができないものとする」と結ばれています。読みどころは3つあります。

「提出することができない」という書き方は強い表現ですが、実務上の意味ははっきりしています。その年は年末調整では控除を受けられません。ただし控除の権利そのものが消えるわけではなく、41条1項の要件(こちらも合計所得金額2,000万円以下)を満たす年であれば確定申告で受けます。翌年に所得が2,000万円以下へ戻れば、その年はまた申告書を出せます。1年出せなかったことが、翌年以降の適用を打ち切るわけではありません。

期限は12月31日ではない。出した先は税務署ではない

提出期限は、措置法41条の2の2第2項の前段にあります。

前項に規定する申告書は、同項の給与等の支払者からその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、財務省令で定めるところにより、第七項の規定により交付された証明書その他の書類を添付して、提出しなければならないものとし、

最後の給与日そのものではなくその前日です。12月25日が最後の給与日なら、法律上の期限は12月24日になります。ただし会社は年末調整の計算と源泉所得税の納付をしなければならないので、社内の締切はふつう11月中旬から下旬に置かれます。社内締切を法定期限より早く設定することは差し支えありません。この「最後の給与日の前日まで」という書き方は保険料控除申告書や扶養控除等申告書と同じ形です。

宛先も同じ形をしています。41条の2の2第1項は、申告書を「その給与等の支払者を経由して」税務署長に提出すると定めていますが、実際に税務署へ送られるわけではありません。

第一項の場合において、同項に規定する申告書をその提出の際に経由すべき給与等の支払者が受け取つたときは、当該申告書は、その受け取つた日に同項に規定する税務署長に提出されたものとみなす。

会社が受け取った日に、税務署長へ提出があったものとみなされます。書類そのものは会社が持ち続けます。保存の期間は措置法施行規則18条の23第5項にあります。

法第四十一条の二の二第一項に規定する給与等の支払者が適用個人から同項に規定する申告書を受理した場合には、当該申告書を、同項に規定する税務署長が当該給与等の支払者に対しその提出を求めるまでの間、当該給与等の支払者が保存するものとする。ただし、当該申告書に係る同条第二項に規定する提出期限の属する年の翌年一月十日の翌日から七年を経過する日後においては、この限りでない。

起算点が提出日ではなく「提出期限の属する年の翌年一月十日の翌日」である点に注意します。令和8年分なら、令和9年1月11日から7年です。同条4項は、申告書を受理した会社(個人を除く)が自社の法人番号を付記するとも定めています。

もう一つ、書類の重複を減らす規定が施行規則18条の23第3項にあります。一度この証明書を添えて出した人が、その申告書を出したときに経由したのと同じ給与等の支払者を経由して翌年分以降を出す場合には、すでに適用を受けている旨を記載することで、証明書の添付に代えることができます。裏を返すと、転職して別の会社を経由するときは、この読み替えの条件を満たしません。

何枚届くのか — 10年なら9枚、13年なら12枚

用紙がまとめて届く以上、「何年分あるはずか」を知っておくと、足りないことに気づけます。措置法41条の2の2第1項は、年末調整で控除を受けられる年を「当該居住日の属する年の翌年以後九年内」(13年適用となる場合は「十二年内」)と定めています。1年目は確定申告なので用紙は要りません。したがって控除期間10年なら9枚、13年なら12枚が届く計算です。

では自分が10年なのか13年なのか。ここは居住年で条件が変わり、しかも一般の住宅と認定住宅等で別の条文に分かれています。まず一般の住宅は措置法41条1項です。

当該居住の用に供した日の属する年(以下この項、第三項及び第四項並びに次条において「居住年」という。)以後十年間(居住年が令和四年又は令和五年であり、かつ、その居住に係る住宅の取得等が居住用家屋の新築等又は買取再販住宅の取得に該当するものである場合には、十三年間)の適用年

13年になるのは令和4年か令和5年に居住を始めた場合だけで、しかも新築等か買取再販住宅の取得に限られます。令和6年以後に居住を始めた人は、一般の住宅なら10年です。

認定住宅等は措置法41条6項が別に定めており、条件が違います。

当該居住の用に供した日の属する年(次項から第十項までにおいて「居住年」という。)以後十年間(同日の属する年が令和四年から令和七年までの各年であり、かつ、その居住に係る住宅の取得等が認定住宅等の新築等若しくは買取再販認定住宅等の取得に該当するものである場合又は同日の属する年が令和八年から令和十二年までの各年である場合には、十三年間)

ここには非対称があります。令和4年から令和7年までに居住を始めた場合は、新築等か買取再販認定住宅等の取得でなければ13年になりません(中古の認定住宅をそのまま買った場合は10年)。一方令和8年から令和12年までに居住を始めた場合は、その限定が付いていません。同じ「認定住宅等で13年」でも、居住年によって範囲が違います。

なお、ここでいう認定住宅等は41条6項が4つの号で列挙しています。認定長期優良住宅、低炭素建築物等、特定エネルギー消費性能向上住宅、エネルギー消費性能向上住宅の4類型です(号の数は e-Gov の条文を木構造から数えたもので、枝番号はありません)。

居住年一般の住宅(41条1項)認定住宅等(41条6項)
令和4年・令和5年13年(新築等・買取再販住宅の取得)13年(新築等・買取再販認定住宅等の取得)
令和6年・令和7年10年13年(新築等・買取再販認定住宅等の取得)/それ以外は10年
令和8年〜令和12年10年13年(取得の形態による限定なし)
認定住宅等の特例は、年末調整で選び直せない認定住宅等の特例と一般の住宅ローン控除の両方の要件を満たす人について、国税庁の説明書は「確定申告書に記載した控除の適用を受けることとなります。年末調整で変更することはできませんのでご注意ください」と明記しています。選択は1年目の確定申告で固まります。証明書兼申告書は、その確定申告の内容に基づいて発行されています。

転勤で家を出るとき、住まなくなる日までに手を打つ

会社都合の転勤で持ち家を離れると、その年以後は住宅ローン控除が使えなくなります。ただし戻ってきたときに残りの期間を復活させる道があり、それが措置法41条28項です。転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由で住まなくなった後、再び居住の用に供した場合、その年(賃貸していた場合は翌年)以後を適用年とみなす、という規定です。

問題は、その条件を定めた29項です。手続の期限が「戻ってきたとき」ではありません。

前項の規定は、同項の個人が、同項の家屋をその居住の用に供しなくなる日までに同項に規定する事由その他の財務省令で定める事項を記載した届出書(第四十一条の二の二第七項の規定により同項の証明書(これに類するものとして財務省令で定める書類を含む。)の交付を受けている場合には、当該証明書のうち同日の属する年以後の各年分に係るものの添付があるものに限る。)を当該家屋の所在地の所轄税務署長に提出しており、かつ、前項の規定の適用を受ける最初の年分の確定申告書に当該家屋を再びその居住の用に供したことを証する書類その他の財務省令で定める書類(次項において「再居住に関する証明書類」という。)の添付がある場合に限り、適用する。

読み取れることが3つあります。

「戻ってから手続すればいい」が通らない期限が家を出る日である以上、転勤の辞令が出た時点で動く必要があります。ここを外すと、再入居しても28項のみなし規定が働かず、残りの期間はそのまま失われます。国税庁の説明書も、再適用には「家屋を居住の用に供しなくなる日までに、一定の手続をする必要があります」と注意を促しています。

あわせて、住まなくなった年以後の残りの年分は原則として控除の対象外です(災害の場合は別扱いがあります)。また、居住年の翌年以後3年以内に自宅以外の資産を譲渡して居住用財産の譲渡の特例などを受けると、住宅ローン控除が受けられなくなります。詳しくは住宅ローン控除の適用要件で整理しています。

よくある質問

Q. 金融機関から年末残高等証明書が届きません。手続を忘れたのでしょうか?

A. 令和5年1月1日以後に住み始めた家屋であれば、届かないのが通常です。租税特別措置法施行令26条の2第1項は、金融機関に年末残高等証明書を交付する義務を「令和五年一月一日前に」居住の用に供する家屋について適用を受けようとする個人に限っており、それ以後に居住を始めた人はこの義務の対象外だからです。代わりに、措置法41条の2の3第1項が、本人が金融機関へマイナンバーを記載した「住宅ローン控除の適用申請書」を提出することを義務づけ、金融機関が税務署へ調書を出す仕組み(調書方式)に切り替わっています。この場合、勤務先に出すのは証明書兼申告書だけで、備考欄に調書方式に対応する金融機関からの借入れである旨を記載します。なお、令和5年1月1日以後の居住であっても金融機関が調書方式に対応していない場合があるため、届いたかどうかで判断せず、借入先に確認してください。

Q. 調書方式です。証明書兼申告書の年末残高欄が空欄でした。不備ですか?

A. 不備ではありません。国税庁の説明書は、年末残高の欄が空欄で表示される場合として「証明書方式の場合」と「調書方式で令和8年分以降の場合」の2つを挙げています。同じ説明書は、調書方式で令和8年分以降は金融機関から交付される住宅ローン返済計画表等を基に年末残高を記載するよう案内しています。前年は印字されていたのに今年は空欄、という形になりますが、記入して提出すれば問題ありません。返済予定表を手元に用意し、その年の12月31日時点の残高を書きます。借入先が複数あるときは、それぞれについて同じ作業が必要です。

Q. 12月に繰上返済をしました。印字された控除見込額のまま出してよいですか?

A. 出せません。租税特別措置法41条2項は、控除額を「その年十二月三十一日における住宅借入金等の金額の合計額」に控除率を掛けて計算すると定めており、基礎になるのは実際の12月31日残高です。調書方式で印字される見込額は、金融機関が10月31日までに提出する調書に基づくため、その後の繰上返済を織り込んでいません。国税庁の説明書も、繰上返済などにより記載された年末残高と実際の年末残高が異なることとなった場合には実際の年末残高により計算する必要があると明記しています。返済後の残高証明や返済予定表で12月31日残高を確認して計算し直してください。なお計算結果に100円未満の端数があるときは、41条2項の括弧書きにより切り捨てます。

Q. 今年は所得が2,000万円を超えそうです。申告書は出せますか?

A. 出せません。租税特別措置法41条の2の2第2項は、提出期限である「その年最後に給与等の支払を受ける日の前日」において合計所得金額の見積額が2,000万円を超えるときは、この申告書を提出することができないと定めています。判定は確定額ではなく見積額で行います。対象家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満で、証明書の住宅の区分等の欄に特例居住用家屋または特例認定住宅等の記載がある場合は、この基準が1,000万円になります。ただし、その年に年末調整で受けられないというだけで、残りの適用年が失われるわけではありません。翌年に所得が基準以下へ戻れば、その年はまた提出できます。

Q. 転職しました。前の会社に出した証明書はどうなりますか?

A. 前の会社に出した申告書は、その会社が保存しています。租税特別措置法施行規則18条の23第5項が、税務署長が提出を求めるまでの間は給与等の支払者が保存すると定めているためです。新しい会社では、その年分の証明書兼申告書を改めて提出します。同規則18条の23第3項は、証明書の添付に代えて「すでに適用を受けている旨」を記載できる場合を定めていますが、その条件は、以前の申告書を提出したときに経由したのと同じ給与等の支払者を経由して提出することです。転職して別の会社を経由する場合はこの条件を満たしません。なお、転職した年の年末調整は、前職の源泉徴収票を新しい勤務先に提出したうえで通算して行います。間に合わなければ確定申告で控除を受けます。

Q. 用紙をなくしました。再発行できますか?

A. できます。税務署に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を提出して再交付を受けます。この証明書は租税特別措置法41条の2の2第7項に基づくもので、同項は、申請があった場合に税務署長が交付しなければならないと定めています。証明書兼申告書の電子交付を希望する場合も、同じ交付申請書を提出します。ただし再交付には日数がかかるため、年末調整の社内締切に間に合わないことがあります。その場合はその年分だけ自分で確定申告をして控除を受け、翌年分以降を年末調整に戻すという扱いになります。

Q. 転勤で家を離れます。戻ったら控除は再開できますか?

A. 手続をしていれば再開できます。租税特別措置法41条28項が、給与等の支払者からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由で居住の用に供しなくなった後、再びその家屋に住んだ場合について、残りの適用年をみなす規定を置いています。ただし同条29項は、その適用の条件として、家屋を居住の用に供しなくなる日までに所定の届出書を家屋の所在地の所轄税務署長へ提出していることを求めています。期限は戻ってきたときではなく、家を出る日です。さらに、証明書の交付を受けている場合は、その日の属する年以後の各年分の証明書を届出書に添付しなければならないとされているため、手元の残りの用紙は税務署に提出することになります。再び住み始めた最初の年は、確定申告で再居住に関する証明書類を添付して控除を受けます。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の控除の可否や申告書の記載については、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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