企業版ふるさと納税 — 「最大6割」は40%+10%+20%ではない
結論から言うと、企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の税額控除は4つの税目に割れていて、しかも法人税の分だけが「引き算」で決まります。よく見る「法人住民税で4割、法人税で1割、法人事業税で2割、合わせて最大6割」という説明は、足し算のように読めますが足し算ではありません。法人税の1割は住民税の4割枠の内側にある残りで、住民税が4割を吸い切ってしまえば法人税の控除はゼロになります。したがって上限は40%+10%+20%=70%ではなく、40%+20%=60%です。
もう一段踏み込むと、その引き算で差し引かれるのは実際に控除された住民税の額ではありません。租税特別措置法施行令27条の12の2第1項は、差し引く金額を、調整前法人税額に一定の加算・減算をした金額に百分の一・四を乗じて計算した金額と定めています。1.4%という数字は、法人税割の標準税率の合計7%(道府県民税1%+市町村民税6%)に、住民税側の上限である20%を掛けたものです。つまり標準税率で満額まで控除できたと仮定した額を機械的に引く仕組みになっています。
この構造から、実務でいちばん効く数字が1つ出てきます。「最大6割」に届くのは、その事業年度の法人税額が寄附額の約21.4倍以上あるときだけです。法人税額が寄附額の2倍しかない会社なら、合計はおよそ3割にとどまります。金額を決める前に、自社がどのあたりに立っているかを見ておく価値があります。
結論 — 二階建て(全額損金算入+税額控除)である
企業版ふるさと納税の効果は、性質のちがう2つの層でできています。1階が損金算入、2階が税額控除です。この2つを混ぜて数えると計算が合わなくなります。
1階の損金算入は、企業版ふるさと納税に固有の制度ではありません。寄附先が地方公共団体なので、法人税法37条3項1号にそのまま当てはまります。
国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額
37条1項が定める損金算入限度額は、資本金等や所得の金額をもとに計算されます。3項は、そこに挙げた寄附金の額を「同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない」としています。限度額の計算そのものから外れるので、結果として全額が損金になります。一般の寄附金のように限度額で頭を打つことはありません。
2階の税額控除が、地方創生応援税制の本体です。こちらは寄附額に対する率で決まり、しかも税目ごとに率と上限が別々に決められています。次章以降がその中身です。
なお1階の効果額は、その法人に適用される法人税・法人住民税・法人事業税の合計の負担率によって変わります。法人税率は法人税法66条1項が23.2%と定め、中小企業者等の年800万円以下の部分については租税特別措置法42条の3の2が15%(所得の金額が年10億円を超える事業年度については17%)に読み替えています。住民税・事業税の率は規模と所在地で変わるため、ここでは特定の実効税率を前提に置きません。
1つの寄附を4つの法律が分担している
この制度は、1本の条文で完結していません。制度の枠組みは地域再生法、税額控除の中身は租税特別措置法と地方税法、入口の要件は内閣府令に分かれています。どれか1つだけを読むと必ず抜けが出ます。
橋渡しをしているのが地域再生法13条の3で、法人が認定地方公共団体に寄附をしたときは、道府県民税・事業税・市町村民税および法人税の課税について、地方税法と租税特別措置法の定めるところにより課税の特例の適用があるとだけ宣言する短い条文です。実際の率は書かれていません。
| 役割 | 根拠 | 決めていること |
|---|---|---|
| 対象事業の定義・自治体の範囲 | 地域再生法5条4項2号 | まち・ひと・しごと創生寄附活用事業、受け手から除かれる団体 |
| 寄附そのものの要件 | 地域再生法施行規則3条 | 費用充当の確実性・10万円以上・本社所在地からの寄附でないこと |
| 法人住民税の控除 | 地方税法附則8条の2の2 | 道府県民税5.7%・市町村民税34.3%、各20%上限 |
| 法人事業税の控除 | 地方税法附則9条の2の2 | 20%、事業税額の20%上限 |
| 法人税の控除 | 租税特別措置法42条の12の2 | 40%から住民税相当を引いた残り、寄附額10%・法人税額5%上限 |
| 引く金額の計算式 | 租税特別措置法施行令27条の12の2 | 調整前法人税額の1.4% |
| 全額損金算入 | 法人税法37条3項1号 | 限度額計算から除外 |
適用期限は令和10年3月31日です。措置法42条の12の2第1項、地方税法附則8条の2の2第1項、同附則9条の2の2第1項の3か所すべてが同じ日付を書いており、税目ごとにずれてはいません。
税額控除の内訳 — 5.7%・34.3%・20%、そして残り
「法人住民税で4割」という説明の4割は、実際には2つの税に割れています。地方税法附則8条の2の2第1項が道府県民税の分を定めています。
当該寄附金支出事業年度において支出した特定寄附金の額(当該寄附金支出事業年度の法人税の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものに限る。)の合計額(二以上の道府県において事務所又は事業所を有する法人にあつては、当該合計額を第五十七条第一項の規定による道府県民税の法人税割の課税標準たる法人税額の分割の基準となる従業者の数に按分して計算した金額)の百分の五・七に相当する金額(以下この項において「控除額」という。)を控除するものとする。
同条4項が市町村民税について同じ形で34.3%を定めています。5.7+34.3=40.0で、これが「4割」の正体です。そしてこの2つは別々に、それぞれ自分の法人税割額の20%という上限を持ちます。道府県民税の枠が余っていても、市町村民税の不足を埋めることはできません。
事業税は地方税法附則9条の2の2第1項で20%、上限は事業税額の20%です。
法人税の控除額は「1.4%」を引いてから決まる
措置法42条の12の2第1項が、法人税の控除額をこう定めています。読むべきは「百分の四十に相当する金額から……控除した金額」という引き算の形です。
当該事業年度において支出した特定寄附金の額(当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものに限る。以下この項において同じ。)の合計額の百分の四十に相当する金額から当該特定寄附金の支出について地方税法の規定により道府県民税及び市町村民税(都民税を含む。)の額から控除される金額として政令で定める金額を控除した金額(当該金額が当該事業年度において支出した特定寄附金の額の合計額の百分の十に相当する金額を超える場合には、当該百分の十に相当する金額。以下この項において「税額控除限度額」という。)を控除する。
さらに同項の後段が、法人税額そのものにも天井を置きます。
この場合において、当該税額控除限度額が当該事業年度の所得に対する調整前法人税額の百分の五に相当する金額を超えるときは、その控除を受ける金額は、当該百分の五に相当する金額を限度とする。
問題は、引き算される政令で定める金額が何かです。措置法の側は、道府県民税及び市町村民税(都民税を含む。)の額から控除される金額として政令で定める金額、という言い方をしているので、実際に控除された住民税の額が入るように読めます。しかし政令の中身は違います。措置法施行令27条の12の2第1項の全文がこれです。
法第四十二条の十二の二第一項に規定する政令で定める金額は、当該事業年度の法第四十二条の四第十九項第二号に規定する調整前法人税額に法人税法施行令第百三十九条の十第二項第一号ロ(法第四十二条の十四第四項に係る部分を除く。)及びハに掲げる金額の合計額(以下この項において「加算課税額」という。)を加算した金額から同令第百三十九条の十第二項第二号ロからニまでに掲げる規定により法人税の額から控除する金額を控除した金額(次に掲げる金額がある場合には、当該控除した金額に第一号及び第二号に掲げる金額の合計額を加算した金額から第三号から第八号までに掲げる金額の合計額(当該合計額が当該加算した金額から加算課税額を控除した金額を超えるときは、当該合計額からその超える部分の金額を控除した金額)を控除した金額)に百分の一・四を乗じて計算した金額(法人税法第百四十一条第二号に掲げる外国法人にあつては、零)とする。
この397字の中に、寄附額も、実際に控除された住民税額も、一度も出てきません。出てくるのは調整前法人税額と、そこへの加算・減算、そして最後の百分の一・四だけです。
1.4%の出どころは地方税法にあります。法人税割の標準税率は、道府県民税が51条で「法人税割の標準税率は、百分の一とする。」、市町村民税が314条の4で「法人税割の標準税率は、百分の六とする。」と定められています。合計7%に、住民税側の控除上限である20%を掛けると1.4%です。
6割に届く条件 — 法人税額が寄附額の約21.4倍
ここまでの3つの上限を並べると、合計の控除率が自社でいくらになるかは「法人税額 ÷ 寄附額」という1つの比率でほぼ決まります。標準税率で、事業税の枠が足りている(事業税額が寄附額以上ある)場合の計算が次の表です。
| 法人税額 ÷ 寄附額 | 住民税 | 法人税 | 事業税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1倍 | 1.4% | 5.0% | 20% | 26.4% |
| 2倍 | 2.8% | 10.0% | 20% | 32.8% |
| 5倍 | 7.0% | 10.0% | 20% | 37.0% |
| 10倍 | 14.0% | 10.0% | 20% | 44.0% |
| 20倍 | 28.0% | 10.0% | 20% | 58.0% |
| 約21.4倍 | 30.0% | 10.0% | 20% | 60.0% |
| 約28.6倍以上 | 40.0% | 0% | 20% | 60.0% |
読み方は3つです。第一に、合計が6割に届くのは法人税額が寄附額の約21.4倍を超えたところからです。寄附額の40%から法人税額の1.4%を引いた残りが、ちょうど寄附額の10%になる点が21.43倍だからです。
第二に、そこから先はいくら法人税額が大きくても6割のままです。住民税の枠が増えるぶん、法人税の残りが同じだけ減っていくためです。約28.6倍を超えると法人税の控除はゼロになりますが、合計は60%で変わりません。
第三に、法人税額が寄附額の2倍を下回ると、法人税の10%枠も使い切れません。「調整前法人税額の5%」という後段の上限が先に効くためです。1倍のところで法人税が5.0%になっているのはこの上限によるものです。
なお住民税の2つの上限は、道府県民税が28.5倍、市町村民税が約28.6倍で外れます。5.7÷0.2と34.3÷1.2の差ですが、ほぼ同じ倍率なので、実務上は「合計40%という1本の上限」として扱って差し支えありません。
法人税額をまず概算する(法人税シミュレーター)入口の2条件 — 10万円は「一の寄附ごと」、本社は不可
率の計算より前に、そもそも対象になるかどうかの関門があります。地域再生法5条4項2号が寄附の要件を内閣府令に委ね、その内閣府令である地域再生法施行規則3条が3つを挙げています。1号は費用に充てられることが確実であること。実務で効くのは残りの2つです。
寄附の額が一の寄附ごとに十万円以上であること。
読み落としやすいのが「一の寄附ごとに」です。年間の合計ではありません。同じ自治体に5万円を2回に分けて出した場合、合計は10万円になりますが、どちらの寄附も要件を満たさず対象外という扱いになります。分割して出す予定があるなら、1回ごとに10万円以上を確保する必要があります。
主たる事務所又は事業所が当該事業を行う都道府県又は市町村の区域内に存する法人からの寄附でないこと。
こちらは「本社のある自治体には出せない」と要約されることが多い条文ですが、都道府県と市町村の両方に効く点が抜けやすいところです。本社が甲県乙市にあるなら、乙市に出せないのはもちろん、甲県にも出せません。甲県が行う事業の区域に乙市が含まれるからです。逆に、支店や工場があるだけの自治体は「主たる事務所又は事業所」に当たらないので、寄附先にできます。
そもそも受け取れない自治体がある
寄附する側の条件を満たしても、相手が制度の外にいることがあります。地域再生法5条4項2号が、受け手となる地方公共団体からいくつかの団体を除いています。
地方公共団体(地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十条第一項の規定による普通交付税の交付を受けないことその他の政令で定める要件に該当する都道府県及び市町村、地方自治法第二百八十四条第一項の一部事務組合及び広域連合並びに港湾法第四条第一項の規定による港務局を除く。)が法人からの寄附(当該事業の実施に必要な費用に充てられることが確実であることその他の内閣府令で定める要件に該当するものに限る。)を受け
除かれているのは3種類です。普通交付税の交付を受けない団体(いわゆる不交付団体)、一部事務組合と広域連合、そして港務局。制度が財政的に厳しい地域へ資金を回すためのものなので、財源に余裕のある団体は受け手から外れる、という設計です。
加えて、受け手は単なる地方公共団体ではなく認定地方公共団体でなければなりません。地域再生計画を作って内閣総理大臣の認定を受け、その計画にまち・ひと・しごと創生寄附活用事業が記載されていることが前提です。寄附先を決めるときは、自治体名ではなく認定を受けた計画と事業を確認します。
「特別の利益」— 同じ一文が3つの法律に入っている
この制度でいちばん重い禁止事項は、見返りを受けないことです。注目すべきは、その除外文が3つの法律に一字一句同じ形で置かれていることです。法人税法37条3項1号、租税特別措置法42条の12の2第1項、地方税法附則8条の2の2第1項および同附則9条の2の2第1項——いずれも「その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く」という同じ文言です。
実務上の意味は明確です。見返りがあると認められた瞬間に、税額控除だけでなく全額損金算入の資格も同時に失います。除外文が法人税法37条3項1号の中にも入っているため、その寄附は3項の対象から落ちて1項の一般の寄附金に戻り、限度額の枠の中でしか損金になりません。1つの事実で二階建ての両方が同時に崩れる形になっています。
また、寄附金の範囲は名目で決まりません。法人税法37条7項は「寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず」と定めており、同条8項は、資産の譲渡や経済的利益の供与の対価が時価に比べて低いとき、その差額のうち実質的に贈与と認められる金額を寄附金の額に含めるとしています。名前を変えても扱いは変わりません。
手続き — 「記載された金額を限度」が二重にかかる
企業版ふるさと納税は、申告書に書いてはじめて効きます。しかも1階と2階で別々に、書いた金額が上限になる規定が置かれています。
1階(全額損金算入)は法人税法37条9項です。3項の適用は、確定申告書・修正申告書・更正請求書に寄附金の額と明細を記載した書類の添付がある場合に限られ、算入されない金額は「当該金額として記載された金額を限度とする」とされています。
2階(税額控除)は措置法42条の12の2第2項です。控除の対象となる特定寄附金の額・控除を受ける金額・その計算の明細を記載した書類の添付があり、かつ特定寄附金に該当することを証する書類(財務省令で定める書類。自治体が発行する受領証がこれに当たります)を保存している場合に限り適用され、計算の基礎となる額は添付書類に記載された額を限度とします。地方税法附則8条の2の2第2項・5項、同附則9条の2の2第2項も同じ形で、住民税・事業税それぞれの申告書に添付を求めています。
青色申告であることも共通の要件ですが、言い方が法律ごとに違います。措置法は「青色申告書を提出する法人」と書き、地方税法は「法人税法第百二十一条第一項の承認を受けている法人」と書きます。指しているものは同じです。
解散した事業年度と清算中の事業年度が除かれる点も4法共通です。いずれも「解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く」としており、合併による解散だけが例外になっています。
実務でつまずきやすい7点
- 10万円を年間合計で数える。 施行規則3条2号は「一の寄附ごとに」です。5万円を2回では、2回とも要件を満たしません。
- 本社のある県を見落とす。 市に出せないことは意識されますが、その市を含む県も同じ理由で対象外です。
- 拠点が多いほど枠が小さくなることを知らない。 地方税法附則8条の2の2は、2以上の道府県・市町村に事務所または事業所がある法人について、寄附額を従業者数で按分してから率を掛けると定めています。事業税は分割基準で按分します。全国に拠点がある会社ほど、1つの自治体で使える控除は小さくなります。
- 「40%+10%+20%=70%」と計算する。 法人税の10%は住民税の40%枠の残りです。上限は60%です。
- 住民税の枠が余っていると思って法人税で取り返そうとする。 差し引かれるのは実額ではなく調整前法人税額の1.4%です。実際の控除が少なくても引かれる額は変わりません。
- 受領証を保存せずに申告する。 措置法42条の12の2第2項は、明細書の添付に加えて証する書類の保存を要件にしています。添付と保存は別の義務です。
- 期限を令和9年3月末と覚えている。 措置法・地方税法とも令和10年3月31日までです。
よくある質問
Q. 企業版ふるさと納税は、返礼品をもらえますか?
A. もらえません。法人税法37条3項1号、租税特別措置法42条の12の2第1項、地方税法附則8条の2の2第1項および同附則9条の2の2第1項のいずれにも、寄附によって設けられた設備を専属的に利用することなど特別の利益が寄附者に及ぶと認められるものを除く、という同じ除外の定めが置かれています。見返りがあると認められると、税額控除を受けられないだけでなく、法人税法37条3項による全額損金算入の対象からも同時に外れ、一般の寄附金として限度額の範囲でしか損金になりません。
Q. 10万円は年間の合計で判定してよいですか?
A. 合計ではありません。地域再生法施行規則3条2号が、寄附の額が一の寄附ごとに十万円以上であることと定めています。同じ自治体の同じ事業に対してであっても、5万円ずつ2回に分けて寄附した場合は、どちらの寄附も10万円未満なので要件を満たさない扱いになります。分割して支出する予定があるなら、1回ごとに10万円以上を確保する形にします。
Q. 本社が市にあるとき、その市が属する県には寄附できますか?
A. できません。地域再生法施行規則3条3号は、主たる事務所又は事業所が当該事業を行う都道府県又は市町村の区域内に存する法人からの寄附でないことを要件にしています。県が行う事業の区域にはその市も含まれるため、市に出せない法人は県にも出せないことになります。一方で、支店や工場があるだけの自治体は主たる事務所又は事業所には当たらないので、寄附先にすることができます。
Q. 控除は必ず寄附額の6割になりますか?
A. なりません。住民税は法人税割額の20%、事業税は事業税額の20%、法人税は調整前法人税額の5%という上限がそれぞれにあるため、自社の税額が寄附額に比べて小さいと上限が先に効きます。標準税率で事業税の枠が足りている場合、合計が60%に届くのは法人税額が寄附額の約21.4倍以上あるときです。法人税額が寄附額の2倍程度であれば、合計はおよそ33%にとどまります。
Q. 法人税から引かれる金額は、実際に住民税から控除された額ですか?
A. 違います。租税特別措置法42条の12の2第1項は政令で定める金額を控除すると書いており、その政令である同法施行令27条の12の2第1項は、調整前法人税額に加算・減算をした金額に百分の一・四を乗じて計算した金額と定めています。1.4%は、法人税割の標準税率の合計7%(地方税法51条の1%と314条の4の6%)に住民税側の控除上限20%を掛けたものです。実際にいくら控除されたかは計算式に入っていません。
Q. どの自治体にでも寄附できますか?
A. できません。まず受け手は認定地方公共団体である必要があり、地域再生計画に、まち・ひと・しごと創生寄附活用事業が記載されていることが前提です。そのうえで地域再生法5条4項2号が、普通交付税の交付を受けないことその他の政令で定める要件に該当する都道府県及び市町村、地方自治法284条1項の一部事務組合及び広域連合、港湾法4条1項の港務局を受け手から除いています。自治体名ではなく、認定を受けた計画と事業を確認します。
Q. 申告書に書き忘れた場合、あとから控除を受けられますか?
A. 制度上、書いた金額が上限になります。法人税法37条9項は、全額損金算入の対象額について当該金額として記載された金額を限度とすると定め、租税特別措置法42条の12の2第2項も、控除される金額の計算の基礎となる特定寄附金の額は確定申告書等に添付された書類に記載された特定寄附金の額を限度とするとしています。措置法は控除額を増加させる修正申告書や更正請求書を提出する場合にそれらを含めるとしていますが、証する書類の保存も併せて要件になっています。
Q. 支店が複数の県にある場合、計算は変わりますか?
A. 変わります。地方税法附則8条の2の2第1項は、2以上の道府県において事務所又は事業所を有する法人について、特定寄附金の合計額を道府県民税の法人税割の分割の基準となる従業者の数に按分して計算した金額を基礎とすると定めており、4項が市町村について同じ形をとっています。事業税は同附則9条の2の2第1項が72条の48第3項の分割基準による按分としています。拠点が分散しているほど、1つの自治体に対して使える控除額は小さくなります。
出典
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「租税特別措置法」42条の12の2、42条の3の2 — 法令API v2 で取得
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「租税特別措置法施行令」27条の12の2 — 同上
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「地方税法」51条、314条の4、附則8条の2の2、附則9条の2の2 — 同上
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「法人税法」37条、66条 — 同上
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「地域再生法」5条4項2号、8条1項、13条の3 — 同上
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「地域再生法施行規則」3条 — 同上
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。実際の適用にあたっては、認定地域再生計画の内容や自社の税額を確認のうえ、顧問税理士にご相談ください。