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法人税とは — 法人の「所得」に国がかける税金。益金−損金の構造、税率23.2%と15%、申告・納付は事業年度終了から2か月以内。所得税・法人住民税・事業税との違いをわかりやすく

結論から言うと、法人税とは、株式会社などの法人が1事業年度に得た「所得」に対して国がかける税金です。所得は売上ではなく、益金の額から損金の額を引いた金額(法人税法22条1項)で、ふだんの帳簿でいえば利益に近いものです。税率は23.2%、資本金1億円以下の中小法人なら年800万円以下の部分が15%で(法人税法66条・租税特別措置法42条の3の2)、申告と納付は事業年度終了の日の翌日から2か月以内です(法人税法74条・77条)。

ただし会社が「法人税」として払っているお金は、法人税1本ではありません。国税の地方法人税(法人税額の10.3%)、地方税の法人住民税(法人税割+均等割)、法人事業税特別法人事業税(所得に対して)が同じタイミングで動き、2026年4月1日以後に開始する事業年度からは防衛特別法人税(法人税額から500万円を引いた残りの4%)も加わります。この記事では、法人税そのものの仕組み(誰が・何に・いくら・いつ)を条文で確かめたうえで、所得税との違いと、法人税「等」の5つの税金を所得1,000万円の実額で並べます。税率の細かい分岐は法人税率の記事に、具体的な税額の試算は法人税の簡易計算ツールに譲ります。

結論 — 法人税とは「法人の所得」に国がかける税金

法人税法の1条は、この法律が何を決める法律なのかを1文で言い切っています。

この法律は、法人税について、納税義務者、課税所得等の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。

並んでいるのは誰が(納税義務者)・何に(課税所得等の範囲)・いくら(税額の計算の方法)・どうやって(申告、納付及び還付の手続)の4つで、この記事もこの順に読んでいきます。何に課税するかは5条が「各事業年度の所得」と定め、21条がそれを課税標準だと言います。

内国法人に対しては、各事業年度の所得について、各事業年度の所得に対する法人税を課する。
内国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額とする。

要点を表にまとめると次のとおりです。

項目法人税の答え根拠
誰が納めるか内国法人(国内に本店または主たる事務所を有する法人)。公益法人等・人格のない社団等は収益事業を行う場合だけ。公共法人は納めない法人税法2条3号・4条
何に課税されるか各事業年度の所得の金額=益金の額−損金の額法人税法5条・21条・22条
税率23.2%。資本金1億円以下の中小法人は年800万円以下の部分が15%(本法では19%、措置法で15%に引下げ)法人税法66条・租税特別措置法42条の3の2
いつ申告・納付するか事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、確定した決算に基づき申告し、同じ期限までに納付法人税法74条・77条
誰に払うか国(税務署)。法人住民税・法人事業税は都道府県・市町村へ別に申告納付法人税法77条・地方税法53条ほか

誰が納めるのか — 納税義務者と法人の区分

納税義務者は4条です。原則は1文で、ただし書に「収益事業を行う場合」の限定があります。

内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合、法人課税信託の引受けを行う場合、特定多国籍企業グループ等(第八十二条第四号(定義)に規定する特定多国籍企業グループ等をいう。以下この項及び第三項において同じ。)に属する同条第十三号に規定する構成会社等である場合若しくは特定多国籍企業グループ等に係る同条第十五号に規定する共同支配会社等である場合又は第八十四条第一項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う場合に限る。
公共法人は、前項の規定にかかわらず、法人税を納める義務がない。

ここに出てくる法人の区分は2条の定義に並んでいます。実務で出会うのはほぼ普通法人(株式会社・合同会社など)ですが、区分によって課税の範囲と税率が変わるので、名前だけ押さえておきます。

区分(法人税法2条)課税の範囲税率の扱い(66条・措法42条の3の2)
普通法人(9号)株式会社・合同会社・医療法人など、下の3つ以外の法人すべての所得23.2%。資本金1億円以下なら年800万円以下15%
公共法人(5号・別表第一)地方公共団体・日本年金機構など納税義務なし(4条2項)
公益法人等(6号・別表第二)公益社団・財団法人、学校法人、宗教法人、NPO法人など収益事業から生じた所得だけ区分により23.2%または19%(年800万円以下は15%)
協同組合等(7号・別表第三)農協・漁協・信用金庫などすべての所得19%(年800万円以下は15%)
人格のない社団等(8号)法人格の無い社団・財団で、代表者または管理人の定めがあるもの収益事業から生じた所得だけ普通法人と同じ

見落としやすいのが最後の人格のない社団等です。法人登記をしていない団体でも、法人税法はこれを法人とみなして課税します(3条)。

人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第七十五条の四(電子情報処理組織による申告)、第八十二条の七(電子情報処理組織による申告)、第八十二条の十五(電子情報処理組織による申告)、第八十二条の二十三(電子情報処理組織による申告)及び別表第二を除く。)の規定を適用する。

つまり「法人ではないから法人税は関係ない」とは言い切れず、代表者の定めがある団体が物品販売などの収益事業を行えば、その所得には法人税がかかります。

何に課税されるのか — 所得=益金−損金、出発点は会計の利益

法人税の課税標準である「各事業年度の所得の金額」の計算ルールは22条です。1項が引き算の形を、2項が益金を、3項が損金を、4項が計算の土台を決めています。

内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

2項で目を引くのは「無償による資産の譲渡」「無償による資産の譲受け」も益金に入っている点です。会計では売上が立たないタダの引渡しでも、法人税法は時価で収益があったものとして扱います(役員や関係会社へ資産を無償で渡したときに、寄附金や役員給与の問題と一緒に出てくる論点です)。そして4項が、益金・損金の金額を何に従って計算するかを決めています。

第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。

ここが法人税の仕組みの核です。法人税法は、利益の計算ルールを自前で一から持っていません。会計基準で計算した収益・費用を土台にして、そこに「別段の定め」(交際費の損金不算入、役員給与の損金不算入、減価償却の限度額、貸倒引当金の繰入限度額、欠損金の繰越控除など)で加算・減算したものが所得です。だから法人税の申告書は、会計の利益から出発して所得に直す申告調整の形になっています(後述の別表四)。

損金の側(3項)は、売上原価、販売費・一般管理費その他の費用、損失の3つです。費用には「償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないもの」を除くという括弧書きが付いていて、これが未払費用・未払金決算賞与の損金算入時期を決める「債務確定」の根拠条文です。

益金の額 22条2項 損金の額 22条3項 各事業年度の所得の金額 課税標準(21条・22条1項) 会計の利益に 別段の定めで加減算 ×23.2%(中小は800万円以下15%)66条 法人税額(国) 申告・納付は事業年度終了+2か月 地方法人税(国) 法人税額×10.3% 地方法人税法10条 法人住民税(都道府県・市町村) 法人税割:法人税額×標準7.0% +均等割(赤字でも最低7万円) 地方税法51条・52条・312条・314条の4 所得を基準にする地方税 法人事業税(都道府県) 所得×3.5%/5.3%/7.0% 地方税法72条の24の7 特別法人事業税(国) 事業税の所得割額×37% 特別法人事業税法7条 防衛特別法人税(国・2026年4月以後開始事業年度) (法人税額−基礎控除500万円)×4% 防衛財源確保法11条・13条・14条 税率はいずれも標準税率。法人住民税・事業税は自治体の条例で超過税率になることがある。
法人税額を基準に決まる税金(地方法人税・法人住民税の法人税割・防衛特別法人税)と、所得を基準に決まる税金(法人事業税・特別法人事業税)。会社が「法人税等」として払うのはこの5〜6本の合計。

所得税との違い — 所得を10種類に分けない・事業年度で区切る

個人の所得税と比べると、法人税の構造の特徴がはっきりします。所得税法21条1項1号は、計算の最初の手順として所得を10種類に分けることを命じています。

次章第二節(各種所得の金額の計算)の規定により、その所得を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得又は雑所得に区分し、これらの所得ごとに所得の金額を計算する。

一方、法人税法21条は課税標準を「各事業年度の所得の金額」のひとつだけと定めています。法人が受け取る預金利息も、不動産の賃料も、株の売却益も、本業の売上も、すべて同じ益金に入り、同じ損金を引いて、ひとつの所得に税率を掛けます。個人事業主が法人成りしたときに経理の感覚が変わる最大の点はここです。主な違いを並べます。

所得税(個人)法人税(法人)
納税義務者個人(居住者・非居住者)内国法人・外国法人。人格のない社団等も法人とみなす(法人税法3条・4条)
課税期間暦年(1月1日〜12月31日)事業年度。定款などで定めた会計期間で、1年を超えるときは1年ごとに区切る(法人税法13条)
所得の区分10種類に区分して所得ごとに計算(所得税法21条1項1号)区分なし。各事業年度の所得の金額ひとつ(法人税法21条・22条)
税率超過累進。5%〜45%の7段階(所得税法89条)比例税率。23.2%、中小法人の年800万円以下は15%(法人税法66条・措法42条の3の2)
申告・納付の期限翌年2月16日〜3月15日(所得税法120条)事業年度終了の日の翌日から2か月以内(法人税法74条・77条)
赤字の繰越し純損失の繰越控除は3年(青色申告・所得税法70条)欠損金の繰越控除は10年(法人税法57条)
計算の出発点収入金額−必要経費を所得の種類ごとに確定した決算の利益を、別段の定めで加算・減算(法人税法22条4項・74条1項)

課税期間を決める「事業年度」の定義は13条です。暦年ではなく会社が自分で決めた期間であり、長くても1年で区切られます。

この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。

設立第1期を何か月にするかで消費税の免税期間や青色申告の申請期限が動く話は、会社設立でやることの記事で扱っています。

税率は何パーセントか — 23.2%と15%、2026年4月からの防衛特別法人税

税率は66条です。1項が本則の23.2%、2項が中小法人の軽減税率です。

内国法人である普通法人、一般社団法人等(別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合並びに公益社団法人及び公益財団法人をいう。次項及び第三項において同じ。)又は人格のない社団等に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、各事業年度の所得の金額に百分の二十三・二の税率を乗じて計算した金額とする。
前項の場合において、普通法人(通算法人を除く。)若しくは一般社団法人等のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が一億円以下であるもの若しくは資本若しくは出資を有しないもの又は人格のない社団等の各事業年度の所得の金額のうち年八百万円以下の金額については、同項の規定にかかわらず、百分の十九の税率による。

条文どおりに読むと年800万円以下の部分は19%ですが、租税特別措置法42条の3の2が期限付きでこれを15%に引き下げており、国税庁タックスアンサー No.5759 の税率表もこの15%で書かれています(令和7年4月1日以後に開始する事業年度で所得が年10億円を超える事業年度は17%)。つまり普段見かける「15%」は本法の数字ではなく措置法の数字で、だから適用期限の延長が税制改正のたびに話題になります。軽減税率の対象から外れる法人(大法人の完全子会社など)や17%の分岐は法人税率の記事にまとめています。

所得の部分資本金1億円以下の普通法人上記以外の普通法人根拠
年800万円以下の部分15%(所得年10億円超の事業年度は17%)23.2%法人税法66条2項・措法42条の3の2
年800万円超の部分23.2%23.2%法人税法66条1項

2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度からは、これに防衛特別法人税が上乗せされます。課税標準は法人税額(基準法人税額)から基礎控除を引いた金額で、税率は4%です。

防衛特別法人税の額は、各課税事業年度の課税標準法人税額に百分の四の税率を乗じて計算した金額とする。

基礎控除は通算法人以外の法人で年500万円(防衛財源確保法13条3項1号)なので、法人税額が500万円以下の中小法人には当面かかりません。たとえば下の所得1,000万円の例では法人税額が166万4,000円で基礎控除の内側に収まり、防衛特別法人税は0円です。

法人税「等」の中身 — 5つの税金と、所得1,000万円の実額

損益計算書の末尾の「法人税、住民税及び事業税」(法人税等)は、法人税1本ではなく、国税2本と地方税3本の合計です。課税標準の取り方が2系統あるので、表で分けて見ます。

税金国税/地方税課税標準標準税率(普通法人・資本金1億円以下)根拠
法人税国税各事業年度の所得23.2%(年800万円以下15%)法人税法66条・措法42条の3の2
地方法人税国税法人税額(基準法人税額)10.3%地方法人税法9条・10条
法人住民税(都道府県民税・市町村民税)地方税法人税割は法人税額、均等割は資本金等の額と従業者数法人税割 1.0%+6.0%=7.0%/均等割 年2万円+5万円(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下)地方税法51条・52条・312条・314条の4
法人事業税(所得割)地方税各事業年度の所得年400万円以下3.5%・400万円超800万円以下5.3%・800万円超7.0%地方税法72条の24の7第1項3号
特別法人事業税国税(都道府県が事業税と併せて徴収)事業税の所得割額(基準法人所得割額)37%特別法人事業税法7条3号
防衛特別法人税国税法人税額−基礎控除500万円4%(2026年4月1日以後開始事業年度)防衛財源確保法11条・13条・14条

地方法人税の税率と、法人住民税の法人税割の標準税率は次のとおりです。法人税割には上限(制限税率)もあり、自治体の条例で標準税率より高い「超過税率」を課していることがあります。

基準法人税額に対する地方法人税の額は、各課税事業年度の課税標準法人税額に百分の十・三の税率を乗じて計算した金額とする。
法人税割の標準税率は、百分の一とする。ただし、標準税率を超える税率で課する場合においても、百分の二を超えることができない。
法人税割の標準税率は、百分の六とする。ただし、標準税率を超えて課する場合においても、百分の八・四を超えることができない。

特別法人事業税は、外形標準課税の対象でない普通法人(資本金1億円以下)なら事業税の所得割額の37%です。

所得割額により法人の事業税を課される法人(第一号に掲げる法人及び特別法人を除く。)基準法人所得割額に百分の三十七の税率を乗じて得た金額

実数で通します。資本金1,000万円・従業者50人以下・事務所は1か所・所得1,000万円の普通法人で、すべて標準税率、確定金額は100円未満切捨て(国税通則法119条1項・地方税法20条の4の2第3項)で計算すると次のようになります。

税金計算税額
法人税800万円×15%+200万円×23.2%=120万円+46万4,000円1,664,000円
地方法人税1,664,000円×10.3%=171,392円 → 100円未満切捨て171,300円
法人住民税 法人税割1,664,000円×7.0%=116,480円 → 100円未満切捨て116,400円
法人住民税 均等割都道府県2万円+市町村5万円70,000円
法人事業税(所得割)400万円×3.5%+400万円×5.3%+200万円×7.0%=14万円+21万2,000円+14万円492,000円
特別法人事業税492,000円×37%=182,040円 → 100円未満切捨て182,000円
防衛特別法人税(1,664,000円−基礎控除5,000,000円)<0 → 課税標準なし0円
合計所得1,000万円に対して約27.0%2,695,700円

「法人税は15%か23.2%」と聞いて想像する額より、実際の負担はだいぶ大きく出ます。法人税だけなら所得の16.6%ですが、5つを足すと約27%です。東京23区のように都が市町村分も合わせて課税する地域(地方税法734条)や、超過税率を採る自治体では数字が変わるので、自社の自治体の税率表で確かめてください。税額の試算は法人税の簡易計算ツールでできます。

法人税の簡易計算 — 所得と資本金を入れると、15%・23.2%・17%の当てはめと地方法人税まで計算します

もうひとつ、この5つには損金になるものとならないものが混ざっています。法人税法38条は、法人税・地方法人税と法人住民税を損金不算入と定めていますが、事業税と特別法人事業税はこの条文に書かれていないので、納付した事業年度の損金になります。

内国法人が納付する法人税(延滞税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税を除く。以下この項において同じ。)の額及び地方法人税(延滞税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税を除く。以下この項において同じ。)の額は、第一号から第三号までに掲げる法人税の額及び第四号から第六号までに掲げる地方法人税の額を除き、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税を含むものとし、退職年金等積立金に対する法人税に係るものを除く。)

税効果会計の「法定実効税率」の分母に事業税が入るのはこのためで、その計算は税効果会計の記事で扱っています。納付時の仕訳では、法人税・地方法人税・住民税は「法人税、住民税及び事業税」で損金不算入、事業税は同じ科目でも損金算入という違いが申告調整(別表四)に出ます。

いつ申告・納付するのか — 事業年度終了の翌日から2か月以内

確定申告は74条、納付は77条です。期限はどちらも同じで、申告書の提出期限までに納めます。

内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書を提出した内国法人は、当該申告書に記載した同項第二号に掲げる金額(同項第四号の規定に該当する場合には、同号に掲げる金額)があるときは、当該申告書の提出期限までに、当該金額に相当する法人税を国に納付しなければならない。

3月決算なら5月末、12月決算なら2月末が期限です。74条1項の「確定した決算に基づき」が重要で、株主総会で承認された決算書を土台に申告書を作ることを求めています(確定決算主義)。添付書類は法人税法施行規則35条1項に列挙されていて、1号が「当該事業年度の貸借対照表及び損益計算書」、3号が「第一号に掲げるものに係る勘定科目内訳明細書」、5号が「当該内国法人の事業等の概況に関する書類(当該内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図を含む。)」です。決算書のほかに勘定科目内訳明細書と法人事業概況説明書が要るのは、この条文が根拠です。

手続期限根拠
確定申告(法人税・地方法人税)事業年度終了の日の翌日から2か月以内法人税法74条・地方法人税法19条
納付申告書の提出期限まで法人税法77条
中間申告・納付事業年度開始から6か月を経過した日から2か月以内。前事業年度の法人税額が20万円を超える普通法人(6か月換算で10万円超)が対象法人税法71条・76条
申告期限の延長の特例定款の定めなどで2か月以内に定時総会が開けない常況なら、申請により1か月延長。会計監査人を置き、定款で3か月以内に総会が招集されない常況なら最長4か月を超えない範囲で税務署長が指定法人税法75条の2
法人事業税・特別法人事業税各事業年度終了の日から2か月以内に都道府県へ申告納付地方税法72条の25
法人住民税法人税の申告書の提出義務に連動して、法人税額を課税標準に都道府県・市町村へ申告納付地方税法53条・321条の8
e-Tax(電子申告)の義務事業年度開始時の資本金が1億円を超える法人などは電子申告が義務法人税法75条の4

申告期限の延長の特例(75条の2)は、3月決算で6月下旬に株主総会を開く会社の多くが使っています。ただし延びるのは申告の期限だけで、納付を延ばすと利子税がかかります。本則の割合は年7.3%ですが、租税特別措置法93条1項2号により各年の利子税特例基準割合まで引き下げられるため、実際の割合は年ごとに変わります(本記事では数値を書きません)。実務では期限内に見込額を納付しておき、申告後に精算します。

第一項の規定の適用を受ける内国法人は、同項に規定する申告書に係る事業年度の所得に対する法人税の額に、当該事業年度終了の日の翌日以後二月を経過した日から同項の規定により指定された期日までの期間の日数に応じ、年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する利子税をその計算の基礎となる法人税に併せて納付しなければならない。

中間申告を出さなかった場合に「出したものとみなされる」仕組みと、消費税の中間申告との違いは中間申告の記事にまとめています。

赤字の場合 — 法人税は0でも均等割は残り、欠損金は10年繰り越す

所得がマイナス(欠損)なら法人税は0円です。法人税額を課税標準にする地方法人税と法人住民税の法人税割も0円、所得を課税標準にする事業税と特別法人事業税も0円です。残るのは法人住民税の均等割で、資本金等の額1,000万円以下・従業者50人以下・事務所1か所の標準税率なら都道府県2万円+市町村5万円の年7万円です(地方税法52条1項の表・312条1項の表)。赤字でも申告は必要で、均等割だけは納めます。

そして赤字は捨てずに翌期以降へ繰り越せます。57条1項です。

内国法人の各事業年度開始の日前十年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(この項の規定により当該各事業年度前の事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条(欠損金の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該欠損金額に相当する金額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

繰越期間は10年で、所得税の純損失(3年)より長いのが法人の利点のひとつです。ただし条文のただし書で控除できるのは原則として所得の50%までに制限され、中小法人等は100%控除できます。青色申告書を提出した事業年度の欠損金であることと、帳簿書類の保存(施行規則26条の3)も要件です。50%制限の範囲や青色を取り消されたときの扱いは繰越欠損金の記事で、前期に払った法人税を取り戻す欠損金の繰戻し還付(80条・中小法人のみ)もそこで触れています。

設立したら — 届出・青色申告・帳簿の保存

法人を設立すると、税務署への届出から法人税の実務が始まります。国税庁タックスアンサー No.5100 は、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に法人設立届出書を提出すること、設立第1期から青色申告の承認を受けるには設立の日以後3か月を経過した日と第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日までに申請することを案内しています(法人税法122条・148条)。届出の一覧と消費税の免税の条件は会社設立でやることの記事にまとめました。

青色申告の承認を受けた法人は、帳簿書類を備え付けて取引を記録し、保存する義務を負います(126条)。保存期間は施行規則59条で、起算日から7年間です。

青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から七年間、これを納税地(第三号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない。

白色申告の法人も150条の2と施行規則66条・67条で同じ7年の保存義務を負います。欠損金の繰越控除を受ける事業年度の帳簿書類は10年(施行規則26条の3・国税庁 No.5930)です。起算日は「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日」(No.5930)なので、決算日から数えると9年以上手元に残すことになります。帳簿の種類と保存方法(電子帳簿保存法)は総勘定元帳の書き方電子帳簿保存法の記事を参照してください。

法人税申告書の構成 — 別表一・別表四・別表五(一)

法人税の申告書は「別表」と呼ばれる様式の束で、国税庁の一覧(令和7年4月1日以後終了事業年度等分)では別表一から別表二十まで枝番号つきで並んでいます。全部を使う会社はまずなく、中小法人の申告で必ず出てくるのは次の3枚です。

別表正式名称役割
別表一各事業年度の所得に係る申告書所得金額・税率・法人税額・地方法人税額・納付額を書く「表紙」。22条1項の引き算の結果と66条の税率がここに載る
別表四所得の金額の計算に関する明細書損益計算書の当期利益から出発し、別段の定めによる加算(損金不算入・益金算入)と減算(損金算入・益金不算入)を経て所得金額を出す。22条4項の「会計の利益を土台に、別段の定めで直す」構造がそのまま様式になっている
別表五(一)利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書税務上の純資産(利益積立金額・資本金等の額)の期首から期末への動きを追う。別表四で加減算した差異のうち翌期以降に戻るもの(未払事業税、減価償却超過額など)はここに残る

このほか、繰越欠損金がある会社は別表七(一)(欠損金の損金算入等に関する明細書)、交際費を使った会社は別表十五、というように、使った「別段の定め」ごとに明細の別表が足されます。別表四が会計と税務をつなぐ橋で、法人税を理解するとはこの別表四の加算・減算の意味が分かることだと言ってよいくらいです。個別の加減算の中身は交際費役員報酬減価償却貸倒引当金の各記事で扱っています。

よくある質問

Q. 法人税とは一言でいうと何ですか?

A. 株式会社などの法人が1事業年度に得た所得(益金の額−損金の額)に対して国がかける税金です(法人税法5条・21条・22条)。税率は23.2%、資本金1億円以下の中小法人は年800万円以下の部分が15%で、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に申告・納付します。

Q. 法人税は何パーセントですか?

A. 本則は23.2%です(法人税法66条1項)。資本金1億円以下の普通法人は年800万円以下の部分に15%が適用されます(条文上は19%、租税特別措置法42条の3の2で15%。所得が年10億円を超える事業年度は17%)。これに地方法人税10.3%(法人税額に対して)、法人住民税・法人事業税などが加わるので、所得1,000万円の中小法人なら合計で所得の約27%になります。

Q. 法人税はいつ払いますか?

A. 事業年度終了の日の翌日から2か月以内に確定申告書を提出し、同じ期限までに納付します(法人税法74条・77条)。3月決算なら5月末です。前事業年度の法人税額が20万円を超えていた普通法人は、事業年度開始から6か月を経過した日から2か月以内に中間申告・納付もあります(71条・76条)。

Q. 赤字でも法人税は払いますか?

A. 所得がマイナスなら法人税・地方法人税・法人税割・事業税は0円ですが、法人住民税の均等割(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下・事務所1か所の標準税率で年7万円)は赤字でも納めます。赤字(欠損金)は10年間繰り越して翌期以降の所得から引けます(法人税法57条)。申告書の提出は赤字でも必要です。

Q. 法人税と所得税の違いは何ですか?

A. 所得税は個人に、法人税は法人にかかります。所得税は所得を10種類に分けて超過累進税率(5〜45%)で課税し、暦年で区切り、翌年3月15日までに申告します。法人税は所得を区分せずひとつにまとめ、比例税率(23.2%・中小法人の年800万円以下は15%)で課税し、会社が定めた事業年度で区切り、事業年度終了から2か月以内に申告します。赤字の繰越しも所得税3年・法人税10年と違います。

Q. 法人税と法人事業税・法人住民税の違いは何ですか?

A. 法人税は国税で、所得に税率を掛けます。法人事業税は都道府県の地方税で、やはり所得(外形標準課税の対象外なら所得割のみ)に3.5〜7.0%を掛け、特別法人事業税がその所得割額の37%で付いてきます。法人住民税は都道府県・市町村の地方税で、法人税額に法人税割(標準7.0%)を掛けたものと、資本金等の額と従業者数で決まる均等割の合計です。損金になるかも違い、事業税は損金、法人税・地方法人税・住民税は損金不算入です(法人税法38条)。

Q. 法人税は経費(損金)になりますか?

A. なりません。法人税法38条1項が法人税と地方法人税を、同条2項2号が道府県民税・市町村民税(都民税を含む)を損金不算入と定めています。一方、法人事業税と特別法人事業税は38条に書かれていないので、納付した事業年度の損金になります。

Q. 申告期限を延長できますか?

A. 定款の定めなどで事業年度終了後2か月以内に定時総会を開けない常況にある法人は、申請により申告期限を1か月延長できます(法人税法75条の2)。ただし延びるのは申告の期限で、納付を延ばすと利子税がかかります(75条7項。本則年7.3%で、租税特別措置法93条により各年の割合に引き下げ)。実務では期限内に見込額を納付しておきます。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務相談ではありません。税率は標準税率で計算しており、自治体の条例で超過税率が定められている場合や、外形標準課税の対象法人、通算法人などには当てはまりません。個別のケースについては税理士等の専門家にご相談ください。

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