法人税率は何%?23.2%・15%・17%の使い分けと、2026年4月から始まる防衛特別法人税
結論から言うと、法人税の本則税率は23.2%です(法人税法66条1項)。そのうえで、資本金1億円以下の中小法人には年800万円以下の部分だけ15%という特例があります(租税特別措置法42条の3の2)。ここまでは広く知られていますが、この15%には2025年度の改正で「所得が年10億円を超える事業年度は17%」という上限が付きました。
さらに、2026年4月1日以後に開始する事業年度からは防衛特別法人税4%が加わります。3月決算の法人であれば、2026年4月1日に始まった今期がすでに最初の課税事業年度です。ただし年500万円の基礎控除があるため、中小法人では所得がおよそ2,438万円を超えるあたりから初めて負担が生じます。
そして実務でいちばん見落とされやすいのが、防衛特別法人税と地方法人税では課税ベースの定義が違うという点です。同じ税額控除を受けても、地方法人税は減るのに防衛特別法人税は減らない、という組み合わせが条文上あります。以下、税率の全体像から順に確認します。
本則は23.2%。税率は2階建てになっている
普通法人に課される各事業年度の所得に対する法人税の税率は、法人税法66条が定めています。1項が原則で、2項が中小法人向けの軽減、3項が公益法人等・協同組合等です。
| 根拠 | 対象 | 税率 |
|---|---|---|
| 法人税法66条1項 | 普通法人・一般社団法人等・人格のない社団等(原則) | 23.2% |
| 法人税法66条2項 | 資本金または出資金の額が1億円以下の普通法人等の、所得のうち年800万円以下の部分 | 19% |
| 法人税法66条3項 | 公益法人等(一般社団法人等を除く)・協同組合等 | 19% |
ここで重要なのは、66条2項が「所得の金額のうち年800万円以下の金額については」と書いていることです。所得が800万円を超えたら全体が23.2%になるのではありません。800万円までの部分と、それを超える部分に分けて、それぞれの税率を掛ける2階建ての構造です。所得3,000万円の中小法人なら、800万円の部分と2,200万円の部分を別々に計算します。
なお、事業年度が1年に満たない場合、66条4項により「年800万円」は800万円 ÷ 12 × 事業年度の月数に読み替えます。8か月決算なら533万3,333円です。
中小法人の15%と、所得10億円超の17%
66条2項の19%は、租税特別措置法42条の3の2によって15%に引き下げられています。適用期間は「平成24年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度」で、これまで2年ごとに延長を繰り返してきた措置です。
そして、この条文の税率欄には現在こう書かれています。
百分の十五(所得の金額が年十億円を超える事業年度については、百分の十七)
17%になるかどうかを決めるのは、その事業年度の所得の金額が年10億円を超えるかどうかです。800万円以下の部分の金額ではありません。所得が10億円を超えた法人は、800万円以下の部分に適用される税率が15%から17%に変わるという形で効きます。10億円を1円超えただけでも、800万円 × 2% = 16万円の差が生じます。
事業年度が1年に満たない場合は、42条の3の2第3項により「年十億円」を10億円 ÷ 12 × 事業年度の月数に読み替えます(1か月未満の端数は1か月に切り上げ)。
資本金1億円以下でも15%を使えない法人
「資本金1億円以下なら中小企業だから15%」と単純化されがちですが、条文はもっと細かく除いています。除外は2段構えです。
第1段は法人税法66条5項です。ここに挙げられた法人には、そもそも2項(19%の軽減)が適用されません。したがって措置法の15%にも届きません。
- 保険業法に規定する相互会社
- 大法人(資本金または出資金の額が5億円以上である法人、相互会社、受託法人)との間に、その大法人による完全支配関係がある普通法人
- 完全支配関係がある全ての大法人が保有する株式等の全部を、そのうちいずれか1社が保有するものとみなした場合に完全支配関係が生じる普通法人
- 投資法人、特定目的会社、受託法人
2つめが実務でよく効きます。資本金1,000万円の会社でも、資本金5億円以上の親会社の100%子会社であれば軽減税率は使えません。自社の資本金だけを見ていると判定を誤ります。
ここで出てくる完全支配関係は法人税法2条12号の7の6の定義で、株式を持つ「一の者」は法人に限られず個人でもよく、従業員持株会などが5%未満なら99.5%の保有でも完全支配関係になります。同じ関係があると、軽減税率が止まるだけでなくグループ内の資産譲渡の損益繰延べや寄附金・受贈益の全額不算入も自動的に働きます。判定と効果はグループ法人税制と完全支配関係にまとめてあります。
第2段は措置法42条の3の2第1項のかっこ書きで、適用除外事業者と通算法人が除かれています。適用除外事業者の定義は措置法42条の4第19項8号にあり、要約すると次のとおりです。
当該事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度(基準年度)の所得の金額の合計額を各基準年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額が15億円を超える法人(設立後3年を経過していない場合等は政令の定めにより調整)
つまり、過去3年の平均所得が15億円を超えている法人は、資本金が1億円以下でも15%を使えません。今期の所得ではなく過去の実績で判定される点に注意が必要です。
2026年4月開始事業年度から始まる防衛特別法人税4%
防衛特別法人税は、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(令和5年法律第69号)の第4章に置かれた国税です。令和7年法律第13号による改正で創設され、次の3か条が骨格になります。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 11条(課税事業年度) | 法人の令和8年4月1日以後に開始する各事業年度 |
| 13条(課税標準) | 課税標準法人税額 = 基準法人税額 − 基礎控除額。基礎控除額は通算法人以外なら年500万円 |
| 14条(税率) | 課税標準法人税額 × 4% |
課税ベースは所得ではなく法人税の額です。そこから年500万円を引いた残りに4%を掛けます。事業年度が1年に満たない場合は、500万円を12で除して月数を掛けた金額に読み替えます(13条8項)。
基礎控除額が年500万円あるため、法人税額が500万円以下なら防衛特別法人税は生じません。中小法人で15%が使える場合、法人税額が500万円になるのは所得がおよそ2,438万円のときです(800万円 × 15% = 120万円、残り380万円 ÷ 23.2% ≒ 1,638万円)。軽減税率が使えず23.2%だけがかかる法人では、500万円 ÷ 23.2% ≒ 2,155万円が目安になります。
落とし穴:課税ベースの定義が地方法人税と違う
地方法人税も防衛特別法人税も、課税ベースを「基準法人税額」と呼びます。名前が同じなので同一のものと思いがちですが、それぞれの法律が別々に定義しており、除外される規定の数が違います。
| 地方法人税(地方法人税法6条1号) | 防衛特別法人税(特別措置法10条1号) | |
|---|---|---|
| 基本 | 各事業年度の所得の金額につき、法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定により計算した法人税の額(附帯税を除く) | |
| 計算にあたり 適用しない規定 | 法人税法68条〜70条の2 | 法人税法68条〜70条の2 + 租税特別措置法42条の12の6第6項・7項 + 同42条の14第1項・4項(一部) + 同66条の7第4項 + 同66条の9の3第3項 |
| 基礎控除 | なし | 年500万円 |
| 税率 | 10.3% | 4% |
| 対象事業年度 | 各事業年度 | 令和8年4月1日以後に開始する事業年度 |
ここから2つのことが読み取れます。
1つめ。所得税額控除と外国税額控除は、どちらの課税ベースも下げません。法人税法68条は所得税額の控除、69条は外国税額の控除です。これらを「適用しないで計算した法人税の額」が基準法人税額なので、預金利息から源泉徴収された所得税を法人税から差し引いていても、地方法人税と防衛特別法人税の課税ベースは控除前の金額のままです。
2つめ。租税特別措置法の税額控除は、種類によって扱いが分かれます。除外リストに名前が挙がっていない税額控除は適用されるので、その分だけ基準法人税額が下がり、地方法人税も防衛特別法人税も連動して下がります。賃上げ促進税制(措置法42条の12の5)はこちらです。
一方、措置法42条の12の6第6項・7項(生産工程効率化等設備を取得した場合等の法人税額の特別控除と、その繰越控除)は防衛特別法人税の側でだけ除外されています。つまりこの控除を受けると、法人税と地方法人税は減りますが、防衛特別法人税の課税ベースは減りません。同じ税額控除でも効き方が違う、という条文の作りになっています。
法人税の簡易計算ツールで、所得から法人税と地方法人税を計算する具体例で計算する
いずれも資本金1,000万円の普通法人(大法人の子会社でなく、過去3年平均所得も15億円以下)で、事業年度は2026年4月1日から2027年3月31日までの12か月とします。
例1:所得800万円
- 法人税 … 800万円 × 15% = 120万円
- 地方法人税 … 120万円 × 10.3% = 12万3,600円
- 防衛特別法人税 … 基準法人税額120万円 − 基礎控除500万円 → マイナスなので 0円
- 国税の合計 … 132万3,600円
例2:所得3,000万円
- 法人税 … 800万円 × 15% = 120万円、(3,000万円 − 800万円) × 23.2% = 510万4,000円、合計 630万4,000円
- 地方法人税 … 630万4,000円 × 10.3% = 64万9,312円
- 防衛特別法人税 … (630万4,000円 − 500万円) × 4% = 5万2,160円
- 国税の合計 … 700万5,472円
例3:所得10億円ちょうどと、10億円+1円
| 所得 10億円 | 所得 10億0,000万0,001円 | |
|---|---|---|
| 800万円以下の部分の税率 | 15% | 17% |
| 800万円以下の部分 | 120万円 | 136万円 |
| 800万円を超える部分 | 9億9,200万円 × 23.2% = 2億3,014万4,000円 | ほぼ同額(1円分だけ増) |
| 差 | 1円の差で法人税が16万円増える | |
例3は17%の境界を示すための単純化した比較です。実際にこの規模の所得がある法人は、過去3年の平均所得が15億円を超えて適用除外事業者に該当し、そもそも軽減税率を使えないことが多くなります。その場合は800万円以下の部分も23.2%です。
「実効税率」との関係
ここまでは国税だけの話です。法人が実際に負担する税金には、これに地方税である法人住民税(法人税割・均等割)と法人事業税(特別法人事業税を含む)が加わります。「法人実効税率」は、これらを合算したうえで、法人事業税が支払った事業年度の損金に算入されることを調整して求める率です。
ただし、法人住民税の法人税割の税率は自治体が条例で定める範囲があり、法人事業税も資本金や所得規模、外形標準課税の対象かどうかで変わります。したがって「実効税率は◯%」と一律に言える数字はありません。自社の実効税率を出すには、本店・支店の所在する自治体の税率を確認する必要があります。
なお、防衛特別法人税は基準法人税額を課税ベースとする国税であり、法人住民税・法人事業税とは別の税目です。地方法人税と同じく、法人税の確定申告書に併せて申告します。
もっとも、税効果会計では繰延税金資産・繰延税金負債を測るためにひとつの率を決めなければなりません。そこで使うのが法定実効税率で、標準税率で計算すると外形標準課税の対象外の普通法人(所得年800万円超の部分)で33.58%、防衛特別法人税が加わる事業年度は34.43%になります。この算式の分母に事業税が入る理由と、税率が変わったときに繰延税金資産を計算し直す話は税効果会計とはで扱っています。
よくある質問
Q. 法人税率は結局何%ですか?
A. 本則は23.2%です(法人税法66条1項)。資本金または出資金の額が1億円以下の普通法人等は、所得のうち年800万円以下の部分について租税特別措置法42条の3の2により15%が適用されます。ただし所得の金額が年10億円を超える事業年度は、この部分の税率が17%になります。800万円を超える部分は、いずれの場合も23.2%です。所得が800万円を超えたからといって全体が23.2%になるわけではなく、部分ごとに税率を掛ける2階建ての計算になります。
Q. 資本金1億円以下なら必ず15%が使えますか?
A. 使えない場合があります。法人税法66条5項は、相互会社、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある普通法人、投資法人、特定目的会社、受託法人などを軽減税率の対象から除いています。資本金1,000万円の会社でも、資本金5億円以上の親会社の100%子会社であれば対象外です。さらに租税特別措置法42条の3の2第1項は、適用除外事業者(過去3年の平均所得が15億円超)と通算法人も除いています。
Q. 所得が10億円を超えると何が変わりますか?
A. 年800万円以下の部分に適用される税率が15%から17%に変わります。判定は800万円以下の部分の金額ではなく、その事業年度の所得の金額全体で行います。差は800万円に対する2%分なので16万円です。事業年度が1年に満たない場合は、租税特別措置法42条の3の2第3項により「年十億円」を10億円÷12×事業年度の月数に読み替えます(1か月未満の端数は1か月に切り上げ)。
Q. 防衛特別法人税はいつから、いくらかかりますか?
A. 令和8年4月1日以後に開始する各事業年度が課税事業年度です(特別措置法11条)。税額は課税標準法人税額の4%で、課税標準法人税額は基準法人税額から基礎控除額を引いた金額です(13条・14条)。基礎控除額は通算法人以外の法人で年500万円なので、法人税額が500万円以下であれば納付額は生じません。3月決算の法人であれば2026年4月1日に開始した事業年度が最初の課税事業年度にあたります。
Q. 税額控除を受ければ防衛特別法人税も減りますか?
A. 控除の種類によります。基準法人税額は「法人税の額」なので、賃上げ促進税制(租税特別措置法42条の12の5)のように除外リストに載っていない税額控除は、基準法人税額そのものを下げ、防衛特別法人税も地方法人税も連動して下がります。一方、所得税額控除(法人税法68条)と外国税額控除(同69条)は適用しないで計算する扱いなので、どちらの課税ベースも下がりません。措置法42条の12の6第6項・7項の特別控除は防衛特別法人税の側でだけ除外されており、法人税と地方法人税は減っても防衛特別法人税の課税ベースは減りません。
Q. 事業年度が1年に満たない場合はどうなりますか?
A. 3つの金額がそれぞれ月数按分されます。法人税法66条4項により軽減税率の「年800万円」は800万円÷12×月数に、租税特別措置法42条の3の2第3項により17%判定の「年十億円」は10億円÷12×月数に、防衛特別法人税の基礎控除「年五百万円」も500万円÷12×月数になります。いずれも月数は暦に従って計算し、1か月に満たない端数は1か月として扱います。税率そのもの(23.2%・15%・17%・4%・10.3%)は按分されません。
出典
- e-Gov法令検索「法人税法」(昭和四十年法律第三十四号)第66条(各事業年度の所得に対する法人税の税率。1項「百分の二十三・二」、2項「年八百万円以下の金額については…百分の十九の税率による」、3項「百分の十九」、4項の月数按分、5項の適用除外法人、6項・7項の中小通算法人)・第67条(特定同族会社の特別税率)・第68条(所得税額の控除)・第69条(外国税額の控除)・第69条の2(分配時調整外国税相当額の控除)・第70条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)・第70条の2(税額控除の順序)。API v2で本則を取得(取得した版は 340AC0000000034_20260812_508AC0000000064、current_revision_status は CurrentEnforced)
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(昭和三十二年法律第二十六号)第42条の3の2(中小企業者等の法人税率の特例。適用期間「平成二十四年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度」、第1項の表の第四欄「百分の十五(所得の金額が年十億円を超える事業年度については、百分の十七)」、第1項かっこ書きによる法人税法66条5項各号該当法人・適用除外事業者・通算法人の除外、第3項の月数按分、第4項の端数処理)・第42条の4第19項第8号(適用除外事業者の定義。基準年度の所得金額の合計額を月数合計で除して12を乗じた金額が「十五億円を超える法人」)・第42条の12の5(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)・第42条の12の6(生産工程効率化等設備を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除。第6項・第7項がいずれも法人税額からの控除規定であること)。API v2で本則を取得(取得した版は 332AC0000000026_20260812_508AC0000000064、current_revision_status は CurrentEnforced)
- e-Gov法令検索「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(令和五年法律第六十九号)第4章 防衛特別法人税。第9条(課税の対象)・第10条第1号(基準法人税額の定義。「同法第六十八条から第七十条の二まで並びに租税特別措置法…第四十二条の十二の六第六項及び第七項、第四十二条の十四第一項及び第四項(同法第四十二条の十二の六第六項及び第七項に係る部分に限る。)、第六十六条の七第四項並びに第六十六条の九の三第三項の規定を除く。)」)・第11条(課税事業年度。「令和八年四月一日以後に開始する各事業年度」)・第13条(課税標準。基準法人税額から基礎控除額を控除した金額、基礎控除額は通算法人以外の法人で「年五百万円」、第8項の月数按分)・第14条(税率。「百分の四」)。API v2で取得(取得した版は 505AC0000000069_20260401_508AC0000000012、current_revision_status は CurrentEnforced)
- 同法の一つ前の施行版(505AC0000000069_20260401_507AC0000000013)と現行版を突き合わせ、第10条第1号・第11条・第13条・第14条の文言が同一であることをAPI v2で取得した本文により確認
- e-Gov法令検索「地方法人税法」(平成二十六年法律第十一号)第6条(基準法人税額等。第1号「同法第六十八条から第七十条の二までの規定を除く」)・第9条(課税事業年度。「法人の各事業年度」)・第10条(課税標準。「各課税事業年度の課税標準法人税額は、各課税事業年度の基準法人税額とする」)・第11条(税率。「百分の十・三」)。API v2で取得(取得した版は 426AC0000000011_20260401_507AC0000000013)
- 本文中の計算例(所得800万円・3,000万円・10億円の各ケース、および負担が生じ始める所得の目安2,438万円・2,155万円)は、上記の各条文が定める税率・基礎控除額を当てはめて算出したもの
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。税率そのものは条文で一律に定まりますが、軽減税率を使えるかどうかは資本金の額だけでなく、株主構成による完全支配関係の有無、過去3年の所得の実績、通算制度の適用の有無によって変わり、個別に判断が必要です。また法人住民税・法人事業税の税率は自治体によって異なります。具体的な税額の計算や申告については、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。