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総勘定元帳の書き方 — 条文が求めるのは3つだけ。保存の起算日は決算日ではない

結論から言うと、総勘定元帳に書かなければならない事項は3つだけです。法人税法施行規則55条2項が挙げているのは「記載の年月日」「相手方勘定科目」「金額」で、それ以上は求められていません。多くの会計ソフトが総勘定元帳に印字している摘要欄は、条文が要求しているものではありません。

しかも日付は「取引の年月日」ではなく「記載の年月日」です。同じ55条の1項が仕訳帳について「取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額」と書いているのと、はっきり書き分けられています。総勘定元帳は取引を記録する帳簿ではなく、仕訳帳に記録された取引を勘定科目ごとに集計し直すための帳簿である、という位置づけが条文の言葉に表れています。

この「集計し直す」という性格から、転記が正しくできたかを確かめる工程が要ります。それが試算表で、勘定ごとの借方と貸方を1枚に並べて最下行の合計が一致するかを見ます。ただし一致が保証するのは片側だけの誤りが無かったことだけで、記帳漏れ・二重記帳・勘定科目の取り違えは一致したまま通り抜けます。なお試算表そのものは、総勘定元帳と違って法令が作成を求めている帳簿ではありません。

もうひとつ、実務でよく外すのが保存期間です。原則7年という数字は知られていますが、起算日は決算日ではありません。法人は事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日、個人は翌年3月16日が起算日です。さらに欠損金を繰り越すつもりなら、根拠になる条文が別にあって10年になります。以下、条文にあたって順に整理します。

条文に「総勘定元帳」という帳簿名は、ほぼ存在しない

総勘定元帳を定めているのは、法人税法施行規則54条です。ところがこの条文は「総勘定元帳」という帳簿を名指しで作れとは書いていません。

青色申告法人は、全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿を備え、別表二十四に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。

条文の本体は「全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿」という機能の記述です。「総勘定元帳」はその機能を持つ帳簿に対して括弧書きで付けられた呼び名にすぎません。

しかもこの呼び名には「次条において」という限定が付いています。つまりこの定義が効くのは55条だけで、施行規則の他の条文で「総勘定元帳」と書いてあっても、それは54条の定義を引き継いだものではありません。

実際、施行規則の中の「総勘定元帳」はほとんどが別の制度の用語です

e-Gov法令API v2 で取得した法人税法施行規則の全文(545,475字)で「総勘定元帳」を数えると46回出てきます。ところがそのうち41回は「総勘定元帳科目」という語で、これはグローバル・ミニマム課税(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税)で繰延税金負債を取り戻す計算の単位を指すものです。帳簿の話ではありません。残る5回のうち2回も同じ制度の定義文の中にあり、帳簿としての総勘定元帳が現れるのは54条・55条の3か所だけです。

この構造は、帳簿名で条文を検索したときに全く関係のない条文が大量に当たる理由でもあります。総勘定元帳の根拠を探すときは、条番号(54条・55条)で当たるのが確実です。

記載事項は3つだけ。仕訳帳の4つと何が違うか

55条は「仕訳帳及び総勘定元帳の記載方法」という見出しで、2つの項に分かれています(この条の項数は2で、号はありません)。1項が仕訳帳、2項が総勘定元帳です。

青色申告法人は、仕訳帳には、取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載しなければならない。
青色申告法人は、総勘定元帳には、その勘定ごとに記載の年月日、相手方勘定科目及び金額を記載しなければならない。

並べると、2つの帳簿が求められているものの違いがはっきりします。

仕訳帳(55条1項)総勘定元帳(55条2項)
並べ方取引の発生順その勘定ごと
日付取引の年月日記載の年月日
内容(摘要)必要条文には無い
勘定科目勘定科目相手方勘定科目
金額必要必要
項目数4つ3つ

読みどころは3つあります。

1つ目は「内容」が総勘定元帳の側に無いことです。取引の内容を書き留める役目は仕訳帳が負っており、総勘定元帳にはその義務が回ってきていません。会計ソフトの総勘定元帳に摘要が出るのは、仕訳帳の摘要をそのまま転記しているからで、条文上の要求に応えているわけではありません。もっとも、書いてはいけないという規定でもありませんし、後から取引を追う実務上の利便は大きいので、摘要を残す運用そのものは合理的です。

2つ目は「記載の年月日」です。取引日ではなく、その行を元帳に記載した日を指す書き方になっています。仕訳帳が「取引の年月日」と明記しているのと同じ条の中で書き分けられている以上、書き分けには意味があると読むのが自然です。

3つ目は「相手方勘定科目」です。総勘定元帳は勘定科目ごとにページが分かれているので、その勘定自体の名前は見出しに出ています。行ごとに書くのは、仕訳の反対側にあたる勘定の名前です。現金勘定のページに「売上」と書いてあれば、それは現金の相手方が売上だった、という意味になります。

「諸口」はここから来ています

1つの仕訳に相手方の勘定が2つ以上あるとき、相手方勘定科目の欄が1つでは足りません。実務ではここに「諸口」と記載して、内訳は仕訳帳の側で追う運用が定着しています。ただし「諸口」という語は条文には出てきません。55条2項が求めているのは相手方勘定科目の記載であり、複数あるときの書き方までは定めていません。会計慣行として確立している処理であって、条文上の用語ではない、という整理になります。

中身の本体は55条ではなく別表二十四(14区分)

55条2項が求める3項目は「元帳の各行に何を書くか」という形式の話です。では、どの取引について何を記録するのかは、どこに書いてあるのか。54条の末尾に戻ると、答えは「別表二十四に定めるところにより」です。

別表二十四は、法令データの木構造で数えると14の区分からなる表です(見出し行を除いた表の行数を数えたもので、目視では数えていません)。区分ごとに「記載事項」が定められています。

区分記載事項(要約)
(一)現金の出納取引の年月日、事由、出納先及び金額並びに日々の残高
(二)当座預金の預入れ・引出し預金の口座別に、取引の年月日、事由、支払先及び金額
(三)手形上の債権債務受取手形・支払手形別に、取引の年月日、事由、相手方及び金額
(四)売掛金売上先その他取引の相手方別に、取引の年月日、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額
(五)買掛金仕入先その他取引の相手方別に、取引の年月日、品名その他受けた給付の内容、数量、単価及び金額
(六)その他の債権債務貸付金・借入金・預り金・仮払金等に名称を付して区分し、取引の年月日、事由、相手方及び金額
(七)有価証券取引の年月日、事由、相手方、銘柄、数量、単価及び金額
(八)減価償却資産種類の区分ごと・耐用年数の異なるごとに区分し、取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額
(九)繰延資産その種類ごとに区分し、取引の年月日、事由及び金額
(十)その他の資産取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額
(十一)売上げ取引の年月日、売上先、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額並びに日々の売上総額
(十二)その他の収入受取利息・雑収入等に名称を付して区分し、取引の年月日、事由、相手方及び金額
(十三)仕入れ取引の年月日、仕入先その他の相手方、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額並びに日々の仕入総額
(十四)その他の経費賃金・給料手当・地代家賃・広告宣伝費等に名称を付して区分し、取引の年月日、支払先、事由及び金額

ここで効いてくるのが、別表二十四の表題です。「青色申告書の提出の承認を受けようとする法人の帳簿の記載事項」と書かれています。総勘定元帳の記載事項を定めた表ではなく、青色申告をする法人が帳簿全体として記録しておくべき事項を定めた表です。

この読み方の実務上の意味は小さくありません。たとえば(四)は売掛金について「品名その他給付の内容、数量、単価」を求めていますが、総勘定元帳の売掛金勘定にこれらを書き込む必要はありません。売掛金元帳(得意先元帳)などの補助簿で記録していれば、帳簿全体として要件を満たします。54条が「その他必要な帳簿を備え」と書いているのは、まさにこの補助簿を想定しています。

逆に言えば、総勘定元帳だけを作って補助簿を一切持たない運用は、別表二十四の要求を満たさない可能性があります。総勘定元帳の3項目は「元帳に書く最低限」であって、「これだけ書けば足りる」という意味ではありません。

売掛金・買掛金や経費をどの科目に振り分けるかで迷ったときは、区分と科目の対応をまとめた勘定科目一覧も参考になります。

法人と個人で「探しに行く場所」が違う

個人事業主の青色申告についても、ほぼ同じ形の規定が所得税法施行規則58条・59条に置かれています。総勘定元帳の記載事項を定めた59条2項は、法人側とほとんど同じ文言です。

青色申告者は、総勘定元帳には、その勘定ごとに、記載の年月日、相手方の勘定科目及び金額を記載しなければならない。

ところが「どの取引について何を記録するか」の定め方が、法人と個人で違います。法人は54条が「別表二十四に定めるところにより」として、記載事項を省令の中に持っています。一方、個人の58条1項は「財務大臣の定める取引に関する事項を記載しなければならない」とだけ書き、続く2項でこう定めています。

財務大臣は、前項の定めをしたときは、これを告示する。

つまり個人の帳簿の記載事項は、省令を最後まで読んでも書いていません。別表にあたるものが省令の外(告示)に置かれています。法人税法施行規則には別表二十四という具体的な表があり、所得税法施行規則には対応する別表がない、という非対称です。

条文の根拠を探すときの実務的な意味

「帳簿に何を書けばよいか」を条文で確かめたい場合、法人なら法人税法施行規則の別表二十四にたどり着けますが、個人は同じやり方では行き止まりになります。個人の場合は国税庁が公表している青色申告者向けの説明資料を見るのが実務上の近道です。条文を追って見つからないのは、探し方が悪いのではなく、条文がそこに置いていないためです。

なお、青色申告特別控除で電子帳簿保存のルートを選ぶ場合、電子化が必要な帳簿は仕訳帳と総勘定元帳の2つに特定されています(租税特別措置法施行規則9条の6第2項)。補助簿まで電子化する必要はありません。この点は青色申告特別控除の記事で条文にあたっています。

白色申告に総勘定元帳の規定は無い

ここまでの条文は、すべて主語が「青色申告法人は」「青色申告者は」で始まっています。総勘定元帳は青色申告のための帳簿であって、記帳義務のある事業者すべてに課されているものではありません。

白色申告の法人(条文の言葉では「普通法人等」)については、法人税法施行規則66条1項が置かれています。

普通法人等…は、現金出納帳その他必要な帳簿を備え、その取引…に関する事項を整然と、かつ、明瞭に記録し、その記録に基づいて決算を行わなければならない。

仕訳帳も総勘定元帳も出てきません。例示されているのは現金出納帳だけで、あとは「その他必要な帳簿」です。複式簿記であることも求められていません。この現金出納帳に何を書くのかは現金出納帳の書き方で扱っています。記録方法は同条2項が別表二十六に委ねており、こちらは「普通法人等の帳簿の記録方法」という表題で、青色用の別表二十四とは別の表になっています。

青色申告法人普通法人等(白色)
根拠法人税法施行規則54条・55条法人税法施行規則66条
備える帳簿仕訳帳・総勘定元帳・その他必要な帳簿現金出納帳・その他必要な帳簿
記載事項の表別表二十四(14区分)別表二十六
表題青色申告書の提出の承認を受けようとする法人の帳簿の記載事項普通法人等の帳簿の記録方法

したがって「総勘定元帳を作っていないと違法か」という問いへの答えは、申告の区分によって変わります。青色申告をしているなら54条が備付けを求めており、白色なら条文はそこまで求めていない、という整理になります。

保存は7年。ただし起算日は決算日ではない

保存期間を定めているのは法人税法施行規則59条です。1項が「起算日から七年間」保存すべき帳簿書類を3号にわたって挙げており、1号が54条の帳簿(=仕訳帳・総勘定元帳・補助簿)です。

実務で外しやすいのは7年という数字ではなく、どこから数え始めるかです。2項がこう定めています。

前項に規定する起算日とは、帳簿についてはその閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から二月…を経過した日をいい、書類についてはその作成又は受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から二月を経過した日をいう。

この「二月を経過した日」は、確定申告書の提出期限にあたる日です。決算日から7年ではなく、申告期限から7年ということになります。3月決算の法人であれば、起算日は5月31日を経過した日です。

さらに1号は、申告期限の延長の特例(法人税法75条の2第1項)を受けている事業年度について、2月ではなく「その延長に係る月数に二を加えた月数」としています。1か月延長していれば3月を経過した日が起算日になり、保存の終期もその分だけ後ろにずれます。

個人の場合は所得税法施行規則63条4項が定めており、起算日は「その閉鎖の日の属する年の翌年三月十五日の翌日」です。こちらも確定申告期限の翌日にあたります。

法人(3月決算の例) 3/31 決算日 起算日=5/31を経過した日 (事業年度終了の日の翌日から2月) 7年後 保存 7年(規則59条1項) 個人(暦年) 12/31 締め 起算日=翌年3/16 7年後 保存 7年(所得税法施行規則63条1項)
起算日は決算日・締め日ではなく、申告期限にあたる日から動き出す。決算日から7年で処分すると2か月分早い。

なお59条3項は、起算日から5年を経過した日以後の期間について、財務大臣の定める方法によることができるとしています(3項の表の2号)。長期保存の負担を軽くするための規定です。

青色申告特別控除シミュレーター(65万・55万・10万の判定)

欠損金を繰り越すなら10年。根拠は別の条文

7年で処分してよいか、という判断には続きがあります。欠損金の繰越しを使うつもりなら、根拠になる条文が59条ではなく法人税法施行規則26条の3で、期間は10年です。

内国法人が法第五十七条第一項(欠損金の繰越し)の規定の適用を受けようとする場合…には、当該内国法人は、同項の欠損金額が生じた事業年度の第五十九条第一項各号(帳簿書類の整理保存)に掲げる帳簿書類…を整理し、第五十九条第二項に規定する起算日から十年間、これを納税地…に保存しなければならない。

この条文の書き方には注意すべき点が2つあります。

1つは「適用を受けようとする場合…には…保存しなければならない」という構造です。これは保存期間を一律に10年へ延ばす規定ではなく、欠損金の繰越控除を使うための要件として保存を求めるものです。7年で処分したこと自体が直ちに問題になるのではなく、その事業年度に生じた欠損金を後年に使えなくなる、という形で効いてきます。

もう1つは対象が「第五十九条第一項各号に掲げる帳簿書類」全部だという点です。総勘定元帳だけでなく、仕訳帳・補助簿・棚卸表・貸借対照表・損益計算書、そして請求書や領収書といった取引関係書類まで含みます。起算日は59条2項のものをそのまま使うので、こちらも申告期限からの起算です。

原則欠損金を繰り越す場合
根拠法人税法施行規則59条1項法人税法施行規則26条の3第1項
期間7年10年
起算日事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日(59条2項)
性質保存義務繰越控除を受けるための要件
7年で捨てると、9年前の欠損金が使えなくなることがあります

赤字の事業年度の帳簿書類は、黒字化した後に繰越控除で使うことになります。その年度が赤字だったかどうかは、処分するときに分かっている情報です。一律7年で運用するのではなく、欠損金が生じた事業年度だけ10年に延ばす、という管理が条文に沿った形になります。決算のたびに欠損金の有無を記録しておくと、後から遡る手間がなくなります。

記載事項は税務署長の承認で省略できる

最後に、あまり知られていない規定を1つ。法人税法施行規則58条は、記載事項の省略・変更を認めています。

青色申告法人は、その業種、業態及び規模等により第五十四条から第五十六条(青色申告法人の帳簿書類)までの規定により難いときは、所轄税務署長の承認を受け、これらに規定する記載事項等の一部を省略し又は変更することができる。

対象は54条から56条まで、つまり帳簿の記載事項(54条)・仕訳帳と総勘定元帳の記載方法(55条)・棚卸表(56条)の3か条です。個人についても所得税法施行規則64条に同趣旨の規定があります。

ただし「所轄税務署長の承認を受け」が条件です。業種の実情に合わないという判断を事業者が自分でして省略してよい、という規定ではありません。実務でこの承認を取る場面は多くありませんが、条文上は逃げ道が用意されている、ということは知っておいて損はありません。

また別表二十四の(十一)には、小売業などの現金売上げについて、日々の現金売上げの総額のみの記載を認める備考が置かれています(所轄税務署長の承認を受けた場合)。個別の取引をすべて元帳に落とすことが現実的でない業種への手当てです。

帳簿の電子保存を検討する場合は、書類側の検索要件も併せて確認しておくと手戻りが減ります。電子帳簿保存法の検索要件にまとめています。

よくある質問

Q. 総勘定元帳に摘要を書かないと、税務調査で指摘されますか?

A. 総勘定元帳の記載事項として摘要を求める条文はありません。法人税法施行規則55条2項が総勘定元帳について挙げているのは「記載の年月日、相手方勘定科目及び金額」の3つで、仕訳帳を定めた同条1項にある「内容」が入っていません。取引の内容を記録する役目は仕訳帳の側に置かれている、という構成です。ただし帳簿全体としては別表二十四の14区分が「事由」「品名その他給付の内容」「相手方」などを求めているので、総勘定元帳に書かないのであれば仕訳帳や補助簿にそれらが残っている必要があります。摘要欄そのものが必須なのではなく、帳簿全体として記載事項が揃っているかどうかで判断されることになります。

Q. 会計ソフトが自動で作る総勘定元帳をそのまま印刷して保存すれば足りますか?

A. 記載事項の観点では、55条2項の3項目が出力されていれば形式は満たします。実務上の会計ソフトの元帳は日付・相手勘定科目・金額に加えて摘要や残高まで印字するのが通常なので、不足することは少ないと考えられます。ただし確認したい点が2つあります。1つは補助簿で、別表二十四が求める売掛金の取引の相手方別の記録や、減価償却資産の耐用年数の異なるごとの区分が、補助元帳や固定資産台帳の側にあるかどうかです。もう1つは保存の形式で、紙に出力して保存するのか電磁的記録のまま保存するのかによって、電子帳簿保存法の側の要件が関わってきます。

Q. 総勘定元帳の「相手方勘定科目」が複数あるときはどう書きますか?

A. 実務では「諸口」と記載し、内訳は仕訳帳の側で追う運用が定着しています。ただし「諸口」という語は法人税法施行規則にも所得税法施行規則にも出てきません。条文が求めているのは相手方勘定科目の記載までで、相手方が複数ある場合の書き方は定められていないためです。したがって諸口と記載する処理は会計慣行に基づくものであって、条文上の用語ではありません。仕訳帳に取引の年月日・内容・勘定科目・金額が発生順に記録されていれば、元帳から仕訳帳へ遡って内訳を確認できるので、帳簿全体としての追跡可能性は保たれます。

Q. 白色申告でも総勘定元帳を作る必要がありますか?

A. 条文は求めていません。総勘定元帳の備付けを定めた法人税法施行規則54条は主語が「青色申告法人は」で始まっており、青色申告をする法人に向けられた規定です。白色申告の法人については同規則66条1項が置かれていますが、そこで例示されているのは現金出納帳だけで、仕訳帳も総勘定元帳も現れません。複式簿記であることも求められておらず、記録方法は別表二十六の「普通法人等の帳簿の記録方法」に委ねられています。ただし将来的に青色申告の承認を受ける場合には54条以下の規定が適用されるので、その時点で帳簿の作り方を切り替える必要が出てきます。

Q. 保存期間の7年は、決算日から数えるのですか?

A. 決算日からではありません。法人税法施行規則59条2項が起算日を「その閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から二月……を経過した日」と定めており、これは確定申告書の提出期限にあたる日です。3月決算の法人なら5月31日を経過した日から7年を数えることになるので、決算日から数えるより約2か月遅く終期が来ます。さらに申告期限の延長の特例を受けている事業年度については、2月ではなく「その延長に係る月数に二を加えた月数」を経過した日が起算日になります。個人については所得税法施行規則63条4項が「その閉鎖の日の属する年の翌年三月十五日の翌日」としており、こちらも確定申告期限の翌日です。

Q. 赤字だった年の総勘定元帳は、いつまで保存すればよいですか?

A. 欠損金の繰越控除を使うのであれば10年です。根拠は保存期間を定めた法人税法施行規則59条ではなく、同規則26条の3第1項で、法人税法57条1項の欠損金の繰越しの規定の適用を受けようとする場合に、その欠損金額が生じた事業年度の帳簿書類を起算日から10年間保存しなければならないと定めています。これは保存義務を一律に延ばす規定ではなく、繰越控除を受けるための要件として書かれているため、保存していなかった場合はその年度の欠損金を後年に使えなくなるという形で効いてきます。対象は総勘定元帳だけでなく、59条1項各号に掲げる帳簿書類の全部です。

Q. 個人事業主の帳簿の記載事項は、どの条文を見れば分かりますか?

A. 所得税法施行規則には、法人税法施行規則の別表二十四にあたる表が置かれていません。58条1項が「財務大臣の定める取引に関する事項を記載しなければならない」とだけ書き、2項で「財務大臣は、前項の定めをしたときは、これを告示する」としているためです。つまり記載事項の実体は省令の外にあり、条文を追っても具体的な項目にはたどり着けません。実務上は国税庁が公表している青色申告者向けの説明資料を確認するのが近道です。一方で法人については54条が「別表二十四に定めるところにより」として省令の中に14区分の表を持っているので、同じ探し方をすると個人だけ行き止まりになります。

Q. 総勘定元帳の記載事項を省略することはできますか?

A. 所轄税務署長の承認を受ければ可能です。法人税法施行規則58条が、業種・業態・規模等により54条から56条までの規定によることが難しいときに、所轄税務署長の承認を受けて記載事項等の一部を省略し又は変更することができると定めています。対象は帳簿の記載事項・仕訳帳と総勘定元帳の記載方法・棚卸表の3か条です。個人についても所得税法施行規則64条に同趣旨の規定があります。いずれも承認が条件になっているので、規定によりがたいという判断を事業者が自分で行って省略してよいという趣旨ではありません。なお別表二十四の(十一)には、小売業等の現金売上げについて日々の総額のみの記載を認める備考が、やはり所轄税務署長の承認を条件として置かれています。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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