下請法は令和8年1月に名前が変わった — 中小受託取引適正化法とフリーランス法は、適用の決まり方から違う
結論から言うと、下請法(下請代金支払遅延等防止法)は令和8年1月1日に改正法が施行され、法律の名前そのものが変わりました。正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」で、略称は中小受託取引適正化法(または取適法)です。条文から「下請」「親事業者」「下請事業者」という語が消え、それぞれ「委託事業者」「中小受託事業者」に置き換わりました。
ただし、経理実務にとって本当に効くのは名前ではありません。適用対象を決める基準に「従業員数」が加わったことです。改正前の条文に「常時使用する従業員」という語は1回も出てきませんが、改正後は7回出てきます。資本金1,000万円以下の会社は従来まったくの対象外でしたが、従業員が301人を超えていれば委託事業者になり得ます。資本金だけを見て「うちは下請法の対象外」と判断していた会社は、判定をやり直す必要があります。
もう一つ混同されやすいのがフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律・令和6年11月1日施行)です。名前が似ていて支払期日もどちらも60日以内ですが、2つの法律は条文上たがいに参照しておらず、適用対象の決まり方がまったく違います。取適法は「発注側と受注側の両方の規模の組み合わせ」で決まり、フリーランス法は「受注側が従業員を使わない一人の事業者かどうか」だけで決まります。この記事では、条文を並べてその違いを整理します。
結論 — 令和8年1月1日から「中小受託取引適正化法」
改正法は「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」(令和7年法律第41号)で、令和7年5月23日に公布され、令和8年1月1日に施行されました。e-Gov法令検索で同じ法令ID(昭和31年法律第120号)を改正前後で引き比べると、題名が次のように変わっています。
| 改正前(令和7年12月31日まで) | 改正後(令和8年1月1日から) | |
|---|---|---|
| 題名 | 下請代金支払遅延等防止法 | 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 |
| 略称 | 下請法 | 中小受託取引適正化法/取適法 |
| 発注側の呼び名 | 親事業者 | 委託事業者 |
| 受注側の呼び名 | 下請事業者 | 中小受託事業者 |
| 代金の呼び名 | 下請代金 | 製造委託等代金 |
e-Gov法令検索が略称として登録しているのは「中小受託取引適正化法」と「取適法」の2つで、法律そのものの題名は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。契約書や社内規程で法令名を正確に引く場面では、題名と略称のどちらを使っているのかを意識して書き分けます。
なお、法令番号(昭和31年法律第120号)は変わりません。改正は題名を含む一部改正であって、旧法を廃止して新法を作ったわけではないからです。過去の契約書に「下請代金支払遅延等防止法」と書いてあっても、それが無効な引用になるわけではありません。
改正で変わった4点(条文で確認)
改正前後の条文を機械的に突き合わせると、経理・購買の実務に効く変更は次の4点です。
(1) 適用基準に「従業員数」が加わった
改正前の適用基準は資本金だけでした。改正後は、資本金基準(2条8項1号〜4号)に加えて従業員数基準(同項5号・6号)が新設されています。5号は次のように定めています。
常時使用する従業員の数が三百人を超える法人たる事業者(国及び政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く。)であつて、常時使用する従業員の数が三百人以下の個人又は法人たる事業者に対し製造委託等をするもの
情報成果物作成委託・役務提供委託については6号が100人を境にしています。つまり判定は次の2段構えになります。
| 委託の種類 | 資本金基準(1号〜4号) | 従業員数基準(5号・6号) |
|---|---|---|
| 製造委託・修理委託・特定運送委託 | 3億円超 → 3億円以下 1,000万円超3億円以下 → 1,000万円以下 | 300人超 → 300人以下 |
| 情報成果物作成委託・役務提供委託 (政令で定めるものを除く) | 5,000万円超 → 5,000万円以下 1,000万円超5,000万円以下 → 1,000万円以下 | 100人超 → 100人以下 |
5号・6号にはどちらも「第一号又は第二号に該当する者が……製造委託等をする場合を除く」というかっこ書きが付いています。資本金基準で既に捕まる取引を二重に数えないための除外であって、従業員数基準が資本金基準に優先するという意味ではありません。実務上は「資本金で当たるか」を先に見て、当たらなければ「従業員数で当たるか」を見る、という順序になります。
たとえば資本金1,000万円・従業員400人の会社が、従業員20人の会社にソフトウェア開発を委託する場合を考えます。改正前は資本金基準(情報成果物作成委託は5,000万円超が起点)に当たらないため対象外でした。改正後は6号(100人超 → 100人以下)に当たるため、委託事業者として書面明示義務・60日以内の支払義務・禁止行為の規制がかかります。人材集約型で資本金が小さい会社ほど、この変更の影響を受けます。
(2) 「特定運送委託」が新設された
改正前の条文に「特定運送委託」という語は1回も出てきません。改正後は2条5項で定義され、6項の「製造委託等」に含められています。物品や情報成果物を取引の相手方へ運ぶ行為の委託が、独立した委託類型として規制対象に入りました。物流を外部に委託している事業者は、その取引が新たに対象になっていないかを確認します。
(3) 手形払いの扱いが変わった
ここは条文の建て付けごと変わっているので、改正前後を並べて読む価値があります。
| 改正前(4条2項2号) | 改正後(5条1項2号) | |
|---|---|---|
| 条文上の位置 | 2項=「利益を不当に害してはならない」類型 | 1項=禁止行為そのもの |
| 禁じている対象 | 割引を受けることが困難と認められる手形の交付 | 支払期日の経過後なお支払わないこと(手形の交付を含む) |
改正前の4条2項2号が禁じていたのは、一般の金融機関(預金または貯金の受入れおよび資金の融通を業とする者)による割引を受けることが困難であると認められる手形の交付でした。裏を返せば、割引が容易な手形であれば適法でした。改正後の5条1項2号はこう書かれています。
製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと(当該製造委託等代金の支払について、手形を交付すること並びに金銭及び手形以外の支払手段であつて当該製造委託等代金の支払期日までに当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭と引き換えることが困難であるものを使用することを含む。)。
「手形を交付すること」が、支払期日までに支払わなかったことの中に含められています。割引が容易かどうかを問わない書き方です。つまり手形を渡しても、この法律の評価では代金を支払ったことになりません。手形以外の支払手段についてだけ、支払期日までに代金の額に相当する額の金銭と引き換えることが困難であるもの、という限定が付いており、手形そのものには限定が付いていない点が読みどころです。
(4) 協議に応じない一方的な代金決定が禁止された
改正前の条文に「一方的に」という語はありません。改正後は5条2項4号が新設されています。
中小受託事業者の給付に関する費用の変動その他の事情が生じた場合において、中小受託事業者が製造委託等代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、当該協議に応じず、又は当該協議において中小受託事業者の求めた事項について必要な説明若しくは情報の提供をせず、一方的に製造委託等代金の額を決定すること。
禁止されているのは「値上げに応じないこと」ではなく、協議に応じないこと・説明や情報提供をしないことです。原材料費や労務費が上がったとして受注側が価格の協議を求めてきたときに、協議のテーブルに着かないまま従来価格を通知する、という進め方が名指しで禁じられました。値上げを拒む結論そのものではなく、結論に至る手続が規制対象になっている点が特徴です。
適用対象の決まり方が根本的に違う
2つの法律でいちばん間違えやすいのが、ここです。取適法は「発注側と受注側の組み合わせ」で決まり、フリーランス法は「受注側が一人かどうか」で決まります。
フリーランス法2条1項は「特定受託事業者」を次のように定義しています。
一 個人であって、従業員を使用しないもの
二 法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。第六項第二号において同じ。)がなく、かつ、従業員を使用しないもの
資本金はどこにも出てきません。資本金1億円の一人会社(代表取締役1人・従業員なし)は特定受託事業者に当たります。逆に、資本金300万円でも従業員が1人でもいれば当たりません。取適法が資本金と従業員数で線を引くのに対し、フリーランス法は「従業員を使用しているか」という有無だけで線を引きます。
発注側の扱いも違います。フリーランス法には2つの発注者概念があります。
| 用語 | 定義(2条5項・6項) | かかる義務 |
|---|---|---|
| 業務委託事業者 | 特定受託事業者に業務委託をする事業者(規模を問わない) | 3条の明示義務、6条3項の報復禁止 |
| 特定業務委託事業者 | 従業員を使用する個人/2人以上の役員がいるか従業員を使用する法人 | 上記に加えて4条(60日)、5条(禁止行為)、13条・14条・16条など |
つまり一人親方が別の一人親方に外注しても、3条の書面明示義務はかかります。発注側が従業員を1人でも使っていれば、さらに60日ルールと禁止行為が乗ります。「うちは小さいから関係ない」が通らないのはフリーランス法の側です。
支払期日はどちらも60日。ただし「みなし」の書きぶりが違う
支払期日の上限は、取適法3条1項もフリーランス法4条1項も、給付を受領した日から起算して60日の期間内において、かつ「できる限り短い期間内において」定めなければならない、とほぼ同じ文言で規定しています。60日は上限であって目標ではありません。「できる限り短い期間内において」も条文の一部なので、60日ぎりぎりに設定すれば足りるとは書かれていません。
違うのは、支払期日を定めなかったときや違反して定めたときの「みなし」の書きぶりです。
| 取適法3条2項 | フリーランス法4条2項 | |
|---|---|---|
| 定めなかったとき | 給付を受領した日 | 給付を受領した日 |
| 60日を超えて定めたとき | 受領日から起算して六十日を経過した日の前日 | 受領日から起算して六十日を経過する日 |
法令用語では「六十日を経過する日」は期間が満了するその日(受領日を1日目として60日目)を指し、「六十日を経過した日」はその翌日(61日目)を指します。したがって取適法の「六十日を経過した日の前日」は60日目であり、フリーランス法の「六十日を経過する日」と同じ日に着地します。書きぶりが違うので別の日だと誤解しやすいところですが、実務上の上限は同じです。
フリーランス法にはもう一段あります。元委託者から受けた仕事を再委託した場合は、元委託支払期日から起算して30日以内です(4条3項)。ただしこの30日ルールが使えるのは、3条1項によって再委託である旨、元委託者の氏名または名称、元委託業務の対価の支払期日などを相手に明示した場合に限られます。
再委託であることを明示しなければ4条3項は適用されず、原則どおり受領日から60日以内に戻ります。元委託者からの入金を待ってから払いたい発注側にとっては、明示したほうが期日を後ろに置ける場合があります。明示が「発注側にとって有利な取扱いを受けるための条件」になっている、という非対称な構造です。
遅延利息(年14.6%)があるのは取適法だけ
取適法6条1項は、支払期日までに支払わなかったときの遅延利息を定めています。
委託事業者は、製造委託等代金の支払期日までに製造委託等代金を支払わなかつたときは、中小受託事業者に対し、中小受託事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日から支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。
その率を定めているのが公正取引委員会規則(昭和37年公正取引委員会規則第1号)で、年14.6パーセントと定められています。
ここで押さえておきたいのは起算点です。遅延利息が発生するのは「受領した日から起算して六十日を経過した日」からであって、契約で定めた支払期日からではありません。仮に支払期日を受領日から30日と定めていて実際の支払が45日目になった場合、契約上は遅延ですが、6条の遅延利息は発生しません(60日を過ぎていないため)。逆に支払期日を定めていなくても、60日を過ぎれば発生します。
フリーランス法の条文を検索しても「遅延利息」は1回も出てきません。同じ60日ルールを持ちながら、法定の遅延利息は取適法だけにあります。フリーランス法だけが適用される取引で支払が遅れた場合、受注側が年14.6%を法律上当然に請求できるわけではありません(民法の遅延損害金の問題として別に検討することになります)。同じ「60日以内」でも、破ったときの効果は同じではありません。
フリーランス法は義務ごとに「期間の門」が違う
フリーランス法でもう一つ見落とされやすいのが、義務によって適用される取引の期間が違うことです。取適法5条には期間の限定がなく、単発の発注でも禁止行為の規制がかかります。一方フリーランス法5条は柱書で「政令で定める期間以上の期間行うもの……に限る」と限定しています。
その政令(令和6年政令第200号)を読むと、期間は次のように定められています。
| 義務 | 条文 | 対象となる取引の期間 |
|---|---|---|
| 給付の内容・報酬額・支払期日などの明示 | 3条 | 期間の限定なし(単発でもかかる) |
| 60日以内の支払 | 4条 | 期間の限定なし(単発でもかかる) |
| 受領拒否・報酬減額・買いたたき等の禁止 | 5条 | 1か月以上(施行令1条) |
| 妊娠・出産・育児・介護への配慮 | 13条 | 6か月以上(施行令3条) |
| ハラスメントに関する体制整備 | 14条 | 期間の限定なし |
| 中途解除・不更新の30日前予告 | 16条 | 継続的業務委託 |
施行令1条は法5条1項の期間を「一月」と定め、3条は「法第十三条第一項の政令で定める期間は、六月とする」と定めています。単発1回きりの発注では、5条の禁止行為(報酬の減額や買いたたきなど)は適用されません。ただし3条の明示義務と4条の60日ルールは単発でもかかるので、「短い仕事だから何もしなくてよい」わけではありません。
16条は中途解除だけでなく契約期間の満了後に更新しない場合も含めて30日前の予告を求めており、さらに受注側から理由の開示を請求されたら遅滞なく開示しなければならないと定めています。継続的に発注しているフリーランスとの契約を「今期で終わり」にする場合、更新しないという判断自体が予告の対象になります。
両方に当たる取引はどうなるか
取適法とフリーランス法の条文を全文検索すると、フリーランス法の条文には「製造委託等」「下請」「中小受託」のいずれも1回も出てきません。取適法の側にもフリーランス法を指す規定はありません。つまり2つの法律は、条文上たがいの適用関係を調整していません。
そのため、要件を満たせば同じ取引に両方が当たり得ます。たとえば資本金1億円の会社が、従業員を使わない個人のデザイナーに継続的にデザインを委託する場合、取適法の情報成果物作成委託(5,000万円超 → 個人)に当たり、同時にフリーランス法の業務委託にも当たります。
どちらの法律が優先するかは条文に書かれていないため、両方に当たり得る取引では義務が重い側に合わせて運用するのが安全側です。具体的には、書面明示は両法とも必要、支払期日は60日以内、そのうえで取適法にかかるなら書類の作成・保存義務(7条)と遅延利息(6条)も乗る、という積み上げになります。実際の適用関係の判断は、取引ごとに公正取引委員会の公表資料や専門家に確認してください。
経理実務でどこに効くか
経理・購買の作業に落とすと、確認すべきは次の4点です。
1つめは支払サイトの棚卸しです。 「月末締め翌々月末払い」は、締め日と受領日の関係によって60日を超えることがあります。たとえば4月1日に受領した物品が4月末締め・6月末払いだと、受領日から起算して91日目になります。取適法・フリーランス法のどちらに当たる取引でも、この設定は支払期日の定めとして違反になり得ます。取引先ごとに、いちばん早い受領日を基準に日数を数え直すのが確実です。
2つめは適用判定のやり直しです。 従業員数基準が入ったことで、これまで対象外だった取引が対象になっている可能性があります。判定に使うのは資本金の額または出資の総額と、常時使用する従業員の数です。
3つめは書類の作成・保存です。 取適法7条は、給付・受領・代金の支払その他の事項を記載した書類または電磁的記録を作成し保存することを求めています。会計帳簿とは別に、発注から支払までの記録を取引ごとに残す必要があります。
4つめは明示の方法です。 取適法4条・フリーランス法3条はどちらも「書面又は電磁的方法」により明示するとしており、電磁的方法が書面と並列で認められています。ただし相手から書面の交付を求められたときは、遅滞なく交付しなければならないとどちらの法律にも書かれています。メールやシステム上の発注で完結させている場合でも、求められたら紙を出せる体制が要ります。
支払サイトから支払日と経過日数を計算するよくある質問
Q. 下請法という呼び方はもう使えませんか?
A. 法律上の題名としては「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に変わりましたが、日常的な呼称として下請法という語が禁止されているわけではありません。契約書や社内規程で条文を引用する場面では、令和8年1月1日以降は新しい題名または略称の中小受託取引適正化法を使うのが正確です。
Q. 資本金1,000万円以下なら対象外だと聞きましたが、今も同じですか?
A. 同じではありません。令和8年1月1日施行の改正で従業員数基準が加わり、製造委託等では常時使用する従業員が300人を超える法人、情報成果物作成委託・役務提供委託では100人を超える法人が、資本金の額にかかわらず委託事業者に当たり得ます。資本金だけで判定していた場合はやり直しが必要です。
Q. 手形で支払うことは違法になったのですか?
A. 改正後の5条1項2号は「支払期日の経過後なお支払わないこと」の中に手形の交付を含めています。したがって手形を交付しても、この法律の評価では代金を支払ったことにはならず、支払期日を過ぎれば禁止行為に当たることになります。改正前は割引が困難と認められる手形だけが規制対象でした。
Q. フリーランス法と中小受託取引適正化法の両方に当たる場合はどうしますか?
A. 2つの法律の条文はたがいに参照しておらず、どちらが優先するかは条文に定められていません。要件を満たせば両方が当たり得るため、実務上は義務の重い側に合わせて運用するのが安全側です。個別の取引についての判断は公正取引委員会の公表資料や専門家に確認してください。
Q. 単発の発注でもフリーランス法の禁止行為は適用されますか?
A. 5条の禁止行為は、施行令1条により1か月以上の期間行う業務委託に限られます。単発1回きりの発注には適用されません。ただし3条の明示義務と4条の60日以内の支払は期間の限定がないため、単発でも適用されます。
Q. 支払が遅れたとき、フリーランスは年14.6%の遅延利息を請求できますか?
A. 年14.6%の遅延利息は中小受託取引適正化法6条と公正取引委員会規則に基づくもので、フリーランス法には遅延利息の規定がありません。フリーランス法だけが適用される取引では、この率を法律上当然に請求できるわけではなく、民法上の遅延損害金の問題として別に検討することになります。
Q. 遅延利息はいつから発生しますか?
A. 中小受託取引適正化法6条1項は、給付を受領した日から起算して60日を経過した日から支払をする日までの期間について発生すると定めています。契約で定めた支払期日からではありません。支払期日を30日と定めていて45日目に支払った場合、契約上は遅延ですが6条の遅延利息は発生しません。
Q. 継続して発注していたフリーランスとの契約を更新しない場合、予告は要りますか?
A. フリーランス法16条1項は、契約の解除に「契約期間の満了後に更新しない場合を含む」と明記しており、継続的業務委託については少なくとも30日前までの予告を求めています。また受注側から解除の理由の開示を請求された場合は、遅滞なく開示しなければならないと定められています。
出典
- e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和31年法律第120号・令和8年1月1日施行版)第2条、第3条、第4条、第5条、第6条、第7条
- e-Gov法令検索「下請代金支払遅延等防止法」(昭和31年法律第120号・令和7年12月31日時点の版)第2条、第4条 — 改正前後の比較に使用
- e-Gov法令検索「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」(令和7年法律第41号・令和7年5月23日公布)
- e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号・令和6年11月1日施行)第2条、第3条、第4条、第5条、第6条、第13条、第16条
- e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令」(令和6年政令第200号)第1条、第3条
- e-Gov法令検索「下請代金支払遅延等防止法第四条の二の規定による遅延利息の率を定める規則」(昭和37年公正取引委員会規則第1号)
この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務相談ではありません。実際の取引への適用については、公正取引委員会の公表資料を確認するか、弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。