障害年金はいくら受け取れるか【令和8年度】— 本体は生年月日で2つに分かれるのに、子の加算が1つな理由
結論から言うと、令和8年度(令和8年4月分から)の障害基礎年金は1級1,059,125円・2級847,300円です。ここに子の加算が付き、厚生年金に入っている間に初診日があれば、その上に障害厚生年金が乗ります。
ただしこの表を写すだけだと、必ず引っかかる点が3つあります。①本体の額は生年月日で2つに分かれるのに、子の加算は分かれないこと。②1級の額だけ100円未満の端数(1,059,125円の「125円」)が付いていること。③障害厚生年金は、実際に納めた月数が短くても300月とみなして計算することです。どれも条文を見ると理由がはっきりします。
この記事では、令和8年度の実額を一覧にしたうえで、その額がどの条文から出ているかを追い、さらに実務でよく問われる「働いても止まらないのか」「税金はかかるのか」「傷病手当金と両方もらえるのか」までを扱います。
令和8年度の障害基礎年金 — 1級1,059,125円・2級847,300円
日本年金機構が公表している令和8年4月分からの額は次のとおりです。国民年金の障害等級は1級と2級だけで、3級はありません。
| 等級 | 昭和31年4月2日以後生まれ | 昭和31年4月1日以前生まれ |
|---|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 | 1,056,125円 |
| 2級 | 847,300円 | 844,900円 |
これに、生計を維持している子がいるときは子の加算が付きます。こちらは生年月日で分かれません。
| 子の人数 | 加算額(1人につき) |
|---|---|
| 2人目まで | 243,800円 |
| 3人目から | 81,300円 |
ここでいう「子」は、国民年金法33条の2第1項が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子と、20歳未満で障害等級に該当する障害の状態にある子に限っています。高校を卒業する年の3月31日までが原則で、障害がある子だけ20歳まで延びる、という形です。
この2つの表の数字はどこから来ているのか。国民年金法33条1項は、額そのものを金額で書かず、基準となる額に「改定率」を乗じる形で定めています。
障害基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。
令和8年度の改定率は、昭和31年4月2日以後生まれで1.085、昭和31年4月1日以前生まれで1.082です。実際に計算してみると、公表額とぴったり合います。
| 区分 | 計算 | 丸めた額 | 公表額 |
|---|---|---|---|
| 2級(昭和31年4月2日以後) | 780,900 × 1.085 = 847,276.5 | 847,300円 | 847,300円 |
| 2級(昭和31年4月1日以前) | 780,900 × 1.082 = 844,933.8 | 844,900円 | 844,900円 |
| 子の加算(2人目まで) | 224,700 × 1.085 = 243,799.5 | 243,800円 | 243,800円 |
| 子の加算(3人目から) | 74,900 × 1.085 = 81,266.5 | 81,300円 | 81,300円 |
丸め方は条文のかっこ書きのとおりで、50円未満は切り捨て、50円以上100円未満は100円に切り上げます。847,276.5円は端数が76.5円なので切り上げて847,300円、844,933.8円は端数が33.8円なので切り捨てて844,900円、という具合です。
1級は2級の1.25倍です。ところが国民年金法33条2項には丸めの規定がありません。
障害の程度が障害等級の一級に該当する者に支給する障害基礎年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額の百分の百二十五に相当する額とする。
そのため、100円単位に丸めたあとの2級の額をそのまま1.25倍した数字が、そのまま1級の額になります。847,300 × 1.25 = 1,059,125円、844,900 × 1.25 = 1,056,125円。2級が100円単位のきれいな数字なのに1級だけ125円という端数が付くのは、丸める規定が1項にしか置かれていないからです。
なぜ本体は生年月日で分かれ、子の加算は分かれないのか
ここが、公表されている表を眺めているだけでは分からない部分です。本体の額は昭和31年4月1日/4月2日を境に2行に分かれるのに、子の加算は1行しかありません。金額の表としては不揃いに見えます。
理由は、条文の中の1か所のかっこ書きにあります。子の加算を定める国民年金法33条の2第1項は、「改定率」という語のうしろに次の注記を付けています。
改定率(第二十七条の三及び第二十七条の五の規定の適用がないものとして改定した改定率とする。以下この項において同じ。)
27条の3・27条の5は、受給者の年齢に応じて改定率の改定のしかたを変える規定です。それらを適用しないものとして改定した改定率を使え、と33条の2は指定しています。つまり子の加算は、受給者本人が何年生まれであっても同じ改定率(1.085)で計算されるということです。
一方、本体を定める33条1項には、このかっこ書きがありません。だから本体は受給者ごとの改定率に従い、1.085と1.082の2通りに分かれます。
表が2行と1行に分かれているのは、様式の都合ではなく、条文にかっこ書きが有るか無いかの差です。同じ構造は遺族基礎年金の子の加算(国民年金法39条1項)にも置かれています。
障害厚生年金の額 — 報酬比例と、300月とみなす規定
厚生年金の被保険者である間に初診日があれば、障害基礎年金の上に障害厚生年金が乗ります。厚生年金の障害等級は1級・2級・3級の3つで、国民年金より1段階多いのが特徴です(厚生年金保険法47条2項)。
| 等級 | 令和8年度の額 |
|---|---|
| 1級 | 報酬比例の年金額 × 1.25 + 配偶者の加給年金額 243,800円 |
| 2級 | 報酬比例の年金額 + 配偶者の加給年金額 243,800円 |
| 3級 | 報酬比例の年金額(最低保障 635,500円/昭和31年4月1日以前生まれは633,700円) |
| 障害手当金(一時金) | 報酬比例の年金額 × 2(最低保障 1,271,000円/同 1,267,400円) |
配偶者の加給年金額が付くのは1級・2級だけで、3級には付きません。厚生年金保険法50条の2第1項が「障害の程度が障害等級の一級又は二級に該当する者に支給する障害厚生年金」と対象を限っているためです。対象になるのは生計を維持している65歳未満の配偶者で、額は同条2項の「二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額」=令和8年度は243,800円です。
報酬比例の年金額は、老齢厚生年金と同じ式で計算します。
| 期間 | 計算式 |
|---|---|
| 平成15年3月以前 | 平均標準報酬月額 × 7.125 ÷ 1000 × その期間の月数 |
| 平成15年4月以後 | 平均標準報酬額 × 5.481 ÷ 1000 × その期間の月数 |
平成15年4月に賞与も保険料の対象に入った(総報酬制)ため、前後で使う平均値と乗率が変わります。両方の期間があれば足し合わせます。
障害年金が老齢年金と決定的に違うのがここです。厚生年金保険法50条1項は次のように定めています。
障害厚生年金の額は、第四十三条第一項の規定の例により計算した額とする。この場合において、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が三百に満たないときは、これを三百とする。
300月=25年です。入社して数年で障害の状態になった人でも、25年分納めたものとして報酬比例を計算します。若い人ほどこの規定の効き目が大きく、実際に納めた月数が80月なら3.75倍になります。
逆向きの制限もあります。日本年金機構は、障害認定日の属する月後の被保険者期間は年金額の計算の基礎とされないと案内しています。障害認定日より後に働いて保険料を納めても、その分でこの障害厚生年金が増えることはありません。
3級と障害手当金 — 最低保障は4分の3と2倍から出ている
3級の最低保障635,500円と、障害手当金の最低保障1,271,000円。この2つは覚えにくい数字に見えますが、出どころをたどると単純です。
まず3級の最低保障。厚生年金保険法50条3項はこう定めています。
障害厚生年金の給付事由となつた障害について国民年金法による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が国民年金法第三十三条第一項に規定する障害基礎年金の額に四分の三を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)に満たないときは、前二項の規定にかかわらず、当該額をこれらの項に定める額とする。
つまり障害基礎年金2級の額の4分の3です。847,300 × 3 ÷ 4 = 635,475 で、端数75円は50円以上100円未満なので切り上げて635,500円。昭和31年4月1日以前生まれなら 844,900 × 3 ÷ 4 = 633,675 → 633,700円。日本年金機構の公表額と一致します。
この最低保障は3級の欄に載っているので「3級の最低保障額」と呼ばれますが、50条3項が条件にしているのは等級ではなく「障害基礎年金を受けることができない場合」です。実務上それに当たるのが3級(国民年金には3級が無いので障害基礎年金が出ない)なので、結果として3級の話になっています。条文が何を条件にしているかと、実務でそれがどの場面に当たるかは別で、法令改正や特殊なケースを追うときはこの区別が効いてきます。
障害手当金は、3級より軽い障害が残ったときの一時金です。年金ではないので毎年ではなく1回きり。額は厚生年金保険法57条が定めています。
障害手当金の額は、第五十条第一項の規定の例により計算した額の百分の二百に相当する額とする。ただし、その額が同条第三項に定める額に二を乗じて得た額に満たないときは、当該額とする。
「同条第三項に定める額」=いま見た635,500円です。その2倍で1,271,000円。昭和31年4月1日以前生まれなら 633,700 × 2 = 1,267,400円となり、これも公表額と一致します。3級の最低保障を覚えておけば、障害手当金の最低保障はその2倍で出せます。
障害手当金には、年金には無い時間の縛りがあります。厚生年金保険法55条1項は、初診日から起算して5年を経過する日までの間における、その傷病の治った日に一定の障害の状態にあることを要件にしています。「治った日」があること自体が条件なので、症状が続いているうちは対象になりません。また56条は、他の年金給付の受給権者や、労災保険の障害補償給付などを受ける権利がある人には支給しないと定めています。
計算例 — 平均標準報酬額30万円・80月で2級になったら
ここまでの規定を、ひとつの例に当てはめます。
前提:会社員。厚生年金の被保険者期間は80月(すべて平成15年4月以後)、平均標準報酬額は30万円。障害等級2級と認定。生計を維持している65歳未満の配偶者と、18歳未満の子が2人。昭和31年4月2日以後生まれ。
| 内訳 | 計算 | 年額 |
|---|---|---|
| 報酬比例の年金額(300月とみなす) | 300,000 × 5.481 ÷ 1000 × 300 | 493,290円 |
| 配偶者の加給年金額 | 224,700 × 1.085 | 243,800円 |
| 障害厚生年金(2級)小計 | 493,290 + 243,800 | 737,090円 |
| 障害基礎年金(2級) | 780,900 × 1.085 | 847,300円 |
| 子の加算(2人) | 243,800 × 2 | 487,600円 |
| 障害基礎年金 小計 | 847,300 + 487,600 | 1,334,900円 |
| 合計 | 737,090 + 1,334,900 | 2,071,990円 |
年額2,071,990円、1か月あたりおよそ17万円です。年金は偶数月に2か月分ずつ、年6回に分けて支払われます。
この例で300月とみなす規定がどれだけ効いているかを見ておきます。実際に納めた80月で計算すると、報酬比例は 300,000 × 5.481 ÷ 1000 × 80 = 131,544円にしかなりません。差は361,746円で、報酬比例部分の7割以上がこの規定から出ていることになります。
障害厚生年金の報酬比例部分はその人の給与水準で変わりますが、障害基礎年金と子の加算・配偶者加給は誰でも同じ額です。上の例では合計2,071,990円のうち定額部分が1,578,700円で、全体の約76%を占めます。給与が高い人ほど報酬比例部分の比重が上がりますが、収入が低かった人ほど定額部分に支えられる設計になっています。
働いて給料をもらっても止まらない — ただし20歳前の傷病は別
老齢厚生年金には、働いて賃金を得ると年金が減る在職老齢年金の仕組みがあります。「障害年金も働いたら止まるのでは」と心配されるのは、これと混同されるからです。
結論として、障害厚生年金には賃金による支給停止の規定がありません。支給停止を定める厚生年金保険法54条が挙げているのは次の2つだけで、そこに賃金や報酬は出てきません。
障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十七条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、六年間、その支給を停止する。
これが1つ目(労働基準法77条の障害補償を受ける権利を取得したときの6年間)。2つ目は同条2項の、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときです。障害の程度が軽くなれば止まりますが、それは働いたかどうかではなく障害の状態を見ています。
とはいえ「原則」と書いたら、原則の外を書かなければ意味がありません。例外は20歳前の傷病による障害基礎年金です。
20歳前で年金制度に加入していない期間に初診日がある場合の障害基礎年金(国民年金法30条の4)は、本人が保険料を納めていない給付なので、所得による支給制限が置かれています。国民年金法36条の3第1項です。
第三十条の四の規定による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する同一生計配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の十月から翌年の九月まで、政令で定めるところにより、その全部又は二分の一(第三十三条の二第一項の規定によりその額が加算された障害基礎年金にあつては、その額から同項の規定により加算する額を控除した額の二分の一)に相当する部分の支給を停止する。
日本年金機構「障害年金ガイド 令和8年度版」によれば、扶養親族等がいない場合の令和8年4月時点の基準は、前年所得4,794,000円超で全額停止、3,761,000円超で2分の1停止です。止まる期間がその年の10月分から翌年9月分までと条文に書かれている点も、暦年や年度とずれるので注意が要ります。
なお、この所得制限が掛かるのは20歳前の傷病による障害基礎年金だけです。厚生年金の被保険者期間中に初診日がある通常の障害年金には掛かりません。
非課税の根拠は所得税法ではない — 公課の禁止と差押えの禁止
障害年金が非課税であることは広く知られていますが、その根拠を所得税法の非課税規定だと思っている方が多いところです。実際には年金の法律そのものが、課税を禁じています。国民年金法25条です。
租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢基礎年金及び付加年金については、この限りでない。
厚生年金保険法41条2項も同じ形です(「ただし、老齢厚生年金については、この限りでない。」)。読み方の向きが逆である点が重要で、「障害年金を非課税にする」規定ではなく、公的年金は原則として課税できず、老齢年金だけがただし書で例外にされているという構造です。遺族年金が非課税なのも同じ条文からです。
同じ41条の1項には、実務でもう1つ効く規定があります。
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
差押えの例外に挙げられているのも老齢厚生年金だけです。障害厚生年金を受ける権利は、国税の滞納処分でも差し押さえられません。
ここが実務で最も間違えやすい境界です。障害年金は所得税・住民税の課税対象になりません。したがって扶養控除や配偶者控除の判定に使う合計所得金額には入りません。
一方、健康保険の被扶養者になれるかどうかの判定は、税法の所得ではなく年間収入で行われ、その収入には公的年金が含まれます(日本年金機構は被扶養者の収入要件について、年間収入130万円未満、障害厚生年金を受けられる程度の障害者または60歳以上の場合は180万円未満と案内しています)。非課税だから収入ゼロとして扱ってよい、とはなりません。
「税では見ない、社会保険では見る」という向きの違いは、家族を扶養に入れる手続や年末調整の場面で毎年のように問題になります。判定の書類が税のものか社会保険のものかを、先に確かめてください。
傷病手当金とは両取りできない — 多いほうだけが残る
病気やけがで働けない期間には、健康保険から傷病手当金が出ます。同じ傷病で障害厚生年金も受けられるようになったとき、両方を満額もらうことはできません。健康保険法108条3項です。
傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき厚生年金保険法による障害厚生年金の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しない。
同項にはただし書があり、障害年金の額(障害基礎年金もあわせて受けられるときはその合算額)を厚生労働省令の定めで日額に換算した額が、傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が支給されます。結果として、多いほうの水準までは確保されるが、上乗せにはならないという形になります。
ポイントは条件が「同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病」であることです。別の傷病による障害厚生年金であれば、この調整は掛かりません。調整するかどうかは、金額ではなく傷病が同じかどうかで決まります。
障害手当金(一時金)との関係は同条4項が別に定めており、こちらは「支給しない」期間が傷病手当金の累計額が障害手当金の額に達するまでという形で区切られています。一時金なので、期間で相殺する組み立てになっています。
給与との関係も同じ考え方です。同条1項は、報酬の全部または一部を受けられる間は傷病手当金を支給せず、報酬額が傷病手当金の額より少ないときにその差額を支給するとしています。報酬・障害年金・傷病手当金は、足し上げるのではなく高いほうに揃えるのが健康保険法108条の設計です。
傷病手当金の日額と、給与・障害年金との差額を計算するよくある質問
Q. 障害年金は令和8年度でいくらですか?
A. 障害基礎年金は1級1,059,125円、2級847,300円です(いずれも年額。昭和31年4月1日以前生まれの方は1級1,056,125円、2級844,900円)。生計を維持している子がいるときは、2人目までは1人につき243,800円、3人目からは1人につき81,300円が加算されます。厚生年金に加入している間に初診日があれば、この上に障害厚生年金が乗ります。障害厚生年金は給与水準と加入期間で決まる報酬比例の額で、1級はその1.25倍、1級・2級には生計を維持している65歳未満の配偶者がいるとき243,800円の加給年金額が加わります。3級は障害厚生年金だけで、最低保障額は635,500円です。
Q. なぜ1級の金額は1,059,125円という中途半端な数字なのですか?
A. 2級の額を丸めたあとに1.25倍しているからです。国民年金法33条1項は、78万900円に改定率を乗じ、50円未満は切り捨て、50円以上100円未満は100円に切り上げると定めているので、2級は847,300円という100円単位の数字になります。ところが1級を定める同条2項には丸めの規定が置かれておらず、2級の額の100分の125に相当する額とだけ書かれています。そのため847,300円の1.25倍である1,059,125円が、そのまま1級の額になります。100円未満の端数はここから出ています。
Q. 子の加算だけ生年月日で金額が分かれていないのはなぜですか?
A. 子の加算を定める国民年金法33条の2第1項が、使う改定率を条文のかっこ書きで固定しているためです。かっこ書きは、27条の3および27条の5の規定の適用がないものとして改定した改定率とする、としています。この2つの条は受給者の年齢に応じて改定率の改定のしかたを変える規定なので、それらを外した改定率を使うということは、受給者が何年生まれであっても同じ改定率で計算するという意味になります。本体の額を定める33条1項にはこのかっこ書きが無いため、本体だけが受給者ごとの改定率に従って2通りに分かれます。
Q. 厚生年金に入って間もないのですが、障害厚生年金は少ししかもらえませんか?
A. 加入期間が短くても、300月として計算されます。厚生年金保険法50条1項は、額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときはこれを300とすると定めています。300月は25年分です。たとえば平均標準報酬額30万円で被保険者期間が80月の場合、実際の月数で計算すると報酬比例は131,544円ですが、300月とみなすと493,290円になります。若いうちに障害の状態になった方ほど、この規定の効き目が大きくなります。なお、障害認定日の属する月より後の被保険者期間は、この年金額の計算には算入されません。
Q. 障害年金をもらいながら働くと、年金は止まりますか?
A. 障害厚生年金については、賃金を理由とする支給停止の規定がありません。支給停止を定める厚生年金保険法54条が挙げているのは、同じ傷病について労働基準法77条の障害補償を受ける権利を取得したときの6年間と、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときの2つで、賃金や報酬は出てきません。老齢厚生年金にある在職老齢年金の仕組みとは別の制度です。ただし例外があり、20歳前の傷病による障害基礎年金だけは前年の所得で支給が停止されます。また、働けるほど回復したと判断されれば障害の状態そのものを理由に止まることはあります。
Q. 20歳前の傷病による障害基礎年金の所得制限はいくらですか?
A. 日本年金機構の障害年金ガイド令和8年度版によれば、扶養親族等がいない場合の令和8年4月時点の基準は、前年所得が4,794,000円を超えると全額停止、3,761,000円を超えると2分の1が停止です。基準額は扶養親族等の有無と人数で変わり、国民年金法36条の3第1項が政令に委ねています。止まる期間は暦年でも年度でもなく、その年の10月分から翌年9月分までです。この制限は20歳前の傷病による障害基礎年金にだけ掛かるもので、厚生年金の被保険者期間中に初診日がある通常の障害年金には掛かりません。
Q. 障害年金に税金はかかりますか。扶養の判定にはどう影響しますか?
A. 障害年金に所得税・住民税はかかりません。根拠は所得税法ではなく、国民年金法25条と厚生年金保険法41条2項の公課の禁止です。どちらも租税その他の公課を課することができないと定めたうえで、老齢年金だけをただし書で例外にしています。課税されないので、扶養控除や配偶者控除の判定に使う合計所得金額には入りません。一方で健康保険の被扶養者になれるかどうかの判定は年間収入で行われ、そこには公的年金が含まれます。税では見ないが社会保険では見る、という向きの違いがあるため、判定の書類が税のものか社会保険のものかを先に確かめてください。
Q. 傷病手当金と障害厚生年金は両方受け取れますか?
A. 同じ傷病であれば両取りはできません。健康保険法108条3項は、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病について障害厚生年金の支給を受けることができるときは傷病手当金を支給しないと定めています。ただし同項のただし書により、障害年金の額を厚生労働省令の定めで換算した額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給されます。結果として高いほうの水準までは確保されますが、上乗せにはなりません。なお、この調整が掛かるのは傷病が同じ場合に限られ、別の傷病による障害厚生年金であれば調整されません。
Q. 障害手当金はいくらですか。年金とは何が違いますか?
A. 障害手当金は3級より軽い障害が残ったときに一度だけ支払われる一時金で、額は報酬比例の年金額の2倍です。厚生年金保険法57条がそう定めたうえで、最低保障として3級の最低保障額の2倍を置いています。令和8年度は1,271,000円(昭和31年4月1日以前生まれは1,267,400円)です。年金と違うのは支払が1回きりであることと、要件に時間の縛りがあることで、厚生年金保険法55条1項は初診日から起算して5年を経過する日までの間におけるその傷病の治った日に一定の障害の状態にあることを求めています。また同法56条により、他の年金給付の受給権者や労災保険の障害補償給付などを受ける権利がある人には支給されません。
出典
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」(更新日 2026年4月1日) — 障害基礎年金の年金額(令和8年4月分から)1級1,059,125円・1,056,125円/2級847,300円・844,900円、子の加算額(2人まで1人につき243,800円、3人目以降1人につき81,300円)、受給要件と請求時期
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」(更新日 2026年4月1日) — 障害厚生年金の年金額(令和8年4月分から)1級・2級・3級の構成、配偶者の加給年金額243,800円、3級の最低保障額635,500円・633,700円、300月みなしと障害認定日の属する月後の被保険者期間の取扱い
- 日本年金機構「障害年金ガイド 令和8年度版」 — 障害手当金の最低保障額1,271,000円・1,267,400円、報酬比例の年金額の計算式(平成15年3月以前は7.125/1000、平成15年4月以降は5.481/1000)、20歳前の傷病による障害基礎年金の支給制限(前年所得4,794,000円超で全額停止、3,761,000円超で2分の1停止、扶養親族等がいない場合の令和8年4月時点の額)、支給対象期間が10月分から翌年9月分までであること
- 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号) — e-Gov法令API v2(法令版 334AC0000000141_20260525_506AC0000000052)。30条(支給要件・障害等級は1級と2級)、30条の4(20歳前の傷病による障害基礎年金)、33条(年金額・100円単位の丸め・1級は100分の125)、33条の2(子の加算・改定率のかっこ書・子の範囲・加算の改定事由)、36条の3(20歳前の傷病による障害基礎年金の所得による支給停止)
- 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号) — e-Gov法令API v2(法令版 329AC0000000115_20260525_506AC0000000052)。41条(受給権の保護・公課の禁止)、47条(受給権者・障害等級は1級から3級)、50条(額・300月みなし・障害基礎年金を受けられない場合の最低保障)、50条の2(配偶者の加給年金額)、54条(支給停止)、55条(障害手当金の受給権者・初診日から5年)、56条(障害手当金を支給しない場合)、57条(障害手当金の額)
- 健康保険法(大正十一年法律第七十号) — e-Gov法令API v2。108条(傷病手当金または出産手当金と報酬等との調整。1項の報酬との調整、3項の障害厚生年金との調整、4項の障害手当金との調整)
- 令和8年度の改定率(昭和31年4月2日以後生まれ1.085/昭和31年4月1日以前生まれ1.082)は、当サイトの年金計算データ(日本年金機構の公表額で照合済み)と同一の値を用いた。本記事の各額は、この改定率と条文の丸め規定から計算した値が日本年金機構の公表額と1円まで一致することを確認している
この記事は令和8年(2026年)8月時点で日本年金機構が公表している年金額と、e-Gov法令検索で確認した条文に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案についての相談に対する回答ではありません。筆者は税理士・社会保険労務士ではありません。障害年金を受給できるかどうかの判定には、初診日の証明・保険料納付要件・障害認定基準への当てはめが必要で、記載した金額はいずれも受給権が認められた場合のものです。実際の受給の可否・等級・金額、および他の給付との調整については、年金事務所または街角の年金相談センターにご確認ください。