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障害者雇用促進法とは|会社の義務と実務の対応表

障害者雇用促進法は、障害者の雇用義務に加え、募集・採用や雇用後の差別禁止、合理的配慮を定める法律です。雇用義務が生じる規模に達していない会社も、差別禁止・合理的配慮への対応が必要です。

会社で確認する順番は、求人・選考基準、本人が仕事で困ること、配慮の内容、相談先です。合理的配慮は、本人の意向を十分に尊重し、過重な負担とならない範囲で、仕事や選考の支障を改善する措置を話し合って決めます。過重な負担に当たる場合の扱いは後の節にまとめました。

経理・人事の確認点:雇用率を満たしていても、差別禁止や合理的配慮への対応は別に必要です。人数の集計と、個々の働き方の調整を分けて管理します。

会社の主な義務と対応表

採用担当、人事、配属先、経理が持つ情報をつなぐと、対応の抜けを見つけやすくなります。以下は、民間企業で確認する主な事項です。法律上の制度を全件列挙したものではありません。

義務の種類と社内で確認すること
事項会社に求められる対応担当・確認資料の例
募集・採用の差別禁止障害を理由に応募を排除せず、均等な機会を確保する。採用担当/求人票、選考基準
雇用後の差別禁止障害を理由とする不当な待遇差を設けない。人事・経理/賃金規程、評価・研修の基準
募集・採用時の合理的配慮本人からの申出を受け、選考で支障となる事情の改善を話し合う。採用担当/申出内容、面接方法
雇用後の合理的配慮措置の例:職務遂行に必要な施設の整備や援助者の配置。人事・配属先/業務内容、配慮の確認記録
採用後の配慮の相談体制窓口を定めて周知し、相談に適切に対応する。人事/窓口案内、対応手順
雇用率制度対象となる規模・人数の算定や報告を確認する。人事・経理/労働時間、雇用状況の資料

差別禁止は障害を理由とする不当な取扱いが対象で、合理的配慮や配慮後の適正な能力評価による違いは直ちに差別とはなりません。合理的配慮は過重な負担となる措置を除きます。雇用後の確認時期・例外は下の手順表で説明します。

法律の正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」です。障害者の職業の安定を目的とし、雇用義務のほか、均等な機会・待遇の確保や、能力を発揮するための措置、職業リハビリテーションなどを定めています。

小規模企業と手帳のない人の扱い

会社が小さいことは、差別禁止・合理的配慮の対象から外れる理由になりません。雇用率に基づく採用人数の義務と、応募者・従業員への対応は別の仕組みです。

差別禁止・合理的配慮の対象は、心身の機能の障害により、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける人、又は職業生活を営むことが著しく困難な人です。身体障害、知的障害、発達障害を含む精神障害などが含まれます。

この定義に該当する人は、障害者手帳の有無や週所定労働時間によって、差別禁止・合理的配慮の対象から除外されません。入社後に障害を負った人も含まれます。一時的な病気等による制限や、就職等でハンディキャップとならない程度の軽い障害は、この定義の対象ではありません。

難病に起因する障害や高次脳機能障害も、上の長期性と職業生活上の制限の要件を満たせば対象となります。病名だけで一律に決めるのではなく、仕事で何が支障になるのかを確認することが実務の出発点です。

雇用率に算入できるかどうかは、手帳等による確認や労働時間など、別の条件で確認します。差別禁止・合理的配慮の対象の説明を、雇用率の人数集計にそのまま使わないようにします。

求人・選考・待遇で避ける取扱い

差別禁止は、障害者であることを理由に機会を閉ざしたり、待遇を不当に不利にしたりすることを禁じるものです。求人票と社内規程の文言に加え、実際の選考・運用も確認します。

次の表は、障害者差別禁止指針が示す禁止される取扱いの例です。合理的配慮の実施や配慮後の適正な能力評価、積極的差別是正のための有利な取扱い等は、差別には該当しません。

差別禁止の確認例
場面避ける取扱いの例確認する資料・運用
応募受付・選考障害を理由に応募を受け付けない、障害者にだけ不利な条件を付ける。募集条件、受付方法、選考基準
賃金・手当障害を理由に手当を支給しない、支給条件を不利にする。給与規程と実際の支給理由
配置・昇進障害を理由に対象から排除する、条件を不利にする。職務要件と評価の記録
教育訓練・福利厚生障害を理由に研修を受けさせない、施設の利用を認めない。研修の選定基準、施設利用ルール
解雇・契約更新障害を理由に解雇の対象とする、更新の対象から排除する。判断理由と適用した基準

業務遂行上、特に必要な能力を募集条件にすることは差別に該当しませんが、充足の判断は過重な負担とならない合理的配慮の提供を前提に行います。業務に特に必要でない条件を付け、障害者を排除することは差別に該当します。

異なる扱いが直ちに差別になるわけではない

合理的配慮を行った結果として、勤務の方法や設備の使い方が他の従業員と異なることは、禁止される差別ではありません。配慮を提供した上で労働能力等を適正に評価した結果の違いも、差別に該当しない取扱いとして示されています。

ほかに、積極的差別是正措置として障害者を有利に扱うことや、障害者専用求人の選考・採用後に、雇用管理上必要な範囲でプライバシーに配慮して障害の状況等を確認することも、指針が差別に該当しない場合として挙げています。

「違いがあるから違法」「障害者枠だから別扱いでよい」と決めず、理由・職務との関係・配慮の実施状況を確認します。個別の解雇や待遇の適法性は、ここで一律に判断できるものではありません。

合理的配慮を決める手順

本人が困っていることを確認し、できる対応を話し合って決めます。会社が障害名だけで配慮を決めたり、本人に具体策の完成案を求めたりする進め方は避けます。

次の表は合理的配慮指針の手続の要約です。過重な負担に当たる措置を除き、本人の意向を十分に尊重して対応します。希望する措置が難しいときも、本人と話し合い、意向を尊重して過重な負担にならない範囲の措置を講じます。採用後、他目的で得た障害情報を配慮に用いる場合は、事前に本人の同意を得ます。採用後の主な例外として、障害を受容していない人や、手続中に配慮が不要と分かった人には提供義務はありません。

採用時と採用後で異なる確認の入口
段階募集・採用時採用後
支障の確認本人から支障や希望措置の申出を受ける。具体策を示すのが困難なら、支障の説明で足りる。雇入れ時までに障害を把握していれば、その時までに支障の有無を確認する。
後からの把握申出を受け、支障が確認されたら話合いに進む。障害や中途障害を後から把握した場合は、遅滞なく支障の有無を確認する。
話合い具体策の申出が困難なら、会社が実施可能な措置を示して話し合う。必要な配慮を確認し、具体策の申出が困難なら会社から案を示す。
決定と伝達講ずる措置や、希望措置が過重な負担で実施できないことを本人に伝える。決めた措置や、希望措置が過重な負担で実施できないことを伝える。実施に時間を要する場合もその旨を伝える。
理由説明・見直し本人の求めに応じ、措置の選択や実施できない理由を説明する。求めに応じ理由を説明し、必要に応じ定期的に支障の有無を確認する。

採用後、会社が必要な注意を払っても従業員が障害者であることを知り得なかった場合は、合理的配慮の提供義務違反を問われません。

本人の申出と職場・選考の支障を確認 本人の意向を十分に尊重して、話し合う 決めた措置を伝え、過重な負担を除き実施 必要に応じて、本人と配慮の内容を見直す
本人の申出内容から、配慮が必要だと確認できた場合の例です。希望措置が過重な負担でも、本人と話し合い、意向を十分に尊重して過重な負担とならない範囲の配慮を講じます。

配慮の具体例と記録例

次の表は合理的配慮指針の別表にある措置の例です。本人の障害の状態や職場の状況に応じ、過重な負担とならない範囲で検討します。全社に同じ措置を義務づける表ではなく、記載外の措置も合理的配慮に当たり得ます。

本人との話合いに使える配慮の例
場面・支障対応の候補
聴覚・言語障害のある人の面接筆談で面接する、就労支援機関の職員等の同席を認める。
肢体不自由による移動の負担面接の移動を減らす、職場の通路や机・打合せ場所の配置を工夫する。
視覚障害のある人の業務拡大文字や音声ソフトを活用する、机の配置や危険箇所を事前に確認する。
精神障害・発達障害のある人への指示優先順位やスケジュールを明確にする、指示を分ける、手順書を用意する。
通院・体調への配慮出退勤時刻、休暇、休憩を調整する。

経理の仕事で、口頭の指示が重なる場合

例えば、業務指示を分かりやすく示す配慮を、請求書の照合業務に当てはめるとします。担当者は「先に入金照合、その後に未入金一覧を作る」と作業を分けて伝え、本人と手順を確認する方法が考えられます。これは実務上の例であり、この方法を採れば対応が完了するという判定ではありません。

記録には、診断名だけを並べるより、本人が説明した支障と決めた対応を結び付けます。以下は社内の引継ぎに使う記録項目の例です。法定様式や、一律の作成義務を示すものではありません。

配慮の確認記録の例
項目記入例
仕事上の支障複数の口頭指示が重なると、照合の順番を把握しにくい。
本人の希望と話合い優先順位を文字で示してほしい。担当者と伝達方法を確認した。
決めた措置担当者が作業の順番を一覧で伝え、変更時も更新する。
担当と共有範囲業務担当・直属上司で必要な範囲を共有。本人に共有内容を確認する。
見直しのきっかけ担当業務や処理方法が変わったときに、支障の有無を再確認する。

過重な負担を判断するとき

費用がかかるという理由だけで、合理的配慮をまとめて断る仕組みではありません。合理的配慮指針は、次の要素を総合的に勘案し、個別に判断するよう定めています。

過重な負担の考慮要素
要素確認する内容
事業活動への影響生産活動やサービス提供等への影響の程度
実現困難度立地・所有形態、機器や人材の確保、設備整備等の難しさ
費用・負担の程度必要な費用。複数人からの要望があれば、その措置全体の費用・負担も勘案する。
企業の規模会社の規模に応じた負担の程度
企業の財務状況会社の財務状況に応じた負担の程度
公的支援の有無利用できる支援があれば、その利用を前提に判断する。

希望された措置が過重な負担に当たる場合は、その措置を実施できないことを本人に伝えます。本人から求められたときは、過重な負担と判断した理由も説明します。その上で、本人と話し合い、意向を十分に尊重して、過重な負担とならない範囲で合理的配慮を講じます。

経理は、見積額や継続費用、利用可能な公的支援などを整理し、人事・現場が本人と話し合うための材料をそろえます。「予算がない」とだけ記録するのでは、どの要素を確認したかが後から分かりません。

相談窓口と情報共有の整え方

採用後の合理的配慮について、相談窓口をあらかじめ定め、従業員に周知する必要があります。新しい専門部署の設置に限らず、担当者・部署を決める方法や、外部機関へ相談対応を委託する方法が指針に挙げられています。

採用後の合理的配慮の相談体制
整えること社内での確認例
窓口の指定・周知担当と連絡方法を、従業員が分かるように案内する。
担当者の対応相談内容と本人の状況に応じて対応できる手順を用意する。
迅速な事実確認職場の支障の有無を速やかに確認し、必要な配慮の手続へつなぐ。
プライバシー保護相談者の情報を保護する措置を講じ、その措置を従業員に周知する。
不利益取扱いの禁止相談や事実確認への協力等を理由とする解雇等の不利益取扱いを禁じ、周知する。

配属先に必要な配慮を伝える場合も、本人のプライバシーに配慮します。障害の内容や配慮を周囲に説明することと、相談記録を広く回覧することを混同しないよう、共有する内容・相手を確認します。

社内で解決が難しい場合には、都道府県労働局長による紛争解決援助の制度があります。差別禁止・合理的配慮に関する紛争について当事者が援助を求め、必要と認められる場合に助言・指導・勧告を行う制度です。この援助を求めたことを理由に、労働者を不利益に取り扱うことは禁止されています。

雇用義務・報告実務との分担

一般の民間企業で除外率を適用しない場合、2026年7月以降の雇用義務の対象規模は、算定上の常用労働者37.5人以上です。短時間労働者等の数え方や、業種による除外率によって確認すべき人数が変わるため、在籍者の頭数だけで判断しません。

雇用率の計算、対象障害者の数え方、雇用状況報告、納付金・調整金の詳細は、障害者の法定雇用率と報告実務で確認できます。本稿の差別禁止・合理的配慮の対応表は、人数集計の条件を示すものではありません。

採用人数の集計担当と、職場の配慮を調整する担当を決め、資料を分けて持つと運用しやすくなります。雇用率の達成だけで、個々の職場の支障が解消したとは扱わないことが大切です。

設備や雇用の取組に関連する公募を探す(補助金検索)

補助金検索は公募情報への入口です。障害者雇用の支援制度全体を網羅するものではなく、支給対象や申請先は各制度の公式案内で確認します。

担当者の確認リスト

よくある質問

雇用義務の対象規模に達しない会社も対応が必要ですか?

はい。差別禁止と合理的配慮は、雇用義務の対象規模に達しない会社にも適用されます。合理的配慮には、過重な負担となる措置を除くなどの条件があります。

障害者手帳がない人は合理的配慮の対象外ですか?

対象外とは限りません。心身の機能の障害によって長期にわたり職業生活に相当の制限を受けるか、営むことが著しく困難な人は、手帳の有無で差別禁止・合理的配慮の対象から除外されません。雇用率への算入は別の条件で確認します。

希望された配慮を、そのまま実施する義務がありますか?

希望した措置がそのまま採用されるとは限りません。本人の意向を十分に尊重し、過重な負担とならず支障を改善できる措置が複数ある場合は、話合いの上でより提供しやすい措置を選ぶこともできます。希望措置が過重な負担の場合も、本人と話し合い、意向を十分に尊重して過重な負担とならない範囲の配慮を講じます。

相談窓口は独立した専門部署にする必要がありますか?

独立した専門部署の設置に限りません。採用後の合理的配慮の相談に対応する担当者・部署を定める方法や、外部機関に相談対応を委託する方法が指針に挙げられています。窓口の周知と、担当者が適切に対応できる体制の整備が必要です。

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出典

厚生労働省の指針・解説と、e-Gov法令検索の施行中の法令を参照しています。

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。個別の税務・労務相談には応じられません。自社の具体的な対応は、ハローワーク、都道府県労働局、社会保険労務士・弁護士等にご確認ください。

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