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処遇改善加算とは|令和8年度の区分・要件・届出期限の確認表

処遇改善加算は、事業所が加算額以上の賃金改善を行うことを条件に、介護・障害福祉の報酬へ上乗せされる加算です。経理が特に押さえるのは、計画書の提出、賃金改善額が加算額を下回らないことの確認、実績報告の3つです。

計画書の期限は、年度特例も含めて確認します。令和8年度の介護保険の提出期日は、届出と報告の期限表にまとめました。

この記事は事業所側の算定・届出・報告を扱います。職員の給与明細での見え方は処遇改善手当の記事で整理しています。

加算の仕組みと単位数

介護保険の処遇改善加算の単位数は、1月当たりの総単位数に、加算区分とサービス類型ごとの加算率を掛けて出します。総単位数は、基本サービス費に処遇改善加算以外の加算・減算を加えたものです。

加算率は、令和8年4月・5月の算定分と令和8年6月以降の算定分で、通知の別の表を使います。処遇改善加算は、区分支給限度基準額の算定対象から外れます。

受けた加算は、同じ額以上の賃金改善に充てます。賃金改善には基本給・手当・賞与等を使います。退職手当は除きます。それに伴う法定福利費等の事業主負担の増加分も含められます。

① 加算を算定する 1月の総単位数 × 加算率 ② 加算額以上の賃金改善 基本給・手当・賞与等(退職手当を除く) ③ 実績報告で照合する 賃金改善額 ≧ 加算額か 根拠資料も保存する
介護保険の処遇改善加算の流れ。②の額が③で加算額を下回ると返還の対象です(不足分を一時金で追加配分すれば、返還を求めない取扱いもあります)。

令和8年度に令和7年度より増えた加算額は、過去の賃上げの実績にかかわらず新しい賃金改善が必要で、ベースアップが基本です。令和7年度より増えた令和8年度加算額の新規改善は、ベースアップだけで行えない場合、他の手当・一時金等を組み合わせられます。

賃金改善では対象とする項目を特定し、特別事情届出書を出す場合を除いて賃金水準を下げません。通知は、基本給による改善が望ましいとしています。

令和8年6月以降の主な加算率

介護保険の訪問介護なら、令和8年6月以降の加算率はⅣ17.0%からⅠロ28.7%までの6段階です。訪問介護では、令和8年度特例要件を満たすロはイより高い率です。サービスによってはⅡロの率がⅠイより高いこともあります。

次の表は、介護保険の令和8年6月以降の算定分について、厚生労働省の通知(令和8年度分)別紙1の表1-2〜1-4から主なサービスを抜き出した加算率です。

サービスⅠイⅠロⅡイⅡロⅢⅣ
訪問介護27.0%28.7%24.9%26.6%20.7%17.0%
通所介護11.1%12.0%10.9%11.8%9.9%8.3%
地域密着型通所介護11.7%12.7%11.5%12.5%10.5%8.9%
介護老人福祉施設16.3%17.6%15.9%17.2%13.6%11.3%
介護老人保健施設9.0%9.7%8.6%9.3%6.9%5.9%
介護医療院6.2%6.6%5.8%6.2%4.7%4.0%

区分のないサービスの加算率は次のとおりです。算定には加算額相当の賃金改善に加え、特例要件か「Ⅳに準ずる要件」が必要です(介護保険・令和8年6月以降の表1-5)。根拠は通知3⑵・別紙1表1-5です。

サービス加算率
訪問看護(介護予防を含む)1.8%
訪問リハビリテーション(介護予防を含む)1.5%
居宅介護支援・介護予防支援2.1%

福祉用具貸与・特定福祉用具販売・居宅療養管理指導は、令和8年6月以降も算定対象外です。いずれも介護予防を含みます。総合事業の令和8年6月以降の第一号通所事業は、利用定員19人以上なら通所介護、19人未満なら地域密着型通所介護の率を使います。ほかのサービスと令和8年4月・5月の率は通知の表で確かめてください。

区分ごとの要件

令和8年6月以降の介護保険の区分は、Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳの6つです(表1-2〜1-4のサービス)。Ⅰイ・Ⅱイ・Ⅲ・Ⅳの順に必要な要件が減り、ロはイの要件に令和8年度特例要件を足した区分です。

介護保険の令和8年6月以降の区分と、賃金改善以外の要件の対応です(通知の3⑴)。○は必要、-は原則不要です。ただし、他要件の年度末整備の誓約特例を使う場合は⑧も必要です。

要件ⅠイⅠロⅡイⅡロⅢⅣ
①月額賃金改善要件○○○○○○
②キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)○○○○○○
③キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)○○○○○○
④キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組み)○○○○○-
⑤キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額賃金)○○○○--
⑥キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置)○○----
⑦職場環境等要件○○○○○○
⑧令和8年度特例要件-○-○--

キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳと職場環境等要件には、申請時から充足扱いとなる年度特例があります(通知3⑴のサービス)。申請時点で令和8年度特例要件を満たし、計画書で令和9年3月末までの整備・実施を誓約することが条件です。期限までに履行し、実績報告します。

特例要件の選択肢は、サービスによって異なります。ケアプランデータ連携は表1-2・1-3、生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡは表1-3・1-4、連携推進法人への所属は表1-2〜1-4で使えます。加入・利用や算定の誓約による充足と履行・実績報告の条件は、通知3⑴⑧で確認してください。

訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援・介護予防支援は、令和8年6月以降の加算に区分がありません。これらは加算額相当の賃金改善に加え、特例要件か「Ⅳに準ずる要件」が必要です。誓約による充足も含め、別体系の通知3⑵を確認してください。

届出と報告の期限

計画書・実績報告書と体制届出では、期限が異なります。体制届出の年度特例は通知4⑴、計画書は次の表で確認してください。

介護保険の令和8年度分の期限です(通知の4・5)。提出先は事業所の指定等権者の都道府県知事等です。計画書の期日は都道府県知事等が延長している場合があります。

書類期日補足
体制届出年度特例を含め、指定権者の案内で確認通知4⑴に居宅系・施設系別の期日と年度特例
計画書の原則その年度に初めて算定する月の前々月末次の年度特例と、指定権者による延長に注意
計画書:令和8年4・5月算定分令和8年4月15日6月以降分の計画とあわせて提出
計画書:令和8年4・5月未算定で6月以降に算定する事業者令和8年6月15日加算新設事業所のみの事業者など
変更届出書居宅系は変更後の算定開始月の前月15日、施設系は変更後の算定開始月の1日就業規則の改訂(職員の処遇に関する内容)だけなら実績報告書と一緒に出す
実績報告書実績報告書は、最終の加算の支払があった月の翌々月の末日令和8年度分の実績報告は、令和9年3月分の支払が令和9年5月となる通常の場合、令和9年7月31日

施設系には短期入所生活介護・短期入所療養介護・(地域密着型)特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護・地域密着型介護老人福祉施設を含み、居宅系には居宅介護支援・介護予防支援を含みます。

計画書・実績報告書は、根拠資料と併せて2年間保存します。

通常の場合の実績報告書の期日の令和9年7月31日は土曜日です。通知は休日の扱いを定めていないため、提出日は指定権者の案内で確かめます。

賃金改善額の確かめ方

実績報告では、賃金改善額が加算額以上かを確かめます。下回ると算定要件を満たさず返還の対象ですが、不足分を賞与等の一時金で職員に追加配分すれば、指定権者が返還を求めない取扱いとすることも認められています。

次の表は、介護保険の処遇改善加算のQ&A(第1版)に沿って、賃金改善額に入れるものと入れないものを分けたものです。

項目扱い
比べる基準の賃金水準加算を算定しない場合の水準。原則、初めて処遇改善加算・旧3加算・交付金等を算定した年度の前年度の水準
法定福利費の事業主負担賃金改善分に応じて増えた分を含める。合理的な概算でよい
外形標準課税賃金上昇分に応じた付加価値額の増加分を含める
任意加入制度の掛金退職手当共済などの増加分は含めない
キャリアパス・職場環境等の取組費用含めない
退職手当賃金改善の対象から除く

前年度の水準を推計しにくい場合、現在の水準と比べるのが適切でない場合、新規開設の場合は、加算を除いた総単位数の見込額に基づく賃金計画で試算するなどの方法も認められています。

経営悪化などで、加算による改善分を除いた賃金水準を下げる場合は、適切に労使の合意を得たうえで特別事情届出書を出します。届出なしに引き下げると、加算の返還や取消の対象になりえます。

法定福利費(会社負担の社会保険料)を計算する

障害福祉との違い

障害福祉の処遇改善加算は、区分の名前と計画書・実績報告の期限の形が介護保険とほぼ同じです。一方、特例要件を含め要件の中身に違いがあります。厚生労働省・こども家庭庁の別の通知(令和8年度分)で定められています。

介護保険と障害福祉では要件が異なります。令和8年度の違いを調べるときは、項目ごとにそれぞれの通知を参照してください。

項目介護保険障害福祉
令和8年6月に加算を新設したサービス訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援・介護予防支援など計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援
令和8年度特例要件(ロの区分)通知3⑴⑧:サービス別の選択肢・誓約の条件通知3⑴⑧:取組・基本給等改善・誓約の条件
キャリアパス要件Ⅳ上の年額賃金要件の説明を参照通知3⑴⑤:対象職員・年額賃金・取組による代替・年度末誓約
キャリアパス要件Ⅴ事業所又は併設本体施設等による別紙1表3の所定加算区分の届出通知3⑴⑥の所定加算の届出。対象外サービスも同項で確認
Ⅲ・Ⅳの職場環境等要件通知3⑴⑦:取組数・代替要件・年度末誓約通知3⑴⑦:取組数・小規模の代替・年度末誓約
体制届出の期日通知4⑴:居宅系・施設系別の期日と年度特例通知4⑴:期日と年度特例
計画書・実績報告の期限上の期限表を参照。計画書は年度特例と延長に注意通知4⑵⑶:原則・年度特例・延長
まとめ
  • 加算は加算額以上の賃金改善が条件で、実績報告で賃金改善額と照合します。
  • 区分ごとの要件は表で確かめ、特例要件による誓約の扱いも確認します。
  • 計画書・実績報告書の期日は、指定権者の案内とあわせて確かめます。

よくある質問

処遇改善加算の計画書はいつまでに出しますか?

計画書の期限は、介護保険・障害福祉とも原則としてその年度に初めて算定する月の前々月末ですが、令和8年度は次の特例があります。令和8年度は、4月・5月から算定する分が令和8年4月15日、4月・5月分を算定せず令和8年6月以降に算定する事業者は令和8年6月15日が期日でした。都道府県知事等が延長している場合もあります。

加算額の全額を賃金改善に回せなかったらどうなりますか?

賃金改善額が加算額を下回ると算定要件を満たさず返還の対象になりますが、介護保険のQ&Aは、不足分を賞与等の一時金で職員に追加配分すれば、返還を求めない取扱いもできるとしています。

法定福利費の増加分も賃金改善額に入れてよいですか?

入れられます。介護保険のQ&Aは、賃金改善分に応じて増えた社会保険料・労働保険料の事業主負担分と外形標準課税の付加価値額増加分を含め、退職手当共済などの任意加入制度の掛金は含めないとしています。

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出典

介護保険の通知とQ&A、障害福祉の通知を分けて参照しています。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・労務相談への回答ではありません。実際の取扱いは、指定権者や社会保険労務士等に確認してください。

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