登録免許税の納付方法 — 原則は現金納付で、印紙で払えるのは3万円以下だけではない
結論から言うと、登録免許税は「収入印紙を貼って納める税金」ではありません。登録免許税法21条が原則として定めているのは現金納付——国に納付したうえで、その領収証書を登記申請書に貼り付けて登記所に提出する方法です。印紙で納められるのは、22条が定める「税額が3万円以下である場合」と、同条の委任を受けた施行令29条が定める3つの場合に限られます。
もう1つ、この税金には申告書というものが存在しません。税額を認定するのは登記機関で(26条)、納期限は日付ではなく「登記等を受ける時」という時点です(27条)。だから足りなかったときは登記所ではなく税務署長が徴収し(28条・29条)、払いすぎたときも自分で税務署に還付申告をするのではなく、登記機関が税務署長へ通知するところから始まります(31条)。
この記事は、登録免許税をどう納め、どう戻すかという手続の側を条文で確認します。不動産や相続登記でいくらになるかの計算は不動産の登録免許税 計算機と相続登記の登録免許税 計算機に譲ります。ここは金額ではなく、納付と還付そのものの話です。
原則は現金納付 — 領収証書を申請書に貼って出す(21条)
登録免許税法の第3章は「納付及び還付」で、その第1節の冒頭に置かれているのが21条です。見出しがそのまま「現金納付」になっています。
登記等を受ける者は、この法律に別段の定めがある場合を除き、当該登記等につき課されるべき登録免許税の額に相当する登録免許税を国に納付し、当該納付に係る領収証書を当該登記等の申請書……に貼り付けて当該登記等に係る登記官署等に提出しなければならない。
読むべきところは3つあります。まず「この法律に別段の定めがある場合を除き」——つまり現金納付が原則で、印紙納付や電子納付はこの「別段の定め」の側にあります。次に「しなければならない」で、原則側は義務として書かれています。そして申請書に貼るのは印紙ではなく「領収証書」です。銀行などで納付書により納め、受け取った領収証書を登記申請書に貼り付けて法務局に出す、という流れになります。
省略した括弧書きの中身も実務では効きます。オンラインで登記申請をする場合は、貼り付ける先が「申請書」ではなくその登記等に係る登記機関の定める書類に読み替えられます。紙の申請書が存在しない申請でも、条文はきちんと受け皿を用意しています。
施行令28条1項は、法務局または地方法務局の長が、必要があると認める場合に収納機関——同項の括弧書きは「日本銀行及び国税の収納を行うその代理店」と定義しています——を指定できるとしています。指定があったときは、同条2項によりその収納機関に納めなければなりません。指定した旨は同条3項によりその登記所に公示されます。「どこの窓口で払ってもよい」わけではない、ということです。
印紙で納められるのは4つの場合(22条・施行令29条)
印紙納付は22条にあります。見出しは「印紙納付」で、原則ではなく特例の位置にあります。
登記等(第二十四条第一項に規定する免許等を除く。)を受ける者は、当該登記等につき課されるべき登録免許税の額が三万円以下である場合その他政令で定める場合には、当該登録免許税の額に相当する金額の印紙を当該登記等の申請書に貼り付けて登記官署等に提出することにより、国に納付することができる。
ここで見落とされやすい点が3つあります。
1つ目は、冒頭の括弧書き。「第二十四条第一項に規定する免許等を除く」とあります。24条1項の免許等——施行令30条が別表第一の号を名指しで列挙している各種の登録・特許・免許・許可・認可・認定・指定・技能証明——は、そもそも印紙納付の対象から外れています。登記と許認可では納付方法の選択肢が違うということです。
2つ目は「三万円以下」であって「三万円未満」ではないこと。ちょうど3万円の登記は、この本文だけで印紙納付が使えます。
3つ目は「その他政令で定める場合」。この委任を受けているのが施行令29条で、見出しは「印紙納付ができる場合」です。3つの号があり、そのうち2つは条文を読まないとまず出てきません。
| 印紙で納められる場合 | 根拠 | 中身 |
|---|---|---|
| 税額が3万円以下 | 法22条 本文 | 「以下」なのでちょうど3万円を含む |
| 近くに収納機関が無い | 令29条1号 | 現金納付が困難だと法務局長等が認めて登記所に公示した場合 |
| 3万円未満の端数の部分 | 令29条2号 | 税額のうち3万円未満の端数の部分だけを印紙で納める場合 |
| 特別の事情があると認められた | 令29条3号 | 登記機関が認めた場合。包括的な受け皿 |
2号と3号は次のとおりです。
登記等につき課されるべき登録免許税の額の三万円未満の端数の部分の登録免許税を納付する場合
前二号に掲げる場合のほか、印紙により登録免許税を納付することにつき特別の事情があると登記機関が認めた場合
3号があることが、この制度のいちばん実際的な部分です。条文の建て付けだけを見ると「3万円を超えたら印紙は使えない」と読めますが、施行令は「特別の事情があると登記機関が認めた場合」という包括的な受け皿を最後に置いています。3万円を超える登記でどの方法によるかは、条文の本文ではなくこの3号の認定と、1号の公示の有無で決まります。だから同じ税額でも登記所によって案内が違うことがあり、申請先の登記所に確認するのが確実だ、という結論になります。
官公署が登記を嘱託する場合の納付は23条です。1項は現金納付(領収証書を嘱託書に貼って出す)で、2項が「前項の場合において、登録免許税の額が三万円以下であるときは」印紙を官公署に提出する方法を認めています。21条・22条とは別の条に、同じ3万円の線が引き直されている形です。
電子納付と、納付を第三者に委託する道(24条の2・24条の3)
3つ目のルートが24条の2です。見出しは「電子情報処理組織を使用する方法等による納付の特例」です。
登記等を受ける者又は次条第一項の規定による委託を受けた納付受託者……は、当該登記等につき課されるべき登録免許税の額に相当する登録免許税又は当該委託を受けた登録免許税を、第二十一条から前条までの規定にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて財務省令で定めるものにより国に納付することができる。
「第二十一条から前条までの規定にかかわらず」とあるので、現金納付・印紙納付・嘱託の場合の納付のいずれをも上書きする特例です。ただし同項にはただし書があり、登記機関がその方法による納付の事実を確認することができない場合として財務省令で定める場合は使えません。納付そのものより、登記機関が納付を確認できるかどうかが条件になっている点が特徴です。
24条の3は、その納付を第三者に委託する仕組みです。実務上いちばん効くのは3項です。
登記等を受ける者が第一項の通知に基づき登録免許税を納付しようとする場合において、納付受託者が当該登録免許税の納付の委託を受けたときは、当該委託を受けた日に当該登録免許税の納付があつたものとみなして、国税通則法の延滞税に関する規定を適用する。
受託者が実際に国庫へ入れた日ではなく、委託を受けた日に納付があったものとみなす——延滞税の計算において、委託から入金までのタイムラグを納税者が負わない、という趣旨の規定です。なお納付受託者になれるのは誰でもよいわけではなく、24条の4第1項により所管省庁の長が指定するものに限られ、同条2項でその名称や所在地が公示されます。
納期限は日付ではなく「登記等を受ける時」(27条)
ほとんどの国税は納期限が日付で書かれています。登録免許税は違います。
登録免許税を納付すべき期限は、次の各号に掲げる登録免許税の区分に応じ、当該各号に定める時又は期限とする。
柱書がすでに「時又は期限」と2つ並べていて、1号が定めているのは「登記等を受ける時」という時点です。日付ではありません。納付が先で、登記が後という順序が、納期限の定め方そのものに埋め込まれています。21条が「納付し、……領収証書を……貼り付けて……提出しなければならない」という順で書かれているのも同じ構造です。
例外が2号で、こちらは免許等のうち24条1項または24条の2第2項の期限が免許等を受ける日より後になるもので、その場合はその期限が納期限になります。ここでいう期限は登記機関が定めますが、24条2項は「その期限を当該免許等をする日から一月を経過する日後としてはならない」と上限を切っています。許認可の側だけは「先に免許、あとで納付」がありうるけれど、それも最長で1か月、ということです。
納税地は登記所の所在地。ただし還付と徴収だけは自分の住所地(8条)
8条1項が原則を定めています。
登録免許税の納税地は、納税義務者が受ける登記等の事務をつかさどる登記所その他の官署又は団体(以下「登記官署等」という。)の所在地(第二十四条の二第一項に規定する財務省令で定める方法により登録免許税を納付する場合にあつては、政令で定める場所)とする。
納税者がどこに住んでいるかではなく、登記所がどこにあるかで納税地が決まります。ところが2項が、これをひっくり返す場面を指定しています。
第二十九条第一項若しくは第四項の規定により徴収すべき登録免許税又は国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第五十六条第一項(還付)に規定する過誤納金に係る登録免許税の納税地は、前項の規定にかかわらず、納税義務者が次の各号に掲げる場合のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める場所とする。
各号は、国内に住所のある個人ならその住所地、居所しかなければ居所地、国内に本店または主たる事務所のある法人ならその所在地、それ以外で事務所等があればその所在地、と定めています。つまり足りなくて徴収されるときと、払いすぎて還付されるときだけ、納税地が自分の側へ移るという構造です。
登記は遠方の物件の所在地を管轄する法務局に出すことがあります。それでも過誤納金の納税地は8条2項により自分の住所地なので、還付の手続を担当するのは住所地の所轄税務署長です。31条1項が登記機関に通知を義務づけている宛先も、条文上「第八条第二項の規定による納税地の所轄税務署長」と書かれています。登記所に問い合わせても振込はされません。
税額を決めるのは登記機関 — 申告書が無い税金(26条)
登録免許税には納税申告書がありません。申請書に自分で計算した課税標準と税額を書きますが、それを確定させるのは登記機関です。
登記機関は、登記等の申請書……に記載された当該登記等に係る登録免許税の課税標準の金額若しくは数量又は登録免許税の額が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準の金額若しくは数量又は登録免許税の額がその調査したところと異なるときは、その調査したところにより認定した課税標準の金額若しくは数量又は登録免許税の額を当該登記等を受ける者に通知するものとする。
見出しは「課税標準及び税額の認定」です。通知を受けたら、26条2項により遅滞なく差額を納付し、その領収証書を登記官署等に提出しなければなりません。3項は、免許等以外の登記等で登記機関が認めるときは差額を印紙で納められるとし、4項は、もともと電子納付していたなら差額も同じ方法で納められるとしています。足りない分の納付方法も、最初にどの方法で納めたかに引きずられるということです。
国税通則法23条1項は、更正の請求ができる者を「納税申告書を提出した者」と定め、期間を法定申告期限から5年としています。登録免許税には納税申告書がないので、この条文の入口に立てません。そこで登録免許税法31条2項が、通則法23条1項1号とほぼ同じ言い回し——「計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたこと」——を使い、期間も5年に揃えたうえで、請求の宛先だけを税務署長ではなく登記機関に置き換えています。同じ趣旨の手続が、税目の作りに合わせて別の条文で用意されている形です。
足りなければ、法務局ではなく税務署長が徴収する(28条・29条)
納付が足りないまま登記を受けてしまった場合、条文は2段階に分けています。まず28条1項が登記機関に通知を義務づけます。
登記機関は、登録免許税の納期限後において登記等を受けた者が……当該登記等につき納付すべき登録免許税の額の全部又は一部を納付していない事実を知つたときは、……遅滞なく、当該登記等を受けた者の当該登録免許税に係る第八条第二項の規定による納税地の所轄税務署長に対し、その旨及び財務省令で定める事項を通知しなければならない。
そのうえで29条1項が、税務署長に徴収させます。
税務署長は、前条第一項の通知を受けた場合には、当該通知に係る同項に規定する納付していない登録免許税を当該通知に係る登記等を受けた者から徴収する。
ここで注意しておきたいのは29条4項です。1項は「28条1項の通知を受けた場合」の話ですが、4項は通知の有無にかかわらず、税務署長が納付していない事実を知つた場合にはその者から徴収する、と定めています。登記機関からの通知は徴収の必要条件ではありません。「法務局が何も言ってこないから終わった」とは読めない、ということです。
また28条2項は、登記等を受けた者が2人以上いる場合の通知先を登記機関が選定した者とし、権利者と義務者の申請による登記や登録では権利者のうちから選定するとしています。売買であれば、通知は買主側に行く建て付けです。
還付には5年・6か月・1年という3つの別々の期限がある(31条)
31条は「過誤納金の還付等」で、8つの項があります。実務で押さえるべきは期限が1つではないことです。
出発点は1項で、還付は登記機関から税務署長への通知で動き始めます。
登記機関は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当する場合には、遅滞なく、当該各号に定める登録免許税の額その他政令で定める事項を登記等の申請をした者又は登記等を受けた者……の当該登録免許税に係る第八条第二項の規定による納税地の所轄税務署長に通知しなければならない。
各号は、①申請が却下された場合、②申請の取下げがあった場合、③過大に納付して登記等を受けた場合、の3つです。①②は登記機関が自分で把握できるので通知は自動的に義務づけられますが、③の「自分の計算が間違っていた」は登記機関から見えないため、2項が納税者側から動かす道を用意しています。
登記等を受けた者は、当該登記等の申請書……に記載した登録免許税の課税標準又は税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、登録免許税の過誤納があるときは、当該登記等を受けた日……から五年を経過する日までに、政令で定めるところにより、その旨を登記機関に申し出て、前項の通知をすべき旨の請求をすることができる。
ここが5年です。起算は「登記等を受けた日」で、納付した日ではありません。
次が再使用証明の1年です。申請を取り下げるとき、貼った領収証書や印紙を捨てずに済ませる仕組みが3項にあります。
登記機関は、登記等を受ける者から登記等の申請の取下げにあわせて、当該登記等の申請書……に貼り付けられた登録免許税の領収証書又は印紙で使用済みの旨の記載又は消印がされたものを当該登記官署等における登記等について当該取下げの日から一年以内に再使用したい旨の申出があつたときは、政令で定めるところにより、当該領収証書又は印紙につき再使用することができる証明をすることができる。
同項の後段は、この証明を受けた場合、5項の申出があったときを除き還付しないと明示しています。再使用証明と還付は二者択一だということです。4項は、却下に伴って申請書を返付する場合にも同じ扱いを準用します。
そして5項が、いったん再使用証明を受けたあとに気が変わったときの出口です。証明を無効にして還付を受けたい旨を、証明のあった日から1年を経過した日までに申し出ることができ、申出があったときは新たな却下または取下げとみなして1項を適用するとされています。
最後が電子納付の6か月です。6項は、24条の2の方法で納めたあとに登記等を受けることをやめる場合、納付した日から6か月を経過する日までに登記機関へ申し出て通知を請求できるとしています。さらに7項が、6か月を経過する日までに申請をしなかった場合には前項の請求があつたものとみなすとしています。申し出を忘れても放置で消えはしない設計です。
| 場面 | 誰が動かすか | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 申請が却下された・取り下げた | 登記機関(義務) | 遅滞なく | 31条1項1号・2号 |
| 自分の計算誤りで払いすぎた | 納税者の申出 | 登記等を受けた日から5年 | 31条2項 |
| 領収証書・印紙を再使用したい | 納税者の申出 | 取下げの日から1年以内 | 31条3項 |
| 再使用をやめて還付に切り替える | 納税者の申出 | 証明の日から1年を経過した日まで | 31条5項 |
| 電子納付したが登記を受けない | 納税者の申出(無ければみなし) | 納付した日から6か月 | 31条6項・7項 |
8項は、還付加算金の計算の起点を定めています。却下ならその却下した日、取下げならその取下げがあった日、過大納付ならその登記等を受けた日に納付があったものとみなして、国税通則法56条から58条までを適用する、という組み立てです。還付加算金がいつから付くかは、還付の理由ごとに違うということになります。
課税標準の「価額」— 本則は登記の時の価額、固定資産税評価額は附則の「当分の間」
不動産の登録免許税の課税標準は「固定資産税評価額」と説明されるのが普通です。ただし本則にその言葉はありません。10条1項が定めているのは「当該登記又は登録の時における不動産等の価額による」です。続く第2文が、権利関係の扱いを決めています。
この場合において、当該不動産等の上に所有権以外の権利その他処分の制限が存するときは、当該権利その他処分の制限がないものとした場合の価額による。
抵当権が付いていても、差押えがあっても、それが無いものとした場合の価額で測る、ということです。では固定資産税評価額はどこから来るのか。附則7条(不動産登記に係る不動産価額の特例)です。
新法別表第一の第一号に掲げる不動産の登記の場合における新法第十条第一項の課税標準たる不動産の価額は、当分の間、当該登記の申請の日の属する年の前年十二月三十一日現在又は当該申請の日の属する年の一月一日現在において地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百四十一条第九号(固定資産税に関する用語の意義)に掲げる固定資産課税台帳に登録された当該不動産の価格を基礎として政令で定める価額によることができる。
「当分の間」「よることができる」という書き方に注意してください。昭和42年の附則が現在も生きている形で、しかも義務ではなく可能規定です。国税庁のタックスアンサーNo.7191も、課税標準となる「不動産の価額」について、固定資産課税台帳に登録された価格がある場合は原則その価格で、ない場合は登記官が認定した価額になるので管轄の登記所に問い合わせるように、と案内しています。台帳価格が万能ではないのは、本則が時価で書かれているからです。
端数と下限も、それぞれ別の条にあります。課税標準側が15条です。
別表第一に掲げる登記又は登録に係る課税標準の金額を計算する場合において、その全額が千円に満たないときは、これを千円とする。
税額側が19条(定率課税の場合の最低税額)です。
別表第一に掲げる登記又は登録につき同表に掲げる税率を適用して計算した金額が千円に満たない場合には、当該登記又は登録に係る登録免許税の額は、千円とする。
「1,000円」という下限が2回、別々の段階に出てくるのがこの税金の特徴です。課税標準を丸めるところで1回、税率をかけたあとにもう1回。実際の計算は下のツールが両方を織り込んでいます。
不動産の登録免許税を計算する(売買・新築・抵当権設定)よくある質問
Q. 法務局で収入印紙を買って貼るのが普通だと思っていました。あれは何ですか?
A. 登録免許税法22条と施行令29条が認めている印紙納付です。ただし条文の建て付けとしては原則ではなく特例で、21条の現金納付が原則です。印紙で納められるのは、税額が3万円以下の場合(法22条本文)、近くに収納機関が無く現金納付が困難だと法務局長等が認めて登記所に公示した場合(令29条1号)、3万円未満の端数の部分を納める場合(同2号)、そして印紙により納付することにつき特別の事情があると登記機関が認めた場合(同3号)です。3万円を超える登記で印紙が使えるかどうかは条文の本文ではなく1号の公示と3号の認定によって決まるので、申請先の登記所に確認するのが確実です。
Q. 登記の申請を取り下げました。貼った収入印紙は戻ってきますか?
A. 2つの道があり、どちらか一方しか選べません。1つは還付で、31条1項2号により登記機関が所轄税務署長へ通知し、税務署から還付されます。もう1つが31条3項の再使用証明で、取下げの日から1年以内に再使用したい旨を申し出れば、消印済みの領収証書や印紙について再使用できる証明を受けられます。同項の後段は、この証明を受けた場合は5項の申出があったときを除き還付しないと定めているので、証明を受けると還付の道は閉じます。あとで再使用しないことになったときは、5項により証明のあった日から1年を経過した日までに申し出れば、還付に切り替えられます。
Q. 登録免許税を多く払いすぎていたことに、あとから気づきました。更正の請求はできますか?
A. 国税通則法23条の更正の請求は使えません。同条1項が請求できる者を「納税申告書を提出した者」としているためで、登録免許税には納税申告書を提出する仕組みがないからです。代わりに登録免許税法31条2項があり、計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと、または計算に誤りがあったことによる過誤納について、登記等を受けた日から5年を経過する日までに登記機関へ申し出て、税務署長への通知を請求できます。期間は通則法の5年と同じですが、宛先が税務署長ではなく登記機関である点が違います。
Q. 登録免許税が足りませんでした。法務局から請求書が来るのですか?
A. 請求してくるのは税務署長です。28条1項が、納期限後に納付不足を知った登記機関に対し、遅滞なく所轄税務署長へ通知することを義務づけ、29条1項がその通知を受けた税務署長に徴収させています。さらに29条4項は、通知の有無にかかわらず税務署長が納付していない事実を知った場合には徴収すると定めているので、登記機関からの通知は徴収の条件ではありません。なお登記等を受けた者が複数いる場合、28条2項により通知先は登記機関が選定した者で、権利者と義務者の申請による登記等では権利者のうちから選定されます。
Q. 還付されるお金は、登記を出した法務局の近くの税務署から来るのですか?
A. いいえ、自分の住所地などの所轄税務署です。登録免許税の納税地は8条1項では登記官署等の所在地ですが、8条2項が、29条1項・4項により徴収すべき登録免許税と、国税通則法56条1項の過誤納金に係る登録免許税については、この原則によらないと定めています。国内に住所のある個人ならその住所地、国内に本店または主たる事務所のある法人ならその所在地です。31条1項が通知の宛先を「第八条第二項の規定による納税地の所轄税務署長」と書いているのはこのためです。
Q. 納期限はいつですか。登記が終わったあとに納めることはできますか?
A. 原則としてできません。27条1号が定める納期限は日付ではなく「登記等を受ける時」という時点だからです。21条も、納付してから領収証書を申請書に貼って提出する順序で書かれています。例外は免許等の一部で、27条2号により24条1項または24条の2第2項の期限が免許等を受ける日より後になる場合はその期限が納期限になります。ただし24条2項が、登記機関の定める期限を当該免許等をする日から1か月を経過する日後としてはならないと上限を切っています。
Q. オンライン申請で電子納付したあと、登記の申請自体をやめました。納めたお金はどうなりますか?
A. 31条6項により、納付した日から6か月を経過する日までに登記機関へ申し出て、所轄税務署長への通知を請求できます。この期限は2項の5年ではなく6か月なので短いのですが、7項が、6か月を経過する日までに納付の基因となる登記等の申請をしなかった場合には前項の請求があったものとみなすと定めています。申出を忘れても手続が自動で進む建て付けなので、放置によって権利が消えるわけではありません。
Q. 不動産の価額は固定資産税評価額でよいのですか?
A. 実務ではそうなりますが、根拠は本則ではなく附則です。10条1項の本則は「当該登記又は登録の時における不動産等の価額による」と定めており、固定資産税評価額という語は出てきません。附則7条が、当分の間、前年12月31日現在または申請の日の属する年の1月1日現在において固定資産課税台帳に登録された価格を基礎として政令で定める価額によることができる、としています。「当分の間」の可能規定である点と、台帳に価格が無い不動産では登記官が認定した価額になる点に注意してください。
出典
- e-Gov 法令検索・法令API v2「登録免許税法」(昭和四十二年法律第三十五号)令和8年7月23日施行リビジョン(342AC0000000035_20260723_508AC0000000064)8条・10条・15条・19条・21条・22条・23条・24条・24条の2〜24条の4・26条〜29条・31条、附則7条
- e-Gov 法令検索・法令API v2「登録免許税法施行令」(昭和四十二年政令第百四十六号)令和8年5月22日施行リビジョン(342CO0000000146_20260522_508CO0000000152)28条・29条・30条
- e-Gov 法令検索・法令API v2「国税通則法」(昭和三十七年法律第六十六号)23条
- 国税庁タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」(令和8年4月1日現在法令等)
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。実際にどの納付方法によるか、還付や再使用証明の取扱いは、申請先の登記所の運用や個別の事情によって異なります。判断に迷う場合は、申請先の法務局・地方法務局、所轄の税務署、または税理士・司法書士にご確認ください。