軽減の期限は2つ別々にある(土地は令和11年・住宅は令和9年)
土地の1.5%は令和11年3月31日まで、住宅用家屋の軽減は令和9年3月31日までで、2年ずれています。土地の売買の軽減と住宅用家屋の軽減は別の条文にあり、適用期限も別々だからです。条文は、土地が租税特別措置法72条、住宅が同72条の2・73・74・74条の2・74条の3・75です。
国税庁のタックスアンサーNo.7191も、土地の期限を「令和11年3月31日まで」と案内しています。令和8年4月1日現在の法令に更新されており、租税特別措置法72条の3年延長と一致しています。評価額1,500万円の土地なら、1.5%(225,000円)と本則2%(300,000円)で75,000円の差です。
土地は登記日、住宅は新築・取得日と登記までの期間を分けて軽減を判定します。期限内に新築・取得した住宅は、令和9年4月以降の登記でも原則取得後1年以内なら軽減対象です。新築・取得が住宅の期限より後のときは、ほかの軽減要件を満たしていても、建物と抵当権の税額は出しません。土地の税額は出します——期限が別の制度だからです。軽減要件を満たさない建物と抵当権は、本則の税率で計算します。
移転登記の軽減が使えるのは「売買」と「競落」だけ
住宅用家屋の所有権移転登記の軽減が使える取得の原因は、売買と競落だけです(租税特別措置法施行令42条3項)。贈与・交換・財産分与による所有権移転には軽減がなく、本則の2%です。評価額1,000万円の家なら、売買の30,000円に対し贈与は200,000円です。
保存登記には、売買・競落という取得原因の要件を当てはめません。自ら新築した住宅も軽減対象になり得ます。住宅用家屋証明等の要件を満たす一般住宅の保存登記は0.15%です。
競落(競売での落札)は、建物の軽減は使えますが、土地の1.5%は使えません。措法72条が対象を「土地の売買による所有権の移転の登記」と書いていて、競落は売買ではないためです。競売の土地は本則2%です。建物は、個人の自己居住・床面積50㎡以上・取得期限と原則取得後1年以内の登記等の住宅軽減要件を満たせば0.3%、満たさなければ本則2%です。
中古の築年数要件は廃止済み(今は昭和57年1月1日)
中古住宅の要件は、①建築基準法施行令の耐震基準に適合すること、又は②昭和57年1月1日以後に建築されたものであることです(租税特別措置法施行令42条1項2号)。かつての「木造20年・耐火25年以内」という築年数の要件は令和4年度改正で廃止されました。古い解説のまま築年数で切ると、要件を満たす人に「軽減なし」と答えます。築40年の家でも昭和57年1月以後の建築なら軽減の対象です。
新築・中古に共通の要件
- 個人が自分の住まいとして使うこと(措法72条の2・73)
- 登記簿上の床面積が50㎡以上であること(措令41条)
- 新築・取得から1年以内に登記を受けること
マンションの登記簿は内法(うちのり)面積で、パンフレットの壁芯面積より小さいので、50㎡前後の物件は要件を満たさないことがあります。
軽減を受けるには市町村長が発行する住宅用家屋証明書を登記申請書に添付する必要があり、登記の後から還付は受けられません。
長期優良と低炭素で「一戸建て0.2%」の有無が違う
認定住宅には0.1%まで下がる特例がありますが、特定認定長期優良住宅の移転登記だけ、一戸建てが0.2%です。措法74条2項がかっこ書きで「一戸建ての特定認定長期優良住宅にあつては、千分の二」と定めているためです。認定低炭素住宅(同74条の2第2項)にはこのかっこ書きが無く、一戸建てでも0.1%です。
| 認定の種類 | 保存(新築) | 移転・マンション等 | 移転・一戸建て |
|---|---|---|---|
| 特定認定長期優良住宅(74条) | 0.1% | 0.1% | 0.2% |
| 認定低炭素住宅(74条の2) | 0.1% | 0.1% | 0.1% |
どちらの特例も「新築又は建築後使用されたことのない」住宅に限られます(74条1項2項・74条の2第1項2項)。中古の長期優良住宅には認定住宅の特例は使えませんが、一般住宅の要件を満たせば0.3%、一定の買取再販住宅の要件を満たせば0.1%となります。中古住宅で0.1%になる経路は買取再販(宅建業者が増改築した中古住宅を個人が買う場合・74条の3)だけです。
買取再販住宅として選べる場合
計算機の「買取再販住宅か」は、次の要件などの全要件を満たし、証明書で確認できる場合に選びます。単にリフォーム済みであるだけでは対象になりません。
- 宅建業者の取得から2年以内の再販売
- 築10年以上
- 所定の増改築工事
- 工事費が売価の20%(上限300万円)以上
土地・建物に入れるのは「固定資産税評価額」
課税標準は登記の時における不動産の価額(登録免許税法10条1項)で、当分の間、固定資産課税台帳に登録された価格を基礎とすることができると定められています(同法附則7条)。売買代金や建築工事費ではありません。
- 固定資産税の課税明細では、住宅用地の特例で小さくなった「課税標準額」ではなく「価格(評価額)」欄の額を使ってください。
- 新築の建物はまだ評価額が無いので、法務局の新築建物課税標準価格認定基準表による認定価格を入れます。
抵当権の課税標準は「借入額」で、家の評価額ではない
抵当権の設定は、家の評価額ではなく住宅ローンの借入額で計算します。所有権の保存・移転の課税標準は不動産の価額ですが、抵当権の設定だけは違います。登録免許税法 別表第一 第一号(五)が課税標準を次のように定めています。
先取特権の保存、質権若しくは抵当権の設定、処分の制限又は転質の登記又は登録 債権金額、極度金額又は不動産工事費用の予算金額
つまり住宅ローンの借入額(根抵当権なら極度金額)が課税標準です。評価額2,000万円の家に3,000万円のローンを組んだなら、抵当権の課税標準は3,000万円で、税額は3,000万円×0.1%=30,000円です。家の評価額2,000万円で計算した20,000円ではありません。
借入額を小さくすれば課税標準も小さくなります。ただし、端数処理や最低税額1,000円により税額が変わらない場合もあります。
税率が違う登記は別々に端数処理する
端数処理は同じ税率が適用される登記ごとに1回行います。土地1.5%・建物0.3%・抵当権0.1%を足してから丸めると、切捨てが1回しか効かず額がずれます。手順は次の順です。
- その税率の不動産の価額(持分適用後)を合計する
- 1,000円未満を切り捨てる(国税通則法118条1項)。全額が1,000円未満なら1,000円とする(登録免許税法15条)
- 税率を掛ける
- 100円未満を切り捨てる(国税通則法119条1項)。税率適用後が1,000円未満なら税額は1,000円とする(登録免許税法19条)
最低税額1,000円の判定は、100円未満を切り捨てる「前」の額で行います。登録免許税法19条が「税率を適用して計算した金額」と書いているためです。課税標準50万円×0.15%=750円なら税額は1,000円で、750円を切り捨てて700円にしてから判定するのではありません。
この計算機で計算できないケース
- 1年以内に登記できないやむを得ない事情がある場合:取得後1年以内に登記できない法定のやむを得ない事情(売主が登記に応じず新築後1年以内に提訴した場合等)は、この計算機の対象外です。
- 相続人以外への遺贈:本則2%で、この計算機の対象外です。
よくある質問
家を買うと登録免許税はいくらかかりますか?
登記ごとに税率が違うので、足し合わせた額になります。土地の売買による所有権移転は固定資産税評価額の1.5%、住宅用家屋の所有権移転は0.3%、新築の所有権保存は0.15%、住宅ローンの抵当権設定は借入額の0.1%です。たとえば土地の評価額1,500万円・建物1,000万円・ローン3,500万円の中古住宅なら、225,000円+30,000円+35,000円=290,000円です。司法書士報酬や登記事項証明書の実費は含みません。
抵当権設定の登録免許税は、家の評価額で計算するのですか?
いいえ、借入額(債権金額)で計算します。不動産の価額を課税標準にするのは所有権の保存・移転の登記で、抵当権の設定は別です。評価額2,000万円の家に3,000万円のローンを組んだ場合、抵当権の課税標準は3,000万円で、税額は3,000万円×0.1%=30,000円です。根抵当権のときは極度金額で計算します。
土地の1.5%はいつまでですか?
令和11年3月31日までです。令和8年度の改正(令和8年法律第12号・2026年4月1日施行)で3年延長されました。住宅用家屋の軽減(住宅の保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%)は期限が別で、令和9年3月31日までです。
親から譲ってもらった家の名義変更にも軽減はありますか?
贈与にはありません。住宅用家屋の所有権移転登記の軽減が使える取得の原因は「売買又は競落」だけと定められているためです(租税特別措置法施行令42条3項)。贈与・交換・財産分与による所有権移転は本則の2%で、評価額1,000万円の家なら売買の30,000円に対し贈与は200,000円です。相続・相続人への遺贈による移転は税率そのものが別で0.4%なので、相続登記の登録免許税 計算機をお使いください。
認定長期優良住宅なら一戸建てでも0.1%ですか?
移転登記は0.2%です。特定認定長期優良住宅の移転登記は、マンション等が0.1%、一戸建ては0.2%と定められています(租税特別措置法74条2項)。保存登記は一戸建てでも0.1%です。認定低炭素住宅は、移転登記でも一戸建てで0.1%です(同74条の2第2項)。どちらの特例も新築・未使用住宅が対象で、中古には使えません。
中古住宅は築何年までなら軽減を受けられますか?
築年数の要件は令和4年度改正で廃止されました。今は「昭和57年1月1日以後に建築されたもの」であること、またはそれ以前でも耐震基準に適合する証明があることが要件です(租税特別措置法施行令42条1項2号)。ほかに、個人が自分の住まいとして使うこと・登記簿上の床面積が50㎡以上であること・新築や取得から1年以内に登記を受けることが必要です。
出典
- 登録免許税法(昭和42年法律第35号) — 9条(課税標準及び税率)/10条1項2項(不動産の価額・持分)/15条(課税標準の最低額)/19条(定率課税の最低税額)/別表第一 第一号(一)保存・(二)ハ その他の移転・(五)抵当権の設定/附則7条(固定資産課税台帳の登録価格)
- 租税特別措置法(昭和32年法律第26号) — 72条(土地の売買1.5%)/72条の2(住宅用家屋の保存)/73条(住宅用家屋の移転)/74条(特定認定長期優良住宅)/74条の2(認定低炭素住宅)/74条の3(買取再販住宅)/75条(住宅取得資金の抵当権設定)
- 租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号) — 41条(住宅用家屋の範囲・床面積50㎡以上)/42条1項2号(中古住宅の耐震要件)/42条3項(取得の原因は売買又は競落)
- 国税通則法(昭和37年法律第66号) — 118条1項(課税標準の1,000円未満切捨て)/119条1項(確定金額の100円未満切捨て)
- 国税庁 タックスアンサー No.7191 登録免許税の税額表 — 税率の照合に使用。同ページは「令和8年4月1日現在法令等」で、土地の売買の軽減期限は令和11年3月31日です(2026年9月26日再確認)
参照した固定正本の施行版は、登録免許税法2026年7月23日、租税特別措置法2026年8月12日、同施行令2026年7月31日です。税率と土地の売買の軽減期限は、更新後の国税庁No.7191とも一致しています。申請者が課税標準と税額を計算し納付します。登記機関は記載が法令や調査結果と異なる場合に認定額を通知するため、申請前に法務局又は司法書士に確認してください。