売上高営業利益率の計算方法|営業・経常利益率を同じ決算で検算
売上高営業利益率は、売上高に対して本業の利益がどれだけ残ったかを示す比率です。同じ決算の営業利益を売上高で割り、百分率で表します。経常利益率も分母は売上高ですが、分子を経常利益に替えます。
下の早見表で使う科目を確認し、公庫の記入例で転記から計算まで追えます。日本基準の一般事業会社を想定した解説です。金融業など表示体系の異なる業態や、他の会計基準による表示は対象にしません。
計算式と使う科目の早見表
売上高営業利益率は、営業利益を売上高で割って求めます。次の式は、同一決算の利益と売上高を使い、売上高が正の場合の計算です。期間・単体か連結か・金額単位・税込税抜の扱いをそろえます。売上高がゼロなら利益率を算出できません。
| 指標 | 計算式 | 確認する範囲 |
|---|---|---|
| 売上高営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 × 100 | 売上原価・販管費を引いた本業の損益 |
| 売上高経常利益率 | 経常利益 ÷ 売上高 × 100 | 本業に営業外損益を加えた損益 |
営業利益が損益計算書に出ていれば、その額を使います。明細から組み立てるなら、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を引きます。利益の段階を取り違えると、割り算が合っていても別の指標になります。
計算式は中小企業基盤整備機構の経営自己診断システム「個別指標一覧」で確認できます。営業と経常の定義や科目の区分は、営業利益と経常利益の違いにまとめています。
公庫の記入例で利益率を検算
公庫の記入例では、営業利益率は−1.18%、経常利益率は−3.02%です。元の損益計算書と転記した額を合わせ、その後に利益率を求めます。以下は日本政策金融公庫の「経営改善計画書策定の手引」の記入例です。特定年度の企業実績や、達成すべき目標ではありません。
次は公庫の記入例の同一決算を抜き出した表で、単位は千円です。営業利益・経常利益の行は、損失をマイナスの符号付きで示しています。原資料の「営業経費」は、この例で売上総利益から引く経費の合計です。
| 項目 | 金額 | 照合する関係 |
|---|---|---|
| 売上高 | 90,000 | 利益率の共通の分母 |
| 売上原価 | 32,400 | 売上高から引く |
| 売上総利益 | 57,600 | 売上高から売上原価を引いた額 |
| 営業経費 | 58,665 | 売上総利益から引く |
| 営業利益(損失) | −1,065 | 売上総利益から営業経費を引いた額 |
| 営業外収益 | ゼロ | 営業損益に足す |
| 営業外費用 | 1,656 | 営業損益から引く |
| 経常利益(損失) | −2,721 | 営業損益に営業外収益を足し、営業外費用を引いた額 |
この公庫の記入例では、営業経費の括弧書きの人件費・減価償却費などは合計額に含まれる内訳です。営業経費を引いた後、同じ内訳をもう一度引かないようにします。売上原価に含まれる減価償却費と営業経費の内訳も、別の欄として確かめます。
次は公庫の記入例の同一決算で計算した利益率です。金額の単位は千円で統一し、率は最後に小数第3位を四捨五入しています。売上高は正の額です。
| 指標 | 計算過程 | 表示する率 |
|---|---|---|
| 営業利益率 | −1,065 ÷ 90,000 × 100 | −1.18% |
| 経常利益率 | −2,721 ÷ 90,000 × 100 | −3.02% |
この記入例は本業の段階で赤字で、営業外費用を加えると経常の赤字がさらに大きくなります。負号を消して割ると黒字の率に見えるため、転記した額の符号をそのまま保ちます。
計算途中の額や率を丸めてから次の計算に使うと、元の決算額と差が出ることがあります。上の表は元の額から直接計算し、表示する段階で率を丸めたものです。表示された率から利益額を逆算して、原資料と完全一致するとは限りません。
経常利益率との差を確かめる
同一決算で売上高が正なら、経常利益率から営業利益率を引いた差は、営業外収益から営業外費用を引いた額の売上高に対する比率です。この関係は分母の売上高が共通であるため成り立ちます。
差だけを見て、借入の支払利息によるものと決めつけず、営業外項目の内訳を開いて確認します。
特別損益や法人税等を営業利益に加減しても、経常利益にはなりません。営業利益率と最終利益の率を比較したい場合は、計算メモの指標名と分子の科目を変えます。経常利益率との比較とは分けて記録します。
上の公庫の記入例では、営業外収益がなく営業外費用があるため、経常利益率の方が低くなっています。表示済みの率同士の差より先に、元の営業利益から経常利益への金額のつながりを照合します。そうすると、丸めによる差を取り違えずに済みます。
数字が合わないときの確認表
数字が合わないときは、電卓の操作を繰り返す前に、転記元と集計範囲を確認します。実務用の計算メモには、決算期間・単体か連結か・単位・採用した科目名・表示時の丸めを残します。後から同じ条件で計算を再現できます。
| 起きていること | 先に見る箇所 | 確認・修正すること |
|---|---|---|
| 元の営業利益と組立額が合わない | 売上原価・販管費の合計と内訳 | 内訳の二重加算や、営業外費用の混入を確認する |
| 別の担当者の率と違う | 計算メモの分子と分母 | 粗利・営業・経常のどれか、参照した科目名を合わせる |
| 金額の桁が違う | 表題の金額単位 | 利益と売上高を同じ金額単位へそろえる |
| 公表資料の率と少し違う | 原数値・表示桁・丸め方の注 | 丸め済みの金額を使っていないか確認する |
| 月次の率と決算の率が違う | 対象期間と決算整理の内容 | 月次と年次、整理前と整理後を分ける |
| 単体と連結で違う | 財務諸表の表題 | 利益と売上高が同じ集計範囲か確認する |
| 税込税抜の扱いが違う | 元帳・決算書と集計表の基準 | 別基準で集計した金額を混ぜず転記元をそろえる |
売上高がゼロ・負のとき
売上高がゼロなら利益率は算出できません。営業利益がゼロで売上高が正の場合とは区別します。売上高が負の場合も通常の採算比較から外します。返品・取消・対象期間など、負になった理由を先に確認します。
損失の表示を転記するとき
売上高が正なら、営業損失は負の利益として割るため、営業利益率はマイナスになります。資料に「営業損失」として損失額の大きさが示されている場合は、符号付きの損益額に読み替えます。その大きさを正の利益として入力しないようにします。
営業利益率だけを知りたいときは、営業外収益・費用や特別損益、法人税等を営業利益からさらに引きません。計算に使った数字が損益計算書のどの段階かを先に合わせるのが確認の出発点です。
目安・前期比較の読み方
業種の目安は、同じ業種・規模・集計方法で比べる参考値です。他社や統計の率が高いことだけで、自社が費用を使いすぎているとは判断できません。費用構成や事業内容の違いを確かめます。
業種別の参考表は、営業利益と経常利益の違いの業種別比較に掲載しています。参照するときは、決算実績の年度、法人か個人か、集計額から出した率か企業ごとの率の平均か、税込税抜の扱いを確認してください。
自社の前期と比較する場合も、率と利益額の両方を見ます。売上高と利益額がともに変わると、利益額が増えても率が上がるとは限りません。対象期間が違う資料や、集計範囲を変えた資料は、そのまま同条件の前期比較としないよう注を付けます。
原価側の変化を調べるなら売上総利益、販売・管理費側の変化を調べるなら販管費の明細を確認します。商品の粗利率と会社全体の営業利益率を同じ指標として扱わず、それぞれの範囲で確かめます。
商品単位の粗利率・原価率は、利益率計算ツールで確認このツールは商品の原価と売価を使う粗利の計算用です。会社の営業利益率は上の式で、決算の営業利益と売上高から求めます。
また、利益率から現預金残高や借入元金の返済額は求められません。公庫の経営改善計画の手引でも、借入返済の検討ではキャッシュフローを使います。支払日の資金が足りるかは、入出金予定や返済予定と分けて確認します。
よくある質問
営業利益率と売上高営業利益率は同じですか?
本記事では同じ指標として扱います。売上高に対する営業利益の割合です。比較資料を受け取ったときは、略称だけで決めず、分子が営業利益、分母が同じ決算の売上高かを確認してください。
経常利益率との違いは何ですか?
分子に使う利益が違います。営業利益率は営業利益、経常利益率は営業外収益・費用も加減した経常利益を使い、分母は同一決算の売上高にそろえます。
売上高営業利益率がマイナスでも計算はできますか?
売上高が正なら計算できます。営業損失を負の損益額として割ります。売上高がゼロなら算出できず、負なら通常の採算比較から外して、売上が負になった理由を確認します。
何パーセントなら良い会社といえますか?
利益率だけで会社の良し悪しは決められません。同業種・同規模の参考値や自社の推移に加え、利益額、費用の中身、資金繰りなどを確かめます。投資や融資の可否を判定する記事ではありません。
出典
中小企業基盤整備機構の指標の定義と、公庫の損益計算書の記入例を参照しています。記入例から計算した利益率は本記事の算出値です。
- 中小企業基盤整備機構「経営自己診断システム 個別指標一覧」:売上高営業利益率・経常利益率・総利益率の定義。
- 日本政策金融公庫「経営改善計画書策定の手引」:現状把握の損益計算書の記入例、内訳の留意事項、債務償還年数。
このページは一般的な会計指標と計算方法の解説です。個別の税務・労務相談には応じられません。個別の会計処理や申告の判断は、専門家または所轄の窓口にご確認ください。