税金・経理・補助金ツールズ

EBITDAとは?計算式と営業利益との違い・調整項目の確認表

EBITDAは、利払い・税金・償却の影響を除いて利益を見るための指標です。営業利益から求める場合は、当期の営業損益に含まれた償却費を足し戻します。手元に残った現金の額ではありません。

この記事では、EBITDAを「営業利益+当期の営業損益に含まれた減価償却費・のれん償却費」で求めます。無形資産の償却を含め、同じ償却費を重ねて加算しません。公表資料や借入契約のEBITDAには別の定義もあるため、提出先の定義を先に確認してください。

計算式と集める資料

まず損益計算書の営業利益と、その利益を減らした当期の償却費を集めます。EBITDAは「イービットディーエー」「イービットダー」などと読み、Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの略です。

本記事の定義では、EBITDA=営業利益+当期営業損益の減価償却費+当期営業損益ののれん償却費です。減価償却費には無形資産償却も含め、のれん償却費とは別集計にします。

集める項目確認する資料間違えやすい点
営業利益・営業損失同じ期間・集計範囲の損益計算書経常利益や税引前利益をそのまま代用しない
減価償却費・無形資産償却原価明細・販管費明細・固定資産台帳・注記取得額・減価償却累計額ではなく当期営業損益計上分
のれん償却費販管費明細・のれんの注記・調整表減価償却費の集計に含めた分を重ねて足さない
追加の調整項目提出先の定義・会社公表の調整表・借入契約「非資金」「一時的」という理由で独自に追加しない

製造原価に含まれる償却費も確認します。ただし、固定資産台帳の当期償却額と当期の売上原価・販管費に含まれる額は、棚卸資産への配賦などでずれることがあります。台帳の合計を写す前に、営業利益との対応を確認してください。

財務諸表等規則89条では、個別損益計算書の営業利益は売上総利益から販管費を控除した額です。売上総損失や販管費超過の場合は営業損失になるので、計算では損失を負数にします。

本記事の営業利益起点のEBITDAと追加調整営業利益(当期・同じ集計範囲)+営業損益に含まれた償却費減価償却・無形資産・のれんを重複なく本記事のEBITDA追加調整は、公表資料・契約の定義を確認
償却費を足す前に、当期の営業利益を減らした額かを確認します。
減価償却費の計算機で償却額を確認する

計算機の償却スケジュールは集計の補助です。EBITDAへの加算額は、原価配賦や会計上の処理を含めた当期損益と照合してください。

営業利益と税引前利益から計算する例

同じ定義で集計するなら、出発点を変えても同じ結果になります。税引前利益から計算する場合は、営業外損益・特別損益を除いて営業利益へ戻してから、当期の営業損益に含まれた償却費を重複なく加算します。

以下は架空会社の一事業年度の設例です。金額は万円で、償却費は当期営業損益計上分を別集計し、ほかの損益はないものとします。特別損失は減損損失です。

架空の設例:同一年度の利益と償却費
項目設例の額
営業利益1,000万円
減価償却費(のれん償却を除く)300万円
のれん償却費100万円
営業外収益20万円
営業外費用(この例は支払利息)80万円
特別利益50万円
特別損失(減損損失)200万円
税引前当期純利益790万円

同じ架空の年次設例で、当期営業損益の償却費を重複なく加算します。ほかの損益はなく、次の計算では金額の丸めを行いません。

架空の設例:本記事の営業利益起点の定義へそろえる
出発点設例の計算
営業利益から1,000万円+300万円+100万円=1,400万円
税引前利益から790万円−20万円+80万円−50万円+200万円+300万円+100万円=1,400万円

税引前利益に支払利息と償却費を足す算式は、この営業利益起点の定義と自動的に一致するわけではありません。受取利息などの営業外収益や、特別損益が残るためです。提出先が税引前利益起点の算式を指定していれば、その定義に従ってください。

日本基準の個別損益計算書を営業利益起点へそろえる組替式は「営業利益=税引前当期純利益−営業外収益+営業外費用−特別利益+特別損失」です。営業外・特別の各区分の全額を用い、税引前損失は負数で扱います。

根拠となる利益段階は、財務諸表等規則95条と95条の4で確認できます。IFRSなど、利益の表示区分が違う資料にこの組替式をそのまま当てはめないでください。

減損・のれん償却の確認表

減損は、どの利益に含まれているかで扱いが変わります。非資金費用かどうかだけで加算を決めず、出発点の利益と提出先の定義を照合します。

次の表は本記事の営業利益起点の定義について、当期の損益計上箇所から確認する表です。企業独自の調整後指標・契約指標の指定があれば、その定義を別に確認します。

項目・計上箇所確認する扱い
営業損益に含まれたのれん償却加算する。ほかの償却費の集計に含めた場合は重複を除く
特別損失に計上した減損営業利益からは加算しない。税引前利益を営業利益へ戻す段階で除外する
営業利益の内側に計上した減損償却費と同一視せず、指定のEBITDA定義に減損の加算があるかを確認する
買収時の取得関連費用通常の償却費に混ぜない。調整後指標に含める場合は定義と対象費用を明示する
営業外費用に計上した償却営業利益へ戻す組替えで除外済みなら、さらに重ねて加算しない

日本基準で特別損失に計上した減損は、営業利益を減らしていません。その減損を営業利益起点のEBITDAへさらに加算すると、元の営業利益に含まれない費用を足すことになります。特別損失の表示は財務諸表等規則95条の3に定められています。

のれん償却と減損の会計処理そのものは、のれんの解説と減損損失の解説で確認できます。

公表された調整後EBITDAの例

「調整後」の中身は会社の資料で確認します。名称が似ていても、EBITDAと調整後当期純利益では調整の出発点も項目も違います。

技術承継機構の有価証券報告書では、同社独自の調整後EBITDAに、新規M&A実行時のアドバイザー手数料である取得関連費用を加算しています。非資金費用だけを足している指標ではありません。

技術承継機構の2025年12月期の連結KPIです。同社の有価証券報告書の表示値を百万円単位で示し、営業利益からの調整をたどります。

技術承継機構・2025年12月期の連結調整表
項目同社の公表額
営業利益1,432百万円
加算:のれん償却費143百万円
加算:減価償却費746百万円
EBITDA2,321百万円
追加:取得関連費用577百万円
調整後EBITDA2,898百万円

同社の調整後当期純利益には、負ののれん発生益やのれん減損損失などを扱う別の調整表があります。その表の項目を、EBITDAの調整へそのまま移さないでください。

借入契約でも定義の確認が必要です。エフ・コードの2024年12月期有報の特定借入契約では、営業利益に、営業利益から控除済みの減価償却費・のれん償却費と、その他償却費・のれんの減損を加えた額をEBITDAと定義しています。

この契約の減価償却費には、リース減価償却費も含まれます。同じ有価証券報告書の別の借入には異なる算式もあるため、契約名・対象期間を指定して確認する必要があります。

キャッシュフローとの違い

EBITDAが黒字でも、資金が足りるとは判断できません。売上債権の未回収、在庫の増加、設備の購入、借入元本の返済は、営業利益に償却費を足す計算だけでは分かりません。

確認したいこと見る資料・指標
償却負担を除いた利益定義をそろえたEBITDA
売掛金・在庫・買掛金の増減を含む営業の収支営業キャッシュフロー
設備取得に支出した額投資キャッシュフロー・固定資産取得の明細
借入元本を返済した額財務キャッシュフロー・返済予定表
今後の支払日に現金が足りるか資金繰り表・預金残高・入出金予定

営業キャッシュフローを間接法で求める場合は、非資金損益に加え、売上債権・棚卸資産・仕入債務などの増減も加減します。財務諸表等規則113条の調整は、EBITDAの計算より広い範囲です。

通常の設備取得支出は投資キャッシュフロー、借入元本の返済支出は財務キャッシュフローに分類されます(財務諸表等規則114条・115条)。償却費を加算しても、設備の維持更新や元本返済の支出が不要になるわけではありません。

営業キャッシュフローの計算手順はキャッシュフロー計算書の作り方で扱っています。

提出前の確認手順

  1. 提出先の算式を確認し、営業利益起点か税引前利益起点か、追加調整の有無を書き留めます。
  2. 期間・連結か単体かをそろえ、損益計算書の利益に原価・販管費の償却費を対応させます。
  3. 調整表に「項目・加減の符号・元資料・当期計上額」を残し、同じ費用の重複を除きます。
  4. 税引前利益から営業利益起点へ戻すなら、利息以外も含め営業外損益・特別損益を除外したか確認します。
  5. 営業キャッシュフロー・設備支出・返済予定と並べ、利益と資金繰りを別に報告します。
集計の要点

出発点の利益と、足し戻す費用の計上場所を対応させます。会社公表値・契約指標は指定の定義に従い、比較する際は追加調整の内訳までそろえてください。

よくある質問

EBITDAと営業利益の違いは何ですか?

本記事の定義では、営業利益に、当期の営業損益に含まれた減価償却費とのれん償却費を重複なく加算したものがEBITDAです。営業利益は償却費を差し引いた後の利益で、EBITDAはその償却負担を除いて見ます。

税引前利益に支払利息を足せば求められますか?

それだけでは本記事の営業利益起点の定義と一致しない場合があります。営業利益起点へそろえるには、営業外収益・営業外費用・特別利益・特別損失を除いて営業利益へ戻し、当期営業損益の償却費を重複なく加算します。提出先が別の算式を定義していれば、その指定に従います。

減損損失はEBITDAに加算しますか?

本記事の営業利益起点の定義では、特別損失に計上した減損損失をさらに加算しません。税引前利益から営業利益へ戻すときは、その特別損失を除外します。営業利益内の減損や契約指標については、指定の定義に加算が含まれるかを確認してください。

EBITDAは手元に残る現金ですか?

手元に残る現金ではありません。売上債権や棚卸資産の増減、設備購入、借入元本の返済などを、営業利益に償却費を加算するだけでは反映できません。資金の確認にはキャッシュフロー計算書や資金繰り表を併用します。

次に読む

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。個別の税務・労務相談には応じられません。具体的な開示や契約上の計算は、提出先の指定と顧問税理士・公認会計士にご確認ください。

この内容をXで共有