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売掛金と未収入金と未収収益の違い|仕訳と一年基準、区分表示に名前が無い科目

結論から言うと、3つは「本業の取引か」「支払期日が来ているか」の2問で分かれます。本業の取引から生じた未収なら売掛金、本業以外なら未収入金、継続的に提供している役務のうち期日がまだ来ていない部分なら未収収益です。

ただ、条文を開くと少し意外な形をしています。財務諸表等規則が名前を与えているのは売掛金だけで、「未収入金」という語は規則の全文に一度も出てきません。未収収益は条文には現れますが、貸借対照表の区分表示(17条1項)には科目が用意されていません。負債側では未払金も未払費用も前受収益も全部が名前付きの区分を持っているので、資産側だけが手薄になっています。

その非対称を条文で追い、最後に「2年半先にしか入金されない利息120,000円に今期課税される」例まで通します。

結論:2つの質問で決まる

迷ったときは、次の順で当てはめると一意に決まります。

まだ入金されていない Q1. 本業の取引から 生じたものか? はい 売掛金 規則15条3号・17条1項3号 いいえ Q2. 継続的な役務提供で、 支払期日がまだ 来ていないか? はい 未収収益 規則16条・区分表示は「その他」 いいえ 未収入金 規則に科目名は無い(15条12号「その他の資産」の受け皿に拠る)
未収の科目を決める判定フロー。Q1で本業かを切り、Q2で「期日が来たかどうか」を切る。
売掛金未収収益未収入金
典型例商品の売上代金まだ期日が来ていない受取家賃・受取利息固定資産の売却代金、保険金、従業員への立替分
本業か本業問わない本業以外
支払期日問わない未到来問わない(到来後の未入金を含む)
規則の根拠15条3号で定義16条で流動資産と明記条文に科目名が無い
Q2は「期日」で切る同じ受取家賃でも、支払期日が到来しているのに入金されていないなら、それはもう期間対応の話ではなく確定した債権です。一般には未収入金で処理します。未収収益は「時の経過で発生したが、まだ請求できる状態になっていない」部分に使う科目です。

規則が名前を与えているのは売掛金だけ

財務諸表等規則15条3号は、売掛金をこう定義しています。

財務諸表等規則 第15条第3号売掛金(顧客との契約から生じた債権その他の通常の取引に基づいて発生した営業上の未収金をいう。ただし、破産更生債権等で一年内に回収されないことが明らかなものを除く。以下同じ。)

つまり売掛金は法令上「営業上の未収金」の一種で、「売掛金と未収入金の違い」は別物を2つ並べた話ではなく、未収金という箱のうち営業上のものを売掛金と呼ぶという包含関係です。負債側で買掛金が「通常の取引に基づいて発生した営業上の未払金」(47条2号)と定義されているのと、まったく同じ書き方です。

ところが、その先が対称ではありません。規則の全文で各語が何回現れるかを数えると、次のようになります。

規則の全文での出現現れる条
未払金3回47条・49条
未払費用3回48条・49条・55条
未収収益3回16条・39条
未収入金0回
未収金1回15条(売掛金の定義の中だけ)

実務で毎日使う「未収入金」という科目名は、財務諸表等規則には一度も出てきません。唯一の「未収金」も、上に引いた売掛金の定義の中にあるだけです。営業外の未収を流動資産に載せる根拠は、15条12号の「その他の資産で一年内に現金化できると認められるもの」という受け皿に拠ることになります。

一年基準の効き方が3科目で違う

同じ「未収」でも、決算日から1年を超えて回収される場合の扱いは3科目で分かれます。

流動資産に入る根拠一年基準1年を超えるとき
売掛金15条3号実質かからない(営業循環基準が先に働く)流動資産のまま。ただし破産更生債権等は除かれる
未収収益16条(無限定かからない流動資産のまま
未収入金15条12号「一年内に現金化できると認められるもの」かかる投資その他の資産へ

注目したいのは売掛金の但し書きです。15条3号は「破産更生債権等で一年内に回収されないことが明らかなものを除く」と書いており、回収の見込みが立たなくなった営業債権は流動資産から外れて、32条1項10号の破産更生債権等(投資その他の資産)へ移ります。

営業循環基準は資産側にだけ穴が開いている買掛金を定める47条2号には、この但し書きがありません。つまり、売掛金は「回収できない」と分かれば流動資産から出されるのに、買掛金は支払いが何年も滞っても流動負債にとどまり続けます。営業循環基準は左右対称の原則のように語られますが、条文上は片側にだけ例外が置かれています。

経過勘定4つのうち、名前が無いのは未収収益だけ

前払費用・未収収益・未払費用・前受収益の4つは、まとめて経過勘定と呼ばれます。貸借対照表の区分表示を定めた条文(資産は17条1項、負債は49条1項)に、それぞれの科目があるかを並べると次のようになります。

経過勘定流動に属する根拠区分表示の科目
前払費用(資産)16条(一年内のものに限る17条1項11号にあり
未収収益(資産)16条(無限定)無し(12号「その他」)
未払費用(負債)48条(無限定)49条1項6号にあり
前受収益(負債)48条(無限定)49条1項10号にあり

17条1項が名前を挙げているのは、現金及び預金・受取手形・売掛金・契約資産・リース債権・リース投資資産・有価証券・商品及び製品・仕掛品・原材料及び貯蔵品・前渡金・前払費用の12項目と「その他」で、未収収益は入っていません。一方の49条1項は14項目を挙げ、未払金・未払費用・前受収益をいずれも別の号に置いています。4つの経過勘定のうち、自分の名前の科目が用意されていないのは未収収益だけです。

もっとも、17条2項が「別に表示することが適当であると認められるもの」の独立掲記を妨げていないので、金額が大きければ未収収益として単独で並べて差し支えありません。規則が要求していないだけです。

「長期未収収益」は存在しない16条は未収収益を無限定に流動資産としているので、受け皿としての長期科目が要りません。実際、規則の全文を通して「長期未収」という語は一度も現れません。これは負債側で「長期未払費用」が存在しないのと同じ構造です。逆に前払費用は16条が「一年内に費用となるべきもの」と限定しているため、32条1項11号に長期前払費用が用意されています。

費用は待たされ、収益は先に取られる

会計の話は以上ですが、税務ではもう一段はっきりした非対称があります。

費用(未払側)収益(未収側)
根拠法人税法22条3項2号法人税法22条の2第1項
基準債務確定基準引渡し・役務提供の日
効果債務が確定するまで損金にできない請求前でも益金になる

22条3項2号は、損金に算入できる費用から「償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないもの」を除いています。これに対して22条の2第1項は、資産の販売等に係る収益の額を「その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度」の益金に算入すると定めています。

つまり、期末までに引き渡した/役務を提供した分は、請求書をまだ出していなくても当期の益金です。売上計上を翌期に送るために請求書の発行日を遅らせる、という処理は条文の側から否定されています。

「回収できないかもしれない」を理由に減額はできない22条の2第5項1号は、益金に算入する額について、対価に係る金銭債権の貸倒れが生ずる可能性がある場合でも「その可能性がないものとした場合における価額」とすると定めています。取りはぐれそうな売上であっても、いったんは満額を益金に入れる建て付けです。

実例:912日先の入金に、今期課税される

12月決算の法人が、2026年7月1日に1,000万円を年2.4%で貸し付け、利息は満期の2029年6月30日に一括して受け取る契約だとします。

会計上は、期日が来ていない未収利息なので未収収益です。16条に一年内の限定が無いため、912日先の入金であっても流動資産に並びます。そして税務上は、法人税基本通達2-1-24が次のように定めています。

法人税基本通達 2-1-24(貸付金利子等の帰属の時期)貸付金、預金、貯金若しくは有価証券から生ずる利子の額……は、その利子……の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を当該事業年度の益金の額に算入する。ただし、主として金融及び保険業を営む法人以外の法人が、その有する貸付金等から生ずる利子でその支払期日が1年以内の一定の期間ごとに到来するものの額につき、継続してその支払期日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。

ただし書は、支払期日が1年以内の周期で到来する利息にしか使えません。この例の利息は2029年6月30日に一度だけ支払われるので、ただし書の条件を満たしません。したがって本文どおり、経過期間に応じた120,000円を今期の益金に算入することになります。

1円も入っていないのに課税されるこの年度、この貸付から現金は1円も入ってきません。それでも120,000円が益金になるので、実効税率が仮に30%なら36,000円の税負担が先行します。半年ごとの後払いに変えていればただし書の「1年以内の一定の期間ごと」に当てはまり、支払期日基準で計上する余地がありました。契約の書き方が課税のタイミングを動かします。

同じ貸付を借り手の側から見ると、120,000円は未払費用として流動負債に並びます。48条も16条も無限定なので、貸し手・借り手のどちらから見ても流動に区分されます。

回収が危ぶまれる場合の例外はある法人税基本通達2-1-25は、債務者が債務超過に陥って督促しても直近6か月以内に期日が来た利息の全額が未収である場合や、更生手続が開始された場合など4つの事実を挙げ、そのときは実際に受け取った額を除いて益金に算入しないことができるとしています。無条件に計上させ続ける建て付けではありません。
法人税の簡易計算ツールで、益金が増えたときの税額を試算する

間違えやすいところ

期日が来た未収収益を、そのまま持ち続ける。支払期日が到来した時点で、それは見越し計上ではなく確定した債権です。一般には未収入金へ振り替えます。未収収益の残高が決算のたびに積み上がっているなら、期日が来た分の混入を疑うところです。

本業以外の売上を売掛金に入れる。15条3号は「営業上の」と限定しているので、不動産賃貸を本業としない会社の受取家賃や固定資産の売却代金は売掛金ではありません。売上債権回転期間のような指標を見るときに分母が濁ります。これは分子と分母の物差しをそろえるという話で、在庫側にも同じ論点があります(棚卸資産回転率と回転期間では、分母を売上高にすると在庫ではなく粗利率を測ってしまう理由を実数で扱っています)。

回収不能が明らかな営業債権を流動資産に置いたままにする。15条3号の但し書きどおり、破産更生債権等で一年内に回収されないことが明らかなものは売掛金から外れ、32条1項10号の科目へ移ります。貸倒引当金の個別評価とあわせて確認するところです。

よくある質問

Q. 売掛金と未収入金の違いは何ですか?

A. 本業の取引から生じたものかどうかで分かれます。財務諸表等規則15条3号は売掛金を「顧客との契約から生じた債権その他の通常の取引に基づいて発生した営業上の未収金」と定義しており、法令上は売掛金も未収金の一種です。商品の販売やサービスの提供など事業目的のために反復して行う取引から生じたものが売掛金で、固定資産の売却代金や保険金のようにそれ以外のものが未収入金になります。

Q. 未収収益と未収入金はどう使い分けますか?

A. 支払期日が到来しているかどうかが分かれ目です。一定の契約にもとづいて継続して提供している役務のうち、時の経過で発生したものの、まだ請求できる状態になっていない部分が未収収益です。受取家賃や受取利息が典型になります。これに対し、支払期日が来ているのに入金されていないものは確定した債権なので、一般には未収入金で処理します。

Q. 貸借対照表に「未収収益」という科目が見当たらないのはなぜですか?

A. 財務諸表等規則17条1項が流動資産の区分表示として名指ししている科目に、未収収益が入っていないためです。前払費用には第11号に科目が用意されている一方、未収収益は第12号の「その他」に含めることになります。ただし17条2項が別に表示することを妨げていないので、金額に重要性があれば独立した科目として掲記して差し支えありません。

Q. 入金が1年より先の未収収益は固定資産にしますか?

A. 財務諸表等規則16条は「前払費用で一年内に費用となるべきもの及び未収収益は、流動資産に属するものとする」と定めており、未収収益の側には一年内という限定を置いていません。投資その他の資産の区分表示を定めた32条1項にも「長期未収収益」という科目はなく、規則の全文を通しても同じ語は現れません。一年内の限定がある前払費用に長期前払費用が用意されているのとは、書き分けが異なります。

Q. 請求書を出していない売上も当期に計上する必要がありますか?

A. 請求書の発行は計上の要件ではありません。法人税法22条の2第1項は、資産の販売等に係る収益の額を目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の益金に算入すると定めています。期末までに引き渡しや役務の提供が終わっている分は、請求が翌期になっても当期の益金として扱うのが原則です。損金の側が債務確定基準(22条3項2号)で確定を待つのとは、扱いが異なります。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。科目の選択や収益の計上時期は契約内容や取引の実態によって判断が分かれることがあります。計上の可否・金額の算定・申告書への記載にあたっては、顧問税理士にご確認ください。

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